2021/03/23
本110 農文協編「有機物を使いこなす」
農文協編「有機物を使いこなす」農文協(1986年刊)
まえがき
堆肥だけでなく、炭や灰、ボカシ肥として利用する。施し方もただ土に入れ込むのではなく、根の周りに施したりマルチにしたりする。それは〝少ない有機物で大きな効果〟をあげる方法です。今風の土つくりは、手間と金がかかるわりに効果が少なく、むしろ害を出していることもあります。
第一編 根と微生物のただならぬ関係
根に住む微生物の三つのはたらき
1 根の養分吸収を助ける
菌根菌は根の内部に菌糸を伸ばし、根から養分をもらう一方、根の外に伸びた菌糸は、土の養分を吸収し、作物の根に送ります。菌糸は7~10㎝も伸びるので作物は根の届かないところにある養分も吸収することができます。
根の中に入り込まない微生物の場合、微生物はマイナスの電気を帯びており、それらはカリ、石灰などプラスの電気をもった養分を引きつけます。根から離れたところにあるカリや石灰などを、体にくっつけて根の近くに運びます。
リン酸が少ない土では、根はアミノ酸などの分泌物を増やすことが知られています。分泌物が多ければ根圏微生物の繁殖が旺盛になり、それらが根へのリン酸の供給を助けます。
2 微生物の分泌物が根の活力を高める
微生物が出す分泌物や死んで分解され根に供給する養分の量は、根の排出物の量に匹敵すると言われています。微生物は根の分泌物を取り込み、形を変えて根に供給していると考えられます。
微生物の分泌物も、アミノ酸、酵素、ホルモンなど多様で、これらは直接根に取り込まれるほか、根に刺激を与え、根の成長や活力強化に一役買っています。
実験から、微生物が出す分泌物には、根の伸びや発根を促す物質が含まれているらしいのです。
微生物の分泌物は、地上部の見た目の生育をよくするのではなく、むしろこじんまりとしたしまった生育になります。根はよく発達し、地上部はビシッとしまった姿になる、つまり健全な生育です。茎葉の繁茂よりは、病気への抵抗力や品質の向上を促す。それが微生物が供給する成分の働きなのです。
3 有害な菌から根を守る
菌根菌や多種類の微生物が住みついた根は、土壌病害にやられにくいものです。
根の活力と微生物相
根圏と非根圏の微生物相の違い
非根圏の微生物相は、種類はきわめて多いがエサが少ないため、繁殖スピードは緩やかで活性が低くなっています。一方、根圏の方は根の分泌物があるので養分の量は多いのですが、養分の中味は非根圏に比べて単純です。したがって、根圏の微生物相は種類が少なく、特定の微生物が高い活性をもっている状態になっています。つまり、非根圏の多様な微生物の中の一部が根圏に寄ってきて繁殖し、根圏微生物相を形成するのです。
連作障害の起こるしくみ
ある作物をつくるとその根の分泌物を好む特定の微生物が根圏で増えます。これらの微生物は次に同じ作物が植えられると、いっそう力を得て繁殖するようになります。こうして連作するたびに、特定の微生物だけが根圏を占拠するようになり、微生物が単純になってきます。こうした微生物の中には、根の分泌物をエサとするだけでは満足せず、根の中に入り込み、根の細胞を殺してエサとするものもいます。これが病原菌です。病原菌は根がないときは、土の中でじっとがまんして生き続ける強さがあります。エサがないときはじっと耐え、エサがあるときは猛烈な勢いで増える、それが土壌病原菌の性格なのです。
土壌病原菌も、数が少ないときは普通の微生物です。むしろ、よい働きをしているかもしれません。特定の微生物だけが異常に増え、微生物相が偏ることが問題なのです。この場合、根を直接殺すような被害が表れなくても、根の発達、活力は低下します。
有機物利用の何が大切か
