セロリ5 植えつけ その2

20200331(800t).jpg
今日(3月31日)、セロリの2回目の植えつけをしました。
1回目は3月23日にハウス内に植えました。
今日は約1週間遅れで露地に植えました。
ハウス内と露地では成長に差が出ますので、ハウスセロリの収穫が終了した頃、露地セロリの収穫ができるようになればベストです。



キャベツ19 新藍を植えました

202003292(600).jpg
3月26日にキャベツの新藍を定植しました。
春蒔きのキャベツについて、整理しておきます。
第1弾 「グリーンボール」播種1月31日  鉢上げ2月19日  定植3月19日
第2弾 「新藍」     播種2月15日 鉢上げ3月5日   定植3月26日
202003291(750t).jpg
右側の列が「グリーンボール」で左側の列が「新藍」です。
昨年からマルチフィルムで太陽熱消毒をしていた場所に植えましたので雑草はほとんどなく、これからも生えてくる確率が低いです。

写真では見えませんが、キャベツの手前2メートル四方くらいのスペースをネギの種をまく場所として確保しています。
ネギの苗作りは栽培期間が長く、その間に雑草が生えてきますが、雑草のほうがネギよりも成長が速く数が多いので、ネギの苗作りはとても苦労します。
昨年は、太陽熱消毒をした場所がたまたまあいたので、そこにネギのタネをまいたら、雑草に悩まされずに苗がよく育ちました。
そこで今年は、最初から太陽熱消毒をした場所をネギのタネをまくスペースとして確保したという寸法です。

ダイコン 8 播種しました

20200329(600).jpg
今日(3月29日)ダイコンの種をまきました。
品種は「天宝」です。
春にまくダイコンはいつも「天宝」を使っています。
髙畝をつくって、ダイコンとニンジンの混作に挑んでいます。
約二週間前の3月16日にニンジンのタネをまきました。
写真の左側の細長く湿ったように見える部分にニンジンをまいています。
写真ではわかりにくいのですが、今日やっと発芽しているものがちらほらとありました。
ダイコンは右側に30センチおきに3粒ずつまきました。

イチゴ 4 色づきました

202003221(800t).jpg
暖かくなってきて、イチゴの実が肥大して色づき始めました。
これからどんどん収穫できるでしょう。
202003222(800t).jpg
一方、「イチゴの雑草化作戦」と称してハウスの外側に植えたイチゴは雑草に紛れてどこにあるのかわかりにくくなっています。
成長も悪く、実もまだなっていません。
大きく育った雑草は取り除いていますが、あまり手をかけずご覧のような状態です。
しかし、イチゴの株が消えてなくなったわけではありませんので、このままようすを見ていきます。

本58 永田照喜治「おいしさはここにあり」

永田照喜治「おいしさはここにあり」
小学館(2004年刊)
おいしさはここにあり
永田照喜治
株式会社永田農業研究所代表取締役
株式会社健菜代表取締役
1926年熊本県天草生まれ。神戸大学経済学部卒業後天草に戻り、農業に従事。
砂栽培に独自の工夫を加え、「断食農法」「スパルタ農法」と呼ばれる農法を考案。

この本は、永田照喜治が日本各地のトマトや酒米、乳製品など農作物作りの名人を訪ねて歩くルポ風の案内書である。と同時に、これらの名産品は永田照喜治氏の指導のもとに栽培されており、永田農法のコマーシャルブックでもある。

第1章 トマト王国北海道の三名人

常識を覆した完熟最高級トマトジュース ・・・ 余市市
 中野さんもプロとして懸命にトマト作りに取り組むが、永田農法は経験を積んだ農業のプロほどやりにくいと言われる。土作りは不要で痩せた土こそ理想とするなど、従来の農法とはまったく逆の考え方も多いので、今までの知識がかえって邪魔するのだ。
「肥料も少なくする、しかも農薬も極力使わないということは、トマトの状態を絶えず見ているということが必要なのです。そのぎりぎりの状態のタイミングで管理するわけです。水遣りでもタイミングが早すぎると糖度が乗らず、遅すぎると表面に尻焼けと呼ばれる傷がついたり、ひどいと枯れてしまう。手間のかかることこの上ないのですが、その分、新しい発見も多く、やりがいもありました」と、中野さんは今でこそ笑うが、永田農法ならではの、中身に栄養がぎっしり詰まった、重たい、水にも沈むトマトを作るまでに7~8年もかかったというから、口に出せない苦労は並大抵のものではなかったに違いない。
(写真)重粘土質の赤土がカラカラに乾燥した状態の厳しい栽培土壌。葉が内側に丸まるのは、水分の発散を少しでも少なくするためという。枝で完熟した糖度の高いトマトの色は、鮮やかな赤ではなく、濃い煉瓦色になる。
「夕陽の丘トマトジュース」
  糖度八度2100円、九度以上2730円(共に1㍑入り)

作り手の愛情あふれる酸味も強く味も濃い個性派トマト ・・・ 奈井江町
(写真)ハウスの中では、石や赤土も混じる乾いた痩せた土壌
 還暦を迎えたという新田さんを見て、「仏さんのようなええ顔になったなあ」と言う永田さん。「好きなことさせてもらったおかげさあ」と笑って答える新田さん。
「トマト&トマトジュース」
 完熟トマト糖度七~八度未満3675円
 特選トマト八度以上4200円(共に一箱3kg入り)
 トマトジュース「嫁ぐ日」八度1050円
 トマトジュース「ないえの里から」九度以上1260円(共に1㍑入り)

高糖度トマトを大規模栽培する東洋一のトマトハウス・・・ 千歳市
 ミネラルなどの微量栄養素も含んだ砂パックを利用して、有機物ではなく、すべて無機質に分解された、窒素、リン酸、カリという三つの成分を栄養素として育てる栽培方法。この砂栽培こそ、有機肥料の必要性に疑問を感じた、私の農法の出発点でした。
 かつて、郷里の天草で岩山を壊した石ころ畑でみかん栽培をしていた永田さんの農法に目を付けたのが、当時砂栽培の第一人者だった九州大学の福島栄二教授だった。この福島教授からの永田さんへの依頼は、窒素、リン酸、カリの三要素からなる当時発明されたばかりの化学肥料を水に混ぜ、みかん畑にまいてほしいというものだった。これまでの農法に疑問をもっていた永田さんもこの申し入れを受け、以後十年間にわたり栽培実験を続けたが、糖度15~16度という驚くほど甘いみかん毎年実り、連作障害も出ず、しかも有機の堆肥を鋤込んだ畑より出来が良かったという。これで、永田さんは、農作物の栽培には有機肥料、有機土壌は必要なく、窒素、リン酸、カリの三要素からなる化学肥料と、石ころだらけの砂地などでいいと確信、その後の鹿児島県での大規模な砂栽培実験にも繋がるのである。
「フルーツトマト」20個入り(約2kg)糖度八度3675円
      〃            九度4200円
「トマトジュース」糖度八度 2100円
           九度 2625円
           十度 3360円
          十一度 4200円(すべて1㍑入り)

第2章 無肥料栽培の絶品青大豆  秋田県若美町
 通常は窒素肥料が少ないと収量が少なくなるが、ここではその心配がなく、そればかりか、反対に窒素肥料を入れると、根が下に伸びすぎて根腐れの原因になったり、その分背丈も高くなるので倒れやすくなり、当然収量も少なくなる。
 さらに大越さんは、播種の前、これら有益微生物の餌として畑にぬかをまくなど独自の方法も加味して、無肥料の青大豆づくりを本格的に開始する。市場では「青大豆は色が命!」とまで言われるが、その理想の青色を出すには、ここでの播種は毎年六月十日前後が最適らしい。早く播けば収量は多いが色が薄くなり、かといって遅く播くと色は濃いが小粒化するというから、自然の摂理は微妙である。
 統計によると、これからの日本は農業従事者の人口が激減し、約十から十五年後には専業農家一戸あたりの占有農地面積がアメリカの200haを抜いて、300ha以上になると予想されています。日本の農家は世界一の大規模農家となり、秋田県などは特にその傾向が顕著です。
「大越さんの無肥料青大豆」30kg14,175円
             60kg28,350円

第3章 杜氏の郷で成し遂げた革命的な酒造り  新潟県吉川町
 通常の米の栽培では化学肥料の窒素または堆肥などの有機質窒素肥料を元肥として地表面の下に施すので、直根が茎のすぐ下深く成長して発達する。直根が発達すると稲の背が高くなる。病害虫にも弱くなって、収量は少なくなり、味が悪くなる。そこで永田農法では窒素肥料を与えず、カリなど発根促進作用のあるものと、リン酸の水溶液を地表付近に少量散布することで、直根を消滅させ、地表面付近に細かい根を密集させるのだ。この根は踏むとふわふわと柔らかく、永田農法では〝うまい根〟と呼ばれるもの。しかし、びっしりと生えてしっかり大地をつかむため、台風にもびくともしない丈夫な根になる。しかも窒素肥料をあたえない分、茎も短く丈夫になり、タンパク質も少ないので美味しい米になる。
 フランスの名醸地のワインは何十年も無肥料のブドウで造られています。無肥料で育てたブドウは皮の付近が美味しくなるので、美味しい赤ワインができるのです。永田農法の酒米も、窒素肥料を与えませんから皮の周り糠臭くなく、酒の雑味となるタンパク質も少ないですから、削らなくてもおいしい日本酒になるのです。
「ありがたし」1418円(四合)
「永田農法よしかわ産山田錦」大吟醸2625円(四合)
純米吟醸1838円(四合)
「永田農法よしかわ産コシヒカリ」2625円(2kg)
                6079円(5kg)

第4章 緑茶を食べるジャージ牛の乳製品 栃木県那須町
 高知県の佐々木さんが作る卵で最初に確かめて世界特許をとったのですが、鶏に緑茶の粉末を食べさせるとお茶に含まれるカテキンの脱臭作用によって、臭い物質がお茶の香り成分でおおわれ糞の臭いがしなくなるのです。牛に応用したのはここが初めてでしたが、予想通りの結果でした。
「ジャージ牛乳 ノン・ホモ」893円(900ml瓶)
「ジャージ牛乳 ホモジェナイズド」630円(1000mlパック)

第5章 太陽と黒潮のめぐみ豊かな高知県はおいしさの宝庫

植物性飼料と緑茶粉末で育てる鶏のおいいし卵・・・窪川町
 窪川町では、養鶏農家の佐々木さんが、アトピーの子供でも食べられるおいしい卵作りに励んでいます。私が、鶏に植物性飼料と緑茶粉末を混ぜた餌を与えることを提案したこの卵は、嫌な生臭い臭いが一切せず、それまで黄色がかっていた白身が透き通るように真っ白くなりました。そして、鶏の糞の臭いがなくなる効果まで発揮した、環境にもやさしい養鶏となったのです。
 ストックホルム大学のカール・エリック・ダニエルソン教授夫妻の研究で、卵アレルギーの原因が餌となっていた質の悪い魚粉であることがわかったという。
 動物性タンパク質を大量に与えると、生育スピードが早くなり、肉の生産コストも安くなり卵もよく産むようになります。しかし人間が食べる新鮮な魚と違い、飼料用に使われる魚は原料も古く、遠く海外から常温で輸入されるため、脂肪分が酸化したり、悪臭が強くなった魚粉が大部分なのです。その結果、鶏の肉や卵も魚臭くなったり、魚粉の酸化した脂肪の害で人間がアレルギーを引き起こすことになるのです。
 佐々木さんは永田さんとストックホルムへも同行し、植物性飼料で飼育される環境をつぶさに見て回る。そして、自分の鶏舎でも遺伝子組み換えでないトウモロコシや大豆カスなどを使った植物性飼料に本格的に変えるが、さらに永田さんから、
「緑茶の粉末を飼料に混ぜると、より効果が高まるはずです。試してみませんか」とアドバイスされた。
 緑茶粉末には殺菌力の強いカテキンも多く含まれるので、飼料に抗生物質などを使わない、無農薬養鶏による無菌卵をつくることができると考えたのである。
「最初は緑茶粉末の量が多すぎて、善玉の腸内細菌まで殺菌してしまい鶏が弱ったりもしました。それで、配合の割合を全体の飼料の一割未満まで調整しながらしばらく様子を見ていたところ、植物性飼料に変えても淡い黄色だった卵白が緑茶粉末を混ぜると徐々に白濁色に変化してきたのです。しかも盛り上がるような粘りの強さも出てきたのにはびっくりしました」
(写真)永田農法の緑茶配合の飼料で飼育するボリスブラウン。生後170日くらいで卵を産み始め、永田農法の卵にするのはそれから約一年間の、若鶏の期間の質の高い卵に限るという。抗生物質なしでも元気そのものだ。
「コロンブスの茶卵」一パック10個入り三パック2300円
六パック3500円
12パック5800円
24パック9800円

おおらかなおいしさが溢れる黒潮の里・・・土佐清水市
 今、市長も家庭菜園されているタマネギは、場所さえ見つければ栽培はいたって簡単です。しかも糖度は12度ほどもあり、切っても涙は出ませんから水に去らず必要はなく、リンゴのような香りで果実のように甘く、丸かじりさえできるものです。タマネギは水溶性のビタミンも多く含まれるので、水にはさらさないで食べるのが理想なのです。ここでは風通しが良く排水も良い山地で育てると、世界で一番おいしいと言われるマウイ島のタマネギに匹敵するタマネギができるでしょう。
「池川町のファーストトマト」
糖度8~8.9度(完熟18個入り)3465円
特選糖度9度以上(完熟18個入り)4515円

第6章 火山灰に埋もれた地で日本一のほうれん草農家誕生 長崎県島原市
 ところが、夏場を迎え、ほうれん草は暑さに弱いからと水をまく。水を与え続けているうちに、あろうことが全滅してしまったのである。
「原因は、水をやりすぎたことで土壌が高温多湿になり、根腐れの原因の菌が大量に発生したためでした。それで調べていくうちに、ほうれん草はイランの砂漠のような高原地帯が原産地だと知り、水を与えない方がいいということに気がついたのです」
 この全滅を反省して、田中さんは少水栽培へと切り替える。さらに夏場は暑さを和らげるためビニールハウスの上に遮光資材を張るなどして陰を作ったり、有明海からの涼風が吹き抜けやすいように換気扇を取り付けて空気の流れも作った。一年を通しておいしいほうれん草の育て方を模索していき、丹精込めて育てていくうちに、ほうれん草は潮風を受け塩分が多くなると体内の塩分排出装置が働き、葉の裏に塩分を排出するので潮風には強いということや、潮風の刺激に酔って葉が厚くなり、そのおかげで害虫にも強くなるという因果関係も知ったという。
「一年に八回の栽培ですので、土壌を肥えさせないといけないと、堆肥を欠かさず施しました。使用量も、多くやればもっと良くなるのではと、増えていったと思います」そんなとき、永田さんが県の依頼で視察にやってきたのである。
「そこで」永田先生に今までの説明を交えながら、蓚酸のえぐみが気になるのですが、とたずねたところ、生えているほうれん草をその場で摘んで食べ、葉の色も見て、〝肥料が多すぎますね〟と、ひとこと言われたのです。そのとき、ハッ! と思いました。水のやり過ぎと同じことだったのですね」
 火山灰で育てると、赤い粘土質の土に比べ葉が柔らかくなるので、サラダ用の野菜づくりには最適です。しかし、肥料が多すぎるとえぐみや苦みの元になる蓚酸などの有害物質も多くなり、生では食べられません。田中さんのほうれん草は、当時、蓚酸過多の症状である緑の濃い色になっていたのです。
 そこで田中さんは、思い切って肥料を半分以下に減らした。すると、収穫のたびに、魔法のように蓚酸などの有害物質がみるみる減り、色も薄い緑色に変化してゆき、生でも食べられるほうれん草になったのである。
 水耕栽培のほうれん草は、すくすくと育つ分、栄養価も少なく、味も素っ気もありません。それに比べて、田中さんのほうれん草は、火山灰の中で闘い抜いて育ってきたほうれん草ですから、栄養価も高く、糖度もしっかりある。格が違います。
「私も農業を始めて今年で三十三年になりますが、永田先生と出会ったのが三十一年目のとき、自分はそれまで一生懸命やってきたつもりでしたが、永田先生のひとことで、まったく逆のことをやってきたのだと気づきました。しかも水だけでなく堆肥も少なくして育てることで、蓚酸は少なくなりビタミンやカルシウムはたっぷり蓄えられると知り、目からうろこ落ちた思いでした」
「ほうれん草・素肌美人」20袋3500円(一袋200g)

平成22年12月


本57 永田照喜治「永田農法 おいしさの育て方」

永田照喜治「永田農法 おいしさの育て方」
小学館(2002年刊)永田農法おいしさの育て方
永田照喜治  株式会社永田農業研究所代表取締役 株式会社健菜代表取締役
 1926年熊本県天草生まれ。神戸大学経済学部卒業後天草に戻り、農業に従事。
  砂栽培に独自の工夫を加え、「断食農法」「スパルタ農法」と呼ばれる農法を考案。

 前回読んだ「永田農法でかんたん、おいしい野菜づくり」を読んで以来、永田農法に興味を持って、永田農法に関する本を何冊か続けて読みました。

永田農法を知る
糖度19度のトマト
 2001年5月、高知県の長野雄一社長がつくったトマトは、糖度19度を記録しました。糖度はふつうのトマトで4度から5度。19度というのは間違いなくギネスブックものです。
 糖度が高くなれば、各種ビタミンやミネラルの含有率が多くなることが確かめられています。糖度が三倍になって、ビタミンCが一気に30倍になった例もあります。

・糖度の比較
作物名    一般作物  永田農法
レタス   3~4    6~12
キャベツ   3~4    6~12
ブロッコリー 3~4    7~15
ナス     3      5~10
トマト    3~4     6~15
サヤエンドウ  4~5     6~18
大根      6~8    8~15
ニンジン    6~8    8~15
プリンスメロン  11~12   13~22
みかん      10     12~20

・100g中のビタミンCの比較
作物名 一般作物  永田農法(最大値)
ほうれん草   65      567
コマツナ   75       631
春菊      21      312
大根葉(美菜)  70      546
キャベツ     44      462
レタス     13       217
カリフラワー  65       925
ブロッコリー  160      1296
キヌサヤエンドウ     55       459
トマト      20       687
茶(粉末)     60      856
みかん(早生)  35      453(小玉)

農学常識の誤り
 思えば、私が農学部の出身でなかったために、先入観をもたずに理論よりも現実を受け入れられたのでしょう。

三要素だけで十分
 液肥のみで育てたみかんは、有機肥料をすきこんだ土で栽培するよりも、三倍も早い速度で成長しました。この時私は「作物の栽培には有機肥料は一切必要なく、窒素、リン酸、カリウムの三要素だけで十分だ」と確信したのです。

