連続テレビ小説「虎に翼」 (第56回・2024/6/17) 感想

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
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第56回/第12週『家に女房なきは火のない炉のごとし?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
昭和24年1月、ついに家庭裁判所が発足。多岐川(滝藤賢一)は寅子(伊藤沙莉)たちに家裁の「五つの性格」について聞かせる。設立記念のパーティーの後、寅子は最高裁長官の星朋彦(平田満)から新たな辞令を受ける。これまでの仕事に加え、東京家庭裁判所判事補を兼務することになった寅子。念願の「裁判官」として、寅子の新しい仕事が始まる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
『家に女房なきは火のない炉のごとし?』の意味は?
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
先週は、花岡悟(岩田剛典)の急逝と、チョビヒゲの多岐川(滝藤賢一)のコント集で、ついサブタイトルに言及するのを忘れてしまった。
そこで、今週は忘れないうちにやっておく。
第12週の副題は『家に女房なきは火のない炉のごとし?』だ。
「家」にまつわることわざは意外とたくさんある。
人ひとりが占める面積を「起きて半畳寝て一畳」、行きにくい家を「敷居が高い」、秘密裏に利益を独占することを「雪隠で饅頭」、視野が狭いことを「井の中の蛙大海を知らず」あたりは、ご存じでは?
また、屋根を修理すると雨漏りの心配がなくなって家にいる時間が増えて太ってしまい、畳を交換すると汚したくないから身体を動かして痩せるという、真逆の結果がでることを「屋根替えすれば肥える畳替えすれば痩(や)せる」もある。
そして、今週の『家に女房なきは火のない炉のごとし?』は、家に主婦がいないというのは、大事なものが欠けていることになり寂しい… の意味だ。ということ。
「家に女房のなきは梁のなきと同じ」も同義のことわざで、昔から家には主婦が必要だと考えられていたことを表している。
そこに、「?(クエスチョンマーク)」が付いているから、「今も主婦は家にずっといなくちゃいけないの?」そんな意味かもしれない。
タッキーの"おうちDE水行"のクセが強すぎる(笑)
アバンタイトルから、アクセル全開だ。
尾野真千子さんの語りが “アニメ声” ならぬ “タッキー声色” で電報の朗読。
そのまま、寅子(伊藤沙莉)は多岐川(滝藤賢一)のもとへ直行。
最近はサウナブームも衰退気味だが、自宅でととのう「おうちDEサウナ」が話題になったのを思い出した。
でも、こちらは「おうちDE水行」だ。
正月、三が日に、男性上司が女性の部下を自宅に呼んで、裸にエプロンなら裸にフンドシで、強制的に趣味に付き合わせた。
NHK『クローズアップ現代』がある時代だったら、即刻「裁判官が部下にセクハラとパワハラ」と特集を組む案件だ。
まあ、寅子が多岐川の態度を不快に思わなければ、ハラスメントは成立しないわけだが。
それにしても、先週の月曜日は花岡の急死ではじまり、今週は多岐川の「おうちDE水行」って、温度差、落差がありすぎる(笑)
多岐川が高らかに宣言したのが【五大基本性格】
メインタイトル明けは、昭和24年(1949)1月4日の仕事始めの「家庭裁判所 開所記念式典」の会場。
そこで、多岐川が高らかに宣言したのが【五大基本性格】だ。
●独立的性格
●民主的性格
●科学的性格
●教育的性格
●社会的性格
私も人のことは言えないが。
如何にも多岐川は、こういうサマリー(要約や要点)を箇条書きにして決めつけるのが大好きそうなキャラクターだ。
因みに、心理学においては、1990年代にルイス・R・ゴールドバーグという心理学者が提唱した、人間の性格を5つの基本的な因子で説明しようとする心理学の理論「ビックファイブ理論」がある。
その場合、人の性格は「外向性」「誠実性」「調和性」「開放性」「神経質的傾向」の5つの因子から成り立つとされている。
ビッグ・ファイブ理論の性格5要素とは?心理学を人事業務に活用する - 人事担当者のためのミツカリ公式ブログ
くせ者キャラたちの中でも寅子を際立たせる脚本のうまさ
さて、先週チラッと登場したままだった最高裁長官の星朋彦(平田満)が登場し、寅子に新たな辞令を出す。
星「君には 東京家庭裁判所判事補。
兼 最高裁判所 家庭局事務官として
今日から頑張ってもらう」
語り「寅子は ついに
裁判官になることができたのです」
先日も書いたが、基本的に今作は「公務員のサクセスストーリー」だから、沖縄にお店を開くとか、車が空を飛ぶとか、図鑑が完成するとか、歌が大ヒットするような、努力が実った結果でド派手な成功が待っているわけではないのだ。
昇進試験を受けて合格、上司から辞令が下りるとか、どちらかというと、成功が受動的に舞い降りる感じなのだ。
従って、受け身的に頂戴した成功で、ドラマチックな展開にするのは、少々難しい。
