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山口・光の母子殺害:弁護団賠償請求訴訟 橋下知事に賠償命令--広島地裁

2008-10-03 02:24:55 | 民事裁判
山口・光の母子殺害:弁護団賠償請求訴訟 橋下知事に賠償命令--広島地裁

 ◇「懲戒」扇動は違法 テレビ発言「弁護団に支障」
 山口県光市の母子殺害事件(99年)を巡り、橋下徹弁護士(現・大阪府知事)のテレビ番組での発言で懲戒請求が殺到し業務に支障が出たなどとして、被告の元少年の弁護士4人(広島弁護士会)が計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、広島地裁であった。橋本良成裁判長は「発言と懲戒請求との間に因果関係があることは明らか」として橋下氏に原告1人当たり200万円、計800万円の支払いを命じた。橋下氏は控訴する方針。

 視聴者の行為を促した発言が違法と認定されたことで、今後の番組制作や出演者のコメントに影響を与える可能性もある。

 判決によると、橋下氏は昨年5月放送の情報バラエティー番組「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)で光市事件の弁護団を批判。事件の動機が「失った母への恋しさからくる母胎回帰によるもの」などとした弁護活動に対して、「許せないって思うんだったら一斉に弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」などと発言し、4人に計2500件以上の懲戒請求が届いた。

 原告側は「発言は名誉棄損に当たり、裏付けのない理由で不特定多数の視聴者に対して懲戒請求を扇動する行為は違法」などと主張。橋下氏側は「懲戒請求は(請求者の)自発的意志に基づくもの」として発言との因果関係を否定していた。

 判決は、発言と損害の因果関係について「番組放送前に0件だった原告への懲戒請求が放送後に急増したのは、発言が視聴者に懲戒請求を勧めたためと認定できる」と指摘。「弁護団が元少年の主張を創作したとする証拠はなく、橋下氏の憶測に過ぎない」などと発言は違法と断じた。

 日弁連によると、弁護団メンバーに対し07年末までに計8095件の懲戒請求があったが、各弁護士会は「適正な刑事弁護」として懲戒しないことを議決している。【矢追健介】

 ◇法解釈誤っていた--橋下徹弁護士(大阪府知事)の話
 大変申し訳ございません。私の法解釈が誤っていた。裁判の当事者のみなさん、被告人、ご遺族に多大な迷惑をおかけした。

 ◇刑事弁護に理解--原告弁護団の児玉浩生弁護士の話
 我々の主張が全面的に認められた。裁判所に刑事弁護での弁護士の役割を理解してもらえた。

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 ◇判決骨子◇
◆名誉棄損にあたるか

 懲戒請求を呼びかける発言は、原告の弁護士としての客観的評価を低下させる

◆懲戒制度の趣旨

 弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命も有する。多数から批判されたことをもって、懲戒されてはならない

◆発言と損害の因果関係

 発言と懲戒請求の因果関係は明らか

◆損害の有無と程度

 懲戒請求で原告は相応の事務負担を必要とし、精神的被害を受けた。いずれも弁護士として相応の知識・経験を有すべき被告の行為でもたらされた

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 ■解説

 ◇「根拠ない請求」戒める
 テレビを通じて懲戒請求を促した発言の違法性が問われた裁判で、広島地裁は橋下氏が単なるコメンテーターではなく、懲戒請求の意味を熟知した弁護士だったことで極めて厳しい判断を示した。光母子殺害事件報道についても、弁護団が「一方的な誹謗(ひぼう)中傷の的にされた」と苦言を呈した。

 根拠がないことを知りながら懲戒請求するのは違法とした最高裁判決(07年4月)がある。原告側によると、今回の請求の中には署名活動感覚で出されたものが多くあった。橋下氏は自らは請求しなかったが、判決は橋下氏が弁護士である以上「根拠を欠くことを知らなかったはずはなく、違法性がある」と断じた。

