未来を信じ、未来に生きる。

今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。

消せない:児童ポルノと性犯罪/5止 違法サイト遮断

2008-06-21 02:33:28 | 国内社会
 消せない:児童ポルノと性犯罪/5止 違法サイト遮断

 ◇安心し眠れる夜を
 女児が人けのない所に連れ込まれ、男にわいせつ行為を強要されている。女児の顔は分かるが、場所や男の姿は判然としない。

 警察庁の委託で違法・有害情報を受ける民間団体「インターネット・ホットラインセンター」(東京都)に、携帯電話の掲示板に投稿された女児の動画について複数の通報があり、警察に連絡した。

 児童ポルノを公然陳列した者は処罰されるが、プロバイダーには削除する義務はない。センターは07年に1609件の通報を受け、うち526件を削除依頼した。だが応じたのは339件だけだった。海外サーバーを使ったものは他国に要請し、消去を待つしかない。国分明男センター長は「違法サイト運営者はある国を追放されると、別の国で同じことをする」と指摘する。

児童ポルノサイトの通報を受けるエクパット・スウェーデンの事務所。「日本発のものもある」とスタッフは言う=ストックホルムで 消せなければ、見られなくする対策もある。子供が使うパソコンの閲覧を制限するフィルタリング機能も一例だが、画像拡散の歯止めにはならない。

 <STOP! 異議を訴えたい方は警察に届けてください>。スウェーデンで児童ポルノの商業サイトを開くと、画面にこの文字が現れる。フィルタリングより厳しく、プロバイダー段階で閲覧を遮断するブロッキング機能だ。遮断サイトのリストは警察が作る。「STOP」の表示は1日2万~3万件といい、ホットライン「エクパット・スウェーデン」スタッフは「画像を見られなくなれば犯罪者の利益が減る。多くの国が参加すれば効果が上がる」と話す。

 規制強化を盛り込む児童買春・児童ポルノ禁止法の改正論議が大詰めを迎えている。焦点となる単純所持禁止は、慎重だった民主党も性的な目的で所持したり、購入した場合に限り処罰すべきだとの方向で、与党との隔たりは縮まった。だが時間切れで今国会での成立は難しくなってきた。

    ◇

 「あの写真を見た人かも」。少女はすれ違う男性と目が合う度に息が詰まる。見知らぬ男にレイプされ写真を撮られた。男はかばんに現金をねじ込み「これで援助交際だ。通報したら写真をばらまく」と脅した。思い切って警察に行くと「お金が欲しかったんじゃないの」と言われた。学校に行けなくなった。

 事件から2年。画像がネット上に出ていないか確かめたいが、怖くてできない。男が逮捕されたという連絡もまだない。「安心して眠れる夜が早く来ればいいのに」=おわり(この連載は、磯崎由美、曽田拓、田辺一城、堀井恵里子が担当しました)

(出所:毎日新聞 2008年6月7日 東京朝刊)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消せない:児童ポルノと性犯罪/4 再犯防止の取り組み

2008-06-21 02:31:56 | 国内社会
 消せない:児童ポルノと性犯罪/4 再犯防止の取り組み

 ◇自己制御、どこまで
 売店の女性店員にすがり、少女(14)は叫んだ。「助けて」。昨年10月、山形県のJR酒田駅。店員は少女を連れ交番へ急いだ。

 少女は秋田県の中学生。学校でいじめに遭い携帯電話の家出掲示板に書き込んだ。<泊めてくれる人募集>。千葉県に住む会社員の男(31)からメールが来た。<うちに来たらディズニーランドに連れて行ってあげる>

 男は車で少女を迎えに来て、山形県のホテルに連れ込んだが抵抗された。口止めし、やむなく駅で解放した。

 翌11月、男は埼玉県内で別の14歳少女を買春し、埼玉県警に児童買春・児童ポルノ禁止法違反で逮捕される。山形での事件も発覚し、わいせつ目的誘拐容疑で再逮捕。男のパソコンからはネット上で売買されている児童ポルノが見つかった。

