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新卒者の就職難打開へ-いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯な取り組みを-

2010-04-23 17:47:29 | 国内政治
新卒者の就職難打開へ―社会への第一歩を応援する政治に
いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯な取り組みを
2010年4月21日 日本共産党

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 日本共産党の小池晃政策委員長が、21日に発表した政策「新卒者の就職難打開へ―社会への第一歩を応援する政治に いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯(しんし)な取り組みを」は次のとおりです。

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 学生、高校生に“氷河期の再来”という深刻な就職難が襲いかかっています。今春卒業の学生の就職内定率は史上最悪となり、来年3月卒業予定の就職活動も厳しさを増しています。

 就職難と厳しい就職活動は学生の責任ではありませんが、「何十社も面接に行ったけど全部ダメだった。自分は社会に必要ない人間なのか」という深刻な訴えも少なくありません。就職活動は、一人一人バラバラで、就職先が決まるかどうかは、すべて「自分の責任」と思い込みがちです。しかし、“就職氷河期”が繰り返される経済社会の方にこそ、深刻で重大な問題があります。

 日本共産党は、就職難を打開するために政治が取り組む課題として、以下の提案を行うとともに、多くの学生のみなさんが“被害者”にとどまるのではなく、就職難をもたらした経済のあり方と政治を変え、若者が人間としてもっと尊重される働き方にしていくために、ともに考え、ともに力をあわせることを心から呼びかけます。

1、新卒者の求人と採用を増やすために

(1)非正規から正規雇用への転換をすすめ、新規採用を増やす

 新卒者の求人が減少しているのは、景気の悪化だけでなく、派遣や請負などの非正規雇用の拡大が根本にあります。製造業の大企業(従業員500人以上)が雇用している労働者は、1994年の269万人から187万人へと82万人、30%も減っています。

 一方で、日本の大企業は、この10年間に内部留保を142兆円から229兆円にも増やしています。急激な生産調整も終わり、アジアなどへの輸出やエコカー減税などの効果もあって、自動車、電機をはじめ大企業の生産も収益も回復しつつあります。ところが、生産が回復しても、「使い捨て」できる派遣や期間社員などの非正規雇用の復活で対応し、正社員を増やそうとはしていません。こんなことが続くかぎり、新卒者の就職難も解決しません。

 新卒者の就職難打開のためにも、非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和を抜本的に見直し、日本の雇用のあり方を、非正規雇用から正規へと転換することがどうしても必要です。今国会に、その中心となる労働者派遣法の改定案が提出されましたが、製造業派遣、登録型派遣を「原則禁止する」と言いながら、「常用型」とか「専門業務」などの名前をつければ実態は同じでも容認するなどの「大穴」があいています。派遣から正社員への道を開く抜本改正の実現に力を尽くします。

 また、契約社員、期間社員を増大させた労働基準法の改悪を見直し、期限付きの雇用契約は、合理的な理由がある場合に限定し、数カ月の雇用契約を繰り返す短期・反復雇用を規制します。

(2)サービス残業の根絶など、異常な長時間労働を是正して、雇用を増やす

 就職難や失業が深刻になる一方で、“1人で2人分働かせる”異常な長時間労働が横行し、過労死や過労自殺が後を絶ちません。違法なサービス残業をなくすだけで、新たに100万人以上の雇用が生まれるとされています。

(3)公務・公共分野での非正規化をストップし、正規雇用への流れをつくる

 派遣や請負は、公務・公共部門でも急速に広がっています。総務省の調査でも自治体で「週20時間以上で6カ月以上雇用されている非正規雇用労働者」は約50万人にのぼっています。保育士では8万9千人と半分近く、公立図書館では6割が非正規雇用です。その多くが、恒常的な業務にたずさわっていながら、6カ月や1年の有期雇用や派遣です。大学を出て、公立の学童クラブの非常勤指導員になったが雇用期間は最長3年、その後は「フリーター」などという例もあります。

 国でも、多くの分野に非正規雇用が広がっています。厚生労働省が、若者や新卒の学生・高校生の就職支援のために導入したジョブサポーターも1年の有期雇用です。「来年は自分自身の仕事があるか不安」というのは「笑い話」ではすまされません。

 国や自治体が、“官製ワーキングプア”などと呼ばれる不安定で低賃金の雇用を広げ、若者を「使い捨て」にするようなことはただちにやめるべきです。

(4)社会保障の削減から拡充への転換、環境重視への政治の転換で新規雇用を創出する

 介護や保育などの福祉分野、環境でのニュービジネスなどは、前の自公政権も、今の民主党政権も、雇用対策の柱にしてきましたが、“看板だおれ”に終わっています。これらの分野で、本当に新しい仕事と雇用を創出するには、政治を変えなければなりません。

 介護では、深刻な人手不足が続いています。その原因は、引き下げられてきた介護報酬や人員配置基準などによる低賃金で過酷な労働条件にあります。介護保険への国庫負担を増額するなど、社会保障削減の政治を転換しなければ、雇用創出にはなりません。42万人の特養ホーム待機者を解消することは、職員配置を3対1としても14万人の雇用に相当します。保育園の待機児童が増え続けているにもかかわらず、保育園の新増設ではなく、子どもの詰め込み(定員の規制緩和)で「乗り切ろう」とするなどの政治では新規雇用創出も望めません。環境でも、ヨーロッパ諸国のように、産業界と温室効果ガス削減の拘束力を持った協定を結び、環境への政治の取り組みを抜本的に強化することが、新しい仕事と雇用につながります。

2、就職活動を改善する――“就活ルール”の確立と学生への支援を

(1)学業と両立でき、学生の負担を軽減する就職活動のルールをつくる

 “3年生から就活に追われる”“面接とぶつかり教育実習も受けられない”など、就職活動の早期化、長期化は、学生の大きな負担になっているだけでなく、大学教育にも大きな支障が出ています。専攻や卒論・卒研のテーマも決まらない時期に「内々定」を出すなど、専門性も生かせない就活は、学生を受け入れる企業にとっても大きなリスクがあります。

 多くの大学・教育関係者から、就職活動の開始時期を定めるなどのルールを求める声があがり、文部科学省も「大変憂慮している」としています。日本経団連などの経済界が「ルールをつくっても破る企業が出てくる」などと言って反対していますが、企業にとっても、社会にとっても、損失が大きい今の就職活動を改めることに後ろ向きでは、企業の発展も望めません。

 就職活動が学業をさまたげることのないように、会社説明会やエントリーシートの受け付け、面接の開始日などで社会的なルールを確立します。違反した企業には、企業名の公表などのペナルティーを科すようにします。経営者団体、大学当局、学生・教職員代表など関係者で構成する機関を設置し、運用状況を監視するようにします。

