連続テレビ小説「虎に翼」 (第25回・2024/5/3) 感想

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
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第25回/第5週『朝雨は女の腕まくり?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
昭和11年12月。一年半に及んだ直言(岡部たかし)の「共亜事件」がいよいよ結審の日を迎えた。寅子(伊藤沙莉)とはる(石田ゆり子)は傍聴席から直言を見守り、法廷の外では優三(仲野太賀)やよね(土居志央梨)たちが待っていた。裁判長の武井(平田広明)が言い渡した判決は―。判決後、穂高(小林薫)は桂場(松山ケンイチ)と酒を酌み交わし、判決文に込められた思いを絶賛する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
画面ので登場人物がどちらを向くかには様々な意味がある
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
「また、まだ、書くの?」と思われる読者様もいらっしゃると思うが。
今回がお初の方もいるし、今回では大切なことだから書いてみる。
映像制作において、数々の「映像の掟」がある。
簡単にいうと、古今東西のクリエイターたち培ってきた映像を作る際に気をつけると良いこと… のことだ。
その一つが、『画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある』だ。
是非とも、初耳、初見の人は下記の投稿を読んでいただきたい。
[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~
簡潔に説明すると、「画面の中の登場人物がどちらを向くかによって、様々は意味を持つ」ということだ。
寅子や母はるたちの顔の向きに注目してみると…
で、今回のアバンタイトルに話をリンクさせる。
ファーストカットの寅子(伊藤沙莉)をはじめ、裁判長らが横並びのカットまでが、ほぼ全員 “真正面向き” のカットだった。
このことは、恐らく <全員が中立の立場> <運に点を任せる人たち> 的な意味合いだと思う。
でも、アバンのラスト直前のツーカットの寅子は、下手(しもて:画面左)向き、上手(かみて:画面右)向きと続く。
ここに「映像の掟」があるのだ。
この2カットまでの寅子は法律家の端くれとして “中立” だけど。
母・はる(石田ゆり子)と横並びのときは「絶望感や敗北感」をやや感じている感じで。
母の手を握った直後、はるからパワーを授かったかのように、「希望や勝利」を感じている “目つき(視線)”になっていたのだ。
そう、こういうのが「映像の掟」に準じた王道の演出ってことなのだ。
これを一度覚えると、いろいろな場面に利用されていることが分かると思う。
判決を聞く直言の顔の向きにも注目すると…
メインタイトル映像明け、上記のお勉強をした人なら、直言(岡部たかし)のどアップが、完全な上手(かみて:画面右)向きで撮影した演出家の意図にピンときたと思う。
直言の顔側にメガネの男性がいて、後頭部側にはランプの空間。
この演出で、不安な気持ちを表す下手(しもて:画面左)には光が当たり。
安心な感情を表す上手(かみて:画面右)には味方がいて心強いと表現している。
更に、直言が完全に右向きなことで、上記の二つをより強調している演出になっているのだ。
ほんと、休日の朝からお勉強させて申し訳ないが「憲法記念日」に免じて? お許し願いたい(笑)
序盤の5分間はほのぼの系で良いし、きれいにまとめた
前回を丸々使って、公判を描き切ったことが本当に良かったと思う。
今回はサクッと判決文の読み上げだけにし、法廷の外の優三(仲野太賀)や山田よね(土居志央梨)たち “トラつば・アベンジャーズ” の歓喜を盛り込んで、一年半に及んだ「共亜事件」が終わった。
タイトル映像を差し引けば、結審の日は実質2分半くらいの短さだが、重要なのは「共亜事件」の結末を丁寧に描くことでないと思う。
直言「お前がいたから こうして みんなと また
食事を心の底から楽しむことができる」
これこそが、第21回(4/29・月)で穂高(小林薫)の次のセリフの、みんなの大好物である回収だ(笑)
穂高「君にしかできないことがある」
家族、父のおかげで明律大に入学した娘、法律を学ぶ者としての主人公の位置づけが、しっかりと描かれた。
おまけに、生粋の‘傍聴マニア’の笹山(田中要次)が「笹寿司」の主人であり寿司職人である設定も、華麗な包丁さばきで回収(笑)
更に更に、無罪確定は、検察官・日和田(堀部圭亮)の “扇子” を握り締める音で締めくくり。
ここ数日、緊張の連続だった今作だから、序盤の5分間はほのぼの系で良いし、そして、きれいにまとめたと思う。
映画『春は淑女から』は『淑女は何を忘れたか』から発想?
