セロリ 12

20210530セロリ2(750t)
 4月6日に定植したセロリです。
梅雨期ですがハウスの中に雨は降らないのでカラカラに乾いています。
セロリは水好みですから、毎日毎日一輪車で水を運びました。
その甲斐あって、何とか大きくなりました。
20210530セロリ1(750t)
収穫してみると、もう出荷してもよさそうです。
小型の品種ですから、一株単位で出荷します。
基部の葉柄の部分は、そのまま生で食べても美味しいです。
外側の古い葉は取り取り除き、新しく柔らかい葉をつけたまま出すと、
一株まるごと利用できます。


本124 「炭 とことん活用読本」

農文共編「炭 とことん活用読本」 土・作物を変える不思議パワー
農文協(2008年刊)
炭 とことん活用読本

Ⅰ 炭の不思議

炭を入れると微生物が増える
小川眞(農水省林業試験場1989年)
炭はまだ不明な点が多い
 炭を働かせようと思えば、それによって動く微生物のことも考えに入れて、堆肥を投入したり施肥量なども改めたりしなければならない。私の知る限り、炭は肥料でもなく、万能薬でもない。炭化物の理化学的性質や微生物や根などとの関係についてはまだ不明な点が多く、推測の域を出ないことが多い。

炭の種類によって性質が大きくちがう
 一口に炭といっても、その性質は製造法や材料によって大きく異なっている。性質がよく知られている活性炭は、炭を水蒸気や薬品で活性化し、ガスや色素などの吸着力を高めたもので、オングストローム単位の微細な孔をもち、化学的活性が高い。
 一方、樹皮や木材、モミガラなどの廃物から作った炭には、元の細胞や組織がそのままの形で残っているため、比較的大きな孔が多い。その点では、軽石やサンゴ、陶器などに近い。活性炭と比べて、細菌やカビなどが生息しやすく、その点では生物活性の高い資材といえる。さらに、活性炭と比べると劣るが、普通の炭もガスの吸着力は高く、アンモニアガスや亜硫酸ガスなどもよく吸着する。
 土壌中が嫌気状態になったり、未熟の有機物が多く存在すると、脱窒菌のはたらきで窒素肥料がガス体になって逃げる脱窒現象がおこる。炭には逃げる窒素をとらえられるかもしれない。
 アンモニア態窒素を加えた炭の粉を土に混ぜておくと、その中に硝化菌が繁殖する。したがって、このようなサイクルを上手に利用すれば、土の中の窒素循環をうまくコントロールすることが可能になるかもしれない。

炭を入れると微生物が増える
 炭の中には微生物の栄養源となる有機物がまったくないので、土中で大勢を占める腐生菌は入ることができない。最初に入って来るのは、少量の栄養源で生育するアゾトバクターなどの好気性非共生窒素固定菌である。
 そして窒素がたまってくると同時に酸素と水を好む根が近づき、発根が盛んに起こる。 マメ科植物であれば、炭の中に逃げ込んだ根粒菌がすぐ根粒をつくって共生する。VA菌根菌も炭の上で発芽しやすく、出た菌糸はすぐ根について菌根をつくる。こうなると、土の中に過剰にたまった難溶性のミネラルやリン酸などは、VA菌根菌の菌糸に吸収されて、植物に送り込まれ、残りは菌体の中に貯えられる。

鉱物リン酸を菌根菌が作物に吸収しやすくする
 土の中にあるリン酸は、カルシウムやアルミニウム、鉄などと結合した鉱物リン酸である。これらは難溶化しているが、土中の中のリン酸の多くを占めるため、植物はこれを、溶かしだして利用している。根が鉱物リン酸を溶かし出すのを助けているのは細菌やカビの仲間で、いずれも有機物を分解する能力が高く、堆肥などの中に多い。したがって堆肥を施用すると、これらの微生物の働きでできた有機酸が鉱物リン酸を可溶化し、作物が吸収しやすくなる。したがって鉱物化してしまったリン酸をうまく利用するためには、炭だけでなく堆肥などの有機物を一緒に与えなければならない。

炭堆肥に土壌病害を抑える効果
 最近分かったことだが、家畜の屎尿と粉炭を混合して堆肥化すると、脱臭するだけでなく、特殊な放線菌や古草菌の仲間が繁殖して有機物を完全に分解し、良質の炭堆肥ができる。この堆肥の中には土壌病害を抑える抗生物質が含まれており、ピシウム、フィトフソラ、リゾクトニアなどやネマトーダにも効くといわれ始めている。

有機物・微生物・炭で年々土が肥沃になる
水口文夫(実際家・元愛知県農業改良普及員)

鉱物化した養分を利用する
 土の中には不可吸態の養分がいくらでもある。私が緑肥に使っているエビスグサがどんな荒れ地でもできるのは、土の中の難溶性といわれる成分を、根から出す分泌物で溶かし、作物に吸える形に変えているからだと思う。VA菌根菌は作物と共生し、リン酸の吸収を助ける。微量要素欠乏症状がでれば、微量要素をやる、ということで本当にいいのだろうか。

肥料をやると肥料が吸えない
 カリ、カルシウム、苦土などの塩基類を不用意に施用すると、陽イオンどうしの拮抗作用によって、他の要素の吸収を妨げる。カリの多用は著しく苦土の吸収を悪くするし、石灰が多すぎても苦土の吸収を阻害する。さらに、窒素やカリ、苦土が多すぎると、今度は石灰の吸収を悪くする。「とりあえず、多くやっておけば安心」というわけではない。

堆肥は株元にしか使わない
 カボチャなんかの場合は植え穴に堆肥を入れる。全面使用しないから、反に300kgあれば十分だ。作物は生育初期が大切で、堆肥を畑全面に散布しなくても鉢周り施用か株元施用で同じ効果がある。スイートコーンは風に弱いので、堆肥を株元にやり、その上に軽く土寄せする。

緑肥・堆肥・炭を長年利用してきた結果
 私が少ない肥料や、少ない堆肥でも効果が上がっているのは、二~三年おきに緑肥をまき、前作の残渣や雑草をハンマーナイフモアで破砕・乾燥施用し、堆肥を株元施用し、炭を利用するという一貫した体系を長年続けてきたからだ。

養分の吸収を微生物が助ける
 リン酸は土壌中での移動が遅い上、根が直接接している土壌溶液リン酸は、全体の1%でしかないといわれている。根と共生しているVA菌根菌は、根から数㎝も菌糸を伸ばし、根圏の外側の可吸態リン酸を収集して作物に供給する。

(実験写真)菌根の発達を促す炭
 菌根菌を接種してキュウリの苗の生育をみた。炭を施用しない場合、接種と無接種のさはなかったが、炭を施すと、接種区の生育がずっとよくなった(写真)。このように炭には、菌根の発達を促す作用がある。

モミガラくん炭の性質
中島武彦(野菜・茶業試験場1992年)
 モミガラは酸素供給を制限して低温で焼くと形が崩れずに粒ぞろいのよいくん炭が得られる。これに対して、高温で燃焼するほど灰化する割合が高くなって形も崩れる。また、モミガラくん炭の容積はモミガラ自体が燃焼によって小さくなり、かつ振動や積み替えによって若干崩れ、七割ほどに縮小するので、モミガラは必要量の1.5倍焼くのが望ましい。くん炭の重量は水分消失に加えて、タンパク質や繊維質などが燃えて軽くなり、1リットル当たり150g程度となる。

Ⅱ 畑での利用

炭・炭ボカシ肥の使い方・つくり方
水口文夫(実際家・元愛知県農業改良普及員1997年)

 昨年はかんばつ気味だったが、炭を施用したところは、土に湿りをもち、タマネギの根張りがよく、二月下旬頃から生育差が目立つようになった。この原因は、炭が太陽熱を吸収して、地温を高めたためではないだろうか。また、乾燥しているときでも炭のあるところが湿っていることから、炭が保水的な役割を果たしたのではないか。さらに、炭にカビ状のものが見られることから、有効微生物の住みかになり、これら微生物がタマネギとの共生関係にあり、根の働きをよくしたのではないか、と考えられた。

○何日前に施すのか
 今まで私は炭にしろ、炭ボカシ肥にしろ、植えつけまたは種まき当日に施用したことはない。その1週間前くらい前に施用している。種まきして根が伸び出す頃には炭が微生物の住みかになっている条件が必要なように思われたからだ。

○つくり方
 炭焼きは、炎を上げて材料をやくのではなく、蒸し焼きにして炭化するのである。私は直径1.8m、深さ1mの穴を掘り、この中で材料を炭にしている。最初、穴の底全面に5㎝くらいの厚さに炭火をつくる。この上に40㎝くらいの厚さに小枝や雑木をつめ、その上を雑草やモミガラで覆い少量の土を散布する。小枝や雑木のの上に雑草やモミガラを投入するのは、雑木や小枝のすき間から土が落ちないようにするためである。土を散布するのは、火勢を弱め蒸し焼きにするためである。このような方法で材料の投入を繰り返し、穴の上面いっぱいに入れる。そして最上部へは厚さ5センチくらいに覆土する。炭化が進むにつれて、上部に被覆した土の重みで漸次沈下し、完了とともに材料の沈下が止まり、白煙も出なくなる。焼き始めてから三~七日後に炭を取り出す。まだ火は消えていないので水1リットルに尿素200g溶かした液をジョロで散水する。取りだした炭は再燃の危険性があるから、家屋内には絶対に持ち込まない。また、夜間も燃焼を続けさせるので、火災の心配のない場所を選ぶこと。濡らすとカリが流亡するから、雨にぬれないように貯蔵する。

炭を使いこなして低温に強い、減肥できる畑を作る 
水口文夫(実際家・元愛知県農業改良普及員1997年)
 溝底栽培のコカブやホウレンソウも、炭マルチを行ったところは異常低温に負けることなく、厳寒期にも甘味の高い、おいしいものを収穫することができた。
 炭マルチを使えば地温を二~三度高めることができるから、根の伸びがよく、深根が多くなる。特に細根が著しく発達する。根が深く張ることによって、ソラマメやコカブなどは異常低温に対する抵抗力を高めることができたのである。

炭と自給堆肥だけで30年 八代利之(千葉県農業2004年)
肥料は自家製鶏糞のみ
 鶏舎の床に炭と有機物を細かく砕いて敷いています。出来た堆厩肥は、作物の株元にふるようにしています。 イナワラや、ムギワラでつくる堆肥も畑全体にうないこむほどの量がないので、マルチとして畝の表面に施しています。
 有機農業では、菌がたくさんいる世界をつくってあげることが私たち人間の仕事です。土が裸になってしまうと、太陽光線によって微生物が死んでしまいます。微生物は植物の根先端で養分の吸収を手伝ってくれます。微生物が生きられるようにするには、土の表面を覆わなくてはいけない。それが野山の土壌の自然な姿なのです。この辺は重粘土地帯なので、マルチがない状態で雨が降ると、地表面に粘土の板ができたようになって、土に空気が入っていかない。乾けば、今度はひび割れができてしまうのです。

炭や有機物マルチで微生物を活かす
 果菜類など、夏場の作物の暑さ対策には、ムギワラを敷きます。蒸れにくいのだそうです。地這いのツルものは、ムギワラが足りなくなるのでイナワラを使います。ただし、有機物なら何でも敷いていいかというとそうでもないようです。以前、夏場に土手の青草を刈って敷いてみたところ、秋になって害虫の手痛いしっぺ返しを受けたそうです。

くん炭は太陽の光の貯蔵庫  古賀綱行(熊本県上益城郡清和村1986年)
くん炭5センチ被覆で地温一度上昇
 モミガラくん炭や炭は、太陽の光とエネルギーをよく吸い取り、それを土に送り込む大切な役割を持っています。私の畑では、冬でも無加温小型トンネルに寒冷紗、むしろ、くん炭だけで作物は丈夫に育っています。
 冬場は温度差が大きくなります。外気が下がると、農家は人工的ないろいろな工夫をしていますが、くん炭に勝るものはありません。マルチなどに利用すれば、工夫一つで大きな効果を上げることが出来ます。
 植物は、だいたい五度を境にして、生育をやめたり始めたりします。昔から「根にはできるだけ好適な温度を与えて活力をつけることで、植物はすべて丈夫になる」と言われてきました。
 外気零度、地下2センチも零度、しかし5センチいかの地温は零度に非ず。外気よりも暖かく、二度です。そしてくん炭を5センチの厚さに敷いてやれば、外気を遮断して地下5センチの地温は3度もあり、それより深いところは5度もあるときがあります。

○タマネギ
 くん炭を高さ5㎝ほどの山型にやっておくと根に活力があり、春一番の追肥の効果が最大になることをこの目で確かめています。
 根を保護するくん炭の役割は大きく、タマネギはとくにそうです。早春、三月中旬頃、タマネギを一個掘り上げてその根を見ると毛細根の数こそ差はありませんが、一本一本の根が太く力強くできているのがわかります。だから、タマネギのそろいもよく、耐病性も貯蔵力も高いものが出来ます。

炭は土壌改良に最適  飯田和子(北海道夕張郡1991年)
 野菜では日持ちがよくなるほか、甘味が出るのが特徴です。また今年のように雨の少ない年は、他の畑が水不足でも、炭を入れた畑は元気でした。炭が少量の水分をしっかり貯め込んでいるのです。それに炭は、水分と一緒に肥料分も貯えています。作物の育ちが段違いによくなるはずです。

Ⅲ 水田での利用

Ⅳ 育苗での利用

Ⅴ 畜産での利用

Ⅵ 炭やき・炭資材づくり



(評)
 炭を施すと、植物の細根が増えたり、作物の味がよくなったり、密度が増したりするのは、方法はまったく違うが「永田農法」の結果とよく似ている。どちらにも共通すると思われることは、微生物の活性を高める結果起こる現象ではないだろうか。微生物が植物に作用した結果起こる現象という視点で見ると、まったく違う方法が実は同じ原因で起こっているという根本的なつながりが見えてくる。永田農法も自然農法も炭の効果も有益な微生物の活性を高めることを目指した農法であるという点で一致しているのではないだろうか。このことを科学的に証明してくれる学者が現れて欲しいものだが、いかんせん、研究室でパソコンの前に座って一日を過ごす学者先生には畑のことは何もわからない。

平成24年3月

ホースラディッシュ 18

20210512ホースラディッシュ(700t)
ホースラディッシュです。
一見、2列植えてあるように見えますが、
4月1日に畝をたてて30㎝ごとに苗を定植したのは、右側の列です。
左の列は、収穫したあとに切れて地中に残った根から勝手に芽を出したホースラディッシュたちです。

このあと、ここに他の野菜を植える予定もないので、今年はこのままほったらかしにして様子を見たいと思います。
今年も結局、2列分のホースラディッシュができそうです。

トウモロコシ 16

202105282(700t).jpg
 トウモロコシを収穫しました。
化学肥料を使わないのはもちろんですけど、今年から堆肥も使わないことにしました。
その影響を最も強く受けたのが、トウモロコシだったかもしれません。
トウモロコシは基部から順番に実を充実させていくので、
養分が足りないと、先端に近い方に実が入りません。
写真を見ると、そのことがよくわかります。
202105283(700t).jpg
実が入っている部分は十分に美味しいので、自家消費するにはこれで何の問題もないのですが、商品として出荷するとなると、そうはいきません。
出荷には耐えられないので、急きょ、袋に分けて、親戚に配ることにしました。

脱農に一歩前進しつつあります。

ヤーコン 20

20210519ヤーコン(700t)
 4月17日に植えたヤーコンです。
今年は規模縮小で1列だけにしました。
植えたときについていた葉は一旦枯れたようになって、消滅しましたが、
根付いた後に出てきた葉を大きく広げています。

きままに投資 33

投資
“新第5ラウンド” 終了しました

 昨日「愛三工業」を、本日「東京電力」を売却しました。
これで、四銘柄をすべて売却し、“新第5ラウンド”が終了しました。
20210525愛三工業
「愛三工業」を購入した5月10日は、左側の太い矢印で示したところで、右側の矢印が昨日の日足チャートです。
今回の目標は、売りと買いのタイミングをはかる練習をするということでした。
「愛三工業」の買いのタイミングとしては、4月28日に出来高を伴って急騰した後のゆるやかな上昇局面をねらったもので、
それほど悪くない買い方だったと思いますが、あにはからんや、次の日から下落に転じました。
幸いなことに、再び上昇してくれましたが、昨日、上ひげをつけて下落のそぶりが見えたので、終わりにしました。
今日はさらに下落傾向なので、これでよかったと思います。
20210526東京電力
名称の部分が切れてしまいましたが、「東京電力ホールディングス」のチャートです。
左側の太い矢印が「東京電力」を購入した5月6日で、右の矢印が本日の日足チャートを示したものです。
買ったのは長い日足チャートの下ひげの325円のところでしたから、ベストなタイミングでした。
その日のうちに高く上昇してくれたのはラッキーだったとしかいいようがありません。
明くる日からはずっと横ばい状態を続けていて、
昨日の陰線に続いて、今日も下げる気配が見えたので市場が始まってすぐに手仕舞いしました。
実は、9時前に売り注文を出していたのですが、株数を間違って100株で注文していました。
600株なんて今まで注文したことがなかったので、つい忘れてしまい、気がついたときは株価がさらに下がっていました。
初心者にありがちな間違いです。
みなさん、気をつけましょう。

“新第5ラウンド”の結果をまとめます。
銘柄、(売却時の株価(売却日) ー 購入時の株価((購入日))×株数 = 損益額 の順に書きます。
購入手数料は100万円以下の売買ではかからないことが判明したので、省略します。

大豊工業   (951(5月12日) - 1015(5月10日)×200株 = -12,800円
九州旅客鉄道 (2,417 - 2,500(5月6日)×100株 = -8,300円
東京電力HD (339.6(5月26日) - 325(5月6日)×600株 = 8,760円
愛三工業   (804(5月25日) - 783(5月10日)×300株 = 6,300円

損益額の合計は -6,040円 となりました。

今回の目標は、売買のタイミングをはかる練習をするということでした。
買いのタイミングでよかったのは「東京電力」だけで、あとは甘さが目立ちました。
売りのタイミングでよかったのは「愛三工業」くらいでしょうか。
もっと精度を上げないと、投資で利益を出すことは難しいので、
タイミングをはかる練習をさらに続けなければならないと思います。

今回はトータルの損益額が初めてマイナスとなりました。
ビギナーズラッキーもこれでおしまいかと、残念な気がします。
しかし、考えてみると、「新第5ラウンド」を始めた直後に、3日連続の大陰線で
日経平均株価が2,000円を超える大暴落が起こりました。
この状況で、90万円近くの投資をして6、040円の損失で済んだのは、初心者としてはとてもラッキーだったのではないでしょうか。まだ、ビギナーズラッキーは続いている、そう信じることにして次回の作戦を立てたいと思います。