 懲戒請求は弁護士の品位を保つためにあり、数を頼んで圧力をかけることは想定していない。判決は「懲戒請求を呼びかけ、弁護士に心理的、物理的負担を負わせたことは不法行為」と批判。「弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命もある」と強調し、(橋下氏の主張は)「職責を正解せず失当」とまで述べた。

 報道に関しては、問題の番組は録画にもかかわらず、発言をそのまま放送した。専門家は「弁護団の主張に違和感があっても、『気に入らないから懲らしめろ』では魔女狩りと変わらない。冷静な議論を」と警鐘を鳴らす。【矢追健介】

山口・光の母子殺害:弁護団賠償請求訴訟・広島地裁判決 口は災い、橋下知事
 ◇「くそ教委」放言次々 謝罪傍ら控訴の意向
 「一斉に弁護士会に対して懲戒請求をかけてもらいたいんですよ」--。2日の広島地裁判決は、思い切った言動が身上の橋下徹弁護士(現・大阪府知事)がテレビ番組内で行った発言を「弁護士の使命・職責を正解しない失当なもの」と断じた。府知事に就任後も、さまざまな発言が物議を醸してきた橋下氏だが、厳しい判決に「重く受け止める」と神妙な表情をみせた。

 判決を受け、府庁で報道陣の取材に応じた橋下氏は冒頭、「地裁の判断は重く受け止める。表現の自由の範囲を逸脱していた」と頭を下げ、謝罪した。一方で、控訴の意向も表明。「3審制なので高裁の判断も伺いたい。1審の判断が不当だとかではない」と理由を説明した。

 「今後の表現手法に影響するか」と問われ、「今回の訴訟ではある意味、個人を攻撃した。政治家として扱っているのは大きな組織や社会制度。知事としての職務には影響しない」と話した。

 刺激的な表現は知事になってからも物議を醸しているが、最近は政治的メッセージを伝える手法と認識されている。9月には、全国学力テストの公表に消極的な教育委員会に対し、ラジオの生放送で「くそ教育委員会」と言い放った。府議会で批判され、「二度と言わない」と答弁したが謝罪はしていない。

 一方、判決後、広島弁護士会館(広島市)で開かれた会見で原告側弁護団は、「品性にもとる行動だった。あれが許されればなんでも許される」などと橋下氏への憤りを口にした。弁護団団長の島方時夫弁護士は「橋下弁護士は、光市母子殺害事件弁護団に対して謝罪すべきだ」と話した。【石川隆宣】

 ◇表現の自由逸脱
 広島地裁判決について、作家の高村薫さんは「痛快な判決だ。『ともかく懲戒請求すればよい』という橋下氏の論法はむちゃくちゃで、その不当性を裁判所は明快に示してくれた」と評価。一方、情報の受け手側に対しては「私たちが少しでも法律の感覚を持っていれば、このような懲戒請求がおかしいことは分かる。来年5月から裁判員制度が始まるが、参加する市民の側に弁護士活動への最低限の理解がなければ、信頼できる制度にならない」と指摘した。

 田島泰彦・上智大文学部教授(メディア法)は「マスメディアは橋下弁護士に乗せられたことに、深刻な自己批判をしなければいけない。物事を冷静に伝え、正当な批判・検証をするのがメディアの役割。一方の意見に利用されることは絶対にあってはならない」と指摘。橋下氏の発言については「表現の自由の範囲を超えている。数にものをいわせ、魔女狩りのような状況を作り出した。弁護士を萎縮(いしゅく)させ、自由な議論を妨げることにつながる」と批判した。

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 ◇知事の主な発言
 「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ、07年5月27日放送)で

 「ぜひね、全国の人ね、あの弁護団に対してもし許せないって思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求かけてもらいたいんですよ」

 「懲戒請求ってのは誰でも彼でも簡単に弁護士会に行って懲戒請求を立てれますんで、何万何十万っていう形であの21人の弁護士の懲戒請求を立ててもらいたい」

 「懲戒請求を1万、2万とか10万人とか、この番組見てる人が、一斉に弁護士会に行って懲戒請求かけてくださったらですね、弁護士会のほうとしても処分出さないわけにはいかないですよ」

