本134 塩 光輝「新 エクセルで農業青色申告」

塩 光輝  だれでもできる「新 エクセルで農業青色申告」
あさ出版(2010年刊)
新エクセルで農業青色申告
塩 光輝
福島県いわき市生まれ
1971年 東京大学農学部農業工学科卒業
1973年 茨城大学農学部勤務 農学博士

序章 やってみよう エクセルによる農業会計
青申は時代の流れ
 白色申告でも年間所得が300万円を超えると帳簿を作成する義務があり、白色申告も青色申告も申告上の手間はあまり変わりませんが、白色申告のほうが税制上の特典が少なく、納税額としては不利な申告制度といえるのです。

 青色申告を新たに開始するときは、その年の3月15日までに申請し、税務署から青色申告の承認を受けておくことが必要です。作成された帳簿類は7年間の保存義務があります。

青申を経営改善に役立てる
 本書では、あれもこれもできるというやり方をとらず、「仕訳記録」という1本だけにしぼっています。

1章 これだけは知っておきたい複式簿記基本のキ

簿記会計の基本
 取引のすべてを記載する「仕訳記録」での入力ミスは致命的ですので、簿記のしくみをある程度理解することは必須です。
 財産をきちんと管理するためには、財産に影響を及ぼす取引をすべて記帳しておかなければなりません。これが「簿記」と呼ばれているものです。
 「金銭出納帳」は取引の収入と支出のみに着眼した記帳方式で、こうした収支計算書のスタイルをとっているものを「単式簿記」あるいは「簡易簿記」と呼んでいます。

 1つの取引と見られるもののなかには、実は2つの側面があるのです。これを取引の二面性といいます。「複式簿記」はこの取引の二面性を正確に表現できる「正規の簿記」です。
 財産といってもその種類はいろいろあります。そして、この種類を明確に区分しながら、損益だけでなく、「資産」と「負債」の増減についても管理を行うのが「複式簿記」です。「金銭出納帳」は収支の対象となっている財産は現金だけです。このため、資産や負債といったいろいろな種類の財産の増減を表現することはできません。
 簿記の記帳のときに、「複式簿記」のやり方で収入や支出の内容を分類しながら、取引の2つの側面で記帳することを「仕訳」といいます。

 「仕訳」を正しく行うためには、ルールをきちんと把握する必要があります。なお、「借方」とか「貸方」には特段の意味はないと思って下さい。単に仕訳の左側と右側を区別するものだと考えたほうがよいと思います。

勘定科目の種類
 仕訳は取引で発生する勘定科目を一定の法則に従って分類することです。したがって仕訳では、取引がどのような勘定科目に該当するかを判断できることが重要です。

2章 本会計システムの概要とインストール、操作方法

システムの概要
 本会計システムは会計の初心者を対象としています。ユーザーや処理機能に多少の制限事項を加えることで、システムとしてのシンプル性を維持することに配慮しました。とはいっても、基本的な会計処理の内容を省略することはできません。固定資産記録は減価償却費の自動計算、棚卸資産記録は期首・期末棚卸高の自動計算、育成資産記録は育成費用の自動計算といった、各種の自動計算が付加されています。
 対象とするユーザーは農業の個人事業者です。農業生産法人には対応しておりません。
 仕訳の入力方式では、あれもこれもの入力方式はやめ、いわゆる「仕訳日記帳」スタイルの「仕訳記録」のみに統一しました。
 減価償却費の計算方法は定額法のみにしました。定率法を採用している方には適用できません。農業では動植物の減価償却は法律で定額法で行うとされています。一般に個人事業者の場合、届出をしないときは定額法を採用しなければなりません。圧倒的に多数の農家は定額法です。

システムのメニュー
・メインメニュー
1 初期設定
2 日常業務
3 決算業務
4 帳簿作成

 ・初期設定
1 会計年度
2 勘定科目
3 青申勘定科目
4 科目対応関係
5 自動仕訳
6 育成基準金額
7 年度始残高

 ・日常業務
1 仕訳記録
2 固定資産記録
3 棚卸資産記録
4 育成資産記録

 ・決算業務
1 試算表の作成
2 清算表の作成
3 消費税の計算
4 年次処理

 ・帳簿作成
1 貸借対照表
2 損益計算書
3 青色申告決算書
4 青色申告決算書(裏面)
5 現金出納帳
6 勘定元帳
7 経営計画

3章 初期設定

4章 日常業務

仕訳記録
 「仕訳記録」は複式簿記の出発点であり、根本となる記録です。ここで日常の取引におけるすべての仕訳伝票の内容を記載します。入力されたデータはすべての会計帳簿に結果が出力されます。すべての取引は「仕訳記録」で入力される必要があります。

自動仕訳の利用
 あらかじめ「借方」と「貸方」が設定されている仕訳内容をクリックするだけで、1つの仕訳記録を完了させる方式です。事前に「自動仕訳の設定」を行い、取引例を登録しておく必要があります。

固定資産の記録
 ここで固定資産となりうるものは、1個の取得金額が10万円以上で、使用可能年数が1年以上のものです。

5章 決算業務

6章 帳簿作成

7章 データの加工と活用

(評)
 なんとか、自分で確定申告ができるようになりたいと思い、この本を読んでチャレンジしてみました。
正直言って、モノになりませんでした。
最初の方はわかったようなつもりで進んでいきましたが、そのうちに、頭が混乱してわからなくなりました。
最大の原因は、簿記で最も重要な用語のひとつである、「借方」と「貸方」の使い分けです。
わかったつもりで読んでいても、いつの間にか、頭の中で「借方」と「貸方」を逆に使っていて、もう一度読み直すということがありました。これを何度か繰り返すうちにいやになってしまいました。
やっぱり、本一冊読んで確定申告ができるほど甘くはなかったです。
簿記はどんな仕事をしていても、フリーランスで働く人には欠かせない技術ですから、専門の教習所などで体系的に基礎から学ぶ必要があると思いました。

結局、確定申告は毎年、税理士さんに頼んでいます。
税理士さんに頼むと、費用がかかりますが、その費用よりもはるかに有効な素人の私たちが気がつかない部分の節税処理をしてくますので、結果的には、そのほうがずっと安くついたと思っています。

平成25年8月

本131 赤松富仁「写真でとらえた野菜と花のビックリ栽培」

赤松富仁「写真でとらえた野菜と花のビックリ栽培」プロ農家の技
農文協(2008年刊)
写真でとらえた野菜と花のビックリ栽培
赤松富仁
1948年静岡県生まれ。
東京総合写真専門学校中退。
1980年代後半から農業関係の撮影。
1992年1月号より『現代農業』に「松ちゃんのカメラ訪問記」連載。

全国の農家をカメラで訪ねて

○農業素人のカメラマンの目で
 栽培技術に関しても、研究者は実証実験で証明されたものしか発表し活字化しません。農家は日々作物と対峙する中で、理屈はさておき、作物がよく育ってくれて、思い通りの収穫があればそれでよしで行動しているのです。そのときどきの作物の表情や、作物と会話することで肥料を振ったり水をやっているのです。活字化された世界と、日々作物と対峙している農家の思いやこだわり、行動との間にはけっこうすきま風が吹いていることに気がついたのです。そのすきまにカメラをねじ込むことで、今日まで連載を続けることができたのだと思います。
○農家と作物との〝真剣勝負〟
 農家はそれぞれ自分のおかれた条件のなかで、いかに創意工夫し、独創的な栽培技術を編み出しているかということです。
○農の世界は〝不思議の国〟
 それにしても、農業の世界は、実に不確定要素が多い世界です。
 牧草の中で野菜を作ると無農薬で収穫できるのだと、じつに奇想天外な方法を編み出した瀬戸山巌さん。無農薬栽培は、自然界の大きな歯車に身を委ねることから始まるような気がします。
○植物はあるがままにしか生きられない
 植物の生理生態を、日々植物と対峙する中で会得し、個々の農家として積み重ねてきたノウハウは、マニュアルばやりの現代にはとても貴重なものです。

おいしい野菜をつくりこなす  -名人の生育の見方と技-

あとがラクになるトマトのしおれ育苗   群馬県沼田市白沢町 小林勝利さん
購入苗を過酷に鍛える
 本葉四枚ぐらいから水分を切って、いじめ始めます。陽の傾く三時頃、三寸五分の鉢に植わったトマトを見ると、茎までしおれて完全におじぎをしてしまっています。その鉢に一鉢ずつホースで水をくれる小林さん。しかし、その水の量はほんのわずか。コンマ五秒もホースは止まっていないのです。わずかの水のかけひきで全体の生育をそろえていくのだそうです。
根づくり、樹づくり、最後が実づくり
 最初の根づくりのポイントは、三段の花が咲き始めるまでは放任して、横芽を取らずに生長点を多くしておくこと。生長点にはオーキシンが働くといわれ、こうすることで根の発育が活発になるなるのだそうです。ただし、三段の花が咲き始めたら横芽は全部とってしまいます。この時点で速やかにとってしまわないと、今度は樹づくりができなくなってしまうといいます。

固くて重い土の傾斜地で、糖度一八度のホウレンソウ   埼玉県所沢市 中 健二さん
 野菜の中で軽い土で作ったほうがいいというのは、サツマイモぐらいだと中さんは言いきります。
 中さんは、野菜の美味しさを第一義に考えてやってきました。「野菜本来の美味しさを出すやり方というのは、結局、昔の農業に戻ることかもしれない」と、中さんはいいます。

