連続テレビ小説「虎に翼」 (第65回・2024/6/28) 感想
NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:Website、X(旧Twitter)、Instagram
第65回/第13週『女房は掃きだめから拾え?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
「愛のコンサート」に出演する歌手が決まり、一安心の寅子(伊藤沙莉)。花江(森田望智)は梅子(平岩紙)にある秘密を告白する。梅子の言葉から、これまで一人で頑張り過ぎていたと考えた花江は直明(三山凌輝)や子供たちに手抜きをさせてほしいと提案する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8,13週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
前回の感想で間違いがありました。
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
まず、前回の感想で誤記がありましたので、下記の通り、訂正いたしました。
村岡花子さんと三淵嘉子さんの説明での、三淵さんの生まれ年。
誤)三淵さんが昭和13年(1938)で45歳差
正)三淵さんが大正3年(1914)で21歳差
たいへん申し訳ございませんでした。
今作には、「その場限りの設定」がほとんどない
梅子「話なら聞くけど?」
ホント、丁寧に作られていると思う。
駄作の連ドラでは、ご都合主義をやらかすために、よく「その場限りの設定」を持ち出すことがある。
あとで忘れたり、利用しない「その場限りの設定」だ。
しかし、今回にはそういうのがほとんどない。
視聴者が感じる不自然さは、早めに払しょくするのが今作
このアバンタイトルでも。
まず、寅子(伊藤沙莉)は “家裁ができたばかりで人手不足” だから、梅子(平岩紙)の案件に関わることができた「設定」があった。
だから、冒頭で早々に多岐川(滝藤賢一)に呼び出されて、甘味処「竹もと」をあとにする。
これだって、3人が延々としゃべっていたら、“人手不足” が「その場限りの設定」になったわけだ。
いや、この時点でも「なぜ、この場に花江(森田望智)がいるの?」の疑問は、完全に解けてはいないのだ。
でも、寅子が画面から消えたことで、梅子と花江が二人きりになっていることの不自然さが消えた。
更に、4月18日放送の第14話で描かれた「防虫剤入りの手作り毒饅頭」のくだりも盛り込んだ。
第3週『女は三界に家なし?』のころは、はるが花江の手料理の味付けにことごとく注意し、猪爪家の嫁姑問題がじわじわと煮え始めていたのだ。
そう、ここでも薄らではあるが、先日までの「大庭家の泥沼劇場 → 嫁姑問題 → 子供たちとの意思疎通の微妙な行き違い」と重ねている。
花江「私だけ 何だか自分の役目を果たせてない」
これらによって、ほんの僅かであっても視聴者が感じる不自然さは早めに払しょくできたと思う。
当然のことでもやれないドラマが多いから、褒めたくなるのだ。
甘味処「竹もと」に、花江が同席するのが自然に見える工夫
もう一つ、「なるほどね」と思ったこと。
今作中には、いわゆる「専業主婦」の登場人物が少ない。
花江の実母・米谷信子(赤間麻里子)は東京大空襲で、義母・はる(石田ゆり子)は過労(心労)で亡くっている。
そうなると、夫を亡くし、いわゆる “ワンオペ” で家事と子育てに奮闘してきた女性となると <梅子> が最適というか。
花江が相談相手にしたいと願うのは <梅子> しかいないと思うし。
<梅子> なら、<梅子> だから、花江に寄り添って一緒に考えてくれそうだと思う。
そんな絶妙なツーショットを約1分23秒間のアバンで作り上げてしまうのだから恐れ入る。
そして、アバン最後の風鈴の音が、少し距離があった花江と梅子の間に、風通しがよくなったように聞こえたのは、考え過ぎだろうか。
「花江は道男を本当に好きなのか?」も華麗に払しょく!
メインタイトル映像明けは、更に「なぜ、この場に花江がいるの?」を払しょくしてきた。
と同時に、先日まで描かれてきて、ネット民たちが「花江は道男を本当に好きなのか?」とざわついていた案件も払しょくだ。
花江「道男君が来ると出てくるのよ。
夢に直道さんが」
直人「お父さんが?(寅子と直明の笑い声)」
花江「きっと 嫉妬しているのかもね」
これで終わっても、十分に疑念の払しょくはできているが。
回想シーン内の長男・直人(琉人)の次のセリフから泣けてくるし、猪爪家の家族愛にオッサンも涙なみだ… だ。
直人「お母さんが笑って暮らせるなら
トラちゃんが言ったみたいに
幸せをつかんでほしいなって」
この長男の言葉を聞いて、花江は、息子たちがどれだけ様々なことに悩み、乗り越え中であるのかを察する。
はるがやってくれていたことも背負って頑張った花江を見てきた私たちだからこそ。
「余計な心配かけて…」と後悔する花江の心情が、私たちにも梅子にも伝わるのでは?
