<!‐- 17 -->家庭裁判所の手続

2024年10月12日 (土)

相続開始から30年経過後の相続放棄

Img_20231020_135241-1先日の研修で「平成3年に発生した相続。諸々の事情を考慮して、相続放棄ができるか」というテーマが出ました。

「30年も経っていたら、相続放棄はできない」という意見もありましたが、期間の制限があるのは、「自己のために相続開始を知ってから3か月(民法915条)」という規定だけで、「相続から1年経過なら可能、10年経過だから不可」という規定はありません。

ウチの事務所における相続放棄で、一番古い事例は「昭和40年死亡(令和5年申立)」です。長期相続放棄等未了土地解消作業で、法務局から通知が来て知られた、というお話しでした。

直近の相続放棄の申立事例は「昭和63年死亡」なので、被相続人の住所証明書も出ませんでした。「被相続人の最後の住所地に関する事情説明書」を付けて申立てしました。大阪家裁の場合、相変わらず、照会書は省略されています。

少なくとも、「そんな人(被相続人)の存在すら認識していなかった」のであれば、「自己のために相続開始を知る日」は、役所や債権者等の外部からの通知が届いた日、という解釈で、裁判所的にも間違っていないと考えています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム35「死亡の日から3か月が経過した相続放棄」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム58「相続放棄の流れは管轄の裁判所により異なる」 

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2024年9月20日 (金)

大阪家裁の『予納郵券』が更新されています

Pxl_20240920_030934936110円のシール式切手を仕入れました。

先日、「84円切手はもう買わない」と書きましたが、16円切手、26円切手が売られていることを知り、郵便局で買いました。但し、ネットショップでは売り切れ状態です。

大阪家裁のサイト。相続放棄の申立ての予納郵券は「10月1日以降」バージョンになっていたので(84円×5、26円×5)、26円切手も入れて、申立てします。

後見の申立てについては、「新しい情報がない」と、二人がかりで探して、今までどおり…と話をしていたのに、今調べると、新バージョンに更新されています。

裁判所のサイトと、民間のサイトを比べたらいけないのでしょうけど、家庭裁判所のサイトは見づらい。探しづらい。リンクをたどって、目的地にたどり着けたと思ったら、またリンクが並んでいて、迷路です。

よくある「更新情報(令和6年9月〇日 予納郵券一覧 更新)」みたいリンクが有益、ということが分かります。

事務所のサイトを書き換えるのも大変そうですが、ウチの料金体系は「通信費を含む」が多いので、この機会に、報酬の書き換えも考えています。

※大阪家裁の予納郵券の一覧表は、10月に入って、さらに更新されています。相続放棄の場合は550円(110円×5)。後見申立の場合は4,500円(500円×2、110円×20、100円×10、20円×10、100円×10)に変更になっています。

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2023年12月14日 (木)

自筆証書遺言検認に必要な収入印紙は800円+150円【遺言書検認】

20231214_110300529自筆証書遺言の検認期日。司法書士のささやかな役割として、「収入印紙150円分をお持ちする」ことを心掛けています。

検認済証明書の手数料150円分の収入印紙は、いわゆる予納ではなく、当日持参。

裁判所から、申立人に送られる案内には「150円分をご持参ください」と書かれてはありますが、一般の方は、なかなか収入印紙を買われる習慣がありません。

先日、ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』で、「収入印紙代800円をどちらが負担するか」で検認期日に相続人が揉める、というシーンがありましたが、司法書士としては「150円のこともあるよ」と思いながら見ていました。

検認済証明書は、少し待っていれば遺言書に合綴し、裁判所が割印を押して返してくれます。

今日は、検認済証明書を付けてもらった遺言書を持って、申立人の方と共に、区役所の窓口に移動。

「公証役場で離婚公正証書を作った足で、区役所の戸籍係に」というのは、よくある話ですが、はじめての例です。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所相続サイト「自筆証書遺言の作成」

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2023年10月20日 (金)

