連続テレビ小説「虎に翼」 (第20回・2024/4/26) 感想
NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:Website、X(旧Twitter)、Instagram
第20回/第4週『屈み女に反り男?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
突然、猪爪家に検察が押しかけ、はる(石田ゆり子)は直言(岡部たかし)が贈賄で逮捕されたと告げられる。証拠品として家中を物色され、途方に暮れる寅子(伊藤沙莉)たちに、下宿人の優三(仲野太賀)は法律の知識を活かしてできることをしようと提案する。寅子たちは無罪を信じて帰りを待つが、直言の逮捕はほんの皮切りに過ぎず、世間を大きく揺るがす大汚職事件「共亜事件」として事態はどんどん悪くなっていく。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫)
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
寅子の驚きの表情に被さる"雷鳴"の効果音なんて、いい感じ
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
冒頭から “テレビドラマ” なのだから <映像で見せて(show)魅せる(fascinate)べき!> をちゃんとやっている。
検察が猪爪家に押しかけるファーストシーン。
家宅捜索令状を突き出す直前、寅子(伊藤沙莉)の驚きの表情に被さる “雷鳴” の効果音なんて、いい感じだ。
説明するまでもないが、強い驚きや感動などを受けるさまを「雷に打たれたよう」と表現するが、語りで補強するより効果音のほうが深刻さが増すし、アバンタイトルだから嫌な予感を漂わせるにも好都合だ。
大型連休だから、アベンジャーズパートはあまり進めない?
トーンを落とした語りが、次のように言う。
N「これが 猪爪家と検察との戦い。
その長い日々の幕開けでした」
この語りから分かるのは、『トラつば・アベンジャーズ/ウィメンズ・ファイト』としては、メンバー紹介はここでいったん休止ということだ。
これまで、寅子、山田よね(土居志央梨)、 桜川涼子(桜井ユキ)、そして前回までで大庭梅子(平岩紙)を個々のエピソードでキャラ紹介してきたが、「長い日々の幕開け」だから、少なくても来週いっぱいは“猪爪家と検察との戦い”だろう。
これも、私は英断というか、いいアイデアだと思う。
世間は、春の大型連休で、真ん中の平日3日間を休めば、明日から再来週の月曜日まで10日間の連休になる。
そうなれば、いつもどおりに「毎朝視聴」ができない人が増える。
そこで、メインの “トラつば・アベンジャーズ” はお休みして、実際の事件をもとに課外授業的な内容で大学を描くのは悪くない。
だって、折角、花岡(岩田剛典)や轟(戸塚純貴)の個性が見えてきたのだから、学園生活だけは続けるべきだ。
おっと、まだ、次週が、どこまで大学を描くのは分からないが。
家宅捜索を "いろいろな音" で描写
メインタイトル映像明けも、<映像で見せて(show)魅せる(fascinate)べき!> をちゃんとやっている。
家宅捜索をやっている際の引き出しの出し入れや、書類をめくる音など、家宅捜索を “音” で描写している。
更に、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK/2021年後期)で‘吉兵衛さん’‘吉右衛門さん’以来の堀部圭亮さんが演じる検察官・日和田の扇子を叩く音も、検察官たちの靴で歩く音、扉を閉じる音まで、ちゃんと録音した上で音量を上げて編集してある。
音を聞くだけで、家宅捜索の怖さや深刻さを伝える演出だ。
ちょっとした演出だが、目に見えるだけが演出ではない。
そんなことを再認識させてくれる描写だ。
付け加えると、帝国銀行理事で直言の上司で花江と直道の仲人・高井(小須田康人)が逮捕される際の車のエンジン音も強調されていたし。
銀行から連行される直言(岡部たかし)のときに、大きな鍵がかかるような「ガチャン」という効果音もあったし…
優三の「腹を下す音」が、とても効果的!
で、その “目に見えるだけが演出ではない” をガッツリとやったのが、途方に暮れる寅子(伊藤沙莉)に、下宿人の優三(仲野太賀)が法律の知識を活用しようと提案するくだりだ。
優三「一つ救いなのは
僕らが法を学んでいることだ。
その 強みを最大限… 最大限に生かして
この場を乗り… (腹を下す音)
乗り切ることに ちゅ… ちゅっ…!」
優三が “いいやつ” で “愛すべきキャラ” である話は置いておいて。
ここでは、「腹を下す音」がふんだんに使われた。
「音」がなければ感動的なシーンだが、「いいシーンだった」で終わってしまう。
でもここで「腹を下す音」を入れることで、第一にメリハリがつく。
更に、優三が過敏性腸症候群(IBS)らしいことが分かり、人間味を増す。
そして、「腹を下す音」で寅子も視聴者も一息入れられるから…
寅子「悔しがるのも泣くのもあと」
寅子の心境に共感できるし、寅子たちに寄り添えるのだ。
よね、涼子、梅子からの怒涛の展開が見事だし、キレイ
このまま「苦境に陥った猪爪家」で終わると思いきや、“トラつば・アベンジャーズ” も忘れられてはいない。
カフェで心配するよね、豪邸で新聞に読み入る涼子、暴君の夫に頭を下げる梅子を盛り込み。
その流れで、大学の面々を描いた。
やはり、新聞のアップと世間の評価を描写するだけでは物足りない。
ここは、人間ドラマとして、主要な登場人物たちの寅子への、事件への思いや言動を見せて魅せるのは良いこと。
いや、今作だから絶対に入れるべき描写だ。
そして、個々の登場人物たちの気持ちや行動をしっかりと描いた後だから、次の語りが心に刺さる。
N「不況であえぐ国民たちは