 いったん卒業したら、翌年度の卒業予定者を対象とした採用に応募することもできないという、企業の募集のやり方も問題を深刻にしています。新卒時に正社員になれないと“自分の人生が閉ざされてしまう”という焦燥感に追い立てられ、就職活動がいっそう重く苦しくのしかかっています。高い学費を払って、就職のためだけに留年する学生も増えています。「生まれた時が悪かった」ではすまされません。少なくとも、卒業後3年間は「新卒扱い」として就職あっせんの対象とし、就職活動でも差別しないようにするよう、政府が企業や大学を指導することが求められています。

(2)奨学金の返済猶予の拡充はじめ、就活する学生への支援を

 “いつ面接が入るかわからないのでバイトができない”“就活中のバイトは面接がない深夜だけに”など、激しくなる就職活動は、学生の経済的な負担も重くしています。地方大学では、面接のたびに夜行バスで上京する交通費や宿泊費も重い負担になっています。大学でバスを手配するなどの例もあります。こうした各大学の学生への経済的支援をする取り組みを拡充し、国が補助する制度をつくります。また、就職活動中の生活費や交通費などへの臨時の貸付制度を創設するなど、就活する学生への経済的な支援も行うようにします。

 同時に、奨学金の返済が困難な場合の返済猶予制度を拡充します。現行の返済猶予制度は、戦前につくられたもので、返済猶予期間を最長5年間としたのは「兵役を想定した」ものとされるなど、実態とはかけ離れています。返済猶予期間の延長や所得制限の緩和、相談体制の強化、滞納者のブラックリスト化の中止、卒業後にも有利子から無利子に転換できる制度の創設などを行います。さらに、貸与制で利子付きが7割も占め、社会人になった途端に数百万円の借金を背負うなど、給費制が主流の欧米からみれば異常な日本の奨学金制度を見直し、給付制奨学金の創設と有利子奨学金の無利子化をすすめます。

(3)新卒未就職者への職業訓練の提供などの対策を強化する

 政府の新卒未就職者の職業訓練は、パソコン教室などの民間業者への委託が中心で、民間依存の緊急避難的なものが主流になっています。その一方で、国や自治体が責任を持っている公共職業訓練は、各分野のエキスパートとして技能・資格取得が可能な長期訓練ができ、就職率も高いのですが、統廃合や民間委託など、大きく後退しています。

 厚生労働省が所管する独立行政法人雇用・能力開発機構と都道府県が運営する公共職業訓練所は、この10年間に、300カ所から251カ所に削減されました。さらに、「事業仕分け」によって、雇用・能力開発機構が自治体などに運営を委託している全国83カ所の地域職業訓練センターや全国11カ所のコンピュータ・カレッジが廃止されようとしています。「天下り」や無駄の排除は当然ですが、国や自治体の公共職業訓練の切り捨ては許されません。国が直接責任を持つ公共職業訓練を拡充するとともに、自治体の公共職業訓練も国からの助成を拡充します。

3、地方での求人開拓などの取り組みを支援する

 高卒者をはじめ、地元での就職を希望する若者も増えています。家計を支えるために地元から離れられないという事情もあります。地場産業の育成など地域経済の活性化という視点から、地元での雇用創出を重視し、新卒者の就職難を打開する施策の実現が必要です。

 いくつかの自治体で積極的な取り組みが始まっています。今春に就職できなかった高卒者に対し、専修学校や企業などでスキルアップできるように学費や受託した企業に賃金助成(秋田県)、新規高卒者100人を対象に中小企業への半年間のインターンシップを仲介する事業(宮城県)、新規高卒者を採用した事業主に1人当たり10万~30万円の助成(仙台市)、今春卒業の未就職の高校生100人を対象に、府が4カ月間雇用し、月8万円の賃金を支給しながら、介護・農林業などの人材育成プログラムを受ける事業(京都府)、今春卒業の高校生を臨時雇用(原則6カ月、最長1年)し、働きながら就職活動を行えるよう配慮する(和歌山県)などです。こうした自治体の取り組みに国が財政支援することが求められます。

 学校と自治体、ハローワーク、地方経済界が連携し、産業振興に取り組む体制をつくることや、積極的な求人開拓を行うために、各地のハローワークの体制を強化します。

4、「新卒者雇用確保・促進法」を制定し、採用計画の策定、内定取り消しの防止など、企業の社会的責任を明確にする

 雇用対策法の第7条は、「事業主は、青少年が将来の産業及び社会を担う者であることにかんがみ……その雇用機会の確保等が図られるように努めなければならない」とし、厚生労働省は、この法律に基づいて「新規学校卒業者の採用に関する指針」を定め、「適正な募集・採用計画の立案」を求め、「中長期的な人事計画等の下…募集・採用計画数を決定するよう努める」などとしています。また、「事業主は、採用内定を取り消さないものとする」ともしています。

 実際には、この「指針」は守られず、正反対のことが行われています。「指針」を法律に格上げして、一定規模以上の企業は、中長期的な視野にたった採用計画を策定するとともに、公表するようにします。内定取り消しは整理解雇と同様に、企業の存続が危ぶまれるなどの合理的理由がない限りできないようにします。同時に、新規採用に積極的に取り組む企業を顕彰し、支援するようにします。

 学び、卒業して、社会人としての第一歩が失業者というのは、特別に深刻な事態です。こんな日本社会でいいはずがありません。“就職氷河期”が繰り返されることは、企業や産業、日本の経済と社会の全体にとっても大きな打撃です。

 いまこそ、国も、自治体も、教育者も、そして、何より、企業と経済界が、この危機を打開するために、真摯(しんし)な取り組みを行う時ではないでしょうか。日本共産党は、提案している就職難打開のための政策を実現するために全力をあげるとともに、各界のみなさんが、それぞれの立場で、社会的な責任をはたすべき知恵と力を尽くされることを呼びかけるものです。

(出所:日本共産党HP  2010年4月22日(木)「しんぶん赤旗」)
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米軍普天間基地の無条件撤去へ沖縄と本土の連帯で切り開こう-日本共産党の志位和夫委員長-

2010-04-17 00:02:56 | 国内政治
米軍普天間基地の無条件撤去へ
沖縄と本土の連帯で切り開こう
4・14中央集会 志位委員長あいさつ

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 14日に東京・日比谷野外音楽堂で行われた「沖縄県民と連帯し、普天間基地の即時・無条件撤去を求める4・14中央集会」での日本共産党の志位和夫委員長のあいさつは、次の通りです。

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 みなさん、こんばんは(「こんばんは」の声)。日本共産党の志位和夫です。私は、日本共産党を代表して、中央集会に集まられたみなさんに、心からの熱い連帯のあいさつを送ります。(拍手)

