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2024年11月

2024年11月30日 (土)

親の心子知らず-独立を決めた時の私(平成14年1月)

Pxl_20241130_033951159独立を決めた「瞬間」は、鮮明に記憶しています。

平成14年1月。事務所の先生から「不景気だから、独立の予定は遅らせて」と言われた時に、「いえ、もう独立したいんです」と言いました。

『親の心子知らず』というのは、まさにこのことで、100%私のことを心配して言って下さった言葉に、即座に切り返しました。

先に独立した先輩の事務所は、見させてもらっていました。「これだけの仕事が動いてるねん」と件数を見せてもらって、有志の無料相談会に参加させてもらうと、たくさんの相談者が来られていました。

確かに、古い世代では「司法書士業は、景気と密接につながっていた」のかもしれませんが、「自分もやってみたい」。「景気は関係ないんじゃないか」と思っていました。なので、「事務所を出たい」と言う機会はないかと、ずっと考えていたものの、なかなか言えませんでした。

当時の自分の経験から、平成22年12月に私の事務所から独立した森髙司法書士には、オープンに話してもらうようにしていました。

「下積みの経験がない人に、上積みの仕事はできない」と『伝説の外資トップが説く働き方の教科書(新将命著)』に書かれていましたが、こういう部分を切り取っても、まさにそのとおりです。

しかし、その後、スタッフの数以上に「辞めます」と言われてきた私は、スタッフへの配慮が足りないことを、後で気付くことになります。それと、立場変わって、「辞めます」と言われた側の気持ちも、知ることになります。

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2024年11月29日 (金)

住宅ローンの団信を「相続手続き」の目線で考えてみる

Camerazoom20190622103330679 事務所のホームページのコラム。現状141ページまでありますが、グーグルに認識してもらえていないページが、22くらいあります。

いずれも内容の薄いページで、例えば『住宅ローンの団体信用生命保険』の話。

『団信』というのはこういう保険で、「団信適用により完済になった、住宅ローンの抹消登記をお受けしたことがあります」であれば、司法書士なら誰でも書けます。だから、検索エンジンに、相手にしてもらえません。

ところが、「相続の手続き」という視点で考えてみると、団信は奥が深いです。

1.亡くなった後に引き落としされた、返済金はどうなるのか

2.預金口座の相続手続との兼ね合い、順番はどうなるのか

3.抹消書類はどの段階で渡してくれるのか(先に相続登記申請の必要はあるのか)

4.契約時に支払った、保証会社の保証料は清算されるのか

こういう部分まで踏み込んで説明されている記事は、なかなかありません。

ということで、団体信用生命保険について、「相続の手続きに取り組む司法書士」という視点から、まとめ直してみました。

さらに踏み込んで、「離婚をした際、銀行に無断で、財産分与で妻に名義変更をしていた。契約者の元夫が亡くなったので、団信の申請をした場合」の結果については、銀行員さんの中でも「さぁ??」というテーマです。実例あれば、教えて下さい。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム009「住宅ローンの団体信用生命保険と相続手続き」

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2024年11月28日 (木)

見積書用の電子印鑑

Pxl_20241128_060129035見積書をメールでお送りする機会が増えました。

見積書のソフトから直接PDFに変換するほうがきれいなので(わざわざ印刷して、認めの職印を押してPDF取り直していた時期もあり)、印鑑なしのPDFで送っていました。

「見積書に印鑑がない」という指摘を受けたことはなかったですが、ずっと気持ち悪かったので、職印風の「電子印鑑」を注文してみました。

文字にかぶせて押しても(PDFの「入力と署名」に一度登録してしまえば、左クリックで移動させるだけ)、文字は見えています。印影がきれいです。

「メールで納品」でいいのに、USBに収納された状態で、宅急便にて。パスワードは、別便で送られてきました。

ちなみに、大阪司法書士会の会則では、「第101条 会員は、依頼者から支払を受けたときは、報酬額とその他の費用を明確に区分した領収証正副2通を作成し、正本は、これに記名し、職印を押して当該依頼者に交付しなければならない」とあるので、

領収書については、この方法だとNGということになるのかも。

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2024年11月27日 (水)

株式会社の定款認証手数料にまた改正が入る件【会社設立】

Pxl_20241124_01563963912月1日から、株式会社の定款認証手数料に、また改正が入るようです。

「資本金が100万円未満」「取締役会非設置」「発起設立で、発起人3人以内」

という要件を満たせば、今、3万円に減額されているところ、さらに1.5万円に減額。ひと言で言えば、公証人に負担を押し付ける政策です。

資本金が100万円未満ということは、99万円台以下になるわけで、資本金「50万円」だったらまだしも、12月1日以降に設立された会社で、資本金「99万円」という登記簿を見たら、私が金融機関の立場だったらですが、口座開設は見送っていただこう、と(あくまでも一個人の感覚です)。

依頼者の方には、せっかくなら100万円にしておいたほうが、口座の作りやすさが変わるかもしれませんよ、と申し上げると思います。

それと、定款認証は、公証人業務の中では定型的で、手数料が高い部類に入る手続きと言われていましたが、司法書士だって、依頼者が独自に勉強して作られた定款を持参され、「この内容で定款認証を段取り欲しい」と言われたら、負担が重たいです。