「金春」キャベツを腐敗病を出さずにつくる   千葉県銚子市 加瀬幸太郎さん
 加瀬さんは、「人間の技術なんて二割もない、八割は自然条件に左右されてしまう。露地野菜では自然に逆らっては絶対にダメだ」といいます。
 金春は、寒さに弱く特に寒害が出やすいと言われているので、腐敗病を防ぐには、この凍害をいかに防ぐかにあります。加瀬さんのいう二割しかない人間の技術とは、寒さを防ぐのではなく、寒さに強いキャベツをつくるということ。まず、加瀬さんはこの時期の金春の施肥量を作型の施肥量と比べて三分の二ほどに減らします。とくに窒素成分は二分の一以下まで落としてしまいます。当然生育スピードも遅くなり、人よりも一週間から十日遅れるといいます。しかし、「いいんです、遅れて。自然に流されて露地野菜は作るんですから」

ハーブを完全腐植で作ると・・・   茨城県取手市 霜多増雄さん
今の有機農業は腐敗農法
 じゃあ王道の農法っていうのは、何ですか。
「腐植を使った農法です。有機農法の原点は有効微生物の生活圏、土の中の環境づくりなんです。有効微生物は腐植が欲しいんだ。有機物くれなんて言っちゃいないよ。ここが最大の過ちだ」
「腐植は一作ごとに一平方m当たり350g入れていく。つまり反当たり350kg。肥料なんて一切入れない。それで十分連作できる。腐植は鶏糞などからつくるので肥料分はあるだろうが、チッソレベルで言うと0.02%ぐらいしかない(反当たり70g)これだけでものができてしまう。腐植が少しでも多すぎると、作物が萎縮してしまう。
完全腐植づくりにかけて三六年
「腐植の詳しいつくり方は企業秘密だが、一つ二つヒントをあげよう。まずは外人部隊の菌を使わないこと。紫外線のもとで土着の菌で堆肥を作り腐植化することです。もうひとつは・・・ガスだよ! 菌を殺すガス害から菌を守ってやること、ガスの発生を抑えるということなんだよ」
「堆肥を作るとき微生物の住む世界=堆肥の中の環境をよくしてやれば、分解はどんどん進んでいくんです。環境が悪いから堆肥で止まってしまい、腐植に移行していかないんだよ」

世界中の野菜をつくりたい   静岡県浜松市 谷野守彦さん
イタリアン、フレンチのレストランに出荷
 守彦さんは、あえて自分のつくった野菜を市場流通させることをしません。めずらしい野菜を大量につくって市場に出したとしても、最初はいい値段で売れるかもしれませんが、いずれ安値安定となり自分の首を絞めることになるのではないかといいます。
 ルーコラを外食チェーンに納品していたときも生産が追いつかず、大量生産するところに取られてしまいました。市場や流通関係と太いパイプをつくると、結局何をしているのか分からなくなるという思いを味わったのでした。

無農薬で野菜をつくる

単品は危険が大きいから、混播・混植 広島県神石町 伊勢村文英さん
 厳寒期には野菜がほとんど無く、いろんな種類の野菜が求められます。また、限られた面積でいかに効率よく収穫するかとなると密植が考えられ、これはもう混植しかないと。しかも冬場は超密植にしても病害虫の心配がありません。
 また、寒さに強く発芽しやすいものとしにくいものを一緒に播くと、先に発芽する寒さに強い作物が守ってくれ、寒さに弱い作物でも容易に発芽してくれるそうです。
(写真)ハウス内にはところどころにムギの株が。農薬を使わない伊勢村さんにとって、このムギは農薬がわりになる。ベト病予防、アブラムシ対策、土壌改良対策と役割は大きい。
 伊勢村さんの出荷する野菜には、ハクサイをかたどったシールが貼られています。二十年近い闘いの中でやっと勝ち取ったハクサイの無農薬栽培を記念したものだそうです。ハクサイができるようになれば有機農業で一人前になった、ということだそうです。

土を裸にしてはいけない 千葉県南房総市 八代利之さん
 八代さんは、鶏舎の中にあらゆる有機物や炭を細かく砕いて入れています。こうして鶏糞を増量し、肥料分を低くして、作物の株元にふるようにしています。イナワラやムギワラは畑の隅に堆肥として積んでありますが、これも畑全体にうないこむほどの量はありません。作物の生育を手助けするためにうねの上に堆肥をマルチとして施すのが精一杯の量です。
「有機農業では、菌がたくさんいる世界をつくってあげることが私たち人間の仕事です。土が裸になってしまうと、太陽光線によって微生物が死んでしまいます。微生物は植物の根の先端で養分の吸収を手伝ってくれます。その微生物が生きられるようにするには、土の上に何かを覆い、マルチしてあげなくてはいけない。それが野山の自然な姿であり、それをめざすことが必要なのです」
 八代さんは、果菜類など、夏場の作物の暑さ対策には、ムギワラを敷きます。蒸れにくいのだそうです。
 ただ、有機物なら何でも敷いていいかというとそうでもないようです。例えば、夏場、土手草などの青草を刈って敷くことはやめた方がよさそうです。以前、よかろうと思ってやったら、秋になって害虫の手痛いしっぺ返しを受けたそうです。

草の中で育つとかえって虫がこないのだ   徳島県阿波市 沖津一陽さん
 アオムシが殖えてこまったなあと思っていると、ある日一晩でいなくなる。おそらくクモが食べているんだと思います。クモは無茶苦茶いる。だから、収穫して外葉を落とせば、普通のキャベツと変わらないものができます。うちの畑には、草のおかげで未熟堆肥が勝手にできている。そこに肉食昆虫が住みつくんだそうです。
 おもしろいのは、作物と畑の場所に、どうも相性がありそうだということ。もし場所が合わないと、定植してすぐ虫にやられ、全滅ということもあるそうです。「不思議ですが、こういうところは何回植え直しても食われてしまう。そんなときは、別に畑を変えなくても、うねをちょっと変えてやればいいんです。40センチうねをずらすだけでもOK」
 肥料もほとんどいりません。この農法を始めた当初は米ぬかをふって作付けをしましたが、二年三年と経つにつれて、それも必要なくなりました。キュウリなんかも無肥料でいいそうで、ひとうねにバケツ一杯の米ぬかをまいたら、病気やアブラムシが出てかえってダメでした。肥料は過ぎても虫がつきますし、足りなくてもつきます。
タネを播くだけ、あとは草の管理
「昨年の夏草がこんなに堆肥化しています」と沖津さんが掴みあげた量にビックリ。たしかに、畑にこれだけの堆肥を一面入れるとなると、なかなか大変なことです。夏草を生やせば冬草が抑えられるし、その逆もあります。
 日が遮られるようなら、周りの草を放置する。収穫の終わったものも、作付けに影響なさそうならそのままにしておく。草に畑を耕させているのです。二年三年と草生が続けば続くほど、土がホクホクしてとても軟らかくなってくるのです。
(写真)自家採取したタネを大切に保存する。F1の甘いトウモロコシなどは、草生栽培に向かない。健康な野菜づくりは健康なタネ採りから。品種はなるべく固定種。自家採取もしやすいし、草生栽培に向いている。

牧草の中の野菜は無農薬   鹿児島県大口市 瀬戸山巌さん
 10aほどの野菜畑は全面に40㎝ほどに伸びた牧草のイタリアンライグラスがびっしり。ハクサイもダイコンも見えません。
野菜とイタリアンを同時期に播く
 瀬戸山さんは、六年ほど前までは和牛生産農家でした。当然、イタリアンライグラスも飼料として何反歩もつくっていました。イタリアン畑の端に自家用野菜を2aほどつくると、虫やセンチュウのの害がなく、野菜がすこぶるよくできていました。
 瀬戸山さんいわく、野菜の種子とイタリアンを同時期に播くのがミソ。ダイコンの肌を汚すセンチュウ害を防ぐためにイタリアンを混播するようになったという瀬戸山さんですが、それ以上に混播のよさが見えてきました。アオムシの被害がまるでなくなりました。チンゲンサイやタカナもイタリアンのおかげで外葉が直接土に触れないので、集荷調整がラクだし、菌核病なんかも出ないのだといいます。

「美しい無農薬野菜」をつくるアーティスト   高知県本山町 山下一穂さん
(写真)これで無農薬?と疑いたくなるきれいなタマネギ畑。元肥はゼロ、活着してからEM生ゴミ堆肥を上からふっただけ。
 〝安全・安心〟を全面に出しても多くの消費者の支持は得られない。〝美味しい・美しい〟を前面に出してアピール、〝安全・安心〟は消費者に実感してもらえばいいことなのです。
施肥量・施肥技術で病害虫を防ぐ
 肥料を全層施用すると肥料からの根の逃げ場がなく、病害虫の被害が多発します。反対に根の直下や近くにチッソ分がなければ、病害虫の被害は大幅に減らすことができるのだそうです。更に、山下さんは、土の気相の確保のために、いかに腐植の多い土にするかに力を注いでいます。
 腐植の多い土にするにはカヤが重要な役割をします。山下さんは切り刻んで畑の中に直接入れたり、カヤマルチとして使った後にすき込んだりします。すると、大量のカヤが畑の通気性をよくしてくれ、時間とともに分解して腐植化していくのです。
 山下さんはシルバー人材センターにお願いしてカヤを刈り、積極的に畑に投入する。カヤは山下さんの有機無農薬栽培の頼もしい助っ人。