 いま沖縄では、4月25日の県民大会にむけて、超党派の島ぐるみのたたかいが、大きく盛り上がっています。みんなで沖縄に対する熱い連帯のエールを送ろうではありませんか。(「よーし」の声、大きな拍手)

「移設先探し」――やればやるほど怒りが広がる

 鳩山政権は、あてのない普天間基地の「移設先探し」をやってきましたが、これはやればやるほど、怒りを広げます。

 政府が、米側に伝えたとされる案は、ひどい内容です。名護市のキャンプ・シュワブの陸上部にヘリ滑走路をつくる。鹿児島県の徳之島に訓練や機能を一部移す。そのうえで、うるま市のホワイト・ビーチの沖合の美しい海、おいしい「沖縄モズク」がとれる、豊かな海を埋め立てて、3千メートル級の滑走路が3本もある巨大基地をつくるという。こんなことは絶対に許すわけにいかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 地元紙「琉球新報」は、「これ以上悪い案は、思いつくことすら難しい」ときびしく批判しました。

 だいたい、鳩山首相はさきの総選挙で、ともかくも「県外、国外」(移設)と、いっていたではありませんか。政府がいまやろうとしていることは、誰がどう見たって、公約違反であり、「選挙詐欺」といわれても仕方がない(「そうだ」の声、拍手)、と私はいいたい。

 沖縄県議会では、「県内移設反対」の決議が全会一致であがっています。「沖縄タイムス」がおこなったアンケート調査では、県内41の市町村長全員が「県内移設」に反対し、「4・25県民大会」にほとんどの方が参加するということです。

 「移設先」に名前があがった鹿児島県・徳之島でも3月28日に、島の人口の16%、4200人が参加する移設反対の群民大会が開かれ、さらに4月18日には、1万人集会が予定されていると聞きました。

 徳之島町の高岡秀規町長は、こうおっしゃっています。「私たちの反対運動は、沖縄に負担してくれといっているわけではありません。日本全国で基地がいらない世の中をつくる責務を持っていることを忘れずに進もう」(拍手)。すばらしい言葉ですね。徳之島のたたかいにも連帯しようではありませんか。(拍手)

無条件撤去を求めて、米側と堂々たる交渉をおこなえ

 みなさん。「移設先探し」が、ゆき詰まった原因はどこにあるでしょうか。「移設先探し」という方針そのものが間違っているんです(「そうだ」の声、拍手)。苦しみはどこに移したって同じ苦しみであって、沖縄県内はもとより、日本全国どこを探したって、それを受け入れようというところが、あるわけがないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 米軍再編計画をつくったラムズフェルド元米国防長官は「(米軍は)歓迎されないところにいたくない」といいました。沖縄はもとより、日本国中どこだって、「歓迎されないところ」なのです(「そうだ」の声、拍手)。ですから、「移設先探し」という愚かなことはもうやめて、無条件撤去を求めて、米側と堂々たる交渉をすべきだということを、私は政府に強く求めたいと思います。(大きな歓声と拍手)

「抑止力」というが、いったいどこに海兵隊を出すのか

 私たちは、国会質問や党首会談で、「無条件撤去の要求にふみきりなさい」と、鳩山首相に繰り返し求めてまいりました。しかし、首相は「それは無理だ」という。「なんで無理なのですか」とただしますと、いつもいうのが「海兵隊は日本を守る抑止力だ」ということです。「抑止力」という言葉で、この3文字で、海兵隊を押しつけようという。

 しかし、「日本を守る」というけれど、いったいどこに対して、海兵隊が必要か。朝鮮半島に海兵隊を送るつもりでしょうか。中国と台湾に、もめごとが起こったときに、海兵隊を送るとでもいうのでしょうか。本気でそんな戦争をやろうと考えている国は、世界のどこにもないではありませんか。

 もしも、もめごとが、東アジア、北東アジアで起こったら、平和的に話し合いで解決する。これこそ世界がのぞんでいることではありませんか。(拍手)

 その羅針盤となるものを、日本国民はもっているではありませんか。憲法9条であります(「そうだ」の声、拍手)。私は、憲法9条こそ、日本を守る最大、最良の力だといいたい。(大きな歓声と拍手)

海兵隊は、沖縄にも、日本にもいらない

 海兵隊というのは、どういう軍隊か。アメリカの当局者がはっきりいっています。1982年、レーガン政権時代のワインバーガー国防長官は、「沖縄の海兵隊は、日本の防衛には充てられていない」とはっきりいいました。1991年、ブッシュ政権時代のチェイニー国防長官は、沖縄の海兵隊が「世界的な役割を果たす戦力投射部隊」――つまり世界的規模で「殴り込み」をかける部隊だといいました。日本を守るための任務を与えられている海兵隊員は、一兵たりともいないんです。

 現実をみても、ベトナム侵略戦争、アフガニスタン戦争、イラク侵略戦争、ファルージャでの虐殺、みんな投入されたのは海兵隊ではありませんか。

 海兵隊は平和のための「抑止力」ではない。戦争のための「侵略力」だということをいいたい。(「そうだ」の声、拍手)

 海兵隊は、沖縄にはいりません。日本にもいりません。アメリカに帰ってもらおうではありませんか。(大きな歓声と拍手)

安保条約をなくして「基地のない日本」の道を開こう

 みなさん。普天間基地だけではありません。沖縄の基地のすべてが問題です。本土もふくめて、米軍基地のすべてが問題です。いつまでも米軍基地国家でいいのかが問われています。

 嘉手納町にうかがったさい、宮城篤実町長は、「嘉手納町では町の面積の83%が基地だ。残りの17%に住民がへばりつくように生活している」と実態を話されました。2006年の「米軍再編」の合意以降も、負担が軽減されるどころか、世界中から米軍機がやってくる。外来機が飛来してくる。渡り鳥じゃないんです(笑い)。「好き勝手に上空の訓練空域で訓練をおこない、嘉手納基地も本当に危険な状態がつづいています」「普天間基地が『世界一危険』というけれど、嘉手納基地も『世界一危険』なんです」といっておられました。

 宮城町長は、「この嘉手納町に政党の党首で来たのは、2人しかいない」というんです。1人目は、不破哲三さん。2人目は、私だということでした(笑い)。そういって歓迎してくださいました。「安保条約の是非を、ぜひ国会で正面から議論してほしい」と訴えておられました。

 あの巨大な嘉手納基地を見て、そして沖縄の基地のありさまを見たら、これをなくそうとしたら、「安保条約をこのまま続けていていいのか」と声をあげ始めているのであります。

 みなさん。「基地のない沖縄」、「基地のない日本」をめざすたたかいをすすめながら、日米安保条約をいつまで続けるのか、その是非に関する国民的議論をおこしましょう。日米安保条約をなくして、それに代えて日米友好条約を結ぼうではありませんか。(大きな拍手)