父母再転相続人の相続放棄申立書の書き方【相続放棄】

Img_20231020_140623ウチの事務所にある、相続放棄関係の本たち。

マニアックな「現代法学の諸相」は、相続放棄の手続きで、必要に迫られて購入した本です。

「相続放棄の専門書が少ない」というのは、日頃から感じていることですが、どういうわけか、再転相続がらみのご依頼が続いて、再転相続の相続放棄はそういうことか、というのが、やっと分かってきた。

再転相続は、意外と奥が深い手続きです。しかし、続けて亡くなられ、相続が生じた場合、再転相続の場合の、相続放棄の申述書の書き方、となると、ほぼ情報がありません。

更新したコラム『父→母再転相続の場合の相続放棄』では、「誰の」相続放棄をしたいのか、被相続人の特定を間違えたら、相続分が宙に浮いてしまうことになりかねない。次順位の相続人変わってしまう可能性もある、ということと共に、

父母の再転相続人と相続人、異なる立場で、同時に相続放棄をしたい時の、相続放棄申述書の記載の方法についても、さらっと書いています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム34 「父母が続けて亡くなったの場合の相続放棄

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2022年12月17日 (土)

相続放棄の申立書類作成の報酬改定【事務所運営】

20221217相続放棄の報酬基準、改定しました。

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基本報酬は、55,000円
1人増えるごとに、1人あたり報酬11,000円加算
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2名様の場合は、66,000円。
3名様の場合は、77,000円となります。

戸籍謄本等収集の報酬、今までは「ご依頼がある場合に限り」ということで、別途5,500円としていましたが、「基本報酬に含む」としました。但し、事実上の値上げです。

相続放棄。単純な手続きのようで、何気に手間がかかるのと、相続人の順位をまたぐ放棄が増えたものの、順位で加算計算すると複雑になるため。引き続き、相続放棄される方の人数にて計算します。

なお、亡くなられた日から3か月が経過していても、要件を満たす場合、報酬は変わりません。事情を説明する書類を1枚作成する必要があることもありますが、基本報酬に含むとします。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム35「死亡の日から3か月が経過した相続放棄」

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2022年1月12日 (水)

遺言書の検認に法定相続情報証明は使えるか【家庭裁判所の手続】

20220111-2被保佐人さん宅訪問。ケアマネさんが交代されて、初めての訪問でしたが、今までどおりのお付き合い、続けていけそうです。

遺言書の検認手続きに同行。「司法書士は待合室で待機」は承知の上です。

今回は、戸籍謄本の代わりに、一部法定相続情報証明を使ってみました。事前の問い合わせでは、「被相続人の戸籍謄本は別途付けて下さい」。受付では「相続人が健在であることの確認に、戸籍謄本を別途添付してもらうことになると思います」。受付で言われていたことのほうが、合理性があると感じていましたが、「被相続人の戸籍謄本は別途」のほうで通りました。

ただ、法定相続情報証明の仕組みというか、何を証明されているのか、というのが、法務局から外に出ると、いまいち理解されていない部分もあります。裁判所であっても、です。

日々消費しているクリアファイル、300枚単位で仕入れました。どんどん新しいものを、お客様にお渡ししていけるように。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 相続サイト「法定相続情報証明」

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2021年9月22日 (水)

複数の「後見人が権限を分掌する」という選択肢【成年後見】

Kouken新たに後見人に選任されて、確定待ちの件、ご訪問して通帳等の引継ぎを受けてきました。

ご家族がいらっしゃる場合、必ずしもではないですが、「ご家族が後見人になられたい」というご希望を持たれていることが多いです。しかし、流動資産が一定額を超える場合等、裁判所が親族後見人を選ばないような例に該当する場合は、事前にご説明をします。

また、私も、ご家族が居られる中で、単独で後見人になって、司法書士が報酬をいただいていいものか、という気持ちがあります。ご家族の中に他人が入って通帳を管理する、ということに、抵抗感がない方はおられないでしょう。