新第5ラウンドで用意した資金は、94,997円でした。
これから今回の損失、6,040円を引くと、88,957円になります。
今までと同様、88,957円をリスク許容額として、1割を超えて下落した場合は損切りするというルールで投資を行えば、次回、第6ラウンドでは889,570円分の株を買うことができます。

(このカテゴリの記事は、株をやったことのない人や株は何となく恐いと思っている人や株を始めたばかりの初心者の参考になることを目指しています)

本123 永田照喜治「食は土にあり」

永田照喜治「食は土にあり」永田農法の原点
岩波書店(2003年刊)
食は土にあり
永田照喜治
1926年熊本県天草生まれ。
神戸大学経済学部卒業後、郷里天草にて農業に従事。
やせた岩山で育てたみかんのおいしさにヒントを得て、以降独自の農法の研究開始。
その野菜・果物は、栄養分・糖度などにおいて群を抜き、高い数値を記録。「永田農法」として確立する。
現在は(株)永田農業研究所代表取締役、(株)りょくけん会長、(株)健菜会長

土と語る

永田農法ができるまで
 私は、私の野菜を食べてもらうとき、前もっての能書きなど言いません。いつも「まあ食べて下さい」とすすめます。それは皆さんの感性を信じているからです。

先入観を捨て自分の感性を信じる
 農業の常識から言うと、肥えた土地ほどいい作物が出来るはずでした。私は先祖伝来の美田を売り、岩山ばかりを買い付けました。村の人からは「狂気の沙汰だ」と陰口を利かれる始末です。しかし、私の子どもの頃培った感性は、こういう土地ほど美味しいミカンができるはずだと知っていたのです。私は自分自身の感性を信じ、来る日も来る日も、岩山をつるはしで砕き続けました。その後も、肥料に何をやればいいか、さまざまに実験しました。下肥、腐葉土、牛の糞、鶏糞等々。終いには、海のそばのミカンの出来が良かったので、海水まで撒いてみました。塩が濃すぎて、枯らしてしまったこともあります。腐葉土や牛糞などをたくさんやったところは根腐れを起こしてしまいました。肥料分が多すぎて、葉っぱばかり大きくなり、皮の硬い、酸っぱいみかん出来てしまったこともあります。結果、十分に発酵させた下肥を水で薄めて少量散布したところ、最も出来がよいことが分かりました。私はここで今の農法の原点である、「やせた土地に、少量の液肥」の農業を生み出したのです。

 石ころだらけのところで栽培すると、水や肥料のコントロールが容易なのです。必要なときに必要なだけの肥料を与え、必要でないときは肥料を土壌中に残さない、ということが出来るのです。結果、やせた土地で美味しい作物が出来たのです。

 もし私が、農学部を卒業して、農業の知識といったものを持ち合わせていたら、「作物はたっぷりの肥料と水によってつくられる」という先入観に支配され、よく肥えた土地を探し、たっぷりの肥料や水を与えていたでしょう。まさしく畑違いの、農業の素人だったからこそ、そういう常識にとらわれず、自分の目で見、感じ、出てきた結果を信じられたのだと思います。

マクロとミクロ
 鹿児島県の吹上砂丘で大規模な実験農場を営んだ後、日本触媒科学の八谷さんのつてで、兵庫県の加古川市に移り住み、三男の通っていた農業高校の校長先生であった、福智先生との出会いがあり、兵庫県立老人大学「いなみ野学園」で一坪農園、家庭菜園の指導をすることになりました。マクロからミクロへの発想の転換でした。今までの大規模施設農業から家庭菜園の鉢植え野菜へと。
私は何事もマクロ的視野と、ミクロ的視野から見るべきだと思っています。

市民農園
 都市生活者に対する園芸教室などを指導した経験から、肥料や水分を少なくするだけでなく、鉢の中という限られた条件下で育てると、不織布の鉢を出た部分の根が断根し、植物の根が活性化することがわかったのです。これも永田農法の完成には欠くべからざる要素となりました。

原生地に近い環境を再現
 野菜や果物の美味しさを追求していくと、長年の私の経験と勘から、その原生地の環境を再現してやればいいのではないかと思うようになりました。そんな折、衝撃的な出会いがありました。それが「週刊文春」の「アンデスをゆく南米野菜調査隊」という記事です。その中に、トマトの野生種の写真がありました。石ころの砂漠に、細い茎と葉っぱで、やたら大きな黄色い花をつけた写真。その写真はまさしく私が再現したトマトとそっくりだったのです。真っ先に感じたのが、葉にも茎にも花にも、びっしりと毛が生えているということです。葉っぱは小さいけれど厚くて、くるっと反り返っています。茎は細いけどしっかりしています。花は大きく、生命力あふれんばかりに輝いています。私が指導して水と肥料を極力抑えてつくったトマトは、空気中からも水分を吸収しようとして、サボテンのように体中にとげを出しています。でも、アンデスのトマトの野生種の写真を見て、それが先祖帰りの現象なのだと確認したのです。

農業革命

農業は環境破壊の始まり
 やがて発見したアメリカ大陸は彼らにとって宝の山でした。無尽蔵な森林資源、取っても取っても取り尽くせぬほどに思えるバッファローの群れ。そこには先住民族のアメリカ・インディアンたちがいました。しかし、ヨーロッパ人の目から見ると、彼らは野蛮で未開な人々に過ぎなかったのです。ヨーロッパ人はインディアンの人々を怠け者と決めつけました。なぜなら、彼らは自分たちが必要なもの以上のものを得ようとしなかったからです。自分たちの必要なもの以上のものを得て、その余剰物資を取引して利益を得るのが資本主義経済なのですから。

 現在、農業こそが環境破壊の一大原因といわれるようになりました。だからこそ、私は、自然に遠慮しながら、農業をしなければいけないと考えています。遠慮しながらといってもわかりにくいかもしれませんが、少なくとも、その土地を汚さない、そこの生態系を出来るだけ壊さないようにするということです。そのために、私は肥料も水も少量しか与えません。また、農薬・除草剤も可能な限り使わないのです。私はそこの環境を見、適作を考え、その土地自身の持っている力を損なわない農業のあり方を、その風土に合った農業のあり方を探っているのです。

経済至上主義のもたらしたもの
 日本も韓国も中国やインドや東南アジアの国々も、何らかの形でアメリカの農業に依存しています。
 しかし、アメリカは大規模な環境破壊をして農地を作ったために、天候が大変動して異常気象が起こり、降水量が激減したり、ハリケーンが頻発したりという被害が出ています。とくにここ数年は、高温、乾燥の年が続き、内陸部で砂漠化が進んでいるといいます。経済効率だけを考えた結果が、大きな環境被害をもたらした例だといえるでしょう。彼らはアメリカン・インディアンの知恵に学ばなければいけないと思います。

経済効率の罠
 流通に便利なもの、形がきれいでそろっていて、色もよく、腐りにくく傷みにくいもの。それが工業製品のように、同じ形、同じ大きさの野菜が店頭に並んできた原因です。生産者や消費者のことより、流通者の意図のほうが優先されたのです。生産者の立場に立って言えば、東南アジアの市場で見られるように、曲がったのや、でこぼこのや色の違ったキュウリもあるのです。決して真っ直ぐなキュウリばかりがなるわけではないのです。虫に食われていることさえあるのです。一方、消費者にとってみれば安全で美味しい野菜がいいのですが、安全性や美味しさより、見た目のよさや流通の利便性で別の品種が選ばれることになってしまっているのです。キュウリも緑色のつるんとしてとげもないキュウリより、スーヨー・キュウリという表面がでこぼこで粉をふいたみたいで、とげとげのいっぱいあるキュウリの方がみずみずしくて美味しいのです。でも折れやすい、とげで他のキュウリを傷つけてしまう、大型になりやすく、輸送に不便とすたれてしまいました。
 私たちの農業では美味しい野菜を作ることに力をいれています。そして、その野菜が美味しいわけをちゃんと消費者のみなさんにお伝えしています。 確かに手間がかかっているので、割高かもしれません。でもほんとうに美味しい野菜、本物の味をお届けしたいと思っているのです。つくる人、売る人、料理する人、食べる人のコミュニケーションができる、お互いに語りあうことができる関係でありたいと思うのです。

アジア的農業こそが地球を救う
 我々アジア人は、このメノミニー・インディアンに近い自然観を持っていて、出来るだけ自然を大切にしようとします。アメリカ型の大規模機械化農業に比べれば、アジアの農業は非効率的かもしれません。でも人手をかけ、少量多品種で質の高い作物をつくります。本物の野菜や果物を作る芸術農業といえるかもしれません。

野菜の食文化

美味しさの追求
 私が熊本の天草で農業を始めてから、最も心がけていることは美味しさの追求です。なんとか美味しい野菜や果物を作り出し、みなさんに味わっていただきたい、「本物の味」はこういうものなんだということをわかってもらいたい、そんな気持ちが私を農業に駆り立ててきました。野菜や果物が本来持っている味を引き出したい、蘇らせたい、という情熱です。

自然に遠慮しながらする農業
 私は遠慮しながら、出来るだけ環境を破壊しないように考えながら農業を続けています。そこに小肥料・小農薬・小灌水という考え方もあるのです。どこの世界に、自然の森に肥料を与える人がいるでしょうか、植物にとってもそのほうが自然なのです。ぎりぎりの世界で生きているからこそ、元気で生命力に満ちあふれているのです。私は、野菜や果物たちの生命力を最大限に発揮させ、本来の力のある味を蘇らせてやりたいと願っているのです。

スパルタ農法
 私の農法が「スパルタ農法」、「断食農法」と呼ばれるのは植物を甘やかさないからです。人間もそうですが、満腹だと怠け者になります。植物もたっぷりの水と肥料とを与えられるて育つと、まず根っこが十分に働かなくなります。私の作っている野菜や果物の根っこと、一般のものとを比べてみると明らかですが、一般のものは地上部の重さを支えるためだけに、太い直根が出て、美味しい作物になるための微量要素を吸収する細かい毛細根がありません。対して、私の農法のものは白くてふわふわの細かい根っこが地上近くにびっしりできます。また、地上部の茎・葉・花・果実あらゆるところにびっしりと産毛のような毛がはえています。これが、美味しさの秘密なのです。ぎりぎりの生育環境で養分や水分を十分に吸収するために、植物が持つ、本来の生命力を取り戻したのです。私はふわふわの毛細根を、愛情を込めて「うまい根」と呼んでいます。この根っこが出来ると、植物は窒素・リン酸・カリだけでも、微量要素を培地から取り込んで、充実した植物体となるのです。

原生地農法
 日本の多くの場所が雨が多すぎるのです。だから、私の農法のトマトはビニール・ハウスか、ガラスの温室で育てます。決して保温のためではありません。「雨よけ」のためです。さらに、水は一般栽培の百分の一ほどしか与えません。石ころ混じりの粘土を固め、まさしくアンデスの砂漠の状態を再現しているのです。さらに、高畝につくり、マルチフィルムで覆います。こうするとおもしろい現象が起こります。水はけはいいのに、マルチの下には毛細管現象で水が上がって来、地表面にわずかな水分を蓄えることになります。そうすると、トマトの根っこは地中深くではなく、地表近くにびっしりとふわふわの白い毛細根(うまい根)を出します。こうなったら、トマトの糖度は確実に上がります。今までの記録では最高糖度19度です。しかも甘いだけではではありません。酸味とのバランスもとてもいいのです。
 水も肥料も少なく、というのが私の農法の基本ですが、肥料は液肥を使います。なぜ、有機肥料ではなく、液肥なのかというと、薄めて使うことが出来るので、必要最低限の肥料を灌水と同時に行うことが可能だからです。

旬と完熟
 品種によっては、追熟(貯蔵)が必要なものもあります。例えば、カボチャの品種で雪化粧というのがありますが、完熟で収穫した後、通常2~3ヶ月貯蔵します。こうすると、果肉の中のデンプン質が糖質に変わり、砂糖を入れなくてもいいくらい甘いカボチャが冬至に提供できるのです。一般のカボチャだと腐ってしまう心配があり、そんな長期間の保存には耐えられません。これとて、なんとか冬至に本当に美味しいカボチャを食べて頂きたいという思いの結晶なのです。

色と香りと肉質
 私の農法の野菜や果物を手に取った人はまず、その重量にびっくりされます。次に包丁を入れてみていただければ、中身がジューシーなのに密度が濃く、締まっています。これも健康に育て、十分に時間をかけ、熟成させたおかげだと思います。一度食べていただければ、肥料と水をたっぷり使い、促成栽培した農薬まみれの野菜がいかにまずいかをお分かりいただけると思います。

健康野菜

甘さとビタミンC
 私たちが追求してきたの、野菜や果物の美味しさでした。でも、その追求の過程で、安全性までついてきたのです。
 私たちの作る野菜や果物の一番大きな特徴は、「甘い」ということです。ピーマンやニンジンにをそれまで嫌いで食べられなかった人が食べられるようになったというお話はよく聞きます。キュウリやオクラ、そしてリーフレタスなどの葉ものもよく甘いといわれます。特にキャベツはその糖分だけで発酵し、美味しいザワークラウトができます。トウモロコシが生で食べられます。これは新しい食べ方として、センセーショナルかもしれません。

トマトではビタミンCは一般の野菜の30倍以上ありました。
作物名     食品成分表 「永田農法」作物
ホウレンソウ  65mg    567.5mg
コマツナ    75     631.3
シュンギク   21     312.5
キャベツ    44     462.5
レタス     13     217.1
ブロッコリー  160     1296.5
トマト     20     687.5

アレルギーになりにくい
 例えば卵の場合ですが、私たちはベジタブル・エッグを生産しています。飼料を全て、植物性のものにしています。これは世界特許を取得しています。卵の研究をしているスウェーデンのダニエルソン教授ご夫妻から、卵アレルギーの原因になっているのは、鶏の餌になっている魚粉のせいであるということをお聞きしたからです。
 そして思いついたのが、お茶の葉の粉末を餌に混ぜることでした。結果は思いがけないものでした。お茶の中に含まれるカテキンやクロロフィルが脱臭効果と殺菌効果を発揮したのでしょう。糞の悪臭はすっかり消えました。また、卵の味そのものにも大きな変化が現れました。卵の黄身は弾力があり、生臭さが消えました。白身はすっきりとして、そして甘味が出ました。何より驚いたのは、今まで卵アレルギーだったという人たちが食べられるようになったことです。

香りがよい
 作物の色や香りがよいものは味もよく、ビタミンやアミノ酸成分も多いのです。つまり香りのよいものは味がよいだけでなく、栄養価が高く、健康によいのです。また香りがよいということは体の健康だけでなく、心の健康にもよいのです。

美味しい
 安全で、美味しいと感じるものを楽しく食べてこそ、体にも心にもよいのです。
 少量多品目、その土地の気候風土に合った作物を育て、体にあった美味しいものを作っていくのがこれからの農業の在るべき姿ではないでしょうか。

農業の安全性

除草剤
 健康に育った作物なら、多少の草には負けないのです。むしろ、ミカンの場合、ミカンの根と雑草の根がからまって、一種の共生状態にあります。事実、草が生えている方が水も肥料も少なくてすむのです。何が何でも雑草だからと引き抜いてしまうのではなく、自然の中で相性のよい組合せを探し、果樹と草は共生させてみたらと思っています。
 今、除草剤は公園や河川敷、校庭、家の周りなど私たちの身近なところで使われています。家庭菜園用にもたくさん売られており、毒性を意識しないまま使用されている恐れもあります。植物にとって毒であるだけでなく、私たち人間にとっても猛毒であることを改めて認識して頂ければと思います。

農薬
 私たちの農法では、農薬の使用は極端に減らしています。本当に美味しい野菜を作るのには必要ないからです。食べ物としてあくまで安全なものが美味しいのです。私たちの農法のミカンは皮ごと食べます。皮も美味しくて栄養があるからです。米は玄米で食べたり、糠も食べたりします。お茶やブロッコリーは丸ごと粉末にして飲みます。だから、ミカンやリンゴにワックスをかけたりしませんし、着色剤も防腐剤も一切使いません。殺虫剤も収穫期に残留していないように、期間を区切って使用しています。

 農薬は虫や植物だけでなく、周辺の動物たち、使っている農家の人たち、食べる消費者の方々の健康まで蝕みます。ただ作物が収穫できるようになる前の段階、つまり育苗期などにどうしても少量使うことが必要な場合があります。完全無農薬は理想ですが、農家の人の生活のことを考えると、100%使わないというのは大変なことです。そこで私たちは一定の基準を設け、使用する農薬を出来るだけ減らすように努めています。
 1 なるべく即効性があって残留性が少ないもの
 2 出荷するときに作物に一切残留しないように散布時期を限ること

肥料
 みなさんは肥料をたくさんやれば美味しい野菜や果物が出来ると誤解なさっていないでしょうか。昨今の有機農業ブームで特に有機肥料の多用が懸念されています。実は肥料が多すぎると作物が美味しくなくなるどころか、逆にまずくなった上、安全面でも問題があるのです。

 肥料は少ないほいうがいいといっても、私の言ってるように極端に減らすというのは農家の人にとっても不安なことでした。「こんなに少なくていいのか」とこっそり、肥料を多く与えたとします。すると植物は敏感に反応し、すぐにばれてしまいます。結果として味が落ちる、植物体が弱くなって虫がつきやすい、病気になりやすくなるといった症状が出ます。ぐっと我慢して、抑えるのが美味しくて健康な野菜や果物を作る秘訣なのです。とくに香りが違ってきます。

有機農業への疑問

有機農法・自然農法
 有機肥料は牛糞や鶏糞、あるいは豚の糞などの厩肥と植物性の堆肥などを混ぜて作られます。ところがこの原料自体が汚染されているのです。
 安全な厩肥を求めるのであれば、その餌を問題にしなければなりません。ところが、穀類や草の中に含まれる残留農薬や遺伝子操作農作物の混入、さらには本来その動物が食べない餌(牛骨粉など)を食べさせる。さらには投与された成長ホルモン剤などの残留薬物。これらはノーチェックで厩肥にされます。実は厩肥は産業廃棄物扱いでした。ところがこの有機肥料ブームでリサイクルと称して、これらの厩肥がもてはやされるようになったのです。
 農業残滓に含まれる農薬もノーチェックです。スギやヒノキのチップやオガクズが混ぜられる場合もあります。スギやヒノキに消臭効果があるため、牛糞や豚糞のの臭い消しに使われ、それがそのまま厩肥として有機肥料の原料になっているのです。結果、肥料は十分に発酵しません。完熟していない堆肥は土中でリグニンを生成し、根を傷める原因になります。また、落ち葉も大気汚染の進んだ場所で集めた落ち葉なら、排気ガスの残留物を心配しなければいけません。除草剤を使って枯らした草が集められて混ざっていたらどうでしょう。
 有機肥料は固形物が多く、残留するのでコントロールするのが難しいことを前もって意識しておく必要があります。有機肥料にしても化学肥料にしても、作物の必要最低限の肥料を与えることが一番大切なこと、環境を大切にすることだと思います。

