連続テレビ小説「虎に翼」 (第64回・2024/6/27) 感想

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
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第64回/第13週『女房は掃きだめから拾え?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
寅子(伊藤沙莉)と多岐川(滝藤賢一)は代議士・立花幸恵(伊勢志摩)と共にラジオ番組に出演。家庭裁判所の存在は広く知られるようになる。寅子の活躍の一方で、よね(土居志央梨)、轟(戸塚純貴)、そして梅子(平岩紙)は予想もしていなかった事態に直面していた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8,13週
安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12週
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト )
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略
「ラジオ出演シーン」で、妄想してみる…
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
室内でも熱中症の危険があるとのこと。
こまめに水分補給してくださいね。
私が、今作の擁護、フォローをするつもりも道理もないが。
ラジオ番組のシーンで、今作、今回は寅子(伊藤沙莉)と多岐川(滝藤賢一)が代議士・立花幸恵(伊勢志摩)と共にラジオ番組に出演していた。
そのことに不満はないが、このあとの展開のこと(後述する)を考えて、少し書いてみる。
寅子のモデルである三淵嘉子さんが、多岐川のモデルである宇田川潤四郎さんさんと家裁の広報活動の一環として、NHKラジオのGHQの指導を受けて制作された婦人向け教育番組『婦人の時間』に出演したのは史実どおりだ。
三淵さんのラジオ出演については、多くの記録は残っていない。
しかし、この同じ時期に、JOAK(当時の NHK)のラジオ番組『子供の時間』の一コーナー『コドモの新聞』に‘ラジオのおばさん’として人気を博したパーソナリティーが、村岡花子さんだった。
村岡花子さんは、朝ドラ『花子とアン』のヒロイン・村岡花子(吉高由里子) のモデルとなった女性だ。
当時の村岡さんの人気は、寄席芸人や漫談家に物真似されるほどで、多くの女性の憧れでもあった。
そんな村岡さんに憧れて、昭和19年(1945)に NHKに入局した女性アナウンサー・武井照子さんが『婦人の時間』の担当だった。
従って、今回の劇中の男性アナウンサーは、女性のほうが史実寄りだったわけだが、昨今の事情で「男女比」を調整した可能性はある。
で。
私が余計なお世話で期待したのは、スタジオの廊下で “村岡花子” とすれ違うシチュエーションがあったら面白いのに… と。
もちろん、演者は吉高さんでないとしても。
それが、後述するつもりの「朝ドラの世界観のつながりの醍醐味」ではないかと。
個人的には、働く女性の先輩として “村岡花子” が“佐田寅子” とラジオ出演したら面白かったと。
因みに、史実の村岡花子さんは明治26年(1893)生まれで、三淵さんが大正3年(1914)で21歳差だから、伊勢志摩さん〈54〉と伊藤沙莉〈30〉、そこへベテランのゲスト俳優さんが花子を演じれば……
妄想はこれくらいにしておこう。
"寅子の演説” の説得力がいかさるシチュエーション
さて、アバンタイトルのラジオ出演のシーン。
ここ最近、かなり控えめだった “寅子の演説” が復活だ。
裁判官という立場で私見を口にするのをはばかられ、慎んでいた設定だったから無理はない。
だが、広報活動くらい、“寅子の演説” の説得力がいかさるシチュエーションもない。
更に、“トラつば・アベンジャーズ” の面々が寅子の声に耳を傾けることで、この先の展開(復活)をやんわりと案じさせたのもうまい。
ここまで梅子をどん底に陥れる展開が、本当に凄い
メインタイトル映像明けは、大庭家の泥沼劇場の続編だ。
よね「どいつもこいつもクソさだな
男っていうのは」
山田よね(土居志央梨)の気持ちには共感するが。
この類をやるのは男も女もクズだと思う(あくまでも個人の意見です)
でもって、三男・光三郎(本田響矢)がトンでも発言の発令だ!