私にしては少々感情移入しすぎだが、ここはこう解釈すべきだと思う。
そう捉えることで、次の梅子のセリフに、前回での “梅子の人生最大級の決断&決別” の “ドラマ” としての意味も価値も出てくると思う。
梅子「いい母なんて ならなくていいと思う。
自分が幸せじゃなきゃ
誰も幸せになんてできないのよ きっと」
梅子が、決意に「きっと」と間を空けて優しく添えるのが、演出も演技も本当に丁寧だし。
梅子のアドバイスを受け止める花江を、敢えてセリフで語らせずに、嬉しくもあり、安堵でもあり、切なくもありの心情を、<映像で見せて(show)魅せる(fascinate)> をきっちりとやったのも大いに評価したい。
寅子の背中を押すキャラクターの人選(茨田りつ子)がお見事
さて、今度は、寅子と茨田りつ子(菊地凛子)だ。
そもそも、朝ドラ『虎に翼』と『ブギウギ』は相性が良い。
前者の主人公・寅子のモデル「三淵嘉子さん」と、後者の主人公・スズ子(趣里)のモデル「笠置シヅ子さん」は、同じ大正3年(1914)生まれ。
また、今作の4月1日放送の第1回で、寅子が『ブギウギ』に登場する「梅丸少女歌劇団」の名を口にし。
6月12日の放送の第53回では、多岐川が笠置さんのヒット曲「♪東京ブギウギ」の鼻歌を聞かせ。
先日は、寅子が「福来スズ子さんなんて呼べるわけないでしょ」とのセリフもあり。
そして、前回で多岐川の同僚・久藤頼安(沢村一樹)の知り合いとして茨田りつ子が登場した。
二つの朝ドラの世界観を重ねる展開が盛り込まれていたからだ。
敢えてここで、茨田りつ子の人となり(設定)は書かないが。
子を持つ母、好きなことを職業にした女性の先輩としても、似た者同士としても、寅子と りつ子も相性が良いと思う。
更に、『ブギウギ』を見ていた人なら分かると思うが。
茨田りつ子の魅力は、なんといっても、ハッキリとした物言いだけど、人情味は人一倍厚いところだ。
二つの朝ドラの世界観が交わる「コラボ企画」として面白いのは当然だが。
寅子の背中を押すキャラクターの人選が見事だと思う。
これで、今作に、『花子とアン』の村岡花子や、『ブギウギ』のスズ子が登場しない、させない理由も大いに納得できる。
♪モンパパ、イマジナリー直道、梅子のおにぎりの秀逸な流れ
りつ子の名ゼリフで終わっても十分なのに、今作はちゃんと続きがあった。
梅子のアドバイスと、りつ子から寅子へのエールで、ちょっぴり解放された花江を描き。
「愛のコンサート」から “歌” つながりで、寅子の「♪モンパパ」への流れは抜群によくできている。
最初に「♪モンパパ」が劇中に登場した際は、まだまだ日本は男尊女卑の時代だった。
だから、「ママのほうが大きくて強いから、パパがいつもやりこめられている」風の歌詞は、刺激的に映るし、そう描かれた。
そして、新憲法の時代になり、「♪モンパパ」の歌詞の世界が現実味を帯びてきつつあると。
と同時に、‘ヒャンちゃん’こと崔香淑/汐見香子(ハ・ヨンス)を気遣う汐見圭(平埜生成)をも描き。
今回も、優三(仲野太賀)の名ゼリフに帰着させてきた。
優三「嫌なことがあったら
また こうして2人で隠れて
ちょっと 何か おいしいものを 食べましょう」
そう、梅子のおにぎりで、“トラつば・アベンジャーズ” も再びつながりつつある… と。
更に更に、「♪メソメソ泣くのは いつもパパ」の歌詞で、“イマジナリー直道” を登場させ。
優三は “イマジナリー” ではなく、音声なしの短いカット編集のキラキラ回想で登場だ。
あくまでも、描くのは「今の寅子」「自分が幸せ」であるのを徹底しているのだ。
ホント、よくできた朝ドラだ。
あとがき
昨日は朝一番で検査があったので、『ブルーモーメント』の感想の下書きだけやって病院に直行。
7時間後に診察がありましたが、往復の移動時間や昼食を考えると正味3.5時間しかなくて。
そこで、ドタバタと夜ドラ『柚木さんちの四兄弟。』と今作の感想を投稿しました。
これが、投稿が遅くなったのと、誤記の言い訳です(汗)
今回は、少し時間に余裕があるので、じっくり書いてみました。
また、誤字脱字などあると思いますが。
今週の「土曜日版」をまとめるのは難しいと思いますが、楽しみです。
朝ドラ「虎に翼」星航一(岡田将生)のモデルは“初代最高裁長官の長男”三淵乾太郎さん?渋沢栄一との遠いご縁も!
拍手コメント返信(2024/6/28):虎に翼(第65回) ※梅子の花江へのアドバイス「自分が幸せじゃなきゃ」におもうこと
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18975/
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