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連続テレビ小説「虎に翼」 (第58回・2024/6/19) 感想

連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第58回第12週『家に女房なきは火のない炉のごとし?』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


寅子(伊藤沙莉)は、はる(石田ゆり子)の了承を得て、行く当てのない道男(和田庵)を猪爪家に居候させることに。寅子の判断は職場でも無茶だと反対されるが、他に方法はないと食い下がる。道男の預かり先が見つかるまで何日か早めに帰宅したいと申し出た寅子に対し、多岐川(滝藤賢一)は全国の家庭裁判所の視察に同行しろと告げる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

感想の趣旨について
  当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
  作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。



原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



今回は、評価が難しいというか、難解な15分間というか

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

今回は、評価が難しいというか、難解な15分間というか。

感想を書くのに困る… が、最も言い当てていると思う。

まず、冷静に見てみる。

これを「寅子の物語」といえるだろうか?

寅子(伊藤沙莉)が存在しない場面で、物事が起こり、物語が進んでしまっている。

更に、寅子を不在にしないと成立しないからと、寅子を出張中の設定にした。

せめて、地方遠征するから、日が昇る時間に家を出て、真っ暗になったら帰ってくる程度にとどめておけばよかったのに。

その上、先週からは“トラつば・アベンジャーズ” の‘ヒャンちゃん’こと汐見香子(ハ・ヨンス)、前回からは山田よね(土居志央梨)を放置したままだ。

更に、「裁判官編」のキーパーソンである‘タッキー’こと多岐川幸四郎(滝藤賢一)の存在感も薄めだ。

週末で帳尻合わせをしてくると思うから、悲観的ではない

ただ、ここで書いているほど、私は悲観的ではない理由を書いてみる。

だって、先日から繰り返し書いているとおり、寅子のモデルである三淵嘉子さんの裁判官になってからの人生は、ある意味で「とんとん拍子の年表の箇条書き」であることを知っているからだ。

そして、これまでも、“連ドラ” が箇条書きにならないように、吉田恵里香氏の脚本には、(以前に登場した者の再登場を含めて)クセが強いキャラクターを次々投入し…

成功をおさめてきたから、今週も <キャラ投入> で大団円で終わらせると期待をしているからだ。

それが、この3人だ

‘ライアン’こと久藤頼安(沢村一樹)
‘ハーシー’こと小橋浩之(名村辰)
‘タッキー’こと多岐川幸四郎(滝藤賢一)

よって、恐らく、金曜日には、(以前に登場した者の再登場を含めて)クセが強いキャラクターを投入してくるはずだ。

そして、その登場人物が、ドラマ的に、脚本的に、道男(和田庵)を “退場させる係” になると予想しているし、予想にはプチ自信がある。

だって、第1週から第11週まで、全週分のシナリオを読んでいるから、少しは先読みができるようになったのだ。

吉田氏の作風や癖が、ようやく見えてきた… そういうわけだ。

だから、週の真ん中、水曜日分としては「寅子の物語」として物足りなくても、木曜日と金曜日で帳尻合わせをしてくると思うから、悲観的ではないということだ。

リアルなやり取り、現実味を感じる会話劇が多かった

いつもどおりの、感想を書いてみる。

今回の見どころ、聴きどころはというと…

意外にリアルなやり取り、現実味を感じる会話劇のパート、パーツが多かったことだ。

例えば、アバンタイトルの冒頭での東京少年審判所の壇所長(ドンペイ)の次のひと言だ。

壇「家で引き取った!? バカか お前は」

一瞬、壇が寅子を卑下するセリフにも受け取れるが。

先日の合併会議などの様子を思い浮かべれば、檀所長にとって “問題少年” を引き取り育てることの難しさを知るからこその苦言、指導に聞こえてきやしないだろうか?

次のシーンでは、小橋が次のように言った。

小橋「現実問題 一人の人間ができることに
 限界があるんだって」
寅子「現実ばかり見てちゃ
 子供たちを救えないでしょ」  

これは、寅子と小橋、汐見(平埜生成)や稲垣(松川尚瑠輝)らが、現実と理想の狭間域で、問題解決の核心を考えて、本音でやり合っている会話になっていた。

そして、この場面で秀逸だったのは、多岐川を盛り込んだことだ。

理想と現実で意見を巡らせる議論も大事だが、自分たちの立場は、もっともっと冷静沈着に現実、足元を見ろ、口出す前に手足を動かせ! と、諭したのだ。

1分弱の短い尺だが、「寅子の仕事」をリアルに描いた、なかなかいいシーンだと思う。

ホームドラマにおける"子供らしさ"の繊細な表現、描き分け

とはいっても…
今回の最大の見どころ、聴きどころは、ホームドラマにおける“子供らしさ”の繊細な表現、描き分けだろう。

メインタイトル映像明け、寅子が帰宅した際、道男は「何?」と反抗的だ。

しかし、お風呂の沸かし方を教える寅子の母・はる(石田ゆり子)には…

道男「ばあちゃん
 それくらい教わんなくても できるから」

石田ゆり子さん<54>が「おばあちゃん」も、それなりにショックだが(笑)