アンデスのトマト
 このとき二つのことが分かりました。ひとつは、トマトの遠い祖先の故郷がカラカラに乾燥した高山地帯の荒れ地であること。もう一つは、生育条件次第では、植物は「先祖帰り」のような現象を起こし、本来持っている生命力を甦らせるということでした。

有機農法への疑問
 ところで、2000年秋、十八年ぶりに食品成分表改訂(五訂)になりました。数値がすべてではありませんが、四訂時と比べてみても、ほとんどの野菜、果物でビタミン、ミネラルの含有量が減っています。「最近の野菜は不味い」と多くの人がいうとおりの現象が、数字にも示されていたのです。

 日本でも、お茶で有名な静岡の牧の原台地では、茶畑に油粕や魚粉をやりすぎて、井戸水が飲めなくなっています。日本一の清流といわれる高知の四万十川や九州・大村湾の汚染も同じです。有機とは本来、生命を有することを意味しますが、今行われている有機農業の多くは、生命を傷つけてしまっていますから、本当の意味で有機的とはいえないのではないでしょうか。 といっても、有機農法がまったく悪いといっているわけではありません。素性の確かな堆肥を時間をかけて発酵させ、最小限度使うのならばいいのです。ただそれには、かなりの熟練と勘が必要です。ところが現状はそのレベルに達していない生産者が、有機栽培でないと売れないからとむやみに使うことが多く、害の方が多いのです。

代謝異常の野菜
 有機肥料への過剰な思い込みでわかるように、日本の農業の大きな問題点は、肥料のやり過ぎです。栄養をたくさん与えれば作物はそれだけ大きくなり、成長も早いと考えがちですが、濃い肥料をやればやるほど、植物は微量要素欠乏症になるようです。ですから、私の栽培法では、薄めた液肥をごく少量与えるだけです。
 ハウス栽培についても、思い違いが多いようです。多くの消費者が品質の善し悪し以前に「露地物はおいしい」「ハウス栽培は味が落ちる」と信じ込んでいます。ところが、実際には、日本ではハウスを使って栽培しなければ、おいしくできない野菜や果物が多いのです。その原因は雨量の多さにあります。日本は雨量の多いモンスーン気候です。トマトはアンデスの乾燥した高地が原産ですし、キャベツは地中海の冬が旬です。日本に比べれば、はるかに乾燥した気候が最適環境なのです。ですからいかに、雨から作物を守るかが大切になってきます。そのために、作物によっては雨よけのハウス栽培が欠かせなません。
 結論をひとことで言えば、日本の野菜がまずいのは、結局水と肥料のやりすぎなのです。

健康な根をつくる
 永田農法のトマトの根には太い直根はなく、細かい毛細根が繁茂し、特に、地表面の近くを覆う。<うまい根>とよぶ根である。

肥えた土はいらない
 ふつうの栽培方法では、作物にとって本来必要でない時期にも、水や肥料が与えられるため、作物は軟弱に育ちます。
 畝を高く作ったら、必ずマルチフィルムで覆って下さい。この目的の一つは根を保護することにありますが、より重要なのは、こうすることによって、根に毛細管現象が起こり、地下の水分が吸い上げられる結果、地表面に少量の水分が蓄えられることにあります。こうしてできた高畝マルチの畑に苗を定植するわけですが、定植後しばらくは水も肥料もやりません。まさに断食の状態にするわけです。痩せ地でこのような断食状態になると、作物の根は生きるために必死になって活動します。

<うまい根>をつくる
 枯らさぬよう、しおれ始めた段階で薄めた液肥をごく少量与えます。その量は作物の種類によって異なります。わずかな液肥を求めて、植物は必死に根を伸ばし広げます。それも深く地下へ伸ばすのではなく、地表面へ向かって横へ横へと伸ばします。太い直根は出ず、細かい毛細根が増え、さらにギリギリの乾燥状態になると、地表面に真っ白な繊毛がカビのように生えてきます。これが<うまい根>です。
 この根が出てくれば、野菜にはぐんと甘みがのります。マルチフィルムをしていないとp、この根は保てません。
 地表はカラカラに乾いていても、このように根が活発ならば、間違いありません。乾燥状態をうまくコントロールできれば、茎や葉、実の表面に産毛の生えた、アンデスの原生種に先祖帰りしたような力強いトマトが蘇ります。

おいしく食べる

ほうれん草サラダは食卓で仕上げ、すぐに食べる
 一般栽培のほうれん草は蓚酸が多いので、生で食べるとエグミがあってまずく、身体にも有害です。しかし、永田農法のほうれん草は蓚酸が少なくて、苦みもエグミもなく、香りが高くなります。「そして皿に盛ったとき、葉っぱが立つほど勢いがいい。このさわやかさを味わうには、ドレッシングで和えてクタッとさせてはいけません」

 地球温暖化の影響で、夏の平均気温が高くなっている最近は、夏においしいトマトが作れるのは、北海道ぐらいになりつつあります。

・トマト
野菜はここまでおいしくなる!
見栄えや収穫量よりもおいしさを追求
小粒の果肉に凝縮された生命力
やせた土地で、厳しく育てる
 私はしばしば「土はつくってはいけません。やせた土がいいのです」と言ってきました。堆肥だろうと、化学肥料だろうと、肥えた土は禁物です。それどころか、ごつごつとやせ細った礫ばかりの岩山を栽培地に再現しています。
 肥えた土は不要ですが、その一方、風と太陽の光はたっぷり必要です。農薬を使わなくてもよい環境で作物を栽培するためには、涼しい風が農園を吹き抜けることが、重要になってきます。
 さらに重要なのは、どうやって余分な水を防ぐかという問題です。プロの生産者のトマト栽培は100%ハウスで行われます。理由は雨水を防ぎ、乾燥状態を保つためです。

永田農法の秘密は根っこにある
 永田農法のトマトのはは小さく、チリチリと乾いて黄緑がかっています。茎も細いのですが、よくよく見回せば、葉も茎も黄金色の産毛で覆われて、野生のトマトのように荒々しいのです。
 水をたっぷり与えれば直根がどんどん伸びて作物は大きくなりますが、味は落ちます。除草剤をまけば<うまい根>が傷み、たちまち消えてしまいます。つまるところ、この根を育てることが永田農法の基本なのです。

・なす
水にさらさなくて、いいのです
 永田農法のナスは30分経過しても、切り口が白いままです。表面が盛り上がり粉を吹いてきます。アク抜きをせずそのまま食べられます。「傑作」ともなると、皮ごと丸かじりできて、サクサクと弾力ある歯触りが楽しめるばかりか、りんごにも似たさわやかな香りさえします。糖度は6~7度あります。
ゆっくりじっくり太らせる
 田中さんの言葉を借りれば「なすは、ゆっくりゆっくり太るのがうまかです」。水や肥料を減らすのも、ぎりぎりの低温もこの「ゆっくり太る」助けになります。急に太るのは単なる水ぶくれ。うまさが深まることはありません。

・ピーマン
「ピーマン大キライ!」でも子供は悪くない
緑は未熟 完熟すると赤くなる
 ご存じの通り、緑のピーマンは未熟果。品種によって未熟果の状態も緑~黄の濃淡があり、完熟すると橙~赤、あるいは紫~黒になります。最近、よく見かける赤や黄色の大きな「パプリカ」は、ピーマンの成熟果です。

生まれは熱帯ジャングルだから高温多湿好みだが
 永田農法では、高温多湿生のピーマンであっても、その栽培の基本は変わりません。やはり、肥料も、水も、農薬も極力やらないのです。

・きゅうり
95%が水分。だらか、水がモノをいう
きゅうりは「ブルーム」に限る
 きゅうりの表面はトゲトゲがピンと立っていて、手に痛いほど。こすると手に白い粉が残ります。これがブルームとよばれる粉です。ブルームは、きゅうり自身が水分の発散を防ぐために出す油分の粉なのです。その有無は鮮度の目安になり、表面が粉を吹いている方がいいのです。ところが、一般には「ブルームレス」が出回っています。これは表面がすべすべしています。皮が厚くて傷みにくく、見た目がいつまでも変わらないため、改良種が出た1980年代にたちまち市場を席巻しました。
 ところが、この「ブルームレス」、はっきりいっておいしくありません。表皮が固いので独特の歯当たりがあり、しかも、鮮度低下が分かりにくいのです。漬け物などにすると、塩分が中に浸透せず、味の違いが歴然とします。きゅうりを栽培するなら「ブルーム」に限ります。
 きゅうりは、600ルクス程度のわずかな光でも成長してくれます。夏の北極圏でも大丈夫ということは、つまり、多少の日陰でも栽培が出来るのです。

・かぼちゃ
太陽さえあれば栽培はむずかしくない
痩せて乾燥した畑こそ名産地に

・オクラ
自分でつくるしかない大型丸オクラ。病みつきになる
 ただし、素手での収穫は禁物です。半袖もいけません。長袖に軍手スタイルで作業しないと、オクラから分泌される樹液で、皮膚がかぶれたり、指の指紋が消えたりします。

・そらまめ
秋に種をまき、翌春に収穫。気長に待とう
 ソラマメを完熟させるのは乾燥豆を採るときだけです。未熟でとりたてのものを塩ゆでにするのがなにしろ、最高においしいのですから・・・。さやから豆を取り出すとたちまち固くなり味が落ちていきます。だから豆を取り出すのは料理の直前に限ります。取り出してみて、黒い筋がはっきりしたものは、実が完熟しているので、煮物などに向きます。

・ミニトマト
ミニより小さい超ミニに育てる
原生種に近く病気に強い

・ほうれん草
完全燃焼野菜だから、生がいい
体は有害成分を「まずい」と感じる
 永田農法でつくるほうれん草はエグミがなくて、甘くなります。分析してみると、蓚酸は一般栽培の半分以下に減り、その一方でビタミンやカルシウム、それに糖度は2~8倍以上ありました。
おいしさの違いは品種ではなく栽培法
夏のほうれん草は強烈な太陽が嫌い

・ブロッコリー
 13世紀頃には結球するキャベツが栽培され始め、17世紀頃までには花蕾部分食べるブロッコリーができ、次いで、カリフラワーの区別が出来ました。

・サラダ菜 リーフレタス
パリパリほおばるなら自家菜園のものを
 レタス類の種類は多く、四変種五型に分類されます。ふつう「レタス」とよばれる結球型のものは栽培がむずかしく、結球の仕方がゆるいサラダ菜や、リーフレタス、サニーレタスなどは栽培しやすく、家庭菜園向きです。

・しそ
芽から穂まで、いつでも食べる楽しみがある
 しそは丈夫で、土質も選ばないといわれますが、環境は大切です。風通しが良く、水はけも良い痩せた土で栽培すると、すくすくと成長し、風味も良くなります。

じゃがいも
アンデス生まれ北ヨーロッパ育ちを再現
 もっとも注意するのは、収穫のタイミングです。じゃがいもは最後の10日間で、糖をでんぷんに変えて完熟します。その間に収量も増えるのです。じゃがいもそのものが健康であれば、葉は枯れずにもつので、完熟をじっくり待つことが出来ます。ただし、二次成長前には収穫して下さい。二次成長が始まると、でんぷん価が低下し、味が落ちてしまいます。

・玉ねぎ
世界一のマウイ島産を超えた
 自家栽培をする場合は、九月の中旬くらいに種をまき、翌年の春から夏にかけて収穫します。長期保存もできますが、味は落ちます。できるなら、旬前線にそって、生産者同士で、収穫した農産物を交換したらどうでしょう。さぞや楽しいに違いありません。

・にんじん
赤ちゃんが大好きな味を育てるということ
芯の部分も外側と同じおいしさ
 にんじんは長く地中に置くと、ずんぐりと太ってきますが、早めに細めのものを収穫した方が香りが高く、味もよいのです。
 若い葉を食べることもお勧めします。京にんじんの葉は根とは別にわざわざ料理人向けに出回るほどですが、西洋系の葉も、若くてやわらかい頃はゆがいて料理に使えます。間引きしながら、ぜひ葉っぱを楽しんで下さい。
 60日~120日で収穫。早取りは、甘みは不足しがちだが、生でも食べやすい。

・大根
 大根は、日本を代表する野菜、野菜の王者です。おそらく江戸時代から、あらゆる野菜の中で最も多く栽培され、また作付面積も多かったと思われます。好まれる野菜が多様化した現在も、やはり生産量は第一であり続けています。原生地は地中海沿岸といわれていますが、奈良時代の日本ですでに食用化されていました。今、世界の大根は西洋大根(ラディッシュ)、中国大根、そして日本大根の三つに大別されます。それほど日本になじみ、日本独特に発達してきました。
しかし、都市化とともに地方品種が消えつつあります。1970年代の「青首」ブーム以来在来品種の栽培が少なくなっています。青首は、みずみずしくて甘みに富み、全国どこでもつくりやすい品種です。
切り干し大根で昔の甘さが蘇る
 大根は「畑のそば」とわれます。畑土を選ばず、冷涼な気候を好み、作りやすいからでしょう。永田農法で栽培すると、直根のまわりに細根が生えて糖度が高くなります。同じ時期に一般栽培したものの糖度が8度だったのに対して、12度を記録しました。太くはなりませんが、果肉がきめ細かくて、火の通りが早く、煮崩れしにくいのです。

・もやし 貝割れ大根
芽吹き独特の清涼感を味わう
 もやしの中でもっとも自家栽培向きなのは大豆、ソバ、玄米などです。変わったところではブロッコリーなどもおいしく、栄養価が高いのでお勧めです。
 いずれも、種をまいて5~7日もあれば、食べられます。それを美しい皿に盛るのもいいですが、私は栽培容器ごと食卓に出し、つまんで食べることをお勧めします。きっと自家製の味と香りに病みつきになるでしょう。
 種から発芽し、光に向かってどこまでも伸びようとする幼茎、なぜか、発芽直後は、種の状態のときより、ビタミン、タンパク質、カルシウムなどが一段と多くなります。

21世紀の食を考える

・有機農業と環境汚染
 厳しくいえば、今行われている有機農業は、家畜の糞尿処理のためのゴミ捨て場であって、リサイクルとよぶにはほど遠い状況です。家畜たちは、経済合理性のために、濃厚な飼料を与えられ、狭い厩舎でぶくぶく太らされ、病気を防ぐために抗生物質やホルモン剤、成長促進剤を大量に投与されます。有機農業に使われる堆肥の多くは、このような不健康な家畜たちの糞尿からつくられているのです。
 現実には、増え続ける家畜の糞尿処理に、業界の人々は頭を悩ませていました。そこへ、うまい具合にやってきたのが有機農業の大ブームでした。その結果、熟成にはほど遠い堆肥が大量に使われ、作物の根を傷め、環境を汚してきたわけです。
 堆肥を使うためには、気長に熟成させることが何より大切。そのためには、少なくとも一年、時には三年ぐらい待つくらいの覚悟が必要でしょう。そこまで熟した堆肥を液肥にして少量使うならば、それこそ有機農業の本来の姿といってよいでしょう。

・防草シートの効用
私は雨水や直射日光から根を守るために、畑には必ずマルチフィルムを敷くことを勧めていますが、これには雑草を防ぐ効果もあるのです。コストもかからず、畑では一石三鳥で利用できます。

・風土と作物
 おいしい作物のできる最適地についてさらに条件を考えてみると、なるべく山の上の方で、気温の逆転層になっているところが望ましいのです。ふつう山は上に行けば気温は低くなりますが、逆に下よりも気温が高くなる層を逆転層といいます。逆転層より上だと霜が降りて枯れてしまいます。下だと根を傷めて、作物に苦みが出ることが多いのです。また、朝夕に霧が発生するところも、おいしい作物ができます。霧には、作物の味をマイルドにする作用があるようです。同様に、潮風にも作物にいい影響を与える効用があると思います。

・緑信仰への危惧
 ところが、あのお茶の葉の緑色こそ、硝酸態窒素の色なのです。昔の茶畑を知っている人ならば覚えているでしょうが、本来のお茶の葉は山吹色なのです。この原因は、油粕などの有機肥料、窒素肥料の多用にあります。緑の茶畑は悪夢なのです。安全意識高めて、本物を見分ける目を養って下さい。

・糖尿病を治す果物
 外園先生は、私たちがつくった野菜・果物を食べることで糖尿病を治す「野菜果物療法」を生み出したのです。治療に役立ってきたのは、みかん、りんご、スイカ、メロン、ブドウ、パイナップルさらにサトウキビジュース。いずれも完熟物で、糖度も高いのです。ふつうの医者なら考えられないことでしょうが、カロリー制限も、運動もせずにはっきりと患者の血糖値が下がっているのです。
 なぜこんな効果が出たのかと考えると、糖の内容が違うというしかありません。本物の果物には、大地と気候という大自然のめぐみ、栄養素がびっしり詰まっていて、文字通り生きているのです。

・市民農園の時代
 クライン・ガルテンの本家本元であるドイツでは、市民農園で生産される農産物の総量は、ドイツ全体の農業生産量の三分の一強を占めています。この夢が実現すれば、日本の難問である食糧問題は一気に好転することになります。

・卵アレルギー
 かつて伊豆大島の小学校で、子どもたちが集団ぜんそくにかかり騒動になったことがありました。担当医が調査したところ、原因は学校給食の鶏卵とわかり、やめたとたん全員が治ってしまったといいます。
 スウェーデンのダニエルソン教授夫妻により、鶏卵アレルギーの原因になっているのは、鶏の飼料に混合されている魚粉であることがわかっていました。この魚粉の原料になっているのは、中南米の海域で水揚げされる質の悪いアンチョビです。
 お茶の粉末を、飼料に混ぜたら脱臭効果に加えて殺菌考と、結果は予想以上でした。
 今、さまざまな工夫をこらした鶏卵が出回っていますが、アレルギーや生臭さを気にする方は、飼料に魚粉を含まない鶏卵を選ぶことをお勧めします。