焼畑農業
 単なる一時的なブームに乗るのではなく、自然にあった農業、その土地の風土に合った農業とはどういうものか、もう一度考えた上で、有機農法や自然農法といわれるものにとり組んで頂きたいと思います。

土と語る人々

老人大学「いなみ野学園」
 翌年、新入生が入ってきました。みんなびっくりしました。新入生より、先輩たちの方が若々しかったからです。園芸には若返りの効果もあったわけです。私はこのときの経験から、園芸の若返りの効果とともに、学ぶという行為はいくつになっても新しいことを知ろうとすることであり、生きることに積極的になれることだと確信しました。新しいものやことに対する好奇心も、人を若くしてくれるのではと思っています。人間いくつになっても仕事があるということも若さの秘訣であると思っています。

北海道の熊さん
 彼との出会いもトマト作りがきっかけです。彼は本当に研究熱心で、糖度が十度を超すようなトマトをあっという間に作って見せました。しかし、彼の飽くなき追求は続きます。
 彼のトマトはジュースに加工して出荷しています。しかし、糖度十二度ものトマトをジュースにするので、時には味が濃すぎてクレームが来るほどです。
 彼は肥料は自分で工夫して、完全発酵の堆肥を作り、液肥と組み合わせて使っています。水を控えて、糖度の高いトマトを作り、個人で一台三百万円もするような非破壊糖度計を購入して、出荷の際の商品管理もしっかりしているのです。

中野さんのトマトジュース
 最高のトマトジュースを作るためには完熟の見極めがとても大切です。少しでも早いと糖度が乗りませんし、過熟でも味が落ちます。トマトの熟す時期になれば毎日毎日、トマトと競争です。朝一回収穫しても、午後にはまた熟したものがあり、二回目の収穫をします。収穫、加工と、最盛期には睡眠時間が二時間になることもあります。
 確かにおいしいトマトジュースはできました。しかし、中野さんの農作業は並大抵のものではありません。永田農法では水を抑えて栽培しますから、管理が大変です。手はかけなくとも、目は細かくかけないといけないのです。水やりのタイミングが早すぎると、糖度が乗りません。一方、遅すぎると尻焼けになって、ひどい場合は枯れてしまいます。トマトの収穫のピークには朝四時半に起きて収穫、気温の高い日にはもう一度。そして加工と、ほんとに睡眠時間二、三時間で乗り切らなければならないのです。

広田さんのカボチャ
 雪化粧というカボチャはとても皮が堅いカボチャで、貯蔵して熟成させると糖度が高くなり、砂糖を入れないで煮てもいいくらいになります。それが流通の都合で、貯蔵しなければいけないという手間が嫌われ、出荷してすぐに店頭に並べて売ることのできる品種が中心になってしまいました。消費者の皆さんは、皮が緑色で中身がオレンジ色のカボチャがカボチャだと思い込むようになってしまったのです。でもこういったカボチャを冬至に食べてもちっとも美味しくありません。雪化粧は九月に収穫して冬至の頃に食べるのが一番美味しいのです。二~三ヶ月貯蔵した雪化粧は、デンプンが糖化し、糖度が二十度にもなります。

菜食主義の卵
 糞は自動的に除去されるようになっており、養鶏場の中でも臭くありません。ベジタブル・エッグとは菜食主義のニワトリの卵、つまり飼料に植物性飼料だけを使って育てたニワトリの卵のことです。これは世界特許になっています。今までの養鶏飼料には魚粉などの動物性飼料が使われていました。これが卵の生臭さの原因であり、また魚アレルギーの人が知らないで食べて、喘息などのアレルギー症状を起こすこともありました。そこで飼料をすべて、安全な植物性飼料に切り替えました。人間が食べても安全な、大豆や米ぬか、おからなどと野菜や穀物、それにお茶の粉末を混ぜたエサを作りました。お茶はビタミンCが豊富ですし、カテキンという成分には殺菌作用もあります。健康な鶏であってこそ、健康にいい卵を産めるのです。
 私はゆとりも、農家の人たちには必要だと思っています。他にもベジタブル・エッグを作っている、佐々木貞壽さんは、ジャズが趣味で、わざわざニューヨークまでジャズを聴きに行くほどです。宮崎県のミカン農家の田中さんはクラシックのファンです。意外とこういった気分転換が新しいアイデアを生み出してくれたりします。私はもっともっと農家の人が楽しみながら仕事ができるようになるといいなと思っています。

(評)
 副題に「永田農法の原点」とあるように、著者・永田照喜治氏の農法に対する考え方をまとめたような本であり、言わば永田農法の思想書である。著者の農業に対する考え方がよくわかるが、決して、技術書でないから、具体的な栽培方法について細かく触れているわけではない。
 後半部は、永田農法を実践する人々や永田農法で栽培した作物を販売する人々やそれで料理をする人々などの紹介となっている。

平成24年2月

サトイモ 23

20210519サトイモ(700t)
 4月7日に植えたサトイモの芽が地上に出てきました。
今年は規模縮小のため、サトイモは2列だけにしました。
左側にもう一列あるのですが、まだ芽が出てないものが多いようです。
親イモを種イモにしているのですが、大きな親イモの方が早く芽が出て、成長も速いような気がします。

サツマイモ 21

20210523サツマ1(850t)
 今日は梅雨の晴れ間となり、明日はまた雨が降る予報なので、
今日のうちに、サツマイモを植えることにしました。
5月19日に載せた写真の苗を、植えつけるために切り取りました。
20210523サトマ0(800t)
ホームセンターなどでサツマイモの苗を買うと、
根が出ていないため、発根を促すため数日間、茎の先端を水に浸けておくことがあります。
しかし、その必要もなく、早く植えてくれといわんばかりに根が出ています。

サツマイモのイモはこの根が出ているところにつきます。
というか、この根が肥大したものがサツマイモのイモです。
根は必ず葉が出ているところ、つまり葉柄の基部から出てきます。
ですから、地中に埋もれた葉柄の基部が多いほど、たくさんのイモがつきます。
イモの数が多くなれば一つのひとつのイモの大きさは小さくなります。
この品種は「安納イモ」で「安納イモ」は小さいイモを多く作りたいので、
葉の数を多くしました。
20210523サウマ2(750t)
30㎝ごとに黒マルチに切れ目を入れて、
その切れ目に太い棒を斜め下に強く押し込んで穴をあけた後、
穴に苗を差し込んでいきます。
植えつけて30分もたたないうちに葉が萎れて干からびそうになっています。
20210523サツマ3(700t)
今日は梅雨の晴れ間ですが、気温は何と30℃まで上がっています。
このままにしておけば、根付く前に干からびてしまうので、策を講じました。
畑に植えているライ麦を刈り倒して、黒マルチの上にふとんをかけるように重ねました。

キャベツ 49

20210519キャベツ(700t)
 2月4日に播種したグリーンボールが収穫時期を迎えています。
2列あるうち、定植時期が早かった1列目はほぼ収穫が終わり、今日から2列目の出荷を始めました。
20210522(700t).jpg
20メートルの防虫ネットが届かない場所にも、対照実験として、余った苗を植えておきました。
毎年やっているのですが、毎年だいたい苗の時期に被害にあって結球に至らないことが多いです。
しかし、今年は珍しく春先に虫の害が少なく、結球したものがいくつかありました。

結球まではこぎ着けても、この時期になればアオムシの天国で、外葉はほぼ食べつくされ、無残な姿となっています。

きままに投資 32

投資
新第5ラウンド 経過報告その2

「JR九州」を損切りしました。
「JR九州」は購入後マイナス圏に沈んだものの、その後プラス圏に浮上してきたので期待が膨らんでいたのですが、一昨日、昨日と続落して、再びマイナス圏に沈みました。
そこで、さらなる下落が続くようであれば自動的に売却できるようにと、
昨夜のうちに、逆指値で注文を出しておいたら、
本日の株式市場開始早々、あっさりと指定した価格を割りこんで、注文が確定してしまいました。
210521JR九州
上向きの矢印で示したところが株を購入した5月6日で、下向きの矢印が本日の午前11時頃のチャートです。

今回は特に売買のタイミングをはかる練習をしているのですが、
振り返ってみると、売りのベストなタイミングは昨日で、今日では少し遅すぎたかな、という気がします。

さらに、買いのタイミングが遅すぎますね。
買いのベストなタイミングは今から見ると、4月22日か23日だったことがわかります。
もし、この時買っていれば、今日売っても利益が出ていたことになります。
ま、後では何とでも言えますが、このような反省をすることが次のステップにつながればいいと思います。

今日の段階での“新第5ラウンド”の損益額をまとめてみます。
銘柄、(今日の株価 ー 購入時の株価((購入日))×株数 = 損益額 の順に書きます。

大豊工業   (951(5月12日) - 1015(5月10日)×200株 = -12,800円(確定)
九州旅客鉄道 (2,417 - 2,500(5月6日)×100株 = -8,300円(確定)
東京電力HD (345 - 325(5月6日)×600株 = 12,000円
愛三工業   (797 - 783(5月10日)×300株 = 4200円

損益額の合計は-4,900円 となりました。
このラウンドがプラス圏で終わることができるかどうか、怪しい状況になってきました。

(このカテゴリの記事は、株をやったことのない人や株は何となく恐いと思っている人や株を始めたばかりの初心者の参考になることを目指しています)




本122  藤原俊六郎「堆肥のつくり方・使い方」

藤原俊六郎「堆肥のつくり方・使い方」原理から実際まで
農文協(2003年刊)
堆肥のつくり方・使い方
藤原俊六郎
昭和22年岡山県倉敷市生まれ。
昭和45年島根大学農学部農芸化学科卒。
神奈川県農業総合研究所、神奈川県園芸試験場、神奈川県農政部農業技術課など。

パート1 堆肥利用の基礎=堆肥はなぜ必要か

第1章 堆肥とは

1 堆肥とは何か
  かつては、ワラ、落ち葉、野草などを堆積し分解させたものを「堆肥」、家畜ふん尿を主原料とするものを「きゅう肥」農業系以外の有機系廃棄物を堆積発酵したものを「コンポスト」、全てを総称する「有機物」と区分することもあった。しかし、現在ではいろいろな有機物資材が原料として用いられるようになる、しかも、単独原料だけで堆肥化することは少なく、家畜ふんにワラやオガクズを混合するなど、複数の原料で堆肥化することが多くなっている。このため、特に区分せず「堆肥」とよぶことが適切といえる。そして、単独原料では「牛ふん堆肥」、複合原料による堆肥は、「オガクズ混合牛ふん堆肥」のように表現することが主流になっている。

2 堆肥と肥料との違い
  堆肥は作物が育つ土壌環境を改善する役割があるのに対し、肥料は作物が育つのに必要な養分を供給する役割(肥料効果)がある。
 また、堆肥が肥料と大きく違うのは、効果が徐々に現れるとともに、連年施用することによってその効果が累積していくことである。堆肥を連用すると、分解されにくい有機物が土壌中に蓄積され、土壌有機物となって長期的な養分供給力がしだいに高まる。この効果は肥料には見られない。

3 堆肥と有機肥料の違い
  有機肥料は原料を乾燥したり蒸したりして製造し、微生物が関与していないので、微生物が分解しやすい有機物を多量に含んでいる。そのため、土壌施用後に微生物が急増し肥料効果が出やすい。
 しかし、微生物活動によってつくられた堆肥は、分解しやすい有機物のほとんどが堆肥のできる過程で分解しており、残りが土壌中でゆっくり分解する。そのため肥料効果が出にくい半面、効果は持続する。

4 有機肥料と化学肥料の違い
  有機肥料は魚カス、骨粉、植物油のカスなど、動植物に由来する有機物を原料としたもので、肥料成分が高いものをいう。動物性のものはリン酸が多くカリが少なく、植物性のものはリン酸が少なくカリの多い傾向があるため、数種の肥料を混合して使うことが大切になる。有機肥料は、窒素、リン酸、カリ以外に微量要素も含んでいるため、作物栽培には適した肥料だが、化学肥料に比べると肥料成分が少ないので多量に施用する必要があり、作業が大変になる。また、有機物であるため、微生物が急激に活動すると、根傷みやタネバエなど虫害の原因になることがあるので、作物を植える二週間以上前に施用し、土壌と混合するなどの注意が必要である。
 化学肥料は、作物に必要な肥料成分だけをつくっているため、成分含量が高く、有機肥料の数倍以上含まれており、使用量は少なくてすみ作業が楽である。

5 なぜ堆肥にするのか
  あらかじめ微生物によって、分解しやすい有機物や作物生理に有害な物質を分解しておくことが、堆肥化の大きな目的である。堆肥化による発熱によって70~80℃程度まで温度を上げることができれば、乾燥した扱いやすい堆肥ができるだけでなく病原菌や寄生虫の卵、雑草種子などを死滅させることができ、安心して使える農業資材に変えることができる。

6 堆肥に必要な四つの条件
① 作物に障害がないこと
  有機酸やフェノール性酸などの有害な成分や雑草 の種子も含んでいてはいけない。
② 環境に有害でないこと
  有害な重金属や病原菌を含んでいないこと。
③ 製品が安定していること
④ 取り扱いやすいこと
  有機物を農耕地に散布する場合は、10アール当 たり一トン以上の大量の散布を必要とするため、取 り扱いやすく作業が効率的に行えることが大切。

7 ボカシ肥と堆肥の違いは
  堆肥はアルカリ条件下で好気的に温度を高めて分解させるため、窒素がアンモニアとなって揮散する。これに対し、有機物を土と混ぜ低温でゆっくり熟成させ、肥料成分の揮散を防いでつくったのがボカシ肥である。
 ボカシ肥は油カスや魚粉などの有機肥料を直接施用するとタネバエや野ネズミの被害が出るが、この害をなくすことをねらって、有機肥料をあらかじめ好気的に短期間分解したことから始まったもので、肥料の効きを「ぼかした肥料」の意味である。

第2章 堆肥の効果とは何か

1 堆肥をなぜ使うのか
  肥料がなければ作物は育たないが、堆肥を使わなくても作物は栽培できる。しかし、堆肥を全く使わないで作物を栽培していると、年々作物がつくりにくくなってくるが、毎年堆肥を施用している農地では生産が安定してくる。堆肥の効果としては増収、品質向上、安定生産の三つがあげられる。

増収効果>
 窒素、リン酸、カリだけでなく、微量要素の適性供給にも効果がある。堆肥から出るホルモン用物質による生育促進効果もあるといわれている。
<品質向上>
 作物は根から養分吸収を行うため、根に供給される肥料成分や水が適切であれば、品質は向上する。堆肥の養分保持力による適切な養分供給とともに、団粒化を促進して土壌を膨軟にすることによって、作物への過剰な水分供給が防げる。
<安定生産>
 連作障害は土壌中に存在する有害微生物によることが多く、生産安定のためには堆肥による土壌生物性の改良が重要な要因といえる。

2 団粒をつくり物理性を改善する

3 リン酸の活性化など化学性の改善
  日本に広く分布する火山灰土壌や酸性土壌には活性アルミニウムが多く含まれており、施肥したリン酸が土壌に強く吸着されて、作物が吸収できなくなることがある。堆肥を施用することによって、腐植酸、有機酸、各種糖類などがキレート作用(有機化合物と金属イオンが結合する化学反応)によって活性アルミニウムと結合し、リン酸を離す。そのため、堆肥の施用により、土壌のリン酸吸収係数が低下し、作物に吸収されやすい可吸態リン酸が増加する。

4 多様な土壌微生物をふやし生物性を改善
  堆肥を施用すると、それをエサに土壌中の微生物が増殖し、施用した堆肥だけでなく、それまでに土壌中に蓄積されていた有機物の分解も促進される。これはプライミング効果(起爆効果)と呼ばれ、分解により窒素をはじめ多くの養分が放出される。

5 堆肥に期待されている作物品質の向上
  農作物の品質には、外観、日持ち、食味、内容成分などがあるが、とりわけ、日持ちと食味の向上が期待されている。その理由は、食味に関係が深い糖は、窒素肥料と水が少ない条件で蓄積する傾向にあるが、窒素肥料が多いとタンパク質が合成される回路がはたらくために、糖成分が減って味や貯蔵性が低下する。化学肥料では急に効くので糖が減少しやすい傾向があるのに対して、堆肥は土壌中で分解して徐々に窒素を放出するので、食味が向上すると考えられている。

6 堆肥による病害虫の抑止効果
 このように、堆肥の持つ効果はあいまいであり、生物的緩衝作用に対する堆肥施用の有効性を過信することは危険である。土壌病害の抑制を期待して堆肥を多量に施用するよりも、むしろ腐熟した良質を適切に施用することによって土壌の化学性・物理性を改善し、作物の土壌病害に対する抵抗性を高めることを考えた方が無難といえよう。

7 堆肥施用の環境への影響
 堆肥に含まれる窒素成分は何年も分解が継続するので、土壌中に蓄積した有機物が多いと、地下水の硝酸汚染の原因になることがある。

8 堆肥と肥料の使い分け
(1) 堆肥と肥料は相互に補い合うように使う
  堆肥の効果は緩効的なため、堆肥だけでは作物の初期生育が不良になることがあるので、速効性の化学肥料を併用するなどして、作物に必要な養分を適切に与える必要がある。
(2) 堆肥の肥料成分量も組み込んだ利用が大切
  安全を見込めば、堆肥による基肥窒素の代替率は30%をめやすとする。それは、堆肥中の窒素の肥効が温度(地温)に左右されるため、代替率が高いと肥効が不安定になりやすいからである。しかし、作物によっては100%代替の可能なものもある。また、窒素以外の肥料成分(リン酸、カリ、石灰、苦土)については、作物に対する影響が窒素ほど大きくないため、100%代替しても大丈夫である。

