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【コミック】ソラニン 新装版

コミック→浅野いにお
12 /31 2021
ソラニン 新装版
浅野いにお
ヤングサンデー連載
4091897363

なんの武器も持っていないのに、
私たちはただ闇雲に見えない魔物と戦おうとしていた。
…あの頃の私たちは、一体何と戦っていたんだろう。

ソラニン 新装版』本文より

ソラニン』新装版。
2巻分の合本に後日談の新作と短編を加えたもの。

ソラニンがとても「あの頃」。
読んでいて一気に20代のあの頃が一気にフラッシュバックしてくるかのよう。

そして後日談でそれから10年の時が過ぎてからの主人公たちとともに「あの頃」はなんだったのかをあらためて客観的に見つめさせられる。

新装版でまさかこんな想いをさせられるとは。
あの頃と現在。
作品を通して自分そのものを見つめなおさせるようなものを読もうとは。

新装版ということで新しい客層もぜひ発掘してほしいものだけれども、あの頃ソラニンを読んでいた、刺さった人にこそ読ませたい1冊だ。

【コミック】零落

コミック→浅野いにお
02 /17 2019
零落
浅野いにお
ビッグコミックスペリオール連載
全1巻
零落 (ビッグコミックススペシャル)
浅野 いにお
小学館 (2017-10-30)
売り上げランキング: 23,138

喜びも悲しみも人としての営みも、
全て漫画の中に置いてきた。
自分にはもう描きたい事など 何もない。

零落』本文より

浅野いにおの『零落』。

ああ、あの頃とはまた違う背筋のゾクッとする感じ。
10数年前に読んだ「虹ヶ原ホログラフ」とも少し違う感じ。
30代も後半になり、漫画だけで過ごしてきた人生。
連載が終わったからこその空虚感。何者でもないことに対しての何もできない感じ。虚無感だろうか。

あと人生には何が残っているのか、その問いかけと、過去に縛られたラストに再確認させられるある種の呪いだろうか。
原点を確認させられて、それでも生きていかなきゃいけない、それが生活のためであっても、なんにもならなくてもそのまま生きるという。
当たり前なんだけど、その当たり前の虚無感の描き方がゾクッとした。

【コミック】Ctrl+T mini 浅野いにおWORKS

コミック→浅野いにお
11 /06 2018
Ctrl+T mini 浅野いにおWORKS
浅野いにお
全1巻
Ctrl+T mini 浅野いにお WORKS (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
浅野 いにお
小学館 (2010-09-30)
売り上げランキング: 92,580

へぇ…立派だね。立派すぎてつまらないね。
そんな誰かの受け売りみたいな話じゃなくて、君自身のことを聞きたかったのにな。

『Ctrl+T mini 浅野いにおWORKS』本文より


浅野いにおの『Ctrl*T』mini版。
ソラニン番外編からプンプンカラー版、おざなり君から様々なところで出てきたカラーイラスト。
新作短編まで。
地についた虚無感たっぷりのあのプンプン中盤戦あたりの時代感がすごく出てる漫画たちと、ポップで緻密なイラスト満載だった。
この背景どこまで描いてくるんだというところがあって、それがどこかにいて存在してそうな誰かの物語というリアリティ感出てくるんだよなぁとあらためて実感。

【コミック】おざなり君

コミック→浅野いにお
10 /10 2014
おざなり君
浅野いにお
全1巻
おざなり君おざなり君
(2012/04)
浅野 いにお

商品詳細を見る

日和るなこの愚民ども!!
飼い慣らされた豚になり下がる気か!
戦う事をやめたら負けである!!
血だ血だ!!今こそ血が必要なのだ!!

