保育所
国は最低基準守れ
山下議員追及 “今以上の詰め込みに”
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日本共産党の山下芳生議員は17日の参院総務委員会で、新政権が進めようとしている保育所の最低基準引き下げ問題を取り上げ、基準をゆるめたり、引き下げることは絶対にあってはならないと原口一博総務相に強く要求しました。
山下氏は、国が決める保育施設の面積などの「最低基準」は、「全国どの地域でも、子どもたちが健やかに発達・成長できる環境を保障するために必要な最低基準だ」とただしました。
原口総務相は、最低基準の見直しは「地域主権」に基づいて、「国と地方自治体の役割分担を見直すもの。(地域が基準を)上書きをする権利」だと説明しました。
これに対し、山下氏は、現在の児童福祉法でも「地域の自主性は保障されている」と指摘し、「地域主権にしなければよりよいものができないというのは、おかしい」と批判しました。
山下氏は、面積基準(子ども1人あたりに必要な部屋の広さ)が緩和されれば「真っ先に起こるのは、保育所の新設ではなく、既存の保育所に今以上に子どもを詰め込むことだ」と指摘。自公政権下で待機児童対策として実施された「定員の弾力化」で、大阪府では、1万人近い子どもが定員を超えて「詰め込まれている」と資料を示し、「長妻厚生労働相にも、(基準引き下げを)やめよというべきではないか」と追及しました。
原口総務相は、「(地方の)財政が苦しくなっているなか、(詰め込みが)起こる可能性がある」と認めつつ、「(地域が)ルールを自分で決めた方が守る」などと強弁しました。
山下氏は、「下がることも地域が責任をもって決めればいい、と聞こえる」と国の責任放棄を批判しました。
(出所:日本共産党HP 2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」)
保育所死亡事故49件
無認可30 認可19
04年以後 厚労省が初めて公表
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厚生労働省は8日までに、2004年4月から09年11月までの間に保育施設で起きた死亡事故の件数と特徴などをまとめ、発表しました。国がこうした統計を公表するのは初めて。死亡事故急増の事実を指摘した「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)の要請や、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問(11月19日)を受け、まとめたものです。
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厚労省のまとめによると、認可保育所での事故は19件で、発生場所は園内13件、園庭2件、園外4件となっています。具体的には「廊下に置いてあった本棚の中で熱中症で死亡」「園庭で育てていたプチトマトを食べ窒息死」「園舎屋根からの落雪により死亡」などの事例がありました。
認可外保育施設での事故は30件で、園内28件、園外2件となっています。「浴室で溺(でき)死」「園外保育中の交通事故で死亡」「午睡中の死亡」などの事例があったとしています。
死亡児の年齢は、認可は0歳児、1歳児、2歳児が各4人(21・1%)で一番多く、認可外では0歳児が19人(57・6%)で最多でした。
この結果について長野県立こども病院の田中哲郎副院長は「保育施設における事故の発生要因を分析し、関係者で検討し、防止策を講じ、全国の保育現場に周知することこそ重要」と語っています。
保育施設での死亡事故をめぐっては11月20日、遺族などでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」が、1962年以降に発生した死亡事故240件を分析した結果を発表。認可保育所への園児の詰め込みが進んだ2001年度以降、認可での死亡事故が急増していることに警鐘を鳴らし、政府に調査を求めていました。
「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫副会長は「厚労省はもっと前からの数字もつかんでいるはずなのに、04年以後の数字だけを発表したことには納得がいかない。規制緩和と死亡事故増加との因果関係を、国は責任を持って検証すべきだ」と話しています。
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規制緩和の撤回を
小池晃参院議員が談話
保育所での死亡事故の実態を明らかにするよう、私も国会で要求してきました。