9 未熟堆肥はなぜ悪いか
  未熟堆肥による障害は、土壌施用後1~2週間目が著しいので、一ヶ月以上経過してから栽培すれば問題はなくなる。また障害物質は好気条件で分解されるため、未熟有機物は深く施用せず、浅めに施用するかマルチ施用するとよい。
(1) 過剰な窒素が環境汚染の原因に
 未熟な堆肥を多量に施用すると、土壌中で急激に分解されて無機態窒素(特にアンモニア態窒素)の濃度が高まり、作物根が濃度障害を起こすことがある。また、土壌中の窒素濃度が高まれば、作物体中の硝酸態窒素の含有率が高くなる。
 アンモニウムイオンは陽イオンであるため土壌によって保持されるが、硝酸イオンは陰イオンであるため土壌に保持されず、雨水によって容易に洗い流される。つまり、肥料でも堆肥でも過剰に施用すれば、環境汚染の原因になるのである。
(2) 窒素飢餓による生育不良
 オガクズなどを大量に混入した炭素率の高い堆肥を施用すると、窒素飢餓になることがある。これは、堆肥の分解のために増殖した微生物が、その菌体成分を合成するために、堆肥から分解されて出てくる窒素だけでなく、土壌中の窒素も取り込んでしまい、作物が吸収できる窒素が不足するため、生育不良を起こす現象である。
(3) 生育阻害物質が含まれている
 堆肥化が適切に行われないで嫌気発酵した場合、有機酸や低級脂肪酸が多量に生成される。この結果、作物の生育が阻害される。
(4) 土壌の異常還元で根腐れや生育不良に
 易分解性有機物が土壌中に大量に入ると、微生物が急激に増殖し、土壌中の酸素を消費して土壌が極度の還元状態になることがある。特に排水の不良な粘土質土壌ではこの傾向が顕著で、作物は根腐れをおこしやすくなる。
(5) 無機成分の過剰やバランスの悪化
 家畜ふん堆肥は無機成分を豊富に含むが、その構成比は作物が吸収する無機成分の構成比とは必ずしも一致しない。このため多量施用を繰り返すと、土壌中の無機成分のバランスが悪化したり、塩類集積を引き起こす。
(6) 土壌の物理性悪化にもつながる
 水分の多い未熟堆肥を多量に施用した畑で、トラクターなどの大型機械を運行させると、土壌の圧密化が促進され,通気や排水が不良になる。

10 堆肥にすると窒素は効かなくなる?
 堆肥化により分解されやすいものは分解され腐植のような分解しにくいものが残っているため、窒素は効きにくくなるが、そのために、堆肥を多量に土の中に入れても、急激に窒素を放出することはない。

パート2 堆肥作りの基礎と実際

第3章 知っておきたい堆肥と微生物の働き

1 堆肥は「発酵」それとも「分解」?
  堆肥化には、一部には嫌気性菌も働くが、大部分が好気性菌の働きで、有機物を二酸化炭素と水に分解しながら進んでいく。嫌気的な条件で堆肥作りをすると、黄色がかった色になり悪臭が発生し「腐敗」状態になる。このため、厳密には堆肥作りに「発酵」を用いるのは好ましくなく、「分解」を用いるのが正しいが、ここでは慣例通り堆肥化は「発酵」とする。
 堆肥が発酵しないで腐敗しやすくなるのは、空気が十分に供給されないときである。含水率が高いとき、積み込みが強くてすき間がなく空気が入り込みにくいときに起こりやすく、空気さえ十分に供給できれば、好気性菌の力が強いので好気発酵になる。

2 堆肥をつくる微生物の働き
(1) 第一段階=タンパク質や低分子の糖類を分解
 デンプンは、糸状菌や細菌の中でも特殊な種類の働きによって、最後にはグルコースに変わり、他の微生物によって分解される。
(2) 第二段階=セルロースやヘミセルロースを分解
 ヘミセルロースはペクチン様の物質であり、多くの微生物が分解することができる。セルロースは、好気性細菌や糸状菌によって分解される。
(3) 第三段階=リグニンを分解
 リグニンは難分解物質とされている。リグニンの分解は、糸状菌や担子菌などのやや大型の微生物が行う。 リグニン分解が起こる頃になると,堆肥は黒褐色の良好な状態となり、堆肥の表面に担子菌が、堆肥の中にはミミズが生息するようになり、この状態を完熟という。

3 微生物の働く条件を整える
(1) 適した水分率は50~60%
 水分が多いと酸素の供給不足から嫌気状態になるため、嫌気発酵が行われる。
 微生物の活動には、すき間を確保して空気との接触率を高めることが必要である。
(2) 炭素率(C/N比)20~30が最適
 炭素率が高いときは家畜ふんや米ぬかなど窒素成分の多い原料を混合し、炭素率が低いときは木質やモミガラのように炭素の多い原料を混合しなければならない。
 堆肥化が進むと炭素率は低下する。完成した堆肥として適した炭素率は15~20程度である。
(3) 十分な酸素の供給は不可欠
 堆肥原料の通気性を改善し、かくはん・切り返し、あるいは強制通気によって、十分な酸素を供給することが必要である。
 酸素が不足した状態で放置されると、堆積した内部は嫌気的となり、嫌気性微生物の働きによって有機酸などの生育阻害物質や、硫黄化合物や揮発性脂肪酸などの悪臭物質が多量に生成され、そのままでは堆肥化はすすまなくなる。
 しかし、過剰に空気が供給されると、冷却され十分な蓄熱ができないため、堆肥の温度が上昇しなくなり、発酵が進まなくなる。
(4) pHが7~8で微生物活性が最大に
 堆肥化過程でアンモニアが発生するため堆肥化はアルカリ性の状態で行われる。pHは7~8程度の弱アルカリ性で活性が最大になる。pHは微生物活性に大きく影響するが、堆肥化過程でpHを積極的に制御することはあまり行われない。
(5) 発熱は70℃程度が目標
 発熱を利用して水分の蒸散と病原菌、寄生虫の卵、雑草の種子などを死滅させるため、70℃程度の発熱は必要である。
 外部から熱を加えてやれば、堆肥化が促進されると誤解されることがある。しかし、堆肥が高温になるのは微生物活動の結果であって、水分や酸素など他の条件が整っていれば、強制的に熱を加える必要はない。加熱は、過剰な水分を除去するだけの効果しか期待できないと考えた方がよい。
(6) 多様な微生物を増やす
 堆肥化促進をうたった数多くの微生物資材が販売されているが、このような資材の利用よりも、完成した堆肥を種菌として混合する方法の法が確実性が高いといえる。
(7) 原料と目標に合わせた時間が必要
 ある種の装置を用いれば、数日で堆肥が完了するという話を聞くこともあるが、これはごく初期の発酵と乾燥によって取り扱い性をよくする程度のものであって、作物や土壌環境にとって安全な、いわゆる完熟堆肥になることはない。

第4章 堆肥作りの実際


1 原料の選び方と組合せ方 - 主原料と副原料
(1) 原料は炭素率と水分含量で判断
(2) 副原料と組み合わせて調節する
(3) 副原料の第一条件は通気性の向上

2 水分と炭素率の調整方法
(1) 副原料による調節
(2) 化学肥料や戻し堆肥による調節

3 堆積方法と切り返しのポイント
(1) 場所の選び方と堆積規模、堆積方法
 堆積場所は、しぼり水が排水できるよう工夫された場所が適している。簡易には数㎝盛り土するか、コンクリート製の堆肥盤をつくればよい。スノコのようなものが最高である。
 堆積規模は5~6立方メートルとする(2x2.5x1.2=6, 2x2.2x1.2=5.28)。これ以上の規模で堆積するときは強制通気をするか麦わらやカヤのような孔隙の多い資材を用い、空気の流通をよくする必要がある。
 微生物の活動には、30~40℃がもっとも適している。このため、冬期に積み込むと、初期の微生物活性が低くなる。
 一定の木枠をつくって、それを利用しながら堆積すると堆肥の容量がわかるので便利である。
 微生物は紫外線に弱いので、直射日光に当たらない工夫をすることも大切である。屋根付きの堆肥舎が望ましいが、屋外のときはシートやムシロで覆うとよい。
(2) 均一な発酵に欠かせないかくはん・切り返し
 かくはん・切り返しの要点は、堆積物を混合して均一化をはかることと、積み替えて膨軟化をはかることである。また、かくはん・切り返しによって、堆積場所を移動することもできる。
 回数は、稲わら堆肥やきゅう肥では2~3回でよいが、オガクズのような難分解性の原料を含むときは、堆積初期には、月二回、中期以後は月一回は必要である。もっと効果的に行うには最初の一ヶ月間は週一回、その後は月に一回程度行うのがよい。
 発酵温度は70℃程度がよく、堆積規模と切り返しによって温度管理することができる。温度を上げるには、できるだけ表面積を少なくする形(円筒形)がよい。

4 稲わらや青草の積み肥の作り方
(1) 原料と堆積場所
 原料は、稲わらや青草類を用いる。稲わらや青草類だけでもよいが、ふつうは家畜ふん尿を窒素源として混合する。青草を使うときは、刈り取り後数日乾燥させてから用いる。また、刈り取りは種子ができる前に行う。
① 仮積み
  まず稲わらを敷き、その上に稲わらと容積で等量程度の糞尿を混ぜて積み込む。これを仮積みといい、切り返しをしないで一ヶ月ほど堆積しておく。
② 本積み
  本積みにあたって土台(堆肥盤)をつくる。土台は土を20㎝ほど盛ることもあるし、丸太または竹を敷き詰めるた水切り台をつくることもある。
 その上に稲わらを30㎝ほど積む。その上に仮積み物と家畜ふん尿を混合して30㎝ほど堆積し、さらに稲わらを30㎝ほど積む。このように、稲わらと家畜ふん尿混合物を交互に積み、約1.5~1.8mの高さに堆積する。
③ 切り返し
   堆積後一週間以内に発熱する。発熱が80℃を超えると窒素の揮散が著しくなるので、適当に水をかけ、60~70℃に保つ。一ヶ月目に切り返しを行うが、内部の物を外部に、外部の物を内部にし、均一になるようにする。その後すぐに発熱するが、数週間ほどで温度が下がり、3~4ヶ月後に完熟したものができる。この間、一~二回切り返しを行う。

5 促成堆肥の作り方

(1) 原料と堆積場所
(2) 堆肥の作り方
 ①仮積み
 ②本積み
 ③切り返し

6 家畜ふん堆肥の作り方  かつてはきゅう肥と呼ばれていた

7 連続堆肥化法(戻し堆肥化法)

8 剪定くず堆肥の作り方

9 食品カス堆肥の作り方

パート3 堆肥施用の基礎と実際

第5章 効果の現れ方と使い方の基礎

1 土の中での堆肥の分解 -堆肥を分解する微生物
(1) タンパク質や低分子の糖から分解される
(2) 最後には腐植が残り団粒構造をつくる
  堆肥にはセルロースやリグニンが多く含まれているため、この分解が数年にわたって継続する。堆肥の効果が比較的長く続くのは、この分解がゆるやかに長期間にわたって行われるためである。最後には、分解しにくいリグニンがタンパク質などと結合し、複雑な構造を持った腐植に変化する。腐植は微生物がほとんど分解できないため、土壌中に蓄積して粘土粒子と結合して団粒構造をつくる。
 堆肥化の過程で、微生物によって比較的分解しやすい物質があらかじめ分解されているため、生の有機物を土壌中にすきこむよりも、ゆるやかな分解が長期間続く。堆肥化は、あらかじめ有害物を分解除去するとともに、土壌中で効果を長持ちさせるための工夫だともいえる。
(3) 分解は好気性菌によって行われる
  畑地では十分な酸素が供給されるため問題はないが、水を張った水田では有機物の急激な分解が起こると、微生物が急速に増殖することによって酸素を消費し、土壌が嫌気状態になる。この結果、根腐れを起こすため、植えつけ直前に未熟堆肥を施用してはならない。また、畑地においても浅めに施用すると分解が速い。

2 肥料効果はどう現れるか
(1) 微生物に分解されて肥料効果を発揮=無機化
  堆肥に含まれる肥料成分のうち、カリは無機態で存在しているため、堆肥に含まれる量のほとんどが作物に利用できる。これに対し、窒素とリン酸は有機化合物に組み込まれた有機態のものが多く、そのままでは利用できない。土の中で微生物によって分解されて無機態になり、はじめて肥料効果を発揮する。
 土壌中で堆肥を分解する微生物は、堆肥に含まれる炭素の三分の二を呼吸で消費し、残り三分の一で自分の体をつくる。また微生物の体の炭素率(C/N比)は6.7程度である。かりに炭素率20の堆肥を使用したとすると、窒素1に対し炭素が20あったものが、微生物分解後は窒素1に対し炭素が6.7になるのである。この間に13.3の炭素が二酸化炭素として失われたことによる。
 そのため、炭素率が20以上で炭素が過剰な堆肥が土壌中の分解を受けると、炭素に対して窒素が少ないため、微生物は不足分を土壌中に存在する無機窒素を吸収して補う。これを窒素の有機化といい、結果として作物の吸収できる窒素が不足し、作物は窒素不足で生育不良になる。
 逆に、炭素率が20以下であれば、微生物が必要とする炭素に比べて窒素が余分にあるので、微生物は余分な窒素をアンモニアとして体外に放出する。これを窒素の無機化といい、作物が吸収できる窒素が増えることになる。
(2) 炭素率が小さいほど無機化率は高い
(3) 牛ふん窒素の無機化には数年かかる
  家畜ふんに含まれる窒素には分解しやすいものと分解しにくいものがある。鶏糞では大部分の窒素が一年で分解して無機化するが、牛ふんでは半分の量が蓄積する。それを毎年施用すれば、鶏糞では三年目、牛ふんでは10年目に、施用した窒素量のほぼ100%に相当する量が無機化されることになる。
 これは牛ふんの場合であり、堆肥にするともっと一年に分解する量が少なくなり蓄積量が増加する。

3 有効成分量から見た堆肥の施用量
  堆肥や有機物の施用で重要なことは、含まれている成分量をあらかじめ知った上で、肥料の施用量を加減することである。たとえば、有効成分量をみると豚ぷん堆肥や鶏糞堆肥では、一トン当たり窒素、リン酸、カリがいずれも10キロ以上あり、作物によっては基肥が不要であることがわかる。また、鶏糞堆肥では一トン中に石灰が127キロ含まれるので、あらかじめ土壌のpHを知った上で堆肥や有機物の施用量を決めることが必要である。

4 季節による違い
  微生物によって最適温度は違うが、一般に土壌微生物の活性が最大になるのは、30~35℃である。このため、夏作に比べ冬作では堆肥の分解がゆっくりであり、窒素成分の発生量が少ない。

5 土壌条件と施用法
  微生物の活性は温度だけでなく、土壌水分含量やpH、土壌の種類によって異なるため、堆肥の分解力もちがってくる。

6 使用目的にあった堆肥を使う
(1) 肥料成分の供給に適した堆肥
(2) 物理性改善に適した堆肥
(3) 生物性改善に適した堆肥

第6章 堆肥施用量の決め方

1 堆肥施用量の決め方 -完熟堆肥の使い方

2 使用方法と効果のねらい

(評)
 堆肥の教科書である。パート1では堆肥の定義に始まって、堆肥と肥料の違い、ボカシ肥と堆肥の違いなどがわかりやすく説明されている。
 パート2は堆肥のつくり方で、パート3は堆肥の施用の仕方となっていて、堆肥に関するほぼ全てのことがこの本でわかる。
 堆肥自体がその成分はアバウトであり、作物ごとに組み合わせる肥料成分の計算をするとなると、相当マメな人でも混乱するに違いない。そのようなことも可能であると知った上で、やはり、堆肥の利用は腐植と微生物による畑の化学性、物理性、生物性の改善を主眼とし、ある程度のアバウトな見込みで、肥料過多にならないことを注意しながら施用することが大切であることがよくわかる。

平成24年2月

サツマイモ 20

20210519サツマ苗(650t)
 サツマイモの苗がいつ植えてもいいくらいに育ってきました。
サツマイモを植えるための畝を準備しておかなければなりません。
今年は平年より3週間も早く梅雨入りして、雨続きのこの頃です。
今日は雨が降らなかったので、このスキを縫って畝を立てました。
20210519サツマウネ(650t)
規模縮小のため、12メートルの畝1列だけにしました。
畑の西の端で前作にネギを植えていたところです。
たがやし君の畝立て機能で土をかき分けて畝を立てた後、黒マルチを張りました。

これでいつでもサツマイモを植えることができますが、ここ数日は無理そうです。
明日は終日雨という予報が出ていますし、
貴重な梅雨の晴れ間は、やるべきことが多くて、優先順位の高いものから片付けていかなくてはならないからです。

アスパラガス 14

20210512アスパラガス(600)
 昨年の6月1日号に載せた写真と似たような状況です。
昨年とは写真を撮った方向が逆ですが、支柱が立っているところに生育している株があります。

一列だけが多く生き残っていて、残りの2列は年々衰えて、数えるほどになってきました。
生き残っているのが多い列は紫色の品種ですが、この品種のほうが抵抗性が強いのでしょうか。
今後も見守っていこうと思います。

ビワ 6

20210512ビワ(600)
 昨年は袋がけ用の袋を1パック買いました。
1パック50枚入っていて、全体の四分の三くらいの実に袋をかけることができました。
今年は1パックでは足りないと思い、最初から2パック購入して袋かけををしたら、足りなくてもう1パック買い足しました。
ところが、それでも足りなくなって、もう1パック買うはめになりました。
それでも、全体の四分の一くらいは裸のままの実が残りました。

昨年と比べて、数の増え方にビックリしましたが、立体ですから成長した長さの三乗倍に増えると考えたら、さほど不思議なことではないな、と妙に納得してしまいました。

オレンジ色になっている実がかあったので食べてみたら、もう十分に甘味がのっていました。
あと数日したら、大量のビワがとれそうです。

一房、三個か四個に摘果しましたが、数が多くなったためか、ビワ一個の大きさは昨年とあまり変わらない感じです。
これなら、来年からは一房に三個以内に摘果して、ひとつひとつの実を大きくした方がよさそうです。

本121 成澤才彦「エンドファイトの働きと使い方」

成澤才彦 作物を守る共生微生物「エンドファイトの働きと使い方」
農文協(2011年刊)
エンドファイトの働きと使い方
成澤才彦
東京都生まれ。
1993年筑波大学農学研究科農林学専攻博士課程修了
現在茨城大学農学部准教授

はじめに
 春や秋の心地よい気候は、微生物たちも大好きなようである。そこで、作物の栽培に役に立つ微生物を求め、私たちは採集に出かける。大学を出て少しすると、春には見事なスイカのトンネル栽培、秋には見渡すかぎりのハクサイ畑などが広がる光景に出会う。ほのぼのとした風景で心が和むが、畑を見ると奇妙なことに気がつく。栽培されている作物以外の植物、いわゆる雑草は、ほとんど見かけないのである。そして、チョウやテントウムシなどの昆虫類もめったに見つけることができない。さらに冬には、このような畑には全く作物が育っておらず、きれいに整地されていて砂埃をあげている。
 研究を始めた頃には、このような畑からも微生物採集を行ったが、今までに、いわゆる有用な微生物は全く獲得できていない。なぜなら、このように広い面積に限られた種類の作物を栽培する農地は、自然生態系に比べ極めて特殊な環境にあることが影響している。微生物や昆虫の多くは作物に好き嫌いがある。このため同じ作物の栽培を続けると、特定の生物だけが増えて、生態系のバランスが崩れてしまうのである。今までの経験から、バランスが崩れた農地から有用な微生物を見つけることは困難だと感じている。
 現在、農薬や化学肥料を使用しない有機農法、さらに除草もしない自然農法が見直されている。このような生態系のバランスが維持されている環境では、たとえ病害虫が発生しても作物は大きなダメージを受けない。このような生態系のバランスが保たれた環境で生育している植物を調べてみると、多種多様な微生物との関係を作っている。最近、有機農法を行っている水田土壌の微生物の生態を調査したところ、同じ水田内でも、イネ科以外の植物の種類が多い地点ほど、微生物の種類も多い傾向にあることを確認した。このような環境からは、有用な微生物も分離されている。
 本書を読み進めることで、微生物共生系の世界に気づき、今まで常識と考えられていた植物の育て方を考え直すきっかけとなれば幸いである。エンドファイトの有効利用は、これからわれわれが向かうべき、作物生産の一方向であると信じている。