道男から見たら、はるは「おばあちゃん」であることはリアルだし。

寅子が仕事で不在中に、はると道男なりの関係が構築されているのがよく分かる。

道男の"子供らしさ"が、はると花江の態度の違いで見える

他にも、今作のホームドラマとしての一面としての“子供らしさ”の繊細な表現、描き分けはある。

それは、前回の第57回の終盤で、直明(三山凌輝)の案内で風呂場に行こうとする道男が花江に次のように言ったことから始まる。

道男「おばさん よく見たら
 きれいな顔してんな」

このときは敢えて触れなかったが、道男を演じる和田庵さんが放つ “やさぐれ感” と “冷めた眼差し” から、一種の “危うさ” と、危うさからの “リスキーさ” が、このセリフから受け取れる。

そして、今回の花江と道男のやり取りだ。

花江「本当はね ずっと考えてるの。
 直道さんが そばにいてくれたらって」
 (中略)
道男「俺 なれないかな」
花江「ん?」
道男「その人の代わりに。
 花江ちゃん
 優しいし いい人だし きれいだし。
 だから 俺… 俺…」

このシーンの前段では、徹底的に… というべきだろう。

はるとのやり取りを通じて、徹底的に道男の “子供っぽさ” を強調していた。

はるの財布を盗んだ際も、きちんと盗もうとしたことを寅子たちに話したし、はるの説得も受け入れて「心配しなくても もう悪さはしねえよ」と宣言もした。

夕食の際、「このばあちゃん 頭いいよ」と箸で 春を指した道男を「やめなさい お行儀が悪い」と叱ったが、反抗することなく茶碗と箸を置いた。

優しくされても素直に「ありがとう」とはいえない子ども心

そして、これらの糸口がひとつになるのが、直明からの提案に反発した道男のくだりだ。

道男「どいつも こいつも
 いいやつぶりやがって。
 んだよ 説教か?」
はる「慣れてないのよね
 誰かに優しくされることに」

はるのひと言に言い返さないで立ち去る道男。

ここで描かれたのは、優しくされることに不慣れな道男の、自己表現のやり方の不甲斐なさというか、やり切れない気持ちというか。

優しくされても素直に「ありがとう」とはいえない、子ども心、思春期、反抗期みたいな。

もしかすると、子供にとっては戦争という地獄を生き抜いた道男に限らず多くの子どもたちは、照れ臭いとか、心やましいなどの感情を表に出すことができず(忘れてしまって)、反抗、反発することしかできないのかもしれない。

でも、今作の描写から、道男が求めているのは、損得とは無縁の信頼関係や、腹を割って話せる仲間や、ただひたすらに相手を大切に思う家族関係だと分かる。

この辺の、道男を通して描かれる “子供らしさ”の繊細な表現、描き分けは、最近の朝ドラ、他のドラマでも見た記憶がない

あとがき

この難局の突破口は誰なのでしょう?

私は、新キャラでないなら、3人の男の子の母親である梅子(平岩紙)あたりが適任のような。

また、同窓会になるのも面白いですしね。

それにしても、久し振りに感想を書くのが難儀でした…
次回から、もう少し簡素化しようと思います。


すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”



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1 2 3 4 5  
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朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 新窓で開きます

第4週『屈み女に反り男?』
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第6週『女の一念、岩をも通す?』
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第7週『女の心は猫の目?』
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第8週『女冥利に尽きる?』
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納得!「虎に翼」の演出語る「マーベル映画を意識」やはり“トラつば・アベンジャーズ”は正解だった…? 新窓で開きます

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第11週『女子と小人は養い難し?』
51 52 53 54 55  
第12週『家に女房なきは火のない炉のごとし?』
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連続テレビ小説『虎に翼』第58回

内容行く当ての無かった道男(和田庵)を相談せず、引き取った寅子(伊藤沙莉)はる(石田ゆり子)たち家族に呆れられながらも。。。。一方で、多岐川(滝藤賢一)ら家裁の面々にも軽率だと注意されてしまう。そのうえ預かり先が見つかるまでと早めの帰宅を申し入れた寅子だが、多岐川から全国の家裁の視察への同行を命じられるのだった。敬称略作、吉田恵里香さんそういうフラグは立っていたので、予想通りの展開ではあるが...
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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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