被爆し異臭放つ祖父に「早く死んでくれ」 消えぬ後悔と原爆への怒り
毎日新聞
2024/12/10 06:00(最終更新 12/10 06:00)
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「家庭や人生をめちゃくちゃに変えられてしまって悔しい。誰も私のような目に遭わせたくないんです」。79年前の米軍による原爆投下で、人類は初めて核兵器の惨禍を経験した。当時8歳で被爆した広島の少女は、家族や生活を奪われた憤りに突き動かされ、戦争と原爆の罪を一貫して告発し続けてきた。
当初は受賞を素直に喜べず
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表理事で、宮城県原爆被害者の会会長の木村緋紗子(ひさこ)さん(87)=仙台市=は10日にノルウェー・オスロで開かれる日本被団協へのノーベル平和賞授賞式に出席する。被爆者援護や核兵器廃絶の実現を目指し、1956年の結成以降、国内外で被爆体験の証言活動に取り組んできた日本被団協。木村さんは受賞決定を知った当初は素直に喜ぶことができなかった。「一生懸命活動してきた先人たちが亡くなった後にもらっても遅い」。複雑な思いがこみ上げた。
だが、授賞式が近づくにつれ、「先人たちの魂を抱いてオスロに行きたい」との思いが強くなっていった。原爆に命を奪われた父や祖父、「核兵器のない世界」を見ないまま亡くなった仲間たちのことを思うと、賞をもらう瞬間まで見届けられることを素直にうれしいと思えるようになった。
8歳で被爆
広島に原爆が投下された45年8月6日、8歳だった木村さんは、爆心地から約1・6キロの大須賀町(現広島市南区)の祖父の別荘で被爆した。朝食中、パーッと明るくなったのを感じたといい、気がつくと潰れた家から引っ張り出されて一命を取り留めた。横を見ると、「顔がぐちゃぐちゃな赤鬼のような人がい…
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