鉢で栽培する
私はこれまで数にして30万を超える鉢植えを育ててきた結果、もっとも易しく、効率的でなおかつおいしい野菜、果物を栽培する方法にたどりつきました。一般の指導書に書かれている内容とかなり違いますが、長年の経験から自信をもって紹介できる栽培方法です。
1 鉢、プランターを選ぶ
  鉢もプランターもいろいろな大きさがありますが、私の経験では根の広がりが直径10㎝、深さ10㎝を超えても全く意味がないことがわかっています。それどころか、根が育ちすぎるいわゆる<根巻き>現象を起こしてしまい、百害あって一利なし。
 ですから、鉢は直径10㎝程度、深さは12~13㎝の小ぶりのものを、プランターならば、1本の苗のスペースが10㎝四方、深さも10㎝の用土に見合った大きさのものを選びます。大根のように大きくなる作物でも、大きくなれば土の上に頭が出るだけすから、 問題ありません。
2 栽培用土の選び方
  私は礫の使用を勧めています。礫とは、直径2mm以上の土、岩石をいいますが、園芸店で、通気性が良く保水性がよい礫状の用土を求めて下さい。
  たとえば、珪藻土などには連続気泡とよばれる小さな孔が多数あり、そこに少量の水分が残るため,好適です。そして可能な限り、粒の大きさの異なる4種類程度の礫を準備して下さい。
3 植え付けの基本
 ①苗の根をよく水洗いし、土を洗い落とした後、根の付け根から、2~3㎝程度を残して、ハサミで切り落とします。一般の園芸常識からは考えられないことでしょうが、これがいい根を育てる秘訣です。
②容器の底の穴を水が通るように塞ぎます。
 ③いちばん粒の大きな礫を、深さにして2~2.5㎝くらい入れます。
④同じように、粒の大きな順に礫を入れていきます。
 ⑤いちばん粒の小さな礫を入れるとき、苗を植え付けます。
 ⑥水やりのあと、市販の液肥を1000分の1くらいに薄めて、少量散布します。
 ⑦肥料は基本的にこれで終わりです。ただ、何度も収穫したい場合は、その都度液肥を少量散布して下さい。その他の肥料は一切不要です。
⑧水やりは作物が枯れない程度に極力控えめにして下さい。水のやり過ぎがもっともいけません。
⑨雨水がかからないよう、工夫して下さい。
4 苗を選ぶ
 苗を選ぶポイントは、大きすぎず小さすぎず、中くらいの大きさのものを選ぶことです。次ぎに葉と根を見比べて、葉の数に比べて、根が多い苗を選びましょう。作物の生命はいかにいい根をつくるかにあります。

平成22年12月

ネギ 9

202003232(600).jpg
ねぎ坊主の成長は速いです。
つい二週間ほど前、ねぎ坊主が出来はじめたかと思っていたら、
どの株からもにょきにょきと伸びてきて、ねぎ坊主の乱立状態となりました。
ねぎ坊主は皮膜をかぶっていて、これが破れて花が咲き出します。

菜の花

20200323(700).jpg
東隣の畑のあぜにひとむらの雑草化した菜の花が春を謳歌していました。
今日は日差しも強く、日中の気温は19℃まで上がりました。
梅の花やホトケノザ、オオイヌノフグリなどは春の訪れを感じさせてくれましたが、
菜の花が咲く頃は春本番ですね。

セロリ4 植えつけ その1

202003231(600).jpg
セロリの苗は大きさにばらつきがありますが、大きいものでは本葉が4,5枚になってきました。大きいものを集めると結構な量になったので、植えつけることにしました。
今日は1回目でハウスの中に植えます。暖かいところで成長を早めて早い時期に出荷できるようにしたいからです。
202003232(800t).jpg
昨年はハウスの東側の列に植えたので、今年は西側に植えました。
20センチ~25センチ間隔で2列に植えました。
セロリの隣にはトウモロコシが育っています。
まだ、たくさんのセロリの苗が残っていますが、残りは時期を遅らせて、露地植えにします。
収穫時期を遅らせて、できるだけ長い期間に渡って収穫できるようにしようと思っています。

本56 永田照喜治・他監修「永田農法でかんたん、おいしい野菜づくり」

監修 永田照喜治・杉原葉子
「永田農法でかんたん、おいしい野菜づくり」
主婦と生活社(2007年刊)
永田農法で野菜づくり
永田照喜治:1926年熊本県生。神戸大学経済学部卒業。
独自の研究・工夫末に独創的な「永田農法」を確立する。
台湾やフランス、中国などの海外でも注目され、各地で指導・講演を行っている。
杉原葉子:1977年山形県生。
東京農業大学大学院修了後、永田農業研究所に入社。

 トマトをはじめとして多くの野菜の原産地は、南アメリカです。こうした地域は、土は固いし、石などもごろごろしています。また何よりも、けっして肥沃な土地ではありません。
 ところが思ったより水はけがよいことに気がつきました。つまり、野菜には、このような条件の中でも育つ遺伝子が備わっているということです。それならば、従来の農業の常識ともなっているふかふかの土で育てたり、栄養過多の状態で育てる必要はない。いや、それによって野菜本来の実力が発揮できていないのかもしれない、と考えました。
 それ以来、試行錯誤を繰り返してたどり着いたのが、ここでご紹介する「永田農法」です。
 土づくりについては、水はけのよさに重点を置き、また肥料や水は最小限を与えるだけにします。肥料も、適切なバランスでつくられた液肥のみを使うようにしました。元肥も追肥も、1種類のみです。
 永田農法で作られたトマトは、最高で18度に達するものもあります。これは高級マスクメロンの甘さをしのぎます。ただ甘いというだけではありません。程よい酸味も感じられ、のどごしもとてもいい。

 永田農法はこれまでのやり方とは根本的に異なる部分もあります。たとえば、苗を植え付けるとき、買い求めたポット苗についている土はすべて洗い流した上、短く切り詰めるといったプロセスがあります。

永田農法の基本

永田農法の基本は全て同じ
 永田農法のコツは、肥料や水をギリギリまで抑えて栽培することにあります。これは、ほとんど全ての野菜に共通しています。そして、それぞれの作業の違いは若干ありますが、栽培の基本的なプロセスは変わりません。
 永田農法による野菜の特徴は、甘みが強いこと。トマトの場合では、糖度は一般のトマトの3倍以上、ビタミンCは約30倍もある。水に浸すと永田トマトは沈み、一般のトマトは浮く。永田トマトは実が締まり、比重が重いことを示している。

用意するものはこれだけ
・液肥(住友液肥)
  葉もの野菜は1号、実もの・根もの野菜は2号を使う。肥料の三大要素である窒素・リン酸・カリがバランスよく配合されている。1号は15:6:6、2号は10:5:8の割合となっている。
・ケイ酸カルシウム
  日本の土壌は酸性に傾きがちなので、野菜づくりに適した中性にするために使用する。
・三角ホー
  種まきや雑草取りに使用する。
・レーキ
  土の表面を平らにならすときなどに使う。
・ジョウロ
  水やりを兼ねて液肥を与えるときに使用。液肥を混ぜるため、水量のわかる目盛り付きのものがよい。
・クワ
  永田農法では畝を高くつくるので必需品。

畝はグン!と高くつくる
 永田農法の畝は、基本的には全ての野菜に共通。畳一畳分のスペース(90㎝×180㎝)をひとつの単位としてつくる。高さ30㎝の畝とするので、上面は70㎝×160㎝ほどになる。

土づくりは1週間前に行う
 土づくりは、苗の植え付けや種まきの作業の1週間前(冬期は2週間前)に行います。土の中に硝酸化成菌を増やすための期間で、この菌は、窒素を吸収しやすくするという働きがあります。
1 畳1畳分のスペース(90㎝×180㎝)を軽く耕し、大きな石や土の塊を取り除く。土を細かく砕いたりする必要はない。
2 スペースの周囲の土を内側へかき寄せ、畝をつく っていく。
3 上面を平らにならす。周囲に土がこぼれ落ちてもよいが、高さが30㎝になるようにする。低いようならば、さらに盛り上げる。
4 できあがった畝。
5 上面が白くなるまで、ケイ酸カルシウムを均等に振りまく。
6 水で薄めた液肥10リットルを均等に施して、畝が完成。

根をスッパリ切って、苗を植え付ける
1 丈夫な苗を選ぶ
  茎が太く、節の間隔が狭いものがよい。
2 根を洗って切り詰める
  ポットから苗を出し、土を全て洗い流す。苗に付いている土は、余分な栄養分が含まれている場合があり、また、植え付ける畝の土と性質が異なるとうまく育たないなくなることがあるからです。
  2~3㎝に根を切り詰める。
  こうすることで、水分や養分をもっとも旺盛に吸収する細かい根がたくさん発生し、還って生育がよくなります。
3 浅めに植え付ける
  株元がちょうど地表と同じ高さになるようにする。
植え穴の底に土を盛り、植え付けの深さを調整する。
植え付け後は、たっぷりと液肥をほどこします。
4 液肥を週1回与える
  その後は、1週間に1回の割合で液肥をほどこします。ただし、夏場になって土が乾くようなら、回数を多くします。

雨よけをする
 トマトに限らず、雨に当たると病害虫が発生しやすい。雨よけは必ずする。
下葉を整理する
 枯れ込んだ葉は、病害虫の発生につながる。

乾燥や雑草防止、病害虫の防除は欠かせない
マルチ栽培やトンネル栽培で対応
 野菜づくりで悩まされるのが、雑草や病害虫です。永田農法では、寒冷紗を多用することで、こうした被害を減らすことに努めます。
 通常は、遮光率50%程度の黒、同じく20%程度の白の寒冷紗を用います。黒い寒冷紗は、種まき後に上から覆いますが、発芽まで雑草防除に役立つばかりか、土の乾燥防止の効果もあります。白い寒冷紗は、支柱を使ってトンネル上に作物を覆うときに使います。害虫の防止効果があります。永田農法ではこのほか、土の乾燥防止に、ビニールマルチ、もみがらくんたん、ワラなどを使います。

おいしい野菜あれこれつくろう

ナス : 秋までずっとなり続ける
 ナスは、4~5月に苗を植え付けて夏から秋にかけて収穫します。永田農法で栽培すると、1つの株の上から下まで次々と実がつきます。アクが少なく、ナマでも食べられる、リンゴのような食感のナスができます。
 ナスは、種まきから苗に成長させるまでに日数がかかるので、苗を購入して定植します。ナスは病気にかかりやすいので接ぎ木苗がおすすめです。
 畝の中央部におよそ50㎝間隔で苗を植える穴をあけます。畳一畳あたりに4個の穴が目安です。あけた穴に苗を植え付けるときは、根が地表に近いところで横に広がるように浅く広げて植えます。
3本仕立て
 一番花の下の2本のわき芽を残し、下のほうのわき芽をすべて摘み取って下さい。このように3本仕立てにすると、日当たりや風通しがよくなり、病気にかかりにくくなります。
剪定
 7月下旬には枝葉が混み合って日当たりや風通しが悪くなり、虫がつきやすくなるので、枝を剪定しましょう。枝葉が重なり合っているところを中心に、枝を切り落とします。花が2つ以上ついている芽は1つにします。収穫しながら同時に剪定し、8月上旬までの間に全体の3分の1から2分の1の枝を切り取っておきます。このように手入れをして育てると、1つの株の上から下まで次々と実がつき、秋頃まで長く収穫を続けることができます。

キュウリ : 驚くほどたくさん収穫できる
 永田農法で栽培すると、一般のキュウリに比べて糖度が高く、香りのよいものが次々と収穫できます。また、開花から収穫までが早いので、次々と収穫が楽しめます。草丈がどんどん成長するので,世話をしやすいように株の高さを調整することもポイントです。
苗の植え付け
 5月の連休に定植するなら、苗を購入するほうが簡単です。
 畝の中央部におよそ50㎝間隔で苗を植える穴を掘ります。株数は、畳1畳あたり4株を目安とします。
 土の乾燥や雑草の繁殖を防除するため、くん炭を敷きます。
 植え付けから1ヶ月間は保温と防虫のため、寒冷紗をトンネル状にしてかけておきます。保湿効果を高めるために、苗のまわりをワラで覆うのもよいでしょう。強い日差しから根を守り、病気の発生を防ぐことができます。
植え付け後の手入れ
 植え付けから1ヶ月たった頃小ヅルが出てきます。下から5節目までの子ズルはすべて摘み取ります。実がなりすぎると、株の成長によくないからです。5節より上は子ヅルの葉2枚を残し、摘心します。
 植え付けから2ヶ月後には、草丈が1m以上に成長します。1.5m以上になったら、親ヅルの先端を摘心し、世話がしやすい高さに調整します。地面に近いところの傷んだ葉は、病気になりやすいので取り除きます。実はあまり大きくしすぎると株を弱らせてしまうので、その品種にあった大きさになったら早めに収穫することが大事です。
 キュウリはウリハムシやアブラムシがつきやすいので、たくさんついている場合は、農薬をさっとスプレーします。

ピーマン : ピーマン嫌いでも食べられる甘さ  
 ピーマンは高温を好む野菜です。ナスやキュウリに比べて、簡単に栽培できます。
苗の植え付け
 畝の中央部に50㎝間隔で穴をあけ、地表に近いところで根が横に伸びるようにするため、苗はなるべく浅く植えましょう。
 植え付けから2週間の生育初期は寒冷紗をかけ、寒さから苗を守ります。寒冷紗の代わりに、ビニール袋で覆ったあんどんやホットキャップで覆っても構いません。あんどんは、どこの家庭にもある、あり合わせの材料でつくることができます。
植え付け後の手入れ
 苗の植え付けから約1ヶ月後には、葉が増えてきて、葉の付け根にわき芽が出てきます。下のほうのわき芽はすべて摘み取りましょう。
液肥の与え方
 暑い日が続いて土が乾燥しているときは、液体肥料を株の根元に与える。葉にかからないように注意。
収穫と管理
 生育とともに葉が大きくなり、生い茂ってきます。葉に土が付くと、病気にかかりやすくなるため、下のほうの葉や傷んだ葉はきれいに取り除きます。収穫は長く続きます。10月頃まで収穫できるようにするためにも、液肥は最後まで与えて下さい。

コマツナ : 秋につくると甘みが増す
 コマツナは種まきから栽培しますが、成長が早いので、家庭菜園向きの野菜です。特に秋まきは、寒さとともに甘みが増すのでおすすめです。
種まき
 まず、畝にケイ酸カルシウムと液肥をまいておきます。ホーなどを使ってふかさ1㎝の溝をつくり、そこに種を播きます。種を播いた後の覆土には、永田農法では目土(めつち)を使います。目土の方がその他の土よりも軽くて発芽しやすいからです。溝に沿って目土をかぶせ、その上から木で軽く叩いて種を定着させます。そして、水で薄めた液肥をまき、寒冷紗かネットをかぶせて発芽を促します。液肥は発芽するまで毎日与え、発芽後は1週間に1回のペースで与えて下さい。
間引きと収穫
 コマツナは、発芽後に害虫の被害を受けやすいので、防虫ネットを張るとよいでしょう。種まきから2週間くらいすると葉が大きくなって密集してくるので、間引きします。草丈7~8㎝に伸びてきたら、再び間引きして下さい。
 草丈10㎝ほどに成長したら、液肥をやめ、以降は無肥料で生育させます。
 葉をこまめにチェックし、害虫に注意しましょう。ネットで防除するか、被害がひどい場合は農薬を使用してもかまいません。

キャベツ : ていねいな手入れで害虫防除
 永田農法でつくったキャベツは、とても甘いのが特徴。芯まで甘くて、おいしくいただけます。キャベツは苗の生育に手間と時間がかかります。そのため、通常は市販の苗を購入して植え付けます。また、害虫がつきやすいので、植え付け後の手入れがとても大切です。
植え付け後の手入れ
 植え付け後、液肥は1週間に1回の割合で、夏は早朝か夕方の涼しいときに株元にまきます。ただし、気温が低いときは、日中に、葉の上から撒きます。
 生育初期の、葉が柔らかいときはアオムシがつきやすいので、被害が大きくならないように防虫ネットをかぶせます。生育が進むと、葉が大きくなって横に広がってきます。
 植え付けから約2ヶ月後、葉が内側に巻いてきたら、液肥をやめて無肥料で育てましょう。
 葉の状態をこまめにチェックし、葉についている害虫は必ず取り除きます。被害が大きい場合は、その害虫にあった農薬を処方に従って対処します。
収穫
 苗の植え付けから3ヶ月半ほどで、収穫できるようになります。手で押してみて球が固く締まったものから順に収穫します。

ホウレンソウ : 肥料を抑えてよりおいしく
 秋に種を播いて冬に収穫するホウレンソウを永田農法で栽培すると、糖度がとても高くなります。また、ホウレンソウ特有のエグミの原因となっているシュウ酸の量も少なくなるのが特徴です。そのため、生食でもとてもおいしくいただくことができます。
種まき
 種をまき、液肥を畝全体にたっぷりまいたら、発芽するまでの間は寒冷紗か遮光ネットをかぶせて保湿します。保温の効果もあります。液肥は発芽まで毎日与え、発芽後は週一回にします。雨で土が湿っている場合は液肥は与えないで下さい。液肥は、寒冷紗をいったん外して与えますが、気温の低い時期は寒冷紗の上からまきます。
種まき後の管理
 発芽すると害虫がつきやすいので、防虫ネットをトンネル状にして張ると効果的です。
 種まきから2ヶ月ほど過ぎ、葉に厚みが出てきたら、液肥をやめて無肥料で育てます。肥料を減らすことで、えぐみが減って甘みのあるホウレンソウができるというわけです。
収穫
 寒さが厳しくなるころ、地表面(畝の肩の部分)に細かい根がたくさん出てきます。これは永田農法の特徴で、その約1ヶ月後から収穫ができるようになります。
 収穫適期の目安は、草丈が25~30㎝になったころです。種まきから約3ヶ月後の時期に当たります。根元の土を掘り、根をつけたままていねいに収穫して下さい。普通栽培のホウレンソウは、茹でるなどしてアク抜きが必要になります。しかし、永田農法の冬収穫栽培では、シュウ酸が減るのでアク抜きせずに生のままでサラダなどにして食べることができます。
 また、シュウ酸が少なくなると害虫がつきやすくなるので、防虫ネットを必ずかけて防ぎます。

シュンギク : 菊菜くさくなく食べやすい
シュンギクにはいくつか品種がありますが、摘み取りタイプの品種がおすすめです。わき芽が次々と出て、長い期間楽しむことができます。苦味が消えたおいしいシュンギクをつくれます。
種まき
 液肥畳1畳当たり約10リットルを畝全体にまいてから、寒冷紗をかけます。発芽するまで液肥は毎日まきます。発芽したら、液肥は週1回にします。
収穫
 草丈が20㎝ほどに伸びたら、順次収穫していきます。下の方は残し、株の先端部分から摘み取ると、残した株のわき芽から次々と新しい葉が出てきます。最終的には土を掘り起こし、根元から抜き取って収穫します。永田農法でつくると、細かい根が密生します。

エダマメ : 早めに株ごと収穫するのがコツ
 畝に種を直接まく場合、鳥害を防ぐために、まいた畝の上に黒い糸を張りめぐらせます。

トウモロコシ : 永田農法なら甘さが倍増する
 甘さを競うように次々と品種改良されていますが、永田農法でつくるとさらに甘みを増すのが特徴です。とにかく、生食でおいしくいただけます。実だけを取って冷凍庫へ入れておいたものは、まるでシャーベットのような食感となっておいしさを実感できます。
種まき
 トウモロコシの種まきは、4~5月に行います。まず、前もって畝を準備し、ケイ酸カルシウムと液肥をまいておきます。種は点まきします。畝に一升瓶の底を押し込んで直径約10㎝の円形の穴をつくり、そこに種をまいていきます。ひとつの穴に4粒の種を等間隔で離してまきます。上から目土をで覆って手で叩き、種を定着させます。
種まき後の管理
 発芽したら、液肥は週1回のペースで与えます。ただし、雨で土が湿っているときは液肥の吸収が悪くなるので与えないで下さい。
 種まきから2ヶ月後、液肥をやめて、以後は無肥料で育てていきます。
 栽培している数が少ない場合、受粉がうまく行われない場合があります。そのようなときには、雄穂から粉のような花粉が落ちる頃に株を手で揺すってやります。こうすることで花粉が雌穂につき、受粉が促されます。
 収穫は、早朝の気温の低いときに行います。
 永田農法でつくると、とれたての生トウモロコシはフルーツのような食感です。もちろん、ゆでても焼いてもおいしく食べることができます。