(評)全国の篤農家の実践例を写真で紹介した本。
やはり、写真がないと内容が伝わりにくいので、興味を持った方は本書をご覧ください。

平成24年9月

本124 「炭 とことん活用読本」

農文共編「炭 とことん活用読本」 土・作物を変える不思議パワー
農文協(2008年刊)
炭 とことん活用読本

Ⅰ 炭の不思議

炭を入れると微生物が増える
小川眞(農水省林業試験場1989年)
炭はまだ不明な点が多い
 炭を働かせようと思えば、それによって動く微生物のことも考えに入れて、堆肥を投入したり施肥量なども改めたりしなければならない。私の知る限り、炭は肥料でもなく、万能薬でもない。炭化物の理化学的性質や微生物や根などとの関係についてはまだ不明な点が多く、推測の域を出ないことが多い。

炭の種類によって性質が大きくちがう
 一口に炭といっても、その性質は製造法や材料によって大きく異なっている。性質がよく知られている活性炭は、炭を水蒸気や薬品で活性化し、ガスや色素などの吸着力を高めたもので、オングストローム単位の微細な孔をもち、化学的活性が高い。
 一方、樹皮や木材、モミガラなどの廃物から作った炭には、元の細胞や組織がそのままの形で残っているため、比較的大きな孔が多い。その点では、軽石やサンゴ、陶器などに近い。活性炭と比べて、細菌やカビなどが生息しやすく、その点では生物活性の高い資材といえる。さらに、活性炭と比べると劣るが、普通の炭もガスの吸着力は高く、アンモニアガスや亜硫酸ガスなどもよく吸着する。
 土壌中が嫌気状態になったり、未熟の有機物が多く存在すると、脱窒菌のはたらきで窒素肥料がガス体になって逃げる脱窒現象がおこる。炭には逃げる窒素をとらえられるかもしれない。
 アンモニア態窒素を加えた炭の粉を土に混ぜておくと、その中に硝化菌が繁殖する。したがって、このようなサイクルを上手に利用すれば、土の中の窒素循環をうまくコントロールすることが可能になるかもしれない。

炭を入れると微生物が増える
 炭の中には微生物の栄養源となる有機物がまったくないので、土中で大勢を占める腐生菌は入ることができない。最初に入って来るのは、少量の栄養源で生育するアゾトバクターなどの好気性非共生窒素固定菌である。
 そして窒素がたまってくると同時に酸素と水を好む根が近づき、発根が盛んに起こる。 マメ科植物であれば、炭の中に逃げ込んだ根粒菌がすぐ根粒をつくって共生する。VA菌根菌も炭の上で発芽しやすく、出た菌糸はすぐ根について菌根をつくる。こうなると、土の中に過剰にたまった難溶性のミネラルやリン酸などは、VA菌根菌の菌糸に吸収されて、植物に送り込まれ、残りは菌体の中に貯えられる。

鉱物リン酸を菌根菌が作物に吸収しやすくする
 土の中にあるリン酸は、カルシウムやアルミニウム、鉄などと結合した鉱物リン酸である。これらは難溶化しているが、土中の中のリン酸の多くを占めるため、植物はこれを、溶かしだして利用している。根が鉱物リン酸を溶かし出すのを助けているのは細菌やカビの仲間で、いずれも有機物を分解する能力が高く、堆肥などの中に多い。したがって堆肥を施用すると、これらの微生物の働きでできた有機酸が鉱物リン酸を可溶化し、作物が吸収しやすくなる。したがって鉱物化してしまったリン酸をうまく利用するためには、炭だけでなく堆肥などの有機物を一緒に与えなければならない。

炭堆肥に土壌病害を抑える効果
 最近分かったことだが、家畜の屎尿と粉炭を混合して堆肥化すると、脱臭するだけでなく、特殊な放線菌や古草菌の仲間が繁殖して有機物を完全に分解し、良質の炭堆肥ができる。この堆肥の中には土壌病害を抑える抗生物質が含まれており、ピシウム、フィトフソラ、リゾクトニアなどやネマトーダにも効くといわれ始めている。

有機物・微生物・炭で年々土が肥沃になる
水口文夫(実際家・元愛知県農業改良普及員)

鉱物化した養分を利用する
 土の中には不可吸態の養分がいくらでもある。私が緑肥に使っているエビスグサがどんな荒れ地でもできるのは、土の中の難溶性といわれる成分を、根から出す分泌物で溶かし、作物に吸える形に変えているからだと思う。VA菌根菌は作物と共生し、リン酸の吸収を助ける。微量要素欠乏症状がでれば、微量要素をやる、ということで本当にいいのだろうか。

肥料をやると肥料が吸えない
 カリ、カルシウム、苦土などの塩基類を不用意に施用すると、陽イオンどうしの拮抗作用によって、他の要素の吸収を妨げる。カリの多用は著しく苦土の吸収を悪くするし、石灰が多すぎても苦土の吸収を阻害する。さらに、窒素やカリ、苦土が多すぎると、今度は石灰の吸収を悪くする。「とりあえず、多くやっておけば安心」というわけではない。

堆肥は株元にしか使わない
 カボチャなんかの場合は植え穴に堆肥を入れる。全面使用しないから、反に300kgあれば十分だ。作物は生育初期が大切で、堆肥を畑全面に散布しなくても鉢周り施用か株元施用で同じ効果がある。スイートコーンは風に弱いので、堆肥を株元にやり、その上に軽く土寄せする。

緑肥・堆肥・炭を長年利用してきた結果
 私が少ない肥料や、少ない堆肥でも効果が上がっているのは、二~三年おきに緑肥をまき、前作の残渣や雑草をハンマーナイフモアで破砕・乾燥施用し、堆肥を株元施用し、炭を利用するという一貫した体系を長年続けてきたからだ。

養分の吸収を微生物が助ける
 リン酸は土壌中での移動が遅い上、根が直接接している土壌溶液リン酸は、全体の1%でしかないといわれている。根と共生しているVA菌根菌は、根から数㎝も菌糸を伸ばし、根圏の外側の可吸態リン酸を収集して作物に供給する。

(実験写真)菌根の発達を促す炭
 菌根菌を接種してキュウリの苗の生育をみた。炭を施用しない場合、接種と無接種のさはなかったが、炭を施すと、接種区の生育がずっとよくなった(写真)。このように炭には、菌根の発達を促す作用がある。

モミガラくん炭の性質
中島武彦(野菜・茶業試験場1992年)
 モミガラは酸素供給を制限して低温で焼くと形が崩れずに粒ぞろいのよいくん炭が得られる。これに対して、高温で燃焼するほど灰化する割合が高くなって形も崩れる。また、モミガラくん炭の容積はモミガラ自体が燃焼によって小さくなり、かつ振動や積み替えによって若干崩れ、七割ほどに縮小するので、モミガラは必要量の1.5倍焼くのが望ましい。くん炭の重量は水分消失に加えて、タンパク質や繊維質などが燃えて軽くなり、1リットル当たり150g程度となる。

Ⅱ 畑での利用

炭・炭ボカシ肥の使い方・つくり方
水口文夫(実際家・元愛知県農業改良普及員1997年)

 昨年はかんばつ気味だったが、炭を施用したところは、土に湿りをもち、タマネギの根張りがよく、二月下旬頃から生育差が目立つようになった。この原因は、炭が太陽熱を吸収して、地温を高めたためではないだろうか。また、乾燥しているときでも炭のあるところが湿っていることから、炭が保水的な役割を果たしたのではないか。さらに、炭にカビ状のものが見られることから、有効微生物の住みかになり、これら微生物がタマネギとの共生関係にあり、根の働きをよくしたのではないか、と考えられた。

○何日前に施すのか
 今まで私は炭にしろ、炭ボカシ肥にしろ、植えつけまたは種まき当日に施用したことはない。その1週間前くらい前に施用している。種まきして根が伸び出す頃には炭が微生物の住みかになっている条件が必要なように思われたからだ。

○つくり方
 炭焼きは、炎を上げて材料をやくのではなく、蒸し焼きにして炭化するのである。私は直径1.8m、深さ1mの穴を掘り、この中で材料を炭にしている。最初、穴の底全面に5㎝くらいの厚さに炭火をつくる。この上に40㎝くらいの厚さに小枝や雑木をつめ、その上を雑草やモミガラで覆い少量の土を散布する。小枝や雑木のの上に雑草やモミガラを投入するのは、雑木や小枝のすき間から土が落ちないようにするためである。土を散布するのは、火勢を弱め蒸し焼きにするためである。このような方法で材料の投入を繰り返し、穴の上面いっぱいに入れる。そして最上部へは厚さ5センチくらいに覆土する。炭化が進むにつれて、上部に被覆した土の重みで漸次沈下し、完了とともに材料の沈下が止まり、白煙も出なくなる。焼き始めてから三~七日後に炭を取り出す。まだ火は消えていないので水1リットルに尿素200g溶かした液をジョロで散水する。取りだした炭は再燃の危険性があるから、家屋内には絶対に持ち込まない。また、夜間も燃焼を続けさせるので、火災の心配のない場所を選ぶこと。濡らすとカリが流亡するから、雨にぬれないように貯蔵する。

炭を使いこなして低温に強い、減肥できる畑を作る 
水口文夫(実際家・元愛知県農業改良普及員1997年)
 溝底栽培のコカブやホウレンソウも、炭マルチを行ったところは異常低温に負けることなく、厳寒期にも甘味の高い、おいしいものを収穫することができた。
 炭マルチを使えば地温を二~三度高めることができるから、根の伸びがよく、深根が多くなる。特に細根が著しく発達する。根が深く張ることによって、ソラマメやコカブなどは異常低温に対する抵抗力を高めることができたのである。