Part1 エンドファイトを知ろう

1 エンドファイトとは
 エンドファイトは endo(=within) と phyte(=plant) からなる呼称で、内生菌をさすが、細菌類や菌類などの微生物はもちろんのこと、広義にはヤドリギに代表される寄生植物まで含まれる。

本書で扱う根部エンドファイト=DSEとは
 DSEは、森林土壌、およびそこに自生している植物根部に生息している菌類の総称である。培地上で暗色の分生子や菌糸など(Dark)から構成されるコロニーを形成し、比較的生育が遅いのが特徴である。菌糸に隔壁(septa)があるので、子囊菌または担子菌に属している。
 最近、筆者らの研究グループにより、DSE種がアブラナ科植物と窒素および炭素の物質交換を伴う相利共生関係にあることが世界で始めて証明された。

エンドファイトはどこに、どれくらいいるのか
 森林土壌1gには現在の地球上の人口と同じくらいの数、50億か60億くらいいる。
 森林は有用微生物の宝庫であり、エンドファイトも数多く生活している。残念ながら通常の栽培をしている畑では、森林ほど微生物の種類も数も多くはない。植物種が多様になるほど微生物も多様になる。
 菌類の中でエンドファイトがいる割合は、亜高山帯などで土壌肥料成分が少ないとか気温が低いなど、植物に大きなストレスのかかる環境で、約3.0%であった。次に南西地域の森林で約1.5%、有機栽培を含む畑土壌では約0.3%だった。

エンドファイトと植物病原菌
 病原性や寄生性でエンドファイトであるかどうかを決めることはできない。広い意味では、病原菌も立派なエンドファイトである。しかし、病原菌に関する研究は盛んに行われており、そのため情報は数多くある。そこで本書では、いわゆる病原菌を除いた狭義のエンドファイトを扱うことにする。

根粒菌や菌根菌もエンドファイトだが
 菌根菌は特別な生き物ではなく、水中、砂漠、熱帯多雨林から高緯度地方に至る世界中の地域において豊富に存在し、植物と共生している。特に低温、貧栄養、乾燥など、植物にとって環境条件が悪い場所においては、ほとんどの植物が菌根菌と共生しており、植物は共生関係なしでは生育できないとまで考えられている。 マツやブルーベリー、そしてランに至るまで「植物」と思っていた生物はじつは「植物と菌類の共生体」だったのである。

絶妙!植物根とエンドファイトの相互作用
 エンドファイトは土壌中の窒素源を吸収してハクサイに供給することが明らかとなり、特に硝酸態窒素よりアミノ酸が効率的に植物へ供給されている。窒素供給の詳細なメカニズムは不明であるが、エリコイド菌類や外生菌根などで知られる有機態窒素の吸収促進と同様な機能があると推察している。
 一方、エンドファイトはハクサイに窒素源を供給する代わりに、炭素源をハクサイから獲得している。土壌中の糖類濃度が低く炭素源が不足している条件になると菌が炭素源を求めてハクサイ根部に感染するが、過剰な炭素源が存在すると腐生生長が盛んになり、細胞内部への感染が認められなくなる。
 このようにエンドファイトと植物は一定の条件が整えば、菌から植物に窒素源が、植物から菌へ炭素源が供給される相利共生的な関係を結ぶことが明らかになった。
 また、アブラナ科植物は、菌根を形成しない植物であり、これまで共生する微生物は報告されておらず、現時点でエンドファイトはアブラナ科植物に共生できる唯一の微生物である。

2 どんな植物とでも共生できるエンドファイト

 ハクサイと共生する微生物は、形態的特徴により、ヘテロコニウム・ケトスピラと同定された。
 このH.ケトスピラは、偶然にも小麦畑から分離されたのだが、その後の研究により、もともとは小麦畑にすんでいたのではなかったことがわかってきた。筆者らは、おそらく、腐葉土などの堆肥由来で持ち込まれたのではと推察している。

 立派に育っている盆栽の根にはエンドファイトがすみついていて、その生育を支えているのである。

 接種試験の結果により、H.ケトスピラは、ハクサイではエンドファイトとして、宿主がツツジ科植物に変わると菌根菌として、植物の生育を支えていることが明らかとなった。

縁の下の力持ち
 接種試験を行ったところ、やはりこのエンドファイトは、コケ植物から木本植物まで、どんな植物でも定着することができた。さまざまな植物を単独で植え、そこにエンドファイトを接種し、環境を整えると、実験に使った全ての植物に定着できることがわかった。もちろん、ハクサイ以外のアブラナ科植物の根にも侵入し、定着した。宿主の好みはないようである。

エンドファイトにも植物の好き嫌いがある
 エンドファイトが好きな植物は、アブラナ科植物であるハクサイやナタネ、そしてナス科植物のトマトやナスである。一方、イネ科のオオムギやウリ科のメロンやキュウリはあまり好きでないことがわかった。

3 エンドファイトが植物に侵入・定着しやすい条件

①有機の窒素源から窒素を植物に供給
 この関係は、植物単独では利用しにくい窒素源、すなわち有機態のアミノ酸が土壌中にあると顕著に現れ、エンドファイトが植物へ窒素を供給し、生育を助けることが分かっている。一方、植物が単独で利用できる化学肥料だけを施肥すると、この関係は成立しない。さらに、糖濃度は低い方がエンドファイトの生育を促進する。低い糖濃度の条件下で、エンドファイトは、宿主から光合成産物由来のの炭素源を獲得する、いわゆる共生関係にあることも明らかになった。この炭素源を利用し、エンドファイトはバイオマスを増加させ、ますます植物に窒素源を供給することができるようになる。
 このことは、土壌中の過剰な養分は、エンドファイトのはたらきにはマイナスに作用することを示している。

なぜエンドファイトは病原性を示さないのか
①理由1 エンドファイトは周囲の細胞に害を及ぼさず、維管束にも侵入しない
       地上部エンドファイトは種子伝染するが茎葉の細胞には侵入しない
      根部エンドファイトは皮層細胞に侵入するが周辺細胞壁のダメージはない
②理由2 バランスのとれたエンドファイトの代謝物質活性と植物の防衛反応
     植物はエンドファイトにも病原菌にも、同様に防御反応を開始する。それに対して、病原菌は植物の防御反応を抑制しようとするが、エンドファイトは抑制しないため植物側の活性は上がるが、ストレスは生じない。

エンドファイトのすみかは植物内部だけか
 ハクサイの育苗中に環境を整え、エンドファイトの定着を促進させると、苗への定着率は60~70%程度になる。この苗を慣行栽培の圃場に定植すると、植物根への定着率はしだいに低下する。
 土壌中に出たエンドファイトは土壌中でも生育することは可能である。そのため、よい環境を求めて、菌糸を伸ばし生長を続ける。この菌糸から根部への再感染も確認されている。

4 エンドファイトはどんなことに利用できるのか

植物の生育を助ける
 このスィートソルガムは、低温条件で生育が遅延し、収穫時のバイオマス量の減少を引き起こすことが問題となっている。エンドファイトを処理することで、低温条件でも生育促進が確認された。
 最近、V.シンプレックスもハクサイ苗の生育を促進することが報告されたが、この場合は、植物ホルモンであるインドール酢酸を産出することで生育を促進するようである。

植物が病気に強くなる
 エンドファイトが侵入しても、見かけ上は植物になんの変化もおこらない。しかし、エンドファイトがすみつくことで、植物の病原菌への抵抗反応を準備するのである。この準備が整った植物は、病原菌がアタックを試みると、抵抗反応が即座に働き、病原菌の侵入をブロックすることができるようである。
 H.ケトスピラは、ハクサイ根の表面に付着器を形成し、そこから進入菌糸を伸ばし、皮層細胞内に達し、細胞内菌糸を形成していた。この細胞内菌糸が再び付着器を形成し、侵入を繰り返し、皮層細胞を移動し、定着部位を拡大していくという一連の定着が可能である。そのため、他の根圏微生物と比較して、ハクサイ根内、特に根端部に移動・定着する能力に優れ、根こぶ病菌や黃化病菌などの病原菌の根内への侵入を防いでいたと考えられる。

環境ストレスに耐性ができる
 エンドファイトに感染した植物には、気孔開閉を調節することができるようになり、さらに葉が厚くなる。このため葉が早めに巻くなどの形態的変化が起こって、蒸散を抑制し、体内水分を保持しているようである。また、エンドファイトが感染した植物の根張りがよくなることも報告されており、このことも耐乾性に関与している。

根張りがよくなるだけでなく、菌圏が発達する
 植物が環境ストレスに耐性を示すために、根張りがよくなることはもちろん重要であるが、根張りだけではなく、菌圏が発達することの重要性が、最近ようやく認知されてきた。

有機農法や自然農法への利用がお勧め
 菌糸ネットワーク経由で栄養分のやりとりがあるということは、もし、栽培している作物が何らかの理由で元気がなくなった場合は、まわりの雑草で作られた光合成産物が、菌糸ネットワーク経由で作物に供給され、元気なることもあるのです。
 菌糸ネットワークが発達すると、植物が栄養を奪い合うのではなく、むしろ助け合う事実は、驚きである。
 糸状菌は主に植物質を、また細菌は主に動物質の分解還元を行っており、植物の生育に必要な栄養素を供給している。
 特にセルロースの分解には糸状菌のはたらきがとても重要であるが、この自然生態系における糸状菌類のはたらきを畑で上手に利用しようとするのが、有機栽培や自然農法における栽培システムであると私は理解している。
 では、エンドファイトを含む糸状菌を増やすためには、どうすればよいか?言うまでもなく、動物由来の堆肥ではなく、腐葉土や朽ち木などの植物質を畑に施用すればよいことになる。これら有機質肥料は、エンドファイトを含む糸状菌類のはたらきを活発にする。
 さらに、施用する堆肥を必ずしも、完熟させる必要がないこともわかってきた。森林で落ち葉が腐葉土になっていくプロセスを畑でも再現すればよいのである。

「菌糸ネットワーク」の持つ偉大な力を活かす
 自然農法や森林農法などは、このエンドファイトによる菌糸ネットワークを上手に利用した農法でもある。 私の友人にも自然農法を実践されている方がおり、その畑や田んぼの微生物の調査をしたところ、作物のまわりの雑草の種類が多ければ多いほど微生物、特に菌類相も多様であることが確認された。地上部の植物の種類や量が、そのまま地下の微生物相にも影響を与えているのである。
 田んぼの例では、イネだけを栽培した地点に比べて、イネ科以外の植物(いわゆる雑草)が生育している地点の微生物の種類は数倍から数十倍にも増加した。

5 これからのエンドファイト研究の方向は?

注目!エンドファイトとバクテリアの相互作用
 病害抑制効果は、バクテリアの種構成と関係があることが明らかとなった。今後は、どの糸状菌にどんなバクテリアが共存しているのかを明らかにし、バクテリアと菌類の相互作用を解明する必要があると考える。 さらに、われわれが糸状菌として認識していた生物が、いわば糸状菌とバクテリアの共生体であるという、これまでの菌類学の概念をくつがえし、新たな生物共生系の存在を示す強いインパクトをもたらす可能性もあると考えている。

Part2 エンドファイトを使って見よう

1 エンドファイトを探し分離しよう

エンドファイトをゲットする
①「ラッキーな作物」を探す
 この仕事をはじめたころ、先輩方に数々のご助言をいただいた。その中に印象に残る言葉があった。「畑に育っている作物をよく観察しなさい」「多くの作物が病気にかかっていても、その中に元気に残っている作物がある。元気でいられるには秘密があるはずだ」多くの先人たちが、このようなラッキーな作物を見つけ、そこから病気を抑えることができる微生物を獲得してきたのである。
②分離できなかった原因は二つ
 エンドファイトは根部の全ての部位にすんでいるのではなく、分裂が盛んな根端部を好む傾向にあった。そのため、根端部が土壌中に残り回収できないことがその主な理由であった。

2 エンドファイトの生活史と植物内での行動を観察しよう
必ず植物に接種して確認する
 獲得した菌株がエンドファイトであるかを確認するためには、宿主植物への接種が必要である。

3 エンドファイトと植物の相互作用を高める条件を知ろう
 エンドファイトと植物との良好な関係を築くためには、植物が単独で利用できない、アミノ酸などの有機態窒素の存在が重要であることが明らかになった。

酸性土壌でもエンドファイト共生で植物が育つ
 トマトの生育に最適な土壌pHは、一般に弱酸性の5.5~6.5とされており、酸性土壌では生育が不良になることが知られている。例えば、土壌pHが3.8の泥炭地土壌ではほとんど生育できないことが報告されている。では、この酸性土壌にエンドファイトを接種するとどうなるか?試験にはV.シンプレックスを、トマト品種はハウス桃太郎を用いた。
 結果は、対照区トマトはpH3および4の培地上で正立できず、生育不良となったが、処理区では有意にバイオマス量(地上部生長量)を増加させた。
 この生育促進のメカニズムとして、インドール酢酸のような植物生育促進物質の生産や、アブシジン酸の生産、さらにはミネラルの吸収、特に酸性土壌におけるカルシウムやマグネシウムの吸収促進が報告されている。このように、pH3および4のV.シンプレックス接種区では、pH5の区と比較して変わらない植物バイオマス量を示したことから、エンドファイトを利用することで、土壌pHの矯正をせずに酸性土壌でのトマト栽培が可能であることが示唆された。

4 有用なエンドファイトの選抜をしよう

5 エンドファイトを上手に使おう

育苗する作物への利用が最適
 畑土全土でエンドファイトが有効にはたらく環境にすることが一番であるが、大量のエンドファイトが必要になり、これは実用的ではない。そこで、育苗時にねらいを絞って利用すれば、対象となる土壌の量も少なくてすむので、手間もお金もそれほど必要としない。 育苗時にエンドファイトを定着させることで、作物の生育をよくし、さらには病気にも強くなるなることを目的にしたい。

培土はピートモス、貧栄養そして酸性がよい
 カナダ西部の森林腐植土壌からの分離率は、畑土壌と比較して10倍以上の高い頻度であった。このことから、育苗培土は亜高山森林土壌に広く分布するピートモスなどを主体とした、貧栄養条件調整することが適していると考えられる。
 鹿沼土、バーミキュライト、市販の園芸培土で実験してみたところ、最も適していたのは、やはりピートモスを単独に培土とした場合であった。
 一方、市販の園芸培土を用いた場合には、植物地上部の生育は良好であるが、エンドファイトの定着率は極めて低かった。市販の園芸培土は養分やpHが植物の生育に適度に調整されているが、エンドファイトには不適であり、感染率の低下を招くことが分かった。
 また、栄養条件ばかりでなく、土壌のpH条件が定着率に影響することも確認された。エンドファイトはpH4~5の酸性条件細胞内への感染が良好であり、逆にpH6以上の中性に近い条件では、細胞内への感染が抑制され、感染率が低下することも確認された。ピートモスのpHは4前後の酸性であり、そのためエンドファイトの定着に最適であったと考えられる。

おわりに
 かつて共生と寄生は、全く別の現象と考えられてきたが、関係する生物相互のバランスによって双方が利益を得る状態(相利共生)から片方が利益を得てもう片方が被害を受ける状態(寄生)まで連続して移行する例が多く知られるようになり、互いにはっきりと分離できないこともわかってきた。共生という関係は、今では、相利共生や寄生といった関係を全て含む上位概念としてとらえらえているのである。

(評)
 著者の経歴を見ると、著者は私が学生時代に所属した研究室の後輩になるだろう。しかも、研究内容も私が学生時代に取り組んだ「土壌菌の研究」を発展させたものとなっている。よくぞ、ここまでやってくれたと敬意を表したい。
 最初から最後まで、エンドファイトという菌学分野での最新の知見を発見した著者の息づかいが感じられるような文体で書かれている。
 自然農法や有機農法で見られる無除草や化学肥料を使わないことによって得られる恩恵の一因に、エンドファイトの存在が関係していることが明らかになった。今後、この分野の研究がさらに進むことを願ってやまない。

平成24年2月

トマト 18

20210512トマト(700t)
一段目の実が肥大を始めています。
二段目には小さな実がなっていて、
三段目は花が咲いています。
四段目はまだつぼみの状態です。

一段目のトマトの収穫は来月に入ってからになりそうです。

トウモロコシ 15

20210512トウモロコシ(600)
右側が1月24日に播種した列、
左側が2月7日に播種した列です。
右側の列は、雌しべのひげが茶色くなってきました。
あと1週間もすれば、収穫できそうです。

ネギ 23

20210512ネギ(700t)
 ネギ坊主が乾燥して黒い種子がこぼれ落ちそうになっています。
いつもなら、ネギの種まきは今年の種子が採れる前に昨年の種を使って終わっている時期ですが、今年はまだ種まきをしていません。

今年は今年の種を使って、種まきができる状態になりましたが、ネギを植えるかどうか、まだ迷っています。
とりあえず、採種だけはしておこうと思います。

ネギの採種は、ネギ坊主ごとちぎり取って大きめのレジ袋にどんどん放り込みます。
袋いっぱいになったら、袋の外から両手でぎゅうぎゅうと絞るようにネギ坊主を破壊します。
ネギ坊主は乾燥してもろくなっているので、簡単にばらばらになって茎と皮の破片と黒い種子が混じり合った状態になります。
それを箕(み)に入れて、風撰します。

風撰は要領があって、無風のときは能率が悪く、風が強いときはせっかく集めた種子の多くをこぼしてしまったり、
かといって慎重になりすぎると時間がかかったりして
やり始めると結構ハマります。

きままに投資 31

投資

早くも損切りを出しました

昨日と今日と、2日続けて日経平均株価が大幅下落をしました。
そのあおりを食って、始めたばかりの“新第5ラウンド”の銘柄も痛手を負いました。
思うように上がる相場はなかなか来ないものですね。

中でも、「大豊工業」は思った方向とは真逆の値動きになったので、損切りすることにしました。
多分、購入して3日目に損切りするのは初めてのことです。
210512大豊工業
下向きの矢印で示したのが、株を購入した5月10日の日足チャートです。
ホントに上手いですね、高値づかみが。
昨日、今日と続落し、予想と反対方向に動いたので、思い切って切ることにしました。
今までなら、まだ始めたばかりだし、株価の再浮上を待つ時間も十分あると思って、この場面での決断はしなかったと思います。

