特集 核兵器禁止条約

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核兵器禁止条約

核兵器開発などを初めて全面的に禁じる核兵器禁止条約が21年1月22日に発効しました。核軍縮の前進につながるか注目されています。

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 史上初めて核兵器の開発や保有、使用などを全面的に禁じる核兵器禁止条約が2021年1月22日、南太平洋のサモアから順次発効した。世界の核軍縮は核拡散防止条約(NPT)を柱にしているが、その動きは停滞してきた。核禁条約の推進国や非政府組織(NGO)は、核兵器を非人道兵器とする国際的な規範意識が高まり、核保有国への圧力になると期待しており、核軍縮の前進につながるか注目される。

 批准は22年6月24日現在で65カ国・地域。

核保有国は不参加

 核禁条約は17年7月に122カ国・地域の賛成で採択された。20年10月24日、批准した国・地域が50に達し、発効が決まった。米露英仏中などの核保有国や「核の傘」の下にある日本などは参加しておらず、締約国でなければ条約の法的義務に従う必要はない。だが、核禁条約ができた背景には核軍縮が停滞し続けていることへの不満の高まりがある。今後、NPT再検討会議などの場で核保有国が核軍縮に向けた姿勢をどこまで打ち出すのか問われそうだ。

核兵器禁止条約の第1回締約国会議=ウィーンで2022年6月21日、隅俊之撮影
核兵器禁止条約の第1回締約国会議=ウィーンで2022年6月21日、隅俊之撮影

日本、オブザーバー参加もせず

 条約の第1回締約国会議が22年6月21~23日、ウィーンで開かれた。会議には締約国・地域とオブザーバーの立場の国を合わせて80カ国・地域以上が参加した。核保有国のほか、米国の「核の傘」の下にある日本や韓国なども参加していない。一方、日本と同様に「核の傘」に依存する北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツなど4カ国のほか、米国の同盟国であるオーストラリアなどがオブザーバーとして参加した。

 会議では、核保有国が加盟した場合の核兵器の廃棄期限を10年と定めることなどを決めた。行動計画では、廃棄を検証する国際機関の指定や核実験の被害者らの支援などを引き続き検討すると明記。条約の履行について核関連の分野から助言する専門家グループを設けるなど、合意は幅広い分野に及んだ。

「核なき世界」どう作る

 「核のない世界」を実現するにはどうすればいいか、平和とは何か……。連載「核兵器禁止条約発効~私の思い」では、映画監督、俳優、元外交官、大学生などさまざまな立場の人に思いを聞いた。

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