連続テレビ小説「虎に翼」 (第17週・土曜日版・2024/7/27) 感想 ※「本編」と異なる解釈をしてみた
NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
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第17週『女の情に蛇が住む?』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
新潟本庁で再会した寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。航一に紹介された喫茶ライトハウスを経営していたのは涼子(桜井ユキ)と玉(羽瀬川なぎ)だった。14年ぶりの再会を喜ぶ中、本庁では寅子が初めて受け持つ刑事事件の裁判が始まる。それは、19歳の少年・元木(山時聡真)にかばんをひったくられた20歳の青年・水上(林裕太)が起こした暴行事件だった。一方、優未(竹澤咲子)と二人きりの生活に苦労する寅子の元に、花江(森田望智)からの援軍が届いていた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11,14,16週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8,13週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12週
伊集院悠(過去作/オーディオドラマ・FMシアター「告白の対価」静岡局制作) 第15週
相澤一樹(過去作/BSプレミアム:善人長屋 第5話のみ,単発:月食の夜は) 第17週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
「土曜日版」の編集も、恐らく相澤氏によるものだろう
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
室内でも熱中症の危険があるとのこと。
こまめに水分補給してくださいね。
今週の演出担当・相澤一樹氏が若手で経験が浅いディレクターだから… は、「本編」で書いたとおりだ。
この「土曜日版」の編集も、恐らく相澤氏によるものだろう。
そう感じたのは、下記の二つの編集からだ。
一つは、7月25日(木)放送の第84回の感想で言及した「寅子の左腕が顔に動いて、鼻か口に触れる動作が映っている」が残っていたこと。
もちろん、涼子(桜井ユキ)と玉(羽瀬川なぎ)のやり取りで最重要箇所でもあるから、カットできない事情もあったと思う。
でも、意図的にやった演出、映像であるなら「残したい」のは当然だと思う。
もう一つは、7月26日(金)放送の第85回の感想で言及した「位置と大きさが変わる餅菓子2つ」が削除されていたことだ。
やはり、あれは撮影中のミスだったのだろう。
でも、「土曜日版」を見て「あれ?」と思ったのだ。
「あの餅菓子」が、喫茶ライトハウスの「店の人気商品」の “おまんじゅう” に似ていると。
そう考えると、寅子(伊藤沙莉)が喫茶ライトハウスから持ち帰った「お土産」を優未(竹澤咲子)と稲(田中真弓)と一緒に食べながら、玉と涼子のことをあれこれと話をしたと受け取れる。
だったら、「このお土産のおまんじゅう、おいしいですね」が、あってもよかったと思う。
良くも悪くも几帳面すぎるくらいの見事な出来事の箇条書き
「土曜日版」全体の感想を書いてみる。
良くも悪くも、几帳面すぎるくらいの見事な「出来事の箇条書き」だ。
ざっと、箇条書きの要素を挙げてみると。
●「学校に友達はいない」という優未(竹澤咲子)と、心配する寅子の関係修復
●19歳の少年・元木(山時聡真)にかばんをひったくられた20歳の青年・水上(林裕太)が起こした暴行事件
●森口(俵木藤汰)の娘・美佐江(片岡凜)が抱える闇
●玉と涼子の関係修復
●杉田太郎(高橋克実)と航一(岡田将生)が抱える闇
こうして列記することで、「本編」を見た際に気づかなかった “見方” “捉え方” にならざるを得ないと感じたことがある。
それが、今週のサブタイトル『女の情に蛇が住む?』の意味と、各エピソードの関係性だ。
『女の情に蛇が住む?』だから今週の肝は"美佐江"だった?
そういえば、今週は一度もサブタイトルに言及しなかったので、ここでやっておこう。
「女の情に蛇が住む」とは、「女は執念深い」ことを、女の心に蛇が住み着いていることになぞらえた ことわざだ。
逃げることも歯向かうこともできずに、体がすくんでしまうことのたとえである「蛇に睨(にら)まれた蛙」のとおりだ。
このタイトルから考えると、実は脚本や演出上での今週の肝であったのが “美佐江” であることが想像できる。
「本編」では、まるで朝ドラ『ちむどんどん』(NHK/2022年度前期)に登場した、ヒロイン暢子(黒島結菜)に嫌がらせをする、地元の権力者、屋良物産の社長のお嬢様で料理部部長・屋良ひとみ(池間夏海)に似た、その後にほとんど影響を与えないピンポイントのキャラクターに見えた。
もしかすると、今週の描写では、美佐江も同様になる可能性はあるが。
少なくとも、“様々な女性像” を描く今作としては、下記の三名に負けず劣らずの「女の情に蛇が住む」なのは間違いなそうだ。
●弁護人である寅子を欺いた両国満智(岡本玲)
●離婚調停の末に寅子に剃刀で襲い掛かった福田瞳(美山加恋)
●大庭徹男(飯田基祐)の遺言書を偽造した妾の元山すみれ(武田梨奈)
こうして改めて考えると、「美佐江のその後」が描かれない可能性が高い… と思うのだ。
個人的には、もう一暴れしても良いと思うが。
土曜日版で強調されていたのは「溝」と「絆」という概念
では、「本編」を見た際に気づかなかった “見方” “捉え方” の話を進めよう。
今週の当ブログでは、「溝を埋めようともがく女」「自ら溝を作りにいく厄介で面倒な娘」「自ら溝を作りにいく厄介で面倒な男」を描いていると書いてきた。
ここで、注目していただきたいのが「溝」という単語、概念だ。
「溝」とは、地面に掘った細長い水路や、細いくぼみの意味だが、ここでは「人と人との間の意見や感情などのズレ」のことだ。
しかし、「土曜日版」で強調されていたのは「溝」と同時に、「絆」という概念だ。
●非行少年グループと美佐江の “赤いビーズの腕飾り” で結ばれた「同類の絆」
●身分の違いを超えた “腹心の友” で結ばれた玉と涼子の「友情の絆」
●寅子と優未の “変顔と優三(仲野太賀)” で結ばれた「母子の絆」
と、同時に、これら「同類の絆」「友情の絆」「母子の絆」には、戦時や終戦時には何かと問題視されていた “貧困” と無関係な原因や要素で構成されているのも、興味深い。
要するに、今週は、戦争とはあまり関係のない「絆」を描きつつ。
その一方で、航一や杉田弁護士の、戦争と密接な関係のある「溝」も同時に描いた一週間だったのだ。
なかなか、うまくまとまらないが、しばらくは「溝」と「絆」を描くのかも…
あとがき
今週は、玉を好演してくださった羽瀬川 なぎさんに魅了されっぱなしでした。個人的には、7月24日(水)放送の第83回のアバンタイトルで、玉の「それから すぐに…」から「あの大空襲が起きました」と絞り出すように語り始めるまでの “16秒間” の名演技が素晴らしかったです。
我々が見ていない「玉と涼子様の 17年間」が、あの “16秒間” に凝縮されていたように感じました。
こういう演技こそ、朝ドラの歴史に自らの力で爪痕を残すってことだと思います。
予告編の内容には触れませんが、なんとなく「溝」と「絆」を描きそうですね。
楽しみです…
特にタイトルは付けませんが、先日の「丑の日」にいただいた鰻の蒲焼きと白焼きです。
おいしかったぁ~
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/19048/
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