連続テレビ小説「虎に翼」 (第11回・2024/4/15) 感想

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:Website、X(旧Twitter)、Instagram
第11回/第3週『女は三界に家なし?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(安藤輪子)と法廷劇を上演することになる。演目は実際の判例を元にした「毒まんじゅう事件」。脚本は涼子(桜井ユキ)が担当。よね(土居志央梨)でさえ、居場所を守るために参加すると言い、喜ぶ寅子。準備のため寅子の家に集まって衣装制作を行うことに。しかし花江(森田望智)は浮かない顔で―。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫)
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
冒頭の「昭和八年 1933」のテロップがさり気なく良し…
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
冒頭の「昭和八年 1933」のテロップがさり気なく良し…
朝ドラの年代表記は「昭和8年(1933)」みたいに数字は漢数字を使わないことが多いからだ。
文字のデザインも和暦と西暦をクロスするなど、面白いアイデアで始まった第3週の月曜日だ。
昨夜放送されたドラマ『アンチヒーロー』にドラマ『ハヤブサ消防団』(TBS/2023)でハヤブサ地区の謎の住人・山原浩喜で存在感を見せた一ノ瀬ワタルさんが出演されていた影響もあって。
第3週目になっても、明律大学における寅子(伊藤沙莉)の先輩であり、女子部一期生のリーダー的存在・久保田聡子を演じる小林涼子さんが、‘聖母アビゲイル’として神聖視され続けた山原展子に見えてしまうのだが(笑)
思えば、朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK/2022年度後期)でも最後まで‘ビズリーチ’に見えた出演者もいたが…
ドラマ『生理のおじさんとその娘』演出・橋本万葉氏に交代
本編の感想だ。
今回は、序盤で「プール帰りの濡れ髪の寅子」「寅子の着替え」「ボサボサ髪の寝起きな寅子」などが盛り込まれた。
そして、次の語りだ。
N「寅子は お月のもの
つまり 月経が少々 人より重めでした」
なるほど。
今週の演出担当は、男性の梛川善郎氏から、女性の橋本万葉氏に交代した。
敢えて性別を記したのは、男女差別でも女性蔑視軽視でもない。
橋本万葉氏は、子育て中の女性演出家としての個性で作品を生み出している人なのだ。
下記に、橋本氏のインタビュー記事があるので、興味があったら読んでほしい。
生理×男性の組み合わせが話題! NHK特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』演出・橋本万葉さんの挑戦 フェムテック tv
橋本氏が、育児休暇中にジェンダーギャップを問題視した「女性を応援するドラマを作ろう」と考えたのが、NHK特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』の企画だ。
内容は詳しく書かないが、シングルファーザーの中年男性が高校生の娘との “生理に関するトラブル” を描いたホームコメディだ。
女性軽視の時代の女性を、令和の女性演出家が描く意味
ドラマ『生理のおじさんとその娘』を手掛けた演出家らしい演出だと思う。
昨今は、何かと “女性らしさ” を強調すると、あちこちから「不適切だ」と突っ込まれる時代だ。
しかし、今週の『虎に翼』を見ていると、“女性らしさ” も適材適所で使うことで、「寛容になりましょう」「大目に見ましょう」であると描いているようにも見えるし感じる。
『虎に翼』は女性軽視の時代に女性の地位や尊厳や価値を主張した女性たちの歴史の物語。
従って、“らしさ” を避けて描くことのほうが、私は不自然、不適切に感じてしまうのだ。
第3週『女は三界に家なし?』の演出担当に相応しい人選になると期待したい。
劇中に「どんまい」が登場したが、当時あったのか?
別に偉そうにいうつもりはなくて、以前に私自身が気になって調べたことを書いてみる。
中盤の猪爪家の朝食シーンで、寅子の兄・直道(上川周作)が、落ち込む猪爪家に下宿する書生・優三(仲野太賀)に次のように言って励ました。
直道「分かるよ… どんまい」
字幕放送では、平仮名表記で「どんまい」。
この「どんまい」って、いつからあるの?
「どんまい/ドンマイ」は、英語の「don't mind」が変化した和製英語で。
1930年より前に、英語圏の人たちがスポーツ中に自分を鼓舞する際に言った「don't mind」を、当時の日本人が「ガンバレ!」的な励ましの言葉と間違って広めたのがはじまり。
英語の「don't mind」の意味は「気にしないで、構わない」で、緊張した選手が自分を落ち着かせるために言った言葉だったのだ。
因みに、励ましの英語は「Don't worry.」「Cheer up!」など。
前置きが長くなったが、直道が 1933年に「どんまい」と励ますのは、時代的に正しい表現だ(どんまい!)
寅子が"カツベン"で魅せる再現ドラマに驚いた
それにしても…
「寅子の頭の中のイメージ映像です」とは驚きだ。
当初から、尾野真千子さんによる “語り” の歯切れの良さ、映像との見事なシンクロなど、俗にいう「カツベン(活弁)」に似ていると思っていた。
カツベン(活弁)は「活動弁士」の略で、音のない無声映画の上映時に、語りの専門家がそれぞれの解釈と演技ですべての登場人物の声を担当しつつ、説明などのナレーション担当のこと。
今回は、その「カツベン」と主人公の寅子が演じるという、捻った構成だ。
というか、脚本・吉田恵里香氏の知的な遊び心が成した業だ。
分かりやすい上に、リーガルドラマなのにホームドラマの要素も加わるいいアイデアだ。
先週の法廷シーンはテロップと語りの説明だけだったが。
今後は、法廷シーンでも「再現ビデオ」的に <猪爪家のモノクロ映画風の寸劇> を入れるのも面白いと思う。
ことわざ「女は三界に家なし」とはどういう意味か?
流石に「まだ第3週」で、月曜日分の情報では今週の展開すら見えてこない。
が、今週のサブタイトルを考えると、少し見えてくるものがある。
サブタイトルに引用されていることわざ「女は三界に家なし」とはどういう意味か?
幼少期は親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従わなければならないという状況を、広い世界であっても、女性に安住の地はないということを表したことわざだ。
従って、今回の「毒まんじゅう事件」と、猪爪家の嫁姑問題が、どう絡んでくるのかが見どころだろう。
今のところは、重なる部分は見えていないが。
その二つの接着剤的な存在が、よね(土居志央梨)の出自や現状だったら、うまくくっつくと思う。
期待したい。
あとがき
今回登場した「毒まんじゅう事件」の元ネタは、恐らく 1939年に兵庫県神戸市でチフス菌入りの饅頭が医師宅に送られ、食べた 12人がチフスに感染し、うち1名が死亡した事件で、犯人は女医だった「チフス饅頭事件」です。
時期的にはずれていますが、チフス菌を毒に差し替えて改変したと思われます。
こうして、オリジナルストーリーでも、実際の事件を模して盛り込むのはリアリティーが出て良いと思います。
今週も、朝ドラ『虎に翼』を見守りつつ応援します。
みっきーの植物図鑑(第218回)
ついに、千葉県北西部も桜が散り始めてしまいました。
昨日、妻と近所にお花見に行ったら、なんとサクラがツバキの花と同時に咲いていました。

例年なら、サクラとツバキは入れ替えなんですけどね。

来年も、きれいな花を咲かせて、心を癒してほしいです…
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第1週 Kindle版
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