私腹を肥やすフルジョア層
政治家 官僚への怒りを
募らせていきました」
ここで、今の政治、社会問題を扱るつもりはない。
でも、この深く、重たい語りこそ、今の日本国民が政治家や官僚への心境だと思う。
毎日放送する朝ドラをそのときにみるからこそ、今の現実とシンクロする。
コロナ禍での朝ドラ『エール』(NHK/2020年度前期)のように、朝ドラでしか達成できないタイムリーさであり、満足度であると思う。
"豆腐屋のラッパ"も"遠くの鐘の音とカラスの鳴き声"も秀逸
今回が “音” に注力されて作り込まれているのは、終盤でもわかる。
報道陣が詰めかけた猪爪家の前を通り過ぎる、天秤竿を背負った豆腐屋のラッパの音だ。
昭和30~40年代では、ごくごく一般的な街の音だった豆腐屋さんのラッパ。
豆腐屋さんがラッパを吹き始めたのは日露戦争後とのことで。
日露戦争前は朝顔形のベルを振って鳴らしていた豆腐屋が、日本が日露戦争に勝利した高揚感からラッパを吹くようになったといわれている。
そう考えると、夕暮れの猪爪家にも届いた “ラッパの音” が、寅子たちの勝利を信じているようにも聞こえてきた。
と同時に、米を研ぐ寅子に重なるのは、“遠くの鐘の音とカラスの鳴き声”。
ラストは、重苦しい空気を吹き飛ばす。花岡と穂高重親(小林薫)のドタバタ喜劇風。
緩急が豊富で、飽きさせない 15分間だった。
「共亜事件」のもとになった「帝人事件」をプチ解説
さて、以降はネタバレとは違うと思うので、書いてみる。
読み始めてイヤなら飛ばして構わない。
今作が放送前から、「帝人事件」を扱い、描くことはアナウンスされていた。
その「帝人事件」がモデルになっているのが、今回の直言(岡部たかし)ら 16人が贈収賄の容疑で逮捕された「共亜事件」だ。
「帝人事件」は昭和9年(1934)に起きた大規模な疑獄事件で、政治家や公務員らが賄賂を受け取る汚職事件の一つだ。
斎藤実内閣は責任を取り、総辞職に追い込まれたが、逮捕された全員が裁判で無罪となった。
この事件は、内閣を総辞職させるための「でっちあげ」だったとされ、右翼勢力の関与も指摘されている。
また「帝人事件」は、帝国人造絹絲株式会社(帝人)は日本を代表する大財閥・鈴木商店の系列で、昭和2年(1927)その鈴木商店が倒産し、子会社である帝人の株式が台湾銀行の担保になったことから始まる。
鈴木商店の「大番頭」であった金子直吉らが株を買い戻し、株価上昇で利益を得た。
昭和9年(1934)に贈収賄事件が暴露され、台湾銀行や帝人の首脳らが逮捕され、内閣は総辞職。
裁判では全員が無罪となり、「でっちあげ事件」として今日では知られている。
因みに、帝人事件は、戦前の司法史において政治的圧力に対抗し、司法が権威を維持した重要な事件であり。
勇気ある判決を下した裁判官が「石田和外」とされ、『虎に翼』では桂場等一郎(松山ケンイチ)がモデルである。
あとがき
今回で、ほぼ1か月が終わったわけですが。
社会に不満を持つよね、ブルジョア育ちに違和感を覚える涼子、男尊女卑の夫に苦しむ梅子、そして大きな不満はないがすべてに「はて?」の寅子。
この4人の “トラつば・アベンジャーズ” のひとつのまとめですね。
登場人物たちが効果的に配置され動くことで、寅子の目指す道が徐々に見えてくる、そんな感じがします。
また、かなり分かりにくい内容のはずなのに、極力分かりやすく描写しているのも好感度が高いです。
そして何より、ちゃんと「先が気になる連ドラ」「次回が見たくなる朝ドラ」をやり続けているのは大いに評価します。
次週も応援します。
みっきーの翼(第5回)
先日もご紹介した「崎陽軒」の季節限定メニューの続きです。
どちらも期間限定の「おいしさ長もち あさりシウマイ」と「おべんとう初夏」です。
「あさりシウマイ」はおろしショウガが添付してあり、醤油なしでさっぱりあさりです(笑)
「おべんとう初夏」は彩りよく、初夏を感じる山菜やカレイがおいしかったです。
販売期間は、2024年4月16日~2024年6月15日(予定)。
詳しくは下記へ(通販もできます ※アフェリエイトとは関係ありません)
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第1週 Kindle版
NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第2週 Kindle版
NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第3週 Kindle版
NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第4週 Kindle版
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18789/
【これまでの感想】
第1週『女賢しくて牛売り損なう?』
1 2 3 4 5 土
第2週『女三人寄ればかしましい?』
6 7 8 9 10 土
第3週『女は三界に家なし?』
11 12 13 14 15 土
朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由
第4週『屈み女に反り男?』
16 17 18 19
- 関連記事
-
- 連続テレビ小説「虎に翼」 (第4週・土曜日版・2024/4/27) 感想 (2024/04/27)
- 季節のない街 (第4話・2024/4/26) 感想 (2024/04/27)
- 連続テレビ小説「虎に翼」 (第20回・2024/4/26) 感想 (2024/04/26)
- 夜ドラ「VRおじさんの初恋」 (第16話・2024/4/25) 感想 (2024/04/26)
- Believe-君にかける橋- (第1話/初回10分拡大・2024/4/24) 感想 (2024/04/26)