炭と自給堆肥だけで30年 八代利之(千葉県農業2004年)
肥料は自家製鶏糞のみ
 鶏舎の床に炭と有機物を細かく砕いて敷いています。出来た堆厩肥は、作物の株元にふるようにしています。 イナワラや、ムギワラでつくる堆肥も畑全体にうないこむほどの量がないので、マルチとして畝の表面に施しています。
 有機農業では、菌がたくさんいる世界をつくってあげることが私たち人間の仕事です。土が裸になってしまうと、太陽光線によって微生物が死んでしまいます。微生物は植物の根先端で養分の吸収を手伝ってくれます。微生物が生きられるようにするには、土の表面を覆わなくてはいけない。それが野山の土壌の自然な姿なのです。この辺は重粘土地帯なので、マルチがない状態で雨が降ると、地表面に粘土の板ができたようになって、土に空気が入っていかない。乾けば、今度はひび割れができてしまうのです。

炭や有機物マルチで微生物を活かす
 果菜類など、夏場の作物の暑さ対策には、ムギワラを敷きます。蒸れにくいのだそうです。地這いのツルものは、ムギワラが足りなくなるのでイナワラを使います。ただし、有機物なら何でも敷いていいかというとそうでもないようです。以前、夏場に土手の青草を刈って敷いてみたところ、秋になって害虫の手痛いしっぺ返しを受けたそうです。

くん炭は太陽の光の貯蔵庫  古賀綱行(熊本県上益城郡清和村1986年)
くん炭5センチ被覆で地温一度上昇
 モミガラくん炭や炭は、太陽の光とエネルギーをよく吸い取り、それを土に送り込む大切な役割を持っています。私の畑では、冬でも無加温小型トンネルに寒冷紗、むしろ、くん炭だけで作物は丈夫に育っています。
 冬場は温度差が大きくなります。外気が下がると、農家は人工的ないろいろな工夫をしていますが、くん炭に勝るものはありません。マルチなどに利用すれば、工夫一つで大きな効果を上げることが出来ます。
 植物は、だいたい五度を境にして、生育をやめたり始めたりします。昔から「根にはできるだけ好適な温度を与えて活力をつけることで、植物はすべて丈夫になる」と言われてきました。
 外気零度、地下2センチも零度、しかし5センチいかの地温は零度に非ず。外気よりも暖かく、二度です。そしてくん炭を5センチの厚さに敷いてやれば、外気を遮断して地下5センチの地温は3度もあり、それより深いところは5度もあるときがあります。

○タマネギ
 くん炭を高さ5㎝ほどの山型にやっておくと根に活力があり、春一番の追肥の効果が最大になることをこの目で確かめています。
 根を保護するくん炭の役割は大きく、タマネギはとくにそうです。早春、三月中旬頃、タマネギを一個掘り上げてその根を見ると毛細根の数こそ差はありませんが、一本一本の根が太く力強くできているのがわかります。だから、タマネギのそろいもよく、耐病性も貯蔵力も高いものが出来ます。

炭は土壌改良に最適  飯田和子(北海道夕張郡1991年)
 野菜では日持ちがよくなるほか、甘味が出るのが特徴です。また今年のように雨の少ない年は、他の畑が水不足でも、炭を入れた畑は元気でした。炭が少量の水分をしっかり貯め込んでいるのです。それに炭は、水分と一緒に肥料分も貯えています。作物の育ちが段違いによくなるはずです。

Ⅲ 水田での利用

Ⅳ 育苗での利用

Ⅴ 畜産での利用

Ⅵ 炭やき・炭資材づくり



(評)
 炭を施すと、植物の細根が増えたり、作物の味がよくなったり、密度が増したりするのは、方法はまったく違うが「永田農法」の結果とよく似ている。どちらにも共通すると思われることは、微生物の活性を高める結果起こる現象ではないだろうか。微生物が植物に作用した結果起こる現象という視点で見ると、まったく違う方法が実は同じ原因で起こっているという根本的なつながりが見えてくる。永田農法も自然農法も炭の効果も有益な微生物の活性を高めることを目指した農法であるという点で一致しているのではないだろうか。このことを科学的に証明してくれる学者が現れて欲しいものだが、いかんせん、研究室でパソコンの前に座って一日を過ごす学者先生には畑のことは何もわからない。

平成24年3月

本122  藤原俊六郎「堆肥のつくり方・使い方」

藤原俊六郎「堆肥のつくり方・使い方」原理から実際まで
農文協(2003年刊)
堆肥のつくり方・使い方
藤原俊六郎
昭和22年岡山県倉敷市生まれ。
昭和45年島根大学農学部農芸化学科卒。
神奈川県農業総合研究所、神奈川県園芸試験場、神奈川県農政部農業技術課など。

パート1 堆肥利用の基礎=堆肥はなぜ必要か

第1章 堆肥とは

1 堆肥とは何か
  かつては、ワラ、落ち葉、野草などを堆積し分解させたものを「堆肥」、家畜ふん尿を主原料とするものを「きゅう肥」農業系以外の有機系廃棄物を堆積発酵したものを「コンポスト」、全てを総称する「有機物」と区分することもあった。しかし、現在ではいろいろな有機物資材が原料として用いられるようになる、しかも、単独原料だけで堆肥化することは少なく、家畜ふんにワラやオガクズを混合するなど、複数の原料で堆肥化することが多くなっている。このため、特に区分せず「堆肥」とよぶことが適切といえる。そして、単独原料では「牛ふん堆肥」、複合原料による堆肥は、「オガクズ混合牛ふん堆肥」のように表現することが主流になっている。

2 堆肥と肥料との違い
  堆肥は作物が育つ土壌環境を改善する役割があるのに対し、肥料は作物が育つのに必要な養分を供給する役割(肥料効果)がある。
 また、堆肥が肥料と大きく違うのは、効果が徐々に現れるとともに、連年施用することによってその効果が累積していくことである。堆肥を連用すると、分解されにくい有機物が土壌中に蓄積され、土壌有機物となって長期的な養分供給力がしだいに高まる。この効果は肥料には見られない。

3 堆肥と有機肥料の違い
  有機肥料は原料を乾燥したり蒸したりして製造し、微生物が関与していないので、微生物が分解しやすい有機物を多量に含んでいる。そのため、土壌施用後に微生物が急増し肥料効果が出やすい。
 しかし、微生物活動によってつくられた堆肥は、分解しやすい有機物のほとんどが堆肥のできる過程で分解しており、残りが土壌中でゆっくり分解する。そのため肥料効果が出にくい半面、効果は持続する。

4 有機肥料と化学肥料の違い
  有機肥料は魚カス、骨粉、植物油のカスなど、動植物に由来する有機物を原料としたもので、肥料成分が高いものをいう。動物性のものはリン酸が多くカリが少なく、植物性のものはリン酸が少なくカリの多い傾向があるため、数種の肥料を混合して使うことが大切になる。有機肥料は、窒素、リン酸、カリ以外に微量要素も含んでいるため、作物栽培には適した肥料だが、化学肥料に比べると肥料成分が少ないので多量に施用する必要があり、作業が大変になる。また、有機物であるため、微生物が急激に活動すると、根傷みやタネバエなど虫害の原因になることがあるので、作物を植える二週間以上前に施用し、土壌と混合するなどの注意が必要である。
 化学肥料は、作物に必要な肥料成分だけをつくっているため、成分含量が高く、有機肥料の数倍以上含まれており、使用量は少なくてすみ作業が楽である。

5 なぜ堆肥にするのか
  あらかじめ微生物によって、分解しやすい有機物や作物生理に有害な物質を分解しておくことが、堆肥化の大きな目的である。堆肥化による発熱によって70~80℃程度まで温度を上げることができれば、乾燥した扱いやすい堆肥ができるだけでなく病原菌や寄生虫の卵、雑草種子などを死滅させることができ、安心して使える農業資材に変えることができる。

6 堆肥に必要な四つの条件
① 作物に障害がないこと
  有機酸やフェノール性酸などの有害な成分や雑草 の種子も含んでいてはいけない。
② 環境に有害でないこと
  有害な重金属や病原菌を含んでいないこと。
③ 製品が安定していること
④ 取り扱いやすいこと
  有機物を農耕地に散布する場合は、10アール当 たり一トン以上の大量の散布を必要とするため、取 り扱いやすく作業が効率的に行えることが大切。

7 ボカシ肥と堆肥の違いは
  堆肥はアルカリ条件下で好気的に温度を高めて分解させるため、窒素がアンモニアとなって揮散する。これに対し、有機物を土と混ぜ低温でゆっくり熟成させ、肥料成分の揮散を防いでつくったのがボカシ肥である。
 ボカシ肥は油カスや魚粉などの有機肥料を直接施用するとタネバエや野ネズミの被害が出るが、この害をなくすことをねらって、有機肥料をあらかじめ好気的に短期間分解したことから始まったもので、肥料の効きを「ぼかした肥料」の意味である。

第2章 堆肥の効果とは何か

1 堆肥をなぜ使うのか
  肥料がなければ作物は育たないが、堆肥を使わなくても作物は栽培できる。しかし、堆肥を全く使わないで作物を栽培していると、年々作物がつくりにくくなってくるが、毎年堆肥を施用している農地では生産が安定してくる。堆肥の効果としては増収、品質向上、安定生産の三つがあげられる。

増収効果>
 窒素、リン酸、カリだけでなく、微量要素の適性供給にも効果がある。堆肥から出るホルモン用物質による生育促進効果もあるといわれている。
<品質向上>
 作物は根から養分吸収を行うため、根に供給される肥料成分や水が適切であれば、品質は向上する。堆肥の養分保持力による適切な養分供給とともに、団粒化を促進して土壌を膨軟にすることによって、作物への過剰な水分供給が防げる。
<安定生産>
 連作障害は土壌中に存在する有害微生物によることが多く、生産安定のためには堆肥による土壌生物性の改良が重要な要因といえる。