生きた根は分泌物として有機物を出し、生育終了後は厖大な量の残根として微生物相に大きな影響を与えます。連作障害の原因も、根がつくっているという側面が強いのです。この根をどう活かすか。輪作は、他の種類の作物の根によって微生物相を整えるという意味では根を生かす方法ですが、有機物利用に当たっても、この根をどう扱うかが大切になってくるわけです。
昔の農家は、堆肥を五トンも六トンも入れるということはしませんでし、できませんでした。有機物をただ土にぶち込むというのでは、芸がありません。
第二編 微生物を味方にする有機物利用法
根こそ まず第一の有機物だ
収穫直後の弱った根をめがけて、土壌病原菌が集中的に増える事が考えられます。これらは、土の中でしぶとく生き抜く性格が強いので、そのままおいておくことは、連作のように土壌病原菌の密度をしだいに高めることになります。そこで、収穫後に有機質を施し、腐食性の微生物や線虫をふやして寄生菌の密度を減らす、それが田島さんのやり方です。そのための微生物のエサの補給として、収穫後にナタネ粕120kg、米糠30kgの有機質肥料を施すわけです。
有機物をどう畑にぶち込むかを考える前に、畑の微生物がどう変化しているかをつかむことが大切だと、田島さんのやり方は教えてくれます。
堆肥ばかりが有機物ではない
有機質肥料の真価を引き出すボカシ肥
山土と一緒に発酵させることにより、土に養分をつかまえさせることができ肥効が長続きします。また、土を入れることで量が増え、しかも、有益菌が土になじんだ形で多く住んでいる形になり、土に施したときの効果が安定するわけです。せっかくの有機物が土の仲の悪い菌に利用されることなく、根圏微生物を豊かにする、これがボカシ肥の最大の特徴です。
化学肥料では代替できない効果 灰
昔の農家は、カマドの灰をためておき肥料に使ったものですが、それが、微生物のはたらきをよくする、土壌の乾湿の害や病虫害を防ぐなどの効果があり、改めて注目されています。
尿素、尿酸の濃度が高いナマの人糞尿では作物の根が肥当たりすることが多いのですが、灰のアルカリ分がそれを中和することと、養分の多くは繁殖する微生物に取り込まれることにより、肥あたりや流亡が少なくなり、効果が高まります。
有益微生物のすみかをつくる 炭
炭は高温で蒸し焼きにされているので、有機物はまったくなくなりアルカリ性である。多孔質で表面積も多く、空気や水を保ちやすい。こんな性質を持ったものを土に入れると、一般の微生物はよりつけず、独立栄養性の窒素固定菌や光合成細菌、藻類などが入り、次いで競争に弱い根粒菌や菌根菌が入ることになる。
写真:炭はダイズの根粒菌をふやす
写真:炭に引きつけられるように伸びるタマネギの根
堆肥は完熟でなければならないか
完熟堆肥は、病原菌など有害な菌はいなくなっています。一つは発酵熱で死ぬこと、もうひとつは、放線菌や細菌などに食べられてしまうことです。土壌病原菌の体は、キチン質で出来ているものが多く、放線菌のかっこうのエサになるといわれています。
土の窒素を奪い取る
未熟有機物の欠点は、ひとつは、窒素饑餓を招くことです。未熟なものをエサとして微生物が急速に繁殖するとき、窒素が同時に必要になり、土のチッソ分が微生物にとられて一時的に窒素不足の状態を作り出すわけです。このとき作物が植わっていれば、うまく育たないことになります。
有機物素材は何がよいか
木質素材(樹皮、オガクズ)
繊維分の多い素材ほど、フェノール類、ヤニ成分などの有害物質が多く含まれています。これらの物質は高温で処理しなければ、取り除くことが出来ません。高温で発酵させることです。
繊維分の多い素材ほど腐りにくく、効果も出にくい。一度発酵させた木質堆肥ですら、堆肥の効果が出るには三~四年かかります。
窒素質素材(堆肥、ダイズ葉、下水道汚泥)
鶏糞、豚糞、牛糞、尿、汚泥などがこの部類に入ります。
雑草や青草
