福島第1、移送先で汚染水漏れか 東電が作業停止
東京電力福島第1原子力発電所の汚染水漏れ問題で、原子力規制庁は9日、汚染水の移送先の地下貯水槽でも漏洩の可能性があることを明らかにした。貯水槽の外部で塩分濃度の上昇が確認された。東電は同日午後、移送作業を停止した。汚染水の移送先の変更などを迫られる可能性があり、東電は詳しい調査を急ぐ。
漏洩の可能性があるのは、原子炉を冷却している汚染水をためる7つの貯水槽のうちの1番目の貯水槽。2番目と3番目の貯水槽についてはすでに漏洩が発覚しており、1番貯水槽などへの移送を進めている。
貯水槽はすべて同じ造りで、漏洩の原因は解明されていない。東電は移送先の1番貯水槽についても漏洩の恐れがあるため外部の放射線量の調査を実施していたが、9日の調査で漏洩の兆候が見つかった。貯水槽のヘリの部分にある検知口には汚染水に含まれる塩分がしみ出ていたが、放射性物質も流出しているかどうかは今後、調べる。
1番貯水槽への汚染水の送り込みはすでに開始したが、東電は移送を停止。今後、別の貯水槽への移送を検討するとみられる。
同型の貯水槽から相次いで漏洩が発覚したことは構造的な欠陥を抱えている可能性も考えられ、別のタンクなどへの移送が必要となる可能性もある。
福島第1原発では、増え続ける汚染水に貯水槽を増設しながら対応しており、貯水槽が使えなくなれば汚水処理計画は根本的な見直しを迫られることになる。