光三郎「彼女は こうやっていか
生きてこれなかったんだよ」
深夜ドラマだったら、秒でチャンネルを変えているところだ。
流石に、この展開には好き嫌いが分かれそうだ。
でも、私は「梅子の恩を仇で返す光三郎の反乱劇」をよくぞ盛り込んだと思う。
決して、今回の「泥沼劇場」が大庭家だけの問題というのではなく。
「お妾さんは影の人」「嫁は姑の言いなり」「本妻が有利」「子は鎹(かすがい)」「海より深い母と息子の絆」などを含め、“時代も世間も憲法” も変わったことを、明確に表現するエピソードなのだ。
それを、光三郎と元山すみれ(武田梨奈)、そして梅子(平岩紙)の亡夫・大庭徹男(飯田基祐)で描いたのだ。
その上、並みの朝ドラなら、いくらサブキャラクターとはいえ梅子は、初期のころから寅子に関わり影響を与えた “理想の自立した母親像” でもあっただろうから、ここまで梅子をどん底に陥れる展開を書いたことが、本当に凄いと思う。
光三郎の反乱と梅子の英断、今作らしい描写と展開と結末
高笑いを落ち着かせた梅子が、胸に手を当てて、どこにも目の焦点を合わせずに静かに語りだす。
梅子「もう駄目 降参。白旗を振るわ」
そして、梅子は我が身を「直系血族及び同居の親族」でも「互いに扶け合わなければならない」でもない、赤の他人の立場に置くことを宣言する。
と同時に、産んだ母親としての、最後の子育て、しつけをやった。
梅子「お互い誰かのせいにしないで
自分の人生を生きていきましょう」
やり方次第では下衆な深夜ドラマのようになっていたところだが。
光三郎の反乱と、梅子の英断によって、実に今作らしい描写と展開、そして結末になった。
これ、今期放送された日テレドラマ『花咲舞が黙ってない (2024)』よりも、スッキリした内容だったと思う。
ドラマ『花咲~』にも、昇仙峡玲子 役で菊地凛子さんが出演していたのは偶然か(笑)
中立で部外者的な寅子の立場を徹底的に描き続けている
やはり、今回で最も秀でたくだり、描写は、茨田りつ子(菊地凛子)登場の直後…
寅子が、調停員の根本(清水伸)と長峰(福田温子)から、騒動の顛末を聞き取りしている場面だ。
それこそ、ドラマ『花咲~』の主人公なら、裁判中に「お言葉を返すようですが」と激怒するところでも、寅子は常に部外者、中立を固辞し続ける。
だから、今回も、顛末を梅子から聞くのではなく、調停員からの人づて…に、こだわっているのだ。
この辺のこだわり、本当に徹底していることがスゴイと思う。
朝ドラらしい自立する女性、今作らしい新しい女性の生き方の提示
ラストシーンは、寅子の行きつけの甘味処「竹もと」だ
5月31日放送の第45回以来の登場だ。
やはり、「竹もと」の包装紙(新聞紙)は、今作の大事なアイテムだ。
寅子が新憲法発令を知るのも「竹もと」の新聞紙だし。
亡き夫・優三(仲野太賀)との思い出も「竹もと」だから。
結末も、優三の「嫌なことがあったら、おいしいものを 食べましょう」につなげて、きれいに回収して終了。
今週序盤の「大庭家の泥沼劇場」の割に、ラストは少々サラッとした感じを受けたが。
敢えて、梅子がいなくなった大庭家を描く必要もないのは確か。
むしろ、分かりやすい勧善懲悪モノ風にまとめたのは良かったし。
何より、朝ドラらしい自立する女性、今作らしい新しい女性の生き方の提示としてもうよかったと思う。
花江の扱い方は、少し補強してほしかったか…
唯一、少し補強してほしかったのは、花江(森田望智)の扱い方。
序盤でも、何気に息子や、「恋の力」を盛り込んで、道男を匂わせるのもいかがかと思うが。
それよりも、「竹もと」に花江がいる必然性を補強してもよかったと思う。
私は、勝手に次のように脳内補完してみた。
「嫌なことがあったら、おいしいものを 食べましょう」に連携するエピソードに、寅子が優三を失った際に、母・はる(石田ゆり子)が言った次のセリフを覚えておられるだろうか?
はる「どうしようもなくなった時
ないしょで 思いっきり ぜいたくしました。
そうするしかなかった」
要するに、理由は違えど、寅子も梅子も、そして花江も夫を先に失った女性という共通点があるのだ。
だから、「嫌なことがあったら、おいしいものを 食べましょう」と同時に。
「どうしようもなくなった時、ないしょで 思いっきり ぜいたくしました」なのだと。
まあ、ここ最近の花江の寅子への関わり方を見ていても、脳内補完はできるが。
あとがき
メインタイトル映像中のクレジットで、「茨田りつ子 菊地 凛子」と書いてあったので、驚きはしませんでしたけど。
‘ライアン’こと久藤頼安(沢村一樹)の関係者だったというのも、うまくできていると思います。
こういうのが、「朝ドラの世界観のつながりの醍醐味」ですね。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/18973/
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