自分の中にある形を崩されると、一から見ないといけない。だから「定款認証は定型的なのに、公証人費用5万円が高い」という目では、見てはいなかったです。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム007「会社設立費用の比較」

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2024年11月26日 (火)

士業はサイトの運営を任せ過ぎてはいけない【事務所運営】

Pxl_20241126_104632718 某知事選挙で、「SNSをコンサルした」とされている人が、話題になっています。

士業も他人事ではないのが、士業の世界独特の、倫理の部分。

外部の一般企業に必要以上に任せてしまうと、「士業の世界ではしてはいけない」ことを、目先の効果を狙ってされてしまう可能性があります。過払いのポスティングチラシは、いまだに入っていますが、明らかにやり過ぎ。

A事務所、B事務所のホームページの外見が、ひと目で見て同じ、という例も、よくあります。

記事の内容も、順番が入れ替わっていたりしても、ほぼ同じ。画像も同じ。

だから、調べ事をしていると、複数のホームページが、同じ文章でヒットしたり。

同じ士業が同じテーマで書くと、そういうことも起こりえますが、同時に「これは司法書士が書いた文章じゃないな」というのも、分かったりします。最後はやっばり、自分の手元に原稿を戻してもらって、専門家の文章として仕上げないと。。。

話を戻すと、もし士業のホームページを管理している業者が、「実はウチが更新しているんです(ウチの会社は凄いでしょ)」と書いてしまうと、「それはルール違反でしょ」というのが、某知事選挙の話だと思って見ています。

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2024年11月25日 (月)

『自分で会社を清算しました(幻冬舎)』

Pxl_20241125_081354758 会社の「解散から清算結了」の手続きの中には、登記上のことに限っても、いろんな論点があって、悩むことが多い手続き。

中でも、難しいのは、税理士さんが付かれていないケース。

清算事務報告書の数字で、なぜか司法書士が、あれこれ悩むことになります。

ところで、『自分で会社を清算しました』は、他の専門書とは異質で、経験者の話であれば面白いのかもと、買ってみました。複数の専門書を引用しながら、書かれています。

「専門家といえども法律の解釈を誤ることはあり得る。また、実務経験の長い専門家が執筆した文献は、現在有効でない古い知識に基づいて執筆されていることもあり得る。ひとつの文献のみに依拠しているとそういった誤りをその分野の専門家でない者が見つけるのは難しいが、複数の文献を読み比べれば専門家でなくても誤りに気付くことができるかもしれない」(本書のまま)

私が調べごとをする際も「これは正しいのか」という、自分のフィルターを通して見るようにしていますが、「経験の長い専門家」のほうが、疑われるのですね…。

この本の中では、清算結了の登記が終わった後に、印鑑の廃止届を法務局に出されていたり(→司法書士からすると、まさか。すでに登記簿が閉鎖されてるのに、わざわざ印鑑の廃止届とは、想像もできません)、清算結了後に銀行口座を解約して利息が発生したとされていたり(→それはありなのか)、専門家が書いた本だと、これは書かれないだろうな、という部分はありました。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム20「株式会社の解散から清算結了までの流れ」

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2024年11月24日 (日)

『移動する人はうまくいく(長倉顕太著)』

Pxl_20241124_101858608 『移動する人はうまくいく』ということは、旅行好きの私の人生はうまくいくのかな、と考えて、手に取った本。

移動することで、「人間が本来持っている感覚が蘇ってくる(本書の表現)」のであれば、旅行も含むのでしょうけど、著者は、それだけでなくて、住む場所や、働く場所も変えていくことで、いい人生になるのではないか、と書かれている気がします。

確かに、私も引っ越しを経験して。

結婚の時に買ったマンションは、景色が良くて、PLの花火の日は、誘わなくても誰かが遊びに来てくれて、この眺望は絶対に手放さないぞと思っていたものですが、事務所の近くに引っ越しして、眺望が見込めない中層階に住むことで、心身が落ち着きました。

こういうのも、動いてみないと、分からないことです。

「電車の中で移動しながら本を読む」というのも、好きなことです。家や事務所とは違う環境で、新しい情報を取り入れることで、インプットの効果が2倍になればいいな、と。

ただ、「会社員でいることがもはや最大のリスク(本書の表現)」「まずは独立開業しようと宣言しよう(本書の表現)」といった部分は、人には向き・不向きがあります。万人に当てはまることではないので、暴論のように見える部分もありました。

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2024年11月23日 (土)

「法律事務所をつくる!(ハードウェア&ノウハウ集積編)」

Pxl_20241123_093048377弁護士さんか書かれた「法律事務所をつくる!(スピリット&マネジメント編)」と並行して読んでいたのが、「法律事務所をつくる!(ハードウェア&ノウハウ集積編)」。

法律事務所の開業を支援する立場、コンサルされる業者さんの立場から書かれた本です。

私の場合、独立の時と1回目の引っ越しの時は、紹介で出会ったコクヨ系の備品屋さんのお世話になって、2回目3回目は、オフィス移転の専門業者さんのお世話になっています。