おざなり君』本文より


表紙からなんなのか、さっぱりわからない、予測もつかない。
なんぞこれ。
少なくとも「浅野いにお」っぽいなにかだろうくらい。

最初読み始めて会社社会の理不尽ものなのかと思っていたら、実にロックだった。
たまりにたまっていく反骨精神。
思い出される若い時のロックの、その想い。

まさかこんな終わり方へと持っていかれるとは。
すんごい面白いじゃないか。
ロックだ。

【コミック】うみべの女の子 2

コミック→浅野いにお
09 /13 2014
うみべの女の子
浅野いにお
マンガ・エロティクス・エフ連載
うみべの女の子 2 (F×コミックス)うみべの女の子 2 (F×コミックス)
(2013/02/21)
浅野いにお

商品詳細を見る

…要するに お前は結局自分のことしか考えてない
…そんなの磯部も同じじゃん

うみべの女の子 2』本文より


浅野いにおうみべの女の子』2巻目。
前巻以上に孤独で、何もない町の中でセックスと少しの刺激を求めるけどなにも満たされない

空虚感。
満たされないがゆえに、まわりが楽しそうに、なにを面白がっているのだろうという理解でき

ない主人公の視線が。
そういうのが懐かしくなった。

そういうの考えてた時期あったなぁ。
今にして思えば人生のどこかでそういう時期はあるものなのかもしれない。

それゆえに後日談の明るさ、なにかそういうものから抜け出した感じがすごくすっとする。
腑に落ちたというか。

【コミック】おやすみプンプン 13

コミック→浅野いにお
12 /31 2013
おやすみプンプン 13
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
全13巻
おやすみプンプン 13 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 13 (ヤングサンデーコミックス)
(2013/12/27)
浅野 いにお

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…きっと無理し続けようとしても、
…いつか必ずあるべき所に戻るんだ

おやすみプンプン 13』本文より


おやすみプンプン』完結。
殺人者にもなれず、殺されることも叶わず。
だれの記憶にも残ることなくただ生きて行くことしかできなくなったプンプン。

衝撃的な、いや、ここにしか落ち着くことのゆるされない愛子ちゃんとの逃避行も終わり物語は静かに終わりを告げた。

小学校時代から破滅の社会人に至るまで、ひたすらに鬱々としながら、過去を振り返りながら未来への希望なんてまったくない世界でただ生き続けてきたプンプン。

一時期はドはまりし、いつまでたっても陰鬱な世界にいるプンプンの世界に浸れなくなり、でも最後まで読み続けて(結局ラスト2巻分くらいは雑誌連載まで読んでた)。
ああ、ついに終わったな、と。
ここ数年のプンプンのあの後ろ向きな世界は、どこか自分の過去を振り返っているかのようですごく懐かしく思いながら読んでた。
また、それがえらく楽しく読めたんだよなぁ。
破滅に向いながらいったいどこに着地するんだろうと。
もはやプンプンは自分で世界にさよならを告げるしかないんじゃないかと。
それを救える人がどこにいるんだろう、なんてね。

誰しもが彼と似たような世界に自分が馴染んでいない感じというのはどこかの年齢ではあると思う。
さらには過去に囚われながら生きている時期もあるだろう。
そういう時期にさしかかった人にこそこのマンガが見せてくれるプンプンという世界を見せてやりたい。

【コミック】おやすみプンプン 12

コミック→浅野いにお
07 /13 2013
おやすみプンプン 12
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
全13巻
おやすみプンプン 12 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 12 (ヤングサンデーコミックス)
(2013/06/28)
浅野 いにお

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「でも…意味がなくてもいつかそんなもしもの話が楽しくできる時が来ればいいなって思う。」

おやすみプンプン 12』本文より

完結までこれを入れて残り2冊。

最初から辿り着くべき鹿児島までたどり着いた。

自殺するか、それとも捕まるか。
そういうどうしようもないラストだと思ってたのに。
終わらなかった。
どうすんの?どう終わらせるの?
気になる。
怒涛のように描かれるべきシーンが盛りだくさんだっただけに。
すべて描ききったかのようなところで残り1冊ときたもんだ。

人殺しにすらなれなかったプンプンは何者にもなれないまま終わるのか。
この世界は何事もなく進んでいる中で、彼らに、特にプンプンには残りの人生があるというのだろうか。
このどうしようもない絶望と虚無の中でなにが起こるのか。
もう少しで見届けられるな。



他の漫画でものすごくかわいい愛子ちゃんと南条さんが描かれたポスターが入ってて、あれは詐欺だと思った(笑
ないわー。
こんなかわいい彼女たち本編で見たことないわ(笑
しかもこのプンプンの本自体には入らないんだもんな。
なんという罠。
でもいい広告だわ。

