連続テレビ小説「虎に翼」 (第3週・土曜日版・2024/4/20) 感想と、これまでの総括
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第3週『女は三界に家なし?』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは3年生と合同で法廷劇を上演することになった。よね(土居志央梨)は涼子(桜井ユキ)が書いた法廷劇の脚本を「甘い」と批判し、寅子と言い合いになる。本番の日。女子部をからかう男子学生・小橋(名村辰)らの妨害があり、法廷劇は中止に追い込まれる。けがをしたよねを運んだ女子部一同は、よねが働きながら苦労して弁護士を目指していることを知る。かける言葉が見つからない寅子は、実際の事件を徹底的に調べようと提案する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫)
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
モノクロ仕上げの寸劇に、プロのナレーションで補強
私のブログに来てくれて、ありがとうございます。
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、私が管理人のみっきーです!
今週の「土曜日版」で一番驚いたこと。
それは、法廷劇の説明用のモノクロ仕上げの寸劇を盛り込んだ上に。
本編では寅子(伊藤沙莉)が弁士役だったのに、「土曜日版」の語り担当・山下誠一郎さんで録り直して作り込んだこと。
このほうが、圧倒的に分かりやすい(笑)
というか、今回は全体的に語りが多めだった。
それだけ、内容が詰め込まれており、要点を押さえた映像だけでは分かりにくいとの判断だろう。
これはこれで懸命な決断だ。
今回は今作を "好意的に捉えている人" のひとりとして書く
あとは、特に書くことはない(汗)
というか、私が書きたいのは、第1週から第3週、第1回から第15回の総括だ。
ってわけで、急きょ、これまでの総括をやってみたい。
これも、折角の休日にわざわざ当ブログ、私の駄文を読みに来てくださった読者様へのサービスということで読んでいただければ嬉しい限りだ。
朝ドラに限らないが、どのドラマでも賛否両論がある。
今作だって、然りである。
そして私がよく言うのは「好意的に見ている人は、それはそれで良いと思う」だ。
たまに、私が好意的に受け止めている人を揶揄していると勘違いする人がいるが、それこそ勘違いだ。
むしろ、好意的に見られる人は見たらいいし、見られない人もいることを理解すべき… と思っている。
だから、今回は『虎に翼』を “好意的に捉えている人” のひとりとして書く。
(ほんと、前置き名が長くてごめんなさい…)
朝ドラが「戦隊モノ」「アベンジャーズ」になるとは!!!
ここからが本題。
なぜ、私が『虎に翼』を “好意的に捉えている人” のひとりなのか?
それは、言わずもがな、今作を「朝ドラらしからぬ朝ドラ」として挑戦している作品だと評価しているからだ。
やはり、ここまで〔イマイチ〕が続くと、内部からは改革、外部からは後方支援しないと朝ドラは変わらないと思うから。
私が「朝ドラらしからぬ朝ドラ」と思う理由は数々あれど。
この第3週を見て、ほぼ確信したのは、前回の感想に書いたことだ。
前回の感想を未読な方は、是非ともそちらを読んでから戻ってきてほしい。
まさか、朝ドラが「戦隊モノ」「アベンジャーズ」になるとは!!!
