<!‐- 12 -->不動産登記

2025年1月 8日 (水)

移記ミスの職権更正で受付番号の枝番処理【不動産登記】

Img_20220920_193744_225 法務局の登記簿が、紙の簿冊からコンピューターに移記された際の入力ミス。いわゆる「移記ミス」というのは、時々あります。

人間がやっていることなので、仕方がありません。少なくとも、今、法務局におられる職員さんに、罪はありません。

移記ミスを見付けた場合、法務局に申告すると、「職権で更正」という形で正しい内容に修正してくれますが、今まで、その職権での更正登記にまで、受付番号が振られていることに、意識していませんでした。

ところが、今回、不動産登記の添付書類の提出と同時に職権更正をお願いしたところ、その前(他の人が出した登記)の受付番号に枝番が振られていて、なんだこれは?と。

司法書士にとっては、究極と手段ともなる受付番号の枝番処理。物理的には可能なのだ…と、見てしまった次第ですが、法務局にとっては迷惑な申告方法だったのでしょう。

ところで、受付番号の枝番処理が究極の手段というのが、どういう意味なのか。

司法書士のミスで、必要な登記をすっ飛ばして登記してしまった際、枝番処理が可能なのであれば、割り込む形で申請をさせてもらえる、ことになります。少なくとも私自身は、自分のミスを枝番処理で救済してもらえたことはない・・・です。

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2024年12月19日 (木)

「店内での不動産売買の手続きは禁止」の貼り紙【不動産登記】

Pxl_20241219_032402763今日は、現金決済の不動産売買。

いつもの「金融機関のロビーでウロウロ」のパターンであることは分かっていましたが、「店内での不動産売買の手続きは禁止です。ここに貼り紙があるでしょう?」と、黒で印字された用紙が、確かに貼られていました。

「いや、こんなところに貼られても??」と思いましたが、気を取り直して、皆さんでフードコートに移動。

送金の処理をされている間、私と片方の仲介業者さんは、開いたり閉まったりする外扉と内扉の間に挟まって、寒いのに耐えておりました。

金融機関の言い分は分かります。ただ、こういうのは、全店で運用を統一してもらって、司法書士会に通知してもらうとか、宅建協会に通知してもらうとか、そうしないと「来てから気付いた」となるしかありません。

確かに、今回は、売買代金が1000万円未満でしたので、仲介業者さんには事前に、「買主さんは、インターネットバンキングは使われている方ではないですか」というのは、確認してもらっていました。

銀行融資を伴わない場合、「インターネットバンクの利用がもっと広がれば、わざわざ銀行に集まらなくても、場所を問わず売買の手続きが完結できるのに」というのは、個人的には願っていることです。

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2024年12月14日 (土)

「売家」の看板を見付けてから【平成26年:3回目の事務所移転の記録】

Pxl_20241212_090144500平成14年に事務所を開業してから、事務所の引っ越しは、3回も経験しています。

その中でも、今の事務所に来た時は、一大決心。開業した時のワクワク感を、再び取り戻すことになります。平成26年のことです。

・2月17日 「売家」の看板見つける
・2月19日 カギを開けてもらって、中を見に行く
・3月 6日 融資の申し込みに行く
・3月 8日 ハウスメーカーさんに建築の相談に行く
・3月25日 不動産の売買契約
・3月26日 融資の承認が下りる
・3月29日 ハウスメーカーさんと建築の請負契約
・4月 8日 不動産購入の決済
・4月11日 解体工事着工
・5月19日 建築確認が下りる

日常の仕事と並行して、あれやこれやと打ち合わせ。期間的なゆとりがあれば、楽しい工程も、7月26日の引っ越しまで、あっという間。慌ただしい毎日を過ごすことになります。

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2024年12月 8日 (日)

相続登記の期限が「3年」と言わず「1年」だったら

Pxl_20241208_012747607 今年の4月に、「相続登記の義務化」が始まったのは、想像以上に影響が大きかった。

法務局の不動産登記の部署は、慢性的に処理が遅れています。不動産登記が「通常1週間」で完了していた常識が、崩れてしまいました。

法務局の現場は大変です。平日、遅い時間に「登記の完了通知」が来ることは珍しくなく、休日出勤も・・・といった話も聞いています。

そもそも、私が司法書士になったのは、実家の相続で親たちが揉めたためであり、ひと言で言えば、相続登記を放置していたためでした。相続登記までの期限が「3年」と言わず「1年」だったら、私は司法書士になっていないかもしれません。

平成29年に、私の祖母が亡くなった時に思ったのは、お葬式が終わって、法事で顔を合わせるのは、残された家族の関係づくりの時間であり、法事で会う機会を使って、みんなで話をしましょう、ということでした。