しかし、このラウンドの目標は売り(利益確定もしくは損切り)のタイミングをはかるということでした。
損切りのタイミングという観点から厳しい見方をすると、予想とは真逆に動いたこと、下げ幅が大きかったことで
ここは売却すべきポイントだと判断しました。

まだ始まったばかりですが、今日の段階での損益額をまとめておきます。
銘柄、(今日の株価 ー 購入時の株価((購入日))×株数 = 損益額 の順に書きます。

大豊工業   (951 - 1015(5月10日)×200株 = -12,800円(確定)
東京電力HD (338 - 325(5月6日)×600株 = 7,800円
九州旅客鉄道 (2,444 - 2,500(5月6日)×100株 = -5,600円
愛三工業   (765 - 783(5月10日)×300株 = -5,400円

損益額の合計は-16,000円 となっています。
早くも暗雲がたちこめたような状況ですが、果たして“新第5ラウンド”を無事、乗り切れるのでしょうか。



本120 小林達治「根の活力と根圏微生物」

自然と科学技術シリーズ
小林達治「根の活力と根圏微生物」
農文協(1986年刊)
根の活力と根圏微生物
小林達治
1929年京都府生まれ。京都大学農学部農芸化学科卒
京都大学農学部助教授

今なぜ根圏微生物か - まえがきにかえて
 日本を始め先進諸国において、連作障害が激化している。土性や土壌中の肥料成分には問題がないと考えられる農耕地土壌においても、農作物の生産性は極端に低下し、その生産物の品質の劣悪化が認められるようになってきた。このような現象はミネラルセオリー(鉱物質説)などこれまでの肥料学だけでは科学的に説明できず、ただ、「地力が低下したことによるものであろう」と半ば諦めのような考えが支配的になっていた。
 微生物の排出するアミノ酸、低分子量核酸類などは、その植物の生殖成長などに非常に効果的に寄与し、果実その他農産物の品質向上には、微生物の排出する有機物の吸収が必須であることが明らかになった。
 根圏微生物がどのような影響を根に与えているか、この微生物の作用を充分理解してはじめて、根に活力を与え、植物を健全に成長させることができる。また、同時に「地力」という曖昧な言葉を科学的に充分説明できるようになるのである。

第一章 根のまわりでなにが起きているか

1、 根圏とはなにか
 植物根が土壌微生物に影響を与えている部位を根圏と呼び、根の影響のおよばない個所と区別するようになった。ふつうは根の表面から5mm以内を根圏域としている。密植した場合には植物の種類によっては作土層のほとんどがその根圏で覆いつくされてしまうことがある。

2,根圏にいる微生物の行動
(1)根と微生物のギブアンドテイク
  運動性のあるものは根圏域より根からの分泌物をもらうためか、根の表層部や根毛表面へ近づいていく。根の表層部に到達すると、そこで微生物は植物根の分泌物を摂取する代わりに、なんらかの微生物代謝産物を与えているように見える。微生物にとっては、根毛付近を飛び回り、また根毛にとりつき、そこで回転運動を活発に行うものもいる。すなわち穴をあけて根毛内に侵入しようとしているように思われる。

(2)根圏と非根圏のちがい
  細菌と放線菌の数は、移植後三日もすると、周囲の土壌と比べて目だって増加し、一六日もすると五〇倍もの差ができるものが出てくる。そして植物の種類によって根圏微生物の種類も大きく異なってくる。

(2)多量の分泌液
  実験結果によると、根からの分泌液量が同化された全炭素の10%以下になるとは考えられない。かりに同化された全炭素の10%が排出されるとした場合、ふつう10アール当たりの茎葉の繁茂は乾物重で300キロぐらいだから、30キロ程度の有機物が根圏域に排出されることになる。この量は完熟堆肥を反当たり1トン施用した場合に、この堆肥をエサとして繁殖した微生物の分泌物の量に匹敵する。このことは大変興味深い。根が排出する量に見合う形で、根が微生物の分泌物を吸収する。完熟堆肥施用下において、そうした平衡関係がなりたっていることが考えられるのである。

(3)分泌作用に影響する諸要因
  窒素が欠乏すると分泌量(窒素化合物)は減少する。ところが、リン酸が欠乏した場合は分泌量がより増大する。これについてしいて推論すれば、根面より栄養成分を分泌して根圏微生物の増殖を促すことにより、たとえば土壌中の難溶性リン酸などの溶出、根への供給を促進してもらおうという相補性によるものと考えられる。

4 微生物の分泌物と根の活力
(1)分泌物の内容
  光合成細菌は嫌気性を好む菌であり、アゾトバクターは好気性の有機栄養細菌である。この二つは共生関係を作り、それぞれ単独に培養したときと比べ、共存した場合は窒素固定を著しく高める。
 注目すべきことは、光合成細菌の分泌物中には高エネルギーリン酸化合物であるATPやADP、GDPのあることを実証できたことである。このような高エネルギーリン酸化合物は、水稲根圏域の活性化に大きな影響を与えていることが推定できる。

(2)有益菌の分泌物と根の生長
  有益菌の分泌物は植物の根の生長を促進する。一方、それとは逆枯草菌の分泌物のように根の生長を阻害する物質を分泌する微生物の存在も忘れてはならない。

(3)微生物分泌物の吸収のされ方
  吸収後、初期の間は14C標識したアミノ酸が大部分見出されるが、時間が経過するにつれてほかのアミノ酸へ転換していくこと、すなわち微生物の分泌物としてのアミノ酸は部分的には、直接根に吸収され、やがて植物体内でそれぞれのタンパク質の代謝系に取り込まれてゆくことが明らかになった。

(4)作物体への取り込みと働き
 土壌中で蓄積が認められている酢酸その他の低級脂肪酸も植物根より直接吸収され、タンパク質や葉緑素など体内代謝系に取り込まれてゆくことが確かめられた。

第二章 根の働きと根圏微生物

1 根の構造と生長

(1)根の生長と根毛
   根の先端の根冠は土壌中のいろいろな障害物を乗り越えてぶつかり、接触しながら生長していく。その土壌中への貫入をスムーズにするために、根冠の最外側の細胞および原表皮との境目からはつねに粘稠な物質(ガラクトース、アラビノースを主体とする多糖類)を分泌している。
 老化して活性を失った根毛は、ほかの表皮細胞とともに脱落し、その直下の皮層最外側がリグニンあるいはクチン化して外皮となる。この層はそれより内側の根組織の保護体の役目をする。
(2)水稲の根の場合
(3)根の生長範囲
   肥沃でよく耕された良好な畑土壌で生育するコムギやオオムギの根は地下1m以上に達するし、トウモロコシでは2mにもなる。大きな樹木ではもっと深くまで伸び、たとえば樹齢17年のリンゴ樹の根は直径19mの範囲で深さ12mにも達するという。

2 養分吸収と根圏微生物

(1)微生物による養分吸収の向上
   ある種の細菌や糸状菌はインドール酢酸やジベレリン、サイトカイニンなどの植物成長ホルモン、抗生物質さえも根圏で生産する。
 さらに、植物自身では分解吸収できない土壌中リン酸化合物の可溶化や鉄、マンガンなどの微量要素の有効化などが根圏微生物の働きで行われる。一例を挙げると、不溶性のリン酸カルシウムを含む培地で、無菌的に生育させたカラシ幼植物に土壌細菌を接種すると、リン酸の吸収量は高まり、生育も良好になることが観察された。
 根圏域の細菌混合物を接種したときの酵素活性への影響を観察すると、無菌のものに比べて、いずれの酵素活性も細菌の影響を受けたものの方が高くなった。

(2)養分の橋渡しをする微生物
   有機物を土壌へ施用すると有機栄養微生物を中心として、それら微生物数は増大する。もし無機の肥料成分だけ施用したとすると、そこでは当然平均して有機物を施用したところと比べて微生物数は少ない。根と土壌粒子の間に少し距離があり、直接接触できないような環境でも根圏微生物は橋渡し役を果たし、植物の根へ栄養成分を供給することになる。植物の根はそれら栄養素の供給ならびに吸収が順調に進むことから植物体内の代謝酵素活性を高め、光合成に関与するクロロフィル含量の増大をも促進するのである。

3、根の活力と根圏微生物

 微生物の分泌物や微生物による養分の橋渡しという好影響のほかに、微生物が土の構造をよくし、根を張りやすくするということも作用している。
 有機物を施用すると、好気性の微生物が増殖し、それらが、酸素を消費して徐々に酸素分圧が下がると、嫌気性のものも共存できるようになる。また、菌体中からは種々の分泌物が排出され、それらの作用により土壌粒子は互いに集まり団粒を形成してくる。土壌が団粒化すると、排水と通気もよく、水分保持力も大きくなり土壌の緩衝能が大きくなる。

第三章 土壌病虫害と根圏微生物

1 土壌病原菌の種類と生態

(1)根圏微生物としての土壌病原菌
   根に害を与える有害な微生物は、根の表層を溶かす酵素を出し、根内へ侵入して、毒素を分泌し、根の障害を与える。寄生性の線虫は針を持っており、それを根の表層へ突き刺して穴をあけ、根内へ侵入し、同時に植物病原性菌の侵入・感染を許し植物体を発病させることに一役買う。

(2)土壌病害のタイプ
①柔組織病
 柔組織が壊死を起こすもので、幼苗に発生したときは苗立ち枯れ病で、生育した植物では根腐れ病という。細菌ではエアウイニア・カロトボラにより起こることが多い。
②道管病
 病原菌が道管に入り、道管を閉塞し、また毒素を出すと、植物体は弱められ、地上部は萎凋する。
③肥大病
 感染組織の肥大が起こる病気。

(3)病気と病原菌の種類
  エンドウ根くびれ病   アファノマイセス
  ハクサイ根くびれ病   アファノマイセス
  トマト萎凋病      フザリウム
  キュウリつる割れ病   フザリウム
  半身萎凋病(各種作物) バーティシリウム
  苗立ち枯れ病      ピシウム
    〃         リゾクトニア
  白絹病(各種作物)   スクレロチウム
  根こぶ病(アブラナ科)   プラスモディオフォーラ
  疫病(かぼちゃなど)  フィトフソラ
  紫紋羽病(サツマイモなど)  ヘリコバシディウム
  白紋羽病(ナシなど)  ロゼリニア
  ネギ黒腐れ菌核病    スクレロチウム
  ジャガイモ粉状そうか病   スポンゴスポラ
  コムギ立ち枯れ病    ゴエマノマイセス
  コムギ条斑病      セファロスポリウム
  アズキ落葉病      セファロスポリウム
  根頭がんしゅ病(バラ科)  アグロバクテリウム
  軟腐病(各種野菜)   エアウイニア
  青枯れ病(ナス科)   シュードモナス
  ジャガイモ粉状そうか病   ストレプトマイセス

(4)病原菌の生態
①病原菌の生活環と寿命
 畑に作付けした寄主植物が発病しなくなるまでの年数は、フザリウムの厚膜胞子やバーティシリウムの微小菌核で5~15年、ヘルミンソスポリウムの分生胞子で3年くらいである。
 粘菌は土壌中でよく見出すことができるが、連作障害の土壌でもよく見られる。これが増殖すると土壌がねとねとし、根の呼吸を妨げる。粘菌類が土壌病害と関係のあることは、連作障害土壌の菌数を調べていると粘菌が異常増殖していることから知られる。
②病原菌の強い耐久力
 植物病原性の微生物は、土壌中で耐久体としての厚膜胞子、卵胞子、ときには分生胞子、また細胞の集合体である菌核などの形で存在し、その体内代謝率を非常に低くして、休眠状態をつづけ、じっと発芽できる条件を待っているのである。

第四章 根圏微生物と有機物利用

(1)未熟有機物の危険性
   有機物の種類によって、また好気条件と嫌気条件によって増殖する微生物の種類と数はかなり異なってくる。とくに未熟の有機物は、完熟したものに比べて土壌の微生物相の変動に与える影響は大きい。そして、土壌に有害菌が多い場合は、その増殖を促す危険が高い。
 たとえばトマトを栽培した後の残根のある土壌を分析すると、植物病原性糸状菌が非常に多くなり、細菌と糸状菌(B/F値)、放線菌と糸状菌(A/F値)の比率が非連作土壌に比べて数百分の一から数万分の一まで低下していることが判明した。また連作土壌中には寄生性線虫が多くなってくることも特徴の一つである。

(2)発酵鶏糞と乾燥鶏糞の違い
 ただ鶏糞といっても、鶏の体内から排出後、どのくらいの期間経過したか、水分30%前後になるまで、どのような条件にあったかによって微生物相の内容は異なってくる。もし高温乾燥したものでは、ほとんどの微生物は死んでしまっている。そのような高温乾燥鶏糞を土壌に施用したときは、施用した土壌中でただちにそこに存在していた微生物のうち最も増殖速度の速いものによって施用乾燥鶏糞は独占され、そこで急速に分解されるため、アンモニアの発生とその蓄積障害を引き起こしてしまう。
 しかし、発酵完熟化した鶏糞起源の堆肥は、易分解性の有機物(糖、セルロース、タンパク質)はすでになく、それらは種々の微生物の菌体として取り込まれており、それらが雑居した状態になっている。それを土壌に使用した場合、土壌を支配している菌も、その発酵物に乗り込んで分解することもできない。逆に堆肥中の微生物種によっては土壌中の菌群を食い殺すようなものも多い。更に堆肥中の雑居菌体から分泌、排出されたアミノ酸、核酸類、ビタミン、ホルモンその他の有効物質が、植物根圏域に浸透し、前述したように、じわじわと効果を発揮することになるのである。

2、堆肥づくりの要点

(1)よい堆肥とは何か
   稲わらに窒素を添加した素材の堆肥化の過程で、当初は増殖力の強いカビ(糸状菌)が増殖し、それがピークになるころから放線菌が増殖を始める。この放線菌は有害な糸状菌に拮抗作用をもっている。更に放線菌の増殖がピークに達する頃から一般菌が増加し、最終的には各種の微生物が雑居した状態になる。
 完熟堆肥は易分解性有機物がほとんどなくなった状態であり、細菌、非病原性糸状菌、放線菌、あるいは有害菌などが雑居した状態になっている。エサが少なく微生物同士がしのぎを削って生きているような状態であり、微生物全体の活性は低い。したがって、土壌に施しても有害菌を増やすなどのかく乱は起こりにくい。いろいろ議論があるところだが、一般的に言えば、完熟堆肥が問題を起こしにくく安定した効果をもたらすといえよう。ただ、中熟のものより量が減るということも含めて土壌の物理性の改良効果としては多少難がある。その点を考えると、理想的なのは中熟でかつ有益菌が優先種になっているものということになろう。

(2)堆肥づくりの要点
①有益菌を増やす素材
  タンパク質などを多く含んだ素材は有益菌を多くする力が大きい。素材としては野草、緑肥作物青刈りしたものなどがある。落葉も稲わらよりタンパクが多い。タンパク質が多い場合は糸状菌が繁殖しにくく、一般細菌が多くなる傾向がある。
 堆肥の発酵剤としては米ぬかの効果が大きい。米ぬかは漬け物に利用されるように、有益菌を増やす栄養素をふんだんにもっている。以前の油粕はアミノ酸、酪酸などの成分を含んでいたが、現在は本当のカスばかりで、米ぬかのような効果は期待できない。
②発酵のすすめ方
  稲わらや樹皮、ノコ屑などC/N比が高いものにはC/N比が低い畜糞などを混合すると微生物発酵は促進される。日本のような雨の多い所では、発酵過程中に溶出した有効成分が流出することがあるので、雨のかからないようにした方がよい。
③完熟化までの期間
  微生物種の連続的変動をうけながら分解は進行する。樹皮や籾殻のような難分解性のものは良好な完熟堆肥になるまでに数年以上かかるであろう。樹皮や籾殻などを堆肥化し始めてから数ヶ月後、一応色が黒褐色に変色したからといって、そのまま土壌へ施すと植物根に大きな危害を与えることがある。毒素を出すような有害菌がそのような未熟堆肥中に多数存在することもあり、その毒素で根が壊死することがある。
  また、植物根に必要な窒素が微生物の急激な増殖により、植物は一時的に窒素飢餓の状態に陥り、また同時に酸素不足も引き起こして、根は呼吸困難に直面するという害作用も出てくる。
④切り返し
  切り返しを行い、未分解のものが残らないよう、また分解が均一になるようにしなければ、良質の完熟堆肥を得ることはできない。最低四回くらいは切り返し、水分などを補充する必要がある。
⑤完熟化の判定法
  完熟化した堆肥は黒褐色化しており、素材の原形を認めないまでにほろほろになって、悪臭、アンモニア臭、刺激臭はなく、土の香り、あるいは素材によっては芳香性を感ずるものになっている。

(3)育苗床土の重要性
   土壌病害は幼苗期など生育初期に感染することが多い。実際の発病はさらに生育が進んでからみられるとしても、その原因は初期に作られていることが少なくない。根が若く旺盛に伸長しているときは、根の分泌量も多く、それだけ土壌病原菌を呼び寄せる可能性が高い。また、組織が柔らかいことも感染の可能性を高める。ここで大切なことは、生育初期につくられた根圏微生物フローラは、その後も維持される傾向があることである。したがって、初期によい根圏微生物相をつくれば、その後も土壌病原菌などの侵入、感染を許しにくいことになる。
 有益菌が多い根圏するためには、苗作りでは育苗用土が大切になる。また畑においては、初期の根が伸びる付近の微生物相がきわめて大切になる。良質の完熟堆肥の局所施用は、使用量は少なくてすみ、しかも効果は大きい。
 育苗用土についても、良質の完熟堆肥を使うことはきわめて重要なことである。関東の畑作地帯では、踏み込み温床として使った落葉、わらなどを一年寝かせ翌年の床土に使うという伝統的な技術がある。この床土、有益菌、一般菌が雑居した状態になっているのであり、理想的な床土といえよう。

(評)
 先に読んだエアハルト・ヘニッヒの「生きている土壌」に続いて、微生物が栽培植物に与える影響がいかに大きいかということを述べた本である。
 筆者が研究した研究データをもとに書かれているので、学術的な内容で、軽く読めるものではないが、テキストとして読むととても面白い。
 難しいことを抜きにして、この本から教えられることは、やはり、化学肥料と農薬の多用は根圏微生物を貧困にしてしまい、結果的にそれが作物の品質に大きな影響を及ぼすということであろう。

平成24年2月

きままに投資 30

投資
“新第5ラウンド”銘柄選びが終わりました

 本日、2つの銘柄に注文を出し、約定しました。
ひとつは、「大豊工業」です。
210507大豊工業
この銘柄は、4月末に底を打ち、5月に入ってから反転上昇すると見えたので、
5月7日(金)に994円で指値注文を出しておきました。
しかし、惜しいところで994円まで下がらず約定しませんでした。
いったんは諦めましたが、上げ幅がゆるやかなので、まだ追いつけると思い、今日午前中に1015円で指値注文を出したところ約定しました。
200株注文し、購入金額は20万3000円です。