 「残業代もつかず、癒やされたかった。成人女性にはそんな気持ちを見抜かれそうで」。山形地裁鶴岡支部で4月に開かれた初公判で、男は釈明した。父親は「中学でいじめられ高校でうつになった。今後は私がパソコンをチェックします」と証人尋問でかばった。

    ◇

 児童ポルノ事件は実刑になることはあまりない。このため罪の意識が希薄で、再犯を繰り返して重大事件につながることも少なくない。

 奈良県の小1女児誘拐殺害事件(04年11月)を機に、法務省は性犯罪の再犯防止プログラムを作成し、06年度から全国18施設で実施している。最長8カ月をかけて思考や行動のゆがみを自覚し、自己制御を身につける。

 埼玉県川越市の川越少年刑務所。受刑者8人がテーブルを囲み、それぞれの事件を振り返る。児童ポルノを見るうちに強制わいせつ事件を起こした者や自分の犯行を撮影し販売していた者もいる。

 「誘ったらついて来たので(性犯罪を)してもいいと思った」「画像を買うやつがいるから売った」。指導員が諭す。「そうした考え方自体が犯罪につながるんです。自分が満足するために、子供を利用したのですよ」

 黒川潤調査専門官は「再犯リスクを減らすためにポルノ画像に接しないなど、自分を制御する方法を理解する受刑者が増えた。社会復帰後にどれだけ実行できるかは、これから試される」と話す。

    ◇

 千葉の会社員は、01年にも宮崎県の15歳少女を自宅に連れ込み、青少年健全育成条例違反で罰金刑を受けていた。今度こそ再犯を防げるのか。求刑は懲役2年6月。判決は6日、言い渡される。=つづく

(出所:毎日新聞 2008年6月6日 東京朝刊)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消せない:児童ポルノと性犯罪/3 画像買いあさった過去

2008-06-21 02:30:00 | 国内社会
 消せない:児童ポルノと性犯罪/3 画像買いあさった過去

 ◇自ら「もう見ない」
 取材場所に指定されたのは東京都内の繁華街のカラオケボックス。男性は表情を変えず淡々と語り始めた。

 「今は良くなりましたが、少し前まで大浴場や公園を避けていました。男の子が近くに来るとパニックになってしまうので」。男性は40代の団体職員。首都圏のマンションで1人暮らしをしている。

 中学生のころ、電車で隣に座った男児の太ももを見て「触りたい」と思った。「なぜこんな気持ちになるんだろう」。まだそれが性欲とも気づかなかった。20歳になり漫画雑誌で男児が性虐待される描写を見た。「僕が求めていたのはこれだ」。ありのままの自分を見つけた気がした。でも誰にも言えなかった。

 インターネット上で仲間を探した。児童ポルノアニメの愛好サークルを見つけ会合に出たが、話が合わずにやめた。悩みを共有したくて掲示板も作った。メールで「一緒に銭湯でものぞきに行きますか」と誘われたこともあった。気後れして連絡を絶った。

 男児が載っている漫画やビデオを買いあさり「こんなものを持っているからだめになる」と捨てる。欲望と自己嫌悪のはざまで行き来し、痴漢行為もするようになっていた。

 そして数年前。駅前で遊んでいた男児に声を掛け、人けのない場所に連れ込んだ。口をふさいでズボンを脱がせようとすると男児が逃げ出し、我に返る。ロープやカッターナイフまで準備していた自分が怖くなり、交番に自首した。男性は強制わいせつ未遂容疑で逮捕され、執行猶予付き有罪判決を受けた。

 児童ポルノと性犯罪の因果関係について、米連邦刑務局は07年、児童ポルノ犯罪による受刑者を調査した。85%が過去に子供への性犯罪を起こしたと告白し、犯行は発覚すらしていなかった。

 日本ではこうしたデータも存在せず「ポルノは犯罪の抑止力」という意見も根強い。「机上の論争はもうやめて、まず調査をしてから対策を考えるべきだ」。児童買春・児童ポルノ禁止法の改正を論議する与党議員からはそんな声が上がる。

 「少なくとも自分にとっては児童ポルノは負の存在でした」。男性は今も週に1度、性依存に悩む人たちの自助グループに参加する。会合で体験を話すうちに、自分を客観視できるようになった。人間関係でストレスを感じ、パソコンで残虐な性的画像を検索していた過去。そんな性向を自覚して以来、自分に課していることがある。「もう児童ポルノは見ない」=つづく