2回目と3回目の引っ越し時は、LANも複雑になり、「ただ荷物を運ぶだけ」では済まなくなったためです。

事務所の備品も、最初は、家庭用のものでも良さそうなところ、そこは「形から入る」で、事務所らしく。ワンルームマンションなのに、開業時に、備品代だけで44万円分も使っています。

司法書士は、「携帯電話とパソコンがあれば、自分の身ひとつでできる」スタイルも選択できますが、2か所の事務所勤めを経て、事務所構え、見栄えも大事。司法書士事務所というのは、こうあるものだ、というイメージを持っていたからだと思います。

無意識に持つイメージというのはとても大事で、他人を雇用する予定もなかった私が、今、4人の事務所を運営できているのは、形から整えて「こうありたい」というイメージを持っていたからではないか、と。しかし、それは後付けの理屈で、実際のところは、先のことを考える余裕なんてなかったです。

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2024年11月22日 (金)

特別弔慰金国庫債券の申請と相続手続き【相続・成年後見】

Pxl_20241020_061539981 現在、第十一回の特別弔慰金国庫債券の償還期間中。来年が、5年分の5年目となります。

戦没者の遺族に対する弔慰金を、国債形式で償還されているもの。そういう意味では、日本もまだ、戦争を引きずっていることになります。

特別弔慰金国庫債券の手続きには、一番最初は、被後見人さんが持たれていたので、関与することになりました。他所の郵便局では、取扱い不可。印鑑を届けてある郵便局で、その年の分を切り離して、現金を受け取ります。

しかし、その次の弔慰金の申し込みをしている最中に、亡くなられました。

次は、被保佐人さんが「過去に国債を持っていたのを見た」という証言をもらって、区役所で調査。まだ受付期間中であったため、区役所での申請は間に合いましたが、国債が届くまでに亡くなられました。

最近では、純粋な相続手続き(夫婦間)を取り扱ったのと、被補助人さんが持たれていたはずの国債が見当たらなかったので、郵便局経由で日銀に再発行の申請。今年の分を、受け取ったところ。

郵便局、日銀。それと、住所地の役所が関与する、珍しい手続き。

全体像が見えたところで、備忘録としてコラムにまとめました。「特別弔慰金国庫債券の相続手続き」です。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム84「特別弔慰金国庫債券の相続手続き」

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2024年11月21日 (木)

登録免許税法別表一の商業登記の区分【会社登記】

Pxl_20241121_032231080 登録免許税法、別表第一にある、商業登記の区分。

普段は、あまり気にすることはないですが、気付かぬうちに区分が変更になっていると、がっかりします。

例えば、私が受験勉強をしていた時、「その他の変更」は「レの3万円」でしたが、今は跡形もありません。「解散ヨ、継続タ」と、暗記していたものです。

同じ「登録免許税3万円」でも区分が大事なのは、同じ区分の変更登記を同時にする場合、何種類登記を入れても、合計3万円で済むため。

2007年に出版された『組織再編の手続』では、資本金を変更しない合併と、その他を変更登記を同時にする場合は、同じ「ネ」区分のため3万円という記載があり、どこかで「ネからツに変わったはず~」と、区分が変わった経緯を調べようとしたものの、調べられず。

2016年に出版された『組織再編の手続(第2版)』を買ってみると、ちゃんと「ツ」区分となっていました。

「資本金の変動がない吸収合併」と「目的変更」を同時に申請し、別区分と読み違えて「登録免許税を6万円」で申請。補正した経験がきっかけで、ホームページにも書いたのに、そのホームページの区分も古いままでした。

そして、区分が変わっていることを確認するために、新版を買う司法書士…でした(残念ながら、リーガルライブラリーには、本が見当たらず)。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム100「吸収合併の手続きと登記のポイント」

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2024年11月20日 (水)

「理性的な問いと、不合理な答え」

Pxl_20241113_033926407 後見人等として、被後見人さんらの自宅不動産の売却をするケース。

実は「自宅を売却しないと、お金が足りない」というケースは少なくて、売却するのは、管理上の都合。

昨今、自然災害が増えていることで、周囲に迷惑を及ぼす可能性であったり、空き家のままというのは、防犯上好ましくないため、といった事情を書いて、裁判所に提出することが多いです。

居住用不動産の売却の場合は、裁判所の許可が必要、とされています。

一方、「売却しないと、お金が足りない」ケースでは、ことごとく、ご本人の抵抗を受けています。

長年住み慣れた自宅、好んで施設に居るわけではない。細かいお金の計算は分からない。でも、戻れるならば自宅に戻りたいと思われているのですから、それも仕方がない。でも、後見人である私は「後見人なんだから、何とかしてください」と利害関係者から、言われるわけです。

「お金が足りないから、このままでは施設に居れないです」という正論も、周りから見たらどうなのか。

後見人というのは、本人が嫌だと言っているのに、他人様の家を売却して、ひどいことする人なんだなと思われないよう、親族さんであったり、施設の方も巻き込んで、精神的なケアもしてもらいつつ進める、しかありません。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 成年後見サイト「住んでいた不動産(居住用不動産)を売却する手続き」

