連休の最後はマニアックな内容になりましたのでご容赦を…
私の長期連休の最終日、最後は何処へ行こうかと思って悩んでいましたが、今朝になって急に天からの声が…
「お前、自ら『石仏フェチです』と言うのなら日本最古の石仏を見ていないなんて駄目じゃろ」と…
その通りです
姫路市のお隣の加西市にある古法華寺には今から約1,300年前の白鳳時代(!)に制作されたいるといわれる日本最古の石仏の三尊像、正式名称「浮彫如来及び両脇侍像 付石造厨子屋蓋」があります。私はそのレプリカを姫路市の兵庫県立歴史博物館で見ていますが、実物はまだ拝観したことが無かった。。。
これは行かねばなりません、この石仏は一般公開はされておらずネットで拝観方法を色々調べると、加西市の観光案内所へ連絡とある。早速電話連絡すると「あ、それは間違いで担当部署へ転送しますね」と。次の担当部署の人は「世話役の〇〇さんへ連絡して下さい」と。次の連絡先に電話すると「今は担当は〇〇さんですわ」なんて『たらい廻し』状態です。でも私は気にしない。滋賀県琵琶湖の湖北地方へ一人で「十一面観音巡り」をした時にも、世話役の方が忙しかったり、世話役が別に人になってたりして結構「たらい廻し」されたので慣れていたのでした。
結局、古法華寺横にある「石彫アトリエ館」という施設が管理されているので、その連絡先に電話しました。「丁度担当の人が、今草刈りに行っているので30分後に来てください」と言う返事でした。
ということで指定された時間に到着。
古法華寺本堂横にある収蔵庫です。この中に石仏が居られます。
すぐそばで、麦わら帽子に長靴で草むしりをしていたオジサンに声を掛けると「あんたかね、電話してきたのは。待ってて、鍵取ってくるから」と隣接する「石彫アトリエ館」へ歩いて行った。しばらくして鍵を見ってきてくれて収蔵庫を開けてくれました。収蔵庫の扉を開けた瞬間、2匹のトカゲが飛び出して、おじさんも「ウワっ!」とのけぞる…
収蔵庫の真ん中に安置される、重要文化財「浮彫如来及び両脇侍像 付石造厨子屋蓋」
撮影許可を得てパチリ。
中央に阿弥陀如来、左右に二体の獅子に乗る菩薩さん。上部左右に三重塔が浮き彫りされています。私が以前見た法隆寺金堂壁画の「如来および脇侍像」にそっくりの配置だ。中央の如来さんや左右の観音さんのお顔を中心に平らに削られているように見えるが、これはオジサンの説明によると、難病を抱えた人々が仏の顔を削ってそれを煎じて飲むと病気が治る信仰があってその影響ではないかと言われているみたいです。オジサンも「顔が削られてなかったら間違いなく国宝だったと専門家は言いますね」と。すると久々の拝観者が来たという知らせを受けてか、郷土の歴史研究家のお爺さんもやってきて、この石仏の謂れや京都の修復所や奈良国立博物館での修復過程などを教えてくださいました。その人の説明ではこの石仏は「石棺仏」ではなくこの辺りで採掘された石板から彫られたものであることらしい。
※石棺仏…播磨は古墳が多く、後世に畑やあちこちで古墳の石棺が出土した。そのままにしておくには祟りがあったり、埋葬された人を憐れんで、人々がその石棺の蓋に仏像を彫ってお祀りしたのが始まり。石棺の蓋には霊力が宿ると信じられており、播磨地域で全国の石棺仏の90%以上を占めるらしい
「石棺仏」!私も石棺仏が好きで、姫路の石棺仏を訪ね歩いたことがありました。それを聞いて歴史家のお爺さんは「隣接の石彫アトリエ館にこの辺りの石棺仏を研究している人がいるから、その人からも話を訊いてみて」と。
アトリエ館から石棺仏研究家のYさんがやってきて私と石仏談義が始まりました
私「姫路の〇〇地区の石棺仏にはグッとくるんですよね」というと
Yさん「おお!私の自宅の傍ですねその石棺仏は」
意外と私の住んでいる地区とご近所だったとは…
そんな感じで石仏に始まり、播磨の「隠れキリシタン地蔵」の分布、古墳の話など多岐にわたって談義が進み、結局1時間位立ち話が続いていた。
そのYさんが指差した先に石棺の蓋が
Yさん「この蓋にも仏を彫りたいんですけどね。でも文化財なので勝手に彫れないからね」と
こんな道端にポンと石棺の蓋が置かれているとは…
いかに播磨は古墳が多いって証拠なんでしょうね
Yさん「このアトリエ館で制作された石仏がこの辺りで置かれているので見て帰ってくださいね」
確かにここに来る道すがら、「昭和○○年制作」と彫られたお地蔵さんが並んでいました。。
帰りにここのアトリエ館で彫られた生徒さんたちの作品を撮影
これは六地蔵か
子供を抱く観音さん、抱っこする童と共にイイ表情だ!
これは近世の作らしい
薬師如来と日光・月光の両菩薩
僅かな時間の訪問でしたが、地元の歴史家や石仏研究家の人と出会うことが出来て私にとって貴重な時間でした
この貴重な時間を作ってくれた、冒頭の天の声は一体誰だったのか…?
それは先日、私を怒ってくれた四天王の「持国天さん」にしておきましょう
持国天さん「ワシのおかげて連休の最終日は楽しめただろう。明日からしっかり精進しろよ」
明日からいよいよ仕事、現実が始まります…
- 2017/07/19(水) 14:56:52|
- 写真散歩(兵庫県)
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