今回公表された数字は、保育所の環境が子どもの生命や安全にどれほど重大な影響を与えるかを、改めて示しています。保育所の最低基準の引き下げなどの規制緩和は、子どもの安全を危険にさらすものであり、撤回すべきです。
無認可保育所での事故が際立って多く、早急な対策が必要です。同時に、安全が担保されているはずの認可保育所でも事故がこれだけあるという事実を重く受け止めるべきです。
政府は、これ以前の数字も公表し、2001年以来の保育所の規制緩和が、どのような被害をもたらしたかを検証すべきです。
(出所:日本共産党HP 2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」)
保育制度改悪(上)
検討でみえた問題点
公的責任の後退明らか
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保育制度改悪を検討している社会保障審議会少子化対策特別部会(大日向雅美部会長)は、その下におかれた二つの専門委員会で新しい保育制度の具体的な設計をすすめてきました。厚労省は、これまでの主な議論をまとめた論点整理を、9日の少子化対策特別部会に示す予定です。保育制度をめぐる議論は大詰めを迎えています。
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論点整理では、厚労省のめざす新制度が全体的に明らかになっています。
今年2月の「第1次報告」は、保護者や保育関係者の強い批判を受けて、多くの論点をあいまいにしたまま、「公的責任は後退させない」とくり返し明言して取りまとめにこぎつけたものでした。
しかしこの間の議論と論点整理を見ると、公的責任後退の点でも、「直接契約」や「応益負担」などの仕組みでも、当初の計画どおりに制度改悪をすすめるものとなっています。
「直接契約」へ
新制度では、市町村は保育所の入所に責任を負わず、保育希望者に対して、保育の必要性と量、優先度を認定するだけとなります。
個人が保育所と「公的保育契約」を結ぶとして「公的」性格を強調しますが、利用者が自分で保育所を探して契約する「直接契約」制度であることに違いはありません。
保育所探しが大変になるという指摘をうけて厚労省は、待機児童が多い市町村では、自治体または新たに連絡協議会などの組織を設けて調整することを提案しました。
市町村がやるのでは今までと変わらないという意見や、別組織でやる場合、個人情報保護や公平性の面で問題があるという意見、低所得世帯や障害児が排除されないために調整する組織が必要などの意見が出されています。
利用者の利便性、公平性からも、申し込みから入所まで市町村が責任をもつ現行制度が最も優れているのは明らかです。
「応益負担」へ
保育時間では、現在はどの子も、保育所が開いている範囲内で柔軟な対応が可能ですが、今後は保護者の就労状況に応じて、あらかじめ利用できる保育時間が決められます。
1日では「長時間」(11時間程度)と「短時間」(6時間程度)、週当たりでは「週3日以上」と「週2日」に区分することが提案されています。3歳児以上は幼児教育の観点から週の利用日数に上限は設けない方向です。
利用条件がさまざまな子どもが混在するため、保育士が子どもの出入りを掌握することに追われ、集団としての保育が難しくなります。また職員の安定的な雇用が困難になることが懸念されます。
現在は所得に応じて決まる保育料が、「応益負担」つまり利用時間に応じた保育料になります。「保育が必要」と認められた量を超える保育や、土曜日の保育も週5日を超えれば、別料金となる考えが示されました。
国が決める利用者負担の水準によっては、長時間働かざるを得ない中・低所得者の負担が増大します。(つづく)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)
(出所:日本共産党HP 2009年12月7日(月)「しんぶん赤旗」)
保育制度改悪(下)
検討でみえた問題点
認可園の拡充こそ
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直接契約方式
新制度では、自治体が保育を直接実施する責任がなくなり、利用者と保育所との契約が出発点とされています。
保育料も保育所が徴収する方向が示されています。保育所は、利用者から集める保育料と利用実績に応じた補助金で運営するため、経営がその時々の利用状況に左右され不安定になります。
保育料滞納への対応は、保育所と利用者にとって大きな問題となります。自治体が何らか関与することも検討されていますが、未納世帯の子が退所を迫られたり、未納につながりやすい低所得世帯が敬遠される事態が生まれる危険があります。
企業参入促す