イチゴ : 甘く香りの強い実が長期に収穫 
 永田農法で栽培するイチゴは、香り高く、傷みにくいのが特徴です。その秘訣は、液肥の特別な使い方にあります。
苗の植え付け
 イチゴは10月に植え付け、翌年の5~6月に収穫します。生育期間が長いため、畝の準備が特別です。
 まず、高畝にケイ酸カルシウムを散布します。次に、畝の中央に溝を掘って液肥の原液を流し込み、また埋め戻しておきます。その上にマルチシートを張り、保温・保湿します。ここまでの作業を植え付けの2週間前までに行います。
 植え付け前に、根に着いている苗の土を洗い流し、根を2~3㎝に切り詰めておきます。苗をシートの穴に植え付けたら、水で薄めた液肥を与えます。
 液肥は、実がつくまでは週1回の割合で、日中の暖かい時間帯に与えるようにします。
管理と収穫
 寒い冬の間は、畝全体をネットで覆います。春になり、実がつき始めたら、液肥を与えるのをやめます。枯れた葉や腐った実は、見つけしだい取り除きます。そのままにしておくと、病害虫の原因になります。
 花房の半分ほどを収穫した後、根元から切り取っておくと、再び新しい芽が出て育つので、長い間収穫が楽しめます。このような栽培をする場合には、液肥を週一回の割合で与え続けます。
 ランナーが走って子株を生じますが、2番目の子株(孫株)を切り取って、新しい苗として利用します。

ソラマメ : 特別な畝をつくって栽培する

ジャガイモ : 花が咲いたら無肥料で育てる

サツマイモ : 植え付け後2週間は無肥料で育てる

タマネギ : 切っても目が痛くならない

ダイコン: 根が一段と太ったら、無肥料で栽培

ミニニンジン : えぐみがなく果物並みの糖度

平成22年12月

ニンニク 4

20200316(800t).jpg
前回のニンニクの記事(11月3日)と比べると、随分と大きくなりました。
種球の大きさの大きいものから順に植えつけていきましたが、やはり種球が大きいものほど、大きく立派に育っています。
種球はケチらずに大きいものを使うべきですね。
あと一ヶ月ほどすると、ニンニクの芽が出てきます。
ニンニクの芽は摘み取って販売に回します。
ニンニクの芽を摘み取ってしばらくしたらいよいよ収穫時期を迎えます。

本55 前田義弘「ヒヨコのつぶやき」

前田義弘「ヒヨコのつぶやき」
文芸社
2009年刊
ひよこのつぶやき
前田義弘
1934(昭和9年)生。養鶏一筋59年。
昭和33年(24歳)渡米して、3年間アメリカの養鶏を学ぶ。
昭和54年(45歳)アメリカの養鶏視察、餌について深く学ぶ。

第1章 誕生から引っ越しまで

第2章 養鶏場での一日目
暑すぎるとき、寒すぎるとき
 初生雛の場合は、できるだけ早く適温を与えないと、その後の発育に影響しますので、注意が必要です。育雛室から何らかの理由で外に出て、寒い一夜を明かした雛は、たとえ死ななくても発育が遅れて、いつまでもヒヨコのときの産毛が取れない「綿毛ビナ」となります。いつまでも発育が遅れて産卵開始まで遅れます。

育雛の鉄則
1.必ず暑すぎる所と、低温の所を作ってやることが大事です。
2.どんなに寒くても最低限の酸素は供給して下さい。
3.雛が水を見つけるまでは、湿度を十分に与えてやる必要がありますので、その対策をして下さい。
水を見つけて飲むまでは、乾燥すると、脱水症状をおこします。

 2006年にアメリカの大学での研究発表があり、できるだけ早く餌付けした方がよい結果が得られるというものでした。その理由は、最悪の条件下では、体内に残された卵黄が生命維持に役立ちますが、無理に引き延ばして卵黄が消化されるのを待たない方が、よい結果を残したというものでした。
 雛にとって最高にバランスのとれた栄養物である卵黄が、残った状態で餌付けをすると、内臓器官の発達のためにその栄養が使われて、より健全な内臓を有した雛が育ち、後々まで影響があるという研究発表でした。

温度管理
 2日令になると、自分で適温地帯を探して移動できるようになりますが、中には勘の悪い仲間がいますので気をつけて下さい。

初生雛への餌付け
 特に赤鶏の雛は、自然に任せておいては、ホントに水を飲めませんので、先にも記しましたように、100羽の中に3羽ほどの白の雛を入れてやることで、先生役を果たしますので餌付きも水飲みも早くなります。
 紙を敷く位置は温源部と20%以上重なるようにして下さい。なぜなら初日の雛は行動しないので、餌を食べたその場所で寝てしまい、朝まで同じ場所で寝てしまう可能性があるのです。

初生雛は、目に見えない低温の帯を通り抜けられない
 温源部と餌を与える紙との間に切れ間があると、下から冷たい空気が上がってきて低温の所ができ、日行動的な弱い雛は、そこを横切れず、そのままそこに留まってしまう可能性が高いです。5日目くらいまで、紙をしいてその上に餌をバラまいて与えますが、全体を見て給餌器で餌を食べられるのを見計らって、紙を取り除きます。

雛たちの夜中の行動
 温度が上昇してくると、雛はすっくと立ち上がり、中心から外側に向かって、とぼとぼと歩き出し、自分の適温地帯に来ると、はたと座り込み、眠りにつきます。どうやら無意識のうちにやっているようです。
 極寒時に温源部以外のところで一夜を過ごした雛は、極度の寒さを長時間受けると、後々まで影響が出ますので注意が必要です。可能であれば、温度は高めの方が、私たちヒヨコにはありがたいのです。

第3章 雛の健康管理

なぜ3日目以降なのか?
 土の上で鶏を飼育するのであれば、できるだけ早い時期に、一生暮らすであろう土に接触させて、その土地にあるであろうところの、諸々の細菌や物質に遭遇させて、体にインプットさせて下さい。

盲腸を侵す「コクシジュウム」原虫による病気と寄生虫の予防はしっかりと!
 ただ、注意していただきたいのは、盲腸を侵す「コクシジュウム」と寄生虫の予防はしっかりして下さい。土の上で鶏を飼育するに当たって、よけて通れない病気だからです。この2つの病気から守るために、金網の上で鶏を飼っているといっても過言ではないのです。仕事が合理化しやすいなどの理由は、後からついてきたのです。

産卵鶏には抗生物質は使えない
 若鶏のときは95%以上も産めますが、2年目に入る頃には、与えられる餌や環境によっては、群全体で80%は厳しいですね。

最初から金網の上で
 水稲の苗を、水のない畑に植えたら枯れてしまいますね。ところが、同じ種でも、種から苗までの期間も水のない畑で育て、畑に植えれば枯れません。それは陸稲の種を播いたようにはいきませんが、やはり穂もでますし、いくらかの収穫も得られます。それと一緒で、雛のときから金網になじんでいれば、金網上のストレスはないのです。

換気について
 私たちの好む温度は、日令により異なりますが、私たちの体温は、約42度、成鶏で41.5度、それに防寒コートを着ている状態であることを認識しておいて下さい。初生雛が好むのは、30~35度になります。温度が高い方が、餌付きも、水付きもよいので、省エネの時代ですが、3日間は、特に初日は、頑張って給温して下さい。

親鶏の代わりに湯たんぽ
 昔は、光を出さずに熱だけ出すヒヨコ電球というものが、小羽数のヒヨコ温源に使われていたようですが、時代は変わって、人間様たちが夜寝るときに足を温める「湯たんぽ」を横に立て、少し傾けて、布でのれんを下げて、親鶏のお腹の下を思わせる雰囲気を出して作られています。

ニワトリの品種改良は産卵能力と平行して、優しい鶏の改良を
 “つつき”はいつでも出るわけではなくて、日令でいうと40日令頃の、激しく羽毛が生え替わる時期です。新しい羽毛がスミレの花のつぼみのように出てくるところを、虫などに間違われて、つつかれ、出血したら、もう大変です。最初は何だろうと思ってつついていた雛は、血を見て驚き、興味を持ってさらにつついてみると、ますます血が出てくるので夢中になり、つつきます。それを見ていた他の雛が興味を示して突き始めて、止まらなくなります。

第4章 日々成長する私たち

衣替え
 私たち鳥類は、6月20日の夏至を境に日が短くなって参りますと、そわそわしてきます。9月、10月と、急速に日照時間が短くなってくれば、自然の状態であれば、換羽に突入するのです。冬支度の始まりです。
 目から入った光が脳下垂体前葉を刺激して生殖ホルモンを分泌して産卵を続けているのですが、その時間すなわち、明るい時間がだんだん短くなってくると、光の刺激が弱くなってきますので、冬が近づいていることを感知して、羽毛を抜き、新しい羽毛を生やして、寒い冬に備えるようにしているのです。そのことを知っている人間様は電灯を使って短くなった日照時間を補い、私たちに続けて卵を産みなさい、と明るさ的には春のような環境を作り出しているのです。
 また、続けて産卵をしていると、羽毛も汚れてきますが、それよりも、卵殻が弱くなり、少しのことで割れるようになります。

1年で更新とはどういうことか
 雛が誕生して150日しますと、小さな卵ではありますが、50%産卵に達し、成鶏と認められます。
 しかしながら、50%産卵到達日から、1年も経ちますと、卵は大きいものを産むのですが、卵殻が弱くなり、産卵率もだんだん落ちてきて、その反対に破卵率が高くなります。卵の内容も、卵白が水のようになり、新しい卵なのに古い卵のように見られて商品価値が下がってしまいます。経済的なマイナス要因が増大して、それ以上飼育しても全体の利益の足を引っ張ることになるので、1年更新が養鶏界の常識になっていました。

第5章 中雛舎での生活

中雛舎への移動
 仲間の皆さんもすくすくと育ち、20日雛となり、いつ中雛舎へ移動されて、寒い日が来ても給温していただかなくても大丈夫と言える状態になっています。

雛移動は、均一に追い込む
 追い込むときの道具ですが、私たちはかねて見慣れないものを怖がりますし、色にも怖がりますね。青・緑・黒などに、強く反応します。

ヒヨコの時期
 私たちは体重40グラムと小さいですが、その割には酸素要求量が多いということを、まず念頭に置いてください。しかも、夏でも保温が必要な生きものであることも、忘れないでいてください。
 日令を重ねるごとに羽毛が生え揃ってくると、急速に寒さに対する抵抗力が増してきます。特に、肩の部分がむき出しになって寒かったところに羽毛が生え揃ってくると、寒さを感じなくなってきます。その時期が、平均22日令頃のようです。

餌付け用の餌
 餌付け、すなわち最初に与える餌は、たんぱく質32%を含む高タンパク高カロリーの餌ですので高価です。最初の10日のみにして、後は幼雛用にして下さい。

中雛用の餌(たんぱく質17%)
 中雛というのは、まだ体は小さいですが、人間様の子供さんも体の割にはたくさんのご飯を食べると思うのですがいかがでしょう。それと一緒で、発育速度が速い分、餌をたくさん食べて、呼吸も速く、たくさんの酸素を要求いたすます。成鶏の餌が、何かの原因で不足したからといって、同じ17%のたんぱく質があるからと、成鶏の餌の代用には絶対しないで下さい。抗生物質が添加されていますので、出荷停止になりますし、赤鶏の卵など1日にしてぼけ卵になります(卵殻の褐色が薄くなります)。それはコクシジュウム予防薬が入っているからです。

大雛用の餌
 タンパク質14%、それも植物性タンパク質で占められていて、早産開始を抑えて、立派な体作りが目的の餌です。

成鶏用の餌
 毎日卵を産む鶏に与える餌は、実に奥が深いです。それだけで、1冊の本ができます。別な機会にお伝えしたいです。ホームページでも、簡単に紹介しています。 http://www2.synapse.ne.jp/y-maeda

平成22年12月






キャベツ18 グリーンボール植えました

202003192(800t).jpg
1月31日に播種し、2月19日に鉢上げしたグリーンボールを今日(3月19日)定植しました。
育苗時に水分不足で大きさにむらがでたのが今後の生育にどう影響するのか心配です。
春植えのキャベツは2つの畝を用意し、この畝の左側に、2月15日に播種した新藍を植える予定です。
202003193(800t).jpg
植えつけ終了後、防虫ネットを張りました。
もう、モンシロチョウがあたりをうろうろしています。

本54 杉山経昌「農で起業する!」

杉山経昌「農で起業する!」
脱サラ農業のススメ
築地書館 (2005年発行)
農で起業する
杉山経昌
1938年東京生。5歳の時千葉県に疎開。千葉大学文理学部化学科卒。
通信機器メーカー、半導体メーカーを経験したのち、宮崎県綾町で農業を始める。
果樹100a、畑作30aの専業農家

ラクラク農業7箇条
1 大金は狙わず、ゆとりを愛せ
2 効率のよい経営を目指す
3 借金はしない
4 暇でも余計な作物は作らない
5 他人のマネをしない
6 ビジネスとしての農業と趣味の農業をはっきりわける
7 経営改善を工夫する時間をたっぷり作る
  他人の真似でない個性的な経営がワクワクする楽しさをもたらす。創意工夫が「楽しい農業」の生き甲斐をもたらす。

本当に農業は3K「きつい・汚い・危険」なのか?
 私は百姓は現在の日本では一番ストレスの少ない職業だと思える。たとえば「きつい」と言うが、今はトラクター、除草機、管理機、定植機、動力噴霧器など機械化されていて力仕事はほとんどない。
 土地は買っても買わなくても百姓にはなれる。その土地に落ち着いてから買い足して行く方が間違いない。
 初めの二年は夫婦二人で6000時間の農作業をし、生活費を含め1年目は赤字、二年目はトントン、三年目から黒字に転じ税金も少し払った。四年目から目標を生産性から収益性の向上に変え、労働時間短縮の目標を加える。就農五年目で、総労働時間は私のコンピューターでは4500時間くらいになる。労働時間短縮五年計画の最終年度には二人で3000時間、週休四日を達成した。

プロローグ 脱サラ百姓のススメ

1 ストレスで胃に穴が開く前に転職を考える
 いざ、営業をやってみると、私は営業に向いていた。この営業経験が後の農業に役立つことになる。それまでは研究者が天職だと思っていたのに、今度は営業が天職だと思えてきた(今は百姓が天職だと思っている)。

胃に穴が開くか、ガンになるかのストレス生活
 資源も使い捨て、人間も使い捨て・・・
 自分の生活を一回、地球に優しい形でやってそれから死にたい。死ぬ前に自分の人生を自分のものに取り返そうと決心した。

2 サクッと就農する
就農希望者にまず聞くこと
 就農したいと思って来る希望者に、私がまず聞くことは「協力して苦楽をともにしてくれる伴侶がいますか?」ということ。これは大切だ。成功するか否かの80%がここにかかっている。
 20%が結婚の形を取っているか否かを問わず二人で協力してチャレンジしたい方々。この協力型は適切なアドバイスをしてあげれば必ず成功する。

何をつくるか考えないでお百姓さんになると決めてしまった

3 営農計画はじっくりたてる
コンピューターで営農計画立案
 この就農シミュレーションはいまでは宮崎県史現代の本に二ページにわたって掲載されている。農業経営をコンピューターでシミュレーションして始めた人は県の歴史上初めてだったとの評価をいただいた。

なんと純資本回収率が8%というビジネス
 こんなにいいビジネスはないだろう。投資したお金が毎年8%返ってくるわけだ。これならいけると自信をもってお百姓さんになるための予算を組んだのだ。予算は農地の購入費、二年分の生活費、一年分の農業経費、農機具の購入費、予備費、危機管理費と六つの予算を組んだ。危機管理費を組むところが外資系でマネジメントしていたゆえんじゃないかと思う。

農機具にはお金をかけない。
 お金がないんだから、50万円しか予算は組んでいない。50万円の予算で買ったのは、動力噴霧器と一輪管理機、それぞれ一台だけ。15万、15万の30万しか予算を使わなかった。

初めは失敗の連続、これが大切
 農業研修を一日もすることなく就農して四ヶ月目、無我夢中で農作業に取り組んでふと自分のしていることを振り返った。なんとムダの多いことか!
 朝早くから夜遅くまで必死に取り組んでいる仕事の四分の一は、間違った方法で作業していた。行っている作業の四分の一は作業順序が適正でない。四分の一は経営的にはやらないほうがよい仕事をしていた。そのための手直しなどやり直しが、さらに趣味の農業が本業の作物栽培に悪影響を及ぼしているケースが、非常に多いことに気がついた。就農四ヶ月目での問題点を整理してみよう。
1 何をしなければならないかがよくわかっていなかった。
2 仕事全体の優先度付けが間違っていた。
3 ひとつの仕事の中でも個々の作業をつなぐ最適な作業手順が分からない。
4 どの仕事は大切で、その仕事は二の次なのだから忙しければ切り捨ててしまったほうがよいということがわからない。

4 賃料は労働で返して一石多鳥
農機の借り入れ賃は、援農という名の研修で払うべし
 これだけはなきゃいけなかったというのは、一年分の生活費と農機具の購入費250万円だけだった。

シミュレーションの効能
 シミュレーションしてよかったのは、予測した状況と実際とは何が違うか全部分かるということだ。この結果に基づいて、労働生産性を飛躍的に上げなければならないんだということがわかったのだ。労働生産性を上げようという努力だけではだめだ、労働収益性を上げなければいけない。そして、労働時間の短縮をしなければならないということがわかり、それでいちおう経営戦略というものを作ったのだった。

5 週休4日のためには労働生産性を上げる
経営戦略を立て、構造改善五カ年計画をスタート
 戦略1の「小規模経営」を達成するための戦術に「3・2・3ガイドライン」というものを入れている。最初の3という数字は労働生産性の指標だ。1時間働いたら3000円入ってこなければならないという3。2は収益性、入ってきたお金が出ていかないように、一時間働いたならば2000円は手元に残らなければならないと決めた。で、最後が年間総労働時間。労働時間を一年間夫婦二人で3000時間以内と決めた。とりあえず決めればいい。決めるだけでいいのだ。これを決めたことにより、年間3000円×3000時間で900万円の収入があり、手元に600万円残ると決めたことになる。