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2024年11月19日 (火)

「任意後見契約」or「必要になった時に補助の申立」【成年後見】

Pxl_20241118_075252131公証人の先生に、施設まで出張してもらい、遺言書と死後事務委任契約。それと、見守り契約をしました。

本来であれば、ここに「任意後見契約」もセットで入れるべきところですが、「絶対に後見人が必要」という環境にはおられないこと。見守り契約を入れてあるので、もし必要になれば、本人申立てという形で、一番軽い「補助」の申立てをお勧めすればいいのでは、という考えもあります。

「今のうちに、司法書士と任意後見契約をしておきますか。それとも、必要が生じた時に、裁判所で後見人を選ぶ申立てをしますか」という選択は、素人の方には、とても難しい話になります。選択に必要な要素が、多過ぎるためです。

「本人申立で補助」という選択は、例えば、突然の脳梗塞で起きられなくなった、という事態には対応できません。

任意後見契約を発効させるには、ご本人が認知症になられた時に、裁判所に任意後見監督人の選任申し立てが必要になります。結局、裁判所の手続きを踏まないといけない。ご本人の同意も必要です。

法定後見制度で「司法書士に後見人を頼みたい」と言ったら、監督人が必須ではないのに、任意後見だと監督人が必須(=監督人の報酬も必要)、というのは、制度上の不備。バランスを欠いている気がします。

それと、「頼みたいことを、自由に選べる」のが任意後見のメリットとされていますが、私が6年前に締結させてもらった任意後見契約では、「マイナンバーに関する諸手続き」が抜けてしまっています。必要なことは、時代の流れ、その時の環境によっても、変わってきます。

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2024年11月18日 (月)

登記完了後の登記簿謄本を法務局で受け取る理由

Pxl_20241118_074627119オンライン登記申請システムを利用し、午前中、法務局堺支局に、「速達での郵送」で請求した登記簿謄本が、夕方には事務所に届きました。

登記簿謄本代(実費)500円と、速達代300円のみの負担。普段、郵送での請求は使わないので(普段は、法務局にある『私書箱』に入れてもらうように指定)、そんなスピードで仕事しておられるとは、知りませんでした。

ちなみに「普段、郵送での請求を使わない」のは、法務局から戻ってくる登記簿謄本=お客様にお返しする登記簿謄本に、折り目を付けられるのが嫌、という、子供みたいな理由です。

「折り目を付けられた登記簿謄本」に対し、お客様がどう思われるかは分かりません。「こんなものだ」と気にされない方が、ほとんどであるならば、司法書士の勝手な美意識です。

一時期、申請者「司法書士吉田浩章」の欄に、「折らないで送って下さい」と入力することで、法務局は、大きな封筒で折らずに郵送してくれていた時期もありました。ある時「今後はやめて下さい」という連絡があってやめた、記憶があります。

急がない用事は、まとめて堺東で済ませます。自転車で10分走って、堺の法務局に現物を取りに行く、ということにしています。

だから、ウチの事務所の登記簿謄本代の実費は、1通480円です。

郵送で請求する場合の1通500円で請求しても、お客様には分からないところですが、実費は実費なので、実際にかかった費用だけ、請求書の右側に入れています。

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2024年11月17日 (日)

「法律事務所をつくる!」(弁護士近藤早利著)

Pxl_20241117_075329015mp「法律事務所をつくる!(スピリット&マネジメント編)」が出版されたのが、平成13年10月。

平成14年1月に独立を決めた私は、この本を何度も読んで、支えにしていました。書かれているのは、弁護士の共同事務所を作る話なので、ひとりで事務所をやっていこうとしていた私とは、次元が違い過ぎるのですが。

だから、今読んでも、ものすごくいいことが、書かれています。

ずっと頭に残っているのが「雇用を創出してこそ、経営の醍醐味」というフレーズ。

正確には、経費節減が安定経営に資するという考えには与しません、という話の後に「雇用を維持・創出してこそ企業経営の醍醐味でしょうに(本書の表現のまま)」と続きます。

私自身、当時は人を雇用することは、予定していませんでした。「ノリと弾みとタイミング」で、2人で事務所を始めることになったものの、「2か月だけ手伝って。後はひとりでやる」と言っていました。

大きくするのは、簡単。小さくするのは、難しい。

だから、悲観的に。規模を極力小さくして始めたことは、今になっても正解だったと思っています。

司法修習の最終講義で黒板に書かれたという言葉「恒産なければ恒心なし(本書の表現のまま)」も、本当にそのとおり。

自分の心配をしている状態じゃ、人のことを心底思いやることはできない。家族のこと、従業員のことも、依頼者のこともです。

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2024年11月16日 (土)

独立を決めてから開業するまでの記録(平成14年1月~7月)

Pxl_20241115_000529071 独立開業前の話。

平成14年7月1日に開業した私は、事務所の先生との「独立する時は、半年前に言うこと」という約束を守り、平成14年1月に伝えました。「出る」と言った後の半年は長いですが、やることはいろいろあります。

・3月31日、パソコンを購入(178,269円)
・4月14日、事務所の賃貸借契約
・4月22日、請求書のソフトを購入(92,400円)
・6月20日、コピーFAXの複合機を購入(504,000円)

