連続テレビ小説「虎に翼」 (第39回・2024/5/23) 感想

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
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第39回/第8週『女冥利に尽きる?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
講演会で倒れてしまった寅子(伊藤沙莉)。雲野(塚地武雅)らは穂高(小林薫)から寅子の事情を聞き、今は子育てに専念する時だと寅子を諭す。よね(土居志央梨)の姿を追い、よねが働くカフェー「燈台」にやってきた寅子。カフェーの営業ができず、軍歌のレコードをかけて細々と営業を続けていた。妊娠を黙っていたことをわびる寅子に、よねは背を向ける。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
まえがき
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
本日(5/24)の夜空にフラワームーンが咲きます!
【満月カレンダー】2024年5月23日(木)がフラワームーン(花月)
昨日は、「多忙につき」とだけお断りしましたが、のちに多忙の理由などを書きます。
興味がある人だけ「あとがき(その2)」をお読みください。
視聴者の興味関心の引き方が今作はうまい
さて、今回のアバンタイトルについて言及してみる。
「アバンタイトル」「アバン」とは、テレビドラマや映画、アニメ番組などの映像作品において、メインタイトル映像よりも前段に視聴者や観客に提示する短いストーリーのことだ。
そもそも、アバンタイトルなんて作る必要はない。
最初にタイトルを提示して、最後まで一気に物語を描くだけで良いのだ。
でも、続きモノの場合は前回の振り返りを入れることで、話がスムーズに見えるとか。
のちの展開に、いつも以上に興味を引いてもらうために、あえてネタを撒(ま)くなんてこともやる。
今回のアバンは、後者だが、本当によくできている。
その理由は。
前回で描いた… 女性として、妊娠中の既婚者として苦境に立たされ退路を断たれた感じの寅子(伊藤沙莉)をしっかりと強調した上で。
“トラつば・アベンジャーズ” の生き残りの同士である山田よね(土居志央梨)の不穏な様子にきっちりとスポットライトを当てて、「よね、何かやりそう…」感をこれでもか! と強調してきたこと。
これで、「早く本編が見たい」になるわけだ。
やはり、視聴者の興味関心の引き方が今作はうまいと思う。
メインタイトル映像明けの意外性の創出もうまい
メインタイトル映像明けの意外性の創出もうまい。
私は、てっきり雲野弁護士事務所の廊下あたりで、よねが寅子に食って掛かるのかと野暮や憶測をやっていたが。
今作は、久し振りに寅子がよねが働くカフェー「燈台」を訪問する展開にした。
よく考えれば、アバンの最後に次の語りがあったことのを思い出した。
N「寅子は 去っていく よねを
見ることができませんでした」
でも、寅子が よねを “気に掛けない筈はない” し、よねから “逃げるはずもない” のだ。
だから、寅子が「燈台」を訪れるのは自然な流れだったのだ。
こんな心が込められた会話劇、朝ドラで見たのはいつ以来?
で、今回はカフェー「燈台」のマスター・増田(平山祐介)が気を利かせて二人だけに。
よね「いちいち悲劇のヒロインぶりやがって」
寅子「悲劇のって 私 そんなつもりじゃ…」
今作を普通に見ていれば分かることだが、今作は寅子を朝ドラでよく見かける “悲劇のヒロイン” に見えるように描いていない。
だからこそ、よねには “悲劇のヒロイン” に見えるという展開が絶妙だ。
これ、もしも、『ちむどんどん』の暢子に、『舞いあがれ!』の舞に、そして『ブギウギ』のスズ子にライバルが言い放ったら、全国のテレビの外から「あの~、悲劇のヒロインにしか見えていませんけど」の苦情の嵐になるところだ(笑)
でも今作は違うのだ。
よね「お前には 男に守ってもらう
そっちの道がお似合いだよ」
寅子「じゃあ 私は どうすればよかったの?」
よね「知るか」
ちゃんと、寅子を男尊女卑の社会の中でうまくやっていこうと模索しているのが見えるし。
よねは、よねらしいアプローチで男尊女卑の世界に立ち向かっていると描いている。
だからこそ、寅子と よねの、それぞれの悔し涙が美しいし、切ないし、意味も価値もあるものとして、劇中に存在できる。
こんな心が込められた会話劇、朝ドラで見たのはいつ以来だろうか?