2 団粒をつくり物理性を改善する

3 リン酸の活性化など化学性の改善
  日本に広く分布する火山灰土壌や酸性土壌には活性アルミニウムが多く含まれており、施肥したリン酸が土壌に強く吸着されて、作物が吸収できなくなることがある。堆肥を施用することによって、腐植酸、有機酸、各種糖類などがキレート作用(有機化合物と金属イオンが結合する化学反応)によって活性アルミニウムと結合し、リン酸を離す。そのため、堆肥の施用により、土壌のリン酸吸収係数が低下し、作物に吸収されやすい可吸態リン酸が増加する。

4 多様な土壌微生物をふやし生物性を改善
  堆肥を施用すると、それをエサに土壌中の微生物が増殖し、施用した堆肥だけでなく、それまでに土壌中に蓄積されていた有機物の分解も促進される。これはプライミング効果(起爆効果)と呼ばれ、分解により窒素をはじめ多くの養分が放出される。

5 堆肥に期待されている作物品質の向上
  農作物の品質には、外観、日持ち、食味、内容成分などがあるが、とりわけ、日持ちと食味の向上が期待されている。その理由は、食味に関係が深い糖は、窒素肥料と水が少ない条件で蓄積する傾向にあるが、窒素肥料が多いとタンパク質が合成される回路がはたらくために、糖成分が減って味や貯蔵性が低下する。化学肥料では急に効くので糖が減少しやすい傾向があるのに対して、堆肥は土壌中で分解して徐々に窒素を放出するので、食味が向上すると考えられている。

6 堆肥による病害虫の抑止効果
 このように、堆肥の持つ効果はあいまいであり、生物的緩衝作用に対する堆肥施用の有効性を過信することは危険である。土壌病害の抑制を期待して堆肥を多量に施用するよりも、むしろ腐熟した良質を適切に施用することによって土壌の化学性・物理性を改善し、作物の土壌病害に対する抵抗性を高めることを考えた方が無難といえよう。

7 堆肥施用の環境への影響
 堆肥に含まれる窒素成分は何年も分解が継続するので、土壌中に蓄積した有機物が多いと、地下水の硝酸汚染の原因になることがある。

8 堆肥と肥料の使い分け
(1) 堆肥と肥料は相互に補い合うように使う
  堆肥の効果は緩効的なため、堆肥だけでは作物の初期生育が不良になることがあるので、速効性の化学肥料を併用するなどして、作物に必要な養分を適切に与える必要がある。
(2) 堆肥の肥料成分量も組み込んだ利用が大切
  安全を見込めば、堆肥による基肥窒素の代替率は30%をめやすとする。それは、堆肥中の窒素の肥効が温度(地温)に左右されるため、代替率が高いと肥効が不安定になりやすいからである。しかし、作物によっては100%代替の可能なものもある。また、窒素以外の肥料成分(リン酸、カリ、石灰、苦土)については、作物に対する影響が窒素ほど大きくないため、100%代替しても大丈夫である。

9 未熟堆肥はなぜ悪いか
  未熟堆肥による障害は、土壌施用後1~2週間目が著しいので、一ヶ月以上経過してから栽培すれば問題はなくなる。また障害物質は好気条件で分解されるため、未熟有機物は深く施用せず、浅めに施用するかマルチ施用するとよい。
(1) 過剰な窒素が環境汚染の原因に
 未熟な堆肥を多量に施用すると、土壌中で急激に分解されて無機態窒素(特にアンモニア態窒素)の濃度が高まり、作物根が濃度障害を起こすことがある。また、土壌中の窒素濃度が高まれば、作物体中の硝酸態窒素の含有率が高くなる。
 アンモニウムイオンは陽イオンであるため土壌によって保持されるが、硝酸イオンは陰イオンであるため土壌に保持されず、雨水によって容易に洗い流される。つまり、肥料でも堆肥でも過剰に施用すれば、環境汚染の原因になるのである。
(2) 窒素飢餓による生育不良
 オガクズなどを大量に混入した炭素率の高い堆肥を施用すると、窒素飢餓になることがある。これは、堆肥の分解のために増殖した微生物が、その菌体成分を合成するために、堆肥から分解されて出てくる窒素だけでなく、土壌中の窒素も取り込んでしまい、作物が吸収できる窒素が不足するため、生育不良を起こす現象である。
(3) 生育阻害物質が含まれている
 堆肥化が適切に行われないで嫌気発酵した場合、有機酸や低級脂肪酸が多量に生成される。この結果、作物の生育が阻害される。
(4) 土壌の異常還元で根腐れや生育不良に
 易分解性有機物が土壌中に大量に入ると、微生物が急激に増殖し、土壌中の酸素を消費して土壌が極度の還元状態になることがある。特に排水の不良な粘土質土壌ではこの傾向が顕著で、作物は根腐れをおこしやすくなる。
(5) 無機成分の過剰やバランスの悪化
 家畜ふん堆肥は無機成分を豊富に含むが、その構成比は作物が吸収する無機成分の構成比とは必ずしも一致しない。このため多量施用を繰り返すと、土壌中の無機成分のバランスが悪化したり、塩類集積を引き起こす。
(6) 土壌の物理性悪化にもつながる
 水分の多い未熟堆肥を多量に施用した畑で、トラクターなどの大型機械を運行させると、土壌の圧密化が促進され,通気や排水が不良になる。

10 堆肥にすると窒素は効かなくなる?
 堆肥化により分解されやすいものは分解され腐植のような分解しにくいものが残っているため、窒素は効きにくくなるが、そのために、堆肥を多量に土の中に入れても、急激に窒素を放出することはない。

パート2 堆肥作りの基礎と実際

第3章 知っておきたい堆肥と微生物の働き

1 堆肥は「発酵」それとも「分解」?
  堆肥化には、一部には嫌気性菌も働くが、大部分が好気性菌の働きで、有機物を二酸化炭素と水に分解しながら進んでいく。嫌気的な条件で堆肥作りをすると、黄色がかった色になり悪臭が発生し「腐敗」状態になる。このため、厳密には堆肥作りに「発酵」を用いるのは好ましくなく、「分解」を用いるのが正しいが、ここでは慣例通り堆肥化は「発酵」とする。
 堆肥が発酵しないで腐敗しやすくなるのは、空気が十分に供給されないときである。含水率が高いとき、積み込みが強くてすき間がなく空気が入り込みにくいときに起こりやすく、空気さえ十分に供給できれば、好気性菌の力が強いので好気発酵になる。

2 堆肥をつくる微生物の働き
(1) 第一段階=タンパク質や低分子の糖類を分解
 デンプンは、糸状菌や細菌の中でも特殊な種類の働きによって、最後にはグルコースに変わり、他の微生物によって分解される。
(2) 第二段階=セルロースやヘミセルロースを分解
 ヘミセルロースはペクチン様の物質であり、多くの微生物が分解することができる。セルロースは、好気性細菌や糸状菌によって分解される。
(3) 第三段階=リグニンを分解
 リグニンは難分解物質とされている。リグニンの分解は、糸状菌や担子菌などのやや大型の微生物が行う。 リグニン分解が起こる頃になると,堆肥は黒褐色の良好な状態となり、堆肥の表面に担子菌が、堆肥の中にはミミズが生息するようになり、この状態を完熟という。

3 微生物の働く条件を整える
(1) 適した水分率は50~60%
 水分が多いと酸素の供給不足から嫌気状態になるため、嫌気発酵が行われる。
 微生物の活動には、すき間を確保して空気との接触率を高めることが必要である。
(2) 炭素率(C/N比)20~30が最適
 炭素率が高いときは家畜ふんや米ぬかなど窒素成分の多い原料を混合し、炭素率が低いときは木質やモミガラのように炭素の多い原料を混合しなければならない。
 堆肥化が進むと炭素率は低下する。完成した堆肥として適した炭素率は15~20程度である。
(3) 十分な酸素の供給は不可欠
 堆肥原料の通気性を改善し、かくはん・切り返し、あるいは強制通気によって、十分な酸素を供給することが必要である。
 酸素が不足した状態で放置されると、堆積した内部は嫌気的となり、嫌気性微生物の働きによって有機酸などの生育阻害物質や、硫黄化合物や揮発性脂肪酸などの悪臭物質が多量に生成され、そのままでは堆肥化はすすまなくなる。
 しかし、過剰に空気が供給されると、冷却され十分な蓄熱ができないため、堆肥の温度が上昇しなくなり、発酵が進まなくなる。
(4) pHが7~8で微生物活性が最大に
 堆肥化過程でアンモニアが発生するため堆肥化はアルカリ性の状態で行われる。pHは7~8程度の弱アルカリ性で活性が最大になる。pHは微生物活性に大きく影響するが、堆肥化過程でpHを積極的に制御することはあまり行われない。
(5) 発熱は70℃程度が目標
 発熱を利用して水分の蒸散と病原菌、寄生虫の卵、雑草の種子などを死滅させるため、70℃程度の発熱は必要である。
 外部から熱を加えてやれば、堆肥化が促進されると誤解されることがある。しかし、堆肥が高温になるのは微生物活動の結果であって、水分や酸素など他の条件が整っていれば、強制的に熱を加える必要はない。加熱は、過剰な水分を除去するだけの効果しか期待できないと考えた方がよい。
(6) 多様な微生物を増やす
 堆肥化促進をうたった数多くの微生物資材が販売されているが、このような資材の利用よりも、完成した堆肥を種菌として混合する方法の法が確実性が高いといえる。
(7) 原料と目標に合わせた時間が必要
 ある種の装置を用いれば、数日で堆肥が完了するという話を聞くこともあるが、これはごく初期の発酵と乾燥によって取り扱い性をよくする程度のものであって、作物や土壌環境にとって安全な、いわゆる完熟堆肥になることはない。

