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「明らかに人災」断定 国会原発事故調 最終報告書(1)

<事故原因>「想定外」は方便と批判

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5日まとまった国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)の最終報告書は、原発事故への備えを怠った政府や東電の責任を厳しく追及し、事故は「自然災害ではなく明らかに人災だ」と断定した。原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘

。首相官邸の現場への「過剰介入」などが、混乱を拡大させた様子も浮き彫りになった。(肩書は当時)

東京電力は事故原因に想定外の巨大津波を挙げてきたが、国会事故調は地震の揺れで重要機器が損傷した可能性をにじませた。「『想定外』とすることは責任を回避するための方便のようにも聞こえる」と東電の姿勢を批判した。

報告書は揺れが機器を壊した恐れが解明されていない中で「今回の事故原因を想定外の津波として片付けているのは受け入れ難い」と強調した。

これまで政府や民間が設けた事故調査委員会は必ずしも地震の揺れが機器に深刻な影響を与えたとは考えていなかった。

国会事故調は揺れに伴う損傷を考える根拠を示した。東電は地震と同時に原子炉が緊急停止し、問題はなかったと説明している。事故調は緊急停止後に最大の揺れがあったことを問題視。巨大津波が来なくても、揺れで配管の微細な亀裂から水が漏れた可能性などを挙げた。これまで津波が原因とされてきた非常用交流電源喪失も、1号機では津波到達前に起きた可能性があるとした。

1号機の冷却装置「非常用復水器(IC)」を作業員が止めた理由を、東電は「温度が急低下したから」としてきたが、作業員の聞き取り調査から、地震による配管の水漏れを確かめるためだったと分析。地震発生直後に1号機原子炉建屋4階で、作業員が大量の水漏れを見たとの証言も得たという。こうした理由から「特に1号機の地震による損傷の可能性は否定できない」とした。

福島第1原発が地震で損傷した可能性について背景も分析した。東電は同原発の耐震安全性評価(バックチェック)の最終報告を2009年6月に出すと当初申請したが、補強工事をせず16年1月に提出を先送り。保安院も遅れを黙認していたという。耐震性の問題は旧耐震設計審査指針の策定前に設置許可された全国の21原発に共通だと指摘した。

また今回、東北電力女川原発(宮城県)や日本原子力発電東海第2原発(茨城県)への影響から考えて、他の原発でも「事故に至った可能性が十分にあった」と分析。小規模な電力会社や、空港など重要施設が近い原発などでは「今般の原子炉事故をしのぐ影響を招く場合がある」と指摘した。

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