簡潔にいえば、寅子ひとりでなく、5人の個性を発揮して “正義を取り戻し邪悪を対峙する展開” になりそうな点が、「戦隊モノ」、特に大人気の米国SF映画シリーズ『アベンジャーズ』に見えてしょうがないのだ。
ハリウッド映画流の掟について、簡単に解説
さてここで、少しだけ簡単にハリウッド映画流の掟について触れておく必要がある。
簡単に書くので、読んでいただきたい。
誤解を恐れずに簡素に書くと。
ハリウッド流の脚本術において、複数のキャラクターが組んで主人公になる場合、個々の設定について “あまり詳細をツッコんで描かない” という特性がある。
要するに、あまり一人ひとりを深掘りせず、“全体を一つの塊” として活躍することを重視する傾向だってこと。
そうする理由は、個々の設定描写にこだわり過ぎると、単純に説明の分だけ尺が長くなるし、個々の活躍を描いても尺が長くなって、観客が飽きてしまう恐れがある。
更に、ハリウッドの場合は、男性、女性、LGBTQ、白人、黒人、アジア人のように、様々境遇のキャラクターを盛り込まないと製作が許可されない。
だから、全部を説明していたら、とてつもない分量になるから省くのだ。
その半面で、バラ売りができる。
例えば『アベンジャーズ』なら、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、スパイダーマンなど、個別に主人公にした作品を作り、説明も金儲けもできる、それがハリウッドシステムだ。
これを理解すれば、『虎に翼』で私が言いたことも分かると思う。
「主人公=寅子たち5人」だから、朝ドラらしくない
そう、皆様のお見通しのとおりだ。
●世間知らずで自信家で、全てに全力の人・猪爪寅子
●男装の女性で、女性の社会進出に熱い信念を持つ山田よね(土居志央梨)
●華族のお嬢様で有名人で、成績優秀な桜川涼子(桜井ユキ)
●一番年上の同級生で、夫が弁護士、3人の息子の母親の大庭梅子(平岩紙)
●朝鮮半島からの留学生で、日本語が堪能だが差別を受ける崔香淑(ハ・ヨンス)
ほ~ら、完全に『アベンジャーズ』風なのだ。
まだまだ、付いて来てほしい(願)
これまでの朝ドラのヒロインは、自分で問題を解決して前進していくキャラクターが多かった。
朝ドラ『とと姉ちゃん』(NHK/2016年度前期)と朝ドラ『べっぴんさん』(NHK/2016年度後期)は、若干ではあるが、「ヒロインと仲間の女子たち」で世の中を変えていくストーリーだったが。
今作は「ヒロインと仲間の女子たち」とも違う。
ある意味で「主人公=寅子たち5人」だから、朝ドラらしくないのだ。
私は、これはこれで挑戦的で良いと思う。
寅子だけを特別視しないほうが、むしろ良い
もちろん、異論反論はあると思うし。
もしも、私の見立てが間違っていたとすると、「?」と思う節はいくつもあるのだ。
例えば、未だに よねが弁護士を選択した理由も、怒りの矛先も明確に描かれていない。
今週の饅頭づくりのくだりでは、それぞれの役割が強すぎて、寅子の存在感が乏しい。
これまでの私なら「もっと、主人公を主人公に見せて魅せるべき!」と豪語しただろう。
しかし、今作を『アベンジャーズ』風だと考えれば、寅子だけを特別視しないほうが、むしろ良いわけだ。
この辺は、人それぞれの解釈で良いと思う。
映画『アベンジャーズ』以上に映画『ドリーム』が似ている
最後に、「本編」の感想で一切書かなかったこと。
実は、映画『アベンジャーズ』以上に今作に似ている映画がある。
それが、以前に当ブログで紹介したアメリカの伝記映画『ドリーム』(2016)だ。
興味がある人は、下記の投稿に詳しく書いてある(ネタバレ無し)
管理人が【超おススメ】の映画『ドリーム』(NHK総合で3月12日深夜放送予定)を見ようと思われた方へ ※劇場公開時の感想あります!
簡単に説明すると。
アメリカ初の有人宇宙飛行「マーキュリー計画」を陰で支えた NASAで働く3人のアフリカ系アメリカ人の女性の活躍を、実話に基づいて描いた感動作。
女性差別、黒人差別が激しかった 1960年代の白人&男性至上主義の中で、「数学の才能がある女性」「頭がいい黒人」というだけで差別を受けつつ戦い続けて、名誉と人格と尊厳を勝ち取った話だ。
この中に、働くビルにトイレがなく台風の中をハイヒールで数10分も走るくだりもある。
戦う女性たちに興味があるなら、映画『ドリーム』と比べて見るのも面白いと思う。
あとがき
もしも、「朝ドラらしからぬ朝ドラ」に共感してくださるなら、「寛容になりましょう! 大目に見ましょう」の心で、スタッフとキャストのチャレンジ精神をもう少し見守って良いと思います。
だって、まだまだ第3週が終わっただけですから。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/18771/
【これまでの感想】
第1週『女賢しくて牛売り損なう?』
1 2 3 4 5 土
第2週『女三人寄ればかしましい?』
6 7 8 9 10 土
第3週『女は三界に家なし?』
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