いきなりコピー機を買うなんて、まさに「形から入っている」としか思えない進め方。「司法書士事務所には、コピーFAXの複合機があるもの」という固定観念がありました。請求書も、最初はエクセルで十分なのに。

アスクルのカタログを眺めるのも、楽しかった。

5月頃、その後、私の奥様になる人が、「見せたいものがある」と家に持ってきました。事務所のホームページの原型、手作りのものでした。

6月22日には、机やキャビネットを搬入。合計441,000円の中には、200キロの対価キャビネットもありました。

7月1日から、2人で事務所を始めました。前の日に「明日から来れる?」と私が言った、と言っていますが、その記憶が、私にはありません。

ホームページは8月に公開。12ページ、今からすると小規模のものですが、素人が作ったにしては上出来。わりとすぐに、問い合わせが入り始めます。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所メインサイト「事務所の歴史 第1章創業期」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム44 「堺東の司法書士」より「三国ヶ丘の司法書士」

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2024年11月15日 (金)

合同会社の社員(役員)が死亡した時の登記

Pxl_20241114_230346159合同会社は、株式会社に比べると設立費用が安くて、10年ごとの重任登記も不要。

「とりあえず法人格があれば」というケースで好まれている会社形態ですが、友人同士で設立される時に、片方が亡くなられた時はどうなるでしょうかと、お話しして、最終的に、株式会社を選ばれたことはあります。

というのも、合同会社の社員(出資者でもある役員)が亡くなられた時の登記。

シンプルな論点なのに、登記の方法が確立されていない、のが現状。専門書を並べて読んでみても、「私見」しか出ていません。論点を避けられている本も、あります。

でも、『商業・法人登記500問』の記述は、一歩前進しているような気が。

登記の実務が「なんとか説」に左右される状況は、司法書士として、とても困るのです。

設立される時から、途中で亡くなられることを想定してもらうのも、難しい。司法書士が「そこ」に拘り過ぎると、何を細かいこと気にしてるねんと思われかねないですが、「作りやすい」というメリットだけじゃなく、リスクもちゃんと説明しましたよ、という記録くらい、残しておいていいのかもしれません。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所「コラム005 合同会社 運営上気をつけること」

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2024年11月14日 (木)

残高証明書取得の報酬を別計算にした理由【相続手続き】

20220412_113506855-2金融機関の相続手続きの費用。

10月の報酬改定で「残高証明書や取引明細書が必要な場合は、11,000円加算」という項目を入れました。

同じ金融機関であっても、相続による解約の係と、残高証明発行の係が違う。別々に郵送しないといけない、ということもあるため。

例えば、ゆうちょ銀行は、窓口で残高証明書が出るものの、少し待たされます。「残高証明なら郵送でいけるものの、取引明細書は店頭でないと不可」という金融機関もあります。

それと、残高証明書の発行手数料の支払い先が「別段預金」となっていると、事務所のネットバンクでは振り込めない。窓口で振り込むと、下手すると、発行手数料より振込手数料のほうが高くなる、ということもあります。

相続手続きに「残高証明書や取引明細書が必要」ということは、”相続税の申告があるため”という場合になりますが、「残高証明書の取得は別工程」という認識で、別計算にさせてもらっています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 手続き費用一覧「各種相続手続き」

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2024年11月13日 (水)

「空き家の3000万円控除」と相続登記【不動産登記】

20240119_085619970-1「空き家の3,000万円控除」の要件について、税理士さんから質問が来たので、どうされたのかと思ったら、「区分所有建築物」に該当するのかどうかを確認されたかった、とのこと。

確かに、それだったら司法書士の範疇です。

「空き家を取り壊して売却した時の3,000万円控除」は、今まで、私のお客様で2度使いました。

事前に要件を読み込んで、これは使えるのではないかと、税理士さんに相談。相続登記の入れ方で問題になってはいけないので、税理士さんに申告を引き受けてもらえる(責任を負ってもらえる)状態にした後、相続登記を入れました。

仲介業者さんもご紹介して、現場の写真を撮ってもらったり、役割分担をしながら、最後、申告まで見届けました。

「空き家の3,000万円控除」を使うには、まず市役所で『確認書』(被相続人居住用家屋等確認書)をもらわないといけないため、3回目の事例では、私が市役所に確認しながら、相続手続きを進めていました。窓口には「不動産業者さんが来られることが多い」と聞きましたが、市役所への申請となれば、むしろ行政書士業務なのかな、という考えもありました。

税金の話が続きましたが、これはたまたまです。税理士さんに取り次ぐにも、司法書士がある程度の知識は持っておかないといけない、というのがオチ。それも、昨日の話と同じです。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 遺産承継サイト「事例1 空き家の3000万円控除を利用した事例」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム124 相続した空き家を売却した時の3,000万円特別控除(相続)

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2024年11月12日 (火)