第4章 堆肥作りの実際


1 原料の選び方と組合せ方 - 主原料と副原料
(1) 原料は炭素率と水分含量で判断
(2) 副原料と組み合わせて調節する
(3) 副原料の第一条件は通気性の向上

2 水分と炭素率の調整方法
(1) 副原料による調節
(2) 化学肥料や戻し堆肥による調節

3 堆積方法と切り返しのポイント
(1) 場所の選び方と堆積規模、堆積方法
 堆積場所は、しぼり水が排水できるよう工夫された場所が適している。簡易には数㎝盛り土するか、コンクリート製の堆肥盤をつくればよい。スノコのようなものが最高である。
 堆積規模は5~6立方メートルとする(2x2.5x1.2=6, 2x2.2x1.2=5.28)。これ以上の規模で堆積するときは強制通気をするか麦わらやカヤのような孔隙の多い資材を用い、空気の流通をよくする必要がある。
 微生物の活動には、30~40℃がもっとも適している。このため、冬期に積み込むと、初期の微生物活性が低くなる。
 一定の木枠をつくって、それを利用しながら堆積すると堆肥の容量がわかるので便利である。
 微生物は紫外線に弱いので、直射日光に当たらない工夫をすることも大切である。屋根付きの堆肥舎が望ましいが、屋外のときはシートやムシロで覆うとよい。
(2) 均一な発酵に欠かせないかくはん・切り返し
 かくはん・切り返しの要点は、堆積物を混合して均一化をはかることと、積み替えて膨軟化をはかることである。また、かくはん・切り返しによって、堆積場所を移動することもできる。
 回数は、稲わら堆肥やきゅう肥では2~3回でよいが、オガクズのような難分解性の原料を含むときは、堆積初期には、月二回、中期以後は月一回は必要である。もっと効果的に行うには最初の一ヶ月間は週一回、その後は月に一回程度行うのがよい。
 発酵温度は70℃程度がよく、堆積規模と切り返しによって温度管理することができる。温度を上げるには、できるだけ表面積を少なくする形(円筒形)がよい。

4 稲わらや青草の積み肥の作り方
(1) 原料と堆積場所
 原料は、稲わらや青草類を用いる。稲わらや青草類だけでもよいが、ふつうは家畜ふん尿を窒素源として混合する。青草を使うときは、刈り取り後数日乾燥させてから用いる。また、刈り取りは種子ができる前に行う。
① 仮積み
  まず稲わらを敷き、その上に稲わらと容積で等量程度の糞尿を混ぜて積み込む。これを仮積みといい、切り返しをしないで一ヶ月ほど堆積しておく。
② 本積み
  本積みにあたって土台(堆肥盤)をつくる。土台は土を20㎝ほど盛ることもあるし、丸太または竹を敷き詰めるた水切り台をつくることもある。
 その上に稲わらを30㎝ほど積む。その上に仮積み物と家畜ふん尿を混合して30㎝ほど堆積し、さらに稲わらを30㎝ほど積む。このように、稲わらと家畜ふん尿混合物を交互に積み、約1.5~1.8mの高さに堆積する。
③ 切り返し
   堆積後一週間以内に発熱する。発熱が80℃を超えると窒素の揮散が著しくなるので、適当に水をかけ、60~70℃に保つ。一ヶ月目に切り返しを行うが、内部の物を外部に、外部の物を内部にし、均一になるようにする。その後すぐに発熱するが、数週間ほどで温度が下がり、3~4ヶ月後に完熟したものができる。この間、一~二回切り返しを行う。

5 促成堆肥の作り方

(1) 原料と堆積場所
(2) 堆肥の作り方
 ①仮積み
 ②本積み
 ③切り返し

6 家畜ふん堆肥の作り方  かつてはきゅう肥と呼ばれていた

7 連続堆肥化法(戻し堆肥化法)

8 剪定くず堆肥の作り方

9 食品カス堆肥の作り方

パート3 堆肥施用の基礎と実際

第5章 効果の現れ方と使い方の基礎

1 土の中での堆肥の分解 -堆肥を分解する微生物
(1) タンパク質や低分子の糖から分解される
(2) 最後には腐植が残り団粒構造をつくる
  堆肥にはセルロースやリグニンが多く含まれているため、この分解が数年にわたって継続する。堆肥の効果が比較的長く続くのは、この分解がゆるやかに長期間にわたって行われるためである。最後には、分解しにくいリグニンがタンパク質などと結合し、複雑な構造を持った腐植に変化する。腐植は微生物がほとんど分解できないため、土壌中に蓄積して粘土粒子と結合して団粒構造をつくる。
 堆肥化の過程で、微生物によって比較的分解しやすい物質があらかじめ分解されているため、生の有機物を土壌中にすきこむよりも、ゆるやかな分解が長期間続く。堆肥化は、あらかじめ有害物を分解除去するとともに、土壌中で効果を長持ちさせるための工夫だともいえる。
(3) 分解は好気性菌によって行われる
  畑地では十分な酸素が供給されるため問題はないが、水を張った水田では有機物の急激な分解が起こると、微生物が急速に増殖することによって酸素を消費し、土壌が嫌気状態になる。この結果、根腐れを起こすため、植えつけ直前に未熟堆肥を施用してはならない。また、畑地においても浅めに施用すると分解が速い。

2 肥料効果はどう現れるか
(1) 微生物に分解されて肥料効果を発揮=無機化
  堆肥に含まれる肥料成分のうち、カリは無機態で存在しているため、堆肥に含まれる量のほとんどが作物に利用できる。これに対し、窒素とリン酸は有機化合物に組み込まれた有機態のものが多く、そのままでは利用できない。土の中で微生物によって分解されて無機態になり、はじめて肥料効果を発揮する。
 土壌中で堆肥を分解する微生物は、堆肥に含まれる炭素の三分の二を呼吸で消費し、残り三分の一で自分の体をつくる。また微生物の体の炭素率(C/N比)は6.7程度である。かりに炭素率20の堆肥を使用したとすると、窒素1に対し炭素が20あったものが、微生物分解後は窒素1に対し炭素が6.7になるのである。この間に13.3の炭素が二酸化炭素として失われたことによる。
 そのため、炭素率が20以上で炭素が過剰な堆肥が土壌中の分解を受けると、炭素に対して窒素が少ないため、微生物は不足分を土壌中に存在する無機窒素を吸収して補う。これを窒素の有機化といい、結果として作物の吸収できる窒素が不足し、作物は窒素不足で生育不良になる。
 逆に、炭素率が20以下であれば、微生物が必要とする炭素に比べて窒素が余分にあるので、微生物は余分な窒素をアンモニアとして体外に放出する。これを窒素の無機化といい、作物が吸収できる窒素が増えることになる。
(2) 炭素率が小さいほど無機化率は高い
(3) 牛ふん窒素の無機化には数年かかる
  家畜ふんに含まれる窒素には分解しやすいものと分解しにくいものがある。鶏糞では大部分の窒素が一年で分解して無機化するが、牛ふんでは半分の量が蓄積する。それを毎年施用すれば、鶏糞では三年目、牛ふんでは10年目に、施用した窒素量のほぼ100%に相当する量が無機化されることになる。
 これは牛ふんの場合であり、堆肥にするともっと一年に分解する量が少なくなり蓄積量が増加する。

3 有効成分量から見た堆肥の施用量
  堆肥や有機物の施用で重要なことは、含まれている成分量をあらかじめ知った上で、肥料の施用量を加減することである。たとえば、有効成分量をみると豚ぷん堆肥や鶏糞堆肥では、一トン当たり窒素、リン酸、カリがいずれも10キロ以上あり、作物によっては基肥が不要であることがわかる。また、鶏糞堆肥では一トン中に石灰が127キロ含まれるので、あらかじめ土壌のpHを知った上で堆肥や有機物の施用量を決めることが必要である。

4 季節による違い
  微生物によって最適温度は違うが、一般に土壌微生物の活性が最大になるのは、30~35℃である。このため、夏作に比べ冬作では堆肥の分解がゆっくりであり、窒素成分の発生量が少ない。

5 土壌条件と施用法
  微生物の活性は温度だけでなく、土壌水分含量やpH、土壌の種類によって異なるため、堆肥の分解力もちがってくる。

6 使用目的にあった堆肥を使う
(1) 肥料成分の供給に適した堆肥
(2) 物理性改善に適した堆肥
(3) 生物性改善に適した堆肥

第6章 堆肥施用量の決め方

1 堆肥施用量の決め方 -完熟堆肥の使い方

2 使用方法と効果のねらい

(評)
 堆肥の教科書である。パート1では堆肥の定義に始まって、堆肥と肥料の違い、ボカシ肥と堆肥の違いなどがわかりやすく説明されている。
 パート2は堆肥のつくり方で、パート3は堆肥の施用の仕方となっていて、堆肥に関するほぼ全てのことがこの本でわかる。
 堆肥自体がその成分はアバウトであり、作物ごとに組み合わせる肥料成分の計算をするとなると、相当マメな人でも混乱するに違いない。そのようなことも可能であると知った上で、やはり、堆肥の利用は腐植と微生物による畑の化学性、物理性、生物性の改善を主眼とし、ある程度のアバウトな見込みで、肥料過多にならないことを注意しながら施用することが大切であることがよくわかる。

平成24年2月

本121 成澤才彦「エンドファイトの働きと使い方」

成澤才彦 作物を守る共生微生物「エンドファイトの働きと使い方」
農文協(2011年刊)
エンドファイトの働きと使い方
成澤才彦
東京都生まれ。
1993年筑波大学農学研究科農林学専攻博士課程修了
現在茨城大学農学部准教授