【コミック】おやすみプンプン 11

コミック→浅野いにお
12 /02 2012
おやすみプンプン 11
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 11 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 11 (ヤングサンデーコミックス)
(2012/11/30)
浅野 いにお

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「僕は期待しすぎていたのかもしれない。
期待するから失望するんだ。
答えは単純だったんだ。
まともな人間なんて一人もいないんだ。誰一人として」

おやすみプンプン 11』本文より

ものがたりの原点へ。
衝撃のラストを迎えた1巻のあの頃を20をすぎたプンプンと愛子ちゃんがあの続きを見せてくれた。

どん底のさらに奥深くへ。
これが新章か。
新章にしたって、いや、これは。
衝撃なんてどころじゃなかった。

人の幸せを妬み、どこにもない幸せに絶望しながら現実を現実と思わず生きてきた愛子ちゃんとプンプンが挑んだのは、果たして絶望を突破するものだったのか、さらなる絶望を見せてくれるのか。

これ以上ない惨めさを抜けるためにあの殺人は必要だったのか。
もし殺していなかったとしても、どこまでも不幸は追ってきそうではあった。
決定的に何かを間違ったプンプンは一体この先、なにを見せてくれるのか。

1巻の時のような小さいころだったからこそできなかった逃避行をやってのけてくれているが、この緊迫した信頼関係が非常に気持ち悪い。

なんていうのか。
「こんなはずじゃなかった」。「幸せってのはこんな形じゃなかったはず」。
なんかそんな感じ。
シチュエーションとしてはプンプンと愛子ちゃんのふたりきりの時間が続いているのだけれども、ああ。
この気持ち悪さが、どう進んで行くのか余計にわからなく、そして興味を抱かせてくれる。

今まさに、この「おやすみプンプン」は絶頂期を迎えているんじゃないだろうか。

【コミック】うみべの女の子 1

コミック→浅野いにお
07 /03 2012
うみべの女の子
浅野いにお
マンガ・エロティクス・エフ連載
うみべの女の子 1 (F×COMICS)うみべの女の子 1 (F×COMICS)
(2011/03/17)
浅野 いにお

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「バカだな……そう言ってみんな人生を無駄遣いするんだよ…」
「…じゃあ このまま… 溶けてなくなってしまえばいいのに……」

うみべの女の子 1』本文より

プンプン10巻があまりによかったので、やはりこの作品も読んでおこうと。
そう思って「うみべの女の子」を読むことにした。


とても空虚な世界だった。
街しかなくて、外の世界がなくて、ただ中学校があるだけ。
中学校の中の狭い人間関係と狭い世界と限られた行動範囲。

この中でセックスだけしか人と人とを繋ぎとめることがないみたいな…
なんだろうな、この閉塞感。

一体この先になにがあるわけでもない。
なにもないからこその空虚感。
そうじゃないか。
これこそが浅野いにおじゃないか。

空虚感を今後どう料理していくのかが楽しみだ。
1巻のラストはソラニンのようだし、この世界はまるで虹が原のようだし、浅野作品のどこかで見た空気なんだけど、どこかまた違う感じがとても楽しみに思えてくるんだよな。

【コミック】おやすみプンプン 10

コミック→浅野いにお
06 /09 2012
おやすみプンプン 10
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 10 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 10 (ヤングサンデーコミックス)
(2012/04/27)
浅野 いにお

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…もし この場所よりも堕ちる所があるというおなら、
そこはもう地獄なんじゃないだろうか。

おやすみプンプン 10』本文より

これを見たかった。

1巻の原点でありすべての元凶である愛子ちゃんとの再会。
あああ
ここ数巻のプンプンが社会に適応できずに何も目指すものも希望もひとつひとつ摘み取られていく様のだらだらした展開がここで実を結んだといってもいいんじゃないか。

その希望を失くしていったプンプンが同様の人生を送ってきた愛子ちゃんと出会い、そして「何か」が急速に加速していく。

なんだろうこの言い表せない不安感。
1巻のあの時に愛子ちゃんと一緒にプンプンが逃げられなかったあの様子とまるっきりかぶせてきた。

もし、
もし彼らが逃げ出したとしてたどりつける場所は一体どこだというのだろう。


あまりにも衝撃的すぎた『おやすみプンプン』10巻だった。

【コミック】おやすみプンプン 9

コミック→浅野いにお
05 /07 2012
おやすみプンプン 9
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 9 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 9 (ヤングサンデーコミックス)
(2011/10/28)
浅野 いにお

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どんな大甘に見積もったって、バカは一生バカだし、
クズは永遠にクズじゃねーか。
死んでいい奴なんていくらでもいるはずだろ?
…あたしが間違ってんのかな……
あたしの考え方って間違ってんのかな?

