相続開始から30年経過後の相続放棄
先日の研修で「平成3年に発生した相続。諸々の事情を考慮して、相続放棄ができるか」というテーマが出ました。
「30年も経っていたら、相続放棄はできない」という意見もありましたが、期間の制限があるのは、「自己のために相続開始を知ってから3か月(民法915条)」という規定だけで、「相続から1年経過なら可能、10年経過だから不可」という規定はありません。
ウチの事務所における相続放棄で、一番古い事例は「昭和40年死亡(令和5年申立)」です。長期相続放棄等未了土地解消作業で、法務局から通知が来て知られた、というお話しでした。
直近の相続放棄の申立事例は「昭和63年死亡」なので、被相続人の住所証明書も出ませんでした。「被相続人の最後の住所地に関する事情説明書」を付けて申立てしました。大阪家裁の場合、相変わらず、照会書は省略されています。
少なくとも、「そんな人(被相続人)の存在すら認識していなかった」のであれば、「自己のために相続開始を知る日」は、役所や債権者等の外部からの通知が届いた日、という解釈で、裁判所的にも間違っていないと考えています。
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