はじめに
 春や秋の心地よい気候は、微生物たちも大好きなようである。そこで、作物の栽培に役に立つ微生物を求め、私たちは採集に出かける。大学を出て少しすると、春には見事なスイカのトンネル栽培、秋には見渡すかぎりのハクサイ畑などが広がる光景に出会う。ほのぼのとした風景で心が和むが、畑を見ると奇妙なことに気がつく。栽培されている作物以外の植物、いわゆる雑草は、ほとんど見かけないのである。そして、チョウやテントウムシなどの昆虫類もめったに見つけることができない。さらに冬には、このような畑には全く作物が育っておらず、きれいに整地されていて砂埃をあげている。
 研究を始めた頃には、このような畑からも微生物採集を行ったが、今までに、いわゆる有用な微生物は全く獲得できていない。なぜなら、このように広い面積に限られた種類の作物を栽培する農地は、自然生態系に比べ極めて特殊な環境にあることが影響している。微生物や昆虫の多くは作物に好き嫌いがある。このため同じ作物の栽培を続けると、特定の生物だけが増えて、生態系のバランスが崩れてしまうのである。今までの経験から、バランスが崩れた農地から有用な微生物を見つけることは困難だと感じている。
 現在、農薬や化学肥料を使用しない有機農法、さらに除草もしない自然農法が見直されている。このような生態系のバランスが維持されている環境では、たとえ病害虫が発生しても作物は大きなダメージを受けない。このような生態系のバランスが保たれた環境で生育している植物を調べてみると、多種多様な微生物との関係を作っている。最近、有機農法を行っている水田土壌の微生物の生態を調査したところ、同じ水田内でも、イネ科以外の植物の種類が多い地点ほど、微生物の種類も多い傾向にあることを確認した。このような環境からは、有用な微生物も分離されている。
 本書を読み進めることで、微生物共生系の世界に気づき、今まで常識と考えられていた植物の育て方を考え直すきっかけとなれば幸いである。エンドファイトの有効利用は、これからわれわれが向かうべき、作物生産の一方向であると信じている。

Part1 エンドファイトを知ろう

1 エンドファイトとは
 エンドファイトは endo(=within) と phyte(=plant) からなる呼称で、内生菌をさすが、細菌類や菌類などの微生物はもちろんのこと、広義にはヤドリギに代表される寄生植物まで含まれる。

本書で扱う根部エンドファイト=DSEとは
 DSEは、森林土壌、およびそこに自生している植物根部に生息している菌類の総称である。培地上で暗色の分生子や菌糸など(Dark)から構成されるコロニーを形成し、比較的生育が遅いのが特徴である。菌糸に隔壁(septa)があるので、子囊菌または担子菌に属している。
 最近、筆者らの研究グループにより、DSE種がアブラナ科植物と窒素および炭素の物質交換を伴う相利共生関係にあることが世界で始めて証明された。

エンドファイトはどこに、どれくらいいるのか
 森林土壌1gには現在の地球上の人口と同じくらいの数、50億か60億くらいいる。
 森林は有用微生物の宝庫であり、エンドファイトも数多く生活している。残念ながら通常の栽培をしている畑では、森林ほど微生物の種類も数も多くはない。植物種が多様になるほど微生物も多様になる。
 菌類の中でエンドファイトがいる割合は、亜高山帯などで土壌肥料成分が少ないとか気温が低いなど、植物に大きなストレスのかかる環境で、約3.0%であった。次に南西地域の森林で約1.5%、有機栽培を含む畑土壌では約0.3%だった。

エンドファイトと植物病原菌
 病原性や寄生性でエンドファイトであるかどうかを決めることはできない。広い意味では、病原菌も立派なエンドファイトである。しかし、病原菌に関する研究は盛んに行われており、そのため情報は数多くある。そこで本書では、いわゆる病原菌を除いた狭義のエンドファイトを扱うことにする。

根粒菌や菌根菌もエンドファイトだが
 菌根菌は特別な生き物ではなく、水中、砂漠、熱帯多雨林から高緯度地方に至る世界中の地域において豊富に存在し、植物と共生している。特に低温、貧栄養、乾燥など、植物にとって環境条件が悪い場所においては、ほとんどの植物が菌根菌と共生しており、植物は共生関係なしでは生育できないとまで考えられている。 マツやブルーベリー、そしてランに至るまで「植物」と思っていた生物はじつは「植物と菌類の共生体」だったのである。

絶妙!植物根とエンドファイトの相互作用
 エンドファイトは土壌中の窒素源を吸収してハクサイに供給することが明らかとなり、特に硝酸態窒素よりアミノ酸が効率的に植物へ供給されている。窒素供給の詳細なメカニズムは不明であるが、エリコイド菌類や外生菌根などで知られる有機態窒素の吸収促進と同様な機能があると推察している。
 一方、エンドファイトはハクサイに窒素源を供給する代わりに、炭素源をハクサイから獲得している。土壌中の糖類濃度が低く炭素源が不足している条件になると菌が炭素源を求めてハクサイ根部に感染するが、過剰な炭素源が存在すると腐生生長が盛んになり、細胞内部への感染が認められなくなる。
 このようにエンドファイトと植物は一定の条件が整えば、菌から植物に窒素源が、植物から菌へ炭素源が供給される相利共生的な関係を結ぶことが明らかになった。
 また、アブラナ科植物は、菌根を形成しない植物であり、これまで共生する微生物は報告されておらず、現時点でエンドファイトはアブラナ科植物に共生できる唯一の微生物である。

2 どんな植物とでも共生できるエンドファイト

 ハクサイと共生する微生物は、形態的特徴により、ヘテロコニウム・ケトスピラと同定された。
 このH.ケトスピラは、偶然にも小麦畑から分離されたのだが、その後の研究により、もともとは小麦畑にすんでいたのではなかったことがわかってきた。筆者らは、おそらく、腐葉土などの堆肥由来で持ち込まれたのではと推察している。

 立派に育っている盆栽の根にはエンドファイトがすみついていて、その生育を支えているのである。

 接種試験の結果により、H.ケトスピラは、ハクサイではエンドファイトとして、宿主がツツジ科植物に変わると菌根菌として、植物の生育を支えていることが明らかとなった。

縁の下の力持ち
 接種試験を行ったところ、やはりこのエンドファイトは、コケ植物から木本植物まで、どんな植物でも定着することができた。さまざまな植物を単独で植え、そこにエンドファイトを接種し、環境を整えると、実験に使った全ての植物に定着できることがわかった。もちろん、ハクサイ以外のアブラナ科植物の根にも侵入し、定着した。宿主の好みはないようである。

エンドファイトにも植物の好き嫌いがある
 エンドファイトが好きな植物は、アブラナ科植物であるハクサイやナタネ、そしてナス科植物のトマトやナスである。一方、イネ科のオオムギやウリ科のメロンやキュウリはあまり好きでないことがわかった。

3 エンドファイトが植物に侵入・定着しやすい条件

①有機の窒素源から窒素を植物に供給
 この関係は、植物単独では利用しにくい窒素源、すなわち有機態のアミノ酸が土壌中にあると顕著に現れ、エンドファイトが植物へ窒素を供給し、生育を助けることが分かっている。一方、植物が単独で利用できる化学肥料だけを施肥すると、この関係は成立しない。さらに、糖濃度は低い方がエンドファイトの生育を促進する。低い糖濃度の条件下で、エンドファイトは、宿主から光合成産物由来のの炭素源を獲得する、いわゆる共生関係にあることも明らかになった。この炭素源を利用し、エンドファイトはバイオマスを増加させ、ますます植物に窒素源を供給することができるようになる。
 このことは、土壌中の過剰な養分は、エンドファイトのはたらきにはマイナスに作用することを示している。

なぜエンドファイトは病原性を示さないのか
①理由1 エンドファイトは周囲の細胞に害を及ぼさず、維管束にも侵入しない
       地上部エンドファイトは種子伝染するが茎葉の細胞には侵入しない
      根部エンドファイトは皮層細胞に侵入するが周辺細胞壁のダメージはない
②理由2 バランスのとれたエンドファイトの代謝物質活性と植物の防衛反応
     植物はエンドファイトにも病原菌にも、同様に防御反応を開始する。それに対して、病原菌は植物の防御反応を抑制しようとするが、エンドファイトは抑制しないため植物側の活性は上がるが、ストレスは生じない。

エンドファイトのすみかは植物内部だけか
 ハクサイの育苗中に環境を整え、エンドファイトの定着を促進させると、苗への定着率は60~70%程度になる。この苗を慣行栽培の圃場に定植すると、植物根への定着率はしだいに低下する。
 土壌中に出たエンドファイトは土壌中でも生育することは可能である。そのため、よい環境を求めて、菌糸を伸ばし生長を続ける。この菌糸から根部への再感染も確認されている。

4 エンドファイトはどんなことに利用できるのか

植物の生育を助ける
 このスィートソルガムは、低温条件で生育が遅延し、収穫時のバイオマス量の減少を引き起こすことが問題となっている。エンドファイトを処理することで、低温条件でも生育促進が確認された。
 最近、V.シンプレックスもハクサイ苗の生育を促進することが報告されたが、この場合は、植物ホルモンであるインドール酢酸を産出することで生育を促進するようである。