おやすみプンプン 9』本文より

おやすみプンプン』9巻目。
プンプン20歳。

この普通の社会の中でもがく人たちの視点と、普通に迎合できない人たちの視線が相変わらずリアルだよなぁ。
特に小学生編からはじまり、もうプンプンも20歳。
想定されている読者の年齢に近づいてきているからこそ、余計に親近感も沸いてきている気もする。

彼ら登場人物たちの世界が産む閉塞感も絶好調の中で、プンプンにとってもっとも根源的な人物である愛子ちゃんとここで再び遭遇するというのは一体どんな効果を生むんだろう。

今までも卑屈に惰性で社会に恨み言を言いながら生きてきたプンプンに、この年齢でこの今までの経験をもってして何を変わるというのか。
なにも変わらないのかもしれない。
けれども、それならそれで実にこの物語的なんだよなぁ。

どん底と幸せの絶頂を行き来しそうな次の巻で、彼が何かを見つけるのか見つけられないのかを楽しみにしてよう。

【コミック】おやすみプンプン 8

コミック→浅野いにお
03 /03 2011
おやすみプンプン 8
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 8 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 8 (ヤングサンデーコミックス)
(2011/02/26)
浅野 いにお

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「こんなにもいともあっさりセックスひとつですべてのもんやりが解決してしまうとしたら、」
「僕の今までの人生はなんだったんでしょうか?」
「18年間生きてきて今日ほど、」
「生きることに絶望した日はなかった。」

おやすみプンプン 8』本文より

おやすみプンプン』8巻。
小野寺プンプン18歳。

人生で生きていたことを許されて、それゆえに絶望する18歳。
なぜ生きてるのか。生きて何をするのか。
何とも言えない空虚感とようやく得た幸福感という虚脱感。

あーーー
この鬱々としたプンプンこそプンプンだ。
この子供でも大人でもない。
いや、周りが大人に社会人になる中でひとり取り残されていくような感覚。
幸せを見つけても本当にこれでいいのか悩むところとか。

悩め少年。
その姿を見るほどに、もっとプンプンという人物のことを知りたくなってしまう。

【コミック】おやすみプンプン 7

コミック→浅野いにお
11 /15 2010
おやすみプンプン 7
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 7 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 7 (ヤングサンデーコミックス)
(2010/09/30)
浅野 いにお

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…いいか!?よく聞けこの豚野郎!!
人生なんてびっくりするほどフリーダムなのさ!!
けど自由には責任があるってことを忘れちゃいけないのさ、ボーイ。

おやすみプンプン 7』本文より

プンプン一人暮らしスタートの7巻。

母が死に、父のところにいくわけにもいかず。
ただ一人でいることを選んだ。
その選択には大いに拍手を送りたい。

だけども…
このあまりに空虚な様子を延々と映し出されると、彼には一体何が残っているのだろう、と。
たぶん今からきっと何かが起こると信じてあげたい。

けれどもなんだろう。
このプンプンを取り巻く他人を信じることができない空間。
ただ人生を消費するだけの拷問のような何もない日々。

これがどうにも決してプンプンだけじゃなく、閉塞感に満ちる日本という社会の現実を描き出しているようにすら思える。
たぶん社会は本来明るい未来があってしかるべきなんだけれども、このプンプンという物語は描いちゃいけないリアルすぎるものを描いちゃってるんじゃないだろうかと思ってしまう。
特に彼の成長と共にイヤな現実のある社会と関わらざるをえない部分がどんどん出てきている。