生草でまだ青いものは、糖分やタンパクが多く有用菌のかっこうのエサになります。できれば根もいっしょに堆肥にするとなお効果的です。雑草の根には菌根菌などの有益微生物がいっぱいついているからです。山の落ち葉にも天然の有益微生物がたくさんついています。
イナワラや家畜の厩肥だけでなく、雑草や落ち葉を少し混ぜてやる、それだけで、堆肥の質がぐっとよくなります。
水の中で腐った有機物も効果的です。これらには、嫌気性の光合成細菌などが多く住んでおり、この光合成細菌は放線菌のエサになるので、これを堆肥の素材に使えば、有益な放線菌が多い堆肥ができるというわけです。ため池などにある腐った有機物も素材として生かしたいものです。
ほかに堆肥作りの添加剤としては、コメヌカが有効です。コメヌカは栄養に富んでおり、より微生物をふやす方向にはたらきます。
有機物の施用法 微生物との関係
良質のものを根の近くに
完熟堆肥を量も多くなく使う場合は、植溝施用が有利です。つまり、根が多くはる部分に集中的によい堆肥を施すのです。生育の初期、堆肥施用で有益な微生物が多くなっているところへ根が伸びることによって、根圏微生物相が豊かになります。しかも、初期の根圏微生物相はその後も引き継がれる傾向があり、有益な微生物が少ないところに伸びていっても、根圏の微生物は維持され、有害菌の影響も受けにくくなります。わるい堆肥を多く入れるより、少量でも有益菌の多い堆肥を用意し、上手に使っていく、これが賢いやり方といえそうです。
土を上から作る
根は土の表層に多くはるもので、表層に施された堆肥はこの根を守ってくれます。一方、表層に敷かれる敷きワラも土の乾燥を防ぐなど根の働きを守ってくれます。こうして施された表層の有機物の肥料成分や微生物の分泌物は、雨などによって土にしみこみ、根に効率よく利用されます。
そして大切な事は、有機物の表層利用、表層利用を繰り返す中で、土が上からだんだんよくなっていくことです。有機物の表層利用は害も少なくその作物の根を守りながら土をよくする方法です。微生物や作物の根が上から土をよくしてくれるのです。
第三編 農家に学ぶ上手な有機物活用法
刈敷・温水堆肥
無肥料・無農薬イネつくりを支える 鳥取県 谷口如典
農薬・化学肥料を使わず25年、谷口さんの自然農法=刈敷農法
谷口さんの特徴は、田植え後、ヨシやマコモを畝間に刈敷として敷き込むところにある。
戦中戦後の化学肥料を使えない時代に、隣村の篤農家はヨシやマコモ、草を刈って堆肥に積み、それを田に入れ、7~8俵の収量を上げていた。
谷口さんは主にコシヒカリをつくっている。出穂はだいたい八月五~十日前後になる。すると六月下旬に敷いた刈敷が腐り始めて、土へ養分として供給されるころがちょうど穂肥の時期になることになる。気温も水温も上がり始めてくる時期でもあり、刈敷の分解も進んでいく。化学肥料の穂肥のようにすぐに色が出て、あっ・・・効いたな、という感じではなく、たいへんゆっくりと色が変わる。谷口さんの観察では、収穫の時期になって、刈敷の分解がすすんでいる年ほど収量も高い。だから刈敷を十分に腐らせるように、谷口さんは水の駆け引きにも十分注意している。そこでいつも刈敷が湿っているように水を管理して、刈敷が腐りやすいようにしている。
しかし、刈敷は穂肥の時期にすべて腐るわけではない。ある程度の養分の補給にはなるかもしれないが、刈り取り時までに腐る刈敷は3~4割であることを考えると、刈敷の本田期間中だけの養分では、10俵といった収量は望めないと思われる。
ところが、刈敷は田んぼの中で根の働きを強める働きをしていることがわかった。
刈敷は天日に3~4日干すといっても有機物としては生と同じである。その生の有機物を土の中に入れるのではなく、土の上に敷くところにポイントがある。
