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連続テレビ小説「虎に翼」 (第4週・土曜日版・2024/4/27) 感想

連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第4週『屈み女に反り男?』「土曜日版」の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


本科と呼ばれる法学部に進学した寅子(伊藤沙莉)たち。法改正が行われ、女子も正式に弁護士になるための試験を受けられるようになったことで、気合いが入っていた。本科では花岡悟(岩田剛典)らが待ち受けていたが、意外にも寅子たちに好意的。親睦を深めようと皆でハイキングに行くことになる。梅子(平岩紙)は息子・光三郎(石塚陸翔)を連れてきたが、小橋(名村辰)らが光三郎の前で梅子の夫にめかけがいることを話してしまう。梅子の事情が明らかになる一方、花岡は山道で崖から転落。見舞いに行った寅子は花岡の本当の姿を知る。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

感想の趣旨について
  当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
  作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。



原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫)
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



ダイジェスト版と分かっていても、正直物足りないのは嬉しい悲鳴

私のブログに来てくれて、ありがとうございます。
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、私が管理人のみっきーです!

「本編」を見ているときは、強く意識することはなかったが、「土曜日版」を見て再確認したのは。

アニメ『サザエさん』のエンディング風にいうと。

今週の『虎に翼』は…
 「花岡君が崖っぷち」
 「梅子の子守歌」
 「もてる寅子はつらいよ!」
 「花岡家の一大事」
の4本です(笑)

こんな感じではなかっただろうか。

とにかく、「本編」がテンコ盛りな上に、無駄なくキッチリと作り込まれていたため、ダイジェスト版と分かっていても、正直物足りない

もちろん、これは嬉しい悲鳴であり、是非とも “土曜日版だけ” 連休中に見逃し配信で「本編」を見てほしい

NHKプラス「虎に翼」 新窓で開きます

とても的確な取捨選択ができている「土曜日版」の編集

さて、徹底的に必要最小限の部分のみ残された「土曜日版」だが。

やはり、削れなかったのは、次の花岡悟(岩田剛典)のセリフだ。

花岡「こんな人間になるはずじゃなかったのに」
梅子「えっ?」
花岡「カフェでチヤホヤされたくらいで
 調子に乗って浮かれたり
 仲間に なめられたくなくて
 わざと女性をぞんざいに扱ったり
 (帝大生に引け目を感じたり。)
 皆さんを尊敬しているのに
 無駄に かっこつけたり
 将来の数少ない椅子を奪われるようで
 妬ましくて 恐ろしく思ってしまったり。
 どの自分も嫌いで どれも偽者というか
 本当の俺じゃなくて…」

しかし、上記のように本編(木曜日分)から「帝大生に引け目を感じたり。」だけカットされていた。

確かに、この「土曜日版」では梅子(平岩紙)の夫・大庭徹男(飯田基祐)と、梅子と徹男の長男・徹太(見津 賢)が帝大生であることや、梅子が明律大学を選んだ理由が見えていない