(出所:毎日新聞 2008年6月4日 東京朝刊)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消せない:児童ポルノと性犯罪/2 学校で教諭が盗撮20年

2008-06-21 02:28:18 | 国内社会
 消せない:児童ポルノと性犯罪/2 学校で教諭が盗撮20年

 ◇これで軽犯罪
 あの事件が起きなければ、教諭は今も罪を重ねていただろう。

 昨秋のある夜、大阪府柏原市の小学校。警備員の男(30)は男性教諭(53)の机やロッカーを物色した。以前巡回で見つけた「ある物」が目当てだった。

 盗んだのはビデオテープと写真。プール授業の着替えや身体測定の際に盗撮された女児の裸や下着姿だった。警備員は画像をDVDに複写し、メモを添えて教諭の引き出しに入れた。「一人デミテクダサイ。カンソウハ」

 翌朝、教諭がメモに記されたアドレスにメールを送ると「いくら準備できますか。今までと変わらず良い夫、良い父、良い先生でいられるんですよ」と返信が来た。教諭から相談を受けた大阪府警は、警備員を恐喝未遂容疑で逮捕した。

児童をはぐくむための学校で、盗撮は繰り返されていた 府警は警備員宅などの捜索でビデオ6巻と写真約500枚を押収。教諭による児童買春・児童ポルノ禁止法違反を視野に捜査を始めた。教諭は調べに、約20年前から盗撮していたことを認め「盗撮投稿本を見て、この程度なら自分でもできると思った」と供述した。

 教諭は国立大を卒業後、81年に教員採用された。指導熱心と評価は高く、香港の日本人学校にも派遣された。休日には自然保護活動に加わり、植林などに精を出した。

 デジタル機器に詳しい教諭は視聴覚担当として重用された。授業で児童にパソコンの使い方を教え、行事では撮影係。その技術を悪用、盗撮と画像整理に興奮を覚えた。発覚1カ月前にも授業で児童に水鉄砲を使わせ、教室でぬれた服を着替えるよう指示。隠しカメラは隣室のビデオデッキに接続されていた。

 だが、捜査は行き詰まる。教諭は既にパソコンから画像を消し、他人に提供した形跡もない。現行法は自分で見るための単純所持は禁止されていない。単純製造罪は児童に性的なポーズを取らせた画像に限られ、適用できない。結局、軽犯罪法違反容疑などで書類送検、1万円未満の科料処分で終わった。捜査員は「法律の不備だ」と悔しそうに話す。

 その後、教諭は懲戒免職となり教員免許を返納し、姿を消した。

 柏原市教委は児童に動揺が広がらぬようカウンセラーを派遣。教職員は校内を総点検し、安心して登校するよう呼びかけた。ある母親は言う。「うちの娘が被害者でない保証はないんです。いつかネット上に出回り、本人が見つけてしまったらと思うと……」。誰が写されていたのかは、明らかにされていない。=つづく

英訳

(出所:毎日新聞 2008年6月3日 東京朝刊)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

児童ポルノ:販売目的で所持、8容疑者を逮捕--警視庁

2008-06-21 02:26:58 | 国内社会
 小学生の児童ポルノを販売目的で所持したとして、警視庁少年育成課は3日、川崎市多摩区西生田3、無職、住野保明容疑者(47)ら8人を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的所持)容疑で逮捕したと発表した。DVDの製造拠点を捜索し、約7万枚を押収。8人は三つの販売グループに分かれ、昨年1月から計約1億2000万円を売り上げていた。

 調べでは、8人は5月20日、東京都品川区戸越1のマンションなど3カ所で、違法なDVD1枚を所持した疑い。いずれも容疑を認めている。今年1月、捜査員が児童ポルノ販売サイトをインターネット上で発見。酷似した二つのサイトを見つけ、3グループを割り出した。捜査本部は3グループがそれぞれ連携して、DVDを販売していたとみて調べている。【杉本修作】

