連続テレビ小説「虎に翼」 (第29回・2024/5/9) 感想
NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:Website、X(旧Twitter)、Instagram
第29回/第6週『女の一念、岩をも通す?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
涼子(桜井ユキ)と香淑(ハ・ヨンス)の思いを背負って、寅子(伊藤沙莉)たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子(平岩紙)の姿が会場にない。梅子を気にしながらも筆記試験を終えた寅子が帰宅すると、そこには梅子からの手紙が届いていた。夫から離婚を言い渡され、三男の光三郎(石塚陸翔)を連れて家を出たという。梅子が寅子たちに想いを託す中、寅子の口述試験の日がやってくる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
尾野真千子さんならではの声の使い分けの技もあって…
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
N「去っていった仲間と女子部の未来のため
今年こそ 必ず合格してみせる」
普通なら「…と誓う寅子だった」だろう。
でも、それがないから、ナレーションが寅子の心の声になる。
単純なことだが、ここは「…と誓う寅子だった」と客観視した語りよりも、寅子の声の代弁者のほうが圧倒的に “誓い”に感じる。
尾野真千子さんならではの声の使い分けの技もあって、良い表現だと思う。
一つめの「長めのフェードアウト」を掘り下げてみる
メインタイトル映像明けは、梅子(平岩紙)の手紙のくだりだ。
並みの朝ドラなら、退場するサブキャラクターの尻拭いは、サクッとナレーション処理で終わらせそうだが。
梅子は “トラつば・アベンジャーズ” の一員で、ただのサブキャラとは違う。
そこで、たっぷりと尺を割いて物語に組み込んできたのは、まず大いに評価できる。
その上、自分がやったことを自ら「自業自得」と評しながらも、今後の育て方次第で息子たちを変えられると信じている前向きさが梅子らしく描かれた。
更に良かったのは、次のセリフだ。
梅子「どうか私のような立場の女性たちを
守ってあげてください」
年上で、既婚者で、子どもがいる梅子だからこそ、年下で独身の寅子(伊藤沙莉)にすべてを託す。
朝ドラあるあるな、母・はる(石田ゆり子)の覗き見を挟んで、更に、深め長めのフェードアウト。
梅子が二人の息子の手を引いて歩く後ろ姿の回想シーンを入れるでもなく。
前回の海辺での思い出づくりの回想も入れず。
ゆっくりゆったり気味のフェードアウトで、寅子がすべてを汲み取った、受け取ったことが分かる。
こういうのを、映像で見せて(show)魅せる(fascinate)というのだ。
寅子と優三の口述試験対策を映像で見せないテクニック
フェードアウト明けは、喜びのナレーションから始まった。
N「寅子と優三 そして よね 轟 中山は
筆記試験を通過しました。
おめでとう 万歳!」
口述試験対策のくだりで、さり気ないやりとりだけど、「いいね」と感じた部分を書いてみる。
夜、 猪爪家に下宿する書生・佐田優三(仲野太賀)と寅子のやり取りだ。
裁判所内での寅子と桂場等一郎(松山ケンイチ)のやり取りに先行して被ってきた優三のセリフだ。
優三「そろそろ 明日に備えて寝ましょうか」
実は、気になって見ていたのだ。
甘味処「竹もと」では、寅子、山田よね(土居志央梨)、久保田聡子(小林涼子)、中山千春(安藤輪子)が口述試験対策をし。
映像はなくとも、轟太一(戸塚純貴)には、先に合格している花岡悟(岩田剛典)が相手を務めることは想像できる。
でも、優三は???
