学会事故調「福島の事故防げず痛恨の極み」と謝罪
東京電力福島第1原発事故をめぐり、日本原子力学会の事故調査委員会(委員長・田中知東大大学院教授)は27日、「事故を防ぐことができず、痛恨の極み」と謝罪するとともに「津波のリスクを十分考慮すべきだ」とする調査報告書の骨格を示した。具体的な対策や提言は年内にまとめる最終報告書に先送りした。
この日、近畿大(大阪府東大阪市)で開催中の同学会で公表した。
骨格はこれまでの学会について元幹部らを対象にしたアンケート結果を一部公表。「安全性研究の予算がわずかで、電力会社も研究を歓迎しない雰囲気だった」などと反省する声のほか、「規制機関は形式的な間違い探しを品質保証と錯覚して事業者を疲弊させた」との批判もあった。
また骨格は事故原因に関し「設計基準となる津波の高さの見積もりが甘かった。想定を超える津波への対応能力を向上させる必要がある」と指摘。一方、地震については東電の公表資料などから「炉心冷却などの安全機能に深刻な影響はなかった」とした。
国会の事故調は昨年7月の報告書で、重要設備の非常用復水器(IC)の配管が地震の揺れで破損した可能性を指摘している。