それが彼の気持ちや考えることに同意してしまうところがある。
でもなんかそれっていうのもなにか悲しい気もするんだけど、ね。


次の巻にはきっと彼のたったひとつの希望である愛子ちゃんと再会できることを祈って。

【コミック】おやすみプンプン 6

コミック→浅野いにお
12 /29 2009
おやすみプンプン 6
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 6 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 6 (ヤングサンデーコミックス)
(2009/12/26)
浅野 いにお

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これでも必死にがんばってるつもりなのに、
なんか空回って とっても変な感じでした。

おやすみプンプン 6』本文より

悩むがいい青年。
そう言ってやりたい6巻目。

人を好きになるってどういうことだろう。
もっと仲良くなりたいのに、なぜ空回るんだろう。
性欲が先行しすぎる。

……青いなぁ。

そんなプンプンが大好きです。
生暖かい目で見守りたくなること必至。

だからこそ悩め青年、ってね(笑
そんなここまでやるかというくらいに「普通」。
誰もが通りそうな道。
…個人的にはさっぱり通らなかったけど。


プンプンの青春編ともいうべき高校もそろそろ終わりそう。


うって変わってもうひとつ語られた母親の話。
もうほんとまるまる1冊のうち半分使ってたと言っても過言ではない。
仲が良いとは決して言いがたい家族。
その中心にいながらにして、将来になにも期待を持てないことに対して必死に変化を求める姿が衝撃的だった。
分かる。
それは分かる気がする。
誰もがぶち当たる「なんで生きてるんだろう」という永遠の謎に対して真っ向から描きやがった。

なんて言うべきか。
大人は決して大人じゃないよな。
結局のところ子どもの延長というか、やはりそれは変わらないものなのか。
ちょっといろいろ考えさせられた。


プンプンの家族の話がひとつひとつ語られているわけだが、じゃあ次はついにお父さんが登場するんかなぁ。
登場するとしてこれからどう家族と関わるのかに期待したいところです。

【コミック】おやすみプンプン 5

コミック→浅野いにお
07 /02 2009
おやすみプンプン 5
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 5 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 5 (ヤングサンデーコミックス)
(2009/06/30)
浅野 いにお

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僕は自分が嫌いです
人間はみんな優し過ぎるから……

おやすみプンプン 5』本文より

ついに『おやすみプンプン』高校生編突入。

プンプンもその周りの人たちも。
つまらなくどうでもよくそしてくだらない生活の中へと埋没していく。
その生活の中に幸せなんて探してみたところで見つからないし、救いもない。
妥協して幸せだと思い込んで、そして周りに合わせて、ただただ生きていくしかないのか。

そうやって誰もが通るような悩みをさも当たり前にそして真正面から悩んでいく登場人物たちが愛おしくて仕方ない。

もう碧さんの雄一に対する捕らえ方なんてもうね。
あと途中に登場してくる結婚相手に逃げられたお姉さんの葛藤なんて直視できなかった。

まったく…
自分の幸せってなんだろね。
他人から見ると明らかに不幸と見えても本人にとってはその不幸こそが幸せであったり、幸せそうに見えてもそうではなかったり。


次なるプンプンがぶち当たる恋愛とやらにも期待です。

【コミック】おやすみプンプン 4

コミック→浅野いにお
02 /15 2009
おやすみプンプン
浅野いにお
ビッグコミックスピリッツ連載
おやすみプンプン 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)
(2009/01/30)
浅野 いにお

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あの人はきっと…… あたしなんかいなくてもひとりで幸せになれる人なんだ。
結局また…… あたしはひとりぼっち。
…プンプンはわかる? あたしの気持ち。

おやすみプンプン 4』本文より

浅野いにおの『おやすみプンプン』中学生編収録の4巻。
むしろ中学生編はおまけ。
主役は叔父さんの雄一だ!