そういうことなのだ。
でも、前段の優三のセリフがあれば、寅子が久保田たちと勉強したあと、自宅では更に優三と試験対策をやったことが感じ取れる。
もちろん、「実際に映像でも盛り込めばよいのに?」と、思うかもしれない。
しかし、私の想像する“今後のふたり”を考えると、今の時点で “寅子と優三のイチャイチャ” は封印したほうが、あとのお楽しみになると思うから問題なし。
むしろ、これくらいの、ドラマ『からかい上手の高木さん』より薄めの(笑)匂わせのほうが、今作らしいと思う。
「雲野弁護士事務所」での口述試験対策があっても良き…
まっ、褒めてばかりだと、「今作のみっきーは気持ちが悪い」なんて感じる人もいるかだろうから、敢えて書くと(苦笑)
放送尺やスケジュール調整で可能だったら、「雲野弁護士事務所」の人たちと口述試験対策をやったら良かったと思う。
だって、いくら勉強が忙しいといっても、一応は働いているわけだから。
※母のセリフで、給料を家に入れているとの言及もあったとしても。
雲野六郎(塚地武雄)が一肌脱いで、ドランクドラゴンの塚っちゃんとオズワルドのツッコミのお姉ちゃんの掛け合いも見たかったかも。
ただ、今回を見終えて冷静になれば、職場を組み込むとテンポが悪くなるのはよく分かる。
今日が木曜日であることを考えると、金曜日の次回で一区切りをつけるために、必要な要素のみを詰め込んだと考えれば、十分に納得はできる。
今回で「月経、生理」を盛り込んだのは思いのほか良い
もう、あまり掘り下げるつもりがないのが、今作らしさの一つである「月経、生理」のくだり。
ただ、今回で盛り込んだのは、意外というか、思いのほか良いと思う。
それは、よねの役割、よねの存在感が描けるからだ。
ここ数回は、むしろ「目立たないようにしている山田よね」だったから、同期で女性で、その上の三陰交。
更に、「女性ならではの悩み」を抱えていることを強調。
流石に令和になって「生理休暇は甘えだ」なんて職場はないと思うが。
ドラマでは避けがちな事案だけに、今作らしく盛り込んだのは評価できる。
因みに、助産師の妻がいうには「重い生理痛は子宮内膜症の可能性があるから、婦人科を早期受診したほうが良い」とのこと。
「痛みや不快感を我慢したところで、PMS(月経前症候群)で効率が上がらないことはよくあるから、診断書を提示して休めるなら休んだほうが良い」と。
おっと、今作の感想からずれてしまった…
15分で2つの試験と合格発表まで描いて端折った感じがない
今作に戻って、再び長めのフェードアウトを挟んで…
N「日本初の女性弁護士が誕生したのです」
解説「よね 官報を押しのけ 一点を見つめる」
優三「おめでとう トラちゃん」
解説「笑えない寅子…」
とても、解説音声のフォローがうますぎると思う。
で。
ここで終わっても、十分すぎるくらいに “ドラマ” として良いのに。
N「やっと勝ち取った景色は…。
思っていたものと全然違っていました」
ちゃんと、前回の「海辺での思い出づくり」の際の寅子のセリフと重なっている。
寅子「ごめんなさい。 思っていた景色と違っていた」
本当に完成度の高い 15分間だ。
試験を諦めた梅子、試験に落ちたよねと優三の終幕も、しっかりと盛り込み。
猪爪家の家族の思いも組み込み。
その上で、主人公である寅子の心と体の両方の変化を丁寧に描き切った。
僅か 15分間で高等試験、口述試験、合格発表まで描いて、端折った感じがないのがホントお見事。
これは、改めて秀作になる予感だ。
あとがき
前回同様、今回もお腹いっぱいです。
これだけ盛り込んでいるのに、「寅子の物語」であることはこれっぽっちもブレない。
これくらいの完成度なら、多少の気になる点は不問にできます。
なお、優三のモデルは「明治大学卒の和田芳夫」なので、気になる方は自己責任で検索してください。
これ以上は【史実のネタバレ】になるので触れませんので。
みっきーの翼(第7回)
私の、やる気元気の源でもありますが。
認知症の義母が毎月楽しみにして待っているお饅頭のお話です。
いつも書いているとおり、千葉県成田市の銘菓「黒平まんじゅう本舗」の月替わりの季節のお饅頭で。
今月は、先代名物「ずんだ=茹でて軟らかくした 枝豆をつぶし砂糖を混ぜたもの」を使った「ずんだまんじゅう」です。
餡の中に、ずんだのつぶつぶが見えますよね。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18826/
【これまでの感想】
第1週『女賢しくて牛売り損なう?』
1 2 3 4 5 土
第2週『女三人寄ればかしましい?』
6 7 8 9 10 土
第3週『女は三界に家なし?』
11 12 13 14 15 土
朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由
第4週『屈み女に反り男?』
16 17 18 19 20 土
第5週『朝雨は女の腕まくり?』
21 22 23 24 25 土
第6週『女の一念、岩をも通す?』
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