待機児童解消をうたう新制度が目玉としているのは、保育サービスの量を確保するため、客観的な基準を満たした事業者はすべて参入を認めるという指定制度の導入です。これまでは都道府県が認可した保育所によって保育の質と安定性を保ってきましたが、新制度では、自由に事業者が参入でき、1カ月前に届けるなどで撤退も自由の仕組みになります。
保育所への補助金(運営費)の使い道も、現在は、その保育所の運営費用にあてることが原則とされ、制限されています。これを撤廃して、本社が利潤を回収したり、株主配当や他事業につぎ込むことを可能にしたりすることは、財界の強い要求でした。
新制度では、運営費の使途に一定の規制は必要としながらも、専門委員会で反対意見が多く出た株主配当の容認もふくめて、現状よりかなり緩和する方向で検討されています。
保育の質低下
厚労省は、「指定」は国が定める最低基準を満たすことが条件だとし、保育の質は下げないと繰り返し説明してきました。
しかし11月に長妻昭厚生労働相が示した方針では、都市部で保育室の面積基準の引き下げを認めるとともに、全国的に園庭や医務室の設置、耐火基準や避難設備の最低基準も撤廃して地方にまかせる方向です。
制度改悪の議論と時期を同じにして、基準引き下げの方向が出されてきたのは偶然ではありません。保育制度の見直しは、営利企業の参入をすすめることが大きな狙いです。それには、企業が自由にもうけをあげられる仕組みにすることと、基準をできるだけ引き下げて参入を簡単にすることが不可欠だからです。
保育がもうけの場になることで、保育条件の低下とともに、親と保育所との関係に、お金でサービスを売り買いすることによるゆがみが持ち込まれる懸念もあります。
今回の保育制度の改悪は、自公政治がすすめた社会保障の「構造改革」路線をそのまま保育に持ち込もうとするものです。約4カ月にわたり専門委員会で検討されてきましたが、当初から保護者や保育関係者が指摘してきた問題点は何も改善されていません。
制度改悪と最低基準の緩和をただちにストップし、認可保育所の大幅な増設で待機児童解消を図るよう求める声と運動を大きくひろげることが求められています。(おわり)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)
(出所:日本共産党HP 2009年12月8日(火)「しんぶん赤旗」)
国は最低基準守れ
山下議員追及 “今以上の詰め込みに”
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日本共産党の山下芳生議員は17日の参院総務委員会で、新政権が進めようとしている保育所の最低基準引き下げ問題を取り上げ、基準をゆるめたり、引き下げることは絶対にあってはならないと原口一博総務相に強く要求しました。
山下氏は、国が決める保育施設の面積などの「最低基準」は、「全国どの地域でも、子どもたちが健やかに発達・成長できる環境を保障するために必要な最低基準だ」とただしました。
原口総務相は、最低基準の見直しは「地域主権」に基づいて、「国と地方自治体の役割分担を見直すもの。(地域が基準を)上書きをする権利」だと説明しました。
これに対し、山下氏は、現在の児童福祉法でも「地域の自主性は保障されている」と指摘し、「地域主権にしなければよりよいものができないというのは、おかしい」と批判しました。
山下氏は、面積基準(子ども1人あたりに必要な部屋の広さ)が緩和されれば「真っ先に起こるのは、保育所の新設ではなく、既存の保育所に今以上に子どもを詰め込むことだ」と指摘。自公政権下で待機児童対策として実施された「定員の弾力化」で、大阪府では、1万人近い子どもが定員を超えて「詰め込まれている」と資料を示し、「長妻厚生労働相にも、(基準引き下げを)やめよというべきではないか」と追及しました。
原口総務相は、「(地方の)財政が苦しくなっているなか、(詰め込みが)起こる可能性がある」と認めつつ、「(地域が)ルールを自分で決めた方が守る」などと強弁しました。
山下氏は、「下がることも地域が責任をもって決めればいい、と聞こえる」と国の責任放棄を批判しました。
(出所:日本共産党HP 2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」)
保育所死亡事故49件
無認可30 認可19
04年以後 厚労省が初めて公表
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厚生労働省は8日までに、2004年4月から09年11月までの間に保育施設で起きた死亡事故の件数と特徴などをまとめ、発表しました。国がこうした統計を公表するのは初めて。死亡事故急増の事実を指摘した「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)の要請や、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問(11月19日)を受け、まとめたものです。