不動産の財産分与と不動産取得税・贈与税【不動産登記】

Pxl_20241110_063705240コラム43「離婚に伴う不動産の財産分与と税金」を更新しました。

先日も書きましたが、司法書士は、税金の相談には応じられません。

但し、不動産登記の依頼が目の前にあって、「贈与税は、どうなんですか」「不動産取得税は、どうなんですか」と聞かれた場合、「ごめんなさい。司法書士なので知りません」では話にならないため、基本的な知識は、持ち合わせておく必要があります。

不動産取得税に関しては、財産分与の登記が終わった後、大阪府税事務所から「次の要件に該当する場合、課税の対象外になります」という案内文が送られることがあるようです。

戸籍謄本と登記事項証明書を提出し、不動産が婚姻中の取得であり、かつ、慰謝料目的でなければ、不動産取得税は課税の対象外。但し「申出がなければ課税します」とされています。

贈与税に関しては、「離婚の日から2年経過した財産分与は、贈与とみなされる可能性がある」という情報が、ネット上で散見されます。本当なんでしょうか。

私が税務署で聞いた事例では、2年が経過していても「登記の原因が財産分与なら、財産分与と扱います」という回答を得ています。その時は別便で、依頼者の方にも、聞いてもらいました。それと、コラムをまとめていて、「2年」とされている期間(民法768条Ⅱ)が、「5年」に改正されることが決まっている…ことを知りました。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム43「離婚に伴う不動産の財産分与と税金」

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2024年11月11日 (月)

「成年後見業務 取り扱い実績一覧」を更新

Img_20231103_160143-1 成年後見サイトの「成年後見業務 取り扱い実績一覧」を更新しました。

今年は、現時点で、新規の就任が9件。

トータルの就任で、53件。
現時点就任中は、28件となります。

堺の司法書士でありながら、裁判所の管轄が「大阪本庁」が続いているのは、「施設さんの紹介が多い」というのが、一番の理由です。

定期的に面会に通っていると、「また1人頼みたいのですが」というお話を、いただくことになります。身寄りのない方を、身元引受人がない状態で引き受けてくれる施設がある、ためです。

まさに、「仕事が仕事を生む」という状況で、とはいえ、施設さんとべったりになると、何か問題が起きた時に言えない、ことになりますので、一定の距離感は保ちながら、お付き合いしているつもりです。

就任時と死亡時には、通常時の3~5倍くらいの負荷がかかります。7月8月頃は、いろいろと重なって大変。事務方もパンクしかけでしたが、今は態勢を立て直すことができています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所後見サイト「成年後見業務 取り扱い実績一覧」

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2024年11月10日 (日)

『発達障害に生まれて(松永正訓著)』

Pxl_20241110_094716046mp 『発達障害に生まれて(松永正訓著)』は、未読のまま、本棚にあった本。

先週紹介した『開業医の正体』の中で、題名が出て来たので、もしかしてと本棚を探してみた。同じ著者でした。

この本が深みを出しているのは、著者は医師である「私」であるものの、「母」から聞き取った話を、「母」の視線で、自閉症である勇太君のことと、「母」の心の動きを赤裸々に語られている部分。その「母」は、特別支援学級の教員資格を持っている、という背景もあります。

「障害」の「害」の文字を使う理由など、専門家のフィルターを通して語られているので、伝わり方が違います。

「子供は親を選んで生まれてくる」という話は、本当にその通りと思うしかありません。但し、教員資格を持っていることと、自分が親になることとは全く違う。母の気持ちの変化も、リアルに伝わります。

成年後見制度の話も、出てきました。

私の事務所でも、難病を持つ兄妹の後見人をお受けしています。我々のほうが年長になります。役所の手続きも、何種類もあって複雑。この本に書かれているように、「信頼できる後見人に出会えた」と、ご本人とお母様に思ってもらえる存在で、居続けないといけません。

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2024年11月 9日 (土)

「挨拶回り」や「飛び込み営業」は必要なのか【事務所運営】

Pxl_20241107_231819227mp 土曜日の連載、過去を振り返る話。時計の針を少し戻して、平成14年7月。4年と9か月の勤務経験を経た私は、三国ヶ丘駅前のワンルームマンションで、独立開業しました。

『開業の案内』を郵送したところ、「ちょうどよかった」と抹消の依頼がありました。7月1日に申請した商業登記があったので、「やることなし」状態ではなかったものの、「経費をどうやって賄うか」という、マイナスの思考しかありませんでした。

先輩から回してもらえた仕事。それと、月1回、有志で開催していた無料相談会から、仕事は少しずつ入ってきました。

JCからのお誘いもありました。集会に参加はしてみましたが、面倒くさいなという記憶しかありません。

メインは、ホームページ経由のお仕事です。「金融機関や不動産業者には近付くまい」と決めていました。

大学の会報で取材してくれた時の記事によると、「7月から11月まで14件の相談があった」と書かれています。債務整理を扱う司法書士、ホームページを持つ司法書士がまだ少数派だった時代で、見えないところで、追い風は吹いていました。

多くの人が、仕事を得るために、最初は「いろんなところに顔を出す」とか、「飛び込みでの挨拶回り」と書かれています。今の私が開業前の状態だったら、「そんなことしたくない」と絶望するでしょう。でも、嫌なお付き合い、営業回りみたいなことはせずに、あれから22年が経過。今に至っています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所メインサイト「事務所の歴史 第1章創業期」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム040「営業行為」をしない司法書士事務所