彼が人生を達観したように、まるで諦めたように生きている理由が判明する。

そして彼が人生に絶望し生きる理由を失くす瞬間を読者は目にするわけだが…

それもそれで衝撃的というよりは、なんかむしろ納得できるというか。
人生のどこかで人を救えたかもしれない瞬間に対する罪悪感、か…

そのあとにプンプンという存在が語られるわけだが。
特技も特徴もなにもない。
やりたいこともなく、ただ生きているだけの自分というのも嫌だと思っている。
そんな何者にもなれない自分がイヤという嫌悪感があまりにも青春だな…

これこそ誰もが通ってきたような道じゃないだろうか、なんて個人的には思う(笑

また彼が好きな愛子ちゃんはあまりにも孤独だしなぁ。
その「ここではないどこか」を真摯に求める様も痛痛しい。

みんながみんなして痛痛しすぎるんだ、このコミックは。
それでいて、なんとなくその感情が理解できてしまうのがイヤです(笑

まったく…
なんて平凡な。そして、ありきたりな。
でもあまりに非凡すぎる描き方なんよなぁ。

しかしこの巻の最後で中学生編は終わりを告げたわけだが、このままだとプンプンはかなり屈折した子になりそうな予感がする。
その屈折しそうな予感が非常に楽しみだ。

【コミック】世界の終わりと夜明け前

コミック→浅野いにお
10 /31 2008
世界の終わりと夜明け前
浅野いにお
全1巻
世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(2008/10)
浅野 いにお

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あなたは今、どこでどんな景色を見てますか?
あなたが見ている世界は素晴らしいですか?

世界の終わりと夜明け前』収録『素晴らしい世界』本文より

浅野いにおの短編集『世界の終わりと夜明け前』。


こういうのが読みたかった。


浅野いにおの本なら短編でぐっと濃い話が出てくるだろうとは思っていたけれども、やっぱり出るわ出るわ(笑

一編読んではため息がでる。
いい意味で。

読んでいる最中は緊張し、読み終わった途端に緊張が解かれる。
その連続。

考えさせられる。
なんというか自分のあり方を、ね(笑


どうしようもなくどうしようもなかったり、つまんなかったりする世界の中で生きている。
それでもいつもの日常はずっと続いていくんだ。
そんなメッセージを受け取ったような気がする。

要はその中でどう生きていくか、なんだろうか。
この短編集の中や長編の中で幾度となく繰り返されてきたテーマだけど、この短編集の中で特に「素晴らしい世界」からそういったことを感じた。
結局自分は自分で、それ以外の何者でもなくて。
世界が変わろうがどうなろうがなんも変わらない。
それでも何か少しでもいいことがあれば、それだけで素晴らしい世界じゃないかって。


うん。
いいものが読めた。

さて、明日からも頑張りますか(笑


【収録話】
・「無題」
・「夜明け前」
・「アルファルファ」
・「日曜、午後、六時半。」
・「超妄想A子の日常と憂鬱」
・「休日の過ごし方」
・「17」
・「素晴らしい世界
・「東京」
・「世界の終わり」
・「時空大戦スネークマン」

【コミック】おやすみプンプン 3

コミック→浅野いにお
06 /06 2008
おやすみプンプン
浅野いにお
ヤングサンデー連載
おやすみプンプン 3 (3) (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 3 (3) (ヤングサンデーコミックス)
(2008/06/05)
浅野 いにお

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…特に望んでもいない奇跡を偶然と呼ぶならば、
その偶然に甘んじてしまいそうになる自分が許せない。
…美しくない
傷を舐め合うような恋愛なんて、ただただ醜いだけだ。

おやすみプンプン 3』本文より

頭では分かっているのに、それでもどこかで希望を求めるんだよな orz
自分よりももっといい人はいるはずなのに、とか思いしながらも求めたりとかな。

おやすみプンプン』中学生編。
そしてプンプン中学生と同時に雄一編もスタート。


なんだ。
大人も子供も同じじゃないか。
本質的なところは。

だが、大人にとっては経験やしがらみが多くなるだけに簡単にはいかないものだよな…。
なんとなく感覚でそう思えてくる。

だからプンプン中学生の登場人物たちの青春がひどくうらやましく思える。
なんだよこのやろー。
お前らはただただそうやって真っ直ぐ生きてればいいんだ、とでもエールを送りたくもなるもんだ(笑


こういう時代もあったよなぁと懐かしく読むプンプンだったが、ここに来て30過ぎた雄一さんのエピソードが入るようになって読後感が変わった。
だんだんと雄一さんのような考え方に変わってきていることが分かっているだけに、な。
実際30過ぎたときの感覚ってどうなんだろう。
今回特に「生きてて楽しいか?」という質問に対しての回答が