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厚労省のまとめによると、認可保育所での事故は19件で、発生場所は園内13件、園庭2件、園外4件となっています。具体的には「廊下に置いてあった本棚の中で熱中症で死亡」「園庭で育てていたプチトマトを食べ窒息死」「園舎屋根からの落雪により死亡」などの事例がありました。
認可外保育施設での事故は30件で、園内28件、園外2件となっています。「浴室で溺(でき)死」「園外保育中の交通事故で死亡」「午睡中の死亡」などの事例があったとしています。
死亡児の年齢は、認可は0歳児、1歳児、2歳児が各4人(21・1%)で一番多く、認可外では0歳児が19人(57・6%)で最多でした。
この結果について長野県立こども病院の田中哲郎副院長は「保育施設における事故の発生要因を分析し、関係者で検討し、防止策を講じ、全国の保育現場に周知することこそ重要」と語っています。
保育施設での死亡事故をめぐっては11月20日、遺族などでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」が、1962年以降に発生した死亡事故240件を分析した結果を発表。認可保育所への園児の詰め込みが進んだ2001年度以降、認可での死亡事故が急増していることに警鐘を鳴らし、政府に調査を求めていました。
「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫副会長は「厚労省はもっと前からの数字もつかんでいるはずなのに、04年以後の数字だけを発表したことには納得がいかない。規制緩和と死亡事故増加との因果関係を、国は責任を持って検証すべきだ」と話しています。
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規制緩和の撤回を
小池晃参院議員が談話
保育所での死亡事故の実態を明らかにするよう、私も国会で要求してきました。
今回公表された数字は、保育所の環境が子どもの生命や安全にどれほど重大な影響を与えるかを、改めて示しています。保育所の最低基準の引き下げなどの規制緩和は、子どもの安全を危険にさらすものであり、撤回すべきです。
無認可保育所での事故が際立って多く、早急な対策が必要です。同時に、安全が担保されているはずの認可保育所でも事故がこれだけあるという事実を重く受け止めるべきです。
政府は、これ以前の数字も公表し、2001年以来の保育所の規制緩和が、どのような被害をもたらしたかを検証すべきです。
(出所:日本共産党HP 2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」)
保育制度改悪(上)
検討でみえた問題点
公的責任の後退明らか
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保育制度改悪を検討している社会保障審議会少子化対策特別部会(大日向雅美部会長)は、その下におかれた二つの専門委員会で新しい保育制度の具体的な設計をすすめてきました。厚労省は、これまでの主な議論をまとめた論点整理を、9日の少子化対策特別部会に示す予定です。保育制度をめぐる議論は大詰めを迎えています。
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論点整理では、厚労省のめざす新制度が全体的に明らかになっています。
今年2月の「第1次報告」は、保護者や保育関係者の強い批判を受けて、多くの論点をあいまいにしたまま、「公的責任は後退させない」とくり返し明言して取りまとめにこぎつけたものでした。
しかしこの間の議論と論点整理を見ると、公的責任後退の点でも、「直接契約」や「応益負担」などの仕組みでも、当初の計画どおりに制度改悪をすすめるものとなっています。
「直接契約」へ
新制度では、市町村は保育所の入所に責任を負わず、保育希望者に対して、保育の必要性と量、優先度を認定するだけとなります。
個人が保育所と「公的保育契約」を結ぶとして「公的」性格を強調しますが、利用者が自分で保育所を探して契約する「直接契約」制度であることに違いはありません。
保育所探しが大変になるという指摘をうけて厚労省は、待機児童が多い市町村では、自治体または新たに連絡協議会などの組織を設けて調整することを提案しました。