自然の中では土砂崩れでもない限り生の有機物が土の中に入っていくことはない。地上に落ちた落ち葉や落枝は微生物などのはたらきによって徐々に腐り、腐植となって土を肥やしてゆく。この原理を田で実現したのが谷口さんの刈敷による自然農法である。
自然の摂理にかなった方法であれば、たとえば生の有機物を刈敷として土の上に置く形をとれば、自然は刈敷を徐々に腐らせ、稲の根のはたらきを強くする液汁や腐植といった恵みを与えてくれるのである。
七月に入ってからまた草が生えてくることがある。こんなとき刈敷が入っていれば、その畝間から草が生えてくることは少ない。刈敷がマルチのはたらきをしていることになる。
また、谷口さんは、刈敷は着物を着ているのと同じだ、という。微生物のはたらきもあって地温も高くなり安い。土が温かければ根も保温される。イネの生育もよい状態に保たれることになる。
燻炭肥料
肥料効果を高め連作障害を防ぐ 愛知県 水口文夫
堆肥になりにくいものを燻炭にする
燻炭肥料の材料は何でもよいが、堆肥にできるものはなるべく堆肥にして、むしろ堆肥になりにくいものを燻炭にするのがよいと、私は思い、生け垣の刈り枝、果樹園の剪定枝、ササや地下茎、山林の雑木、雑草などを燻炭にしている。
鶏糞利用
鶏糞が草を育て草が土をつくる 和歌山県 西川満佐留 草が大地に生え、それが枯れて土にかえっていく、これが自然する土つくりです。この草を大切にし、大きく育つように手助けするのが鶏糞です。
冬草は深耕の役目を果たす
私たちの目に届かない土の中にも、地上部をつくり育てていた同じ量の根があり、土の中に埋もれたまま枯れて有機質として土を肥沃にしてくれる。根を1.5~2mまで伸ばす冬草は、特に深耕の役目を果たすのです。
夏草は干ばつを防ぐ
草刈りは一ヶ月にほぼ一回。一回目は五月、六月に二回目。三回目の七月は夏草の本番です。あまり遅れないように刈り取りますと、精一杯大きくなった夏草は、真夏の干ばつを防ぐにはかっこうの敷き草です。草の根も半分くらい枯れて腐り、肥料化します。八月にも草は伸びてきますが、七月の約半分の量です。草量は半分ですが敷き草と施肥になり、盛夏のひでりから果樹を守ってくれます。
根が深くまで活発にはたらくことによって、干ばつにもさらに強くなります。地下1mより深いところは、水分は年中ほとんど変わりないいいますから、雨が長い間降らなくても強い日光を天の恵みとしてだけ受け、果樹はますますおいしい果物つくりに精を出してくれます。
施した鶏糞は、果樹に吸収されるよりむしろ草に吸収されます。その草が枯れたり、敷き草になって土を肥沃にしてくれます。鶏糞と果樹を結びつけてくれるのが草なのです。草の力を借りて土を肥やし、果樹を育てるのです。
モミガラ
生でOK絶大な土壌改良効果 兵庫県 井原豊
モミガラは邪魔者扱いされるが、おがくずのように有害成分(リグニン、タンニン)を含まないので、最高の土質改善ができる。
モミガラの入手が困難ならば、ムギワラ、イネワラがその次によい。
モミガラは堅いから腐植の寿命は長い。腐植は有機物が腐った粕である。これが肥料を捕まえる力、保肥力となって数年間はたらく。ただで手に入る腐植資材、それも地上最高の土壌改良資材といえる。
自然酵素堆肥
病気撃退・味がよくなる 熊本県 古賀綱行
雨ざらし日ざらしの堆肥では肥料効果も失われてしまいます。堆肥を六時間雨ざらしにしただけで窒素の24%、リン酸10%、カリはなんと80%も流亡したというデータがあり、堆肥のミイラができあがります。
イナワラや雑草には、すぐれた天然の納豆菌のようなものがうようよしているので、それをそのまま堆肥化します。またイナワラ、雑草には、作物を病害虫に強くするケイ酸が多量に含まれています。
