これならわかる!「株主総会」のすべて―はじめて行く人のための (PHPビジネス新書) / 陣川 公平 (著)
出たときに買おうと思ってすっかり忘れていたが、近所のbook offで見つけたので購入。でも、amazonでは既に新本の取扱がないようだから、絶版ということだろうか。
オムロンで、企画、経理、財務畑を歩まれた公認会計士・税理士でもある著者が、総会に出る側に対して、総会招集通知が来てから、出席して、決議がおりて、配当をもらうまでの流れにそって、注目すべき点や、それぞれの行為の意味について、平易に解説してくれている。計算書類を見るために必要な財務分析の基本についても説明がある。経験豊富な方が、重要なポイントに絞って解説してくれていて、非常に分かりやすいと思うし、ここにあるくらいの財務分析の知識は、法務でも知っておいて損はないので、総会に関与し始めた人にオススメというだけではなく、それ以外の法務の人も読んでおいて損はないのではないだろうか。何より分量が多くないから、四の五の言っているうちに読み終わる。
個人的には、注記表の重要そうなポイントについての説明(次のとおり)が、あったのが、さすが、と思ったし、内容としては言われてみるとそれほど意外でもないけど、こうして説明があると、やはり次以降に計算書類を見たときにも、意識が行くようになるかな、と思った。
- 減価償却方法を変更したのは何故か
- 保証債務が実力以上に大きくないか
- 関係会社に対する姿勢があまくないか
- 減損会計は実施しているか
- 一株あたり情報は株主に関係があるのか
一方で、ガバナンスとの関係で、社外取締役の意義について、社内のしがらみから遠い存在であること、とか、委員会設置会社では、取締役会で配当を決定できる代わりに、取締役は一年任期(配当が気に入らなければ取締役をクビにするという議論が可能)というあたりについても言及があってもよかったのではないか、という気がした。会社の運営の基本的な部分に関係するところだと思うので。