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【コミック】愛人[AI-REN] 5

コミック→愛人[AIREN]
12 /10 2006
愛人[AI-REN] 5
田中ユタカ
白泉社
ヤングアニマル連載
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「生きてなさい!
まだだめです!! 朝が来るまで生きてなさい!!
呪われたまま!! 赦されないまま!! 生きてなさい!!
呪われ 病んで 闇の中に生まれてくる子供たちを
ようこそと手を広げて迎えましょう!!
わたしたちが歓迎しなければどうするのです!!」


愛人[AI-REN]最終巻。

核の拡散により、世界に対して世界の終わりが告げられ、そしてその後の物語。
物語は終幕へ向かう。

イクルに与えられた寿命。
あいの10ヶ月の命。
世界の終わり、という宣言。
そんな世界の中でも生きようとする人、生まれてこようとする命…。


最後まで読みきって、ものすごくいい漫画に出会えたと思った。
この物語は決して悲劇なんかじゃなかった。


感動したと言ったらそれまでなんだろうけど、とても感動した。
彼らの生き方に、死と直面して考えて、そして世界に対して選んだ選択に。
そして作者が描いた物語のラストシーンに対して。
読み終わってなお、いまだ作品に接しているかのような感慨深さがある。

ただ感動する、ってのはこういうことなんだろうなぁ。

愛人 -AI・REN- 5 (5) / 田中 ユタカ

【コミック】愛人[AI-REN] 4

コミック→愛人[AIREN]
12 /10 2006
愛人[AI-REN] 4
田中ユタカ
白泉社
ヤングアニマル連載
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「人の生き死にを決めるものは何だろうか?
殺す側と殺される側に分かつものは何だろうか?
罪は関係ない 善悪ではない 必然性もない
おそらくはただの運不運
世界にはアンラッキーな死体と ラッキーなひとごろしがいるだけだ
なにもかも言い訳だ」

愛人[AI-REN]4巻。
いよいよ最期が近づいてきた。


種の寿命自体が近づいてきてもなお己の正当性と防衛のために戦う人間。
次々に放たれる核爆弾。

世界は人間の身勝手さによって確実に終わりに近づき、そして主人公イクルやあいの寿命もすぐそこまで来ている。
そんな絶望的な中でも生まれてくる命、周りは一体どんなふうにその命を受け入れる?


あぁそうか。
この物語は終わっていく様という悲劇を描いているわけじゃないんだ。
そんなことにようやく気づいた。

残るは最終巻のみ。
4巻の最後では彼らはしっかりと自分の人生を生きている…。

愛人 -AI・REN- 4 (4) / 田中 ユタカ

【コミック】愛人[AI-REN] 3

コミック→愛人[AIREN]
12 /10 2006
愛人[AI-REN] 3
田中ユタカ
白泉社
ヤングアニマル連載
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「長い歴史の果てに人間が学んだことは「人間は救えない 人間は変わらない」という事実だ」


愛人[AI-REN]3巻。
ついに死がはじまった。

不治の病のイクルには死が近づき始め、
愛人[AI-REN]であるあいにも寿命が近づく、
人類はHITOとの最終戦争に突入、そして人類の破滅へと歩みだし…

すべてが終わりへと向かい始めた3巻。

一つの幸せの絶頂を描かれ、あとは終末へとむけてすべてが下降するように進んでいく。

この世界の人間も進化の最終過程に辿りつき、人が人を産むという行為、果ては性欲というものがかなり薄れた時代。
人間の種の保存の限界に達し、人間はもって200年しか生きられないという定説。

それと並行するように死へと近づく二人の主人公。
それを二人が実感しながら最後のときをそれでも生きようとするところが。・゚・(ノД`)・゚・。


最期の時、まであと少し…か。

愛人 -AI・REN- 3 (3) / 田中 ユタカ

【コミック】愛人[AI-REN] 2

コミック→愛人[AIREN]
12 /09 2006
愛人[AI-REN] 2
田中ユタカ
白泉社
ヤングアニマル連載
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「自分の人生をまっとうする……ボクの人生
ボクには未来を造るなんてできそうにない
立派な何かを遺すこともできないだろう
だけど誰か……
たったひとりでもいい誰かを大切にしよう
しあわせにしたい!!」

愛人[AI-REN]2巻。

人類によって月に放置された実験体たちが人類より進化し帰還することで、地球は滅びの道を歩み始め、
主人公のイクルとあいはお互いに関係を深めていきながら、自らに残った時間を感じ始める。


……重いなぁ。
主人公とヒロインに課された時間もそうだけど世界観からして、もはや破滅しか感じられない。
人間が人間を生むということ事態が稀有なことになっていること。
親がいて子がいるという当たり前の図式が2巻の段階で一切描かれていないこと。
人間を作る技術があること。
人間を作る代償に失敗作も多々ある事実。
技術が進歩しても人間はやはり人間であったこと。

人間が進化することをやめ、あとは衰退していく、そんな状態になっている。


この物語にハッピーエンドなんてあるんかなぁ。
1巻の段階で予想は十分できたことだけれども。
それでも幸せな結末を願わずにはいられない作品だな…。

愛人 -AI・REN- 2 (2) / 田中 ユタカ

【コミック】愛人[AI-REN] 1

コミック→愛人[AIREN]
12 /09 2006
愛人[AI-REN] 1
田中ユタカ
白泉社
ヤングアニマル連載
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「あいれん【愛人】
終末期の患者の精神的な救済を目的とした擬似的な配偶者、恋人のような役割を果たす人造遺伝子人間。俗語。」

タイトルだけで敬遠してた。
読んでからそれを後悔した。


人造的に作られた人間で、末期を迎えた人間の恋人となる。
そして彼女(彼)は使用者にとっての精神の救済となる。

それだけなら人間と、人間に近づいた者との恋愛だけで終わるんだろうけど、これは違った。

第1話だけで驚愕した。
水に沈んだ町。
終わりを迎えつつある世界。
そして作られた人間である愛人[AI=REN]も10ヶ月ほどしか命は持たない。
使用者にも最後はどんどん近づいていく。
その上でのラブストーリーだった。


温暖化により水の底に沈んだ遊園地で海水浴をして遊ぶ様なんてもう…
なんて破滅的なんだ、と思った。

破滅に向かいながらも愛を育んでいく二人の様が楽しげで生き生きとしてて。
でも読者にとってはそれがとてつもなく儚いことに思えて仕方ないんだよなぁ。

もしかしたらものすごい傑作になるのかもしれないという予感を抱きながら最後まで読もうと思う。

愛人 -AI・REN- / 田中 ユタカ

∀ki(あき)

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