(出所:毎日新聞 2008年6月3日 東京夕刊)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

児童ポルノ:被害者1696人、特定できず 画像で年齢判断、立件--07年

2008-06-21 02:24:30 | 国内社会
 児童ポルノ:被害者1696人、特定できず 画像で年齢判断、立件--07年

 全国の警察が07年に検挙した児童ポルノ事件で、被害者が判明せず医師が身体的特徴を鑑定して児童(18歳未満)と判断したケースが143件、延べ1696人に上ることが、毎日新聞の調べで分かった。本人を特定できない画像がインターネットの普及で大量に出回っているためで、鑑定でも児童と判断できなかった例も多い。ネット社会で児童ポルノのはんらんに歯止めが掛けられない実態が明らかになった。

 現行法は18歳未満の子供を写した性的画像の販売や公然陳列などを禁止している。警察庁によると、07年検挙の児童ポルノ事件は567件、被害児童は延べ304人だった。

 だが被害児童数は、本人を特定できたケースだけで、画像鑑定で児童と認定された人数は集計されていない。鑑定により児童と認定し立件した事例について、毎日新聞が各警察本部に調査したところ、23都道府県で143件、被害児童数は延べ1696人に上った。

 大阪府警は07年4月、出会い系サイトで知り合った女児に性的な写真を撮らせて携帯メールで送らせた男を逮捕した。被害児童を、画像から13~15歳と判断した。岡山県警は同2月、ネットオークションで買った画像を再びオークションに出品した男を逮捕した。鑑定により被害児童12人を11歳未満と認定した。警察庁の福田正信・少年保護対策室長は「特定できない被害児童が多いことは、製造された児童ポルノが繰り返し複製されていることを表す」と話す。

 現行の児童買春・児童ポルノ禁止法では、自分で見るためだけの「単純所持」は禁止されておらず、拡散の温床との指摘がある。【曽田拓、磯崎由美】

(出所:毎日新聞 2008年6月2日 東京朝刊)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消せない:児童ポルノと性犯罪/1 広がるネット流通

2008-06-21 02:23:49 | 国内社会
 消せない:児童ポルノと性犯罪/1 広がるネット流通

 ◇「出てるのお前?」 おびえ続ける少女
 古い一戸建ての庭に草木が生い茂る。今年1月のある朝、警視庁捜査員が埼玉県郊外の住宅に踏み込み、40代の男を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(販売目的所持)の疑いで逮捕した。同居する老父は青ざめ、捜査員は物が散乱する男の部屋を見て言葉を失った。

 「違法と知ってたけど軽い気持ちでやっちゃって。拘置所もめったに入れる所じゃないし、いい社会勉強だった」。有罪判決を受け執行猶予中の男は5月、毎日新聞の取材に開き直るように話した。

 男は約20年前から児童ポルノを収集していた。ビデオを整理するためにDVDレコーダーを購入し、作業の途中で思いついた。「これをコピーしてインターネットオークションに出せばもうかる」

 かつてはアルバイトの収入があったが、逮捕当時は無職。父親との2人暮らしで生活費に窮していた。DVDは100円程度で買える。落札価格が1000円でも優に元は取れる計算だ。しかも元のテープも手放さずに済む。収集から販売に転じ、約半年で80本が売れ「まとめて売って」という注文も来た。

 捜査でレコーダーは没収されたが、愛蔵のテープ20本は袋に入れて手元に置いたままだ。「法律が変わって持っているだけでも処罰される日が来たら、保管場所を変えればいい。これだけは墓場まで持っていく」

    ◇


サイバーパトロールで児童ポルノに目を光らせる捜査員 児童ポルノを売ることは罪だが、買うことは許される日本。マニアが金欲しさにコレクションを複製して販売する事件が相次ぐ。撮影から何年もたった画像がネット上に出回り、被害児童はいつまでもおびえ続ける。

 「また同じ画像か」。警視庁少年育成課の捜査員はネットの販売サイトを調べる度に無力感に襲われる。「一度世に出た児童ポルノは、もはや消し去ることは不可能なのか」

 警視庁と三重、福岡県警合同捜査本部は昨年9月、大規模な販売組織を摘発した。年間売り上げは推計1億4000万円。リーダー格の男(31)は元裏ビデオ店店員で、「独立したほうがもうかる」とネットに詳しいパチンコ仲間らを集めた。サイバー捜査が及ばぬよう販売サイトの開設、閉鎖を繰り返した。