仕事を半分やめると利益は四倍になる
 じつはみんな何もかもどんぶり勘定でやっているのだ。私は最初の年は金柑も作り、もちろんぶどうもアスパラガスもいろんなものを作った。みんなどんぶり勘定でつくっていた。10年に一度でいいから作物ごとに利益を計算してみましょうと薦める。そうすると、たとえば私の金柑の場合、15万円の農薬代だの肥料代だのをつぎ込んで売上7万円だった。8万円の赤字だ。つまり、これをやめればやめるだけで8万円儲かるわけだ。だからみなさん仕事を半分やめよう。仕事を半分やめると利益が倍になる。

地下室は絶対持っておきたい施設だ
 外気温の最高最低と地下室の温度を記録した。外気温が一年間に365サイクル変化しているのに対して地下の気温は一年間に1サイクルしかしない。しかも極めて安定で、穀類などを保存するのにほとんど運用コストがかからない。農家はぜひ持つべき施設である。
 工場生産のボックス・カルバートと呼ばれ羽部品を地下に埋めるだけという手軽な、しかし頑丈な地下室で、電気・排水・換気工事はすべて自前で行った。農業するなら必須と言える施設だ。8畳間くらいの広さで地下5メートル天井上の土層の厚さ1mを確保し約120万円で作った。

6 収益性を上げるテクニック
収益性改善の第一歩は見積もりを取って価格交渉をすること
 企業活動の中では相見積もりを取らないと、特定の相手に利益を与えようとする背信行為となる。だから相見積もりを取って、安いところに発注しよう。
 私は、果樹園と畑作でだいたい8種類くらいの肥料を使っている。たとえば骨粉というリン酸の肥料を70袋くらい使う。まず、机の前に必要な肥料一覧表を置いといて、片っ端から電話をかける。そうすると、一番高いところと安いところとでは2倍も価格差がある。

双方が幸せになる落としどころが交渉の極意
 朝一時間、電話をかけて8種類の肥料をどこから買うか決めたのだけど、それだけで45万円かかるはずの肥料代が25万円で済んだわけだ。電話代だけで20万円返ってくるのだ。これが労働収益性を上げるということだ。

予行演習をして手応えを感じた
 倉庫から古い戸板を出してきて模造紙にぶどう狩りと書いて、道ばたに立てて矢印をつけ、ぶどう園の前でワンボックスカーの中で寝て待っていた。一日待っていても誰も来ない。次の日からは友達からビーチパラソルを借りてきて道ばたの畑に立て、その前にコンテナを三つ置いてぶどうの箱入りとパック入りと試食用を置いて家内が座った。畑の中の道を車が来る。そうするとビーチパラソルが立って人がいるから、ブレーキをかけてなんだろうと見るわけだ。そしたら家内が試食用をもってパッと行く。その後はそこを通る車は100%うちのお客さんだ。一日五万円の売上があった。

観光農園開園のためのアクションプログラムを作った
 次の年の1月1日、今年は100%観光で行こうと決めた。そのためアクションプログラムというのを作った。タイムスケジュール込みで、一番から四十番まで考えるのだ。ぶどう狩りの旗を作るとか、ビラをつくるとか、箱を作るとか、役場に行って名所名所に私のビラを置かせてもらうとか。テレビ、新聞、タウン情報誌にタダで記事を載せてくれるよう交渉するとかいろんなことがある。
 私は一番目は「ロゴマークを作る」にした。私は50歳で百姓になったが、最低でも75歳までは現役でやるつもりだったから、25年間、25年分の努力を貯金する貯金箱がいるわけだ。このロゴマークはそれだ。ロゴマークは一生物だから、これはプロ中のプロに頼んだ。それを箱にも使う、名刺にも使う、看板にも使う。
これをいろいろな用途に一貫して使うことにより、顧客への浸透、認知も向上してこれによる付加価値も大幅にアップしてきている。

研修は自分で計画を立て、身銭を切って行い、必ず研修報告書を書く
 自分たちが旅行中毎日あちこちでぶどう狩り、リンゴ狩り、なし狩りをして、喰いまくる。これは全部農業経費。おいしかったら園主をつかまえて「すごく美味しいね。どんな肥料やってるの」と聞くわけだ。

第1章 農業経営もビジネス ~ こうすればうまくいく

1 ニッポン農業の3大時代遅れ 「肥料」「計測」「情報」を克服しろ

2 農協の指導には、ムリ、ムラ、ムダが多い
どれだけ肥料を与えたらいいのわからない
 就農後二年間は農協の肥料設計に基づいて圃場に肥料を入れていた。しかし、農業経営の収益構造にメスを入れるためには肥料設計を自前で行う必要があると思い、肥料設計プログラムを表計算ソフト上に作った。そのために、まず施肥根拠のデーター集めから始めた。結果はなんと10の文献を集めると、10の異なる施肥基準があった。次ぎに、投入すべき肥料や堆肥、厩肥などの肥料成分表をなるべく多くの種類集めることに取り組んだ。しかし、これも私が期待する水準のデーターではないことが判明した。
 この農業という産業はいったいどうなっているの?産業と呼べるようなインフラストラクチャーが皆無の状態で21世紀を迎えるのだろうか?

施肥根拠も不確か、成分既知の肥料もない
 肥料設計の施肥基準を見ても、ほとんどNPKに終始している。たった3種類の栄養素だけなのだ!これは、人間を炭水化物とタンパク質、それに脂質だけで生きていられると考えるのと同じことだ!
 農水省は過去膨大な研究開発費やそのほか、予算を組んできたと思うが、なぜもっとも大切なインフラ情報とそれを生かせるシステムの整備にお金を使ってこなかったのだろうか?
 その結果、それぞれの作物にどれだけ肥料として栄養素を与えればよいのかわからないし、第一そのインフラ欠如のために、仮に必要量がわかったとしても含有量の判明した肥料が開発されていないので、投入すべき肥料がない。いきおい自分たちの無為無策の尻ぬぐいをするためどこかに逃げ道を作らなければならない。そこで考え出されたのが有機農業であろうという邪推も成り立つ。

有機農業で化学肥料を否定したのは無為無策への責任逃れか?
 有機質肥料も万能ではないはずだ。その有機物の種類によって、または同じ種類でも育った環境によって含有成分は違うはずである。それを有機物ごとに、さらには肥料成分ごとにある程度追求しなければ、リービッヒの法則によって各要素の需要を満たすために過剰施肥しなければ問題が解消されなくなり、産業全体として資源の無駄使いと環境に対して飽和成分の汚染を引き起こす。

3 土づくりのムダ
 お百姓さん三年目にして、私は作物を作るたびに二トンも三トンもの堆肥を「土づくり」と称して畑に投入しろと言う各機関の指導に疑問を持った。それで、もらえる補助金は全部もらおうとしていた私の営農姿勢は転換され、結果、効率化が進み労働時間も減り、利益も増えたのであった。
 「有機農業の町」という表看板を掲げた町で就農したために、就農の初めから「土づくり」という言葉に出会った。そして、いまだにその「土づくり」ということがよくわからない。いやむしろ「土づくり」と言われると何か胡散臭い、何かを隠そうとしているか、さもなくば金儲けを企む人が「土づくり」という言葉の暗示にかかりやすい人からボロ儲けをしようと画策しているように感じる。

堆肥をたっぷり入れた土は健康か?
 すでに海千山千、口八丁手八丁、寝技裏技跋扈する国際ビジネス社会をくぐり抜けてきた私は、そのような単細胞的な、論理のかけらもないようなキャッチフレーズを信ずるには、あまりにも純粋ではなさ過ぎた。
 私には、有機農産物を本物に見せかけるキャッチフレーズだと心の中では感じていた。

補助金をもらわないことで経営は効率化する
 補助金と手を切ったら、すべての意志決定は自分自身でしなければならない。最も効率的でコストの安いハウスの構造から、コストパフォーマンスのよい肥料設計、肥料の種類と購入ルートまで自分で悩み抜いて決定し、一度決断したら、多少問題があってもとことん活用しようと動く。その結果としてムリ、ムラ、ムダが減って経営は効率化する。

過剰な堆肥のムダと害
 OECD諸国の中には冬は畑に堆肥を撒くことを禁止している国がある。温度が低いため有機物が分解せず、作物にも吸収されず、地下水汚染源になるからである。一方この国では一ヘクタールに何千頭も豚を飼い、その糞尿を自分の敷地内で思い切り地下に染みこませ、目一杯堆厩肥を畑に投入し作物が吸収しきれずに流亡し地下水を汚染、かりに無農薬無化学肥料であったとしても作物は残留硝酸態窒素一万ppmもの、食べたら即死しそうな立派な野菜が大手を振ってまかり通る!農協の指導になる肥料設計も窒素・リン酸・カリなどを三~四種類もの価格の高い肥料で充足させた上に勘定外で堆肥二~三トンを土づくりのために投入するよう指示する。
 地下水を汚染し、百姓を貧乏にし、消費者に危険で過剰な硝酸態窒素を食べさせながら、集約的畜産廃棄物処理を進め、畜産王国を経営しているのかもしれない。確かに過剰施肥をすれば余った肥料はムダになり、環境汚染はするけれども面積当たり最大の収量が得られ、売上は上がり、指導者は責任を問われない。消費者は窒素過剰なまさに青々として美味しそうなほうれん草などを手にして喜ぶ。ぶどうも桃も収穫時に窒素が効いていたら苦くて不味い!私はいかにして着色して熟す時期に窒素が切れ、葉の色が薄くなり、枝先端の芽の成長も停止させられるかつねに腐心している。ポイントは過小施肥である。必ず窒素などが途中で不足するように肥料は設計する!野菜も同じである。我が家では葉の先端が黄色くなりかかったようなほうれん草を作って食べる。これは美味い!
 さて、「土づくり」について「農業指導書」に記述されているものの50%は何らかの意味で間違いを含んでいると思う。

4 経験を積まなくても、農業は出来る

5 農業は情報産業だ ~ 週休4日を実現するためには時短!
 ぶどうづくりをすると決まったとき、ぶどうに関する本はすべて買って読みあさった。その甲斐あってぶどう生理については理解が進んだ。しかし、実際の栽培となると本の上での話と違う。せん定ばさみの持ち方から病気か生理障害かの判定まで現場の圃場で植物を前にしなければ理解が進まないことも多い。就農当初はまわりのお百姓さんや農協の技術員が頼りで、大変お世話になった。しかし、同じ質問は二度しないようにし、二年目には質問の答えは普及所の技術員から返ってくるようになり、二年目後半からは農協の技術員にした質問は普及所へ行き、さらにその先の農業試験場や大学へ行って返ってくるようになった。

 月々入ってくる情報を当年の栽培に反映させることはほとんどない。年間の作業はすべてパソコンのエクセル上に約60ページにわたってプログラムされている。個々の項目の作業をいじると年間を通したシステムが歪んでしまう。『岡山の果樹』情報の要点はそのエクセル上に予備登録して翌年から反映させる。

ロット判定技術で一気に売上三倍!利益十倍!
 わずか二~三千円のコストをかけて情報を扱う、自身の人件費を含めても一万円以下の情報処理コストでその100倍以上の付加価値アップが図れるという現実は驚嘆に値する。

情報を有効活用するとあんなこともこんなこともできる、農業が楽しくなる
 いま、ビニール被覆された私の圃場、第一第二ぶどう園では毎日地温・土中水分・最低気温・最高気温・天気などのデーターがとり続けられている。
 このような情報化に取り組む時間は我々夫婦二人の年間総労働3000時間のわずか2%程度である。作物の栽培=情報処理になっている。

6 農家につけ込む「ワラワラ詐欺」に注意!
 問題を解決したいと藁をもつかむ気持ちのお百姓さんにワラワラ・・・・と虚構の効果をちらつかせて食いついたお百姓さんを釣り上げるワラワラ詐欺は、業者から売り込みに来る資材・機器でその傾向がとくに目立つ
 効果があるとして広く知られたEM菌も私は五の「効果はあるが、有効な場合は限定的で、産業全体の利用例では負の効果となるもの」に分類している。
 作物に良好な生育環境を用意して育てられるお百姓さんなら、微生物相は植物にとって必須なインフラなんだから、それを維持管理してミクロな生態系を多様かつ活性にするためには、未知の環境に適合した外人部隊菌の集団を導入して自分の子飼いの菌の集団に混乱を招き入れるようなことは、むしろ避けるべき行為だろう?


7 楽しい農業の極意は「最適化農業」

作物を育てる以上に大切な事
 過度に物作りに入れ込んだ結果、過剰な外観競争に走ったり、過度の自己防衛になったり、能力以上の栽培に取り組んで効率を落としているのを見ると悲しくなる。

自分にあった規模の最適化が鍵
 私の行っている農業を、とりあえず最適化農業と呼んでおく。作物を闇雲に作るという思い込みから一瞬引いて、市場価格の季節特性、台風など天災と作物の関係、顧客と購買動機など・・・。それぞれの切り口でちょっと最適化を試みると劇的に農業が楽しくなる可能性がある。自分と自分の経営を時には鏡に映して見直しつつ経営すべきだ。

 私が採用したのはホルモン剤を用いて種なしにしたぶどうではなくて、植物の特性を上手に引き出す安全で持続性のある四倍体ブドウ栽培技術であった。食べ比べたら同じ品種なのにこの種有りぶどうのほうが美味しい!消費者に外観より味が決め手だと知って欲しい。




平成22年12月

レタス11 定植しました

202003171(700t).jpg
2月3日に播種し、2月20日に鉢上げしたレタスの苗が、こんなに大きくなりました。
ここ一週間程度の間で、今朝の最低気温が一番低い予想だったので、今朝が過ぎるのを待って植えました。
あとしばらくは暖かい気温傾向なので、ハウス内で育ったレタスの苗も成長してくれると思います。
202003172(800t).jpg
2つの畝に30cm間隔で2列ずつ植えつけました。
右側の畝には、レタスの株元に昨年刈り取っておいたソルゴーの茎を添えました。
風の影響や微気象への緩衝作用、さらに益虫の隠れ家になるかもしれないと期待しています。効果があるかどうかわかりません。対照として左側の畝にはなにもしていません。

ニンジン 4 種をまきました

202003161(800t).jpg
種をまきました。品種はサカタのタネの「ベータリッチ」です。
昨年の9月9日の投稿で紹介したように、昨年はゲリラ豪雨でせっかく発芽したニンジンが流されてしまい、ニンジン栽培をあきらめました。
昨年はダイコンとニンジンを混植する計画だったのですが、結果的にダイコン単植になってしまいました。
この春は、再度ダイコンとニンジンの混植に挑戦しようと思います。
202003162(700t).jpg
上の写真はのように、ダイコンとニンジンの混植用に3本の髙畝をつくりました。
畝の左側にニンジンのタネをまいて水をかけました。
しばらくしたら、右側にダイコンの種をまくつもりです。

本53 杉山経昌「農!黄金のスモールビジネス」

杉山経昌「農!黄金のスモールビジネス」
築地書館 (2006年発行)
農!黄金のスモールビジネス
杉山経昌
1938年東京生。5歳の時千葉県に疎開。千葉大学文理学部化学科卒。
通信機器メーカー、半導体メーカーを経験したのち、宮崎県綾町で農業を始める。
果樹100a、畑作30aの専業農家

①まずは価値観の転換からはじまる

1 農業は〝おいしい業界〟です
 真の自由を手に入れる創造的ビジネス
 サラリーマンはいくら基礎控除があっても給与生活者は職業を維持するための経費の多くを税引き後の所得から支払わなければならない。
 その点、農業は自営業だから自分で青色申告して必要な経費を処理できる。家の償却費の一部、新聞代の一部、車や普段着る衣類や靴までが、当然、経費になる。奥さんにも経費から給与を支払える。その結果、申告所得がゼロでも生活が成り立つ。
 夫婦二人の生活費を車三台もって200万円とすると、半分は実質的に経費に算入でき、加えて青色申告特別控除の65万円、奥さまの事業専従者給与96万円でおつりがくる。

給与生活者の経験が100%役に立つ職業
 これからの農業は自分でお客様と交流して「販売」も「経営管理」も最小限度の配慮をする農家が生き残る時代になった。
 21世紀の生き方のモデルは、たくさん稼いで大きな家に住んでたくさん食べて、贅沢をして、あくせくするのではなく、その逆、時間をたっぷり持って自然の中で心豊かな生活を目指すのが理想の生き方になる。経営を欲張って大きくすると楽しくなくなる。
 稼がなければならないのは、車の車検や保険、国民健康保険料、介護保険料、ガソリン代などわずかなものでよい。自分の小さい農場でこだわってつくったものを道の駅や直売ルートでこだわり価格で販売する。自然にお客様のネットワークが友人の輪も広げてくれる。自分のこだわりが毎日の食卓に並ぶ、最高のゼイタクだ。

これほどクリエイティブで、楽しい仕事はない!
 家の中の鉢に刺した水分計の写真。妻にあなたは道具に頼りすぎだと非難されている。しかし、何事も「勘」に頼っていてはムダが多い。「計測」を常に心がけることで、農業の時代遅れは克服できる。

 「種をまく」という農業の基本的な行為にも、じつは気の遠くなるようなたくさんのパラメーター(畑の状態、耕起の程度、深さ、時期、品種、まき方・・・)がある。こうしたことが、勘と経験によって行われているのが農の世界である。高収益のスモールビジネスとしての農業を目指すには、勘と経験に頼った普通の経営をしていてはダメだ。これまでの常識を否定して、新しいやり方を追求する。そんなクリエイティブなビジネスが好きな人なら、農業は最適だ!うるさい上司もここにはいない。
 農業経営で楽しいことは、これはこういうふうにしたら解決できるはずだ、という直感がひらめくときだ。

工夫の余地が山のように残されている業界
 いままで、当たり前だと思っていたことをすべて疑う。つまり、間違いだ、何かおかしいと考えるのだ。こういうことを100個チャレンジすると、90は失敗。やっぱり当たり前のこと常識のほうが正しかった。しかし、10個は成功する。わたしのやり方が正しかった。この10個を大切にして、積み上げていく。これが成功につながるのだ。

2 経営規模最小で生きる小さな経営に宝あり!