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2024年11月 8日 (金)

年金の振り込みは急には止まらない【相続・成年後見】

20240316_170745950-1 被後見人さんが亡くなられた後に入る年金は、未支給年金。
相続財産とはならず、要件を満たす遺族の方が、請求されることになります。

要件を満たすような遺族の方がおられない場合は、後見の残務処理がややこしくなるため、年金の入金口座を凍結させて、年金が入らないようにしていますが、今回、8/15の年金について「ご返納いただける方を調査しています」と、今頃、通知が来ました。

聞いてみると、年金振込口座の解約がされていない限り、凍結されていても、振り込みの処理がなされてしまう、と。

振り込まれたお金は、どこで止まっているんでしょう。年金事務所への死亡届は、7/17に投函しています。

年金事務所に死亡届を出しても、振り込みはすぐに止まりません。感覚では、1か月半あれば大丈夫。1か月であれば、間に合わないかもしれない。そもそも、その死亡届も、年金事務所にマイナンバーが収録されている方は省略できる、とされているのに。

死亡届を出した以上、その後の年金の送金は止めてもらわないと、相続人と、未支給年金の請求者が違う場合は、清算がややこしくなります。未支給年金の請求をしても、亡くなられた方の口座に入金されてしまえば、年金事務所はノータッチ(但し、年金事務所からの返金の請求はしない)という立ち位置、です。

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2024年11月 7日 (木)

今マイナ保険証に切り替えなくて大丈夫【成年後見】

Pxl_20241023_222311131-1 「12月になったら、保険証が使えなくなる~」と騒がれている被後見人さんと、電話で押し問答。「それは誤解なので、大丈夫です」「12月以降も、保険証は使えます」。

「そんなことない、テレビで使えなくなると言ってる」「政府がそんないい加減なこと言うんですか」と言われると、残念ながら「はい、言うんです」が答えです。

ホントに、誤解させるような情報の流し方して、罪な話だとずっと思っていました。

別件で、マイナカードの暗証番号が分からないまま、住所の異動をした被後見人さんには、再設定用の用紙が届いています(但し、本人の住所宛てに発送されます)。

ところが、再設定する際の持参書類の中で、「マイナンバーカード以外の身分確認書(免許証・パスポート・保険証・年金手帳等)」と書かれています。

もし、運転免許証や保険証をマイナカードに一本化したら、手続きに必要な本人確認書類が減ってしまうのは確実。万が一、マイナンバーカードを紛失したとなると、再発行の手続きに、どうやって本人確認するのか、です。

だから、今、バタバタとマイナ保険証に切り替えようとする必要はないし、様子見で大丈夫です。

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2024年11月 6日 (水)

葬祭扶助を受けた場合の残余財産の引き渡し方法【成年後見】

Pxl_20241101_044529680mp亡くなられた被後見人さん宛てに、NHKから納付書が届きました。

ワケが分からず電話すると、「生活保護が切れた」という情報だけがNHKにいくそうで、結論として「支払いはしなくていい」。但し「これからは、亡くなられた時点で電話下さい」というNHKの話。

契約がどうなっているかも分からないのに、そんなことできるのかは疑問です。

本件は、「葬祭扶助」という形で、生活保護課のほうで葬儀代を負担してもらったため、最後の後見人報酬を含む残務処理をした後、残余財産は役所から納付書を発行してもらい、役所に振り込みすることで、引継ぎ終了となりました。

残金がゼロになった通帳自体も、役所に引き渡すよう求められています。

「役所に残余財産を返還する」というのは、はじめての例でしたが、裁判所から死亡時に発行される、引き渡しのフローチャートを見ても、葬祭扶助を受けた場合は、生活保護課に引き渡しすることが、想定されています。

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※大阪裁判所から届く、死後の報告に関する『事務連絡』から引用

→後見事務費、弁済期が到来している債務を清算後、本人の財産がなくならない場合は『引継関係書類』が必要。『引継関係書類』とは、「本人財産の相続人等への引継書及び引継書別紙の引継時を基準日とする財産目録(生活保護法により葬祭扶助を受けた場合には、市町村へ財産を引き継いだ旨の引継書)」

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2024年11月 5日 (火)

「模範六法」の文字が細かくなった気がした理由

Pxl_20241105_013616972mp来年の「模範六法」が届きました。

めくってみると、去年より文字が細かくなったのではないかと、思わず過去の六法をめくりました。気のせいか。

毎年、来年こそ六法を汚そうと思うのですが、なかなか。「六法を汚す」=条文に戻って勉強する、という意味です。

同年代で仕事をしていると、細かい字が見えなくなった人、多数です。

普段、眼鏡をせずに過ごせる人は、細かい文字を見るだけメガネをかける。私は逆に、普段からメガネをしているので、細かい文字を見る時だけ、メガネを外す。

こういうのは、自分がそうなってみないと、分からないところ。

歩けなくなるとか、階段を上れなくなるとか、程度の差はあれ、自分がそうなってみないと分からないこと。分かることはできなくても、分かろうとすることはできます。

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2024年11月 4日 (月)

