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連続テレビ小説「虎に翼」 (第78回・2024/7/17) 感想

連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第78回第16週『女やもめに花が咲く?』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


山の境界線をめぐる現地調停で書記官の高瀬(望月歩)と申立人の森口(俵木藤汰)との間にトラブルが発生。寅子(伊藤沙莉)も巻き込まれてしまう。しかし高瀬は森口との言い合いの内容を決して明かさない。家に帰った寅子は優未(竹澤咲子)がテストの点数をごまかそうとしている場面に出くわす。テストになると緊張してしまうと話す優未。寅子は亡き夫・優三(仲野太賀)のことを思い出していた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

感想の趣旨について
  当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
  作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。



原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11,14,16
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8,13
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12
   伊集院悠(過去作/オーディオドラマ・FMシアター「告白の対価」静岡局制作) 第15
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



今週は、実にじっくりと物語が紡がれている… な印象

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

今週は、実にじっくりと物語が紡がれている… な印象だ。

更に、今から 72年も前「昭和27年(1952)春」の出来事を描いているのに、「令和6年(2024)夏」にも身近な課題や問題が丁寧に盛り込まれている。

例えば、約2分間のアバンタイトルにあった、書記官の高瀬(望月歩)の寅子(伊藤沙莉)への反発だ。

高瀬「よそ者(もん)のくせに
 こっち側のふりをしなくて!」

この場面、「いろいろな意味で弱く、自己中心的な男性たち」を描くエピソードであると同時に。

「田舎あるある」「地方あるある」を端的に描いたシークエンスでもある。

高瀬「懸命になさろうとしてることは
 分かります。
 お優しい方なんだろうなとも思います。
 ですろも 波風を立てず
 『立つ鳥跡を濁さず』でお願いしたい!

「また、脱線?」と言われても書く(笑)