もう一つの銘柄は、「愛三工業」です。
この銘柄は、先週から目をつけていましたが、今ひとつ買いの決断に至らず、今日の値動きを見て判断することにしていました。
210510愛三工業
今日の午前中、前営業日の安値を上回って推移していたので今後上昇すると判断し、買うことにしました。
新第5ラウンドの予算額を視野に入れて、300株購入し783円で約定しました。
購入額は23万4900円となりました。

4銘柄を購入したところで、新第5ラウンドの予算額に近づいたので、銘柄選びを終わりにします。
購入タイミングをしっかり考えたせいか、今までよりも銘柄数を絞り込むことができました。
購入株数もすべて単元株で占めて、200株とか300株とかいっぱしの投資家らしい買い方になってきました。

今回購入した4銘柄をまとめておきます。
銘柄、購入時の株価(購入日)、株数、購入金額 の順に書きます。

東京電力HD 325円(5月6日)、600株、19万5000円
九州旅客鉄道 2500円(5月6日)、100株、25万円
大豊工業   1015円(5月10日)、200株、20万3000円
愛三工業   783円(5月10日)、300株、23万4900円
購入額の合計は、88万2900円となり、予算額の95万円をやや下回ったところでおさまりました。

さて、このラウンドの目標は、買いと売りのタイミングをはかる練習をするということでした。
買いのタイミングをはかる練習はどうにかできた気がします。
このあとは、売りのタイミングをはかる練習をしなければなりません。
前回の第4ラウンドでは、「日本電産」の売り(損切り)のタイミングを見落とすというミスと、
「マルハニチロ」はプラス圏に長くいたにもかかわらず、マイナス圏で売却したという、
売り時の判断ミスを2つも犯してしまいました。
今回は、そんなことがないように、しっかりと売り(利益確定もしくは損切り)のタイミングをはかる練習をしたいと思います。

(このカテゴリの記事は、株をやったことのない人や株は何となく恐いと思っている人や株を始めたばかりの初心者の参考になることを目指しています)


きままに投資 29

投資
“新第5ラウンド”を始めました
第5ラウンドは「イーマクシスネオラウンド」と改めたので個別株投資の次のラウンドを、“新”をつけて、“新第5ラウンド”として始めました。

新第5ラウンドで投資できる金額は、約95万円とすでに算出しています。
新第5ラウンドの目標は、購入のタイミングと売却のタイミングはかる練習をすることです。
タイミングをはかるので、銘柄ごとに買っていって、予算額に達したところで、
銘柄選びの完成ということにします。

実は、ゴールデンウィークの株式市場がお休みしている間に、購入すべき銘柄を物色しました。
今が買いのチャンスだと思える銘柄を三つ見つけ出し、
休みの間に注文しておいたところ、
三つのうち、二つが約定し、一つは逃げられてしまいました。
どんなチャートのとき買ったのか、後で反省の材料にするために、買いの判断をしたときのチャートを載せておきたいと思います。

ひとつは、「東京電力ホールディングス」です。
東京電力4月30日
三月中旬にピークをつけ、この一ヶ月ほど下落していましたが、上昇を開始した瞬間だと判断し、買いの決断をしました。
5月5日に注文を出しましたが、ゴールデンウィーク中なので、直近の株価は4月30日になっています。
600株購入し、325円で約定しました。購入金額は19万5000円になりました。
株価は現時点で21円上昇しています。

ふたつめは「九州旅客鉄道(通称、JR九州)」です。
JR九州4月30日
3月から下落が続いてましたが、4月21日に底をつけ、その後反転上昇してきました。
4月23日頃がベストな買いタイミングで、買い遅れの感じがしましたが、今ならまだ間に合うと今後の上昇を信じて、100株買いました。
2500円で約定し、購入金額は25万円ちょうどになりました。
株価は現時点で7円のマイナスになっていて、700円の含み損が出ています。

三つ目に注文を入れたのは「三井物産」でしたが、これは取り逃がしてしまいました。
初心者にありがちな失敗だと思いますが、逃がした魚がいかに大きったかはチャートを見るとわかります。210505三井物産
このチャートの段階で三井物産の決算の結果を受けたアナリストの評価が高かったので、これは上がると確信し、2370円という、4月30日の最高値で指値注文をしたところ、5月6日の朝はあっさりと窓を空けて2400円をこえて寄付き、みごとにふるい落とされてしまいました。今日の時点でのチャートを出しておきます。
210507三井物産
せっかく上がるという情報を掴んでおきながら、取り逃がしてしまった感じがします。しかし、逃げた魚を追いかけると後が恐いので、追いかけるのはやめて別の銘柄を探すことにします。
ここで学んだことは、どうしても欲しいと思った株は、指値注文ではなく成行注文をすればよかったのだということです。
こんなところに初心者とベテランの差が出てくるのだ思います。またひとつ経験を積みました。

(このカテゴリの記事は、株をやったことのない人や株は何となく恐いと思っている人や株を始めたばかりの初心者の参考になることを目指しています)



ライ麦 5

20210505ライ麦1(650)
 4月11日にライ麦の姿をアップしていましたが、約1ヶ月経った今、人の背丈よりも高くなりました。
いやぁ、こんなに背が高くなるとは思っていませんでした。
4月11日に三分の二は刈り倒していますが、刈った株からは芽が出て膝の高さくらいまで成長して穂をつけて種子を形成しています。すさまじいばかりの生存戦略です。

イチゴ 13

20210501itigo(700t).jpg
 一昨年の秋、イチゴの雑草化作戦と称してハウスの外側の縁に沿って植え付けておいたイチゴです。
ハウスの中のイチゴは一ヶ月くらい前から収穫を続けていますが、ハウスの外のイチゴも収穫ができるまでになりました。
ハウスの中のイチゴは、それぞれの花に実がついたせいか、小さい実が多いですが、外のイチゴは一株に一つずつくらいジャンボサイズのイチゴがあります。おそらく自然に花が間引かれて花の数が減ったからだと思います。
イチゴは大きい方が食べごたえがありますね。
それに、なぜだか、ハウスの外のイチゴのほうが甘味が強く美味しいです。
自然の外気に当たっていたほうがイチゴ本来のよさが引きだされるのでしょうか。

イチゴの雑草化作戦として、ハウスの周りに植えたイチゴが雑草に負けずに育ち、ジャンボサイズの実までつけたことは、思いのほか大成功だったといえるのではないでしょうか。

本119 秋山豊寛「宇宙と大地」

秋山豊寛「宇宙と大地」農あるくらしへ
岩波書店(1999年刊)
宇宙と大地
秋山豊寛
1942年東京都生まれ。国際基督教大学卒
1966年(24歳)東京放送入社、ロンドン駐在、外信部、政治部記者、ワシントン支局長などを歴任。
1990(48歳)年12月、日本人初の宇宙飛行士として、ソ連の宇宙船ソユーズ、宇宙ステーション・ミールに搭乗、地球の映像を撮影・生中継した。
国際ニュースセンター長などを経て、1995年12月に退社。翌年1月から福島県滝根町で農業に従事する。
『こちら宇宙特派員!』(毎日新聞社)
『農をめぐる旅』(富民協会)
『農人日記』(新潮社)など

はじめに
 自分が心中するつもりもないシステムの中で役割を果たすことが馬鹿馬鹿しくなったと言っては実もフタもないのですが、基本はやはり、自分の一回しかない人生を大切にする方法の一つとして選択が「農のある暮らし」だったのでしょう。

1 なぜ「農」なのか

(1)宇宙から見た地球

地球との一体感
 地球の青い輝きをきわだたせているのは、大宇宙の闇です。何もかも溶かしてしまうような深い闇を背景に地球が在ります。地球の青は、明るいブルーから紺になり、濃紺になり、黒くなり、漆黒の宇宙の闇に続いています。何処から来て、何処に行こうとしているのだろう、わたしたちは - 。そんな思いを抱かせる光景です。

 なぜ「農ある暮らし」を始めたのかを改めて考えてみますと、やはり、宇宙から見た地球の美しさが心に刻んだ「地球との一体感」が大きな要素になっている、という気がする時があります。

地球を包む大気の薄さ
 それにしても、地球を包む大気の、何と薄いこと。コバルトブルーの明るい部分は、恐らく地上20キロぐらいまででしょう。直径1万2800キロの地球を取り巻く大気の厚さは、シャボン玉の膜のような薄さです。青い地球というのは、この星、太陽系第三惑星が「大気に包まれた星」だということを本当にストレートに感じさせてくれる光景です。青く輝く、大きな存在感。それ自体が生命のかたまりです。自分が生まれ、育ち、そして死んでいく場所です。その星=地球との一体感のような熱い思いが、身体に、ゆっくりと染みこんでいく時間でした。
 地球に戻ったあと、この想いをどう整理し、肉付けするかが、自分にとってのテーマだろうと深く感じていました。

(2)「環境」が問われる時代

地球規模の環境破壊
 世界が環境の時代にあることを強く意識する流れの中で、宇宙プロジェクトもまた「環境」がテーマになっていたわけです。それでも、この時期の日本は、環境問題を口にすることは、何か理想主義のことのように受けとられる雰囲気だったような気がします。ゴミの問題にしろ大気汚染にしろ、合成化学物質が大量に放出された結果起こっている生態系の破壊の現状にしろ、放っておいても何とかなると考える方が非現実的であることを、実感としてはほとんど感じていなかったわけです。「地球危機」は、まだまだ、日本では言葉の上でしか存在していませんでした。
 こうした中で「行動」こそ必要な時代であり、私自身も行動する時ではないかという思いは強くなりました。私は「農ある暮らし」への準備を始めていました。

(3)テレビ報道は変わった

百万円の売り上げとは
「自給を目指して食糧を自分で作ろうとしているだけですから〝農業〟というほどのものではありません。それに〝転職〟と言われても、テレビ局は辞めたものの、自分は記者だと思っています」というのが、たいていの場合の答です。税金を払うときの職業の欄には「農業兼著述業」と書いていますから、公の分類ではいわゆる兼業農家にあたります。何しろ農産物の売り上げ収入があります。椎茸を直販しており、この売り上げは百万円以上ですから、お役所の定義である「販売農家(売り上げ50万円以上)」に入ります。
 農産物で百万円以上の売り上げをするには、つまり、相当な面積を必要とするわけですが、椎茸の場合、必ずしも広い平地を必要としないし、林間も使えますので、畑地をほとんど持っていない零細農家にとっても、入りやすいわけです。

テレビ報道の変質
 51歳になっていわゆる管理職となり、勤務評定や、会議に出ることが主な仕事になったとき、「ああ、もう、この組織にいる意味はない」と思い切ることは自然なことでした。
 視聴者が見たいもの、知りたいこと、関心をもつこと、それが必ずしも、自分が伝えるべきと考えていることと一緒とは思えませんでした。

国際ニュースセンター長
 いつの頃からか、とにかく長生きして世の中を見続けたいということが、人生の目標のようになっていました。テレビ局入社以来ずっと「記者」のつもりで生きてきた人間にとって「知り」「理解」することの楽しさは、それなしには「生きる」ことではないと感じるほどに、一つの判断基準になっていました。
 記者としての私を必要としない組織が、組織にとって必要な存在になるように私に求めたとしても私自身に変わる意志がなければ、お互いに不幸というものでしょう。とにかく、一回しかない人生です。それに五十をすぎた肉体は、遠回りするには時間が限られています。手応えのある人生を過ごすことが可能な場所を捜すことが賢明な選択であることははっきりしています。

人間存在の基本は「食」
 人間の存在を条件付けるいくつかの要素がありますが、何より基本は「食」であることは、はっきりしています。
国際ニュースセンター長をやりながら、休みを利用して、日本の農業の勉強をかねて、各地の農家の取材を始めました。私の「農のある暮らし」への第一歩でした。二年ほどの間に、百カ所近くをまわり、稲や麦を始め、さまざまな作物、あるいは過疎の問題、有機農業、減反、特産品、新規就農、農家の主婦、あるいは畜産といった日本の農業をめぐる様々な問題の「とっかかり」をつかむための現場を具体的に取材することができました。この取材をしている間に「作って食べる暮らし」をライフスタイルの基本にする手がかりをつかんだわけです。自ら耕し、その生産物を食するということを基本にすること、大地に足を下ろした暮らしの基礎が、「農のある暮らし」、そのあたりにあると結論が出ました。52歳でした。
 要は個人の暮らしのあり方を「自給」と「精神の自在性」という方向から見直し、「地球危機」という自分の状況認識と生き方のつじつまをあわせたいということです。自分にとって「農のある暮らし」は無理のない選択であり、手応えは予想以上でした。

2 時間・労働・豊かさ

(1)自給を目指して

三反の田畑があれば
 一般的には、十アールの水田があれば、条件の悪いところでも玄米で六俵=360キロは収穫できます。ひとり一年に90キロの米があれば充分です。ちなみに、日本人は大体、年間70キロ弱しか米を食べていないそうです。

 合理的な値段で入手でき、田と畑と林がある土地なら、どこでも良かったのですが、最初から農産物は無農薬で作ると決めていたので、無農薬・有機栽培をしやすい地域であることも、条件の一つでした。

いざとなるとイモばかり?
 食糧を自給することを目指して山の中の暮らしを始めてみたものの、日本全体の自給の実情と同じく、米については難しくありませんでしたが、他の作物については、なかなか目処が立ちません。
 当初、三年の間に、この標高620mで何が無農薬で作りやすいかを発見して種についても自給できるようにするという目標を立てました。穀類は稲のほか小麦・ソバ・アワ・キビ・大豆各種、野菜はカボチャ・マクワウリ・冬瓜・ナス・トマト・トウキビ・里芋・サツマイモ・山芋・ねぎ・タマネギ・馬鈴薯・大根・ニンジン・エダマメ・レタス・ハクサイ・キャベツなど50種類以上試してみました。その結果、一応すべて作ることは可能ということは分かったのですが、問題は収穫可能な期間です。
 秋になってナスなどが終わると、あとは、ネギ・ホウレンソウ・カブ・ニンジン・大根などが残るだけで、急速に野菜の種類が減ります。年が明ける頃は、大根とネギだけです。
 大型の冷蔵庫のおかげで、馬鈴薯やカボチャは残っていますが、実に心細い状態です。この心細い状態を変えるには、やはりハウスが必要なようです。
 雪は降っても30㎝くらいですから、豪雪地帯ではありませんが、寒さの方は、寒冷地仕様でないと対応できない厳しさです。ボイラー設置とまでいかなくても、ハウスがあれば、相当、自給率は向上します。少なくとも、葉もの類は確保できます。

(2)金を生まない価値

生活のリズムと暦・時刻
 晴れた日には、冬の期間を除いて、屋外でする何らかの仕事があります。作業が待っています。雨の日も、家の中でする作業に欠けることがありません。
「晴耕雨読なんですか」と聞かれることもありますが、そんなのんびりした時間は、極めて少ないのが実情です。
 日本の旧暦が純粋な太陰暦ではなくて太陽暦との折衷になった理由は、基本的には中国文明の影響でしょうが、もっと現実的には、稲作を中心とした農業が基礎の社会であったことと無関係ではないでしょう。

 生活のリズムに合わせて時刻を設定するという発想は、農作業を暮らしの軸にするとよくわかります。江戸時代は、昼夜を「不定時法」による時刻設定があったそうです。朝の日の出、夕の日没を基準にするのだそうです。確かに、夏至の日の出時刻と冬至の日の出時刻では二時間ほども違います。一日で4時間の差になります。これを均等にして「明け六つ」から「昼九つ」を経て「暮れ六つ」にします。ですから、冬の「暮れ六つの鐘」がゴーンは、現在の「定時法」では五時半頃でしょうが、夏の「暮れ六つの鐘」は、現在では七時半すぎというわけです。
 良くしたもので、夏は、昼間太陽が高いときは、外で働く気にはなれません。早起きと遅寝のおかげで、昼寝が必要です。

時間を大切にしたい
 近代が妙に窮屈で、管理されすぎている気分になってしまう原因の一つに、この時間の問題があるような気がしてなりません。
 劣悪といわれた当時のイギリスの炭鉱は、三交代勤務で、本来、人々が眠りに就く日暮れから地底に降りて夜明けまで働く勤務もありました。かつては、いわゆる「生産」の時間でなかった時まで「生産労働」の時間になったことで「富」は蓄積されたのでしょう。
 コロンブスが西インド諸島に至り、現地に住む人々は、奴隷になり、金鉱で働かされたそうです。現地ドミニカの金鉱を取材したとき、多くの奴隷が自殺したという説明を聞きました。自分が管理した時間でなく、他人の管理する時間で生きることは、プライドを持つに人間にとって耐えられないことの一つだったのではないかという気がします。
 テレビの番組など、30%、40%という視聴率を考えると、何だか妙な気分になります。日本人の三分の一、四分の一が同じ時間に同じように泣いたり笑ったりしていることは、不思議な感じがします。
 私自身はといえば、現在、地上波のテレビの電波は受信していません。共同アンテナ組合に入らねば見ることができないという面倒くささもありますが、基本的には、こちらが知っておくべきだと思う情報以外の内容のニュースが少なくないということが、受信したくない理由です。見出しだけで判断できる活字に比べ、テレビは、一定の時間をそのために費やさねばなりません。オレの大切な時間を、こんなことを聞いたり見たりするために使ってはもったいない、という気分になることが多かったのです。

お金に換算できない労働
 農のある暮らしは、その点で、比較的自分が時間の王様になれる暮らしのスタイルです。
 自分が手にした時間を、お金に換算しない行為によって満たすことができる暮らしが、仮に「贅沢」なのだとすれば、お金で買える「品物」をたくさん手に入れる「贅沢」に血まなこになったときと同じように、もっと真剣に追求されて良いライフスタイルのはずです。むしろ、お金に換算されない「贅沢」こと本当の豊かさなのではないでしょうか。

(3)安全な食を求めて

空気と水 - 東京から阿武隈へ
 環境は、身体の周辺から始めれば、空気であり水であり、食物です。生命体に悪い影響を与える可能性のある大気・水・食物を避けることが必要です。
 阿武隈山中に移り住んで、少なくとも水と空気については、東京より条件は良くなっている実感はあります。

食物 - 絶対ではない「許容量」
 この、国に雇われた専門家なる人々が「許容可能」と判断した農薬などが、あとになって「危険」と判断を変更されるケースは少なくありません。
 科学的知見といって権威あるもののように言われても、決して「完全」ではないわけです。私たちは、専門家といえども実は、知らないことの方が多いのだということに気がつくことが、まず大切なことに思えます。