『開業医の正体』(松永正訓著)

Pxl_20241104_093258003mp『開業医の正体』は、開業司法書士として参考になることがあると思って、手に取りました。

本から一番伝わったのは、「経験が大事」ということ。ブラックな勤務時代の経験があるから、量をこなしてこられているから今がある、ということです。

司法書士試験の合格者の平均年齢が上がって、勤務経験を経ない「即独」が増えているかもしれないとすれば、段階踏んで進んでも、遅くはないと言いたい。

「つまり開業医は、それまでの自分の経験と知恵を売り物にしている仕事である」「人生経験豊富な医師は、家族の問題を解決する経験値がある。ぼくなど、まだまだ鼻垂れ小僧だ。人生の深みを知るのはこれからだ。」(以上、いずれも本書の表現のまま)

19年大学病院に籍を置き、開業18年の著者が「鼻垂れ小僧」ならば、どこまでやれば『経験豊富』の境地に立てるのか。

司法書士も同じで、毎年法律が変わって、毎年新しい制度ができて、そんな中、結局は「人」を相手にするお仕事なので、どこまでいっても「これで十分」と思えることはない。そう考えてやっています。

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2024年11月 3日 (日)

『日本一稼ぐ弁護士の最強メンタル(福永活也著)』

Pxl_20241103_011924599mp『日本一稼ぐ弁護士の最強メンタル』は、先に読んでいた『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』の各論編のような内容。

法律事務所に就職して、事務所の仕事をしながら自分の仕事をして、東日本大震災の原発被災者となった事業者の支援をした。あれ、こんな話読んだことないかも?と思って読み返すと、先に出された本では軽く流されていた内容が、具体的に書かれていて、著者の生き方が、伝わりやすかった。

「勤めている時に、自分が抱えている仕事を過少申告してでも経験を買う」みたいな考え方は、私になかった。普通の人は、できるだけ楽してお給料をもらえたら、それでよしと思うもの。

「事務員も雇わず、ひとりで長時間労働をする」というのは、私には無理。メンタル以前、ここまでできないし、やる気もないかなと考えると、同業者の中でもいろいろと差が出てくるのが、どうしてなのか、というのも、見えたりします。

「深夜のメールが職員にはプレッシャー」というのは、「休日に私が仕事をすると、職員が逆に疲弊する」のと同じ。今の私の事務所でも同じだから、この話は分かりました。金曜日、せっかく仕事を片付けて帰ったのに、月曜の朝に職場に行くと、仕事が山積みとなると、気持ちが萎えます。

著者の生き方の真似はできないけれど、「ここまでやっている人がいる」というのは、参考になるので、自分が若い時に知っていたら、もっとよかったかなと思いました。

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2024年11月 2日 (土)

1回目の司法書士試験が終わった後

Pxl_20241014_045143193-1平成8年7月、1回目の司法書士試験の受験を終えた後で、20日間の中国の旅。

就職浪人をして「あと1年」、受験勉強を続ける私に、親は何も言いませんでした。何を言っても聞かない子、ということは、もう伝わっています。やりたいように、させてくれました。

平成9年7月の試験にピークを持っていくには、早く仕上げてしまっても続かない。年明けから、早稲田セミナーと日本司法学院の答練を受けることを決め、平成8年中は、わりとのんびりとしていました。

基礎講座に合わせて始めた「なんば」での居酒屋のバイトには、引き続き通っていました。勉強に集中するために、環境は変えないほうがいい。

12月は、28日勤務という無茶なことをしています。お金が必要だったわけではなく、ただ、仕事するのが楽しかっただけ。

3日しかない休みのうち1日は、祖父が亡くなった日で、祖父が自宅マンションに戻った横で(病院から葬儀会場に直接移動するのではなく、一度家に連れて帰っていたのが、今とは違う話)、孫たちで肉じゃが作ったことが、記憶に残っています。

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2024年11月 1日 (金)

不動産取得税は専門家の空白地帯【不動産登記】

Pxl_20241101_054638215 税金の相談は「税務署か税理士さん」であることは間違いないですが、「登記にからむ税務」となると、ちょっと話が違います。

質問する側が理解していないと、司法書士が気になっていることを伝えられないし、「税務署や税理士さん」が、登記の知識を持ってくれていないと、分かられないことが普通にあります。

今回は、私が「税務署に確認してください」と言ったがために、長期間保留になっていた案件を再度お受けして、6年前の対応は良くなかったかな、と振り返っています。その論点は、この6年の間に、私の中では「解決済み」になっているからです。

例えば、不動産取得税は、専門家の空白地帯です。

実務上、不動産を取得した人が積極的に申告する、というシステムではなく、課税の対象になると思われる方目掛けて府税事務所から案内が届く、というシステムになっています。結果的に、税理士さんが申告に関与される機会が、圧倒的に少ない税金、となります。

司法書士が、「不動産取得税の計算だけ」の相談に応じるのはNG。

但し、ご依頼を受けた登記に関して、登録免許税の計算と共に、不動産取得税の計算もできないと。基本的な知識を持っていないと、お客様に想定外の負担を負わすことになります。

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