私自身は、相続登記の義務化を問わず、相続は早い目に解決しましょう、というスタンスです。猶予期間が3年では、間延びします。

過料に対する実際の運用は、令和9年4月1日以降にならないと分かりません。

「相続登記は早くしないと、ペナルティが来るよ」「だから相続登記を急ぎましょう」という周知の仕方は、下手すると『怖がらせ商法』です。実際の過料の運用が甘かったら、「やっぱり、やらなくていいじゃない?」となりそうなので、個人的には好みません。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム109「相続登記の義務化に対する正しい理解」

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2024年11月18日 (月)

登記完了後の登記簿謄本を法務局で受け取る理由

Pxl_20241118_074627119オンライン登記申請システムを利用し、午前中、法務局堺支局に、「速達での郵送」で請求した登記簿謄本が、夕方には事務所に届きました。

登記簿謄本代(実費)500円と、速達代300円のみの負担。普段、郵送での請求は使わないので(普段は、法務局にある『私書箱』に入れてもらうように指定)、そんなスピードで仕事しておられるとは、知りませんでした。

ちなみに「普段、郵送での請求を使わない」のは、法務局から戻ってくる登記簿謄本=お客様にお返しする登記簿謄本に、折り目を付けられるのが嫌、という、子供みたいな理由です。

「折り目を付けられた登記簿謄本」に対し、お客様がどう思われるかは分かりません。「こんなものだ」と気にされない方が、ほとんどであるならば、司法書士の勝手な美意識です。

一時期、申請者「司法書士吉田浩章」の欄に、「折らないで送って下さい」と入力することで、法務局は、大きな封筒で折らずに郵送してくれていた時期もありました。ある時「今後はやめて下さい」という連絡があってやめた、記憶があります。

急がない用事は、まとめて堺東で済ませます。自転車で10分走って、堺の法務局に現物を取りに行く、ということにしています。

だから、ウチの事務所の登記簿謄本代の実費は、1通480円です。

郵送で請求する場合の1通500円で請求しても、お客様には分からないところですが、実費は実費なので、実際にかかった費用だけ、請求書の右側に入れています。

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2024年11月13日 (水)

「空き家の3000万円控除」と相続登記【不動産登記】

20240119_085619970-1「空き家の3,000万円控除」の要件について、税理士さんから質問が来たので、どうされたのかと思ったら、「区分所有建築物」に該当するのかどうかを確認されたかった、とのこと。

確かに、それだったら司法書士の範疇です。

「空き家を取り壊して売却した時の3,000万円控除」は、今まで、私のお客様で2度使いました。

事前に要件を読み込んで、これは使えるのではないかと、税理士さんに相談。相続登記の入れ方で問題になってはいけないので、税理士さんに申告を引き受けてもらえる(責任を負ってもらえる)状態にした後、相続登記を入れました。

仲介業者さんもご紹介して、現場の写真を撮ってもらったり、役割分担をしながら、最後、申告まで見届けました。

「空き家の3,000万円控除」を使うには、まず市役所で『確認書』(被相続人居住用家屋等確認書)をもらわないといけないため、3回目の事例では、私が市役所に確認しながら、相続手続きを進めていました。窓口には「不動産業者さんが来られることが多い」と聞きましたが、市役所への申請となれば、むしろ行政書士業務なのかな、という考えもありました。

税金の話が続きましたが、これはたまたまです。税理士さんに取り次ぐにも、司法書士がある程度の知識は持っておかないといけない、というのがオチ。それも、昨日の話と同じです。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 遺産承継サイト「事例1 空き家の3000万円控除を利用した事例」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム124 相続した空き家を売却した時の3,000万円特別控除(相続)

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2024年11月12日 (火)

不動産の財産分与と不動産取得税・贈与税【不動産登記】

Pxl_20241110_063705240コラム43「離婚に伴う不動産の財産分与と税金」を更新しました。

先日も書きましたが、司法書士は、税金の相談には応じられません。

但し、不動産登記の依頼が目の前にあって、「贈与税は、どうなんですか」「不動産取得税は、どうなんですか」と聞かれた場合、「ごめんなさい。司法書士なので知りません」では話にならないため、基本的な知識は、持ち合わせておく必要があります。

不動産取得税に関しては、財産分与の登記が終わった後、大阪府税事務所から「次の要件に該当する場合、課税の対象外になります」という案内文が送られることがあるようです。

戸籍謄本と登記事項証明書を提出し、不動産が婚姻中の取得であり、かつ、慰謝料目的でなければ、不動産取得税は課税の対象外。但し「申出がなければ課税します」とされています。