夫婦の微笑ましいシーンに、茶々を入れてみる。
直言がはるに手渡した映画のチケットの作品名が『春は淑女から』だ。
私の知る限り、劇中の当時、昭和11年(1936)12月に、『春は淑女から』という作品は劇場公開されていない。
しかし、この映画大好きオッサンがピンときたのが、翌年の昭和12年(1937)3月3日に公開された、小津安二郎監督の『淑女は何を忘れたか』(松竹)だ。
山の手の高級住宅地に住む大学教授の家に、大阪からやってきた元気いっぱいの姪っ子がやってきて、家族ら周囲の人たちとの誤解や仲直りをただただ描くソフィスティケイテッド・コメディ(男女の都会的でお洒落な会話劇で進む軽妙な喜劇)だ。
まさか、映画『淑女は何を忘れたか』からインスパイアされたとは思わないが。
ちょっぴりハイソな家庭の男女の小洒落で粋なコメディという点は、『虎に翼』との共通点があるように感じた… 次第である。
でも、よくよく考えてみると、どことなく小津ワールドの匂いもしてくるような。
"今作のプロローグ"的な1か月分の総まとめとしていい感じ
「はて?」ではなくて、「さて」。
ラスト5分、いや3分間が、ある意味で、これまで描いてきた “今作のプロローグ” 的な1か月分の総まとめといっていい感じだ。
例の甘味処で再会した寅子と桂場(松山ケンイチ)のやり取りが、プロローグの集大成である、来週から始まる「本編」のテーマにもなっていたと思う。
寅子「法律は
道具のように使うものじゃなくて
何と言うか
法律自体が守るものというか…。
例えるならば きれいなお水が
湧き出ている場所というか」
桂場「水源のことか?」
寅子「はい。私たちは きれいなお水に
変な色を混ぜられたり
汚されたりしないように
守らなきゃいけない。
きれいなお水を
正しい場所に導かなきゃいけない」
寅子なりの “法の定義” を提示した上で。
桂場からのひと言に「本編」のテーマが見えたような。
桂場「君は裁判官になりたいのか?
(中略)ご婦人は裁判官になれなかったね」
寅子のモデルとなっている「三淵嘉子」は、日本初の女性弁護士の一人であり、初の女性判事および家庭裁判所長になった人。
目標のために、戦前戦中戦後を通して、男尊女卑の社会で多くの苦境を乗り越えた女性だ。
このことで、寅子の進む道、今作がドラマとして進む方向性を明確に提示した。
しかし、それらのことに「はて?」と気づかない寅子が印象的なラストカット。
今週も、「先が見たくなる朝ドラ」「続きが気になる連ドラ」として安定感抜群だった。
あとがき
事実どおりに、桂場が考えた判決文が素晴らしかったですね。
今週のサブタイトルは『朝雨は女の腕まくり?』。
「朝雨は女の腕まくり」とは、女性が腕まくりしていくら力んで見せても、すぐにへたばってしまう… の意味。
そこに「?」を付け加えたことで、「寅子は頑張って疲弊しちゃうの?」ですね。
うまいタイトルを付けたと思います。
次週は、 “トラつば・アベンジャーズ” がたくさん見られそうで楽しみです。
最後に。
お名前は分かりませんが、前回、拍手コメントで過去の感想のリンク間違いを教えて下さった読者様、ありがとうございました。
この場をお借りして、御礼申し上げます。
みっきーの翼(第6回)
昨日、天気が良かったので妻の帽子を洗濯して干しました。
すると、あるドラマのワンシーンを思い出して、ウインドチャイムをぶら下げてみましたよ。

何のドラマだと思いますか?
私たち夫婦が大好きで。何度も見て元気をもらう作品です。
ヒントは、「美智恵さんのぼーし」。
答えは明日に…
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18810/
【これまでの感想】
第1週『女賢しくて牛売り損なう?』
1 2 3 4 5 土
第2週『女三人寄ればかしましい?』
6 7 8 9 10 土
第3週『女は三界に家なし?』
11 12 13 14 15 土
朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由
第4週『屈み女に反り男?』
16 17 18 19 20 土
第5週『朝雨は女の腕まくり?』
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