よそ者の寅子が「持ちつ持たれつ」に対しどう振る舞うのか

90年代ごろから、地域再生や人材育成の業界では、最も重要なのは「よそ者、若者、ばか者」を積極的に採用し活用することだとされた。

私も、東京都民時代から千葉県のとある地域の町興しに、NPOの一員(副理事長)として参画した時期がある。

その際も、「あなたみないな、よそ者、若者、ばか者を待っていたんです!」と言われたものだ。

しかし、「そう思ってくれる人がいると知る」ということは、「真逆の人のほうが圧倒的に多い」を確信することでもある。

更に、移住者に対しても「よく来てくださった!」より、実は「なんか、うるさくなった」が多くなるのだ。

もちろん、一部の地域の話で、全国どこでも当てはまるとは思わない。

でも、以前からの住民にとっては済みにくい環境であっても、それで何となく均衡が保てているならそっちでいい… な人が多いような。

この度の、高瀬と申立人の森口(俵木藤汰)との間にトラブルも。

寅子に対する三条支部の主任書記官 兼 庶務課長・深田仁助(遠山俊也)のこびへつらう姿から見える本音も、「立つ鳥跡を濁さず」なのだろう。

よそ者として、寅子が「持ちつ持たれつ」に対して、どう振る舞うのか楽しみだ。

私生活とのダブルスタンダードも寅子の人間味として魅力的

帰宅した寅子が、様子がおかしい優未(竹澤咲子)に気づいて、国語のノートを見て「テストの点数偽装」の練習をしていたことを知る。

そのことに対して、寅子は次のようにいう。

寅子「ごめんなさい。
 何でお母さんが謝るの?
 うそは よくないけど
 でも うそをつかせたのは
 お母さんだから」

以前の「点数偽装」の際、83点を褒めずに100点満点を目指すように諭したのが寅子。

私が思うに、「ごめんなさい」と謝るのは「うそをつかせた」ことの前に、こっそりとノートを見たことだと思うのだ。

別に、寅子の子育てがどうこういうつもりはない。

以前にも書いたが、寅子は法律家、裁判官としては、とても中立で弱者を守る立場を貫く人だ。

でも、家庭人、優未の母親としては、やや自己中心的なものの考え方になる傾向があるかと。

多少、被害者意識も強いというか、原因を短絡的に決めつけて、即座に問題解決をしようという感じだ。

きっと、仕事上は「人の人生を預かる立場」を常に意識した緊張状態だけど、家に帰るとタガが外れるというか。

花江のいう「何も分かってないトラちゃん」になってしまうということなのだ。

もちろん、この辺のダブルスタンダードも、寅子の人間味としての魅力だと思う。

以前に書いたことだが、今回にピッタリだから、また引用してみると。

今作らしい “リアルな母親像” から伝わるのは、次の3つになると思う。

●自分が優位な立場にあると、権力の強い側にいることに意外と無自覚になる。

●人間は、自分にない権力や権限には神経質になりがちだが、自分のものにした権力や権限に対しては配慮を欠けやすくなりがち。

●倫理観が強く聡明な正義(正義感)は、場合によっては、誠実に生きることが困難な弱者の声を封じてしまうことがある。

今回の、寅子と優未は「三つめ」だと思う。

そこに、寅子が気づき始めれば、お仕事モードの寅子にも変化が現れると期待するばかりだ。

駄目な部分のある父と結婚した母に、親近感を抱いたのかも

先に進めよう。
アバンタイトルで、お仕事モードの寅子が語った、トラちゃんらしい本音があった。

寅子「思っていらっしゃることを
 お話ししてくださった方が
 黙っていられるより ずっといい」

これは、寅子が公私にわたって思っていることだと思う。

そのネタ振りが有効に働いたのが、次の優未と寅子のやり取りへの連携だ。

優未「テストの時になると
 ぎゅるぎゅるってなる…。
 どうせ また おなか痛くなる」
寅子「アハ…。
 お父さんに似ちゃったか。ハハハ。
 お父さんもね 緊張すると
 すぐ おなか痛くなっちゃうの。
 ぎゅるぎゅる?って」
優未「本当に!?
 ほかには? ほかには
 どんな駄目なところがあったの?」

優未が本心を話してくれたことへの、安心感とスッキリ感に加えて。

優三(仲野太賀)が高等試験のたびに腹痛に見舞われていたことにもつながる。

もちろん、完璧主義、完全主義に見えている母・寅子に対して、父・優三は違うことへの安堵もあろうし。

そんな父と結婚した母に、親近感も抱いたかもしれない。

「いい人とか 優しいとか」とは少し違う、ほどほど主義というか、その都度主義というか、やってみましょう主義というか。

分かりやすい “伏線の回収” として、今作らしくて良いと思う。

寅子の優三への思いのセリフの言い終わりが<現在進行形>

更に私が注目、傾聴したのが、寅子のセリフの次の部分だ。

寅子「お父さんもね 緊張すると
 すぐ おなか痛くなっちゃうの」

寅子の優三への思いを語ったセリフだが、言い終わりが <現在進行形> になっていたのだ。

一般的に考えたら「おなかが痛くなっちゃうの」ではなく。

「おなかが痛くなっちゃったの」「お腹が痛くなる人だったの」と <過去形> や <過去完了形> のほうが、しっくりくると思う。

この微妙なセリフの言い回しから感じ取れる脚本の意図は。

先日にも書いた…
優未が生まれてから、完全に欠落している描写が「寅子が父親である優三のことを、優未に教える場面」だってこと。

要するに、現在進行形の意図は、「寅子は優三の死を未だに咀嚼しきれていない」の表現ではないかと思うのだ。

だから、今回で優未が “自分が父親似” であることを知ったことで、自分は母親である寅子と、亡くなってしまった父親の優三に「親に育てられている」ことを、ようやく理解し始めたのかも?

その一方の寅子は、「ねえ どんな人だったの?」に即答できず、曖昧にスルーした。

やはり、寅子が優三の死を咀嚼しないと、母子関係の再構築はないような。

もちろん、語りにあったとおり、優未への答えこそが、花江が言った「トラちゃんにしか できないことがある」なのは間違いないのは寅子も承知している。

因みに、私が気に入った脚本と演出は。

寅子の枕元に “イマジナリー優三”を登場させずに 、新婚当時の寅子と、在りし日の優三の回想シーンの当時の音声を消して(一部だけ残して)「動く写真アルバム」をめくるかのように見せて魅せたこと。

優三とのやり取りも交わした言葉も覚えているのに、「だから何?」がかみ砕けきれない寅子の悲しみがしひしと伝わった。

今作らしい "人間味あふれる寅子" としてのヒロイン造形


寅子「仕事行きたくない?!」

これは、今ごろはネット界隈であれこれ賑わているだろうから深掘りはしない。

敢えて書くなら、4月11日放送の第11話にあった、次の “語り” にもつながるような。

語り「寅子は お月のもの
 つまり 月経が少々 人より重めでした」

あの時は、大学を4連休して展開だったが。

朝ドラのヒロインは、基本的に「何事も一生懸命で休まない!」のイメージが強い。

でも今作の寅子は、休みたいときに休みたいと言っちゃう

こんなところも、ある種の回収であると同時に、今作らしい “人間味あふれる寅子” としてのヒロイン造形だと思う。

高瀬の気持ちを航一が語ることで、寅子にフィードバック

そして、ラストは期待どおりの展開に。

航一「思い出にできるほど
 お兄さんの死を
 受け入れられていなかったんでしょうね」

この航一の言葉に、ハッと気づいた寅子。

どうやって、航一が寅子の心を動かすのかと思っていたが。

なるほど、高瀬の気持ちを第三者として航一が語ることで、寅子にフィードバックさせたわけだ。

これだけ詰め込んでいるのに、全てがどこかで影響し合って進んでいく。

本当によくできた “ドラマ” だ。

いよいよ、木曜日と金曜日の展開が楽しみになってきた。

あとがき

優未の一件は、「点数偽装の練習」から、あと一息までになりました。

高瀬の一件は、地元の弁護士・杉田次郎(田口浩正)のナイスアシストで、あと一息までになりました。

こうなると、お仕事モードのトラちゃんとしては、私的な温情は捨てて、高瀬に何らかの処分を下すと思いますね。

そのことで、二つのトラブルが大きく前進する…

分かりませんけど(笑)

おぉっと、また3時間もかかっちゃった…


すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”



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連続テレビ小説『虎に翼』第78回

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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