 このたたかいは、これからが大事な正念場です。沖縄と本土が連帯して、普天間基地を無条件に撤去させる。そして、安保条約をなくして、「基地のない日本」、独立・平和の日本への道を切り開こうではありませんか。みなさん、ともにがんばりましょう。(大きな歓声と拍手)

(出所:日本共産党HP 2010年4月15日(木)「しんぶん赤旗」)

普天間問題
「移設先探し」完全に破たん
志位委員長「無条件撤去求めよ」

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 日本共産党の志位和夫委員長は15日、国会内で記者会見し、沖縄県の米軍普天間基地問題について問われて、「鳩山政権は、自らの『移設先探し』が完全に破たんしたという事実の上に立って、米側に無条件撤去を求めるという路線に転換すべきだ」と表明しました。

 志位氏は、鳩山政権の「移設先探し」は、完全に行き詰まっていると指摘。「沖縄県内のキャンプ・シュワブ陸上部にしても、ホワイトビーチ沖の埋め立てにしても、鹿児島の徳之島にしても、住民からごうごうたる非難がわき起こっている。名護市辺野古沖の『現行案』でも、きっぱりと反対する新市長が誕生している。地元の合意が絶対に得られないのは明りょうだ」とのべました。

 志位氏は「沖縄県内はもとより日本国中どこをどう探しても『移設先』はない」「『移設先探し』はやればやるほど国民の怒りが広がるだけだ」と強調、「無条件撤去こそ日本国民の意思であり、これしか解決策はない。政府はアメリカにそのことをしっかりと言うべきだ」と主張しました。

(出所:日本共産党HP 2010年4月16日(金)「しんぶん赤旗」)
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日米核密約問題-日本共産党の志位委員長の会見(一問一答)-

2010-04-05 02:47:12 | 国内政治
日米核密約問題
志位委員長の会見(一問一答)

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 日本共産党の志位和夫委員長が9日の記者会見で、政府が同日発表した日米間の密約問題に関する「有識者委員会」の「報告書」について党の見解を明らかにしました。会見での一問一答を紹介します。

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「報告書」は「広義の密約」であれ核持ち込み密約を認めていない

 問い 「有識者委員会報告書」では、「狭義の密約」を否定しているが、「広義の密約」は認めているのではないか。

 志位 「有識者委員会」の「報告書」の最大の問題点は、「討論記録」の存在を認めながら、これを核持ち込みの密約――核搭載艦船の寄港を事前協議の対象としないという秘密の合意であることを認めず、そのことを否定していることにあります。

 それは、「報告書」が、「討議の記録2項Cだけをもって、日米間に核搭載艦船の寄港を事前協議の対象外とする『密約』の証拠と見ることは難しい」、「核兵器を搭載した米軍艦船の日本寄港は、『安保条約第6条の実施に関する交換公文』にいう事前協議の対象になるか。日米両政府間には、今に至るもこの問題に関する明確な合意がない」と明記していることからも明らかです。

 しかし、冒頭の発言(「日米核密約」に関する「報告書」について)でものべたように、(1)「討論記録」はそれ自体が、核持ち込みの密約そのものであり、(2)日米安保条約の一部を構成する日米間の公式の合意文書という性格をもつものであり、(3)「討論記録」の解釈についても、1963年の大平・ライシャワー会談で、日米間に「完全な相互理解」が存在していたことは、明らかです。日米両政府間に、「討論記録」に対する解釈の相違があった、だから「討論記録」をもって核持ち込みの密約とはいえないという、密約否定論は成り立ちません。

 「報告書」が、日米間の「暗黙の合意」=「広義の密約」としているのは、「日本政府は、米国政府の(『討論記録』に関する)解釈に同意しなかったが、米側にその解釈を改めるよう働きかけることもなく、核搭載艦船が事前協議なしに寄港することを事実上黙認した。日米間には、この問題を深追いすることで同盟の運営に障害が生じることを避けようとする『暗黙の合意』が存在した」ということです。

 しかし「報告書」は、核持ち込みの密約――核搭載艦船の寄港を事前協議の対象としないという秘密の合意――があったとは、「狭義」であれ「広義」であれ認めておらず、逆に「今に至るもこの問題に関する明確な合意がない」とそれを否定しているのです。ここにこそ「報告書」の最大の問題点があるのです。

 「報告書」のこのレトリック(表現技法)にひっかかって、「『報告書』は核持ち込みについて『広義の密約』があったことを認めた」と報じてしまったら、とんでもない誤読にもとづく報道になります。

密約を密約と認めないと、それを廃棄することもできなくなる

 志位 核持ち込みの密約の存在を否定する立場にたつとどうなるか。今後の問題として、アメリカにたいして“何らの働きかけもしない”という立場になってしまうわけです。核持ち込みの密約の存在を正面から認めれば、その密約を廃棄するという働きかけをおこなう足場を得ることができるでしょう。しかし、核持ち込みの密約はなかったという立場にたってしまったら、アメリカに働きかける足場もなくなるわけです。ないものを「廃棄する」とはいえないわけですから。現に、今日(9日)の外務大臣の会見では、「今後アメリカに何らかの働きかけをおこなうのか」と問われて、“何もするつもりがない”という立場を繰り返しました。こういう立場に帰着することになるわけです。

 「討論記録」は核持ち込みの密約――核搭載艦船の寄港を事前協議の対象としないという秘密の合意だったということを正面から認めないと、これを廃棄することもできなくなる。密約を密約と認めないというのは、最悪の決着の仕方なのです。認めなかったら、対処しようにも対処ができなくなるのです。

核搭載艦が寄港しても、国民にはわからない状態がつづく

 問い 結局そういうことであれば、今後、核搭載艦が寄港したとしても、国民はわからないということになるわけですか。

 志位 わからないということになりますね。今回のような政府の立場でいきますと、これまでと何も変わらないということになります。

 「討論記録」――これは「安保条約を構成する文書群」の公的な一部とされているものですから、この核持ち込みの密約にもとづいて、アメリカは、核兵器を搭載した艦船を事前協議なしに寄港させることを、条約上の権利だと考えているわけです。アメリカは、ひきつづき条約上の権利の行使として、核搭載艦船を寄港させてくる。しかし、日本国民にはわからないということになります。

 外相は、さきほどの記者会見で、「1991年以降、米国は艦船への核搭載をやめている」とのべて、今後問題は起こらないかのようにのべましたが、核持ち込みの密約問題は、けっして過去の問題ではありません。アメリカは、水上艦艇からは核兵器を撤去しましたが、攻撃型原潜に必要があれば随時、核巡航ミサイル「トマホーク」を積載する態勢を維持しているのです。さらに、米国が「有事」と判断したさいには、核兵器の再配備をすることを宣言しているのです。核持ち込み密約を廃棄しなければ、核搭載艦船が寄港しても、国民にはわからない事態が、これからも続くことになるのです。