だから、桂場(松山ケンイチ)や久藤(沢村一樹)、少年審判所所長・壇(ドンペイ)や家事審判所所長・ 浦野(野添義弘 )、そして多岐川のような濃いめのキャラクターが必要なのだ。
決して、寅子も、伊藤沙莉さんも、同年代の中ではクセが強いのに薄味に感じてしまうのは、しょうがないし。
そう見えてしまうから、「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」の3つが連携していることを強調することで、“3つの世界の中心に寅子がいる” をしっかり表現しているわけだ。
その表れが次の星のセリフにも見てとれる。
星「くせ者3人に引けを取らない
くせ者の君ならば
きっと
ねじ曲がってしまった子供たちと
立派に対峙してくれるだろう」
ここでスルメではなくお節介を焼くと、字幕では「くせ者」となっていたが。
よく難読漢字クイズでは「曲者」と書いて「クセモノ」と読ませる問題が出るが、「常用漢字の主な表外読み」に該当するため、放送では使わない(従って、当ブログでも使わない)。
元々は「心の曲がった者」を意味を表す漢字で使用していたが。時代の変遷で「ひと癖あって、したたかな人物」の意味に転じて「癖者」になり、それでは本来の意味とは違うため「くせ者」が一般的になっているようだ。
そう、こういう私のような人間を「くせ者」と呼ぶのだ(笑)
で、脚本家の吉田恵里香氏は、「くせ者」に「曲がる」の意味があるから、「ねじ曲がってしまった」とリンクさせている。
この辺の吉田氏のセリフやト書きに込めた繊細な意味合いや含みは、毎週購入しているシナリオを読むと分かるから、是非とも読者の皆様にも一読をおすすめしたい。
放送中の朝ドラのシナリオを読める機会なんて、貴重な体験だと思うから。
家庭局の面々が視察で上野を訪れる場面が屋外撮影か?
先に進めよう。
中盤で、家庭局の面々が視察のために上野を訪れた。
この類のシーンは、特に朝ドラでは屋内スタジオ撮影で代替えするケースが多い。
しかし今回は、オープンセット、屋外撮影に見えた(未確認情報)。
おかげで、スタジオセット内では醸し出せない奥行き感に加え、埃っぽさや煙たさ、蒸しパンやスルメ、靴磨きの靴墨の匂い、子供たちの体臭まで感じ取ることができた。
また、子役を大勢出演させるのも大変だったと思う。
でも、その労力の分以上のものが、映像から伝わったのは間違いない。
ついに、寅子と、よねと轟の再会!
屋外撮影から、カフェー「燈台」があった路地の「轟法律事務所」の看板をきっかけにスタジオセットに切り替えて。
ついに、寅子の因縁の相手ともいうべき山田よね(土居志央梨)と寅子の戦後初の再会だ。
視聴者は、一足先に よねと轟(戸塚純貴)が再会して、一緒に法律事務所を始める約束を交わしたことを知っている。
だから、よねとの再会は「多分ね…」と推測できるが、轟との再会は予想ができないから轟の第一声が気になってしょうがない… という先週からの仕掛けだ。
先週の月曜日では、よねが轟に差し出した水を注いだグラスの腕の火傷を見た轟が、深刻な面持ちで「空襲か」と語りかけた。
このやり取りから、よねと轟はいろいろな面で互いを必要としていることに気づく展開だった。
で、今回は、その時のよねと轟の立ち位置と真逆に近い位置で、寅子と轟の目と目が合う。
轟「佐田? 生きてたのか。
よかった! 本当によかった!」
因みに、「明確にグッド(good)」の際は「良い」「良かった」で、「許容範囲」の際は「よい」「よかった」を使うのが放送や新聞メディア。
この場合は「悪かった」に対して「良かった」のでなく、「死ぬよりは生きているだけマシ」との意味で「よかった」となる。ふ~~~っ
戦争で変わった同級生の再会がこんなに円滑に描けるものか
そして、店外、事務所外で、轟が同級生の稲垣(松川尚瑠輝)らとも無事に再会。
「まるで同窓会じゃん!」と、書こうと思ったら。
轟「何だ何だ 今日は同窓会か!?」
戦争によって、生活や環境や立場が変わった同級生の再会が、これほどまでにスムーズに描けるものか!
ちゃんと、「東京家庭裁判所判事補 兼 最高裁判所 家庭局事務官」である寅子を中心に、運命の糸がみんなを引き寄せたように描かれた。
基本的には、月曜日だから、毎度のように環境や状況変化の説明に終始はしている。
しかしその中に、しっかりと「寅子の物語」を落とし込みつつ、スリの少年たちのリーダー・道男(和田庵)にまつわるエピソードのイントロにもなっていた。
ここに、猪爪家がどうかかわるのか楽しみだ。
あとがき
「燈台/灯台」は、荒波の中を航行する船を導く光を放つ施設ですよね。
灯台が象徴する【五大基本要素】と考えてみますと、「守護」「幸運」「安堵」「希望」「進路」でしょうか。
それこそが、寅子が目指す “性別や身分や立場による差別のない世界” をも象徴しているのかもしれません。
今週も期待します。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18947/
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