農薬と添加物
 農薬について言えば、殺虫剤にしろ、殺菌剤にしろ、生物の生命反応=生化学反応に介入して、その機能を破壊することが目的ですから、平たく言えば、いわゆる「毒」の一種です。
 日本の農家は、いわゆる合成化学物質である「農薬」が登場する以前から農作物を作ってきています。本来、その技術の延長線上に、農業があるべきだったのでしょうが、歴史は、別の道を辿りました。
 過去「安全」と言われたたくさんの農薬が現在では使用禁止になっていることについて、かつて「安全」と判断した専門家は、どのような責任を取ったのでしょうか。塩素系農薬、有機水銀系農薬、あるいはDDT、BHC、いずれも使用禁止になっています。現在使われている農薬について「残留性が低く、分解しやすい化合物」と言う専門家は少なくありませんが、たとえば、環境ホルモン、自然生態系への影響について、どの程度、自信を持って「影響なし」と言えるか、疑問です。正直な専門家は黙ってしまいます。
 要するに、判断ミスしても「責任」の取りようのない立場の人々が「専門家」として判断しているわけです。自分の生命に関わることを、このような「専門家」の判断にまかせきりにすることは危険極まりないと言えます。

遺伝子組み換え作物
 遺伝子組み換え作物についても、自然環境への影響については明確な「安全」確認がないままに、全てを知っているわけではない専門家による判断がゴーサインの根拠にされています。

感覚の世界の拡大
 私は「長生き」を目標として安全な食物を確保する過程に、自ら働くという要素を挿入することが大きな意味を持つという仮説をたててみました。自ら作って食べる暮らしのプロセスに、安全と安心が含まれるはずだというわけです。自ら作る、自ら耕す行為は、物理的に自らの肉体の鍛錬になるばかりか、精神を鍛え意識を高めることと一体化しているかもしれないと思い始めたのは、山の暮らしを始めて、およそ十ヶ月後、秋の穫り入れの頃でした。
 ふと気がつくと、農作業そのものに、お金に換算されない価値が豊かに偏在していました。早春、乾いた大地を起こす作業中に流れる汗は、生物である自分を心地良くします。早朝の草刈りの甘い香りに値段をつけるのは難しいでしょう。田の草取りの合間に見かける様々な生き物に、視覚そのものが感じる心地よさは、いったい何なのか。安心は、必ずしも結果としての農産物だけが与えてくれるのではなく、そのプロセス全体が与えてくれていたことに気がつきます。

(4)「豊かさ」の中味

猪・山バト・台風
 最初の年は、この猪に馬鈴薯を、7アールほど植えて全滅させられました。次の年は5アール、カボチャを植えて、これも被害を受けました。
 四年目は油を絞るためにエゴマを5アールぐらい植えました。隣にまいた大豆は、播くタイミングが悪かったのか、発芽した途端に山バトに芽を食べられ、全滅に近い状態です。
 試行錯誤の作付けですが、猪や鳥や台風の被害を受けても、その瞬間は頭に血がのぼって逆上するものの、なぜか、しばらくすると怒りは消えて、山の畑の仕事の楽しさだけが記憶に残ります。

3 はじめての農作業

農家になる条件
 農地を使うのは「農家」になっています。その「農家」になるには、次の条件を満たす必要があります。50アール以上の経営耕地を準備できることが第一。田でも畑でも良いわけです。次に、年間150日以上農作業に従事できること。その次の条件が少々難しいのです。農業を継続する「意志」と「能力」があること、というのです。この条件にあっているか否かを判断するのは、地元の農業委員会です。

稲を育てる
 さて、稲作です。勤め人をしている間に、稲作・稲についての本は二十冊以上眼を通していましたから、理屈だけは十分仕入れてありました。
 稲を育てるに当たり、三つの原則を決めました。第一に自分一人で作業できる範囲の規模でやることです。
 次に、殺虫剤・殺菌剤・除草剤など、合成化学物質に依存しないこと。
 第三に肥料については、できる限り、堆肥や稲わらなど、買うのではなく自分が身体を動かすことで調達できる資材を基本として、購入するとしても有機質の素材に限定すること。つまり化学肥料は使わないことです。
 一言で言えば、自分の労力で有機農業をやるという決意です。

野の風に吹かれる心地よさ
 一日の大半を外で過ごすことが多くなりますと、それまでの、家の中というか建物の中で過ごすことの多かった勤め人暮らしは、人間の「生物」としての部分の喜びを十分生かしてはいなかったのではないかという気になります。
 手を使い、足を使い、腰を使う作業全体が、身体の機能を少しずつ調整していることが感じられます。スポーツの楽しさはスキーと水泳しか知りませんが、そうした筋肉の動かし方とは異なる喜びです。
 土が毎年少しずつよくなっていることは、手のひらなり足の裏なりで感じられます。

虫たちの作る世界
 田の草取りは、毎日少しずつやっても追いつかないくらいで、六月中旬には、稲の葉は、かがむと、眼の高さに近くなります。ダニ、ドロオイムシ、ユスリカなど、たくさんの虫の世界が見えてきます。
 クモが増えるのは、七月になって二回目の除草の頃です。稲の茎は太く、いくつにも分蘖して、丈も30センチ以上になると、何種類ものクモがそれぞれのネットを広げています。
 コナギは、可憐な感じの小さな薄紫色の花を、夏の盛りに咲かせる水草の一種です。これが田圃に増えると、稲の生育は極めて悪くなります。

草刈りの「達成感」
  はじめは手鎌で刈っていましたが、長時間作業をしますと腰が痛くなるので、エンジンつきの草刈り機を使い始めました。この草刈り機の作業量には目覚ましいものがあります。畝間に伸びた草を刈り倒して、敷き込んでおきます。雑草よけ、保温・保湿のためのマルチがわりになります。

落葉の発酵する熱で
 落ち葉集めは、野菜の苗を育てる温床のために重要です。裏山のクリやナラ・クヌギの葉を熊手で集めます。背負子(しょいこ)をかついで、何杯も運びます。 落葉の下の腐葉土層では、小春日和の暖かさで、うっかり草が芽を出したりしています。何だか、落葉という大地の外套を取ってしまったような気にもなります。枯葉と腐葉土の間に、薄い膜状の菌が育っています。枯葉を分解しているようです。この菌を見つけると堆肥の中に入れます。

 発芽させるために電気温熱器を使う人もいますが、落葉が発酵する熱を使うこともできます。
 ポイントは、熱の放出を少なくとも二週間は持続させることです。発芽後は、あまり暖かいと軟弱な苗にしかなりません。暑すぎると、苗は死にます。発芽はしたけれど、熱すぎて苗を傷めたこともありました。長年やっている人も、けっこう失敗しているらしいようです。このあたりの工夫と経験は、中学の頃の理科の実験をしている時のような、妙に興奮させられるものがあります。

 農作業には、けっこうたくさん、仮説を立て、推定し、計算し、法則とまでは行かなくても、一定の約束事を理解し、実験するといった部分があります。自然に任せきり、というわけでもありません。そして又、香りや匂いや臭みや感触といった、官能的な部分も少なくありません。
 大地に触れること、大地を見つめることは、眠りにも似た、癒しの力を持っているのかもしれないという気にもなります。

4 宇宙飛行士として

打ち上げの時の事故で死んだら・・・
 勤め人暮らしの頃も他の人から見れば、相当言いたいことをズケズケ言って、やりたい事をしてきたように見えるかもしれませんが、私自身としてはかなり譲る場合が多く、不満で、馬鹿馬鹿しいと感じたときでさえ「まあ、いいか」と処してきた記憶が多いのです。精神の自在性といったものが私にとっての価値の基準でしたが、その基準から見ると、全く自在性とかけはなれた暮らしだったような気がしてきました。
 そこで考えたことが、もし、この時期を上手に生き抜くことができたら、暮らしの軸を「精神の自在性追求」に置かないと生きている意味はないのではないか、ということでした。「よし、地球に戻ったあとは、その結果がどうなろうと、イヤなものはイヤ、納得できないことは納得できない、という姿勢で生きていこう」と決めました。
 このときの決心は、自分の行動の規範としては、宇宙に滞在していた時に感じた様々なインパクトによる影響よりも強いものでした。それでも、宇宙に行くという契機がなければ、こうしたはっきりした「決心」というものはなかったかもしれませんから、この時期に感じたり考えたりしたことも、広い意味での「宇宙体験」の一部と思っています。
 確かに、宇宙に行く行かないにかかわらず「決心」できないことではありません。あるいは、本来、人間はこうした「覚悟」を持って生きているべきなのかもしれません。ですから、こうした「決心」は、宇宙と結びつけるべき必要はないのかもしれません。

5 眼差しは大地へ

孤立する有機農業
 有機・無農薬農業をやろうという人々は、特別のケースを除けば、地域的には孤立します。孤立の雨に洗われることがない自立はありません。
 今でこそ、お役所も「環境保全型農業」の推進という言葉を使うようになっていますが、1970年代、80年代に有機農業を志した人々の多くは、さまざまな意味で孤立しました。
 地域での孤立を覚悟する勇気は、都会での孤立に比べ、農村地域ではほとんど比較にならないほどの重みです。これは「共同体」の問題と関わっています。なぜ有機農業を始めることが孤立を招くのか。それは、まず現在の農業世界の生産・流通のシステムが、農にかかわる関連産業界の存立基盤である「近代技術」つまり化学肥料と農薬、そして機械化を中心にするシステムと構造的に一体化しているからです。
 空から大量に散布する航空防除が、その象徴でもありますが、健康な人間に薬を与えるのが「おかしい」のと同じくらい、健康な植物に薬を与えるのは「おかしい」という道理は無視されます。農薬使用は科学的と強弁されます。異を唱えることは困難です。
 一般的に権威ないし権力は、疑問を提示されるのを好みません。そして情報を独占したがります。疑問や質問は、情報の独占を危うくする場合があるので嫌われるだけです。農村で農薬使用が「当然」とされているなかで、「おかしいのではないか」と声を上げるものがいれば、それは権威への「反抗」とみなされます。秩序を乱す者とされます。
 そんなことを言うのは「変わっている」とされ、非難され、それでも声を出し続ければ、存在を「無視」されます。要するに孤立します。ですから、有機農業をやると表明し、実践するのは、今でも、地域によっては大変勇気のいることなのです。

異分子 - 幼児体験の記憶
 都会の人間にとって、田舎暮らしの厳しさは、決して農作業の辛さや、自然環境が異質であることではありません。むしろ、「社会環境」でしょう。覚悟としては日本語の通じる外国暮らしをすると思った方がよいでしょう。
 私の場合は、ロンドンに三年、ワシントン郊外に四年、そしてモスクワ郊外に一年二ヶ月と、異邦人として暮らした経験があるので、大滝根山麓の暮らしは、また異質の文化の中で暮らし始めたのだと、すぐに自分で納得できました。
 旅の人として暮らすことになれていたので、何の苦痛もありません。むしろ観察対象としては、日本という現実を構成する素材として、極めて興味深いものがあります。これは恐らく、私の「記者」という職業的な資質も関係している

環境汚染をどうするか
 私も、環境汚染源となる道具を農作業で使っています。それはほとんど全て化石燃料の使用と関連する道具であり、資材です。耕耘機はガソリンエンジン、軽トラックもガソリンエンジン、草刈り機はガソリンと灯油の混合。運搬機とパワーシャベルはディーゼルエンジンですから軽油です。また、椎茸発生用のハウスは塩化ビニール。生椎茸を消費者に送る箱は発泡スチロール。
 合成化学肥料と農薬は使っていないものの、こうした道具類と資材を使うことで、地球環境への汚染という意味では、私の手も汚れています。この汚れは、いずれ洗い流したいとは願っていますが、私個人の選択の問題としては、解決は難しい。

ライフスタイルの変更を
 この地球上に60億以上の数になった大型哺乳類であるヒトは、二十世紀に「人類」という意識を普遍化しました。二十一世紀は、この「人類」という意識から「地球生命」という認識、「地球意識」の獲得が求められるはずです。
 宇宙船地球号は、現在、様々な部分がいたみかけています。より遠くまで飛ぶためには、修理が必要です。先進国のライフスタイルの変更こそ、その第一歩でなければならないのではないでしょうか。

(評)
 元宇宙飛行士の秋山豊寛氏が農業をやっているというので興味を抱いて、最初に手にしたのが「鍬と宇宙船」という本だった。このとき最も私の関心を引いたのは、宇宙飛行を経験した彼がなぜ農業にとり組むことになったのか、という理由だった。しかし、「鍬と宇宙船」には、そのことについて、ほとんど触れてなかった。 次に読んだのが昨年の暮れに出たばかりの、「来世は野の花に 鍬と宇宙船(2)」という本だった。これは東日本大震災と原発事故に遭った著者が、福島脱出を余儀なくされた一部始終をドキュメント風にまとめたものだった。これにも先のいきさつについては書かれていなかった。
 そして、今回この本を、熊本県立図書館で見つけたのである。この本にそのことがすべて書かれていた。
 これによると、彼はいつの頃からか、とにかく長生きして世の中を見続けたいということが人生の目標になっていたようである。しかし、ただ生きるのではなく、暮らしの軸を「精神の自在性追求」に置かないと生きている意味はないのではないか、と思うようになっていた。彼は、選ばれたごく少数の人間にしか経験できない宇宙飛行を前にして「地球に戻ったあとは、その結果がどうなろうと、イヤなものはイヤ、納得できないことは納得できない、という姿勢で生きていこう」と自ら決心したのである。このような決心は、宇宙飛行をしようがしまいが、常にその覚悟で生きるべきだから、この決心と宇宙飛行とを結びつける必要はないかもしれないと書いている。しかし、一つ間違えれば、スペースシャトル「チャレンジャー」のような事故が起こる可能性もあるのである。このような大きなイベントに参加するという特異な状況に置かれたときの精神状態の高揚とでもよぶべきものがあってはじめて、このような決心をするという心の高みに到達しうるのだという気がする。
 そして、地球に帰ってきてからは、TBSでは管理職になったが、そのかたわら、休みを利用して、日本の農業の勉強をかねて、各地の農家の取材を始めた。二年ほどの間に、百カ所近くをまわり、さまざまな作物、あるいは過疎の問題、有機農業、減反、特産品、新規就農、農家の主婦、あるいは畜産といった日本の農業をめぐる様々な問題をつかむための現場を取材していった。この取材をする中で、「作って食べる暮らし」をライフスタイルの基本にする結論を得たという。そのとき52歳だった。
 彼にとって、個人の暮らしのあり方を「自給」と「精神の自在性」という方向から見直し、「地球危機」という自分の状況認識と生き方のつじつまをあわせたとき、彼ににとって「農のある暮らし」は無理のない選択だったということである。
 やはり、宇宙飛行が彼の行動に与えた影響は大きいと思う。もし、彼が宇宙飛行士に選ばれていなければ、彼はTBSで管理職になっていたとしても、ならなかったとしても、他の多くの職員と同じように、TBS職員として定年退職までの道を選んでいただろうと思うのである。

平成24年2月

菖蒲湯

20210505ショウブ1(700t)
 昨年の8月4日(記事があります)に移植した菖蒲がこんなに立派に育ちました。

今日は端午の節句、菖蒲にとって一年の中で最も利用価値がある日です。
さっそく、5株だけ根もとから切り取って持ち帰りました。
5月5日なので5株にしました。
20210505ショウブ2(600t)
帰って、風呂にお湯を張って菖蒲を入れました。
今どき、こんなことをする家庭がどの程度あるのでしょうか。
実はわが家でも久々です。

小学生の頃、祖母が菖蒲を数株ずつワラで束ねて商品にしてくれたものを、小遣い稼ぎに自転車の荷台に乗せて、近隣の村々を売って回ったことがありました。人々は待ちかねていたように、呼び止めて買ってくれたという記憶があります。
昭和30年代の始め頃でしょうか。スーパーもコンビニもない時代には子供達が流通の一翼を担っていて、人々もそれを当てにしていたのだと思います。






ソラマメ 6

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 ソラマメを収穫しました。
早速ゆでていただきましたが、絶品ですね。
ここ1年ほど、健康上の理由から晩酌を控えていますが、ビールがなくてもうまいものはうまい!
多分、自分で作らなければ、あえて買ってまでは食べないものなので百姓冥利というものです。

子供の頃は、この地方では「ナツマメ」と言ってましたが、完熟して歯が折れるほど固いソラマメの種子を、祖母が煎ってくれたものをよく食べていました。野菜としてこのような食べ方をするようになったのは個人的には最近のことです。


ニンニク 11

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 はやくもニンニクの葉が黄色くなってきました。
このまま放っておくと、茎の根もとが傷んできて柔らかくなります。
そうなると、収穫するとき茎が根もとから切れて、球が土の中に残り、収穫が大ごとになります。
ニンニクの根はびっしりと生えて大地をしっかりと掴んでいますから、球を取り出すのは思ったより手がかかります。
それで、茎がしっかりしている今のうちに引き抜くことにしました。
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ちょうど、一輪車山盛りとなりました。
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根と葉を包丁で切り離しました。
外側の皮を一枚剥ぐと、真っ白に輝くニンニクが現れます。
形と大きさがいいものを選んで、生ニンニクとして出荷します。
残りは一ヶ月ほど風通しのいい所において乾燥させて、通常のニンニクとして長期間出荷できるようにします。

手押し除草機で

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 5月になりました。
ハウスの入り口周辺の何も植えていないところにはあっという間に草がはびこります。
今のうちなら手押し式の除草機で何とか対応できますが、もう少し草丈が伸びると手押し除草機では歯が立たなくなります。
そうなったら、肩掛け式の刈払い機を使わざるを得なくなります。
腰への負担を考えると、刈払い機はできるだけ使いたくないので、草丈が高くならないうちにこまめに手押し除草機を使って除草しなければなりません。
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すっきりしました。
手押し除草機の写真は昨年の7月13日号に載せていますので、参考にして下さい。

コンポスト用ポリタンクの横で伸びているのはショウブの葉です。
三日後の端午の節句には利用できそうです。
ショウブは本などで調べると、池や川などに生える多年草の草本であると書かれていますが、畑や庭先にもってきてもよく育ちます。


プロフィール

blogst66

Author:blogst66
 教職在職中に木村秋則氏の「奇跡のリンゴ」を読んで感銘を受け、無農薬農法に関心を持ち、200冊以上の農業書を読み漁りました。本を読んで農業の知識が深まるにつれ、自分でも農業をやってみたくなり、一年早く教職を退き就農しました。(2013年)
 農業は8年間続けることができましたが、持病の腰痛の悪化により、農業活動を継続することが難しくなり、一線から退きました。(2021年)
 一昨年から趣味として「個別株投資」を始め、ブログの中身も投資に関することが増えてきました。投資はまだわからないことが多く、初心者が陥りやすい失敗例などを発信しながら経験を積み上げていこうと思っています。(2022年)
 2年半続けた個別株投資に限界が見えてきました。しばらく個別株投資に距離を置きます。(2023年6月)
 植物の写真集「みちばたの花」をはじめました。過去に散歩の途中で撮った植物の写真の中から、毎日ひとつずつ紹介します。(2023年6月)

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