小規模経営=高効率経営を実現しよう
 農家だったら、年間150万円あればラクラク生活できる。サラリーマンの生活費の50%以上、おそらく70%は農家では経費になる。したがって、極論すれば申告所得ゼロでも節税をしっかりすれば、経費と青色申告特別控除の範囲内で生活は成り立つ。

儲けたかったら仕事を半分やめよう 週休四日の本当の意味
 小さくするためのポイント①経費を下げる
 小さくするためのポイント②販売の効率を上げる
   私の場合、直売や「道の駅」での販売依存が高い。そこでは、農産物を「外観」ではなく「心」で売ることができる。見た目が多少悪い作物でも真心こめて、すべて売りつくす。見た目と味は関係ないからだ。

生活費ゼロを創造してみよ
 たとえば、田舎では車が必需品だが、家から20キロ圏内では軽トラックが一番オススメ。燃費がよい。山でも川でも四輪駆動で走り回れる。税金は年間4000円ぽっきり。500キロくらい積める。警察にも捕まらない警察も地元でお仕事をしている人は大目に見てくれる。
 つまり、生活費はかけようと思えばいくらでもかけられる。逆に、質素で健康な生活を心がければ、お金がなくても幸せな生活は送れるのだ。

大きくすると必ず失敗!
 現在、農水省は大規模経営の政策を進めようとしている。が、私はそれは間違いだと信じている。
 今のサラリーマンは、競争社会で心と体をすり減らして、ほとんど精神病寸前で生きている。しかし、百章仲間にはそんな人はいない。
 自分で小さいながらも農場を持って耕し、まわりの住民と交換したり販売したり自分で調理したりして美味しくいただくのがこれからの豊かさの基準になることは間違いない。

いかに少ない時間で収入をあげるか?
贅沢な土地利用で、いかに労働時間を短縮するか?
 機械の回転用に畑とハウスの間に遊び地を設けている。土地の拘束率は30%以下!。
 地価貯蔵庫は安く簡単にできる。維持費もゼロ。穀類の在庫管理の基本はFIFO(最初に入れたものを最初に出す)だ。最初に入れた米が一番下になるような無駄を、平置きできるスペースを確保して省く。

4 自分の取り分はこうして増やす 
 労働収益性で見ると、お米はビリだった。確かに、お米の労働生産性は低くない。時間当たり2000円の売り上げがある。だが、経費を引くと、百姓の手元には160円しか残らない。どこかで誰かにピンはねされている。自分の取り分が少ないのだ。
 誰がピンはねしているのか?
 おそらく機械屋だろう。
 百姓が稼いだお金は、ほとんど機械屋さんにいってしまうのだ。

 まず、自分の生きていける農業をしなきゃいけない。自分が高収入をあげて、文化的な生活をしていくためには、利益率の高い作物をつくらなくてはならない。
 スギヤマ式経営戦略では、夫婦二人で年間労働時間は3000時間(平均すると週休四日になる)で、それ以上はあくせく働きたくはない。
 労働生産性の高い、労働収益性の高い作物というのは、リスクが大きいか、高い技術をを要求される。高い技術というのは、物作りの技術だけでなく、経営技術、販売技術も含まれる。そういう技術を活かさない限り高収益性は望めない。

100円ショップのオーナーになるな
 たとえばベルト。100円ショップでも買える品物だが、別の店では2000円で売っている。同じ品物をつくるなら、2000円で売りなさい。「農協への共販」というのは、100円ショップの品物をみんなでつくろうという論理だ。

自分のつくったものの値段は、自分でつけろ!
 安売りしてはいけない! いまの価格の五割り増しで売ってみよう。どうやったら高く売れるか?考えてみることが大切だ。
 800円で売っていたものがすぐに1500円で売れるわけはない。しかし、1500円で売る努力と工夫を五年でも続けていれば、やがて1500円で売れるようになっていくのだ。

農産物を心で売る方法① どんな情報でも喜ばれる
 お客様はほとんどの人がそんな付加情報を求めている。自分の作った作物への思い入れ、栽培に関するこだわり、生産者の愛情の発露としての調理法や食べ方、保存法、そのほか何でもいい。作物を育てているときの圃場の様子でも管理の難しさでも、天候と品質のことでも何でも伝えたいという気持ちがあれば、お客様は喜んで聞いて下さる。
 もちろんお金のためだけで栽培していたら伝えられない。「心」がこもっていなければ、作物に「愛情」を持っていなければならないのが大前提だ。愛情ほど能弁なものはない。自分のつくるものを熱く語れ!

農産物を心で売る方法② プラスの循環を目指す姿勢
 生産量を減らし、労働時間を削減して、地球環境に寄与しながら丁寧に高品質のものを栽培し、生産者の生活の質も高めるという、プラスの循環サイクルに移行しなければならない。さもなくばお客様はすぐに下心を見透かして次のリピートはない。

② スギヤマ式 スモールビジネスのコツ

経営術を身につける唯一の方法・・・・それは失敗すること
何度も失敗して、向こう傷を負って経営者は成長する。小さい経営なら再生しやすい。
私はいろんことをやって失敗してきた。人のマネはしない(差別化経営)がポリシーだから、普通の人がやらないことをやって、10のうち9は失敗している。しかし、その一つの成功でも、その成功をだんだん溜めていくことで、普通とはかなり違う経営体になってくるのだ。やりたいことはすべてやってみて、試してみて失敗する。うまく成功すれば、それを溜めていく。

スモールビジネスに必要な経営戦略
戦略① 売り上げ目標は小さく
       ↓
戦術:利益率の目標を高く
    「時給」をきめてしまう
    時間収益性の目標
    年間労働時間の目標
    作物ごとの生産性を吟味する
    複数の製品の柱でリスクを分散

戦略② すべてを数で把握
  ↓
戦術:パソコンを活用
    すべての情報はPC上に
労働時間の管理(何にどれだけかかったか)
経営情報データベースを構築

戦略③ 長短期事業計画を持つ

戦術:目標を決めてから動く!
「夢」をもって経営する
研修費、研究費は惜しまない
新しい計画はシュミレーションする
5年後までの計画を毎年更新する

戦略④ 個人経営

戦術:「自家労働」で成り立つ経営を
    時間が余ってもアルバイトしない
    アルバイトは原則雇わない
雇用で規模拡大しない

戦略⑤ お客様の笑顔を財産に

戦術:お客様を大切にする
    お客様と話をたくさんする
顧客管理システムを作る
必要に応じ「対応マニュアル」をつくる
お客様との一体化~私生活でも交流を

1 スモールビジネスの極意  「ムリ」「ムラ」「ムダ」をはぶく

農機からヘッドライトをはずせ
 ムリをするのが美徳だった時代は終わろうとしている。私のトラクターにもライトはついている。しかし、過去17年間それを点灯したことはない。

従来の経営者がおちいりやすい間違い①
「できるだけがんばる」の発想
 スギヤマ式経営では、まず可能な限り小さく作っていく。それを丁寧に栽培し、丁寧に販売して単価を高くして売る、規格外品の割合も低くする。

従来の経営者がおちいりやすい間違い②
補助金に頼るとアウト
 そうして補助金が投入された結果、最後まで使われずに捨てられてきた資材や施設を私はさんざん見てきた。結局、身銭を切って、自分に合った使用のものを購入した方がムダもないし、捨ててしまうようなこともない。

なぜ、農作業にはムダが多いのか?
 作物の栽培管理には、結果に影響する項目があまりにも多すぎる。しかも、その影響は見えづらい。
 このことを私は「農の冗長性」とよんでいる。
 日照、雨、気温、地温、肥料成分のバランスと濃度、土の中の微生物相、害虫や病気の襲来などなど・・・・無限の要因がある。それらが織りなす、オーケストラの演奏のように絡み合った結果が、作物の収穫として現れる。それらの要因は目に見えないまま大きく動いて、結果を生んでいる。だから、お百姓さんは、何かを与えすぎても、手を抜きすぎても、手間暇かけすぎても、結果からその影響を判断しづらいのだ。
 これが「ムリ」「ムラ」「ムダ」を生み出す根本原因なのである。
 「ムダ」な作業をし、「ムダ」な資材を投入しても、別の要因でたまたま結果が良ければ、丁寧すぎる作業や、高い資材の結果だと思い込む(思い込みたい)。
 逆に手を抜きすぎて「ムラ」な管理をしても、少ない肥料であっても、たまたま結果が良ければ、「この程度でも大丈夫」だと思い込める。

労働時間の管理だけでもライバルとの差は大きい
 あなたの経営の中にも、過度にではなく、負担にならない範囲でデータをとってみることをオススメする。とくに労働時間の管理は手間もかからず簡単だ。私の知るかぎり、労働時間を管理しているお百姓さんはまだいない。まずは、そこから差別化を図って、一歩リードしよう。

アイデアを生むための「非常識」
非常識① 百姓の美徳を疑え!
 そこでは百姓の労働単価は「ゼロ」。百姓からは絞れるだけの租税を収奪して「生かさず殺さず」の政策を押しつけた。その思想が今も引き継がれている。畑を隅々まで有効活用することは労働生産性のみならず、収益性の点でもデメリットとなる。

非常識② 除草剤いらずの除草
 普通、麦を播種したら除草剤を撒く。これで収穫まで草の心配はなくなる。
 しかし、私はそれをしない。代わりに草丈50ミリぐらいのときから50㎝の畝間を一輪管理機で中耕する。これをおよそ三週間のインターバルで三回行う。除草はこれだけ。
雑草は退治しようと思ってはいけない
 草は生えていて自然だと考えれば、抜く必要はなくなる。つまり、「草が生えたら草刈り」という常識を捨て、草を抜く場合は、抜かなければならない理由を明確にすべきなのだ。そうすると、ほとんどの場合で、草はあっても問題がないことに気がつく。
 畑にするか果樹園にするかにもよるが、畑にする場合を別にして、私のオススメは草を生えさせて乗用草刈り機モア-で頻繁に刈ること。そうすると自然に植生が背の低いほふく性の草ばかりになる。
 私の果樹園は1ヘクタールの草管理に、三週間ごとに四時間の乗用モア-によるドライブだけ。

非常識③ トラクターで麦踏み

非常識④ つくる土地を選ばず
 いわゆる農業書に書かれている農法意外でも、意外にうまく行くことがある。たとえば、水田でつくる水稲を畑で作ってみる。これを畑で無肥料でつくってみると草丈が短くて倒れづらく、とても具合がいい。また「土」づくりなんてのもムダである。「土」づくりに頭を悩ます新規就農者も多いが、別にしなくてもよい。前著でも書いたが、「土づくり」というのは有機農業かぶれのお題目に過ぎない。それだけが独立して要求される作業ではないのだ。つくろうと思う作物に合わせて、必要最小限度の栄養を与えればよい。

非常識⑤ 手間暇をかけてつくってみる
 合鴨米はまずいと先輩農家は言う。だいたい生鶏糞のような生窒素をいつまでも効かした作物が美味いはずがない。
 あえて、私は草を夏季は手で取っている。そのため夏の炎天下に夫婦で草取りのため畑の中を這いずり回る。除草には約200時間かかる。時給3000円で計算すると、1キログラム6000円の米ができる。こんな高い米が売れるわけがないからもちろん全部自分で食べる。

非常識⑥ 手塩にかけて育てた作物も気軽に捨てろ
 シュミレーションで作業時間が確保できないと分かった作物は生育途中でもばっさりと刈り取る。これで、「ムリ」せず、本業に没頭でき、「ムラ」なく「ムダ」もない。

2 価格設定のコツを伝授します 〝6倍の価格設定〟が適正!

 一年間の生産販売活動を通して我々は何百という意志決定のセットを処理する。結果はその意志決定群の総和になる。
 農業で成功するためのベストミックスは、

  経営管理 : マーケティング : 物作り = 40% :  40% : 20%
である。物作りが最高であろうが最低であろうがそれは結果に20%しか投影されないことを肝に銘じよ!

「個性」を受け入れてくれない市場やスーパーを相手にしない」

柔軟な価格体系と品質メニューで、お客様のニーズを最大限に吸収する

私の価格設定額 価格は高いほどお洒落だ!

百姓仕事を過大評価し、ほかの産業を過小評価してビジネスしろ!

百姓の「タダ同然」はタダではない


3 つくって直接売る  サービス業のマインド絶対必要

観光農園をはじめた当初4~5年間は毎年何らかのデータを収集していた。
・どのような媒体で私の観光農園を知ったか?
・なぜほかの観光農園にいかずに私の所に来たのか?
・一人当たり何㎏狩るか?
・一人当たりいくら支払うか?
・一シーズン何回来るか?
などである。それを次年度以降のマーケティング戦略に組み込んでいく。

どう付加価値を付け、リピーターを獲得すればいい?
 ぶどう園後ろの畑二反歩全部マリーゴールド、好きなだけ持ち帰って下さい。

値切ってくるお客様とは「ゲーム」を楽しむ

交渉はとことん、「ウィン・ウィン」で!

4 すべてのビジネスは情報産業  顧客管理のコツは引き算

 新規就農者に最初に聞く質問は「パソコンは使えますか?」ということだ。パソコンが使えない人は就農はやめなさいと助言している。
 パソコンは必須アイテム!
 なぜなら、農業とは、情報のカタマリを効果的に管理・運用することだからだ。

情報は飯のタネ、最大の財産と心得よ
 たとえば、観光農園では、「顧客名簿」が最大の財産になる。これだけを大事に維持していれば、経営が傾くことはない。顧客名簿をつくるため、最初の五年は一生懸命努力してきた。それをきちんと管理していれば、あとは、普通に作物を栽培するだけで、「顧客名簿」だけで売れる。

情報処理法のコツは増やすことにあらず
 「来年の開園案内などの情報提供をしたいので、名前と住所を書いていただけますか」と恥ずかしいけれども、声をかけて書いてもらう。

5 専門的で奥が深い!だから高収益  スギヤマ式ぶどうののつくり方

ぶどうほどたくさんの情報がある作物もない

勉強は退屈だから、いつも勉強し続けられる仕組みを持っておく

植物の生理に興味を持てば楽しさ100倍!

将来性のある最先端ビジネスとしての農業
 土の中での肥料成分の収支、化学反応、微生物による分解、固相から液相、気層への相変換など、物質収支を理解するには物理、化学、生物、などなどの統合技術を理解し、使いこなす努力が要求される。最も勉強しがいがあり、現在の農業技術者への過小評価を見直さざるを得ない過渡期にある。
 農業はまさに総合技術集約産業になった。「それぞれの技術も造詣も深いジェネラリスト」というタイプの人がより成功しやすい分野で、やりがいのある産業でもあるのだ。

経験を積まなくても農業は出来る!
 そのためにには「勘」や「感じ」に頼ってはいけない。圃場というフィールドを徹底的に情報化すべし。
 葉の色も測定する
 作物に標識をつける
 地中の温度や土中の水分は必須情報。いつでも365日、各圃場のデータを頭に入れておくことが大切。

6 いろいろなチャレンジが楽しい  趣味の作物作りで一石多鳥

食べたい作物をこだわり農法でつくり食卓に並べるゼイタク
 脱サラで新規就農する人は、とにかく「有機農業」をやりたがる。
 就農前、私も「化学肥料=悪」と思い、「善」の農業にしようと、福岡正信氏の『わら一本の革命』などに感動した。しかし、「有機農業」だけで食べていこうと頑張るのはやばい。理想やこだわりを追求する前に、まず普通の農業で経営を安定させるべし!と断言できる。
 スギヤマ式のこだわりは、
「農薬も化学肥料も使いつつ環境になるべく優しい農業」である。自分の生活を犠牲にしない範囲で、経営を考えているからだ。

③ 人生で大切なことは農で学んだ

 体を動かす農業においては、仕事は工夫一つで遊びなになる。乗用モア-による草刈りはゴーカート気分で苦にならない。
農作業の後の汗流し。家から数分の清流で汗を流し、火照った体を冷やす。妻はお願いだから裸で軽トラックを走らせるのは止めて!と言うが、この快感は止められない。

1 夢を満たせる職業です! 〝週休四日〟で〝上司もいない〟田園生活

自由な時間が増えたからこそ、充実のネットワークを築く
①仕事のネットワーク
②生活のネットワーク
③自己実現&趣味のネットワーク

2 人間の本能に根ざした生活を太陽の恵みを回収しつくす

自然に埋没して生きていく快適さ
 私は太陽エネルギーの一次産品、ぶどうや桃など農産物を育て、販売して生活の糧を得ているので、朝な夕なに太陽を拝む。

3 17年間、お客さまが目の前で食べ るのをみてきたが・・・・
 本当の美味しさとはなんだろう?

4 作物栽培が教えてくれるメッセージ  弱々しいものほど繁栄する

 現在の「物・金崇拝」「物量比較優位崇拝」の枠組みはすでに誤りだと大方人々は心では知っている。
 しかし、いまだテレビも新聞も教科書もその価値観から抜け出せない。報道は常に「何パーセント成長」「昨年実績を上回る」「景気上昇インフレ誘導」など古典的な価値観を押しつける。


最後に 輪廻転生の発想で
 まだ、お風呂と台所のガス・給湯と暖房がある。が、長期的にはそれらすべてを自然エネルギーに切り換えて自給を目指すつもりだ。まだまだやるべきことは残されている。農業はやりがいのある仕事である。

平成22年12月

アスパラガス 3 芽が出ました

20200314(570).jpg

2月15日にまいたアスパラガスですが、なかなか芽が出ませんでした。
もしかして早くまきすぎて失敗したかなと思い、一週間ほど前、一つのポットを実験的にばらしてみたら白い根っこらしきものが入っていたので、そっともとにもどしました。そのポットを含め、多くのポットから芽が出てきました。
やれやれと一安心しました。
もう少し育苗して、遅霜の心配がなくなってから畑に移してやりたいと思います。

ホースラディッシュ 10

202003122(600).jpg
ホースラディッシュに3kgというまとまった注文が入りました。
レストランのシェフからの注文です。
今年二回目の注文ですが、注文して買ってくれるお客さんがいるというのは、有り難いことです。
直売所には120gから300g程度に小分けにして出していますが、それほど売れ行きがいいわけではありません。
家庭で日常的に使う野菜ではないからでしょう。

畑にはまだたくさん残っていますが、今シーズンはこれが最後の出荷となります。
暖かくなって、これから芽が伸び出してくるからです。
昨日のネギのとうだちもそうですが、着実に春が近づいていることを感じます。

ネギ 8 トウがたちました

202003121(800t).jpg
11月上旬から収穫を始めて3月上旬までの長い期間にわたって収穫できましたが、ネギの収穫はこんな形で終わります。
冬の寒さに当たって「春化」がおこり、どのネギもねぎ坊主をつけるようになり、出荷できなくなるからです。
今年はあくせくと無理をして収穫しなかったら、多くのネギが畑に残ってしまいました。
残ったネギは種取り用に残しますが、、それでも今年は多すぎます。
そこで、隣の畑で無農薬で野菜を栽培しているNさんに教わったことを実行しました。
202003122(800t).jpg
Nさんが言うには、ねぎ坊主を切り捨てて、別の場所に移植すれば、そこで分けつしてまたネギが増えるというのです。
いわば、大きく育った苗を植えつけるようなものです。
上の写真のようになりましたが、どんな結果になるか楽しみです。