 日本の安全保障にかかわる大問題での虚偽が半世紀にわたってつづき、そして私たちが提起した「討論記録」という明白な核持ち込みの密約について、その文書の存在を認めざるをえなくなったけれども、それを核持ち込みの密約とは認めない。あくまで日米の理解には違いがあって、合意は存在していなかったといって歴史を偽造する。そして現状のままの自由な核持ち込み体制を続ける。これは許しがたいやり方だと思います。

密約を密約でないと偽る――新しい欺瞞

 問い 平野官房長官は、政権交代の成果だということをいったが。成果でもなんでもないということになりますか。

 志位 成果とはいえませんね。「討論記録」の存在を認めざるを得なくなったということは、たしかに一つの変化です。これまでの政府は、「討論記録」の存在自体を、わが党の不破哲三委員長(当時)が、10年前の国会で提起しても、「そんなものは知らぬ、存ぜぬ」といいつづけてきたわけですが、それが通らなくなったということは一つの変化です。

 しかし、「討論記録」の存在を認めた以上、これをきちんと密約だと認定して廃棄するということをやってこそ、「非核三原則」を保障する道が開かれるのです。それをやらない決着をしようとしているわけですから、これは非常に悪い決着です。「討論記録」という核持ち込み密約そのものについて、その存在を認めながら、「これは核持ち込み密約ではない」というわけですから、単に密約を隠すというのでなく、密約を密約でないと偽るという、新しい欺瞞(ぎまん)を始めようとするものです。

米国にモノをいいたくない――結論先にありきの「報告書」をつくった

 問い 政府がこういう決着に持ち込もうとした背景に何があるとお考えか。

 志位 この問題で、アメリカにモノをいいたくないのでしょう。つまり、政府が、仮に「討論記録」は核持ち込みの密約だと正面から認める、日米間に核持ち込みに関する秘密の合意――密約があったと認めたとすると、そのことと「非核三原則」との間には抜き差しならない矛盾が起こってくるわけですから、きちんとアメリカに問題を提起して、これを廃棄することをしなかったら、事が完結しなくなりますでしょう。

 しかし、核持ち込みの密約がなかったということにしてしまえば、アメリカにたいしてなにもモノをいわないですむ。現状が続けられる。私は、この「報告書」というのは、アメリカにモノをいいたくない、事を起こしたくないという結論が先にあって、それに都合のいい「報告書」をつくった。それが真相ではないかと思います。実際、そうとしか考えられないような、事実の乱暴な歪曲(わいきょく)だらけのものです。

 私が、とくに政府に言いたいのは、これだけ重大な問題を、「有識者委員会」なる学者の検討にゆだねて、それを政府として受け取って、きちんと中身の検討もせずに、それをそのままうのみにして発表する、これは政府としてまったく責任ある態度とはいえないということです。これだけ重大な問題が提起された。「有識者」に検討してもらうのはいいでしょう。しかし検討の結果がきたら、今度はそれを政府として徹底的に責任を持って検証して、そして政府の見解として明らかにするべきです。すべて「有識者」なるものに丸投げというやり方は、ほんとうに無責任な態度です。

 この問題は、「有識者」なるものにまかせて、その判断を丸のみすればいいという問題ではないのです。核兵器持ち込みという国民の安全と平和にかかわる大問題、しかも国民を欺きつづけてきたという大問題が提起されたのですから、政府自らが、自分で資料にあたって、究明しなければならない問題なのです。

核持ち込み密約を認め、きっぱり廃棄せよ

 問い あらためて、こういう問題をずっと引き継いできた歴代政権と外務省については、どのようにみているか。

 志位 歴代政権は、密約が存在しているにもかかわらず、ないとうそをつき続けてきた。この態度はもちろん許しがたい態度だと思います。今度は、「討論記録」という密約の動かぬ文書の存在を認めても、なおこれは密約ではないと、そういう歴史と事実を偽造することになりますから、いっそう深い罪になるのではないでしょうか。

 米側の文書を見ますと、「討論記録」の解釈について、日米間に完全な一致があったということが繰り返し出てきます。とくに1963年の大平・ライシャワー会談以降は完全な一致があったとされています。

 ところが、政府の今回のような立場にたつと、アメリカに話をもっていきようがないのです。もし、日本政府がアメリカに、「日米間には理解に違いがありました」というとするでしょう。そうすると、「そんなことありません。山ほど証拠があります」と、米側からただちにいわれることになります。政府のような立場に立つと、この問題の解決の道が閉ざされてしまうのです。

 「討論記録」の存在を認めた以上、これを核持ち込みの密約と認め、きっぱり廃棄するという対応をすべきだということを、重ねていいたいと思います。

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 「討論記録」 1960年1月6日に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が頭文字署名した、核兵器持ち込み密約です。「討論記録」2項Aは、核持ち込みについて日本への導入(イントロダクション)は「事前協議」の対象になる規定。その一方で、同項Cは、「事前協議」について「合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続きに影響を与えるものとは解されない」と定めました。旧安保条約下で確立された核積載米艦船の日本寄港などを「事前協議」なしで継続できるようにし、自由な核持ち込みを認めました。

(出所:日本共産党HP  2010年3月11日(木)「しんぶん赤旗」)

「日米核密約」に関する「報告書」について
2010年3月9日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫

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 政府は、9日、日米間の密約問題に関する「有識者委員会報告書」を発表した。日米密約問題の解明は、新政権が総選挙中に国民に公約したことであり、日本共産党は、この問題に一貫してとりくんできた党として、昨年9月10日の党首会談で調査に協力することを表明し、資料の提供などをおこなってきた。

 しかし、発表された「報告書」の内容は、一連の密約のなかでも最大の焦点となっている「日米核密約」について、重大な問題点をもつものとなっている。



 「日米核密約」とは、日本に寄港・飛来する米艦船・航空機の核兵器搭載について、安保条約第6条の「事前協議」の対象外とし、この方式での核持ち込みを、条約上の権利としてアメリカ側に認めたものである。2000年の国会審議で、不破委員長(当時)は、1960年の日米安保条約改定時に結ばれた「討論記録」という決定的事実を示し、「日米核密約」の存在を明らかにしてきた。

 「報告書」の最大の問題点は、「討論記録」の存在を認めながら、「討議の記録2項Cだけをもって、日米間に核搭載艦船の寄港を事前協議の対象外とする『密約』の証拠と見ることは難しい」、「日米両国間には、核搭載艦の寄港が事前協議の対象か否かにつき明確な合意はない」などと、「討論記録」が核持ち込みの密約だったことを否定していることである。



