“公平さ期待できず”
堀越事件 弁護団が特別抗告
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国公法弾圧堀越事件の弁護団は11月30日、東京高裁の中山隆夫裁判長ら3人の裁判官に対する忌避申し立てが却下されたことを受け、「公平で客観性のある審判を期待できない」として、最高裁に特別抗告を申し立てました。
前回の公判(11月18日)で、弁護側は、新たに開示された公安警察が盗撮したビデオ22本につき、法廷での取り調べを請求、裁判所がこれを却下したことを不服として、忌避を申し立てました。これについても、裁判所は「訴訟を遅延させるのみが目的」として、その場で簡易却下しました。
今回の特別抗告は、忌避の理由の正当性をめぐって、3裁判官を相手取って裁判を求めたもの。
弁護団は、今回の忌避は、たんなる訴訟の遅延目的ではなく、重大な争点となっている捜査の違法性、国公法と人事院規則で禁じている政治活動の違憲性を解明する上で、盗撮ビデオの取り調べは必要不可欠だ、と主張。これを取り調べないのは、公平な裁判を受ける権利の侵害(憲法37条)に当たると指摘しています。
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葛飾ビラ配布弾圧判決
各紙が批判
表現の自由脅かす/市民感覚とかけ離れ
葛飾ビラ配布弾圧事件の有罪判決を受け、新聞各紙は解説や社説で「合点いかぬ最高裁判決」(「朝日」1日付社説)などと、判決に強い疑問を投げかけています。
「朝日」社説は「ビラを配っている人を逮捕して刑事罰を求めるのは乱暴すぎる。たいていは住民と話し合えば解決する問題だろう」と強引な逮捕を批判しました。
同社説は「住民や管理人に承諾を得る機会がないとき、玄関の近くにある集合ポストにビラを入れることさえ、逮捕の対象になるのだろうか。こうした疑問への答えを判決からは見いだせない」と、あいまいな司法判断に疑問を呈しています。
東京新聞1日付社説は、国公法弾圧堀越事件や世田谷国公法弾圧事件をあげて、「まるで、『左翼』と呼ばれる人々らが、警察当局に“狙い撃ち”されている印象さえある」と捜査に疑問を呈しました。
同11月30日付夕刊の解説は、立川ビラ弾圧事件(昨年、最高裁で有罪判決)との違いに触れ、「立川事件は、住民の抗議後もビラを配り続けた点が悪質とされたが、荒川(庸生)被告は事件当日まで、苦情を言われたことはなかった」と、突然に逮捕され、有罪とされた異常性を指摘。栃木県の地元紙、下野新聞1日付論説も「経緯には釈然としない」と書きました。
「表現の自由脅かす判決」と題した北海道新聞1日付社説は「疑問の多い判決だ。憲法で保障された権利への配慮を欠き、言論活動を萎縮(いしゅく)させる不安を感じる」「政党ビラの投入は逮捕、拘束され、有罪となるほど悪質な行為なのだろうか。刑事罰を科すのは市民感覚とかけ離れている」と、批判しました。
一連の言論弾圧事件について、日弁連の人権擁護大会や国連の自由権規約委員会が「懸念」を表明したことを各紙が紹介しています。北海道新聞社説は「国際機関からの批判に答える、どんな論法があるのか」と、判決に問いかけています。
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日弁連がコメント
日本弁護士連合会は11月30日、同事件の最高裁判決についてコメントを発表しました。
コメントでは、国際人権(自由権)規約委員会が「表現の自由に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである」という日本政府への勧告を紹介。
「日弁連は、最高裁に対し、表現の自由の重要性に十分配慮し、国際的な基準を充足する判断を示すよう要望する」とのべています。
(出所:日本共産党HP 2009年12月2日(水)「しんぶん赤旗」)
日本の非常識 世界懸念
ビラ配布弾圧 最高裁不当判決
荒川さん「国際社会に訴える」
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葛飾ビラ配布弾圧事件で最高裁による有罪判決は、市民による政治活動の自由をめぐって世界の「常識」に照らして日本の「非常識」を浮き彫りにしました。弾圧犠牲者の東京都葛飾区の僧侶・荒川庸生さんは国際的舞台でもたたかう決意を2日、あらためて表明しました。(森近茂樹)
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荒川さんは、マンションのドアポストへ日本共産党葛飾区議団の議会報告などのビラを配った行為で逮捕、起訴されました。11月30日、最高裁は住居侵入罪を認める判決を確定させました。
裁判所の判断や市民のビラ配布を弾圧する日本の警察・検察の民主主義を踏みにじる姿勢は、国内だけでなく国際的にも以前から問題視されていました。
ビラ配布など、言論・表現の自由は、憲法で保障された国民の権利ですが、国際的にも市民的・政治的権利をうたった国際条約の「国際自由権規約」で、表現の自由(19条)、政治参加の権利(25条)を保障しています。
自由権規約の実行を監視する機関である国連自由権規約委員会は、葛飾事件や国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件など、日本で続発したビラ配布弾圧事件を問題視して2008年10月、日本政府にたいして是正勧告(別項)をおこないました。
勧告では「私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法のもとで逮捕・起訴されたことを懸念する」と表明。市民の政治活動を「警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないよう」求めています。
葛飾事件の弁護団は、最高裁にたいして、この事実を指摘して「国際社会での『常識』が問われている」と強く主張してきました。
日本弁護士連合会は、一連のビラ弾圧を批判して11月6日に決議した「表現の自由を確立する宣言」で、自由権規約委員会の勧告を紹介。「表現の自由にたいするあらゆる不合理な制限を撤廃すべきであるとの勧告がなされた」と指摘しています。
こうした国内外からの批判を無視した最高裁の判決は、「憲法の番人」としての資格が問われるだけでなく、世界の民主主義の流れにも大きく逆行しています。
荒川さんは、「日本の最高裁は、憲法も国際規約もまったく守っていない。日本でビラ配布の権利を守るたたかいをすすめると同時に、国際社会にも日本の民主主義と人権を無視した実態を訴えていく。自由権規約の第1選択議定書(個人通報制度)が批准されたら大いに活用するし、それまでも、あらゆる方法でアピールしていきたい」と話していました。
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“政府批判リーフ配布で逮捕を懸念”
国連自由権規約委の日本への勧告(要旨)
委員会は、公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙運動期間前に配布可能な文書図画への制限などの表現の自由および参政権に対して課せられた非合理的な制約につき懸念を有する。委員会は、政治活動家と公務員が、私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法の下で逮捕、起訴されたとの報告についても懸念する。
締約国は、規約第19条および第25条の下で保護されている政治活動および他の活動を、警察、検察官および裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである。
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第1選択議定書(個人通報制度) 国際自由権規約とセットになった条約で、同規約で保障された権利を侵害された人が、国内の裁判などで権利が回復されない場合、国連の自由権規約委員会へ直接救済の申し立てができる「個人通報制度」を定めています。日本は、自由権規約は批准していますが、同議定書は批准していません。
(出所:日本共産党HP 2009年12月3日(木)「しんぶん赤旗」)
ビラ判決 最高裁を批判
東京弁護士会が会長声明
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マンションで政党のビラを配布した行為が住居侵入罪にあたるとして最高裁が有罪判決を下した葛飾ビラ配布弾圧事件で、東京弁護士会(山岸憲司会長)は1日、判決を批判し最高裁に「『憲法の番人』としての役割を果たすよう強く要望する」とした会長声明を発表しました。
声明は「ビラの配布は市民が意見を表明する重要な手段の一つであり、それを警察、検察及び裁判所が過度に制約することは、民主主義の死命を制する重要な人権である表現の自由に対する重大な危機である」と表明しています。
国際人権(自由権)規約委員会が昨年10月、一連のビラ配布弾圧事件を懸念し、日本政府に「表現の自由に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである」と勧告していたことを指摘。今回の判決は「日本の表現の自由の保障の現状がこのように国際的にも強い批判を受けている中で出されたものであり、その問題性は極めて大きい」、「ビラ配布の憲法上の意義を十分に踏まえ、厳格審査すべきである」と批判しています。
(出所:日本共産党HP 2009年12月4日(金)「しんぶん赤旗」)
堀越事件 弁護団が特別抗告
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国公法弾圧堀越事件の弁護団は11月30日、東京高裁の中山隆夫裁判長ら3人の裁判官に対する忌避申し立てが却下されたことを受け、「公平で客観性のある審判を期待できない」として、最高裁に特別抗告を申し立てました。
前回の公判(11月18日)で、弁護側は、新たに開示された公安警察が盗撮したビデオ22本につき、法廷での取り調べを請求、裁判所がこれを却下したことを不服として、忌避を申し立てました。これについても、裁判所は「訴訟を遅延させるのみが目的」として、その場で簡易却下しました。
今回の特別抗告は、忌避の理由の正当性をめぐって、3裁判官を相手取って裁判を求めたもの。
弁護団は、今回の忌避は、たんなる訴訟の遅延目的ではなく、重大な争点となっている捜査の違法性、国公法と人事院規則で禁じている政治活動の違憲性を解明する上で、盗撮ビデオの取り調べは必要不可欠だ、と主張。これを取り調べないのは、公平な裁判を受ける権利の侵害(憲法37条)に当たると指摘しています。
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葛飾ビラ配布弾圧判決
各紙が批判
表現の自由脅かす/市民感覚とかけ離れ
葛飾ビラ配布弾圧事件の有罪判決を受け、新聞各紙は解説や社説で「合点いかぬ最高裁判決」(「朝日」1日付社説)などと、判決に強い疑問を投げかけています。
「朝日」社説は「ビラを配っている人を逮捕して刑事罰を求めるのは乱暴すぎる。たいていは住民と話し合えば解決する問題だろう」と強引な逮捕を批判しました。
同社説は「住民や管理人に承諾を得る機会がないとき、玄関の近くにある集合ポストにビラを入れることさえ、逮捕の対象になるのだろうか。こうした疑問への答えを判決からは見いだせない」と、あいまいな司法判断に疑問を呈しています。
東京新聞1日付社説は、国公法弾圧堀越事件や世田谷国公法弾圧事件をあげて、「まるで、『左翼』と呼ばれる人々らが、警察当局に“狙い撃ち”されている印象さえある」と捜査に疑問を呈しました。
同11月30日付夕刊の解説は、立川ビラ弾圧事件(昨年、最高裁で有罪判決)との違いに触れ、「立川事件は、住民の抗議後もビラを配り続けた点が悪質とされたが、荒川(庸生)被告は事件当日まで、苦情を言われたことはなかった」と、突然に逮捕され、有罪とされた異常性を指摘。栃木県の地元紙、下野新聞1日付論説も「経緯には釈然としない」と書きました。
「表現の自由脅かす判決」と題した北海道新聞1日付社説は「疑問の多い判決だ。憲法で保障された権利への配慮を欠き、言論活動を萎縮(いしゅく)させる不安を感じる」「政党ビラの投入は逮捕、拘束され、有罪となるほど悪質な行為なのだろうか。刑事罰を科すのは市民感覚とかけ離れている」と、批判しました。
一連の言論弾圧事件について、日弁連の人権擁護大会や国連の自由権規約委員会が「懸念」を表明したことを各紙が紹介しています。北海道新聞社説は「国際機関からの批判に答える、どんな論法があるのか」と、判決に問いかけています。
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日弁連がコメント
日本弁護士連合会は11月30日、同事件の最高裁判決についてコメントを発表しました。
コメントでは、国際人権(自由権)規約委員会が「表現の自由に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである」という日本政府への勧告を紹介。
「日弁連は、最高裁に対し、表現の自由の重要性に十分配慮し、国際的な基準を充足する判断を示すよう要望する」とのべています。
(出所:日本共産党HP 2009年12月2日(水)「しんぶん赤旗」)
日本の非常識 世界懸念
ビラ配布弾圧 最高裁不当判決
荒川さん「国際社会に訴える」
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葛飾ビラ配布弾圧事件で最高裁による有罪判決は、市民による政治活動の自由をめぐって世界の「常識」に照らして日本の「非常識」を浮き彫りにしました。弾圧犠牲者の東京都葛飾区の僧侶・荒川庸生さんは国際的舞台でもたたかう決意を2日、あらためて表明しました。(森近茂樹)
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荒川さんは、マンションのドアポストへ日本共産党葛飾区議団の議会報告などのビラを配った行為で逮捕、起訴されました。11月30日、最高裁は住居侵入罪を認める判決を確定させました。
裁判所の判断や市民のビラ配布を弾圧する日本の警察・検察の民主主義を踏みにじる姿勢は、国内だけでなく国際的にも以前から問題視されていました。
ビラ配布など、言論・表現の自由は、憲法で保障された国民の権利ですが、国際的にも市民的・政治的権利をうたった国際条約の「国際自由権規約」で、表現の自由(19条)、政治参加の権利(25条)を保障しています。
自由権規約の実行を監視する機関である国連自由権規約委員会は、葛飾事件や国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件など、日本で続発したビラ配布弾圧事件を問題視して2008年10月、日本政府にたいして是正勧告(別項)をおこないました。
勧告では「私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法のもとで逮捕・起訴されたことを懸念する」と表明。市民の政治活動を「警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないよう」求めています。
葛飾事件の弁護団は、最高裁にたいして、この事実を指摘して「国際社会での『常識』が問われている」と強く主張してきました。
日本弁護士連合会は、一連のビラ弾圧を批判して11月6日に決議した「表現の自由を確立する宣言」で、自由権規約委員会の勧告を紹介。「表現の自由にたいするあらゆる不合理な制限を撤廃すべきであるとの勧告がなされた」と指摘しています。
こうした国内外からの批判を無視した最高裁の判決は、「憲法の番人」としての資格が問われるだけでなく、世界の民主主義の流れにも大きく逆行しています。
荒川さんは、「日本の最高裁は、憲法も国際規約もまったく守っていない。日本でビラ配布の権利を守るたたかいをすすめると同時に、国際社会にも日本の民主主義と人権を無視した実態を訴えていく。自由権規約の第1選択議定書(個人通報制度)が批准されたら大いに活用するし、それまでも、あらゆる方法でアピールしていきたい」と話していました。
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“政府批判リーフ配布で逮捕を懸念”
国連自由権規約委の日本への勧告(要旨)
委員会は、公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙運動期間前に配布可能な文書図画への制限などの表現の自由および参政権に対して課せられた非合理的な制約につき懸念を有する。委員会は、政治活動家と公務員が、私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法の下で逮捕、起訴されたとの報告についても懸念する。
締約国は、規約第19条および第25条の下で保護されている政治活動および他の活動を、警察、検察官および裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである。
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第1選択議定書(個人通報制度) 国際自由権規約とセットになった条約で、同規約で保障された権利を侵害された人が、国内の裁判などで権利が回復されない場合、国連の自由権規約委員会へ直接救済の申し立てができる「個人通報制度」を定めています。日本は、自由権規約は批准していますが、同議定書は批准していません。
(出所:日本共産党HP 2009年12月3日(木)「しんぶん赤旗」)
ビラ判決 最高裁を批判
東京弁護士会が会長声明
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マンションで政党のビラを配布した行為が住居侵入罪にあたるとして最高裁が有罪判決を下した葛飾ビラ配布弾圧事件で、東京弁護士会(山岸憲司会長)は1日、判決を批判し最高裁に「『憲法の番人』としての役割を果たすよう強く要望する」とした会長声明を発表しました。
声明は「ビラの配布は市民が意見を表明する重要な手段の一つであり、それを警察、検察及び裁判所が過度に制約することは、民主主義の死命を制する重要な人権である表現の自由に対する重大な危機である」と表明しています。
国際人権(自由権)規約委員会が昨年10月、一連のビラ配布弾圧事件を懸念し、日本政府に「表現の自由に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである」と勧告していたことを指摘。今回の判決は「日本の表現の自由の保障の現状がこのように国際的にも強い批判を受けている中で出されたものであり、その問題性は極めて大きい」、「ビラ配布の憲法上の意義を十分に踏まえ、厳格審査すべきである」と批判しています。
(出所:日本共産党HP 2009年12月4日(金)「しんぶん赤旗」)