市町村がやるのでは今までと変わらないという意見や、別組織でやる場合、個人情報保護や公平性の面で問題があるという意見、低所得世帯や障害児が排除されないために調整する組織が必要などの意見が出されています。
利用者の利便性、公平性からも、申し込みから入所まで市町村が責任をもつ現行制度が最も優れているのは明らかです。
「応益負担」へ
保育時間では、現在はどの子も、保育所が開いている範囲内で柔軟な対応が可能ですが、今後は保護者の就労状況に応じて、あらかじめ利用できる保育時間が決められます。
1日では「長時間」(11時間程度)と「短時間」(6時間程度)、週当たりでは「週3日以上」と「週2日」に区分することが提案されています。3歳児以上は幼児教育の観点から週の利用日数に上限は設けない方向です。
利用条件がさまざまな子どもが混在するため、保育士が子どもの出入りを掌握することに追われ、集団としての保育が難しくなります。また職員の安定的な雇用が困難になることが懸念されます。
現在は所得に応じて決まる保育料が、「応益負担」つまり利用時間に応じた保育料になります。「保育が必要」と認められた量を超える保育や、土曜日の保育も週5日を超えれば、別料金となる考えが示されました。
国が決める利用者負担の水準によっては、長時間働かざるを得ない中・低所得者の負担が増大します。(つづく)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)
(出所:日本共産党HP 2009年12月7日(月)「しんぶん赤旗」)
保育制度改悪(下)
検討でみえた問題点
認可園の拡充こそ
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直接契約方式
新制度では、自治体が保育を直接実施する責任がなくなり、利用者と保育所との契約が出発点とされています。
保育料も保育所が徴収する方向が示されています。保育所は、利用者から集める保育料と利用実績に応じた補助金で運営するため、経営がその時々の利用状況に左右され不安定になります。
保育料滞納への対応は、保育所と利用者にとって大きな問題となります。自治体が何らか関与することも検討されていますが、未納世帯の子が退所を迫られたり、未納につながりやすい低所得世帯が敬遠される事態が生まれる危険があります。
企業参入促す
待機児童解消をうたう新制度が目玉としているのは、保育サービスの量を確保するため、客観的な基準を満たした事業者はすべて参入を認めるという指定制度の導入です。これまでは都道府県が認可した保育所によって保育の質と安定性を保ってきましたが、新制度では、自由に事業者が参入でき、1カ月前に届けるなどで撤退も自由の仕組みになります。
保育所への補助金(運営費)の使い道も、現在は、その保育所の運営費用にあてることが原則とされ、制限されています。これを撤廃して、本社が利潤を回収したり、株主配当や他事業につぎ込むことを可能にしたりすることは、財界の強い要求でした。
新制度では、運営費の使途に一定の規制は必要としながらも、専門委員会で反対意見が多く出た株主配当の容認もふくめて、現状よりかなり緩和する方向で検討されています。
保育の質低下
厚労省は、「指定」は国が定める最低基準を満たすことが条件だとし、保育の質は下げないと繰り返し説明してきました。
しかし11月に長妻昭厚生労働相が示した方針では、都市部で保育室の面積基準の引き下げを認めるとともに、全国的に園庭や医務室の設置、耐火基準や避難設備の最低基準も撤廃して地方にまかせる方向です。
制度改悪の議論と時期を同じにして、基準引き下げの方向が出されてきたのは偶然ではありません。保育制度の見直しは、営利企業の参入をすすめることが大きな狙いです。それには、企業が自由にもうけをあげられる仕組みにすることと、基準をできるだけ引き下げて参入を簡単にすることが不可欠だからです。
保育がもうけの場になることで、保育条件の低下とともに、親と保育所との関係に、お金でサービスを売り買いすることによるゆがみが持ち込まれる懸念もあります。
今回の保育制度の改悪は、自公政治がすすめた社会保障の「構造改革」路線をそのまま保育に持ち込もうとするものです。約4カ月にわたり専門委員会で検討されてきましたが、当初から保護者や保育関係者が指摘してきた問題点は何も改善されていません。
制度改悪と最低基準の緩和をただちにストップし、認可保育所の大幅な増設で待機児童解消を図るよう求める声と運動を大きくひろげることが求められています。(おわり)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)
(出所:日本共産党HP 2009年12月8日(火)「しんぶん赤旗」)