イネ科の多年草、チガヤの根は、子どもの頃お菓子がわりの甘味としてかんでいたほど糖分が多いので、堆肥中にバクテリアがよく繁殖します。またニンジンの頭の部分には酵素がたくさん含まれているので、これを元ダネにして酵素いっぱいの土コウジができます。 この自然堆肥、ニンジン酵素コウジで、微生物や酵素を生きたまま畑に増殖、増産し、土の中の微生物のバランスをよくしていこうというのが私の考えです。
自然酵素堆肥は、ハブ草、エビスグサなどの前作と組み合わせればクロルピクリンに優るとも劣らない効果があると思っています。
堆肥つくりの手順 藤原俊六郎
1 材料の選び方
堆肥化で重要なのは炭素率(炭素と窒素の含量比、C/N比ともいう)と水分含量である。炭素率は30~40、水分含量は55~60%がもっとも適している。微生物の炭素率は糸状菌10,細菌50程度であり、土壌中で有機物は分解し10程度の値を示す。堆肥もこの値に近づいていく。このため炭素率の低い鶏糞(6~8)などは、窒素を放出して炭素率を10になろうとする。そこで窒素が無駄になる。炭素率が高いものはこの心配はないが、炭素率が100以上の木質は、そのままでは分解しない。イナワラだけで堆積しても分解が遅いのは、炭素率が60程度と高いためである。イナワラ1トンに対し、4~5キロの窒素を加えれば炭素率が30程度となり、分解しやすくなる。炭素率をあわせるために窒素を添加するときは石灰窒素が適している。これは、堆肥化にはたらく微生物は弱アルカリ性を好むため、酸性化の原因となる硫安よりは適している。
水分は55~60%となるように水分調節剤を混ぜるか、灌水をする。水分がやや高いときは十分孔隙ができるよう軽く堆積し、水分が低いときは十分踏み込んで堆積するとよい。
米糠、鶏糞や落ち葉を少量混合すると微生物が利用しやすい成分が多く、初期の微生物活性が盛んになる。さらに、完熟した堆肥を少量混合してやると、優良な微生物の持ち込みに役立つ。
2 堆積の方法
堆積場所は、しぼり水が排水できるよう工夫された場所がよい。簡易には土を数㎝盛り土するか、コンクリート製の堆肥盤をつくればよい。スノコのようなものがあれば、空気の流通の点からも最高である。
堆積規模は5~6立方m程度がよい。これ以上の規模で堆積するときは、強制通気をするか、ムギカラやカヤのような孔隙の多い資材を使い、空気の流通をよくする必要がある。
微生物の活動には20~40度が最も適している。このため冬期に積み込むと初期の微生物活性が弱い。また冷え込みやすいため、夏期よりも固めに踏み込み、周囲にワラや板で囲いをつくるとよい。一定の大きさの大枠をつくっておくと、堆肥の容量がわかるために便利であり、ぜひとも枠をつくっておくことが好ましい。
微生物は紫外線に弱いため、直射日光に当たらない工夫をするも大切である。屋根があればよいが、屋外のときはシートやむしろで覆う。
発酵温度は70度程度がよく、低すぎると腐熟は遅くなり、高すぎても〝やけた〟状態となって養分の減少をまねき好ましくない。
3 二次発酵の方法
堆積場所は畑に近く、簡単な屋根をもつ堆肥置き場か、屋外の時はビニールシートをかぶせておく。降雨で肥料成分が流亡するのを防ぐためである。雨によって流亡しやすいのは窒素とカリであり、リン酸はほとんど流亡しない。雨に当てることによりカリが流亡しやすいことに目をつけて、積極的に雨にさらされることもある。
十分腐熟したものは、水分を30%以下に落としておくと、分解がほぼ止まり、長期間保存しておくことができる。
二次発酵による腐熟は重要なことであるが、イナワラ堆肥や木質を含まない厩肥では行わなくても問題はないといえる。また、土壌施用後、作付けまでに一ヶ月以上の期間があるときは、二次発酵をしないで直接土壌施用した方がよい。これは、この間に土の中で十分に腐熟して、作物に対する障害がなくなり、養分の損失もないためである。
平成23年11月
コメント