タマネギ 1

昨年、タマネギの苗を購入するのが遅くなって、11月22日にホームセンターに行ったときは売り切れていました。
別の店に行ったら、売れ残ったものがあったのですが、異様に小さい苗でこれではダメだと思いました。
よく、タマネギの苗は鉛筆の太さぐらいのものがいいと言われます。
大きすぎると春になってとう立ちして、小さすぎると冬の寒さに耐えきれず枯れてしまうからです。
店に売れ残っていたのは、鉛筆の太さどころか鉛筆の芯のような太さでした。
しかし、タマネギを植える予定にしていた場所は穴あきマルチを張ってあって他のものは植えられません。
そこでダメ元で、一か八か植えるだけ植えてみようと思いました。
店員に「こんな苗誰も買いませんよ。半額にするなら買ってもいいですよ」
と言ったら、店員もその気だったらしく喜んで半額にして売ってくれました。
下の写真は、その苗を植えたときの昨年の11月25日のものです。
20191125(800t)tama.jpg
見ての通り、細すぎて情けなくへたりこんでいます。
このときは、やっぱりダメかなと思いました。
ところが、この冬が暖冬だっただめでしょうか、ほとんど枯れることなく生きのびました。
下の写真は、おととい(3月9日)のものです。
20200309(800t)ta.jpg
成長して葉が立ち上がっています。
これだったら、収穫にこぎつけるかもしれません。
希望が湧いてきました。
今後の成長を見守りたいと思います。




本52 丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」

丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」
朝日新聞出版 (2008年刊)
田舎暮らしに殺されない法
丸山健二
1943年長野県生。『夏の流れ』で文学界新人賞、芥川賞受賞。
近年、創作活動と同等に作庭に専念。
身の庭についての著作として『夕庭』『小説家の庭』などがある。


その前に、自立しているかを問え

確固たる「目的」を持て

「自然が美しい」とは「生活環境が厳しい」と同義である

年齢と体力を正確に把握せよ
登山はむろんのこと、農業だって舐めてはいけません。農家の人たちが長時間黙々と働き、流れるような手順で易々とやってのけているように見えるのは、それが子どもの頃からの肉体労働で培ってきたしぶとい足腰と、力の配分の無駄と無理を極力省いた、実に効率的な段取りがしっかりと身についているからで、好きな野菜をつくるために面白半分で鍬を握る程度ならまだしも、素人が六十歳を過ぎてから本格的な農業を始めるのは至難の業であり、また、かなり危険なことでもあるのです。
 もちろん、無農薬の有機農法とやらに固執しなければ、誰でも野菜づくりは可能です。初めて収穫した野菜が食卓に上った時の感動は、これまでの人生では味わったことのない深い喜びがわき上がって、これぞ理想の生き方であるということを実感するでしょう。しかし、他の感動と同様、それもまた長くは続かず、農作業の行程がおおよそ理解できるようになった段階でたちまち色褪せます。
 どうせならいろいろな野菜を食したいと、そう考え、多品種を少量作ることを思い立つのですが、実際に試してみると大変な作業になってしまいます。それぞれの野菜の性質が異なるために育て方にも違いがあり、土や水加減や日照の関係などで同じ畑に一律に作るというわけにはゆきません。ましてや出荷するまでにこぎ着けて、収入に結びつけようなどとはゆめゆめ考えてはいけません。味のばらつきや、大きさの不揃いや、ある程度の量が確保されているかという、市場が要求するさまざまな厳しい条件を全てクリアできるまでには寿命が尽きていることでしょう。
 後継者が不足していることから、無料で貸してくれる農地はいくらでもあります。しかし、本格的な農業を始めてしまうのは考え物です。家庭菜園における楽しみの向こうに、広大な農地の彼方に、あなたが求めてやまない、充実の人生が待ち構えていてくれるという安易な発想は避けるべきです。農村地帯がどうして過疎になったのかを考えて下さい。それは、農作業の辛さと、農業が採算に合わないことと、高齢者の体力では到底無理であるという現実をよくよく承知しているからなのです。

「田舎暮らし」を考えるなら、まず酒と煙草をやめよ

 年金と退職金の残りをもってすれば悠々自適の田舎暮らしが生涯可能であるとする計画はあくまで計算上の見通しであって、実際にその通りに運ぶことはほとんどありません。早ければ一年、遅くとも数年以内には、それがいかにいい加減な設計図であったかを思い知らされる羽目になるでしょう。
 収入がない場合の手持ちの生活資金が目減りしてゆくときの速さは、あなたの予想をはるかに超えたものとなります。当初はあれほど実感できたはずの経済的ゆとりも、みるみるうちに崩れ去り、危機感は年々深まるばかりです。どうにかしなければならない段になって腰を上げ、何かを始めようとしても体力はさらに衰えており、そのせいでどこの銀行も相手にしてくれず、結局消耗の余生のなかに埋没してゆくしかほかに道がないという悲惨な答えを出すことになるでしょう。

「孤独」と闘う決意を持て

 定年退職によって解き放たれたことによる自由に酔いしれていられるのもせいぜい数ヶ月かそこらで、その後のあなたは、だしぬけに、ある朝、目を覚ました直後などに、言い知れぬ孤独感に襲われ、苛まれることになるでしょう。

 この先もあなたの連れ合いは同じ態度であなたに接するでしょうか。退職金はすでにその大半が田舎暮らしのために消えており、あとは年金のほかに収入の道がない、職場という唯一無二の後ろ盾をなくし、家でごろごろしているばかりのあなたに、これまで通りかいがいしく尽くしてくれるでしょうか。

「妄想」が消えてから「現実」は始まる

 かれらのそうした挫折は、苦い思い出や高くついた授業料としてかれらのなかだけで処理されるケースが多く、従ってその情報が外部に伝わることがあまりに少なく、ために、かつてのかれらのように安易に田舎暮らしを実践する者があとを絶ちません。

田舎は「犯罪」の巣窟である
 だからといって、のべつ緊張していればそれで万全ということではありません。若い頃とは比較にならないほど衰えてしまっている自分の体力に見合った、より具体的な対処法を考えておくべきです。番犬を飼うのもひとつの方法でしょう。それもなるべく大型犬にすべきです。餌代が生活費を圧迫し、世話も大変かもしれませんが、強盗なんぞの手にかかって命を落とすことを考えれば安い出費といえます。

田舎に「プライバシー」は存在しない
 そんなあなたを、田舎の住人たちがいちいち温かく迎えなければならない理由や義理が一体どこにあるというのでしょう。田舎の人々の目に映るあなたは、気楽なよそ者、羨ましいご身分ということになり、どちらかというと線引きをしておきたい対象なのかもしれません。

「付き合わずに嫌われる」ほうが底が浅く、「付き合ってから嫌われる」ほうが数倍も根が深い

第二の人生」について冷静に考えよ
 自動車の排気ガスなど煙草に比べたらたいした毒性はありません。また、毎日呑まずにいられない酒を断ってしまわないことにはあなたの体は年齢よりもずっと先に老け込んでしまうでしょう。元凶は煙草と酒にあるのです。そして、好きな物を好きなだけ食べるという、動物的な食事のあり方にも大いに問題があります。
 自然から学ばなければいけないのは、何よりもおのれを律することです。そして、自立を追及することです。体に悪いことをやめられない野生動物はたちまち死によってつぶされる運命にあります。他者に頼ろうとしたり、注意を怠ったりした途端に、身の破滅が音もなく忍び寄ってくるのです。
 あなたにとって一番身近な、そして大切な自然は、あなた自身なのです。その自然も守れないような者が、どうして大自然を守ったり愛したりすることなどできましょう。
 これからのあなたは、自分に残されている衰えてゆくばかりの体力と気力、それに残り少ない預金と年金を頼りに、老いと孤独のハンディを背負いながら生き抜いてゆかなければならないのです。
 一日に一万歩という運動もいいでしょうが、そんなことをする前にやめなければいけないことがあるはずです。何よりもまず酒と煙草から手を切りましょう。それもきっぱりとです。第二の人生はそこからはじめなくてはいけません。

「老後の現実」を直視せよ
 正しい食事と、適度な運動と、没頭できる、奥の深い趣味や仕事と、十分な睡眠を保っていても、遺伝子などの関係によって病気なるときはなるのです。それが老後の現実というものでしょう。

平成22年12月

サツマイモ 5

202003071(750).jpg
サツマイモの芽出しをするために、保存していおいたサツマイモ(安納イモ)を取り出して、ハウスの西側に一列に並べ,
芽の出る部分が地上部に出るようにして、半分ほど埋め込みました。

セロリ 3 鉢上げしました

202003081(700).jpg
1月29日に蒔いたセロリですが、一ヶ月をはるかに過ぎてやっと鉢上げの時期を迎えました。
発芽時期にばらつきがあり、半分ほど本葉が展開していますが、残り半分くらいはまだ双葉の段階です。
生育に差ができるのは、私のように毎日少しずつ直売所に出荷する形態を取っている者には都合がいいです。出荷期間を長くすることができるからです。
今日は本葉が展開しているものを鉢上げしましたが、残りをあと一回か二回、時期をずらして鉢上げしようと思います。
202003082(700).jpg
ポリポットは直径5センチくらいの市販されているもので一番小さいものを使いましたが、それでもセロリの苗の小ささがわかると思います。

サトイモ 6

20200307(600).jpg
保存しておいたタネ芋用のサトイモをハウスの中に持ってきて、トマトを植える予定の場所が空いているので並べました。
まだほとんど芽が出ていません。ハウスの中だと暖かいので早く芽が出るのではないかと思い、十分に芽が出てから植えつけようと思ったからです。
初めての試みですが、うまく発芽してくれれば有り難いです。


ネコヤナギ 天才バカボンのうた

柳の枝にネコがいる
だからネコヤナギ
これでいいのだ これでいいのだ

「天才バカボン」の歌の一節です。

実家の母に、庭に植えてあったネコヤナギの苗を、いらないから処分してくれと言われて、畑の入り口付近に持ってきて適当に植えておいたら、一年で大きくなりました。
202003023(350).jpg
まず、昆虫が脱皮するように外殻からでてきます。
202003021(500).jpg
そして、もふもふ感たっぷりのネコやイヌの体毛のような肌触りのものがたくさんできます。
202003022(570).jpg
さらに変態して花になります。

花穂が花になるまでに脱皮や変態をするという、振る舞い方が動物的なネコヤナギです。
ネコヤナギという名前は花穂がネコの尻尾に似ていることからつけられたそうです。

冒頭の天才バカボンのうたはナンセンスな面白さをねらったものでしょう。
しかし、「ネコ」を「ネコの尻尾」と捉えると
ネコヤナギという植物のの名前の由来を説明した歌になります。
これでいいのだ!






トマト3 鉢上げしました

20200305(800t).jpg
今日(3月5日)トマトの苗を鉢上げしました。
2月11日に播種したものです。
一番花が咲くくらいまで育苗する必要がありますので、まだまだ先が長いです。

本51 赤峰勝人「循環農法」

赤峰勝人「循環農法」
なずなワールド (2003年発行)
循環農法
赤峰勝人
1943年、大分県野津町に生まれる。
大分県立三重農業高校卒。1986年「なずなの会」を組織。
『ニンジンから宇宙へ』など

プロローグ
 工業化の副産物として生まれた化学肥料、農薬を使うことで、一時的に農作物は増収したように見えましたが、その事が人類や地球上で生活するすべての生命体にとってどれ程恐ろしい結果を生み出すか想像だにしなかったし、農薬の恐ろしさには多くの人が気づき始めましたが、今もって化学肥料の人体への影響について知る人はまだまだ少ないようです。
 アトピーの人たちは、化学肥料を使用された農作物を食べると1~4,5時間でかゆみが出てくるし、ひどい人は全身から黄色い汁が出てくる現実を見せられて、化学肥料の恐ろしさを身をもって知ることができました。知った者の務めとして、農薬だけでなく化学肥料の恐ろしさを訴え続けると共に、畑や田んぼの中で繰り返される悪循環ならびに、農家の経済的悪循環にストップをかけたいと思います。

 このような恐ろしい現状から抜け出すたった一つの方法が循環農法なのです。二十年の年月をかけてやっと辿り着いた循環の法則。その法則を大地の中で証明してきた二十年。トータル四十年の年月の中で、天から教わった事を一冊にまとめ、今回、循環農法の本として出版することに致しました。

第一章 循環農法

循環農法って何?
 循環農法を一言で説明すると、土から生まれたもの(草)を発酵熟成させ、土にしてから、田畑(土)に返す方法で土づくりをし、旬の作物をできるだけ、自然の状態で育てる方法です。

循環農法が完成するまで
 そんなふうにして始まった野菜づくりですが、始めから循環農法を目指していたわけではありません。人並みに欲も野心も持ち、失敗も挫折も何度も繰り返してきました。最初のトマト栽培でも農薬の恐ろしさも知らぬままに、週に一度は猛毒な殺虫剤と殺菌剤を撒いて、先祖から贈られた畑の土を、知らぬ間に傷めていたのです。
 高度経済成長が始まり、近代化、工業化の波が押し寄せ、経済成長が何よりも素晴らしいことのように思われた時代でした。農家の働き手たちは、農地を放り出して都会に金を稼ぎに出かけていくようになってしまいました。そんな、働き手を失った農家に助っ人として登場したのが、いろいろな農業機械と化学肥料、農薬でした。農業を目指す野心満々の自分もまた、化学肥料と農薬をたっぷり使って収穫高を上げる近代農業道を疑いもなく進んでいたのです。
 最初はうまく行きましたが、次第に最初の頃のようにできなくなりました。何とかしようと化学肥料や農薬を入れるのですが、以前のような見事な作物はできず、借金がかさむばかりでした。後にして思えば、見事な野菜ができたのは、昔ながらの堆肥で先人たちが守ってきた生きた土があったからで、少々の化学肥料を入れても、野菜は元気に育ったのですが、その後何度も大量に化学肥料や農薬を入れ続けたせいで土は死に、当然の結果として野菜も出来なくなったのです。

 ピーマンが病気なった原因を調べている時です。外に現れる地上の葉っぱだけに目を向けたいた時、無意識に根っこを掘り起こしていました。そして、根っこが不健康な赤茶色だったのを発見し、初めて原因がそこにあることに気づいたのです。化学肥料の入れすぎで、葉っぱに症状が出る以前に、すでに根が傷んでいたのでした。ここで化学肥料に対する疑問が湧いてきたのです。
 そうやって、何度もつまづいては救われ、畑に戻されながら、まるで導かれるかのように無農薬、無化学肥料の道へ進むようになり、やがて夢にまでみた理想のニンジンが完成しました。無農薬に取り組み始めて十二年、高校卒業後二十年の月日が経っていました。

 昭和58年5月の穏やかな日のことです。いつものように畑の中で一人、ニンジンの間引きをしている時でした。ふと間引いたニンジンを眺めていた時のことです。何かがスーッと体に入り込むように、突然の気づきがあったのです。
「すべては回っている!」循環を支えるために、地球上に住むすべての命あるものが自分の役割をこなしている事実。土からできた草木を動物が食べ、その食べ物を消化してくれるのは、体内に棲む微生物が作り出す分解酵素であり、食べ物の中からエネルギーを取った残りのカスは排泄され、自然界に住むハエや微生物たちによって完全にエネルギーを使い果たし、有機から無機に変わって初めて水と合体して、再び植物の体内に入るという単純なしくみ。
 昆虫、鳥、動物、微生物、カビ、植物、・・・そして人間。すべてが、何一つとして無駄なものはなく、一つとして特別なものも秀でたものもなく、宇宙の循環の中に組み込まれていたのです。
 この大宇宙の法則を観じ取れた時、一つの扉が大きく開き、曇っていた視界が見事に鮮明になった気がしました。そうすると長い間、理屈や理論だけでわかっていたこと、疑問に思っていたこと、どうしても解けなかったことなどが、みるみるうちに解き明かされてきました。幸せで、愛に満ち溢れていた瞬間でした。と、同時に恐ろしい事実を目の当たりにした気分でした。
 今の地球は、この宇宙の循環から大きくはみだしている。
 深刻な地球の悪循環に愕然としました。

循環農法のポイント
 いったいいつから、「雑草」「害虫」「バイ菌」という言葉は出現したのでしょう。これは身勝手な人間たち側から見て、「草・虫・菌」を敵とみなして生まれた言葉です。なぜ、彼らがそこに発生しているのか?その役割は何なのか?そんなことを考えもせず、目に見える現象だけの結果を見て、害だから、悪いものだからと決めつけているのではないでしょうか?彼らに意味のない誕生や、役割がないものはありません。全員が必要で,必然なのです。循環農法の基本であり、そして、この本を出す最大のポイントは、この「草・虫・菌」がいかに大切かを理解していただくことです。このなくてはならない大切な「草・虫・菌」のことを、なずな農園では「神草・神虫・神菌」と呼んでいます。もちろん、草も虫も菌も大宇宙循環の中で循環しているだけなので、本来なら「神」を付けるのはおかしいのですが、過去の考え方の間違いに気づいてもらうために、人間のエゴと理解しながら、あえて、「神草・神菌・神虫」と呼ばせてもらっているのです。

循環農法のポイント(1)土をつくる神草のこと
 草の役割に気づいたのは無農薬を目指して九年目のことでした。ニンジンの収穫時、地の底から響くビシッビシッというニンジンの割れる音を聞き、「今年もだめだった」と、がっくりと体の力が抜け、畑の中に座り込んでしまいました。それでも未練がましく、せめて一本でも出荷できるようなニンジンはないかと、畑を這うようにして手探りでニンジンを抜いていたとき、スギナが群生していることに気づきました。さらに驚いたことにスギナが枯れて白いカビを吹いている場所のニンジンを引き抜いて見ると、なんと、割れていない立派なニンジンではありませんか!それも一本ではなく、次から次へとその場所のニンジンだけは不思議なことに割れていません。いったいこれはどうしたことだろう?毎日毎日考え、謎となったスギナの性質を調べ突き止めた結果、スギナはケイ酸カルシウムを集めて土に還しているのだということが解りました。つまり、水分を抜き取った植物体の70%がカルシウムであるスギナは、土に足りないカルシウムを補うために生まれてきてくれていたのです。当時、そんなことに気づかず、分析した土がカルシウムが足りないからと石灰を撒いていましたが、石の粉などではカルシウムは代用できなかったのです。カルシウムは植物が集めた酵素態のカルシウムでなければだめだったのです。だからこそ、カルシウムを大量に集めることのできる竹やススキなどイネ科の草やスギナがたくさんできていたのを知ったとき、一木一草に役目があるのだと気づきました。スギナだけでなく、他の草もきっとその畑に足りないミネラルを作り出すために生まれているのだと理解でき、自然の生み出す神秘に何とも言えない感動を覚えました。自然界に雑草という草はないのです。
 すべての草が光合成と原子の転換を行いながら、働きの違うミネラルを作り出す使命を持っているのです。畑に出てくる草一本一本を大切にし、種子ができてから、土に返してあげて下さい。作物を育てる土づくりの主役は草です。1㎝の土を作り出すのに、百年が必要だといわれています。最低10㎝の土がないと作物は育ちませんから、草が10㎝の土を作るのに、千年の歳月を必要とするのです。草の命こそ、土の命なのです。

