fc2ブログ

【ミステリ】無貌伝~最後の物語~

メフィスト賞→望月守宮
03 /03 2019
無貌伝 最後の物語
望月守宮
カバーイラスト 伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~最後の物語~ (講談社ノベルス)
望月 守宮
講談社
売り上げランキング: 510,299

「楽園へ、ようこそ」

無貌伝 最後の物語』本文より

無貌伝』最終巻。

前巻で結局この物語がどんな物語なのか、どこへ向かうのかを指し示してくれた。
そして綺麗にそこへ、「楽園」へたどり着いた。

探偵秋津は無貌とのやりとりで何を見て、何を感じたか。
そう、結局誰のためのなんの物語だったのか。
物語を解き明かすことこそがこのシリーズだったのか…

見事に完結させたなぁ。

【ミステリ】無貌伝~奪われた顔~

メフィスト賞→望月守宮
01 /13 2019
無貌伝 奪われた顔
望月守宮
カバーイラスト 伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~奪われた顔~ (講談社ノベルス)
望月 守宮
講談社
売り上げランキング: 508,939

「さようなら、ありがとう。この手から本当に逃れたくなったら、私を探してください。きっと、あなたなら見つけられる。あなたが元のような、探偵に戻れたら」

無貌伝 奪われた顔』本文より

無貌伝』6作目。
次が最終作。

これが無貌伝か。
ヒトデナシ無貌か。

ラスト直前にもっとも適切な過去話。
彼は一体なにものでなにを成そうとしているのか。
ぞわっとくるな。
これで前作と過去が繋がった。
さぁあとはラストのみ。

【ミステリ】無貌伝~探偵の証~

メフィスト賞→望月守宮
07 /13 2013
無貌伝~探偵の証~
望月守宮
表紙イラスト:伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~探偵の証~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~探偵の証~ (講談社ノベルス)
(2012/10/04)
望月 守宮

商品詳細を見る

「先生、ぼくは」
望は顔を上げた。
「ぼくはやっぱり……、探偵になりたい」

無貌伝~探偵の証~』本文より


無貌伝』5作目。
4作目の直後からスタート。
望と芹の少年少女の逃避行からはじまり、首都がヒトデナシの能力を使った者によって破壊され。
望は探偵秋津の元へと走る。

もうヒトデナシを用いた能力ものと、明智探偵と少年探偵団のごとく事件の真相へと冒険していく。

これまでの秋津をメインで助手の望を語り部としながら進んできた「ミステリ」が主成分じゃない。
いやいや、前回の綺譚会があったからこその宿命の対決といおうか。
無貌との対決。魔縁たちの葛藤や、追いかける探偵たち。
それぞれの正義であったり信条であったりがぶつかりあう。
もうものすごく熱い。

ああ。
それなのに、それなのに、なにあのラスト。
予想の斜め上も行きすぎだろう。
しかも次がラストだって!?
否が応にも期待がたかまる。


そして相変わらず露草たんはかわいいのであった。
前回登場したヒトデナシ活躍しすぎだろう(笑
もはや4冊目なしにはこの5冊目は語れない。

【ミステリ】無貌伝~綺譚会の惨劇~

メフィスト賞→望月守宮
06 /15 2013
無貌伝~綺譚会の惨劇~
望月守宮
表紙イラスト:伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~綺譚会の惨劇~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~綺譚会の惨劇~ (講談社ノベルス)
(2011/08/04)
望月 守宮

商品詳細を見る

たとえそれが人の道に外れていようと。そう心に決めているあなたは、もうこちら側の人間なんですよ

無貌伝~綺譚会の惨劇~』本文より


無貌伝4冊目『綺譚会の惨劇』。
無貌と探偵・秋津を巡るいくつもの短編。
それはやがてラストへと収束していく。

ゴシックロマン溢れるテイストで時に驚き、時に怖く。
そしてヒトデナシという特殊な設定を活かしたミステリを楽しめた。

だからこそ、ラストに向って収束し最終章で明かされるラストへ向かうぞという意気込みはぞくっときた。

まさにシリーズの核ともいうべき内容に仕上がってるし。
これには驚いた。

それにしてもヒトデナシの露草たんがかわゆす。
「なにかください」とか言われてみたい。
あんな猫と絵画のヒトデナシのトリックの使い方も面白かったなぁ。

【ミステリ】無貌伝~人形姫の産声~

メフィスト賞→望月守宮
02 /06 2011
無貌伝~人形姫の産声~
望月守宮
表紙イラスト:伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~人形姫の産声~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~人形姫の産声~ (講談社ノベルス)
(2010/12/07)
望月 守宮

商品詳細を見る

「しかし、なぜそうまでして、そんなことが知りたいんだ? 犯人に責めを負わせたいのか?」
「それは、たぶん……」ぼくは考えた。「たぶん、ぼくは人間が何なのかが知りたいんだ。殺人事件を通じて、そうしたものが垣間見えるような気がして」

無貌伝~人形姫の産声~』本文より


無貌伝』シリーズ3作目。
秋津の過去編。

人形の館に離れ小島。
記憶と現実の境界線が曖昧になるような描かれ方。

レトロで新しい感覚の探偵小説。
ヒトデナシという物憑きの存在も大きく幻想的で怪奇的な雰囲気に貢献しているのだけれど、それに加えて人形たちが今回の主役。

ミステリとしても面白いんだけど、今回は完全に雰囲気に呑まれた。
冒頭の名前なき人形の館へ行くシーンなんてゾクゾクした。
そこから先の不気味な雰囲気と探偵としての業の混じる気持ち悪さが本を支配してたような気すらする。

読み終わる頃には秋津に対してこれまでよりも深く愛着が沸いてた。
正体の見えない探偵というイメージからだいぶ変わったかも。

【ミステリ】無貌伝~夢境ホテルの午睡~

メフィスト賞→望月守宮
11 /04 2009
無貌伝~夢境ホテルの午睡~
望月守宮
表紙イラスト:伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)
(2009/10/07)
望月 守宮

商品詳細を見る

ヒトデナシとは人でないもの、人に対応するもの。ヒトデナシはみな、人とは何なのか知りたいのだ。

無貌伝~夢境ホテルの午睡~』本文より

無貌伝』シリーズ2作目。

典型的な小林少年vs怪人20面相ものだな。

しかし、ミステリ要素もしっかりと。
昭和の香りを漂わせながら、ヒトデナシという神であり精霊のような存在を設定に盛り込みつつ、さらに幻想小説的でもある。

言うなれば盛りだくさん。

それでいてそれらが非常に魅力的。

1巻目でもヒトデナシの無貌との戦いはまだはじまったばかりという感じがしていたが、追われる無貌と追う古村少年、そして秋津探偵の戦いは激化。

その舞台は夢境ホテルという、たった1年に1週間だけ夢の世界へと招待されるヒトデナシのホテルの中での殺人事件。
ホテルに招待されると外との連絡は電報でのみしかやりとりが出来ず、外に出ることもできない。
夢の中だけに非常に幻想的な空間が次々と描かれる。


もう…作者の真髄を見せ付けられた。
このシリーズにしっかり着いていくことにした。

なんだこんなにレトロな昭和の探偵ものっぽくありながら、異世界風味のミステリなんだよ ヽ(´ー`)ノ
このシリーズの持つ「新しさ」がたまらない。

【ミステリ】無貌伝~双児の子ら~

メフィスト賞→望月守宮
04 /20 2009
無貌伝~双児の子ら~
望月守宮
表紙イラスト:伊藤真美
講談社ノベルス
無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)
(2008/01/09)
望月 守宮

商品詳細を見る

一人は病で死に、二人は自らの手で命を散らす。残りのものはみな、人間であれば殺される。そして死にゆくこの家から化け物が産まれるだろう

無貌伝~双児の子ら~』本文より

第40回メフィスト賞受賞作品『無貌伝~双児の子ら~』。
遅くなりましたがようやく読了。
表紙イラストが伊藤真美さんだったのでびっくらこいた。
イラストを見たのはピルグリム・イェーガー以来かも。

一人で生きてきた少年と、誰からも存在を忘れられた探偵の話。

タイトルからはまるで第10回の受賞者の中島望のようなものかと思いきや、れっきとしたファンタジー要素を加えたミステリだった。

さてさてこのファンタジー要素である「ヒトデナシ」という憑き物。
この憑き物に憑かれるとなんらかの特殊能力を得られる。
ただこの憑き物が人間につくとは限らないというもの。

この摩訶不思議な設定、そして日本でありながらどこか退廃的に思える昭和が舞台というなんとも想像しづらいものなのだが不思議と本の世界に入り込みやすかったことに驚いた。


ミステリとしても「犯行予告」にはじまり、閉鎖的な旧家での陰惨な事件と緊張感漂う家族関係が描かれるというなんか懐かしさを感じるもの。


しかしどろどろしているかと思いきやそうでもない。
逆に愛に満ち満ちすぎじゃないかと思えるくらい。

実は爽やかミステリというところに着地したのに仰天した。

だが…
どうすんの?
これ明らかに序章だよな。
するとこの「無貌」との対決をまだ続けるわけか。

この1冊だけの設定だからこそ今回の話はしっかりと成り立っているように思えるんだが…
続編である2作目をどう料理してくるかでこの作者の真髄ってものが見えそうな気がします。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

リンクやトラックバックは自由にどうぞ。