そんな中で折衷案ですが、後見人の権限の分掌。
今回は「ご親族が身上監護。司法書士がそれ以外」という形で、役割を分担する形で後見人の候補者を出して、その内容で審判が下りました。

先日も同様の形で申立てをしましたが、裁判所が職権で「ご親族が後見人。司法書士が監督人」とされた例もあります。

ただ、やはり、裁判所が後見人に求めている事務仕事のレベルは、一般の方の想像より、かなり高いものです。実情を知らないライターなどから、悪く書かれることもある専門職後見人ですが、私はそんな感じで思っています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 後見サイト「法定後見」

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2021年8月 9日 (月)

事務所の報酬規定の改定【事務所運営】

310223_20210809201501事務所の報酬規定、整理していました。

先日から書いている話。「いくら~」という『~』は極力なくして、私がいなくても、事務所のスタッフでも計算できるようにしています。

報酬を考える時の基準は、まずは『時間』。
私の場合、だいたい「1時間あたり1万円」を目安に考えています。それが司法書士としての売り上げで、そこからもろもろの経費を支払うので、所得ではありません。

あと、『期間』というのもあります。
1つの案件に拘束される期間が長くなると、何度も書類を手にすることになり、単純な時間以上の手間になります。

レアな内容。
不在者財産管理人、相続財産管理人、失踪宣告や特別代理人選任申し立てについても、表に出しました。このあたりは、家庭裁判所の手続きの中でも争いがない事案なので、司法書士向けのお仕事と考えています。

 【令和5年追記】「相続財産管理人」は、令和5年4月1日から「相続財産清算人」と名称が変わっています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所メインサイト「手続き費用一覧」
◎リンク 司法書士吉田事務所相続サイト「手続き費用一覧表」

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2021年3月11日 (木)

特別代理人を選任しての相続手続き

20210311

朝から不動産売買の立ち合い。
遺産承継業務の一環として、相続登記からの不動産売却。ちょうど前日に預貯金の払い戻しが完了していたため、不動産の売買代金も私がお預かりし、預かり金口座に送金。事務所に帰ってから、相続人各位に分配の手続き(銀行送金)をしました。

但し、固定資産税の清算金は、5月になると令和3年度分の請求が遅れて来るので、代表相続人の方のお手元に残してもらっています。

ゆうちょの相続手続き完了。払戻証書を窓口に持参して換金します。

完了した登記は2件。
西宮の法務局からは、先週金曜日に申請した登記が、もう戻ってきました。
大阪管轄内でも、法務局の審査の進行にはかなりの違いがあるようで、堺支局では、まだ「2週間弱」が維持されています。

未成年者が相続人になるため、特別代理人を選任した相続登記も完了。
今回の案件は、相続税の申告が必要であったため、特別代理人を選任しての遺産分割協議が必須でしたが、含まれていた金融機関が全て「残された親権者が代表として受け取るのはいい」という方針で、特別代理人を選任せずして事前に解約ができていた(残高が少ない特例でもありません)、というのは意外でした。

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2021年2月 2日 (火)

大阪家裁は「書面審理」の要件満たさなくても臨機応変にやってくれています【成年後見】

Dsc_4597_20210202210501今日は、不動産売買の立ち合い2件。

両方とも、私の事務所の応接を使っていただいての手続きです。

親族間の売買、隣人間の売買など、仲介業者さんを入れない個人間売買については、一定のニーズがあります。

ただ、当然リスクもあるので、特に親族間であれば査定書を取ったり、税理士さんに相談しながら進めています。

大阪家裁への後見の申し立ては、ご本人による申立て。書面審理の要件を元々満たしていない内容であるものの、電話による面談も省略されて審判が下りました。予期しないタイミングで「特別送達です」と郵便局員さんに言われると、ドキッとするものです。

去年の緊急事態宣言の時は、法務局と裁判所が止まってしまって大変でした。今は個々の事案によって臨機応変に、裁判所は融通を利かせてくれている気がします。

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