もう楽しいとか楽しくないとかじゃないんだよねぇ…


こう思えるようなときって来てしまうんだろうか。
いまからいずれ来る年齢に対して覚悟はしておくことにする。

【コミック】おやすみプンプン 2

コミック→浅野いにお
12 /30 2007
おやすみプンプン
浅野いにお
小学館
ヤングサンデー連載
おやすみプンプン 2 (2) (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 2 (2) (ヤングサンデーコミックス)
(2007/12)
浅野 いにお

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ねぇプンプン、 神様は思うんだ。
人が人として生きている以上、絶対に埋められない寂しさがあるよね、って。

浅野いにおおやすみプンプン』本文より引用

おやすみプンプン』2巻。
小学生編完結。

子供から見た現実世界。
小学校の世界や、犯罪を犯した親との接し方、世間の目そのほかいろいろ。

小学生でもそりゃもういろんなまっすぐな目を持ってる。
そのうえ、初恋でもした日には大変なことに(笑

しかも思春期ときたもんだ。
それに加えて相手の女の子はそのうち転校してしまう。
じゃあ主人公であるプンプン@小学生はいったいどうすればいいのか。
自分も転校先までついて行けるのか。
お小遣いで遠くまで出かけることができるのか、それも一人で。

できない。
どうやったらいいのかもわからない。


なんか読んでたら、そういえばこういう感覚って今はもうないよな、って思えてしまう。
それこそ原作って誰かモデルの子がいるんじゃないのかとすら。

懐かしくて生々しくて、自分を含めて大人に対してどうしてこうなってしまっているのかと自問自答したくなる作品です。


まだ続くとは。
しかも中学生編かよっっ。
怒涛の思春期まっさかりのころじゃないか(笑

【コミック】おやすみプンプン 1

コミック→浅野いにお
08 /03 2007
おやすみプンプン 1
浅野いにお
小学館
ヤングサンデー連載
おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)
(2007/08/03)
浅野 いにお

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みんなに馬鹿にされるのがこわかったんでしょ?
そんなの勝手に言わせとけばいいの!!
他人の足ひっぱるような奴なんて、絶対幸せにはなれないんだから!!

おやすみプンプン 1』本文より。


((( ;゚Д゚)))
こんな言葉を真っ向から吐ける大人がいるなら見てみたい。
子供の時はみんな分かってたハズなのに。


虹ヶ原ホログラフ』『ソラニン』に続く浅野いにおの新作。

あのまるで純粋さを忘れた大人のために書かれたようなテイストで物語を描いてきた作者が今度は小学生を主人公にしたものを書いてきやがった。
しかも主人公の一家の外見は人間として描かれてすらいないし。


物語はなんのことはない、普通の小学生の男の子の日常。
好きな子ができて、ずっと守っていこうと思ったりする第二次性長期まっさかりの純粋な男の子の話。


主人公のプンプンが純粋ゆえに大人がいかに歪んできたのかがよく描かれている。

好きな者同士で結婚したはずの両親は毎日のようにケンカをし、
教師はクラスが崩壊するのを極端に恐れるがために生徒に生徒らしさを求め、
宗教に走った親は他人に自分の考えを理解してもらおうと自己満足に浸り、
子供の結婚に喜ぶ親は無理をしてでも子供の幸福を祈る。


あれ?
なんか大人ってスゴイおかしくないか?
子供には夢を語らせたり、君には無限の可能性があるんだ、と諭すのに。
大人の自分らしさはどこにいった?

そんなことをいくつものシーンで思わさせられた。

「人間なんてっ」とか「誰だって生きてる限りご苦労ばかりじゃないですか」というプンプンのおじさん。

一体なんのために生きてるのやら。



子供の時のまっすぐさを忘れかけてる大人は是非!




そろそろ"浅野いにお"のブームがきそうな気がする。
ある本屋で「ソラニン」が映画化というポップが出てたんだが本当なんだろか。
ヤングサンデーの方にはそういう文字列はあったようだけど、詳細はまだ一切明かされてない模様。
どちらかというとアニメでやってほしいなぁ。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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