朝ドラ「虎に翼」花岡(岩田剛典)のモデルは山口良忠さん?正義感を貫いた判事の生き様!
©NHK
寅子が通った大学の同級生・花岡悟のモデルについて語るが
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
寅子(伊藤沙莉)が通った「明法大学」での同級生・花岡悟(岩田剛典)のモデルについて語ろうと思います。
恐らく、木曜日と金曜日分のネタバレになる可能性があるので、読みたくない人は速攻に離れて構いません。
ただ、私があえてネタバレになる可能性があるのに書く理由は…
私は、モデルと思われる人物の史実を知っていたほうが、“ドラマ” で描き切れない現実と、今作の花岡と寅子だから感じ取れるものがあると期待するからです。
もう一度書きますが、読みたくない人は離れてください。
また、木曜と金曜日の感想では、ドラマの内容次第にはなりますが、以下のことには触れないつもりは(今のところ)ありません…
花岡悟のモデルは、佐賀県出身の「山口良忠」という裁判官
私が調べたところでは、公式では認めていないと思われるので、私の推測の範疇であることを前提にして書いてみる。
今作中の「花岡悟」のモデルとされるのが、花岡と同じ佐賀県出身の「山口良忠」という裁判官だ。
山口さんは、大正2年(1913)11月6日に、佐賀県杵島郡(きしまぐん)白石で、石町「八坂神社」の宮司で小学校教員だった父・良吾(りょうご),母・クマの長男として誕生。
因みに、寅子のモデルである「武藤嘉子」は、大将3年(1914)11月13日生まれだから、ちょうど山口さんが1歳上ということになる。
山口さんは「旧制佐賀高等学校」卒業後、「京都帝国大学 大学院」に進み、高等文官試験司法科に合格。
25才で「司法官試補」、27才で「甲府地方裁判所」に着任し判事(裁判官)として任官された。
「経済事犯専任判事」の仕事で、山口さんの運命が狂い出す
山口さんの運命の歯車が狂い出すのは、「経済事犯専任判事」に任命されたことだ。
「経済事犯専任判事」としての山口さんの主な仕事が、闇米などの不法所持者を『食糧管理法』違反で処罰することだったのだ。
当時の日本が敗戦直後で、深刻な食糧難だったことは、今作でも先日描かれたばかりだ。
恐らく現実はドラマよりも厳しく、国から配給される食糧で庶民の胃袋が満たされるはずはなかった。
そんな庶民が頼りにしたのが、闇市などで売買されていた食料を含めた生活必需品の数々。
その中でも、人々が “違法” だと分かっていても手を出して買い求めたのが「闇(ヤミ)米」だった、
「闇米を食べている自分が、罪人を裁く資格があるのか?」
そこで、正義感溢れる山口さんの苦悩が始まるのだ。
「闇米を食べている自分が、闇米不法所持者を裁く資格があるのか?」と。
そして昭和21年(1946)10月、山口さんは一切の闇米を食べない選択をする。
因みに昭和21年は、武藤嘉子さんが司法省で仕事を始めた年。
従って、今作とリンクさせるなら、今回(第48回)で再会した際には、既に闇米を食べなくなって半年がたっていることになる。
山口さんは、配給されたもののほとんどを二人の子どもたちに与て、自分たち夫婦は汁だけのような粥をすする程度の食生活だったと。
某朝ドラで描かれように自宅でイモ類を栽培する人もいたが。
炭水化物が多くビタミン類が少なかったため、当時は栄養失調が原因の病気が多かったのもご存じだと思う。
仕事を最優先した山口さんは十分な療養もせず仕事を続け…
仕事を続けることを最優先した山口さんは、十分な療養もせず仕事を続けた。
しかし、闇米を食べない選択をしてから一年たたずの昭和22年(1947)8月27日、地裁の階段で倒れてしまう。
これを機に、同年9月1日に最後の判決を書き、故郷の佐賀に帰郷し療養をはじめるが、時すでに遅く、10月11日に栄養失調による初期の肺結核で、33歳の若さで亡くなった…
山口さんの死は、11月4日の朝日新聞に掲載され、当時話題になったという。
詳しくは下記のリンクに、写真や新聞記事が掲載されているので、参考にされたい。
※故人の顔写真等の引用はしません。
山口良忠【白石の至誠人・判事】(2022.03.08) | 佐賀を駆け抜けた風
山口さんの死に関して、きちんと書いて伝えておくべき事
さて、山口さんの死に関して、きちんと書いて伝えておくべき事柄がある。
一つは、山口さんの死を理由に「食糧管理法なんて、そもそも守れない法律だ」という反対論が高まったこと。
二つめは、「食管法を守って死ぬなんて馬鹿正直すぎる」との卑下する論調や、当時の首相夫人が「妻の努力不足」と責める論調まであったこと。
三つめは特に重要で、山口さんが闇米を食べなかったのは「経済事犯専任判事」時代だけで、静養中は配給品以外の食べ物も食べ、治療を行っていたということ。
要するに、あくまでも判事として、犯罪者と同じことをやっていては示しがつかない、職務を全うしたい、その一心だったということは覚えておいてほしいのだ。
あとがき
山口さんの訃報に驚愕した著名人の中に、大橋鎮子(おおはし しずこ)さんがいます。
大橋さんは、家庭向け総合生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者の一人で。
NHK朝ドラ『とと姉ちゃん』のヒロイン、小橋常子のモデルとなった人物でもあります。
大橋さんは、自分の家で採れた4、50個の卵を集め、当時の最高裁判所の最高裁長官だった三淵忠彦(三淵嘉子さんの夫の父親)に手渡したとの記録があります。
その卵によって、病欠していた裁判官たちの命を救ったとのことです。
様々な朝ドラがつながっているというわけですね。
この史実を知ると、今作がどのように史実をアレンジし、ドラマに落とし込んでいるのか、作家性が見えてくると思います。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18911/
【これまでの感想】
第1週『女賢しくて牛売り損なう?』
1 2 3 4 5 土
第2週『女三人寄ればかしましい?』
6 7 8 9 10 土
第3週『女は三界に家なし?』
11 12 13 14 15 土
朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由
第4週『屈み女に反り男?』
16 17 18 19 20 土
第5週『朝雨は女の腕まくり?』
21 22 23 24 25 土
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 30 土
第7週『女の心は猫の目?』
31 32 33 34 35 土
第8週『女冥利に尽きる?』
36 37 38 39 40 土
第9週『男は度胸、女は愛嬌?』
41 42 43 44 45 土
納得!「虎に翼」の演出語る「マーベル映画を意識」やはり“トラつば・アベンジャーズ”は正解だった…?
第10週『女の知恵は鼻の先?』
46 47 48
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