 これはまったく成り立たない議論である。

 (1)「討論記録」は、第1項で、『岸・ハーター交換公文』として発表された『事前協議』についての取り決めがのべられ、第2項で『交換公文』の解釈についての了解事項がのべられている。核兵器にかかわるのは、第2項AとCで、Aで「事前協議」の対象となるのは、核兵器の日本への持ち込み(イントロダクション)とその基地の建設だと限定し、Cで「事前協議」は、米国の軍用機の飛来(エントリー)や艦船の港湾への立ち入り(エントリー)は、「現行の手続きに影響をあたえるものとは解されない」と明記している。「現行の手続き」でゆくとは、それまで慣行とされてきた米軍の自由勝手な核持ち込みを認めるということである。このように、「討論記録」は、それ自体が、核持ち込みの密約そのものである。

 (2)「討論記録」が、日米間の公式の合意文書であり、日米安保条約の一部をなすものであることは、両国政府間でのこの文書の取り扱いからも疑問の余地なく明確である。

 1、1960年1月6日、この「討論記録」に、藤山外相とマッカーサー大使が、頭文字署名をした文書を交換している。マッカーサー大使のハーター国務長官あての当日の報告電報によれば、この時、双方は2通の原本に頭文字署名したあと、この原本とその複写を秘密文書として指定することを確認しあっている。

 2、マッカーサー大使は、1月7日付の国務長官あての電報では、「討論記録」は、「条約を構成する文書群」の一つと呼び、また1月9日付の電報では、「討論記録」を含む「条約文書の全リスト」(全部で17文書)を挙げ、その文書ごとに、日米政府間の締結の方式を分類して示している。

 (3)さらに、1963年4月4日には、大平外相とライシャワー駐日大使との会談で、「討論記録」に関する協議がおこなわれ、大使は、「大平氏との間で、秘密の『討論記録』の解釈に関し、現行のアメリカ側説明の方向に完全にそって、完全な相互理解に達した」と本国に報告している。

 日米両国政府の間に、「討論記録」をめぐって、解釈の相違があり、明確な合意は存在していなかったなどという「報告書」の主張は、成り立たない。

 「報告書」でのべられている議論――「討論記録」の存在を認めながら、核持ち込み密約の明確な合意が存在していなかったなどという議論は、悪質な歴史の偽造というほかないものである。



 「報告書」では、核持ち込み密約を否定する一方で、「日本政府は、……核搭載艦が事前協議なしに寄港することを事実上黙認した」、国民にたいして「事実に反する明白な嘘(うそ)をつきつづけた」などとものべている。日本が国是としてきた「非核三原則」が蹂躙(じゅうりん)され、空洞化していた事実を認めたのである。

 しかし、こうした「報告書」の立場は、日本政府をさらに深い矛盾においこむ。核持ち込み密約が成立していないにもかかわらず、米国が核搭載艦を事前協議なしに寄港させていたとすると、米国は条約上の権利をもたないまま、無法な核持ち込みを続けていたということになる。そして日本政府は、そうした無法を「黙認」していたということになる。条約上の権利がないままおこなわれてきた核持ち込みにたいして、政府はいったいどういう態度をとるのか。今後、こうしたことを起こさせないためにどういう手段をとるのか。そのことが問われることになる。



 核持ち込みの密約問題は、けっして過去の問題ではない。アメリカは、水上艦艇から核兵器を撤去したが、攻撃型原潜に必要があれば随時、核巡航ミサイル「トマホーク」を積載する態勢を維持している。さらに、米国が「有事」と判断したさいには、核兵器の再配備をすることを宣言している。「日米核密約」のもとで、日本に核兵器が持ち込まれる仕組みと体制は引き続き日本列島を覆っているのである。

 日本共産党は、「報告書」が「討論記録」の存在を認めた以上、政府が「討論記録」を核持ち込みの密約そのものであることを認めて、それを廃棄し、「非核三原則」の厳格な実施、「非核の日本」にすすむための実効ある措置をとることを強く求めるものである。

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日米核密約「討論記録」 全文

 核兵器持ち込みの日米密約である「討論記録」の全文は次の通りです。

 1、(日米安保)条約第6条の実施に関する交換公文案に言及された。その実効的内容は、次の通りである。

 「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更ならびに日本国からおこなわれる戦闘作戦行動(前記の条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く)のための基地としての日本国内の施設および区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする」

 2、同交換公文は、以下の諸点を考慮に入れ、かつ了解して作成された。

 A 「装備における重要な変更」は、核兵器および中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション)ならびにそれらの兵器のための基地の建設を意味するものと解釈されるが、たとえば、核物質部分をつけていない短距離ミサイルを含む非核兵器(ノン・ニュクリア・ウェポンズ)の持ち込みは、それに当たらない。

 B 「条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く戦闘作戦行動」は、日本国以外の地域にたいして日本国から起こされる戦闘作戦行動を意味するものと解される。

 C 「事前協議」は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続きに影響を与えるものとは解されない。合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更の場合を除く。

 D 交換公文のいかなる内容も、合衆国軍隊の部隊とその装備の日本からの移動(トランスファー)に関し、「事前協議」を必要とするとは解釈されない。

 (注)2000年に日本共産党の不破哲三委員長(当時)が米政府解禁文書から入手した「討論記録」の訳。これは、外務省の調査で見つかったものと「修辞的な部分を除いて同じ」(同省調査報告書)ものです。

(出所:日本共産党HP )
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「日米核密約」に関する質問主意書への回答について-日本共産党の志位和夫委員長が記者会見ー

2010-04-05 02:38:32 | 国内政治
「非核三原則」守る保証どこに
日米核密約 政府の見解ただす
志位委員長が質問主意書

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 日本共産党の志位和夫委員長は18日、国会内で記者会見し、「日米核密約」に関して政府の見解をただすため、質問主意書を提出したことを明らかにしました。

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 志位氏は、先に外務省が発表した日米密約に関する「有識者委員会」の「報告書」について、1960年1月6日に日米間で合意された「討論記録」の存在を認めながら、これを核持ち込みの密約―核搭載艦船・航空機の寄港・飛来を事前協議の対象外とする秘密の合意であることを否定していることに、最大の問題点があると改めて指摘。「密約を密約と認めないと廃棄することもできなくなる。非核三原則を守る保証はどこにあるのかが問われる」と強調しました。

 そのうえで、主意書では、政府の矛盾が集中的に現れている点に絞って二点(別項参照)質問しています。

 第一は、「討論記録」が日米間の公式の合意文書であることを認めるかとの設問です。

 志位氏は、「討論記録」そのものと、60年1月6日から9日にかけてのマッカーサー米駐日大使の三つの電報をみれば、「『討論記録』は日米両政府の代表が『了解して作成』され、その代表が頭文字署名をおこない、秘密の文書として扱う確認もおこなっているわけで、公式の文書であることは疑問の余地がない」と指摘。「日米間の公式の合意文書であることを否定する根拠はないはずだ」とのべました。

 第二点は、94年以後も核搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性を認めるかとの設問です。

 「有識者委員会報告書」の解釈によっても、米国は核搭載艦船の寄港を事前協議なしに自由にできることになります。岡田克也外相は、この点を追及されると91年と94年の米核政策を持ち出し、「いま持ち込みは起こり得ない」と答弁しています。

 志位氏は、「岡田外相の答弁は、94年に米政府がおこなった核兵器に関する政策変更をまったく理解していない事実誤認の答弁だ」と指摘。(1)94年の米「核態勢の見直し」(NPR)で潜水艦については「核巡航ミサイルを配備する能力を維持する」と明記していること、(2)08年の米政府報告書でも「海洋発射核巡航ミサイルからなる非戦略核戦力は維持される」と明記されていること、(3)09年の米議会報告書でロサンゼルス級攻撃型原潜への「陸地攻撃核巡航ミサイル(TLAM/N)の配備」を明記していること、(4)2000年からの10年間でロサンゼルス級・同改良型の攻撃型原潜の日本寄港が479回におよぶこと―の四つの事実をあげ、「今年1月、2月にもロサンゼルス級攻撃型原潜は日本に寄港している。今後も続くことが予想される。政府は寄港する原潜に核兵器搭載能力を維持したものが含まれないことを保証できるのか」とのべました。

 志位氏は、核持ち込み問題は「過去の問題ではなく、現在続いている問題だ」と強調しました。

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質問項目

 一、政府は、「討論記録」が、日米間の公式の合意文書であることを認めるか。

 二、一九九四年以後も、核搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性を認めるか。

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 質問主意書 国会法に基づき、国会議員が「書面」の形で内閣に行う質問。国会開会中に提出することができます。まず、議長に提出され、議長の承認を経て内閣に転送されます。答弁書は閣議決定を経て返されます。7日以内の回答義務があります。

志位委員長が提出した
「日米核密約」に関する質問主意書

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 日本共産党の志位和夫委員長が提出した、「日米核密約」に関する質問主意書は次の通りです。

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 政府は、本年三月九日、日米間の密約問題に関する「有識者委員会報告書」を発表した。「報告書」の最大の問題点は、一九六〇年一月六日に日米間で合意された「討論記録」の存在を認めながら、これを核持ち込みの密約――核兵器を搭載した米艦船・航空機が、事前協議なしに日本へ寄港・飛来することを認めた秘密の合意であることを、否定していることにある。わが党は、こうした主張は、「討論記録」そのものが核持ち込み密約であることは文書のうえからも疑いないこと、日米政府間に「討論記録」について共通の理解があったことも米側の一連の文書で疑いないことなどからみて、成り立たないと考える。

 そのうえで、以下の事項について質問する。

一、政府は、「討論記録」が、日米間の公式の合意文書であることを認めるか

 イ、「討論記録」は、「岸・ハーター交換公文」として公表された第1節と、「交換公文」の解釈についての了解事項が記載された非公表(秘密)の第2節からなっており、第2節の冒頭には、つぎのように明記されている。「同交換公文は、以下の諸点を考慮に入れ、かつ了解して作成された」。

 ロ、さらに、一九六〇年一月六日、マッカーサー駐日大使がハーター国務長官に送った電報には、次のように明記されている。「藤山氏と私は本日、以下のそれぞれについて、二つの英文の原本に頭文字署名し、取り交わした。・協議方式に関する討論記録(二つの原本は『秘』指定され、日本が保持する複写は後で『極秘』指定されることになっている)」(以下略)。

 なお、米国側は、「討論記録」を、日米安保条約を構成する文書の一つに位置づけている。一九六〇年一月七日、マッカーサー駐日大使がハーター国務長官に送った電報では、「条約を構成する文書群」の一つに「藤山と私が一月六日に頭文字署名した」「討論記録」をあげている。さらに、一九六〇年一月九日、マッカーサー駐日大使がハーター国務長官に送った電報では、「われわれが承知している条約文書の全リスト」として、一七の文書があげられ、その文書の一つとして「協議方式に関する討論記録」が明記されている。

 日米両政府間で「了解して作成され」、日米両政府の代表が頭文字署名をおこない、それを秘密文書として取り扱う確認をおこなった――これらの事実は、「討論記録」が、日米両政府間の公式の合意文書であることを、疑問の余地なく示している。

 政府は、「討論記録」が日米両政府間の公式の合意文書であることを認めるか。それを否定するのであれば、その根拠は何か。

二、一九九四年以後も、核搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性を認めるか

 「有識者委員会報告書」では、米国政府は、「討論記録」に基づいて、核搭載艦船の日本寄港は事前協議の対象外とする立場をとっているとしている。そうなると、「報告書」の解釈によっても、米国は、核搭載艦船の寄港を事前協議なしに自由におこなうということになる。こうしたもとで「非核三原則」を守る保証はどこにあるのか。

 わが党議員の質問に対して、岡田外務大臣は、三月一〇日の衆議院外務委員会の答弁で、「(米国政府により)一九九一年に、水上艦船及び攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨表明がなされました。そして、一九九四年の核態勢見直しの結果として、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去するというふうにアメリカは政策決定しております。したがって、今、そういった持ち込みということが起こり得ないというふうに我々は考えております」と述べた。

 しかし、これは米国政府が一九九四年におこなった核兵器政策の変更を、理解していない発言である。

 イ、一九九四年九月に米国防総省が発表した「核態勢の見直し」(NPR)では、「水上艦艇に核兵器を配備する能力を廃棄」するが、「潜水艦に核巡航ミサイルを配備する能力を維持する」ことを明記している。

 ロ、二〇〇八年九月、ゲーツ国防長官とボッドマン・エネルギー長官が署名した報告書「二一世紀における国家安全保障と核兵器」では、「海洋発射核巡航ミサイルからなる非戦略核戦力(戦術・戦域核戦力のこと)は維持される」と明記している。

 ハ、二〇〇九年五月、米議会から委託された「米国の戦略態勢に関する議会委員会」の最終報告は、「アジアにおいては、拡大抑止は若干のロサンゼルス級攻撃型原潜の陸地攻撃核巡航ミサイル(TLAM/N)の配備に大きく依存している」と明記している。

 ニ、この一〇年間(二〇〇〇年~二〇〇九年)のロサンゼルス級、改良型ロサンゼルス級原子力潜水艦の日本への寄港回数は、累計で四七九回にのぼる。二〇〇九年だけでも寄港回数は四二回にのぼる。

 政府は、一九九四年以後も、日本に核兵器搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性があることを認めるか。それを否定するというなら、その根拠は何か。

 さらにロサンゼルス級の攻撃型原潜の日本寄港は、今年一月、二月にも繰り返しおこなわれており、今後もつづくことが予想される。政府は、寄港する原子力潜水艦に核兵器搭載能力を維持したものが含まれていないことを保証できるか。保証できるというのであれば、その根拠は何か。

 右質問する。

(出所:日本共産党HP 2010年3月19日(金)「しんぶん赤旗」)

日米核密約問題
志位氏への答弁書

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 日本共産党の志位和夫委員長が提出した「『日米核密約』に関する質問主意書」(3月17日)にたいする政府答弁書(3月30日閣議決定)は次の通りです。



一について

 外務省が本年3月9日に公表した外務省調査チーム作成のいわゆる「密約」問題に関する調査報告書においては、「藤山外務大臣とマッカーサー駐日米大使との間で作成された『討議の記録』の写しと思われる文書2件(英文のみ)が発見された」と記載されている。当該「討議の記録」は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)第6条の実施に関する交換公文の交渉過程において、交渉の当事者であった藤山外務大臣とマッカーサー駐日米国大使との間の共通の理解を記録するために文書自体については不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書であると考える。

二について

 政府としては非核三原則を堅持する方針である。また、1991年の水上艦及び攻撃型潜水艦を含む米国海軍の艦艇及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨、1992年の同撤去を完了した旨の表明等これまでに公表された米国政府の核政策に基づけば、現時点において、政府としては、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はないと判断している。

もはや欺瞞は通用しない

「日米核密約」に関する質問主意書への回答について
2010年3月31日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫

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 日本共産党の志位和夫委員長が31日の記者会見で発表した見解「もはや欺瞞(ぎまん)は通用しない――『日米核密約』に関する質問主意書への回答について」は次の通りです。

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 昨日(3月30日)、私が3月17日に提出した「『日米核密約』に関する質問主意書」にたいする政府答弁書が、鳩山総理名で届けられた。

答弁書は「討論記録」そのものが密約であることを認めた

 政府答弁書では、私の第一の設問――「1960年1月6日に日米間でかわされた『討論記録』を、日米間の公式の合意文書であることを認めるか」という設問に対して、つぎのように回答している。

 「当該、『討議の記録』は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)第6条の実施に関する交換公文の交渉過程において、交渉の当事者であった藤山外務大臣とマッカーサー駐日米国大使との間の共通の理解を記録するために文書自体については不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書であると考える」。

 この政府答弁書は、「討論記録」そのものが、「文書自体については不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書」――日米間の密約であることを、政府が認めたものにほかならない。

 しかも、政府答弁書では、「討論記録」は日米両国政府間の「共通の理解を記録」したものであるとしている。それでは「共通の理解」とは何か。政府は、「討論記録」の解釈をめぐって日米両国政府間に相違があったとしているが、政府のいうアメリカ側の理解が「共通の理解」なのか、それとも政府のいう日本側の理解が「共通の理解」なのかが、根本問題として問われてくる。

 昨日、わが党の不破哲三元衆議院議員は、1958年~60年の日米交渉の経過と内容を示す二つの新たなアメリカ外交文書を明らかにした。この二つの文書は、日米安保条約改定にいたる交渉経過において、(1)アメリカ側が、公式の席上、核兵器を積載した軍艦が日本への事前協議なしに日本に寄港することを、条約上の権利として最初から主張していたこと、(2)日本政府が、日米安保条約、事前協議についての「岸・ハーター交換公文」、「討論記録」の全体およびその解釈を一体のものとして受け入れていたことを示している。この二つの文書は、「討論記録」を作成する過程で、核兵器を搭載した軍艦の寄港は事前協議の対象としないというアメリカ側の理解を日本側が受諾したこと――アメリカ側の理解こそが「共通の理解」であったことを、疑問の余地なく明らかにするものである。

 これまで、政府は、「討論記録」の存在を認めながら、日米双方の政府間に解釈の相違があることを理由に、それを核密約――核兵器を搭載した米艦船・航空機が、事前協議なしに日本へ寄港・飛来することを認めた秘密の合意であることを否定しつづけてきたが、もはやこの主張が成り立たないことは明瞭(めいりょう)である。

答弁書は、核搭載能力を維持した米原潜の寄港を否定する根拠を示せなかった

 政府答弁書では、私の第二の設問――「政府は、1994年以後も、日本に核兵器搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性があることを認めるか。それを否定するというなら、その根拠は何か」「政府は、寄港する原子力潜水艦に核兵器搭載能力を維持したものが含まれていないことを保証できるか。保証できるというのであれば、その根拠は何か」という設問に対して、つぎのように回答している。

 「1991年の水上艦及び攻撃型潜水艦を含む米国海軍の艦艇及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨、1992年の同撤去を完了した旨の表明等これまでに公表された米国政府の核政策に基づけば、現時点において、政府としては、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はないと判断している」。

 政府答弁書は、「現時点において、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はない」と断定しているが、その「根拠」とされているのは1991年に米国がとった核兵器に関する政策である。

 しかし、すでに質問主意書でも具体的に指摘したように、米国政府は1994年9月に発表した「核態勢の見直し」(NPR)で、「水上艦艇に核兵器を配備する能力を廃棄」するが、「潜水艦に核巡航ミサイルを配備する能力を維持する」という政策変更をおこなっている。この核兵器政策は今日にいたるまで続けられ、核兵器搭載能力をもつ原子力潜水艦が日本に寄港しつづけている。1991年に米国がとった核兵器に関する政策は、核兵器搭載艦船の寄港の可能性を否定する「根拠」にはならないのである。

 こうして、政府答弁書は、1994年以降も、日本に核搭載能力を維持した米原潜が寄港していることを否定する根拠を何一つ示せなかった。また、寄港する米原潜に核搭載能力を維持したものが含まれていないことを保証する根拠も示せなかった。これは我が国が、「非核三原則」が守られる保証が何一つない状態に置かれ続けていることを、示すものにほかならない。

核密約の存在を正面から認め、それを廃棄し、「非核の日本」への実効ある措置を

 政府が、これ以上、「日米核密約」に関する欺瞞(ぎまん)をつづけることは許されない。わが党は、政府が、核密約の存在を正面から認め、これを廃棄し、文字どおり「非核の日本」にすすむための実効ある措置をとることを、重ねて強く求めるものである。


(出所:日本共産党HP  2010年4月1日(木)「しんぶん赤旗」)
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