植物が病気に強くなる
 エンドファイトが侵入しても、見かけ上は植物になんの変化もおこらない。しかし、エンドファイトがすみつくことで、植物の病原菌への抵抗反応を準備するのである。この準備が整った植物は、病原菌がアタックを試みると、抵抗反応が即座に働き、病原菌の侵入をブロックすることができるようである。
 H.ケトスピラは、ハクサイ根の表面に付着器を形成し、そこから進入菌糸を伸ばし、皮層細胞内に達し、細胞内菌糸を形成していた。この細胞内菌糸が再び付着器を形成し、侵入を繰り返し、皮層細胞を移動し、定着部位を拡大していくという一連の定着が可能である。そのため、他の根圏微生物と比較して、ハクサイ根内、特に根端部に移動・定着する能力に優れ、根こぶ病菌や黃化病菌などの病原菌の根内への侵入を防いでいたと考えられる。

環境ストレスに耐性ができる
 エンドファイトに感染した植物には、気孔開閉を調節することができるようになり、さらに葉が厚くなる。このため葉が早めに巻くなどの形態的変化が起こって、蒸散を抑制し、体内水分を保持しているようである。また、エンドファイトが感染した植物の根張りがよくなることも報告されており、このことも耐乾性に関与している。

根張りがよくなるだけでなく、菌圏が発達する
 植物が環境ストレスに耐性を示すために、根張りがよくなることはもちろん重要であるが、根張りだけではなく、菌圏が発達することの重要性が、最近ようやく認知されてきた。

有機農法や自然農法への利用がお勧め
 菌糸ネットワーク経由で栄養分のやりとりがあるということは、もし、栽培している作物が何らかの理由で元気がなくなった場合は、まわりの雑草で作られた光合成産物が、菌糸ネットワーク経由で作物に供給され、元気なることもあるのです。
 菌糸ネットワークが発達すると、植物が栄養を奪い合うのではなく、むしろ助け合う事実は、驚きである。
 糸状菌は主に植物質を、また細菌は主に動物質の分解還元を行っており、植物の生育に必要な栄養素を供給している。
 特にセルロースの分解には糸状菌のはたらきがとても重要であるが、この自然生態系における糸状菌類のはたらきを畑で上手に利用しようとするのが、有機栽培や自然農法における栽培システムであると私は理解している。
 では、エンドファイトを含む糸状菌を増やすためには、どうすればよいか?言うまでもなく、動物由来の堆肥ではなく、腐葉土や朽ち木などの植物質を畑に施用すればよいことになる。これら有機質肥料は、エンドファイトを含む糸状菌類のはたらきを活発にする。
 さらに、施用する堆肥を必ずしも、完熟させる必要がないこともわかってきた。森林で落ち葉が腐葉土になっていくプロセスを畑でも再現すればよいのである。

「菌糸ネットワーク」の持つ偉大な力を活かす
 自然農法や森林農法などは、このエンドファイトによる菌糸ネットワークを上手に利用した農法でもある。 私の友人にも自然農法を実践されている方がおり、その畑や田んぼの微生物の調査をしたところ、作物のまわりの雑草の種類が多ければ多いほど微生物、特に菌類相も多様であることが確認された。地上部の植物の種類や量が、そのまま地下の微生物相にも影響を与えているのである。
 田んぼの例では、イネだけを栽培した地点に比べて、イネ科以外の植物(いわゆる雑草)が生育している地点の微生物の種類は数倍から数十倍にも増加した。

5 これからのエンドファイト研究の方向は?

注目!エンドファイトとバクテリアの相互作用
 病害抑制効果は、バクテリアの種構成と関係があることが明らかとなった。今後は、どの糸状菌にどんなバクテリアが共存しているのかを明らかにし、バクテリアと菌類の相互作用を解明する必要があると考える。 さらに、われわれが糸状菌として認識していた生物が、いわば糸状菌とバクテリアの共生体であるという、これまでの菌類学の概念をくつがえし、新たな生物共生系の存在を示す強いインパクトをもたらす可能性もあると考えている。

Part2 エンドファイトを使って見よう

1 エンドファイトを探し分離しよう

エンドファイトをゲットする
①「ラッキーな作物」を探す
 この仕事をはじめたころ、先輩方に数々のご助言をいただいた。その中に印象に残る言葉があった。「畑に育っている作物をよく観察しなさい」「多くの作物が病気にかかっていても、その中に元気に残っている作物がある。元気でいられるには秘密があるはずだ」多くの先人たちが、このようなラッキーな作物を見つけ、そこから病気を抑えることができる微生物を獲得してきたのである。
②分離できなかった原因は二つ
 エンドファイトは根部の全ての部位にすんでいるのではなく、分裂が盛んな根端部を好む傾向にあった。そのため、根端部が土壌中に残り回収できないことがその主な理由であった。

2 エンドファイトの生活史と植物内での行動を観察しよう
必ず植物に接種して確認する
 獲得した菌株がエンドファイトであるかを確認するためには、宿主植物への接種が必要である。

3 エンドファイトと植物の相互作用を高める条件を知ろう
 エンドファイトと植物との良好な関係を築くためには、植物が単独で利用できない、アミノ酸などの有機態窒素の存在が重要であることが明らかになった。

酸性土壌でもエンドファイト共生で植物が育つ
 トマトの生育に最適な土壌pHは、一般に弱酸性の5.5~6.5とされており、酸性土壌では生育が不良になることが知られている。例えば、土壌pHが3.8の泥炭地土壌ではほとんど生育できないことが報告されている。では、この酸性土壌にエンドファイトを接種するとどうなるか?試験にはV.シンプレックスを、トマト品種はハウス桃太郎を用いた。
 結果は、対照区トマトはpH3および4の培地上で正立できず、生育不良となったが、処理区では有意にバイオマス量(地上部生長量)を増加させた。
 この生育促進のメカニズムとして、インドール酢酸のような植物生育促進物質の生産や、アブシジン酸の生産、さらにはミネラルの吸収、特に酸性土壌におけるカルシウムやマグネシウムの吸収促進が報告されている。このように、pH3および4のV.シンプレックス接種区では、pH5の区と比較して変わらない植物バイオマス量を示したことから、エンドファイトを利用することで、土壌pHの矯正をせずに酸性土壌でのトマト栽培が可能であることが示唆された。

4 有用なエンドファイトの選抜をしよう

5 エンドファイトを上手に使おう

育苗する作物への利用が最適
 畑土全土でエンドファイトが有効にはたらく環境にすることが一番であるが、大量のエンドファイトが必要になり、これは実用的ではない。そこで、育苗時にねらいを絞って利用すれば、対象となる土壌の量も少なくてすむので、手間もお金もそれほど必要としない。 育苗時にエンドファイトを定着させることで、作物の生育をよくし、さらには病気にも強くなるなることを目的にしたい。

培土はピートモス、貧栄養そして酸性がよい
 カナダ西部の森林腐植土壌からの分離率は、畑土壌と比較して10倍以上の高い頻度であった。このことから、育苗培土は亜高山森林土壌に広く分布するピートモスなどを主体とした、貧栄養条件調整することが適していると考えられる。
 鹿沼土、バーミキュライト、市販の園芸培土で実験してみたところ、最も適していたのは、やはりピートモスを単独に培土とした場合であった。
 一方、市販の園芸培土を用いた場合には、植物地上部の生育は良好であるが、エンドファイトの定着率は極めて低かった。市販の園芸培土は養分やpHが植物の生育に適度に調整されているが、エンドファイトには不適であり、感染率の低下を招くことが分かった。
 また、栄養条件ばかりでなく、土壌のpH条件が定着率に影響することも確認された。エンドファイトはpH4~5の酸性条件細胞内への感染が良好であり、逆にpH6以上の中性に近い条件では、細胞内への感染が抑制され、感染率が低下することも確認された。ピートモスのpHは4前後の酸性であり、そのためエンドファイトの定着に最適であったと考えられる。

おわりに
 かつて共生と寄生は、全く別の現象と考えられてきたが、関係する生物相互のバランスによって双方が利益を得る状態(相利共生)から片方が利益を得てもう片方が被害を受ける状態(寄生)まで連続して移行する例が多く知られるようになり、互いにはっきりと分離できないこともわかってきた。共生という関係は、今では、相利共生や寄生といった関係を全て含む上位概念としてとらえらえているのである。

(評)
 著者の経歴を見ると、著者は私が学生時代に所属した研究室の後輩になるだろう。しかも、研究内容も私が学生時代に取り組んだ「土壌菌の研究」を発展させたものとなっている。よくぞ、ここまでやってくれたと敬意を表したい。
 最初から最後まで、エンドファイトという菌学分野での最新の知見を発見した著者の息づかいが感じられるような文体で書かれている。
 自然農法や有機農法で見られる無除草や化学肥料を使わないことによって得られる恩恵の一因に、エンドファイトの存在が関係していることが明らかになった。今後、この分野の研究がさらに進むことを願ってやまない。

平成24年2月

プロフィール

blogst66

Author:blogst66
 教職在職中に木村秋則氏の「奇跡のリンゴ」を読んで感銘を受け、無農薬農法に関心を持ち、200冊以上の農業書を読み漁りました。本を読んで農業の知識が深まるにつれ、自分でも農業をやってみたくなり、一年早く教職を退き就農しました。(2013年)
 農業は8年間続けることができましたが、持病の腰痛の悪化により、農業活動を継続することが難しくなり、一線から退きました。(2021年)
 一昨年から趣味として「個別株投資」を始め、ブログの中身も投資に関することが増えてきました。投資はまだわからないことが多く、初心者が陥りやすい失敗例などを発信しながら経験を積み上げていこうと思っています。(2022年)
 2年半続けた個別株投資に限界が見えてきました。しばらく個別株投資に距離を置きます。(2023年6月)
 植物の写真集「みちばたの花」をはじめました。過去に散歩の途中で撮った植物の写真の中から、毎日ひとつずつ紹介します。(2023年6月)

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