原子力規制委、福島事故分析へ検討会 安全に生かす
原子力規制委員会は27日の会合で、東京電力福島第1原子力発電所の事故原因などを分析する検討会の設置を決めた。福島第1原発事故を巡っては、これまでに政府や国会の事故調査委員会が調査を終えて報告書をまとめているが、未解明の部分も残されている。規制委として事故を分析し、今後の原発の安全規制に反映させる。
検討会は更田豊志委員のほか、奈良林直・北海道大教授ら外部有識者5人、原子力規制庁などの職員で構成する。4月中にも初会合を開き、月に1回程度を目安に継続的に開催する。地震による原発の重要機器への影響、放射性物質の漏洩経路など、個別の論点ごとに報告をまとめて公表する予定だ。
政府の事故調などは福島第1原発事故の主因は津波だと断定したが、国会事故調は地震の揺れで原発の重要機器が壊れた可能性も否定できないと指摘し、見解が分かれている。原発が地震で損傷していたとすれば今後の耐震規制にも影響が及ぶため、規制委として独自に事故原因の検証を進める。
このほか格納容器の損傷箇所や、溶け落ちた燃料なども詳しい状況は未解明。今後、原子炉の放射線量が低下すれば内部の調査などもできるようになるため、政府として調査を続ける必要があると判断した。事故原因を正確に把握することで、今後の廃炉作業の安全を確保する狙いもある。検討会では東京電力や経済産業省職員にも出席を求めるほか、必要に応じて現地調査も実施する。