もちろん、先週の「土曜日版」を見ていれば、少しは分かるが。

きっと、ここは、花岡の男性としての女性に対する本音を強調するために削除したのだろう。

とても的確な取捨選択ができていると思う。

そして、視聴者に対して、妙な印象付け、印象操作を微塵も感じない手堅い編集を大いに評価したい。


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脚本、演出、演技はまさしく三位一体

次は「本編」の感想で触れなかったこと。

第1週目から、今作の尾野真千子さんによる “語り” がとても魅力的で。

ただの解説や説明を超越して、 “ドラマ” としてのテンポづくりや相乗効果を狙っていることは書いてきた。

それがよ~く分かったのが、花岡から告白されて「はて?」になって屋外を歩く寅子の場面だ。

N「今の どういう意味?」
寅子「はて?」
N「君のことばかり…」
寅子「考えてしまう…」
N「君のことばかり…」
寅子「考えてしまう…」

まるで、寅子が “語り” と掛け合い漫才をやっているようだ。

その上、尾野真千子さんが絶妙な感じで語り掛けると同時、都度都度言い回しを変えるから、面白さが増すと同時に、次に待ち受ける悲劇とのギャップも作れる。

この辺の脚本、演出、演技はまさしく三位一体だと思う。

男女の対立構造だけを強調するような稚拙な物語ではない

さて、「本編」がとても良くできているし、「土曜日版」もしっかりダイジェスト版になっているから、他に書くことはない。

しかし、折角、大型連休の初日に、こんな駄ブログを読みに来てくださった読者様に、ここ最近の『虎に翼』への(私は偏見だと思う)違和感ある捉え方に言及したい。

それは、『虎に翼』がフェミニズムを推すドラマ、フェミニストを強調する脚本や演出だとする意見だ。

確かに、表面的な部分を、一定の先入観を抱いて視聴すれば、そういう捉え方になるとは思う。

でも、「何を描いて、何を伝えたいのだろう?」という視点で見れば、あながち “そう” は見えないと思う。

例えば、今作の第1回のファーストシーンは、日本国憲法の第14条を寅子が新聞で読む場面だった。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

性差(性別の違い)を含めた、あらゆる要素の不平や差別への怒りの反逆であり、多様性の尊重と、他社へのリスペクトが何よりも大切で重要であると、果敢に描こうとしていると思うのだ。

このことからも分かるのは、今作が男女差別の歴史だけを描く物語ではない… ということであり。

男性と女性の対立構造だけを強調するような稚拙な物語にもなっていないのは、この第4週を見ても分かることだ。

まあ、令和6年のフェミニズムは、「女性への不当な扱いや不利益はやめましょう」から「性別にかかわらず誰もが平等に生きられる社会にしましょう」に進んでいるから、その視点で見ると、やや「男性を悪者に描きすぎ」と見えるかもしれない。

性別にかかわらず誰もが平等に生きられる社会にしましょう

ただ、第10回(4/12)で、寅子は法律を次のように解釈していると描かれた。

寅子「私はね 法は弱い人を守るもの。
 盾とか 傘とか 温かい毛布とか
 そういうものだと思う」

私はおもう。

法律は女性を守るものだ限定しなかったのは、今作が男女平等を目指す主人公を描くドラマではないからだと思う。

先述した「性別にかかわらず誰もが平等に生きられる社会にしましょう」を描くドラマを目指していると思う。

ただ、描いている時代が時代だから、どうしても「女性への不当な扱いや不利益はやめましょう」として見えてしまう人もいると思う。

この辺は、まだ、男女差別が色濃かった法曹界に道を切り開く “夜明け前” 的な “今現在” だからやむを得ないかも?

もう少し、物語が進んで主人公が法律家になれば、違って見える可能性はある。

寅子のモデルである故・三淵嘉子さんは「女性であるという自覚より人間であるという自覚の下に生きてきた」との言葉を残した人だ。

脚本担当の吉田恵里香氏(36)は、2年前の夜ドラ『恋せぬふたり』(NHK/2022)で、性的マイノリティのひとつであるアロマンティック・アセクシュアル(恋愛感情も性的欲求も持たない人たち)を、徹底的に取材して果敢に攻めたドラマを書いた人だ。

だから、今作も三淵嘉子さんの信念を寅子に憑依させて、攻めるドラマを書くと期待している。

あとがき

放送が始まって1か月たちましたが、意外と良いと思うことがいくつかあります。

最近の朝ドラにしては、作り手側からの宣伝や印象操作、過剰な後方支援が少ないこと。

無声映画風の再現ビデオや、登場人物と語りの掛け合い、人物紹介のカード型のテロップなど、個性的な演出が多いこと。

そうそう、つい安易にやりがちな「手振れカメラ」も、ほぼ無いですね。

そして、久し振りの「はて?」「スンッ」などの流行語になりそうなキャッチなセリフです。

これからも「朝ドラらしからぬ朝ドラ」を突き進んでほしいです。

みっきーの植物図鑑(第226回)

昨年の4月22日にも『らんまん』の際にご紹介した「ダッチアイリス」です。

近所の遊歩道で先日から咲き始めました。

ダッチアイリス

「アヤメ」に似ていますが、アヤメ科/アヤメ属の「ダッチアイリス」で、和名が「オランダアヤメ」。

アヤメは一般的に東アジア原産ですが、オランダで品種改良された球根で育つので「オランダアヤメ」の和名だそう。

ダッチアイリス の花言葉は「和解」「吉報」「私はあなたにすべてを賭ける」だそう。

仲直りするときに、良さそうですね。

すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう?』
1 2 3 4 5  
第2週『女三人寄ればかしましい?』
6 7 8 9 10  
第3週『女は三界に家なし?』
11 12 13 14 15  

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 新窓で開きます

第4週『屈み女に反り男?』
16 17 18 19 20 

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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