贈与税に関しては、「離婚の日から2年経過した財産分与は、贈与とみなされる可能性がある」という情報が、ネット上で散見されます。本当なんでしょうか。

私が税務署で聞いた事例では、2年が経過していても「登記の原因が財産分与なら、財産分与と扱います」という回答を得ています。その時は別便で、依頼者の方にも、聞いてもらいました。それと、コラムをまとめていて、「2年」とされている期間(民法768条Ⅱ)が、「5年」に改正されることが決まっている…ことを知りました。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム43「離婚に伴う不動産の財産分与と税金」

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2024年11月 1日 (金)

不動産取得税は専門家の空白地帯【不動産登記】

Pxl_20241101_054638215 税金の相談は「税務署か税理士さん」であることは間違いないですが、「登記にからむ税務」となると、ちょっと話が違います。

質問する側が理解していないと、司法書士が気になっていることを伝えられないし、「税務署や税理士さん」が、登記の知識を持ってくれていないと、分かられないことが普通にあります。

今回は、私が「税務署に確認してください」と言ったがために、長期間保留になっていた案件を再度お受けして、6年前の対応は良くなかったかな、と振り返っています。その論点は、この6年の間に、私の中では「解決済み」になっているからです。

例えば、不動産取得税は、専門家の空白地帯です。

実務上、不動産を取得した人が積極的に申告する、というシステムではなく、課税の対象になると思われる方目掛けて府税事務所から案内が届く、というシステムになっています。結果的に、税理士さんが申告に関与される機会が、圧倒的に少ない税金、となります。

司法書士が、「不動産取得税の計算だけ」の相談に応じるのはNG。

但し、ご依頼を受けた登記に関して、登録免許税の計算と共に、不動産取得税の計算もできないと。基本的な知識を持っていないと、お客様に想定外の負担を負わすことになります。

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2024年10月29日 (火)

遺言執行者からの相続登記の可否は内容と作成時期による【不動産登記】

Pxl_20241029_073411426 遺言執行者である他士業の先生から、「遺言執行者から相続登記ができるようになったんですよね~」と、確かにそういう改正があったなと、一旦は委任状も預かってしまったものの、

遺言執行者から相続登記ができるのは、『特定財産承継遺言』と呼ばれる内容=「特定の不動産を、特定の相続人に相続させるもの」に限られると、後で気付くことに。

遺言書の内容にも注意、遺言書の作成時期(改正法の施行日は、令和元年7月1日)にも注意、ということになります。

但し、司法書士として、登記名義人となる、当該相続人の意思を確認しないまま、遺言執行者が単独で相続登記ができてしまうことに、気持ちの悪さは感じていました。

いわゆる「負動産」の問題が深刻な昨今、

例えばの話、仲の悪い子A・子Bがいて、子Aが遺言者父と結託して、要らない「負動産」を、子Bに相続させる遺言書を作成してもらった。遺言執行者になっている子Aは、子Bの知らないうちに、「負動産」について子B名義の相続登記を申請した。

法律の理屈と人の感覚は違うので、司法書士が、遺言執行者である子Aの代理でB名義の相続登記の申請をしていたら、子Bからクレームを受けることになるのは確実です。

下記コラムでは、遺贈と相続の登記申請の方法について、令和元年と令和5年の改正点も踏まえて、まとめています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム118「遺贈」の登記と「相続」の登記の違い

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2024年10月23日 (水)

本人確認情報での『面識あり』は一般的な意味とは異なる【不動産登記】

Pxl_20241023_025407756 今日の売買では、売主さんが権利証を紛失されていたため、『面識あり』で本人確認情報を作りました。

過去にお受けしたお仕事と共に、「2~3か月に一度は電話連絡。年3回以上は義務者の会社や当事務所で面談している」と書きました。

最近思うのは、新規のお客様も大事だけれど、不動産登記で言うところの『面識あり』と言えるお客様が、どれだけ居て下さるかで、事務所経営の安定度も、変わってくるのではないか、と。

司法書士側が、いくら『面識あり』のお客様を増えしたくても、お客様から必要とされなければ、1年以上の継続的なお付き合いはできません。

ちなみに、ここでの『面識あり』とは、一般的な意味での面識(顔見知り)ではなく、「司法書士・弁護士が当該登記の申請の依頼を受ける以前から申請人の氏名及び住所を知り、かつ、申請人との間に親族関係、1年以上にわたる取引関係その他の安定した継続的な関係の存在があるとき(不動産登記事務取扱規則49条(2)」とされています。

「1年以上にわたる取引関係」「安定した継続的な関係」という部分がポイント。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム48 権利証(登記識別情報)紛失時の「本人確認情報」(不動産登記)

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