 押収したDVD約3万枚のほとんどがネット上から入手した画像の複製品で、被害児童を特定できない。捜査本部は「小学2年」と題されたDVDの画像鑑定を医師に依頼。被害者を9歳と判断して立件にこぎつけた。

 押収品には奈良県警などが05年、被害児童を特定し、製造者を逮捕した「関西援交シリーズ」もあった。捜査は終結したが、複製の流通は止まらない。

 摘発から3年たった今も、奈良県警捜査員は被害児童らの身を案じる。新天地で再出発した子供もいれば、突然携帯電話が通じなくなった子供もいる。震える声の電話を時折受ける。

 「知り合いに言われたの。『あれ見たぞ。出てるのお前か?』って。どうしよう」。捜査員は少女に繰り返す。「絶対認めたらあかん。もう忘れて、今を大事にするんや」

   ×  × 

 ITが悪用され際限なく複製される児童ポルノ。被害児童の画像はネット上から消せない。心の傷も癒やせない。犯罪は増幅し、後を絶たない。幼い性の商品化はどうしたら防げるのか。=つづく

==============

 ■解説

 ◇法を改正し、拡散防止を
 警察が児童ポルノを摘発するには被写体が18歳未満であると立証する必要がある。画像は大半が、買春や虐待、盗撮など犯罪行為の中で撮られるが、拡散すると最初の犯罪までたどり着くのは困難だ。身体的特徴から判断できるのもおおむね小学生以下とされ、合法的に流通する画像の数は計り知れない。

 個人で見る目的だけの収集(単純所持)が罪でないため市場は広がり、次々と販売、譲渡される。児童らしき画像の販売サイトを見つけ削除を依頼しても、強制力はなく、被害児童を特定した画像であってもいつまでもネット上から消えない。

 国会は、児童ポルノ規制に超党派で取り組んできたが、今回の改正では、与党と民主党が単純所持を処罰化する方向で一致しながら同じテーブルに着かず、今国会中の改正は時間切れとなりつつある。

 児童ポルノ対策は東京で今月開かれるG8(主要8カ国)司法・内務相会合でも議題となる。迷惑メールで一方的に送り付けられた場合を除外するなど法改正には慎重さが求められるが、児童を守るためには一刻の猶予もない。【磯崎由美】

(出所:毎日新聞 2008年6月2日 東京朝刊)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福田内閣が設置した社会保障国民会議が中間報告-元凶は抑制路線と消費税頼み-

2008-06-21 02:14:42 | 国内政治
主張
社会保障国民会議
元凶は抑制路線と消費税頼み

--------------------------------------------------------------------------------

 福田内閣が設置した社会保障国民会議が中間報告を発表しました。

 社会保障のあらゆる分野で、切実に支援を必要としている人が制度から排除される福祉の破壊がますます深刻になっています。

 ところが中間報告は、「社会保障制度の構造改革が進み、経済財政との整合性、社会保障制度の持続可能性は高まった」と、社会保障の「抑制路線」をほめたたえています。

「構造改革」そのものに
 小泉「改革」は「はじめに抑制ありき」で給付を減らし負担を増やす文字通り制度改悪の連続でした。

 年金では、保険料を毎年値上げして給付水準を引き下げる仕組みを導入したうえ、無責任な運営で発生させた「消えた年金」の解決は遅々として進んでいません。

 介護では「保険あって介護なし」の矛盾が広がり、医療は中間報告でさえ「医療崩壊」と表現するほど深刻です。とりわけ「後期高齢者医療制度」は、七十五歳という年齢で高齢者を別枠の制度に囲い込み、負担増と差別医療を強いる世界に例のない非人間的な仕組みです。

 政府も社会保障の惨状をある程度認めざるを得なくなっています。その責任が問われているにもかかわらず、中間報告は社会保障の問題は「構造改革」が「十分対応できなかった問題」「改革の過程で新たに生じた問題」と片付けました。改革が十分ではなかった、改革は良かったが問題が派生したというのは責任回避の言い逃れにほかなりません。

 国民のいのちと暮らしを守る社会保障を掘り崩してきたのは、小泉内閣以来の「構造改革」そのものです。加えて労働者派遣法の規制緩和が非正規雇用をまん延させ、「大企業・大資産家に減税、庶民・高齢者に増税」の逆立ちした税制が暮らしの困難に拍車をかけました。

 中間報告は今後の「基本方向」として、これまでの路線を引き継ぐと同時に、「『社会保障の機能強化』に重点を置いた改革を進めていくことが必要」だとのべています。

 “改革が足りなかった”“改革から派生した”と言い逃れる姿勢から出てくるのは、いっそうの「構造改革」とパッチワークのような部分的、一時的「修正」にすぎません。

 国民会議の座長を務めているのは小泉内閣で経済財政諮問会議のメンバーだった吉川洋・東大教授です。吉川座長は国民会議の医療・介護・福祉分科会で、公的保険の「範囲をどのようにするのか議論しなければいけない」と発言しています。同分科会の報告は、保険給付の範囲と公私の役割分担の検討、「軽い」治療を保険外にする「保険免責制」の議論を深めるとのべています。

 公的保険を制限し民間保険に委ねることは、貧富の格差が治療の格差に直結する、荒廃しきったアメリカ型の医療制度への道です。

行き過ぎた減税の是正
 こんな社会保障の改悪を盛り込みながら、国民に負担増を求められてはたまりません。

 福田康夫首相は消費税増税について「決断しないといけない」時期だと発言しました。どんなに貧困でも、毎日の生活費に課税する消費税は、弱者を社会的に支える社会保障の目的に反する福祉破壊税です。

 必要な財源は道路特定財源や軍事費のムダにメスを入れ、十年間で七兆円という大企業・大資産家への行き過ぎた減税を是正して生み出すべきです。必要なのは社会保障「抑制」路線を根本から転換し、逆立ちした税制を改めることです。

国民負担増を示唆
社会保障国民会議中間報告
「抑制」の大本変えず

--------------------------------------------------------------------------------

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大大学院教授)は十九日、今後の社会保障制度のあり方についての中間報告をまとめ、福田康夫首相に提出しました。

 報告では、少子高齢化のなかで「社会保障制度は財政上の困難に直面する」ことなどを指摘。「速やかに負担についての国民合意を形成し、国・地方を通じた必要な財源確保を図るべきである」と提起しました。消費税など財源への直接的な言及はしていませんが、「給付の裏側には必ず負担がある」として、国民の「制度を支える責任」を強調。国民負担増をにじませました。

 会議に出席した福田首相は、「社会保障制度は国民の理解と納得のもと、みんなで支えあうことで初めて成り立つ」と述べ、野党を巻き込んだ議論をおこなう意図を示しました。

 報告では、「これまでの社会保障改革は、経済財政政策との整合性に重点」を置いた改革であったが、今後は「社会保障の機能強化」に重点を置く、と表明。「社会保障費抑制路線」に国民の批判が集まっていることを意識して、一定の「手直し」をする方向も示唆しました。しかし、社会保障費抑制の大本にある「年間二千二百億円の圧縮路線」からの転換を求める表現は一切ありませんでした。

 同会議は今年一月に設置されて、会議のもとに分科会をつくり(1)雇用・年金(2)医療・介護・福祉(3)少子化・仕事と生活の調和などの分野で、制度のあり方などについて議論してきました。五月には、基礎年金を「全額消費税方式」にした場合、消費税が最大18%になるとの試算を発表しました。秋にまとめる最終報告の議論のなかでは、医療・介護・福祉サービスの将来費用の推計をおこなうことにしています。

(出所:日本共産党HP 2008年6月20日(金)「しんぶん赤旗」)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消費税増税-財政赤字の原因は誰が作ったー

2008-06-21 01:51:35 | 国内経済
消費税増税
福田首相トンデモ発言
財政赤字 誰が作った

--------------------------------------------------------------------------------

 “高齢化で財政赤字を招いたから消費税増税”―。福田康夫首相は、社会保障を財政赤字の元凶だとし、消費税増税が避けられないかのように描き出そうとしています。事実をねじまげたとんでもない暴論です。借金の原因をちゃんと見れば、消費税増税に頼らない道筋が見えてきます。(山田英明)

--------------------------------------------------------------------------------

元凶は大型公共事業
 国と地方の借金(長期債務残高)は、一九九〇年代に急激に膨張しました。

 十年間の積み増し額は約三百兆円。財務省のパンフレットも「公共事業関係費の増加が主要因」と指摘するほどです。

 借金膨張の最大の要因は、アメリカに追従する自民党政治による大型公共事業優先の政治が招いたものです。

 「日米構造協議」の最終報告(九〇年六月二十八日)は、「総額四百三十兆円の公共投資基本計画(十カ年)の実施」を提起。その後、この計画は、九五年度から十三年間に六百三十兆円と増額改定されました。

 この「計画」が“縛り”となり、自民党政権は、宮沢内閣の「緊急経済対策」を皮きりに、二〇〇〇年まで相次いで、大型公共事業中心の「経済対策」を実施してきました。これが国と地方の借金を急膨張させてきたのです。

5兆円の軍事費維持
 アメリカ追随のもとで異常な規模に膨れ上がった軍事費も、国民生活や経済を支える予算を圧迫しています。

 日本の軍事費は九〇年代前半に急激に増加。その後、五兆円規模の軍事費を毎年、維持し続けています。憲法で「戦力の不保持」を定めている国としては異常な規模となっています。

 七八年度から始まった在日米軍への「思いやり予算」は〇八年度予算でも二千八十三億円。この間の累計では五兆円を大幅に超えました。

 政府は「日米同盟強化」の名のもとで、イージス艦(一隻約千四百億円)やヘリ空母(同約一千億円)など「他国を攻撃できる能力をもつ兵器」の増強を進めています。

 この上さらに、米軍のグアム移転や国内での基地再編のために三兆円もの税金が投入されようとしています。

大企業減税で空洞化
 歳入面でみると、税収の空洞化を招いたのは、ゆきすぎた大企業減税です。

 法人企業統計調査(財務省)によると、大企業(資本金十億円以上)の税負担は、九〇年代と比べても横ばい。同じ期間に、経常利益が急激に増加してきたのとは対照的です。

 自民・公明政権は、研究開発減税やIT(情報技術)投資減税など、大企業のためにあれやこれやの減税策を講じてきました。その結果、大企業がバブル期を超える空前の利益を上げているにも関わらず、法人税収は低迷してきました。

 同時に、国際的に見ても、日本の主要大企業の税と社会保険料負担は、先進国の中でも低レベルに抑えられています。

貧弱な社会保障給付
 ヨーロッパでは、社会保障が予算の中心になるのが当たり前です。ところが、日本では、抑制が続いています。

 社会保障関係費は高齢化によって、当然、必要額は毎年増加します。その自然増分を毎年毎年二千二百億円(〇二年度は三千億円)抑制してきたのが、この間の自公政権でした。

 消費税導入以降、社会保障は改悪の一途をたどっています。

 小泉内閣以来の「社会保障費抑制路線」によって、医療、年金、介護、生活保護が毎年のように改悪されてきました。

 政府の社会保障国民会議に吉川洋座長(東京大学教授)が提出した資料でも、日本の社会保障給付がヨーロッパ諸国と比べて依然、低水準なことが分かります。

聖域ただす抜本改革を
 国と地方の多額の借金膨張の原因を見れば、財政再建の方向は明らかです。

 ムダと浪費を生み出す大型公共事業を見直すことが必要です。十年間も高速道路ネットワークを整備し続ける道路中期計画などはまず見直すべきです。

 その上で、大企業優遇税制と軍事費という二つの聖域を見直すべきです。大企業の法人税率(現行30%)をせめてバブル期(九〇年度)の37・5%に戻すだけでも、約四兆円の増収が見込まれます。さらに、研究開発減税などを廃止・縮小すれば、一兆―二兆円の税収を確保することができます。

 こうした国民本意の税制の抜本改革で、消費税増税に頼ることなく、社会保障をさらに充実させる展望が開けます。

(出所:日本共産党HP 2008年6月19日(木)「しんぶん赤旗」)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする