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今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。

民主党政権の現状と国民運動の課題ー保育制度改悪か、保育制度の維持・向上かー

2009-12-20 08:34:02 | 国内社会
保育所
国は最低基準守れ
山下議員追及 “今以上の詰め込みに”

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 日本共産党の山下芳生議員は17日の参院総務委員会で、新政権が進めようとしている保育所の最低基準引き下げ問題を取り上げ、基準をゆるめたり、引き下げることは絶対にあってはならないと原口一博総務相に強く要求しました。

 山下氏は、国が決める保育施設の面積などの「最低基準」は、「全国どの地域でも、子どもたちが健やかに発達・成長できる環境を保障するために必要な最低基準だ」とただしました。

 原口総務相は、最低基準の見直しは「地域主権」に基づいて、「国と地方自治体の役割分担を見直すもの。(地域が基準を)上書きをする権利」だと説明しました。

 これに対し、山下氏は、現在の児童福祉法でも「地域の自主性は保障されている」と指摘し、「地域主権にしなければよりよいものができないというのは、おかしい」と批判しました。

 山下氏は、面積基準(子ども1人あたりに必要な部屋の広さ)が緩和されれば「真っ先に起こるのは、保育所の新設ではなく、既存の保育所に今以上に子どもを詰め込むことだ」と指摘。自公政権下で待機児童対策として実施された「定員の弾力化」で、大阪府では、1万人近い子どもが定員を超えて「詰め込まれている」と資料を示し、「長妻厚生労働相にも、(基準引き下げを)やめよというべきではないか」と追及しました。

 原口総務相は、「(地方の)財政が苦しくなっているなか、(詰め込みが)起こる可能性がある」と認めつつ、「(地域が)ルールを自分で決めた方が守る」などと強弁しました。

 山下氏は、「下がることも地域が責任をもって決めればいい、と聞こえる」と国の責任放棄を批判しました。

(出所:日本共産党HP 2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」)

保育所死亡事故49件
無認可30 認可19
04年以後 厚労省が初めて公表

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 厚生労働省は8日までに、2004年4月から09年11月までの間に保育施設で起きた死亡事故の件数と特徴などをまとめ、発表しました。国がこうした統計を公表するのは初めて。死亡事故急増の事実を指摘した「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)の要請や、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問(11月19日)を受け、まとめたものです。

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 厚労省のまとめによると、認可保育所での事故は19件で、発生場所は園内13件、園庭2件、園外4件となっています。具体的には「廊下に置いてあった本棚の中で熱中症で死亡」「園庭で育てていたプチトマトを食べ窒息死」「園舎屋根からの落雪により死亡」などの事例がありました。

 認可外保育施設での事故は30件で、園内28件、園外2件となっています。「浴室で溺(でき)死」「園外保育中の交通事故で死亡」「午睡中の死亡」などの事例があったとしています。

 死亡児の年齢は、認可は0歳児、1歳児、2歳児が各4人(21・1%)で一番多く、認可外では0歳児が19人(57・6%)で最多でした。

 この結果について長野県立こども病院の田中哲郎副院長は「保育施設における事故の発生要因を分析し、関係者で検討し、防止策を講じ、全国の保育現場に周知することこそ重要」と語っています。

 保育施設での死亡事故をめぐっては11月20日、遺族などでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」が、1962年以降に発生した死亡事故240件を分析した結果を発表。認可保育所への園児の詰め込みが進んだ2001年度以降、認可での死亡事故が急増していることに警鐘を鳴らし、政府に調査を求めていました。

 「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫副会長は「厚労省はもっと前からの数字もつかんでいるはずなのに、04年以後の数字だけを発表したことには納得がいかない。規制緩和と死亡事故増加との因果関係を、国は責任を持って検証すべきだ」と話しています。

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規制緩和の撤回を
小池晃参院議員が談話

 保育所での死亡事故の実態を明らかにするよう、私も国会で要求してきました。

 今回公表された数字は、保育所の環境が子どもの生命や安全にどれほど重大な影響を与えるかを、改めて示しています。保育所の最低基準の引き下げなどの規制緩和は、子どもの安全を危険にさらすものであり、撤回すべきです。

 無認可保育所での事故が際立って多く、早急な対策が必要です。同時に、安全が担保されているはずの認可保育所でも事故がこれだけあるという事実を重く受け止めるべきです。

 政府は、これ以前の数字も公表し、2001年以来の保育所の規制緩和が、どのような被害をもたらしたかを検証すべきです。

(出所:日本共産党HP 2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」)

保育制度改悪(上)
検討でみえた問題点
公的責任の後退明らか

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 保育制度改悪を検討している社会保障審議会少子化対策特別部会(大日向雅美部会長)は、その下におかれた二つの専門委員会で新しい保育制度の具体的な設計をすすめてきました。厚労省は、これまでの主な議論をまとめた論点整理を、9日の少子化対策特別部会に示す予定です。保育制度をめぐる議論は大詰めを迎えています。

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 論点整理では、厚労省のめざす新制度が全体的に明らかになっています。

 今年2月の「第1次報告」は、保護者や保育関係者の強い批判を受けて、多くの論点をあいまいにしたまま、「公的責任は後退させない」とくり返し明言して取りまとめにこぎつけたものでした。

 しかしこの間の議論と論点整理を見ると、公的責任後退の点でも、「直接契約」や「応益負担」などの仕組みでも、当初の計画どおりに制度改悪をすすめるものとなっています。

「直接契約」へ

 新制度では、市町村は保育所の入所に責任を負わず、保育希望者に対して、保育の必要性と量、優先度を認定するだけとなります。

 個人が保育所と「公的保育契約」を結ぶとして「公的」性格を強調しますが、利用者が自分で保育所を探して契約する「直接契約」制度であることに違いはありません。

 保育所探しが大変になるという指摘をうけて厚労省は、待機児童が多い市町村では、自治体または新たに連絡協議会などの組織を設けて調整することを提案しました。

 市町村がやるのでは今までと変わらないという意見や、別組織でやる場合、個人情報保護や公平性の面で問題があるという意見、低所得世帯や障害児が排除されないために調整する組織が必要などの意見が出されています。

 利用者の利便性、公平性からも、申し込みから入所まで市町村が責任をもつ現行制度が最も優れているのは明らかです。

「応益負担」へ

 保育時間では、現在はどの子も、保育所が開いている範囲内で柔軟な対応が可能ですが、今後は保護者の就労状況に応じて、あらかじめ利用できる保育時間が決められます。

 1日では「長時間」(11時間程度)と「短時間」(6時間程度)、週当たりでは「週3日以上」と「週2日」に区分することが提案されています。3歳児以上は幼児教育の観点から週の利用日数に上限は設けない方向です。

 利用条件がさまざまな子どもが混在するため、保育士が子どもの出入りを掌握することに追われ、集団としての保育が難しくなります。また職員の安定的な雇用が困難になることが懸念されます。

 現在は所得に応じて決まる保育料が、「応益負担」つまり利用時間に応じた保育料になります。「保育が必要」と認められた量を超える保育や、土曜日の保育も週5日を超えれば、別料金となる考えが示されました。

 国が決める利用者負担の水準によっては、長時間働かざるを得ない中・低所得者の負担が増大します。(つづく)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)

(出所:日本共産党HP  2009年12月7日(月)「しんぶん赤旗」)

保育制度改悪(下)
検討でみえた問題点
認可園の拡充こそ

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直接契約方式

 新制度では、自治体が保育を直接実施する責任がなくなり、利用者と保育所との契約が出発点とされています。

 保育料も保育所が徴収する方向が示されています。保育所は、利用者から集める保育料と利用実績に応じた補助金で運営するため、経営がその時々の利用状況に左右され不安定になります。

 保育料滞納への対応は、保育所と利用者にとって大きな問題となります。自治体が何らか関与することも検討されていますが、未納世帯の子が退所を迫られたり、未納につながりやすい低所得世帯が敬遠される事態が生まれる危険があります。

企業参入促す

 待機児童解消をうたう新制度が目玉としているのは、保育サービスの量を確保するため、客観的な基準を満たした事業者はすべて参入を認めるという指定制度の導入です。これまでは都道府県が認可した保育所によって保育の質と安定性を保ってきましたが、新制度では、自由に事業者が参入でき、1カ月前に届けるなどで撤退も自由の仕組みになります。

 保育所への補助金(運営費)の使い道も、現在は、その保育所の運営費用にあてることが原則とされ、制限されています。これを撤廃して、本社が利潤を回収したり、株主配当や他事業につぎ込むことを可能にしたりすることは、財界の強い要求でした。

 新制度では、運営費の使途に一定の規制は必要としながらも、専門委員会で反対意見が多く出た株主配当の容認もふくめて、現状よりかなり緩和する方向で検討されています。

保育の質低下

 厚労省は、「指定」は国が定める最低基準を満たすことが条件だとし、保育の質は下げないと繰り返し説明してきました。

 しかし11月に長妻昭厚生労働相が示した方針では、都市部で保育室の面積基準の引き下げを認めるとともに、全国的に園庭や医務室の設置、耐火基準や避難設備の最低基準も撤廃して地方にまかせる方向です。

 制度改悪の議論と時期を同じにして、基準引き下げの方向が出されてきたのは偶然ではありません。保育制度の見直しは、営利企業の参入をすすめることが大きな狙いです。それには、企業が自由にもうけをあげられる仕組みにすることと、基準をできるだけ引き下げて参入を簡単にすることが不可欠だからです。

 保育がもうけの場になることで、保育条件の低下とともに、親と保育所との関係に、お金でサービスを売り買いすることによるゆがみが持ち込まれる懸念もあります。

 今回の保育制度の改悪は、自公政治がすすめた社会保障の「構造改革」路線をそのまま保育に持ち込もうとするものです。約4カ月にわたり専門委員会で検討されてきましたが、当初から保護者や保育関係者が指摘してきた問題点は何も改善されていません。

 制度改悪と最低基準の緩和をただちにストップし、認可保育所の大幅な増設で待機児童解消を図るよう求める声と運動を大きくひろげることが求められています。(おわり)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)

(出所:日本共産党HP 2009年12月8日(火)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状ー保育を民間ビジネス化するか、公的な保育態勢を維持・拡充するかー

2009-12-19 08:19:34 | 国内社会
子ども こんな詰め込みに
“現場検証”保育所の「最低基準」
基準引き下げ とんでもない
さいたま市で保育団体

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 「おふとんが重なってるよ」「息がつまりそう。ここに丸1日いなきゃいけないなんて」と親たち―。いま、鳩山政権が保育所の設置に必要な最低基準の見直しをすすめ、今でも不十分な基準を引き下げようとしています。何が問題なのか、保育関係者らによる実行委員会が主催した“現場検証”がおこなわれました。(都 光子)

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 検証現場に使われたのは、社会福祉法人こぐま会の、めだか保育園(さいたま市)。60人定員の認可園で、実際にそこに通う園児が“実演”してくれました。

隣の子どもとぶつかりそう
昼寝も窮屈

 園内で一番ひろいホール。隅にはピアノがあります。約70平方メートル。ここだけで最低基準ぎりぎりなら33人定員の保育園がつくれる計算になります。実際に2歳児から5歳児の33人が入り、お昼寝や食事をする風景を作りだしました。

 ゼロ歳児もいるとして、最低基準ぎりぎりの配置である保育士4人も一緒です。ふとんが敷き詰められていて、大きな子どもたちはでんぐり返しをするなど、大はしゃぎ。「ここで走り回っている姿を見慣れているので、こんなに押し込められるなんて想像できなかった」というのはめだか保育園に5歳と1歳の息子が通っている粂田真央(まなか)さん(35)。「ここに入る前は、マンション内の認可外保育園に預けていたので、それを思い出させるような光景ですね」といいます。

ドタバタと

 「僕たちも認可に入りたくて待っていたので、入れない親の気持ちはわかります。だけど、こんなぎゅうぎゅう詰めの保育園だったら、安心して預けられない」

 もっとも窮屈だったのは2歳以上児の保育室。18人のクラスだと、保育室の面積は35・6平方メートル。ここに日常に必要な机やいす、ふとん、子どもの着替えはもちろん、絵本や遊具も備えなければなりません。そんななかで食べる、寝るといった生活を保育士とともに送ることになります。

 おやつを食べるときには机といすを出します。ここの園では、低年齢児にもさせているので、ぶつかりあったり、行列になったりしながらの配ぜんに。昼寝のためのふとんは重なりあうように敷き詰め、隣の子とぶつかりそうでした。

子どもの感性失わせる環境
室内は雑然

 めだか保育園の主任保育士、中村和子さん(52)は、「現場検証をやってみて、改めて怒りがこみあげてきました」と話しました。

 「子どもの感性を失わせるような保育環境です。これが日本中に広がったらどうなるか」と最低基準の緩和の方向を危ぐします。「保育士は子どもの気持ちに寄り添いながら保育をします。もし最低基準以下の保育園だったら、私自身、保育はやれません。多くの保育士も、こういう環境では働き続けられないし、心が病んでいくでしょう」と。「基準を緩める動きは許せない、とみんなに話していきたい」

 現場検証をおこなった主催団体のひとつである全国保育団体連絡会会長で、福島大学教授の大宮勇雄さんは、「待機児解消ということによる設置基準の緩和で、保育所はより多くの子どもを詰め込むことになるでしょう。そうなると、落ち着かない子どもが増えるのではないか」と指摘します。

 さらに大宮さんは「いま、イギリスなど、保育所には消極的だった国が、スウェーデン並みにしようと公的なお金で保育を充実させています。子どもの成長・発達に公的投資をするのは、社会的にメリットがある、利益があるという考え方です。国も自治体も、そういう財政転換が必要だ」と強調しました。

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 保育所の最低基準 保育所などの児童福祉施設は、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)が保障されるよう、厚労相が施設や運営について最低基準を定めています。職員配置はゼロ歳児3人に保育士1人、4歳以上児では子ども30人に保育士1人など。2歳以上児の保育室の面積は子ども1人当たり1.98平方メートル(約1.2畳)など。医務室、調理室の設置も。現在の認可保育所は、ホールを設けるなど最低基準の2倍近くの面積を確保したり、保育士を加配するなど、不十分な最低基準をカバーしています。
 
私立保育所運営費
一般財源化やめて
関係団体が政府に要請

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 保育・社会福祉関係団体が10日、相次いで福島瑞穂少子化担当相に、「私立(民間)保育所運営費の廃止、削減反対」と要請しました。子ども手当の財源をめぐって“私立保育所運営費の一般財源化”が浮上しており、緊急の要請となったものです。保育所運営費は全国的な保育水準を確保するために機能してきた補助金であり、一般財源化は運営費の廃止、削減につながります。

 全国保育協議会、全国保育士会の代表は、2004年度の公立保育所運営費一般財源化で保育士の非正規化・非常勤化がすすみ保育材料費などが削減され、子どもをはぐくむ環境に格差が生じているとのべ、「子どもの育ちを支える保育が後退する」と訴えました。

 全国保育団体連絡会(全保連)の実方伸子事務局長は、国の責任で早急に保育所を整備し待機児童を解消する必要性を強調し、「保育や子育て支援施策関連予算を増やし、自治体をバックアップする体制をつくってほしい」とのべました。

 福島少子化担当相は政府内で保育所運営費の一般財源化を検討していることを、5日ほど前に総務省からきいたことを明らかにしました。「児童福祉法が示すように、国の責任で待機児童解消、最低基準の確保などを行うべきだ。国が一円も出さずに全部、地方に任せるということには、明確に反対だ」とのべました。

 要請したのは、このほか、日本保育協会、全国社会福祉施設経営者協議会、全国社会福祉協議会、日本保育学会、全国学童保育連絡協議会、全国私立保育園連盟などです。

何狙う保育「改革」
ビジネスチャンス拡大

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 鳩山政権は、8日閣議決定した「緊急経済対策」に「保育分野の制度・規制改革」を盛り込みました。「平成23年(2011年)通常国会までに所要の法案を提出する」と、期限を切って推進する構えを見せています。これは何を狙うものか。政権の基本姿勢にかかわる問題です。

 「緊急経済対策」の「保育分野の制度・規制改革」部分は、自公政権時代に財界仕込みの「構造改革」の扇動役を果たしてきた「規制改革会議」(議長=草刈隆郎日本郵船株式会社取締役・相談役)の提言(4日)を、そのまま引き写したような中身です。

忠実になぞる

 たとえば、規制改革会議は提言で、保育制度について「利用者自らが保育所に直接申し込み、契約を結ぶ利用方式を導入すべき」だと主張。続けて、「保育に欠ける要件の見直し」「利用者補助方式への転換」「保育料設定の柔軟化」などを求めています。

 これに対し、「緊急経済対策」も、「利用者と事業者の間の公的契約制度の導入」「保育に欠ける要件の見直し」「利用者補助方式への転換」「保育料設定の在り方について…検討」と、規制改革会議の提言を忠実になぞった形で課題を列挙しているという具合です。

 また、規制改革会議は、施設整備費補助が株式会社には出ないことや、運営費に使途制限があることなどを、保育への企業参入の障害に数え上げ、「イコールフッティング(=設置主体間の公平化)による株式会社等の参入促進」を強く求めました。

 「緊急経済対策」も、「イコールフッティングによる株式会社・NPOの参入促進」を提唱。「施設整備補助の在り方、運営費の使途範囲」などを「検討する」としています。

 規制改革会議の提言では、さらに「幼保一元化」も提案。「緊急経済対策」には「幼保一体化」が盛り込まれています。「一体化」は民主党がマニフェストなどで使ってきた言葉で、中身は「一元化」と変わりません。

 要するに「緊急経済対策」は、国のお金はなるべく使わずに、規制緩和で民間活力を導入し、経済の活性化を図るという「成長戦略」の一環として、保育「改革」を断行しようとしているのです。本文でも、「できる限り財政に依存せず」に「制度・規制など『ルールの変更』」によって「国民が持っている潜在力」を発揮させ、「景気回復を目指す」と、“狙い”が明記されています。「国民」という言葉でオブラートにくるんでいますが、一皮むけば、「改革なくして成長なし」と叫び、「民間の自由な経済活動を阻害する規制を撤廃します」(骨太方針2001)と打ち上げた小泉内閣の路線と瓜二つです。

 民間企業のビジネスチャンスを広げることだけに目がいっており、子どもや保護者の視点は皆無です。質の守られた、安心して預けられる保育所を、国や自治体の責任で増やしていくという立場は、どこにもありません。

「生活第一」?

 政権交代は、経済効率優先で国民生活をないがしろにしてきた「構造改革」路線への、国民の怒りが起こしたものでした。それなのに新政権が「構造改革」路線と決別できず、役割を終えたはずの規制改革会議の“復権”すら図るのでは、「国民の生活が第一」という約束が泣くというものです。国民の厳しい批判は免れません。(坂井希)

(出所:日本共産党HP 2009年12月11日(金)「しんぶん赤旗」)

保育所 国基準維持を
赤ちゃん亡くした遺族ら要請

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 子ども1人当たりの部屋面積などを定めた保育所の最低基準の引き下げが、今月中旬にも閣議決定される「地方分権改革推進計画」に盛り込まれようとしています。情勢が緊迫するなか、保育所での事故で子どもを亡くした遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美代表)が11日、内閣府の原口一博・地域主権推進担当相に、国基準の維持を申し入れました。津村啓介政務官が応対しました。

 同会の寺町東子弁護士は、都市部の認可外保育施設で起きた死亡事故の例をあげ、「待機児が多い地域でこそ、営利目的で子どもを詰め込む劣悪施設がはびこり、事故が起きている」と指摘。「国の基準を外せば、認可外施設の指導監督基準も地域ごとにバラバラになり、劣悪施設がますます野放しになる」と語り、国基準の維持を求めました。

 津村政務官は「規制緩和をしたいと思っているわけではない。住民に一番近い自治体に、自分で責任をとってもらう『地域主権』を実現したいだけだ。基準が低くなるとは考えていない」と語りました。

 これに対し遺族は「私の娘が市立保育所で亡くなったことを地元の行政の人たちは知っているが、だれも助けてくれない。市は国に事故の報告すら上げていない。本当に地域に任せればうまくいくのか」「まさか保育所に預けて子どもが死ぬとは思わなかった。保育所を安全に保つための基準を守ってほしいだけです」と涙ながらに訴えました。

 津村政務官は、「確かに、今すぐ国から地方に任せてうまくいくのかと心配されるのはもっともだ」と表明。「最終的に目指す道は『地域主権』だが、そこまでのプロセスは考えなければいけない」と語りました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の課題ー「ある日突然、肉親が犠牲に…」/犯罪被害者に国は補償を/過去の事件にも適用をー

2009-11-24 10:23:42 | 国内社会
犯罪被害救済へ基金を
「ある日突然、肉親が犠牲に…」
過去の事件にも適用求める
「補償求める会」結成1周年 22日にシンポ

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 ある日、肉親が犯罪の犠牲に―。殺害、あるいは重い障害を負わされたとしても、加害者に資力がなければ、裁判で勝っても損害賠償金はとれません。被害者は心身の苦痛とともに経済的にも追い込まれます。こんな悲劇をなくそうと、「犯罪被害補償を求める会」(兵庫県尼崎市)が昨年10月に誕生、国に救済制度の確立を求めて活動してきました。22日には同市内で結成1周年の記念シンポジウムを開催します。

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 「会」の会員Aさん(56)は2001年5月、夫を隣家の男に刺殺されました。兵庫県姫路市で町工場を経営していましたが、4年後に廃業しました。

再度の裁判で

 Aさんは民事提訴。8000万円の損害賠償の支払いを命じる判決を得たものの、加害者は資産隠し(偽装離婚による妻への財産分与)を行いました。

 資産隠し(詐害行為)取り消しのためにAさんは再度、裁判を起こさざるを得ませんでした。最高裁まで争い06年にようやく2500万円を得ました。

 5年間の裁判費用は弁護士報酬も含め800万円。損害賠償の残り5500万円については1円の支払いもありません。

 「工場廃業後はホテル清掃の仕事に就きました。1日8時間、週6日。裁判との両立は過酷、1年で仕事をやめました」とAさん。

 「会」の藤本護会長(79)は「犯罪被害者の訴訟負担は大きく、裁判をあきらめることは珍しくありません。生活の再建もできません」と憤ります。

 藤本さんは日本共産党の元尼崎市議。02年3月、近所の男に自宅前で妻を刺殺され、自らも重傷を負いました。裁判所は男を「心神耗弱」と認定、懲役10年の判決を言い渡しました。民事裁判では3200万円の損害賠償が認められましたが、1円も支払われていません。

 国は、国による損害賠償の立て替え払いを求める声を退け、昨年、犯罪被害者等給付金支給法を改定し、上限額の引き上げで対応しました。しかし、過去の事件は適用外。給付金も被害者の事情に大きく左右され、例えば、20歳で扶養家族がいない場合の遺族給付金は最高で560万円です。

平等を求めて

 「会」は、加害者に支払い能力がない場合、代わって補償する救済基金の設立を国に求め、Aさんのような過去の被害者にも同じ措置=法律の遡及(そきゅう)適用を要求しています。

 オウム真理教犯罪の被害者に国が給付金を出す法律が08年に施行されました。同法は1995年の地下鉄サリン事件などの被害者を支給対象にし、死亡2000万円、障害の場合は最大3000万円などと定めています。

 藤本会長は「私たちもオウム被害者も同じ苦しみを味わっています。オウム事件と同様、法律をつくれば、過去の一般犯罪被害者にも補償はできるはずです。それが法の下の平等であるはずです」と訴えています。


「犯罪被害補償を求める会」結成1周年記念シンポジウムは、22日(日)午後1時30分から、尼崎市立花・すこやかプラザで、入場無料。問い合わせは電話050・3389・6601。

(出所:日本共産党HP 2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」)

犯罪は生活も壊した
「被害者に国は補償を」
兵庫でシンポ

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 「犯罪被害者に補償を、生活再建の力を」と訴えるシンポジウムが22日、兵庫県尼崎市で開催されました。約100人が参加し、被害者4人が痛苦の体験を話しました。主催は結成1周年を迎えた「犯罪被害補償を求める会」と同シンポ実行委員会。

 「会」の藤本護会長(79)は、「一般犯罪で賠償がスムーズに実施されるケースは10%ほど。一家の大黒柱をなくした場合、被害者家族は生活の再建がきわめて困難です」と指摘しました。

 尼崎市でラーメン店を営む女性(53)は2002年3月、夫が客4人に暴行され重傷を負い、右半身不随になりました。裁判所は加害者4人に対して、9000万円の損害賠償を認めましたが、支払われたのは2000万円のみ。女性は声をつまらせ訴えました。

 「夫は現在、店に出ていますが、以前のように働けません。メニューはラーメンとギョーザだけに絞り、売り上げは事件前の半分未満です。賠償金を開店時の銀行ローン返済に充てましたが、完済には程遠く、子どもたちの援助で利息だけを支払っている状態です。私たちは普通の生活が送りたいだけです。そのために国は補償制度をつくってほしい」

 1993年、当時19歳だった一人娘を殺害された女性(62)。犯人は捕まらず、時効となりました。

 「私は懸賞金100万円をかけ情報提供を求めました。精神的苦痛はひどく、いつ食事をしたか、いつ寝たかも分からない日もありました」と、遺族の苦しみを訴えました。

 シンポでは、弁護士で大阪経済法科大学客員教授の前野育三氏(刑事行政学)が講演し、「犯人が逮捕されない未解決事件では被害者は民事裁判も起こせません。最終的には国による補償に頼らざるを得ません」と話しました。

(出所:日本共産党HP 2009年11月23日(月)「しんぶん赤旗」)
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2009年に『資本論』を読む-このタイトルの自主ゼミが東京大学で開かれています-

2009-10-23 10:06:03 | 国内社会
ゆうPRESS
新鮮 資本論
「搾取」ってムチ打ち働かせるイメージだった
労働者の主張の大事さわかった
東大で自主ゼミ

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 「2009年に『資本論』を読む」。このタイトルの自主ゼミが東京大学で開かれています。日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長の『「資本論」全三部を読む』(新日本出版社)を使って月2回、1年で読み切ることをめざして、1、2年生が学びます。(染矢ゆう子)

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 ゼミが始まったのは2008年度から。東大の1、2年生でつくる日本民主青年同盟(民青同盟)駒場班が新入生からとったアンケートで関心のある民青同盟の活動を聞いたところ、「『資本論』を読みたい」という学生が多かったことから始まりました。昨年は10人、今年は13人からスタートしました。

貧困と格差が深刻化のなか

 講師を務める日本共産党東京都委員会の石井耕太さん(57)は「世界的な経済危機が起こったり、日本で貧困と格差が深刻化するなかで、資本主義そのものについて深くつかみたいという思いが強まっているのではないでしょうか」と話します。

 「『資本論』が理解できたら、かっこいい」と参加した由理さん(1年)は、理系の学生です。

 「商品からはじまり、価値、貨幣、資本、と分析をすすめる方法は原子、分子と分析をすすめる化学みたい。そうやって社会を見て、目の前の現象を説明できるのがすごい」。ゼミには欠かさず出席しています。

 サヤカさん(2年)は、参加するまで、搾取といえば、ムチを打って労働者を働かせるようなイメージを持っていました。

 「普通の『雇い』『雇われ』の中に搾取がひそみ、普通に賃金をもらっていても、(賃金分の)必要労働時間以上に働かされているという(剰余価値の)しくみにびっくりしました」と話します。

 実家は中小企業を経営し、しばしば労働組合との交渉が決裂しているといいます。

 「要求実現をかかげてストライキや春闘をする労働者に対して、『経営する方も大変なのに』と思っていました。でも、労働者が権利を主張し、対立することがなくなると搾取されるだけになると分かりました。労働組合も大事だと思いました」と話し、「資本主義の矛盾をどう変えていくのか興味があります。2、3ページで挫折した『資本論』の本文も読んでみたい」と意欲をもやします。

頭から拒否していたけど

 「『資本論』、マルクスというと、共産主義万歳というイメージがあって、頭から拒否していた」と話す弘樹さん(1年)。「一度読んでみようよ」と話す民青同盟員に誘われて、参加するようになりました。

 「『資本論』に書いてあるのは、資本主義のしくみがどうなっていて、どういう矛盾があるのかということが中心なんだと分かりました。マルクスは生産手段を共有することが必要と言っているだけ。それでいいじゃないかと思いました」と言います。

 講師の石井さんは「マルクスの理論についての新鮮な発見と、それが現代に生きていることを、ともに実感しながらすすめています」と話しています。(学生は仮名)

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 マルクス『資本論』の魅力について2人に話を聞きました。

「これでいいのか」 考える姿勢ができる

 神戸女学院大学教授の石川康宏さんの話 『資本論』は、資本主義社会の全体像をつかまえるという野心にもとづいた著作です。リストラ、貧困、恐慌等がなぜ起こるのかを根本から統一して考えています。

 大学で学ぶ近代経済学は、全体としては資本主義が人びとの利害をどう調和させるかをのべるものです。しかし、実際には調和の破綻(はたん)が周期的な恐慌を生み出しています。

 『資本論』は、資本主義社会がこれまでの社会とどこが違うのかを、人類史的視野でつかむことができます。社会に流される生き方でなく、これでいいのかと考える姿勢ができます。すべてを一度にわかろうとしないで、最後までページをめくってみましょう。

労働者なんだと実感させられる

 労働学校で『資本論』を学ぶ、保険代理店に勤めるM子さん(30)の話 『資本論』に書かれた19世紀の資本主義のもとでの資本家と労働者の対立関係は今も変わりません。『資本論』を学び、今の自分が労働者なんだと実感しました。豊かで文化的な生活を送ろう、貧困からぬけだそうと思ったらたたかわなあかん、と思いました。

不破さんが語る
30日・11月6日にセミナー
マルクスは生きている~公開連続セミナー

◇講師=不破哲三日本共産党社会科学研究所所長

◇第1回「大学時代にマルクスが必読な理由」

 10月30日(金)

◇第2回「マルクスの眼で見た21世紀の日本と世界」

 11月6日(金)

◇時間=いずれも午後6時20分から

◇場所=東京大学駒場キャンパス内(京王井の頭線「駒場東大前駅」東口下車すぐ)

(出所:日本共産党HP  2009年10月19日(月)「しんぶん赤旗」)

生産手段の社会化 交通機関や放送局は?

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 〈問い〉日本共産党の綱領第5章には、「社会主義的変革の中心」は「主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」と書かれています。生産をしていない交通機関や放送局は社会化されないのでしょうか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 日本共産党の綱領第5章は、日本社会が資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義社会への前進をはかる段階の展望を述べているものです。そこでは、「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化」であり、「生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」という基本的な発展方向を明らかにしています。その際、どの分野の生産手段が社会化の対象となるのか、それがどのような所有形態へとすすむのか、といったことは、この変革が現実の課題になった段階で、政治情勢や経済・社会の状況を踏まえて検討されるべきものです。

 当然、資本主義時代の価値ある成果や経験がうけつがれ、いっそう発展させられるでしょう。

 綱領はまた、「社会主義・共産主義の社会がさらに高度な発展をとげ」た後に、「人間による人間の搾取もなく、抑圧も戦争もない、真に平等で自由な人間関係からなる共同社会への本格的な展望が開かれる」という、長期の展望も明らかにしています。ここに書かれている未来の共同社会は、搾取そのものがなくなる社会です。そこへいたる過程では、財貨の生産をおこなわないサービス産業も含めて、今日の大企業が担っている経済活動のすべてが、いずれは何らかの形で社会的な所有・管理・運営へすすんでいくだろう、というのが理論的展望です。

 なお、鉄道などの交通機関は、原料や商品を運ぶことで生産の一端を担うという性格をもっていますし、国民生活と日本経済を支える大事な産業です。したがって、そのあり方については、安全性と経済効率の両面からの検討が必要です。

 また、放送や新聞などのマスメディアは、国民の言論の自由や人権の保障という面からも重要な機関であり、「真に平等で自由」な社会の言論機関にふさわしい経営の形態が探求されることになります。(哲)

 〔2007・2・14(水)〕

(出所:日本共産党HP 2007年2月14日(水)「しんぶん赤旗」)

「生産手段の社会化」って どういう意味?

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 〈問い〉 日本共産党の綱領にある「生産手段の社会化」って、どういう意味ですか?(岡山・一読者)

 〈答え〉 生産手段とはごく簡単にいえば、物を生産するための原料(=労働対象)と工場・機械など(=労働手段)のことです。いまの資本主義社会は、これをごく一部の人たちが占有し、もうけ本位に生産しており、これが社会のゆがみや環境破壊につながっています。

 当面する民主的変革の過程を経て、私たちがめざす次の段階が、資本主義を乗り越えた未来(社会主義・共産主義の社会)への前進です。ここでの変革の中心的な指標が「生産手段の社会化」です。生産手段の社会化を土台にどんな社会をつくるか。第23回党大会で決めた新しい日本共産党綱領はそれを次の三つの側面から描きだしています。

 (1)生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。

 (2)生産手段の社会化は、生産と経済の推進力を資本の利潤追求から社会および社会の構成員の物質的精神的な生活の発展に移し、経済の計画的な運営によって、くりかえしの不況を取り除き、環境破壊や社会的格差の拡大などへの有効な規制を可能にする。

 (3)生産手段の社会化は、経済を利潤第一主義の狭い枠組みから解放することによって、人間社会を支える物質的生産力の新たな飛躍的発展の条件をつくりだす。

 この変革は、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程です。人類史の新しい未来をひらく歩みですから、青写真はありません。国民が英知をもって挑戦する創造的な開拓の過程となるでしょう。

 ですから、新しい綱領では、(1)生産手段の社会化は多様な形態をとるが、どんな場合でも「生産者が主役」という原則を踏み外してはならないこと(ソ連では「国有化」して国家が工場などをにぎりさえすれば、これが「社会化」だということで、現実には官僚主役の経済体制がつくりあげられた。これを絶対にくりかえしてはならないこと)(2)改革の道すじの全体が「市場経済を通じて社会主義へ」という特徴をもつが、どのようにして、計画性と市場経済とを結びつけるのかなどは、知恵の出しどころであること(3)「計画経済」を、国民の消費生活を規制する「統制経済」に変質させてはならないこと―など、基本点を明記しています。(喜)

 〔2006・4・8(土)〕

(出所:日本共産党HP 2006年4月8日(土)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の課題ー「子供手当て」はよい政策であるが、その裏で庶民増税するのは撤回すべきでないか?-

2009-10-14 02:00:14 | 国内社会
電話相談に切々
保育所に入れない
目立つ経済困難の理由

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 全国保育団体連絡会(全保連)が2日、「入りたいのに入れない! 保育所ホットラインII」を開設しました。3台の電話に次々と相談が入り、保育園園長らが応じました。

 今年6月に出産した東京都足立区の母親は「10月に仕事に復帰しないと、会社を辞めなければならないかもしれない。双方の祖父母は働いており、区役所に入所は無理と言われた」と相談。育児休業中の母親も「仕事に復帰したいのに3カ月の子が入所できず、9月から5歳の上の子が退所に。無認可保育所は月5万円かかり、とても預けられない」(福岡県宇美町)と訴えました。

 経済的困難を理由とした相談が目立ちました。「小3をはじめ3人の子どもがいる。0歳の子を無認可に預けているが月8万円の保育料。夫の給料が減らされ大変だ」(埼玉県川口市)「地方への異動を機に退職し、現在、求職中。5カ月の子どもの預け先がない」(東京都練馬区)などの相談が相次ぎました。

 保育所待機児童は全国で2万5千人(2009年4月)を突破し増え続けています。ホットラインは、切実な声や実態を国・自治体にアピールしようと実施されました。3日も午前11時~午後9時まで開設します。電話(0120)711144。ホームページ(http://www.hoiku-zenhoren.org/hotline/index.html)からメールでも受け付けています。

 同日は全国13カ所で保育団体が電話相談を実施しました。

(出所:日本共産党HP 2009年10月3日(土)「しんぶん赤旗」)

新政権の子ども手当
控除廃止の影響どうなる
民主党は説明を

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 鳩山新政権が掲げる子ども手当はいつ、どのように実施されるのか。長妻昭厚生労働相は、15日に提出する概算要求に盛り込むよう指示したものの、制度創設のための法案提出は来年の通常国会に先送りする方向です。最近の世論調査では、子ども手当に賛成が57%、反対が39%で、反対が若干増えています(「読売」5日付)。子育てへの経済的支援の拡充を歓迎する一方、財源問題などで疑問も根強い世論の状況が現れています。

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給付
所得制限はないけれど

 民主党が公約した手当額は、子ども1人につき月2万6千円、年間31万2千円です。所得制限を設けず、中学校卒業まで、すべての子どもに支給します。2010年度は半額で実施し、11年度から全額支給を目指しています。

 現行の児童手当は、3歳未満の子どもに月1万円、3歳~小学6年生までの子どもに月5千円(第3子からは月1万円)の支給です(所得制限あり)。

 これは欧州諸国と比べても低い水準であり、子育てへの経済的支援の拡充は当然です。「子どもの貧困」が広がるなか、給付への期待もあります。

 しかし、新政権の案には見過ごせない問題があります。

財源 
控除廃止も3兆円不足

 最大の問題は、庶民増税と抱き合わせであることです。

 子ども手当の実施には年5・3兆円の財源が必要です。民主党は財源として(1)所得38万円以下の配偶者がいる場合の「配偶者控除」(2)所得38万円超76万円未満の配偶者がいる場合の「配偶者特別控除」(3)0~15歳および23~69歳の扶養親族がいる場合の「一般扶養控除」―を廃止するとしています。これは、8日から始まった新政府税制調査会での議論の焦点の一つです。峰崎直樹財務副大臣は10日、来年度から扶養控除を廃止する可能性を示唆しました。

 ただ、廃止したとしても、それで生まれる財源は1・4兆円。現行の児童手当の公費負担分約8千億円を加えても、3兆円余が足りません。

増税
負担増世帯900万試算も

 控除廃止による増税の影響について、民主党は、増税となる世帯は「夫婦のみの世帯で一方が家事専業の場合」で、「全世帯の4%程度」だとしています。また、増加額は「平均的な収入(437万円)」で「月額1400円程度(年額1・9万円)の見込み」と説明しています。

 しかし、同党はこれらの数字の根拠を明確にしていません。

 本紙は8月15日付で、負担増となる世帯は、高校生以上の親族を扶養する専業主婦世帯や23~69歳の親族を扶養する共働き世帯なども含まれ、少なくとも600万世帯、全体の12%以上にのぼるとの試算を示しました。

 「日経」9月14日付は、全世帯の18%(約920万世帯)が負担増となり、その平均額は年額4万円という一橋大の高山憲之教授らの試算を紹介しています。

 民主党は、これらの指摘と自党の主張との違いについて、明確に説明すべきです。

 控除廃止は、国民の負担増を招くとともに、生計費非課税という税制の民主的原則にも反します。日本共産党は、増税と抱き合わせの実施には、反対しています。(坂井希)

(出所:日本共産党HP 2009年10月12日(月)「しんぶん赤旗」)

主張
待機児童2万5千人
本格的な保育所建設へ舵を

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 保育所に申し込んでも入れない待機児童が、今年の4月1日時点で2万5384人になったことがわかりました。前年から5800人余の増加で、1・3倍となる急増ぶりです。待機児童問題をはじめとする子育て支援は、総選挙でも大きな争点にもなりました。安心して子どもを生み育てられる社会へ、本格的な対策が急務です。

100万人が潜在的に

 待機児急増の背景には経済危機による「共働き」増加が指摘されますが、一過的一時的なものではありません。欧米などでは、女性も出産・子育てしながら働き続けることは当たり前です。日本では約7割の女性が妊娠・出産で仕事をやめています。しかし家庭で子育てしている女性の84%は、保育所に入所できれば就労を希望しているのです(内閣府調査)。潜在的な待機児童は100万人規模にのぼることを政府も認めています。

 小手先の対応で解決できないことは明らかです。政府の責任で保育予算を抜本的に増額して、認可保育所を計画的に建設する以外には解決の道はありません。

 一方で保育所建設の促進を口実にして、職員配置や面積などの国の基準を廃止し、それぞれの自治体の判断に委ねるよう求める動きがあることは重大です。地方分権改革推進委員会などが廃止を求める保育所最低基準は、現状でもきわめて低いものです。3歳以上児の面積を比べるとストックホルムの4分の1、パリの半分以下です。諸外国が遊ぶ、食べる、寝るという子どもの活動に必要な面積を保障する見地にあるのに対して、日本ではぎりぎりのスペースしかありません。今年3月に発表された厚労省の委託研究でも、基準の引き下げは「一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難にする」と指摘しています。職員配置も低水準です。

 最低基準をなくすのでなく、むしろ基準を引き上げることが求められているのです。父母の願いも子どもを“安心して預けられる保育所”です。「規制緩和」や詰め込みによる保育条件切り下げの流れを、子どもの命と成長を支え、親の就労を保障する公的保育の抜本的拡充へと切りかえる時です。

 まず、自公政治がすすめてきた保育制度改悪の検討は、ただちにストップすることです。そもそもこの検討は、社会保障削減の中で経済財政諮問会議など財界が強硬に要求し、当時の福田康夫首相の指示で始まったものでした。自公政治の社会保障切り捨て、「構造改革」路線に国民のノーの審判が下った今、「構造改革」路線を保育に持ち込み、国と自治体の責任を後退させる制度の検討を継続する道理はありません。検討を白紙に戻し、全国2万カ所の保育所で213万人の子どもが利用している現在の保育制度の到達点を生かした改善、充実をすすめることです。

国民の願いに耳傾けて

 OECD「子どもの幸福」報告書によると、日本の6歳未満の子どもへの公的支出は加盟国平均の半分以下にすぎません。新しい政権が国民の声に耳を傾け、保育予算を増額し本格的な認可保育所建設にふみだすことを求めます。

 国民が切実に望む安心して子育てできる社会へ、税金の使い方を改め必要な予算を思い切ってそそぐ政治へと、父母、国民の力強い運動の発展が期待されています。

(出所:日本共産党HP 2009年9月18日(金)「しんぶん赤旗」)
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東京都立駒込病院の企業参入事業(PFI)で偽装請負が横行している疑いー解決策はPFI事業の中止ー

2009-07-21 08:12:36 | 国内社会
社会リポート
都立駒込病院の企業参入事業(PFI)
偽装請負横行の疑い
職場バラバラ 医療の質低下

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 今年4月から実施されている東京都立駒込病院(東京都文京区、職員数900人弱)の企業参入(PFI)事業による病院内の業務で、違法な偽装請負が横行している疑いが強まっています。病院関係者は「偽装請負は構造的なもの。職場のチームワークをなくし、医療の質を低下させている」と指摘します。(今田真人)

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 厚生労働省の東京労働局は、駒込病院のPFI事業について「一般論でいえば、医師や看護師など病院の職員が、委託業者の労働者に、仕事を直接指示したら『指揮命令』になり、偽装請負となる。労働者派遣法に違反する」(需給調整事業部)と指摘します。

実態は不透明

 駒込病院内の業務は、医師や看護師の仕事などの一部を除き、東京都から、三菱商事(PFI事業の落札業者)の子会社「駒込SPC」(文京区)に包括して委託されました。同社はその院内業務を18種類に分け、それを個別に12の業者に再委託していることを6月26日、公表しました。(表)

 しかし、同病院内で働く委託業者の労働者の実態は不透明なままです。同病院事務局は「3月までの委託業者の従業員は100人~200人。4月以降はわからない」(同病院事務局)と説明、偽装請負の事実どころか、人数さえ把握していません。駒込SPCは「取材には、いっさいお答えできない」(広報担当者)と話します。

構造的な矛盾

 病院関係者の一人は「PFI事業が始まり、病院内の業務は偽装請負だらけになっている」と指摘します。

 例えば、病室で看護師が採取した患者の血液などの「検体」を検査室に運ぶのは、委託業者の仕事です。看護師が「これをすぐに検査室に運ぶ必要がある」と判断しても、担当の委託業者の労働者のマニュアルでは手順が決まっており、対応できません。

 この看護師は、「検体」が検査室に届くまで時間がかかると変質して正確な検査ができないため、担当でない別の委託業者の労働者に指示し、緊急に運んでもらったといいます。これも、委託業者の労働者に指示したことになり、偽装請負となります。

 こうした事例は、ほとんどの業種に共通する構造的なものです。病院内は、職員や委託業者の労働者との連携が破壊され、ばらばらにされています。

無責任な姿勢

 東京都の担当者は「駒込病院の委託業務は、あらかじめ定めた作業マニュアルがあるので、病院職員の指揮命令がなくても成り立つ。偽装請負はない」(病院経営本部)と強弁します。

 しかし、労働実態の詳しい内容を質問すると、「委託業者の従業員数や労働条件などは把握していない」(同)という無責任な回答が返ってきます。

 偽装請負の横行を解決するには、PFI事業を中止するしかないことが浮き彫りになっています。

(出所:日本共産党HP  2009年7月19日(日)「しんぶん赤旗」)
コメント (83)
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諫早干拓で死んでいくムツゴロウを演じる「憲法ミュージカル」-資本が描く未来か、子供たちが描く未来かー

2009-06-23 19:53:04 | 国内社会
大阪で「憲法ミュージカル」
干潟の命表現
1100席が満席

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 市民118人による「憲法ミュージカル2009ムツゴロウ・ラプソディ」が20日、大阪市の大阪厚生年金会館で初日を迎え、1100の客席が満席となりました。府内の弁護士が呼びかけ出演者を公募した取り組みで、昨年につづき2回目。憲法の「公共の福祉」を問いかけます。

 環境破壊の公共事業、諫早干拓(長崎県)によって命を奪われた干潟の生き物たちの声を出演者はダイナミックに表現。海を失った漁師とムツゴロウの間に連帯が生まれます。

 昨年6月、潮受け堤防の排水門開門を国に命じた(佐賀地裁)「よみがえれ! 有明海訴訟」の馬奈木昭雄弁護団長ら4人が長崎からかけつけ観劇しました。馬奈木氏は「自然の営みの中の命の大切さが表現されていて素晴らしかった。破壊するのは国だが、再生するのは国民の力。戦争を防ぐのは、国民の力です」と話しました。

 身をのりだして見ていた少女(10)=堺市=は「生き物が死んでいくところは悲しかった。水門が開いたら少しずつ増えると思う」と話します。母親(41)は「大勢の人が歌っているパワーがすごかった。一緒にやりたい気持ちになりました」と語りました。

 今後の日程 21日(日)午後5時、メイシアター(吹田市)。7月4日(土)午後6時、高槻現代劇場(高槻市)。7月5日(日)午後6時、プリズムホール(八尾市)。7月12日(日)午後3時半、ラブリーホール(河内長野市)。連絡先=同実行委員会06(6180)6900

(出所:日本共産党HP 2009年6月21日(日)「しんぶん赤旗」)

平和への思いを描いて
子どもの本・九条の会がつどい

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 絵本作家、画家、編集者など子どもの本にかかわる人が会員となっている「子どもの本・九条の会」の設立一周年記念「被爆ピアノと朗読・うたのつどい」が二十五日、開かれました。会場となった東京都児童会館ホールには、六百八十席が満席となる参加者が雨の中つめかけました。

 いわさきちひろが描いた子どもたちがスクリーンに映し出され、ピアノの演奏で始まりました。千羽鶴が両脇に下げられた被爆ピアノです。

 作家の松谷みよ子さんが登壇。調律師によってこの被爆ピアノがよみがえった実話をもとに書いた絵本『ミサコの被爆ピアノ』を朗読しました。松谷さんは「子どもの本・九条の会」の代表の一人でもあります。「音色とともに原爆のおそろしさを語りついでいきたい」と話しました。

 画家の太田大八さんは、被爆直後の広島の様子や、東京大空襲のときの体験を語り、「絵は言葉の垣根をこえて、どの国の人とも分かり合え、仲良くなれる。愛国心よりも愛球心でいきたい」と話しました。

 昨年、絵本『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本大賞を受賞した長谷川義史さんが登場。世界のいろいろな子どもたちをつづり平和への思いを描いた同作品を朗読しました。

 NHK教育テレビで活躍中の、おおたか静流(しずる)さんも、広島の民謡や、手話の入った歌をうたいました。会場には、平和をともにつくりあげようとの思いがあふれました。

 ロビーでは、世界の平和絵本が約百冊並び、子どもたちが熱心に読んでいました。

(出所:日本共産党HP 2009年4月26日(日)「しんぶん赤旗」)

主張
こどもの日
安心して成長できる社会に

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 風薫る五月、笑いながら駆けていく子どもたち。見ている側も思わずほほえみます。子どもは社会の宝、未来をつくる主人公です。

 その子どもたちが安心して成長していけるようにすることは、おとなの責任です。

心の声に耳を傾けて

 何より、すべての子どもに衣食住、保育や教育を行き届かせることです。ところが、この当たり前のことにほころびが生じています。「子どもの貧困」の拡大です。

 構造改革による雇用破壊、不十分な社会保障のなか、親たちは子育ての余裕を奪われ、食事もままならない子どもが増えています。

 本紙は現場からその姿を伝え、問題解決を呼びかけてきました。今後も力を注ぎたいと思います。

 日本の子ども関連の予算は、フランスの四分の一の水準にすぎません。そのもとで養育費や学費の調達は親の自己責任にされています。親の収入がなくなれば、子育てが行き詰まる仕組みです。

 子ども関連の予算が多いフィンランドでは、国から母親全員にベビー服やかけ布団、哺乳びんや絵本などがぎっしりつまった箱が届きます。十七歳まで子ども全員に月一万三千円程度支給され、専門学校や大学を含め教育は無償です。学生は月々数万円の返済不要の奨学金をもらえます。

 日本も予算の使い方を変えれば、そうした国になれます。次の総選挙で新しい政治への道を開き、子どもの貧困のない国へ大きな一歩を踏み出しましょう。

 教育に目を転じれば政府や財界の「いまの子どもはこれが足りない。だからこれをやらせよ」という姿勢が気になります。例えば学力がないから授業時数を延ばし全国テストで尻をたたくなどです。

 学力とは何か、人間はどう育つのかの冷静な議論なしに、支配的な人々の「こうあるべき」から発せられる号令は、子どもを貧しい人間観の枠にはめ、未来の芽をつむものでしかありません。

 いま必要なことは、子ども一人ひとりをよく見ること、心の声に耳を傾けることです。

 なぜ学習がつまらないのか。なぜ人間関係で傷ついているのか。そんな自分のことを理解し、一緒に歩いてくれるおとなを、子どもは求めています。そして、そうした関係を通じてこそ、子どもは人類が築いてきた学問や文化をわがものにしていくはずです。

 その仕事の中心に教員がいます。それだけに、教員を上から言われた通りの業務をこなす“実務者”に変質させる、政府・財界の教育統制を許してはなりません。

 憲法と「子どもの権利条約」を生かし、子どもたちの豊かな人格形成を支える教育をつむぎ出すための共同を発展させましょう。

「世界の宝」手渡そう

 世界では戦火がやむ日がありません。アフガニスタン、イラク、そしてガザ…自分を守る力が弱い子どもは真っ先に殺され、心身を深く傷つけられます。

 日本には憲法九条があります。九条は戦争のない世界を築くための「世界の宝」です。高校の教職員組合の調査でも高校生の六割が九条を支持しています。憲法九条を守り、子どもたちに手渡そうではありませんか。

 力をあわせて、子どもたちが安心して育つことができる社会をつくっていきましょう。

(出所:日本共産党HP 2009年5月5日(火)「しんぶん赤旗」)
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麻生・自公政権の地球温暖化対策ー国際的には90年比なのに、国内の総選挙を意識して05年比で誤魔化しー

2009-06-12 00:23:57 | 国内社会
中期目標 90年比8%減
(05年比15%)
日本の温室効果ガス削減
先進国の最低水準
首相が発表

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 麻生太郎首相は10日、2020年までの日本の温室効果ガス排出量削減の中期目標を05年比で15%にすると発表しました。これは、温暖化対策の国際交渉で基準となってきた1990年比で、わずか8%。主要先進国で、ほぼ最後に最低水準の目標を出したとして、内外の厳しい批判を招くことは必至です。13年以降の新たな温暖化対策に日本は本気で取り組む覚悟があるのかが問われます。

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 この目標は、政府が検討対象として出した6案のうち、低い方から3番目にわずかに上積みしたもの。97年採択の京都議定書で日本に課せられた「08~12年期に90年比6%減」の目標を2ポイント上回るだけという、他に例のない数値です。

 麻生首相は、低い目標への批判を意識し、「削減量が大きければ大きいほどいい」とするのは「精神論」だと非難。「裏打ちのない目標にはしない」とし、日本の排出量の8割を占める産業界の削減策を示さない一方で、「国民に相応の負担をお願いする」と強調しました。

 政府は当初、90年を基準年として目標案を示していましたが、今回、見かけの数字を大きくするため、05年を基準年として発表しました。

 90年以降、排出量を減らしている欧州連合(EU)諸国は、05年を基準年とすると見かけの中期削減目標は小さくなり、逆に増やしている日本などは、見かけの削減目標が大きくなります。このやり方には、「数字遊びはやめよ」と批判が出ています。

国際社会で到底通用しない
志位委員長が批判

 日本共産党の志位和夫委員長は10日、都内で記者団から麻生首相が発表した温室効果ガス排出量の中期削減目標について問われ、「このような目標は到底、国際社会に受け入れられるものではない」「(京都議定書を決めた京都会議の議長国として)責任を果たすことにまったくならない」と厳しく批判しました。

 志位氏は、国際的に1990年比で削減努力をおこなっているにもかかわらず、それを2005年比に勝手に変えたやり方について「到底、通用しない」とのべ、目標数値についても、「これでは2020年まで何もしないことと同じだ」と強調。日本共産党が主張しているように、90年という基準年をしっかりさせて、30%という目標をはっきりさせることが必要だと力説しました。

 また、今回の政府発表の背景について問われた志位氏は、「財界の意向に屈従したということだ。ヨーロッパでは経済界とも交渉し、経済界自体も積極的に行動する動きがあるが、日本では財界が非常に後ろ向きで、それに政府も引きずられている」と指摘しました。

国民に負担かぶせるな
非化石エネルギー関連2法案 吉井議員が反対討論

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 非化石エネルギー関連2法案(エネルギー供給構造高度化法案と石油代替エネルギー法改定案)は民主党と与党との修正を経て10日、衆院経済産業委員会で採決され、賛成多数で可決されました。日本共産党は独自に修正案を提案し(賛成少数で否決)、原案、修正案には反対しました。

 採決に先立つ討論で日本共産党の吉井英勝議員は「今日、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換は喫緊の課題だ」とのべつつ、両法案に重大な問題があり賛成できないと表明しました。その理由として(1)国民の権利義務にかかる内容を経産省に白紙委任、丸投げする(2)「非化石電源」の美名のもとに原発を大規模に推進する(3)法的根拠もないまま電気料金に上乗せして国民に負担をかぶせる―の3点を問題点としてあげました。また、民主党と与党による修正案については「政府案の根本的欠陥を是正するものとなっていない」と批判しました。

主張
中期目標政府決定
地球環境を守れない自公政権

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 温室効果ガス排出量を削減する2020年までの中期目標について、政府が05年比「15%減」(1990年比「8%減」)を決定しました。これは地球温暖化を防ぐ目的に照らしてまったく不十分です。期限まで半年を切った排出削減の国際交渉では通用せず、国際的にいっそう孤立しかねません。

 政府決定に環境団体や広範な国民から厳しい批判が上がっています。麻生太郎首相と自公政権に、地球温暖化を防ぐ日本のかじとりができないことは明らかです。

本末転倒の検討

 政府は今回の決定で、削減目標の基準年を90年から05年に変更しました。日本は90年以後も排出量を増加させてきたため、05年比では見かけ上削減幅を大きくできるからです。削減幅を“偽装”しても温暖化を防ぐことはできず、国際交渉をより困難にするだけです。

 日本は2050年までの長期目標で60~80%の削減を掲げています。90年比「8%減」の中期目標は長期目標を達成する見通しを欠き、無責任のそしりを免れません。

 「8%減」は既存の省エネ技術を最大限に普及すれば達成できるとされています。温室効果ガスの排出を大幅に抑え、温暖化を防止する目的を見失った本末転倒の議論です。

 国連などの専門家からは、中期目標として先進国全体で25~40%削減することが求められています。この科学的要請を満たすには、化石エネルギーを大量消費する経済のあり方を転換し、名実ともに「低炭素社会」をめざさなければなりません。

 ところが、政府は中期目標の検討にあたって経済のあり方を吟味せず、それには手をつけないことを前提にしてきました。排出量の削減には最大の排出部門である発電などエネルギー転換部門の対策が不可欠です。そこにメスを入れないままで、新たな地平を開く対策はできません。

 政府の検討はもっぱら対策に必要なコストを議論の的にしており、高い削減量をめざすことは国民生活に悪影響が大きすぎるとの印象をふりまいてきました。

 対策の検討にあたって、産業界が眼目にしたのは「国際的公平性」の確保です。コスト増で大企業の「国際競争力」が損なわれないようにするためです。

 政府が選択肢として6案を発表して2カ月弱、環境悪化を懸念する多くの国民が高い削減量を求め、これを押しとどめたい産業界との間で綱引きが続きました。「8%減」は両者の中間をとったかにみえます。しかし6案全体がもともと偏っていました。日本経団連が要求した「4%増」は論外ですが、「7%減」も経済同友会の提言に盛り込まれた通り、産業界が進んで許容する枠内にあります。

決定は見直しを

 目的を見失った主張では国際交渉は乗り切れません。とりわけ今後の交渉では、中国やインドなど急速な経済拡大を進める途上国も参加できる枠組みをつくることが焦点の一つとなっています。先進国の責任を果たそうとしない日本の目標では、リーダーシップどころか交渉の障害になるだけです。

 日本共産党は、先進国の歴史的責任にたって、90年比30%削減を掲げるよう主張してきました。

 政府は決定を見直し、高い目標を設定し直すべきです。

(出所:日本共産党HP  2009年6月11日(木)「しんぶん赤旗」)

自然エネルギーの普及には?

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 〈問い〉 原発依存から抜け出す上でも、地球温暖化を防ぐためにも、自然エネルギーの普及が必要と思います。日本共産党は、自然エネルギーの普及のために何をするべきだと考えていますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 風力や太陽光・熱、地熱、小水力、波力や、あるいは畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、地域に固有の自然エネルギー源です。こうして得られる電気やガスを販売することで、地域に新たな収入が生まれ、地域経済の活性化にも貢献します。事業の成果や副産物を地元に還元し、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出す可能性ももっています。

 自然エネルギーの普及のためには、自然エネルギーの普及に取り組んでいる人たちの声を反映させ、意欲の出る制度に改善することが大事です。そのためには、導入目標を大幅に引き上げることが不可欠です。

 「新エネ利用特別措置法」では電力会社に、新エネルギーによる一定量の発電を義務付けていますが、その目標は、2010年でわずか1・35%にすぎません。同年までに、ドイツは自然エネルギーによる発電を10・3%、イギリスは9・3%、EU全体では12・5%、アメリカのカリフォルニア州では20%を目標としています。

 日本でも、小水力による発電実績は03年度で8・4億キロワット時に達しており、政府が10年度の小水力・地熱による発電目標とした数値(7億キロワット時)をすでに突破しており、小水力をはじめ自然エネルギーの開発可能性は十分あります。せめて発電量の10%程度を自然エネルギーによってまかなう目標に引き上げるべきです。

 固定価格による電力の買い取りも必要です。固定価格での買い取りは、デンマークやドイツ、スペインで実施されており、自然エネルギー普及に大きな効果があります。採算の見通しがたたず、事業化の障害になっています。初期の投資がかさむだけに、採算面で長期的な見通しがたってこそ、普及の意欲を引き出すことができます。

 日本の現状にあった研究開発を促進することや、エネルギー予算のゆがみをただして自然エネルギー促進のための財源の充実をはかることが求められます。(政)

(出所:日本共産党HP 2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」)

エネルギー事情が厳しくなっても原発に反対?

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〈問い〉 中国経済の成長などでエネルギー事情は逼迫(ひっぱく)してくると思います。共産党は原発に反対のようですが、今後もそうなのですか?(東京・一読者)

〈答え〉 エネルギーは経済・社会の存立の基盤であり、その供給確保は重要な課題です。日本のエネルギー政策で問題なのは、約7%という低い自給率なのに、その向上に真剣に取り組まず、技術的に未確立な原発を基本としていることです。安全優先と自給率向上へとエネルギー政策を根本的に転換することが必要です。

 原子力の発見は、新たなエネルギーを利用する可能性に道を開いたという意味で重要なものであり、日本共産党は、将来、安全な方法で原子力の平和利用が実現される可能性を否定するものではありません。しかし、いまある原発については、その危険性を踏まえ、段階的に撤退すべきだと考えています。

 原発は、もともと原子力潜水艦用の動力炉として開発されたものを、十分な安全性の保証がないまま発電用に転用したものです。そのため、原子炉内の放射性物質が大量に外部に放出される過酷事故の可能性、使用済燃料などの放射性廃棄物の処理・処分方法の未確立など、重大な問題を抱えています。

 また、日本では、原子力の安全規制行政を原発推進の経済産業省が担っています。推進機関から独立した規制機関の確立を求める国際原則に反するものであり、国民の安全に責任を果たすことができません。

 風力、太陽光・熱、地熱、小水力、波力、バイオマス(木くずや生ごみなど)といった自然エネルギーは、日本の国内に膨大な潜在量があります。政府資料をもとに評価しても、現在の年間電力使用量の十倍以上にのぼります(吉井英勝衆院議員の試算=注)。環境に配慮した自然エネルギー源の開発・活用に本格的に取り組むことが必要です。

 あわせて、地球温暖化など地球規模での環境問題を解決するためには、生産から消費まですべての面で浪費を排除し、利用効率も向上させ、省資源・省エネルギー社会をめざすことが求められます。(剛)

 自然エネルギーの潜在量 吉井英勝衆院議員の試算によれば、太陽光・風力・マイクロ水力・バイオマスの合計で11兆kW時。これは2002年度の年間電力消費量9447億kW時の11・6倍、原発2947億kW時の37倍。

(出所:日本共産党HP 2005年8月3日(水)「しんぶん赤旗」)
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地球温暖化対策ー自民党・公明党の推進する原子力発電を重視する対策ではなく自然エネルギー重視へ転換をー

2009-06-11 01:53:53 | 国内社会
主張
温室効果ガス削減
野心的な目標を掲げるべきだ

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 地球温暖化を防止するうえで決定的というべき国際交渉の期限が半年後に迫っています。年末に開かれる国連の会議(COP15)で、2020年までの温室効果ガスの排出削減目標(中期目標)が決められます。増加の一途をたどる世界の排出量を20年までに減少に転じ、大幅削減に踏み出すことが求められています。

 政府は近く日本の中期目標を決めます。途上国を含めた排出削減を進めるため、排出量の多い先進国には特別な責任があります。温暖化問題の原点に立ち戻り、野心的な目標を掲げるべきです。

低炭素社会に向け

 温暖化の影響について先週、二つの報告書が発表されました。

 現在の世界的影響についての研究は、排出責任のない貧しい国々を中心に毎年30万人以上が死亡し、3億2500万人が深刻な被害を受け、経済的損失は1250億ドル(約12兆円)と見積もっています。研究には国連機関や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、各国研究機関などの関係者が参加しています。代表のアナン前国連事務総長は排出削減の緊急性を強調し、「政治的指導力の弱さ」に警鐘を鳴らしています。

 いま一つは日本での影響予測で国立環境研究所などの研究機関や大学が参加しています。対策をとらなければ今世紀末には豪雨の増加による洪水や台風の強大化による高潮の被害、熱中症での死亡などでの経済的損失が毎年17兆円にのぼると予測しています。

 文字通り「低炭素社会」の実現が不可欠なことを示しています。ところが、中期目標についての政府の検討は科学的要請を踏まえない重大欠陥を抱えています。

 政府は中期目標の選択肢として、1990年比で20年に「4%増」から「25%減」までの6案を示しています。眼目をもっぱら産業界の負担を抑え「国際競争力」を確保することにおいています。日本経団連も政府の甘い姿勢を歓迎して、最も緩い目標(4%増)を支持するありさまです。

 選択基準を国際的「公平性」におき、人口1人あたりの温室効果ガス排出量などさまざまな「公平性」指標があるなかで、1トンあたりのCO2を削減するのに必要な費用で比較しています。「省エネ」が進んでいるとして日本の削減目標を小さくするためです。しかも費用分析にあたって、粗鋼生産量を増やし、輸送量も減らさないなど、経済のあり方を変えないことを条件にしています。

 こうした議論で国内外の世論を納得させることはできません。温暖化防止こそが対策の眼目だということを明確にすべきです。

責任果たしてこそ

 日本共産党は1年前に発表した見解で中期目標として30%削減を提案しています。そのために、政府が産業界に削減目標を明示した公的協定を義務づける、排出量に着目した環境税を導入する、自然エネルギー重視のエネルギー政策に抜本転換する、などの具体策を示しています。

 先進国は全体で25~40%の削減が必要です。日本の中期目標もそれに向けた指導力のあるものでなければなりません。さもなければ国際交渉への障害となり、世界との溝を深めるだけです。日本がその責任を果たしてこそ、途上国と手を携えることができます。

(出所:日本共産党HP 2009年6月4日(木)「しんぶん赤旗」)

主張
温暖化対策
自然エネルギー重視へ転換を

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 地球温暖化の最大の原因となっている二酸化炭素排出の9割を占めているのが、エネルギー利用による排出です。問題は、これをいかに減らすかです。

 政府、電力業界は、このために二酸化炭素排出の少ないことを口実に原発への依存を強める道をとろうとしています。しかし、これは大変危険な方向です。

原発の安全性は未確立

 原発は、技術的に未確立で安全性が確保されておらず、放射能汚染という別の重大な環境問題を引き起こします。したがって、政府のいうように、「低炭素エネルギーの中核」とはなりえません。

 1986年のチェルノブイリ原発事故(旧ソ連)では、深刻な放射能汚染が国境を越えて広がりました。使用済み核燃料など放射性廃棄物の処分方法も未確立です。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告も、原発には「安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題」があると指摘しています。

 温暖化対策で重視すべきは、原発の増設ではありません。太陽光、風力、バイオマスなど、安全で永続的に利用できる自然エネルギーの利用を抜本的に高めるべきです。

 自然エネルギーは、国内にも豊富に存在し、太陽光、風力だけで日本の総発電量の11倍、原発の発電量の36倍という潜在量があります。問題は、これを本格利用する政策をもつかどうかです。

 EU(欧州連合)は、2020年までに温室効果ガスの排出量を90年比で20%削減するために、自然エネルギーをエネルギー供給の20%にすることをめざしています。

 ドイツは、原発ではなく自然エネルギーを増やすことで、温暖化ガス排出量をすでに22%以上減らしました。自然エネルギーは、10年で約3倍に増え、電力の15%弱を担っています。20年にはこれを30%以上にする目標です。

 ところが日本では、原発が優先される一方で、自然エネルギーが不当に軽視されています。

 政府は、20年に非化石燃料で電力の5割以上をめざすとしていますが、そのほとんどは原発です。自然エネルギーは、電力の1割程度と、現状から若干増やすだけです。政府は、20年の温室効果ガス削減目標として、いくつかの案を検討していますが、いずれも原発の発電量を05年実績の1・4倍にすることを前提としています。

 エネルギー研究開発予算(07年度)でも、日本は65%が原子力で、自然エネルギーは5%にすぎません。ドイツは22%、イギリスは36%を自然エネルギーにあてています。日本政府の自然エネルギー軽視は世界でも際立っています。

欧米並みの目標と制度を

 自然エネルギーの普及には、政策的な対応が欠かせません。ドイツなどで成功している電力の固定価格買い取り制度の導入は、その重要なカギとなります。自然エネルギーによる電力を一定期間、決められた価格で電力会社が買い取る制度です。政府も世論に押され、これを導入するとしてはいますが、住宅用太陽光発電の余剰電力を対象にしているにすぎません。自然エネルギーによる全発電量を買い取りの対象とすべきです。

 欧米並みの目標と制度で、自然エネルギー利用を本格的に拡大する方向へ、エネルギー政策を転換するよう強く求めます。

(出所:日本共産党HP 2009年6月9日(火)「しんぶん赤旗」)

温室ガス削減
25%以下ありえない
中期目標 環境学会が声明

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 2020年までの温室効果ガス削減の中期目標を政府が決定するのを前に、日本環境学会(会長=畑明郎・大阪市大特任教授)はこのほど、「25%以下の削減目標は、科学的判断からはあり得ない」とする声明を発表しました。声明は、政府の中期目標の検討で「気候変動・地球温暖化の被害を最低限に抑えるという判断基準が軽視されている」と批判。目標設定は「国際的に共有されている科学的知見に基づいて」行うべきであり、25%以下では「日本の国際的信頼を失墜させる」と述べています。

 声明は、発電所や工場などが日本の排出の7割近くを占めるのに、政府の中期目標の議論では、それらの「削減対策がメインの議論にならなかった」とし、ここに大きな削減余地があると指摘しています。また一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率は1990年以降ほぼ横ばいであり、「適切な政策をとれば、飛躍的な普及が可能」だと強調しています。

 環境学会は13日午後に京都市・立命館大学で公開シンポ「地球温暖化防止―危険な未来を迎えないために」を開き、温暖化の現状、「温暖化懐疑論」、再生可能エネルギーの普及などについて専門家が議論します。

(出所:日本共産党HP 2009年6月4日(木)「しんぶん赤旗」)

温室ガス中期目標25~40%削減に
有識者136人が賛同

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 2020年までの温室効果ガス削減の中期目標を、政府が10日にも決定しようとしています。温暖化防止のための法律を作ろうと運動をすすめるメイク・ザ・ルールキャンペーン実行委員会は2日、衆院第2議員会館内で記者会見し、20年に1990年比で25~40%削減の中期目標の設定を訴えるキャンペーンに、大学学長ら136人の有識者が賛同・応援したことを発表しました。

 賛同を表明した植田和弘・京都大学教授、明日香壽川・東北大学教授、佐和隆光・立命館大学大学院教授らが会見に出席。植田教授は、「(政府は)補正予算で日本版グリーンニューディール政策を入れたと言っているが、中身は産業界を救済するもの。低炭素社会に移行するための基盤整備にこそ金を出すことが大事だ」と批判しました。明日香教授は「日本は小国ではない。(温室効果ガスの)排出量でも世界で第4位。先進国としての責任を果たさなければならない」とのべました。

 同キャンペーンが独自に行った世論調査(約千人を対象)の結果も公表。政府が選択肢として示した中期目標案(90年比「4%増」から「25%減」の6案)について、6割以上の市民が25%以上の削減目標を支持しています。

 温室効果ガスを20年までに同30%削減するなどを求めた署名が、これまでに12万3295人分、国会に提出されたことを報告しました。

 日本共産党の吉井英勝衆院議員ら、与野党4党の国会議員が出席。吉井議員は「みなさんとともに頑張っていきたい」とあいさつしました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月3日(水)「しんぶん赤旗」)

中期目標
温室ガス30%削減に
市田書記局長 政府の姿勢批判

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 日本共産党の市田忠義書記局長は8日、国会内で記者会見し、近く日本政府が決定する2020年までの温室効果ガス排出量の中期削減目標として、国際交渉に通用しない低い目標が検討されていることについて、「先進国日本の歴史的な責任として、1990年比で30%の削減を決定するよう求める」と強調しました。

 市田氏は、1日からドイツのボンで始まった地球温暖化対策についての国連特別作業部会の会議では90年比25~40%減などの大きい目標が議論されているにもかかわらず、日本政府は「4%増」から「25%減」という、世界に到底通用しない低い目標案を検討していることを厳しく批判しました。そして、「背景には、日本経団連や日本鉄鋼連盟などが、低い削減目標を合理化する新聞全面広告を2度にわたって出すなど、強硬に足を引っ張っていることがある」と指摘しました。

 市田氏は、「『4%増』案は、新たな努力は何もしないという選択だ。『7%減』案も、生産量の調整や省エネで削減できる量として産業界の言い分に基づくデータで試算されたもので、科学的でも野心的でもない」と述べ、「産業界言いなりでは『世界の笑いもの』になり、先進国としての指導性も発揮できない」と強調。政府や産業界が「温暖化対策をやると負担増となる」などと国民を脅していることについては、「温暖化対策をとらないことで、(環境省の予測でも)洪水・高潮・熱中症などで年間約17兆円も負担が増えることを直視すべきだ。人類と地球の存続がかかっている問題だ」と反論しました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月9日(火)「しんぶん赤旗」)

プルサーマル推進批判
吉井議員 非化石エネ法案で追及
衆院委

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 日本共産党の吉井英勝議員は5日、衆院経済産業委員会で非化石エネルギー関連二法案(エネルギー供給構造高度化法案と石油代替エネルギー法改定案)について質問しました。

 吉井氏は二階俊博経産相が3日の趣旨説明で非化石エネルギーの中に「原子力などを含む」と述べたことをとりあげ、法案は「再生可能エネルギーの推進ではなく、非化石エネルギーの名で『原発推進』『プルサーマル推進』が大きな狙いだ」と指摘しました。

 吉井氏が法案での太陽光発電以外の再生可能エネルギー(風力、小水力発電、間伐材を使ったバイオマス利用や農畜産廃棄物等によるメタン、バイオエタノールなど)による電力の固定価格買い取り制度の有無をただしたのに対し、石田徹資源エネルギー庁長官は太陽光以外は対象ではないと答弁しました。

 現在、電気料金には電源開発促進税が含まれており、利用者が合計毎年、約3500億円を負担。主に原発の促進に使われています。吉井氏は太陽光発電など再生可能エネルギーを爆発的に増やすためには、「この3500億円ある財源を活用すべきだ。そのことが二酸化炭素の排出抑制にも新しい産業にもつながっていく」と強調しました。

 二階経産相は「地球温暖化対策の観点から原子力発電の推進がきわめて重要。電源開発促進税は原子力発電に重点を当てていく」とのべ、原発推進の立場に固執しました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月6日(土)「しんぶん赤旗」)

プルサーマル計画延期
電事連、経産省などに報告

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 電気事業連合会は5日、核燃料サイクル施設が集まる青森県や経済産業省、原子力委員会に対し、「2010年度までに16~18基」で実施するとしていたプルサーマル計画を見直し、目標達成時期を延期する方針を正式に報告しました。月内にも見直しの検討結果をまとめ、公表するとしています。

 計画の遅れにより、同県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場の活用にも影響を及ぼします。このため、電事連幹部の説明を受けた後、同県の蝦名武副知事は記者団に対し「極めて遺憾」と計画見直しに不満を表明しました。

 現行計画は1997年に策定しましたが、計画は大幅に遅れています。九州、四国、中部の3電力は今秋から順次、各1基でプルサーマルを始める予定ですが、そのほかでは国の認可、地元了解ともに取り付けたのは4基にとどまっています。国の原子力委員会も計画と実際の進行状況の違いを指摘。電事連は各電力会社と協議し、計画を見直す方針を決めました。

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解説
背景に国民の強い反対

 現在の原発(軽水炉型原発)でプルトニウムを燃料に使用するプルサーマル計画は、政府の核燃料サイクル政策に基づいています。もともと、原発での使用済み核燃料から再処理で取り出したプルトニウムは高速増殖炉で使う計画でした。

 ところが、高速増殖炉は未解決の技術的な問題が多く、経済的にもなりたたないとして各国とも開発を断念。日本で開発を進めていた「もんじゅ」も、1995年にナトリウム漏れ・火災事故を起こして計画が破たんしました。

 再処理で取り出したプルトニウムの使い道に困った国の原子力委員会は97年、プルサーマル計画推進を決定しました。それを受けて電力業界が決めたのが別表の実施計画です。

 この実施計画通りであれば、これまでに少なくとも9基の原発でプルサーマルが実施されているはずでした。しかし、これまで1基も実施されていません。

 当初の計画通り進まなかった背景に、原発の危険を拡大させるプルサーマルへの国民的な強い反対があります。このことを象徴するのが、2001年に新潟県刈羽村で行われたプルサーマルの是非を問う住民投票でした。住民投票の結果、反対が多数を占め、東京電力が予定していた柏崎刈羽原発でのプルサーマルは断念されました。

 原発での事故や不祥事も、プルサーマル実施を阻みました。関西電力が英国で製造していたプルサーマル用のMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料のデータねつ造が相次いで発覚、プルサーマル実施を延期せざるをえませんでした。

 東京電力の大規模な事故隠し、美浜原発(関西電力)での11人死傷事故もプルサーマル実施に待ったをかけました。

 5月にMOX燃料が搬入された浜岡原発(中部電力)、玄海原発(九州電力)、伊方原発(四国電力)でも、プルサーマル実施には住民の反対運動が起きています。

 原発の危険を拡大するプルサーマルは、延期などではなく、根本から見直しをすべきです。(前田利夫)

(出所:日本共産党HP 2009年6月6日(土)「しんぶん赤旗」)

CO2削減明確に
非化石エネルギー関連2法案 共産党が修正案

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 石油や石炭など化石エネルギー以外のエネルギー源の利用促進に向けた「非化石エネルギー関連2法案」の審議が現在、衆議院で行われています。

 日本共産党国会議員団は9日、二酸化炭素(CO2)の排出量大幅削減を明確にすることなどの修正案をまとめて各党に提示するとともに、吉井英勝衆院議員が国会内で記者会見し、その内容を明らかにしました。太陽光発電で発電した電気を電力会社が買い取ることを法律で義務付けることなどを盛り込んでいます。

 この法案は、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案」と、「石油代替エネルギーの開発及び導入に関する法律の一部改正案」です。

 吉井議員は、今年末にデンマークのコペンハーゲンで開かれる「気候変動枠組み条約における締約国会議(COP15)」に向け、日本が二酸化炭素削減にどのような目標を掲げ、産業や社会の構造を変えていくかが問われているとのべました。今回の2法案では、化石エネルギーから太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーへの転換をはかり、二酸化炭素の大幅削減を明確化することが重要だと強調しました。

 そのうえで、法律の名称に非化石エネルギーが使われている点について、原発推進の口実として使われる公算が大きいと指摘。太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの開発と利用を促進するために、名称を再生可能エネルギーに変える必要があると提案しました。さらに、法律の目的をはっきりさせるため、第1条に「エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素の排出量の削減」をはかることを加えるよう求めました。

 また、日本共産党が温室効果ガス排出量を1990年比で30%削減するよう求めていることを紹介。そのためには、再生可能エネルギーの爆発的普及が必要だとして、太陽光に限らずすべての種類の再生可能エネルギーから得られる電気を電気事業者が買い取る制度を創設することを法律に明記するよう、提案していると説明しました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」)
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都道府県などが認可した医療機関が実施する無料低額診療事業制度ー人間なら誰でも医療受けられますー  

2009-05-12 00:58:04 | 国内社会
列島だより
お金なくても 保険証なくても 外国籍でも ホームレスでも
医療受けられます (^^)v
無料低額診療 広がる

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積極広報で申請急増
■北海道

 北海道勤労者医療協会(道勤医協)は、無料低額診療制度を活用して弱者のために必要な医療を受けられるよう取り組みを強めています。

 「インターネットで勤医協の無料低額診療制度を見つけ、わらをもつかむ思いで電話しました」―二月、勤医協札幌西区病院に患者の妻から電話相談がありました。「夫が四〇度近く熱がでて、ほかの病院に相談しましたが保険証がないので断られました。収入も少なく困っていました」

 夫は受診の翌日に入院、心臓疾患が見つかり急きょ、同中央病院へ転院しました。

 道勤医協は一九四九年の設立以来、「お金のあるなしで命が差別されてはならない」との姿勢を貫いてきました。札幌、苫小牧、室蘭など道央圏で病院、診療所を運営し、民法に基づく公益法人として二〇〇四年から無料低額診療を行ってきました。〇八年には、札幌市内五病院・診療所が市に事業開始を申請し、認可されました。

 好評なのは制度を積極的に活用してもらおうと作製したポスターやリーフレット、ワッペン。医師や職員がつけたワッペンを見た患者から「これは何ですか」と聞かれ対話になったり、訪問した学校では「こんないい制度があるんですか」と養護教諭だけでなく、校長や教頭からも歓迎されました。道社会福祉協議会では「五月には全道事務局長会議があるので制度の説明をしてほしい」と要望されました。

 西区病院の行沢剛医療福祉課長は「〇七年二件だった申請が昨年は五十件、今年も急増しています。若い人の利用が増えています」といいます。

 派遣で月二十日間働いていた二十代後半の女性が、十二月から五日間になり収入が激減。女性は「熱が数日続いています。ほかの病気も心配」と来院、検査料がかかるので医師に相談し、制度利用を申請しました。

 道勤医協本部の柏原伸広組織広報部長は「安心してかかれる医療をめざして、大いに利用を呼びかけていきたい」と語っていました。(北海道・土田浩一)

「いのちの平等」掲げ
■兵庫

 兵庫県の尼崎医療生活協同組合(船越正信理事長)は、社会福祉法にもとづいて、無料低額診療事業を三月一日から開始しました。「いのちの平等」を掲げてきた尼崎医療生協は、これまでも個室であっても「差額ベッド料」を徴収せずに運営してきました。

 尼崎市民の暮らしは、国民健康保険の滞納世帯が43%を超え、生活保護率も高く、昨年度の児童生徒就学援助認定率は、小学校で25・6%、中学校で31・3%、全体で27・3%になるなど、深刻さを増しています。

 尼崎医療生協病院も各診療所も、治療を「中断」した患者さん、気になる患者さんの訪問を強めていますが、となりの人に引っ越し先をいわずに転居したり、「手持ちのお金がないから」と受診をためらっている人も増えており、窓口負担の心配をせずに受診できる制度の導入は緊急の課題となっていました。

 事業開始から四月中旬までに二十一世帯三十二人が適用されました。「わずかな国民年金だけの生活。『葬儀代』にと残している預金があるので生活保護が受けられなかった。助かります」「糖尿病の治療費が払えないため、受診していなかった。これで毎月通院できます」などと制度適用を喜んでいます。

 同事業を開始したことにより治療の中断対策につながっています。尼崎市保護課からは「生活保護を適用したので診療をお願いしたい」などと、十件を超える紹介があります。

 無料低額診療事業を開始したのは、尼崎医療生協病院、あおぞら生協クリニック、戸ノ内診療所、潮江診療所、東尼崎診療所、長洲診療所、ナニワ診療所、本田診療所、萌クリニック、生協歯科、戸ノ内歯科診療所です。(尼崎医療生協・粕川實則)

どんな制度なの?

 無料低額診療事業は、生計困難者が経済的な理由で必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう無料または低額な料金で病院にかかれる制度で、生活に困り医療費の支払いができない人や、保険証をもっていない人、ホームレスの人、外国籍の人も対象になります。都道府県などの認可を受けた医療機関が実施できます。

 この事業を実施している道勤医協では、窓口での一部負担金免除の基準として、(1)全額免除は一カ月の収入が生活保護基準のおおむね120%以下(一部免除は140%以下)と定め、(2)患者からの申し出や患者の生活困窮を職員が知った場合に医療相談員が面談し、公的制度などを検討したうえで、適用の判定をすることにしています。この制度は生活が改善するまでの一時的な措置であり、無料診療の場合は健康保険の加入または、生活保護開始までの原則一カ月、最大三カ月を基準に運用しています。

 「患者になれない病人」が急増する中、同制度は全国で二百六十三の医療機関しか実施していません(二〇〇六年厚労省調べ)。厚生労働省は「社会情勢等の変化に伴い、必要性が薄らいでいる」と同事業開始に抑制方針を取ってきましたが、〇八年、日本共産党の小池晃参院議員が指摘し、「各自治体は医療機関から申請があれば受理しなければならない」との答弁を引き出しました。「申請があれば受け付ける」などいくつかの地域で積極的な対応が生まれています。

 本来「お金の有る無し」にかかわらず医療を受ける権利を有することが憲法二五条の精神ですが、今の医療制度のもとで、セーフティーネットとして無料低額診療事業の拡充は最低限の課題です。(室田弘・全日本民医連事務局次長)

(出所:日本共産党HP 2009年5月11日(月)「しんぶん赤旗」)
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