寅子と よねの対比が、うまく活用されているくだり
後半は、カフェーでの よねの次のセリフを受けた展開だ。
よね「こっちの道には 二度と戻ってくんな」
寅子「言われなくても そのつもりよ」
未だ、高等試験に合格していない よねのセリフだから、寅子の致命傷になるのは当然だ。
気丈な寅子も、いい感じで表現されて。
寅子「お母さんが言っていたとおり
歩いても歩いても 地獄でしかなくて…。
私なりに頑張りました。
けれども… 降参です」
最後の「降参です」だけ、寅子が母・はる(石田ゆり子)に少しだけ微笑んで言ったのが、寅子が寅子自身を嘲笑(あざけって笑いものにすること)しているように見えるのが、なんとも苦しい…
と同時に、どこか清々しくもある…
そんな決断を下した娘の後ろ姿を、包丁の音はいつもどおりだが、唇をかみしめ溜め息をつく はるで表現。
これまでの “ウィメンズ・ファイト” を全て意味のないものにしてしまった自責の念を、箱にしまうために六法全書を手にした途端に、涙をポロポロとこぼす寅子で見せて(show)魅せ(fascinate)た。
「ホーホーホッホー、ホーホーホッホー」という鳥の鳴き声
終盤は、前段から約半年の時間経過をした「昭和18年(1943)10月3日」であることが、ラジオのアナウンスから推測できる。
いよいよ、学生が戦地に赴かないと、日本軍は戦力を維持できない状況ということだ。
下書きの時点で 12時に突入したが、多くの読者様の応援を背にして、書き続けるぞ(笑)
私が熱く語りたいのは、寅子と花江(森田望智)のやり取りの最後のほうの効果音について(細かッ!)
寅子の「これからは 私がいるから」の直後の背景音に注目、傾聴してほしい。
とても小さな音で「ホーホーホッホー、ホーホーホッホー」という鳥の鳴き声が入っている。
恐らく、キジバトの鳴き声だ。
キジバトには、古今東西いろいろな言い伝えや意味付けがある。
例えば、「つがいのキジバト」は常に一緒に行動して子育てする様子から、「夫婦円満」「家内安全」「幸福」などの象徴とされてきた。
また、日本では古くから、キジバトが家に巣を作ると「夫婦円満」「家内安全」といった幸運を招いてくれるから “縁起の良い鳥” として親しまれてもいる。
西洋では、日本でいう「おしどり夫婦」を「二羽のキジバト」と呼ぶそうだ。
そうなると、夫・直道(上川周作)が出征中の花江とキジバト、結婚したばかりの寅子に、何か案じる者を感じるというか。
効果音で「先が見たくなる」「次回が気になる」をサラリとやるのだから、すごいと思う。
ウグイスの「ホーホケキョ!」
そして、直後のシーンは、「ウグイス」で始まるわけだ。
で、設定は「昭和19年(1944)春」へ。
ウグイスの「ホーホケキョ!」は、春を告げているのではく、オスのメスへの求愛、同性への縄張り主張のために鳴いている。
それを加味すると、猪爪家の男たちが “縄張りを主張” している嘆きにも聞こえてきやしないか。
あとがき(その1)
ラストは、これまで怒りの象徴的な扱いで登場した寅子が歌う「モン・パパ」が、ついに寅子がママとして歌うカット。
今回も、相当量の情報だが、しっかりと中心に「寅子の物語」があるので不満はありません。
とにかく、徹底されているのは、寅子だけでなく全ての登場人物の心情を、変化を丁寧に描いている点です。
そして、全てのキャラが寅子に影響を受け、影響を与えている点も。
本当によくできていると思います。
下記の記事も、ご参照ください。
『虎に翼』の時代の女性運動とは? "肉食女子"名づけ親 深澤真紀さん語るラジオコラムで
あとがき(その2)
昨日は、菩提寺の「お施餓鬼会」がありました。
和尚さんは、私がイベントディレクターであることをご存じなので。
クラシック楽器の演奏のPAや写真撮影のお手伝いもやってきました。
ほぼ全ての檀家さんが私より年上なので、若い衆は現場ですね(笑)
素敵なライブ演奏や、ためになる法話を聞けて、有意義な時間を過ごしました…

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18871/