よしろう、ちょっとそこどいて。
誰に話しかけてるねん!
じゃあ今日は昨日に続いて、三角関数の加法定理について話して欲しい?
しゃあないな、もうそんなにスポンジで耳たぶこすられたら教えるしかないな。
オレの耳たぶとお好み焼きの端どっちが好きか?
今日いったい何があったんやって言う頭のおかしさやな。
加法定理か。
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
これ…絶対覚えてください。
今ボコボコにされそうになった。
なんかそういう宣伝なかった?
東進かなんかの宣伝でカリスマ講師とか言うて、うさいくさいおっさんが黒板に書かれた英文さして
「これ…絶対覚えてください」
って言うねん。
そんなん誰でも言えるわ!
そうやな、やっぱり加法定理を覚えろ言われると、やっぱり慣れてくると自然と当たり前のように出てくるかもしれへんけど、最初これ覚えろ言われても困るし、覚えててもなんか直感的に納得いかんと思うと思う。
足したらサインコサイン、コサインサイン?
どういう意味やねん思うやろ。
そら複素数でド・モアブルの定理使ったらすぐにわかるとか、思い出せる言われたらあれやけど少々計算面倒やし、そもそも高校ではド・モアブルの定理を三角関数の加法定理で証明したのに、ド・モアブルの定理から三角関数の加法定理を導いたらちょっとおかしいやろ。
ということで、もっと直接的に意味がわかるように説明しよう。
まずはこれ
cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ
この右の式cosαcosβ+sinαsinβは実はベクトルの内積(cosα,sinα)・(cosβ,sinβ)と同じ。
cosαcosβ+sinαsinβ=(cosα,sinα)・(cosβ,sinβ)
これはもう見たまんますぐわかると思う。
これが何を意味するのか。
ベクトルの内積は覚えてるかな?
これは考えたらわかるってもんじゃなくて定義やから覚えなあかんねんで。
ベクトルaとベクトルbの内積はふたつのベクトルの間のなす角をΘとすると
|a||b|cosΘ
やったな。
ということはaもbも単位ベクトルとすると、つまり大きさが1のベクトル|a|=|b|=1とすると内積はただの
cosΘ
ここまではわかるかな。
単位ベクトル同士の内積はcosΘの値になる。
じゃあ
a=(cosα,sinα)
b=(cosβ,sinβ)
と言う成分のベクトルやったとするとこれは
cosαcosα+sinαsinα=1
cosβcosβ+sinβsinβ=1
やから、aとbは単位ベクトルになる。
この時ベクトルaとbのなす角は?
まあx-y平面で考えると、ベクトルaはx軸から角度α回転してて、ベクトルbもx軸から角度β回転してるから、このふたつのベクトルのなす角は
α-β
ということは、内積はcos(α-β)のはず。
ところでa=(cosα,sinα)、b=(cosβ,sinβ)の内積は
cosαcosβ+sinαsinβ
だから
cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ
ようするに、
cosαcosβ+sinαsinβはベクトル(cosα,sinα)(cosβ,sinβ)の内積になってることがさすがにこれは直感的にすぐわかる。
それでそのふたつのベクトルのなす角はα-β
だからこれは
cos(α-β)=(cosα,sinα)・(cosβ,sinβ)
って見えてくると直感的に理解できる。
ここまでこればβを-βに置き換えるとcos(α+β)はすぐに出る。
sin(α+β)もαをπ/2-αと置き換えたりするとすぐに出る。
ただちょっとsinまでは道のりが遠くなりがちかもしれへん。
(三角関数の加法定理のこと書いたけどsinの方も直接的にわかりやすそうなのを思いついたから、興味あったらかずスクール見たってな。
→加法定理の直感的理解)
でもこれはちょっと話すと大学の分野になってしまって一生習うことも無い人がほとんどかもしれへんけど実は
sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ
のこの右の式sinαcosβ-cosαsinβは三次元ベクトルの外積(cosβ,sinβ,0)×(cosα,sinα,0)のz成分に等しい。
(0,0,sinαcosβ-cosαsinβ)=(cosβ,sinβ,0)×(cosα,sinα,0)
だからふたつのベクトル(cos,sinα,0)と(cosβ,sinβ,0)のなす角はα-βでどちらも単位ベクトルであるから外積の大きさは内積同様にsin(α-β)に等しい。
だから
(0,0,sin(α-β))=(coβs,sinβ,0)×(cosα,sinα,0)=(0,0,sinαcosβ-cosαsinβ)
これはちょっと参考にならへんかもしれへんな。
高校生とかなら外積ってなんやねんって話ですわ。
まあ外積の計算のしかたは、たすきがけして引くみたいな感じやねんけど
(x,y,z)×(X,Y,Z)=(yZ-zY,zX-xZ,xY-Xy)
これはな、実はみんな中学生の理科で習ったことがあるねん。
フレミングの左手の法則ってやつ。
なんか磁石の間に導線通して電流を流すと直角方向に動いた実験覚えてるかな?
まあローレンツ力とか言うわけやけど。
それで、左手の中指を電流の方向、人差指を磁場の方向にあわせると親指の向きが力を受ける方向ってやつ。
あれが電流のベクトルと磁場のベクトルの外積が力のベクトルやねん。
外積は内積と違って別のベクトルをつくり出すねん。
物理的には、電荷をqその速度ベクトルをv電場のベクトルをBとすると電荷が磁場から受ける力のベクトルF
F=qv×B
外積の概念は実は、フレミングの左手の法則でやった親指の方向とその大きさを出すのと同じで今の場合
左の中指が(cosβ,sinβ,0)
人差指が(cosα,sinα,0)
親指(0,0,sinαcosβ-cosαsinβ)
で中指と人差指の間の角がα-βになっていると。
まあこの辺は参考程度に。
さあみんなも数学やりたいのはわかる。
でもちゃんと遊ばなあかんぞ。
数学、物理
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