循環農法のポイント(2)毒から守る神虫
 無農薬野菜で誤解されていることがあります。それは、「虫が食っている野菜だから安心」と思い込んでいることが一般常識となっていることです。本当の意味での無農薬野菜には虫はほとんどつきません。それを証明してくれたのは失敗続きのハクサイを作っているときでした。やがて一枚の畑のほうに虫が発生し,ハクサイをものすごい勢いで食べ始めました。がっかりしながらもう一枚の畑のほうを見ると、なんと虫がついていないのです。この違いは何だろうと考えました。虫がついているほうの畑をよく見ると、ハクサイの全体についているのではなくて、一部分についているのが解りました。それでも虫は広がるばかりです。答えを求めあぐねているとき、“偶然”にも農業新聞の記事にふと目を止めたのです。『宮崎県と北海道で亜硝酸の害で乳牛死亡』という見出しが目に飛び込んできてハッとしました。亜硝酸の害については、なぜ乳牛が死んだのかがすぐに理解できたのです。未熟堆肥で育った、亜硝酸態窒素を多量に含んだ牧草を食べたからだと。そこで閃いたのです。もしかすると虫の発生の原因はこのアンモニア臭のする未発酵堆肥ではないかと。
 虫が発生した方の畑の近くには、くさい臭いのする未発酵の豚糞を大量に積んであったからです。野菜を食べる蛾は目が見えず、わずかな光を感知するだけで、主に嗅覚(アンモニア臭)を頼り移動するとありました。すぐさまハクサイ畑をじっと観察していると、まさに、その通りのことが起こっていました。豚糞からでるアンモニア臭の届く範囲にしか虫は付いていないのです。目が見えない蛾は、その範囲内のハクサイに手当たり次第卵を産みつけたのです。これは化学肥料を撒いたときにも、同じ事が起こります。化学肥料からアンモニアの臭気が発散され、蛾が集まってきて卵を産むのです。そこで閃くように気がついたのが、虫の役割でした。産みつけられた卵は一週間に一度ずつ脱皮して、それを四回繰り返し、28日間で成虫になります。一方、未熟堆肥に含まれるアンモニア態の窒素は、一ヶ月ほどかかって猛毒の亜硝酸塩に変化していきます。この毒が作物の体内に入った頃、蛾の卵はちょうど四齢期の成虫となって、ものすごい勢いで葉を食べ尽くし、糞にして土に返してくれます。土に返された糞は、菌によって発酵分解され肥料となります。何と素晴らしい自然のしくみでしょう。これではっきりわかるように、健康な野菜であれば虫は少ししか食べません。中まで虫が食べるのは、何らかの原因がある病気の野菜なのです。
 猛毒を食べてくれた虫たちは、さなぎから蛾となり、交尾して子孫を残すということはできません。人間を猛毒から守るという役目だけを終えて、そのまま死んでしまうのです。自分たちの使命を果たすために、子孫を残せる虫は、亜硝酸態の窒素を含んでいない、健康な野菜を少しばかり食べますが、必要以上には食べません。わずか下葉の枚数だけで、命をつないでいくのです。

循環農法のポイント(3)循環の大切さを教えてくれる神菌
 体の中は、畑の縮図であり、宇宙の縮図です。 ばい菌と呼ばれる菌はなく、その場その時に必要な菌が発生するのです。

循環農法のポイント(4)旬を守る
 野菜を育てるとき、旬を守ることは大切です。なぜなら野菜が旬でない場合は、健康に育ちません。夏に育つ野菜を冬に育てようとすると、ビニールハウスや温室が必要となり、不自然な中で育てるために神菌さんや神虫さんがでてきます。出てきた菌や虫を悪いものと考えて農薬をかけるのが近代農法の常識でしょう。旬を外れていることだけでも私たちの体に悪いのに、さらに毒をふりかけて食べることになります。野菜本来の役目であるミネラルやビタミンをくれる大切な役目を果たせなくなるのです。

循環農法のポイント(5)循環に沿った輪作

循環農法のポイント(6)土づくりは草の観察から
 
第二章 土作り
●土を見る
①農薬化学肥料づけの農地を命ある土に還る方法
・一年間何も入れないで雨水にかけて土の断食をします。生き残っている草に、土の中の毒素を吸い上げてもらいます。
・二年目から、草が実を結んだら土にすき込んで返します。草を土に返す作業は、最初数年は農薬、化学肥料によって土の中の微生物はかなり殺されていますので、土に返しても発酵が遅く時間がかかります。
・また二年目からは、その土地土地にある腐葉土を10aに50~100kgぐらいと、豚糞または牛糞に、おがくずや乾燥した草を混ぜ、一年間寝かせ発酵させた堆肥を、10aに10tくらい撒くと、土の発酵分解が進み、たくさんの草たちが生えてきます。その草たちがまた、残留農薬を吸い上げて毒抜きをしてくれます。そうやって五年ぐらいすると死んでいた土が生き返ってきます。
・二年目くらいからはやせた土でも作れるジャガイモやサツマイモなどを作ります。
・三年目からは草の種類を見ながら作物を選択していきます。

②何年も放置された荒れ地の場合
・生えている草によって順序は異なりますが、土がやせている段階では竹のような縦横に根を張りめぐらせている草が生えています。これは硬い土を掘り起こしてやわらかくし、土の中のケイ酸カルシウムを満たしてくれる役目です。これを刈り倒して畑へ置いておきます。そうすると微生物が食べて土にしてくれます。
・ススキのような背の高い草は切り倒してそのままにしておきます。また、柔らかい草は実を結んでから、トラクターですき込んでいきます。(小さな菜園であればクワやカマで十分です。
・何度か繰り返していると土の中のカルシウムが増えて、ナズナやハコベ、オオイヌノフグリなどの草たちが生え、年々土がよくなり、五年ぐらいで生きた土になります。

第三章 玄米

第四章 野菜
野菜各論

◎エピローグ ~循環農法を目指す人に捧ぐ
 この本で一番伝えたかったこと、それは、何度も繰り返し登場してくる「草・菌・虫」の重要さです。この地球で平等である、命あるものに、あえて「神」という名刺をつけて強調したほど、それは大切なものなのです。
 百姓という字を分解すると、“百人の女を生き生きさせる”と読めます。女性だけでなく、クワとカマで多くの人の食べ物を育てられ、たくさんの人びとを生き生きさせられる人が、百姓だと解釈しています。そう考えればこれほど尊い仕事があるでしょうか?このように解釈したとき、百姓という仕事こそ聖職だと思え、長い間、この仕事に携われてこれたことに深い喜びと、崇高な思いがあふれ、全身に力が満ちてきます。 しかし、百姓の道は大変厳しい道です。体力、気力、知力、直感力が備わっていないと、この道を切り開いて行くことは困難です。失敗続きで挫折も味わうでしょうが、失敗は大事なことです。失敗の繰り返しが百姓道をしっかりとした大きな道にしてくれます。
 百姓として生業を立てていくためには、お金のかからない生活スタイルを身につけることが大切です。そのためにはまず玄米食。エネルギーに満ちあふれた玄米を食べることで、体と心の浄化が出来、運命をよい方向に変えられるのです。
 百姓仕事に明日はありません。「今日できなければ明日やればいい」と考える人は、この道に入れません。自然の循環は休むことがありませんから、今、この瞬間にしなければならない事を先送りにすると、取り返しのつかない結果が待っています。人間の都合で仕事の流れは決められないのです。刻一刻と変化している自然の中で、今何をすべきかを、観察と直感力で判断していくのです。特に大切な事は、一日一日の天気を前もってきちんと知って行動すること。そのためにも、太陰暦を理解することです。太陰暦は、月を中心とした暦で、北半球の気象の変化を知る上で重要な暦なのです。
 百姓という仕事は、感動の連続です。

平成22年11月

水仙

202003022(700).jpg
熊本地震で実家が被災し、家を立て直すことになりました。
そのとき、庭に植えてあった水仙の球根を畑に持ってきて、倉庫代わりに使っているハウスの北側に埋め込んで、ほったらかしにしておきました。
日当たりが悪いのに、または日当たりが悪い方がいいのか、毎年花を咲かせます。

本50 片野學「雑草が大地を救い食べものを育てる」

片野學「雑草が大地を救い食べものを育てる」
芽ばえ社
雑草が大地を救い食べ物を育てる
片野學
1948年生。東京生まれ。東京大学農学部農業生物学科卒。
岩手大学農学部助手。九州東海大学農学部教授。

1 自然農法との出会い


驚異的に向上した水稲生産力 (10a当たり)
 明治初期 ・・・・ 3俵
 明治後期 ・・・・ 4俵
 大正時代 ・・・・ 5俵
 戦前   ・・・・ 5俵
 昭和30年 ・・・・ 6俵
 昭和42年 ・・・・ 7俵
 昭和50年 ・・・・ 8俵
 わが国の水稲生産力は、昭和30年から昭和50年のわずか20年の間に5俵水準から8俵水準にまで驚異的に向上した。

稲作の増産をもたらした要因
 品種改良、育苗方法、水管理法とともに化学肥料と殺虫剤、殺菌剤、除草剤の普及、機械化の進展などの稲作栽培技術の向上とその普及によってもたらされた。

岡田茂吉が提唱した「自然農法」
 岡田さんの発見は、「土の偉力」という一語に尽きます。「冷害とは寒さに稲が負けたことであり負けた本当の理由は稲自身の体力の低下である。稲の弱体化は土の弱体化による。土の弱体化は土自身が本来持っている作物を生成化育する力を発揮できなくさせられたためである。なぜ、発揮できなくなったかといえば、土の中に、人畜糞尿や化学肥料を含む『肥料』を施したために、土がはたらけなくなったのである」としました。このように「無肥料栽培=自然農法」が農業本来の姿ではないかということを提唱しました。

自然米・農産物の不思議な力
 調査のたびに、お宅には自然農法東北地区担当課長を始め、自然農法の先駆者がお見えになっており、さまざまなお話をうかがいました。
「自然農法の田んぼにだけホタルが光っている」
「自然農法の田んぼで草取りすると手がスベスベになるし、疲れを感じる度合いが少ない」
「自然農法の田や畑で作業をすると気分が爽快になり、イライラが解消する」
「普通の米はのどを通らない重病人でも、自然米だと食べられるし元気になる」などなど。

自然農法で収量は減るのか
 化学肥料を使わないとコメの収量は半分になるというのが、農業試験場での調査結果です。農薬を使わないと35%収量が減るというのが、専門家の意見でした。
 自然農法は国策に反するということで、作物学会でも研究の蓄積は皆無でした。しかし、自然農法20年以上の水田では慣行化学農法と同程度の収量であり、2年目、3年目の水田でも、7~8割の収量がありました。

腐敗実験でわかる農産物の違い
 このような驚くべき違いが、農産物が持つ抗酸化能力の違いなのか、抗菌力の違いなのかはまだ不明ですが、腐敗実験によって農法によって農産物の中身が持つ力、生命力がまったく異なることは、明らかなのです。玄米の腐敗実験は各地で行われていて、北海道でも沖縄でも、その結果は同じであることがわかりました。

2 日本の農薬使用量は世界一

アレルギー疾患と農薬
 近年深刻化している子どもたちのアトピー性皮膚炎が、自然米や自然食に切り替えることで、病気が改善ないし完治したという話を各地で耳にしました。このことは、アレルギー性疾患が、農薬と結びついていることを物語るものです。

日本は世界一の農薬使用国
 籾1kgを生産するために使われた農薬使用金額を計算すると、日本では韓国の5.7倍、アメリカの6.1倍、タイの28倍、インドの50倍、中国の78倍になっていました。だから、普通に生産した慣行農法の米を食べていると、アレルギー性疾患を発症するのです。

 1986年には、日本の水田稲作は世界の作付面積の1.6%にすぎないにもかかわらず、投入されている農薬使用金額が全世界の54.6%にもなっています。日本の稲作りには、世界各国に比べて大量の農薬が使われているわけですが、野菜や果樹などには、その何十倍もの農薬が使われているものがあるという恐るべき実態が、ここから浮かび上がってきます。

施肥による飲料水の硝酸塩汚染問題
 化学肥料と有機質肥料に由来する硝酸塩は、植物に吸収されると、光合成と連動してアミノ酸に窒素同化されますが、大量の硝酸鉛を吸収した場合には同化されずに硝酸塩として葉などに残存してしまいます。それが苦味の元になっています。また、作物に吸収されなかった過剰な施肥窒素は、微生物によって硝酸塩にまで酸化され、土壌粒子に吸着されることなく地下水まで達し、硝酸塩汚染の主因になっています。
 作物に残存した硝酸塩は、消化器内PH影響で亜硝酸塩に還元され、二級アミンと結合し、強力な発がん物質であるニトロソアミンとなり、活性酸素などの強力なフリーラジカルを放出してインスリン生成器官であるすい臓ランゲルハンス島β細胞を損傷し、糖尿病を引き起こすというのです。農薬とともに化学肥料や牛糞、豚糞、鶏糞などの有機質肥料の過剰施用問題と人間の健康との因果関係にも注目することが重要になっています。

3 自然農法で農家の経営は成り立つのか

「日本農業新聞」やNHKも報道する時代に
国も動き出した

あなたも今日から自然農法を
 食べものとしてもっとも価値ある作物は、無肥料栽培で作られたものであるということが、完全にわかっています。有機肥料も入れてはダメだと言える時代に移っています。首都圏には化学物質超過敏症の人がいるからです。牛糞、鶏糞、豚糞、ぼかし肥料などの有機質肥料だけで無農薬で育った野菜も受け付けない人がいるということがわかったからです。
 これからは食糧が不足する時代になります。日本でも、ほとんどの人が、自分の食べるものは自分で作る時代になってくると思います。その時に、人間一人を養うためには1反はいらないと思っています。1反で2~3人分のお米と野菜が作れます。農業の勉強をする必要はありません。耕さない、肥料もやらないのですから。

4 雑草の、この偉大な働き

雑草は地球の傷口を治す植物
 氷河や農業で削り取られた不毛の土地は、地球の傷口です。そして雑草というのは、傷口を癒すために地球が生み出した植物だという発想が生まれたのです。

原生林など自然生態系の土に雑草は生えない
 人が手を加えていない天然林に、雑草の種子を蒔いても、雑草が生長しないことがわかりました。また、川の端にはヨシが生えていますが、そこには水田に生えるような雑草が一本も生えていません。種子を蒔いても生えません。自然生態系の土壌には、雑草が存在しないという現実があります。そこは“土が生きている”からにほかなりません。不健全な土、あるいは化学肥料がいっぱい入っている苦い土は、雑草がたくさん生えて土をよくしようとします。生きている土になったら雑草はもう生える必要がなくなるのです。

雑草がない田んぼは収量が多い
 この田んぼには、手押し除草機を1度カラカラと回すだけで、雑草は生えてきません。“雑草が多い田んぼは収量が少ない。雑草がほとんどない田んぼは収量が多い”のです。坪刈り調査を行っても、草がほとんど生えなくなった田んぼは収量が高いということがわかったのです。このような田んぼは後に「トロトロ層」と名付けられた、5㎝くらいの厚さの微粒子層があって、この下に雑草の種子があるので雑草が生えないのです。

まず草の名を覚えましょう
 イネ科、イグサ科などの尖った葉っぱの草、スギナなどが生える土地は土地は土が痩せていて非常に硬い。セイタカアワダチソウが生えるところもそうです。それらの草が、土をしだいに軟らかくしていくと、今度はやさしい葉っぱの雑草が生えてきます。ハコベが生えてきたら、かなりよい土になった、生きている土だということです。

5 地球温暖化と食糧危機

不健康な人は蚊に刺されやすい
 自然農法のイネは、いもち病にかかりませんが、化学肥料で育てたイネは、いもち病で大きな打撃を受けます。病気は、弱ったイネにしかつかないというわけです。虫が食べるのも同じです。弱っているから虫が付くのです。したがって、「虫喰い野菜は安全」とは言えないのです。虫喰い野菜は中の下だと私はいっています。虫が食うような野菜は、まだ完全な有機野菜ではありません。栄養過剰です。

6 人は何を食べたらいいのか

類人猿とヒトの歯の違い
 歯の構成は、野菜・海藻・果物用の切歯が2本、動物性食物用の犬歯が1本、米麦・雑穀・豆類・いも類用の臼歯が5本であることから、人間が摂取する食物の構成比は8分の5が穀物、8分の2が野菜類で、肉や魚は8分の1であると、いわれています。

穀菜食に立ち戻る
 アウストラロピテクスというヒトの祖先である猿人以来、その歯の構成からわかるように、ヒトは主に穀類を食べ、それに野菜を添えて生きてきました。これが、数千万年、数百万年にわたって人類が食べてきた食物の内容です。これを称して“穀菜食”。もう一度“穀菜食”を見直して、そこに立ち戻るようにしていくことが大事な事ではないでしょうか。

7 よく噛むことの大切さ

よく噛むと頭にも美容にもいい
 食物をよく噛むと脳に血液がどんどん流れていきます。また、顔面の筋肉が発達するため、言語の発音もよくなります。

唾液の偉大な力
 唾液は発がんと奇形を起こす変異原生を10分の1くらいに減らすことができるということがわかりました。唾液には毒消しの効果があるのです。

一口30回、30秒以上で若さを保つ効果も
 唾液の毒消し効果を生み出すには、食べものを一口入れたら30秒以上噛むことが必要であることも、西岡先生が発見しました。普通1回噛むのに1秒かかりますから、食べものを口に入れたら最低30回噛むと、添加物や農薬、発がん物質の害を10分の1に減らせるかもしれません。

噛んで、噛んで、頭の表面も中身も良くする
 最近の日本人の髪の毛は薄くなっているといわれていますが、良く噛むと、頭皮がものすごく刺激されて振動し、それによって髪の毛を発育させる細胞が元気になるため抜け毛が防げます。
 京都大学霊長類研究所の大島清先生は、脳に伝わる運動の刺激について、こう述べています。その刺激の25%は手から、あとの25%は足から伝わります。ですから、老化防止にはよく手を使ったり歩いたりすることが大切なのです。では残りの50%の刺激はどこから来るのでしょうか。なんと、口からなのです。だから、顎が痛くなるまで噛みましょうというのが、大島先生の結論です。

平成22年11月

プロフィール

blogst66

Author:blogst66
 教職在職中に木村秋則氏の「奇跡のリンゴ」を読んで感銘を受け、無農薬農法に関心を持ち、200冊以上の農業書を読み漁りました。本を読んで農業の知識が深まるにつれ、自分でも農業をやってみたくなり、一年早く教職を退き就農しました。(2013年)
 農業は8年間続けることができましたが、持病の腰痛の悪化により、農業活動を継続することが難しくなり、一線から退きました。(2021年)
 一昨年から趣味として「個別株投資」を始め、ブログの中身も投資に関することが増えてきました。投資はまだわからないことが多く、初心者が陥りやすい失敗例などを発信しながら経験を積み上げていこうと思っています。(2022年)
 2年半続けた個別株投資に限界が見えてきました。しばらく個別株投資に距離を置きます。(2023年6月)
 植物の写真集「みちばたの花」をはじめました。過去に散歩の途中で撮った植物の写真の中から、毎日ひとつずつ紹介します。(2023年6月)

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR