志位委員長代表質問への鳩山首相の答弁 (要旨)
志位和夫委員長の代表質問(29日)に対する鳩山由紀夫首相の答弁(要旨)は次のとおりです。
【雇用】
改正雇用保険法により、とくに再就職が困難な方に給付日数が60日分延長され、本年4月から8月までで約24万人に延長が行われています。今後ともこうした延長給付の活用などによって雇用のセーフティーネットを整備し、国民の安心感を高めてまいりたい。
求職活動中の生活と住居の支援について、これまで雇用保険を受給できない失業者に対する第二のセーフティーネットとして、生活支援の融資や職業訓練期間中の生活保障、住宅手当の支給などを実施して、さらに今般決定した緊急雇用対策のなかで、住居を失った生活困窮者の方に住宅を確保する取り組みを行うということになっています。きめ細やかな対策をそこで展開をいたすことにしており、仕事や住居を失った方の再就職をこれによって支援をしてまいります。
雇用調整助成金については、緊急雇用対策においてさらなる支給要件の緩和を行ったところです。今後の経済・雇用情勢の推移を踏まえて、雇用調整助成金による雇用の維持の支援に機動的に取り組んでまいります。
雇用、生活の安定を図るため、正規雇用を希望する非正規の労働者の方々に対して、正規雇用に向けて積極的に支援をすることは極めて重要だと認識しています。非正規労働者に対するワンストップによる就業支援、事業主への助成制度の活用などによって非正規労働者の正社員としての就職を支援し、企業に対しても安易な雇用などが行われないよう、労働関係法令順守の指導をこれから徹底をしてまいりたい。
【労働者派遣法改正】
派遣切りに象徴される派遣労働者をめぐる雇用環境を含めて、非正規の雇用全体の労働条件の改善への取り組みは、内閣の最重要課題の一つだと認識しています。一人ひとりが安全、安心、生きがいを実感しながら働くことのできる社会の実現に向けて、緊急雇用対策に加え、労働者派遣法の改正に向けて取り組みをすでに開始をしています。
雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図ることは重要です。貧困の原因は、いろいろあると思いますが、労働法制の規制緩和もあり、派遣労働者が増え、今般の経済危機においていわゆる派遣切りの対象になったことも事実だと理解しています。3党連立合意を踏まえ、労働者の保護を強化する方向での労働法制の整備をしていく所存です。
労働法制のなかでの労働者派遣法の改正内容ですが、民主党マニフェストおよび3党連立合意には、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合の直接雇用みなし制度の創設などが盛り込まれていまして、労働者派遣法の具体的改正内容については、いま申し上げたことを踏まえて、通常国会への法案提出を目指し、厚生労働省の労働政策審議会で検討をスタートをしているところです。
【後期高齢者医療】
年齢で人間を差別をする、こういった後期高齢者医療制度が大変けしからん制度であることは、私どももよく理解をしており、その廃止を求めて私どもは今般選挙でたたかってきたこともご案内の通りです。
後期高齢者医療制度を廃止をすることは事実ですが、廃止後の制度のあり方について、高齢者はもとより、市町村をはじめ関係者の方々の理解を得ることが必要であることは論をまちません。
老人保健制度にいったん戻すことについて、たびたび見直しを行うということになり、高齢者の方々に不安や、あるいは混乱を生じてはいけない、こんな思いもございまして、またシステムの改修や被保険者の情報の移管などに約2年かかるということであり、また多額の経費も必要になるということもあり、新たな制度に直接移行するほうが合理的であると判断をいたしたところです。老人保健制度に戻すことよりも、幅広い国民の納得と信頼が得られる新たな制度を創設をしたい。これは決して先送りではありません。
【農業】
農産物の平均関税率が12%であるということは理解しています。ただ一方では、わが国の農業にとって重要な品目については輸入により国内の農業に大変悪影響を及ぼす懸念がありますので、高い関税を維持しているところです。
国際化の流れのなかで貿易の自由化あるいは国内の農業への影響との両方をにらむ必要があるということで適切な関税というものを設定していくことが求められています。
米国とのFTAの交渉促進を含めた国際交渉について、貿易投資を自由化する、その観点から当然、推進をしなければならないことだと理解しています。しかし一方で、食の安全・安心、安定供給、食料自給率の向上、国内農業、農村地域の振興などを考えなければなりません。決して損なうことがあってはならない、そのように認識しております。
戸別所得補償制度について、関税撤廃とセットではないかとのご指摘ですが、3党連立合意や民主党マニフェストにおいて、戸別所得補償制度は、決して関税の撤廃が前提だということではないことをご承知おきいただければと思います。
【財源問題】
高速道路の無料化と福祉にかかわる質問でした。高速道路の無料化も流通の活性化を促すという意味では、地域において大きな経済効果をもたらすものだと理解をいたし、さらには家計を直接応援する施策でもあり、子ども手当や高校の実質無償化などと合わせて、国民の暮らしを守る政策として大変意味のあるものだと理解しています。
子ども手当の財源ですが、子ども手当を創設する際、所得税の控除の見直しにつきましては、政府税調を立ち上げたところでして、そこで本格的に検討を行って年末に向けて結論を出します。今後予算編成の過程を通じて、財源の確保、方策を含めて政府全体で制度の具体的な内容を決めてまいります。
総合的な子育て支援についてのご質問でございますが、社会全体がまさに支え合い、助け合って負担をするという発想が非常に大事だと思っております。子ども手当の創設に加えて、保育所の増設など、待機児童の解消に向けて努力をいたしますし、また、多様な保育サービスの量の確保もしてまいらなければなりません。仕事と子育ての両立のための支援をいたすなど、総合的な子育て支援策の充実に努めることをお約束します。
在日米軍の駐留経費は、わが国の負担をより効率的で効果的なものにするために、包括的な見直しが必要だと認識しています。今後とも在日米軍駐留経費の負担については、透明性を確保しながら、包括的な見直しに取り組んで、国民の理解を得てまいりたい。
現行の金融所得課税は、分離課税のもとで基本的に20%の比例税率が適用され、このうち証券税制について、ご案内のとおり現在税率を10%に軽減しています。景気がかなり厳しい、経済金融環境が非常に厳しい状況のなかで、優遇措置を講じているわけで、あくまでも時限的な措置です。証券税制を含め個人所得課税のあり方については今後、政府税調でしっかりと議論してまいることをお約束します。
【沖縄の基地問題】
アジアの太平洋地域には、いまだに不安定な要因があると理解をしています。こういうなかで沖縄を含む在日米軍の抑止力というものも、まだわが国の安全保障において必要なものだと理解をするべきだと考えています。在日米軍の再編について、こういった安全保障上の観点も踏まえて、過去の日米合意というものもある。この経緯を慎重に、検証をする必要がある。検証を行いながら、沖縄の方々の思いをしっかりと受け止めていきたい。そして、日米間で真剣にこの問題に取り組んでいきたいと思っております。この件に関して、現在、岡田外務大臣と北沢防衛大臣のもとで、真剣な検証を行っていただいているところです。最終的には私自身が決めることで、対米従属政治だとはまったく思っておらないことを付け加えさせていただきます。
(出所:日本共産党HP 2009年10月30日(金)「しんぶん赤旗」)
志位和夫委員長の代表質問(29日)に対する鳩山由紀夫首相の答弁(要旨)は次のとおりです。
【雇用】
改正雇用保険法により、とくに再就職が困難な方に給付日数が60日分延長され、本年4月から8月までで約24万人に延長が行われています。今後ともこうした延長給付の活用などによって雇用のセーフティーネットを整備し、国民の安心感を高めてまいりたい。
求職活動中の生活と住居の支援について、これまで雇用保険を受給できない失業者に対する第二のセーフティーネットとして、生活支援の融資や職業訓練期間中の生活保障、住宅手当の支給などを実施して、さらに今般決定した緊急雇用対策のなかで、住居を失った生活困窮者の方に住宅を確保する取り組みを行うということになっています。きめ細やかな対策をそこで展開をいたすことにしており、仕事や住居を失った方の再就職をこれによって支援をしてまいります。
雇用調整助成金については、緊急雇用対策においてさらなる支給要件の緩和を行ったところです。今後の経済・雇用情勢の推移を踏まえて、雇用調整助成金による雇用の維持の支援に機動的に取り組んでまいります。
雇用、生活の安定を図るため、正規雇用を希望する非正規の労働者の方々に対して、正規雇用に向けて積極的に支援をすることは極めて重要だと認識しています。非正規労働者に対するワンストップによる就業支援、事業主への助成制度の活用などによって非正規労働者の正社員としての就職を支援し、企業に対しても安易な雇用などが行われないよう、労働関係法令順守の指導をこれから徹底をしてまいりたい。
【労働者派遣法改正】
派遣切りに象徴される派遣労働者をめぐる雇用環境を含めて、非正規の雇用全体の労働条件の改善への取り組みは、内閣の最重要課題の一つだと認識しています。一人ひとりが安全、安心、生きがいを実感しながら働くことのできる社会の実現に向けて、緊急雇用対策に加え、労働者派遣法の改正に向けて取り組みをすでに開始をしています。
雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図ることは重要です。貧困の原因は、いろいろあると思いますが、労働法制の規制緩和もあり、派遣労働者が増え、今般の経済危機においていわゆる派遣切りの対象になったことも事実だと理解しています。3党連立合意を踏まえ、労働者の保護を強化する方向での労働法制の整備をしていく所存です。
労働法制のなかでの労働者派遣法の改正内容ですが、民主党マニフェストおよび3党連立合意には、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合の直接雇用みなし制度の創設などが盛り込まれていまして、労働者派遣法の具体的改正内容については、いま申し上げたことを踏まえて、通常国会への法案提出を目指し、厚生労働省の労働政策審議会で検討をスタートをしているところです。
【後期高齢者医療】
年齢で人間を差別をする、こういった後期高齢者医療制度が大変けしからん制度であることは、私どももよく理解をしており、その廃止を求めて私どもは今般選挙でたたかってきたこともご案内の通りです。
後期高齢者医療制度を廃止をすることは事実ですが、廃止後の制度のあり方について、高齢者はもとより、市町村をはじめ関係者の方々の理解を得ることが必要であることは論をまちません。
老人保健制度にいったん戻すことについて、たびたび見直しを行うということになり、高齢者の方々に不安や、あるいは混乱を生じてはいけない、こんな思いもございまして、またシステムの改修や被保険者の情報の移管などに約2年かかるということであり、また多額の経費も必要になるということもあり、新たな制度に直接移行するほうが合理的であると判断をいたしたところです。老人保健制度に戻すことよりも、幅広い国民の納得と信頼が得られる新たな制度を創設をしたい。これは決して先送りではありません。
【農業】
農産物の平均関税率が12%であるということは理解しています。ただ一方では、わが国の農業にとって重要な品目については輸入により国内の農業に大変悪影響を及ぼす懸念がありますので、高い関税を維持しているところです。
国際化の流れのなかで貿易の自由化あるいは国内の農業への影響との両方をにらむ必要があるということで適切な関税というものを設定していくことが求められています。
米国とのFTAの交渉促進を含めた国際交渉について、貿易投資を自由化する、その観点から当然、推進をしなければならないことだと理解しています。しかし一方で、食の安全・安心、安定供給、食料自給率の向上、国内農業、農村地域の振興などを考えなければなりません。決して損なうことがあってはならない、そのように認識しております。
戸別所得補償制度について、関税撤廃とセットではないかとのご指摘ですが、3党連立合意や民主党マニフェストにおいて、戸別所得補償制度は、決して関税の撤廃が前提だということではないことをご承知おきいただければと思います。
【財源問題】
高速道路の無料化と福祉にかかわる質問でした。高速道路の無料化も流通の活性化を促すという意味では、地域において大きな経済効果をもたらすものだと理解をいたし、さらには家計を直接応援する施策でもあり、子ども手当や高校の実質無償化などと合わせて、国民の暮らしを守る政策として大変意味のあるものだと理解しています。
子ども手当の財源ですが、子ども手当を創設する際、所得税の控除の見直しにつきましては、政府税調を立ち上げたところでして、そこで本格的に検討を行って年末に向けて結論を出します。今後予算編成の過程を通じて、財源の確保、方策を含めて政府全体で制度の具体的な内容を決めてまいります。
総合的な子育て支援についてのご質問でございますが、社会全体がまさに支え合い、助け合って負担をするという発想が非常に大事だと思っております。子ども手当の創設に加えて、保育所の増設など、待機児童の解消に向けて努力をいたしますし、また、多様な保育サービスの量の確保もしてまいらなければなりません。仕事と子育ての両立のための支援をいたすなど、総合的な子育て支援策の充実に努めることをお約束します。
在日米軍の駐留経費は、わが国の負担をより効率的で効果的なものにするために、包括的な見直しが必要だと認識しています。今後とも在日米軍駐留経費の負担については、透明性を確保しながら、包括的な見直しに取り組んで、国民の理解を得てまいりたい。
現行の金融所得課税は、分離課税のもとで基本的に20%の比例税率が適用され、このうち証券税制について、ご案内のとおり現在税率を10%に軽減しています。景気がかなり厳しい、経済金融環境が非常に厳しい状況のなかで、優遇措置を講じているわけで、あくまでも時限的な措置です。証券税制を含め個人所得課税のあり方については今後、政府税調でしっかりと議論してまいることをお約束します。
【沖縄の基地問題】
アジアの太平洋地域には、いまだに不安定な要因があると理解をしています。こういうなかで沖縄を含む在日米軍の抑止力というものも、まだわが国の安全保障において必要なものだと理解をするべきだと考えています。在日米軍の再編について、こういった安全保障上の観点も踏まえて、過去の日米合意というものもある。この経緯を慎重に、検証をする必要がある。検証を行いながら、沖縄の方々の思いをしっかりと受け止めていきたい。そして、日米間で真剣にこの問題に取り組んでいきたいと思っております。この件に関して、現在、岡田外務大臣と北沢防衛大臣のもとで、真剣な検証を行っていただいているところです。最終的には私自身が決めることで、対米従属政治だとはまったく思っておらないことを付け加えさせていただきます。
(出所:日本共産党HP 2009年10月30日(金)「しんぶん赤旗」)