(出所:毎日新聞 2008年10月2日 東京夕刊)

橋下知事に200万円賠償命令 判決要旨

 山口県光市の母子殺害事件の弁護団への懲戒請求をめぐる訴訟で、大阪府知事でもある橋下徹弁護士に賠償を命じた2日の広島地裁判決の要旨は次の通り。

 【主文】

 被告は原告ら各自に対し200万円を支払え。

 【事実及び理由】

■第1 請求の趣旨

(略)

■第2 事案の概要

(略)

■第3 裁判所の判断

 ▽1 発言が名誉棄損に当たるか

 「一斉に弁護士会に懲戒請求かけてもらいたんですよ」「この番組見ている人が一斉に懲戒請求かけてくださったら、弁護士会も処分出さないわけにはいかないですよ」といった発言は、弁護団に属する弁護士に対する懲戒を大規模に行うよう呼びかけるものであることは否定する余地がない。

 光市事件の被告人の主張を弁護人が創作したという趣旨の発言については、刑事事件では被告人が主張を変更することはしばしばあり、本件でも弁護人が創作したものかどうかについては、弁護士であれば少なくとも速断を避けるべきだ。発言は原告らの名誉を棄損し、不法行為に当たる。

 原告らの弁護活動は懲戒に相当するものではなく、橋下弁護士がそのように信じた相当な理由もない。

 ▽2 発言がそれ以外の不法行為に当たるか

 弁護士懲戒制度は弁護士会の自主性や自律性を重んじ、弁護士会の弁護士に対する指導監督作用の一環として設けられた。しかし懲戒請求を受けた弁護士は根拠のない懲戒請求で名誉を不当に侵害される恐れがあり、弁明を余儀なくされる負担も負うことになる。

 そうすると、請求する者は請求を受ける者の利益が不当に侵害されないように、根拠を調査・検討すべき義務を負う。根拠を欠くことを知りながら請求したときには不法行為になる。また当該弁護士の所属弁護士会に請求すれば十分であって、公衆に対し請求するように呼びかける必要性は一般に想定できない。

 ことにマスメディアを通じて特定の弁護士への請求を呼び掛け、弁護士に不必要な負担を負わせることは、懲戒制度の趣旨に照らして相当性を欠き、不法行為に該当する。原告らは1人当たり600件を超える極めて多くの懲戒請求を申し立てられ、精神的、経済的な損害を受けたと認められるから、被告の発言は不法行為に当たる。

 橋下弁護士は、多数の請求がされた事実によって、原告らの行為が弁護士の品位を失うべき非行に当たると世間が考えていることが証明されたことになり、違法性はないと主張する。

 しかし弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命ももっているのであり、その職責を全うすべき活動が、多数派の意向に沿わない場合がありうる。

 また刑事弁護人は被告人の基本的人権の擁護に努めなければならないのであって、その活動が違法なものでない限り、多数の者から批判されたことをもって弁護人の活動が制限されたり、懲戒されることはあってはならないことである。橋下弁護士の主張は弁護士の使命・職責を理解していない失当なものである。

 橋下弁護士の発言は懲戒事由として根拠を欠いており、かつ、そのことを橋下弁護士は知っていたと判断される。

 橋下弁護士が今回の発言で示した懲戒事由は、(1)弁護団が被告人の主張として虚偽内容を創作している(2)その内容は荒唐無稽(むけい)であり許されない-ということである。

 しかし創作したことを認められる証拠はなく、被告の憶測にすぎない。また被告人の主張が不合理で荒唐無稽だったとしても、弁護人が被告人の意向に沿った主張をする以上、それは弁護人としての使命・職責を果たしたと評価でき、弁護士としての品位を損なう非行とは到底言えない。

 橋下弁護士は、原告らが一般市民や被害者遺族に対し、差し戻し控訴審で新たな主張をするようになった経緯や理由を説明すべきだったと非難する。

 しかし、そもそも弁護人がそのような説明をしなければならない法律上の根拠は全くない。弁護人が訴訟手続きの場以外で事件について発言した場合、その結果を予測することは困難であり、被告人に不利益をもたらすこともある。

 現に弁護団は記者会見を開いたが、その主張はほぼすべての報道機関により誹謗(ひぼう)中傷の的とされた。橋下弁護士のいうような説明をしなかったことも、弁護人の使命・職責を果たすために必要だったと評価することもでき、懲戒事由に当たらない。

 ▽3 発言と損害との間に因果関係はあるか

 橋下弁護士の発言は全国で放送され、前日の平成19年5月26日まではゼロだった請求件数は、放送後20年1月21日ごろまでに原告1人当たり600件以上になった。

 またインターネット上には懲戒請求書の書式が掲載され、請求の多くはこれを利用していた。書式を掲載したホームページには発言を引用したり番組の動画を閲覧できるサイトへのリンクを付けて発言を紹介、請求を勧めるものがあった。

 これらのことからすると、多数の請求がされたのは橋下弁護士が視聴者に請求を勧めたことによると認定できる。橋下弁護士は請求は一般市民の自発的意思に基づくと主張するが、因果関係があるのは明らかだ。

 ▽4 発言で生じた損害の有無と程度

 原告らは請求に対応するため答弁書作成など事務負担を必要とし、それ以上に相当な精神的損害を受けた。もっとも橋下弁護士の呼び掛けに応じたとみられる請求の多くは内容が大同小異で、広島弁護士会も懲戒しないと決定した。経済的負担について原告の主張そのままは採用しがたい。

 弁護士として相応の知識・経験を有すべき橋下弁護士の行為でもたらされたことに照らすと、精神的、経済的損害を慰謝するには原告ら各自に対し200万円の支払いが相当だ。

(出所:10月2日21時45分配信 産経新聞)

弁護団懲戒請求の判決要旨 光市の母子殺害事件

 山口県光市の母子殺害事件の弁護団懲戒請求をめぐる訴訟で、橋下徹大阪府知事に賠償を命じた広島地裁の2日の判決の要旨は次の通り。

 【名誉棄損】

 被害者を生き返らせるためだったなどと弁護団が許されない主張をしているという被告の発言は、正確性を欠いているものの弁護団の主張と著しく乖離しない。弁護士が主張を組み立てたという発言は、刑事事件では被告人が主張を変更することはしばしばあり、本件でも原告らが選任される前の弁護人の方針により主張しなかったことも十分考えられる。創作したかどうか弁護士なら少なくとも速断を避けるべきだ。弁護士である被告が真実と信じた相当な理由があるとは認められず、発言は名誉を棄損し、不法行為に当たる。原告らの弁護活動は懲戒に相当するものではなく、そのように信じた相当な理由もない。

 【それ以外の不法行為】

 弁護士懲戒制度は弁護士会の弁護士に対する指導監督作用の一環として設けられた。だが根拠のない懲戒請求で名誉を侵害される恐れがあり、請求する者は請求を受ける者の利益が不当に侵害されないよう、根拠を調査、検討すべき義務を負う。根拠を欠くことを知りながら請求した場合、不法行為になる。

 マスメディアを通じて特定の弁護士への懲戒請求を呼び掛け、弁護士に不必要な負担を負わせることは、懲戒制度の趣旨に照らして相当性を欠き、不法行為に該当する。原告らは極めて多くの懲戒請求を申し立てられ、精神的、経済的な損害を受けたと認められ、被告の発言は不法行為に当たる。

 被告は、多数の懲戒請求がされた事実により、原告らの行為は非行に当たると世間が考えていることが証明されたと主張するが、弁護士の使命は少数派の基本的人権の保護にあり、弁護士の活動が多数派の意向に沿わない場合もあり得る。

 また刑事弁護人の役割は刑事被告人の基本的人権の擁護であり、多数の人から批判されたことをもって懲戒されることはあり得ない。被告の主張は弁護士の使命を理解しない失当なものである。

 被告の発言は懲戒事由として根拠を欠き、そのことを被告は知っていたと判断される。被告が示した懲戒事由は「弁護団が被告人の主張として虚偽内容を創作している」「その内容は荒唐無稽(むけい)であり、許されない」ということであるが、創作と認める根拠はなく、被告の憶測にすぎない。また荒唐無稽だったとしても刑事被告人の意向に沿った主張をする以上、弁護士の品位を損なう非行とは到底言えない。

 被告は、原告らが差し戻し前に主張しなかったことを主張するようになった経緯や理由を、一般市民や被害者遺族に説明すべきだったと非難するが、訴訟手続きの場以外で事件について発言した結果を予測することは困難であり、説明しなかったことも最善の弁護活動の使命を果たすため必要だったといえ、懲戒に当たらない。

 【発言と損害の因果関係】

 発言は多数の懲戒請求を呼び掛けて全国放送され、前日までなかった請求の件数は、放送後から2008年1月21日ごろまでに原告1人当たり600件以上になった。

 またインターネットで紹介され、氏名や請求方法を教えるよう求める書き込みがあり、ネット上に請求書式が掲載され、請求の多くはこれを利用していた。掲載したホームページには発言を引用したり番組動画を閲覧できるサイトへのリンクを付けて発言を紹介、請求を勧めるものがあった。

 多数の請求がされたのは、発言で被告が視聴者に請求を勧めたことによると認定できる。被告は請求は一般市民の自由意思で発言と請求に因果関係はないと主張するが、因果関係は明らかだ。

 【損害の程度】

 原告らは請求に対応するため答弁書作成など事務負担を必要とし、相当な精神的損害を受けた。

 もっとも呼び掛けに応じたとみられる請求の多くは内容が大同小異で、広島弁護士会綱紀委員会である程度併合処理され、弁護士会は懲戒しないと決定した。経済的負担について原告の主張そのままは採用しがたい。

 弁護士として知識、経験を有すべき被告の行為でもたらされたことに照らすと、精神的、経済的損害を慰謝するには原告らそれぞれに対し200万円の支払いが相当だ。

(出所:2008/10/02 12:49 【共同通信】)
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統一協会の霊感商法-「五輪八宝塔」なる商品で違法な資金集め/弁護士らが注意を喚起ー

2008-08-11 15:26:12 | 民事裁判
統一協会の霊感商法
こんどは「五輪塔」
全国弁連、注意呼びかけ

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 統一協会(世界基督教統一神霊協会)の霊感商法に、「五輪塔」が登場しました。違法な資金集めに次々出てくる新たな手口。被害救済に当たる人たちが注意を呼びかけています。

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 正確には「五輪八宝塔」。従来からある五輪塔と、仏教の「八正道」などにちなんだ八角形の塔とを組み合わせた「諸宗教に通ずる内容を持つ、新世紀の五輪塔」(内部説明書)というふれこみです。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の渡辺博弁護士によると、統一協会はこれを、十二万円から百二十万円で信者に買わせ、売らせています。

 霊感商法とは、先祖霊などの因縁(たたり)で脅して、救われるためという口実で物を買わせたり献金させたりするもの。裁判では、最高裁を含めて違法判決が相次いでいます。

 初期には「多宝塔」が主力商品でしたが、霊感商法への社会的批判の中で次第に姿を消し、数年前からは「天運石」という三百数十万円の大理石のつぼが登場していました。

 天運石を家に置くと、外出時に身についた悪霊がこの石に閉じ込められる。この石を韓国の聖地とされる清平に持参し、お払いを受ければ石は再び清浄になる…というのが信者に対する教え。

 これに対し新登場の五輪八宝塔は、善霊を蓄えてくれるとして、天運石とセットで販売。「目先を変えただけの悪質な資金集め」と渡辺氏は指摘します。

 全国弁連や消費者センターに持ち込まれた霊感商法の被害相談は昨年だけで千二百五十二件、四十億八千万円。そのうち仏像、塔、つぼなどは約八十件、二億八千万円に達しています(第一位は「献金・浄財」の二十二億円)。

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 五輪塔 平安期半ばに登場し、墓石にも使用。台石の上に球状やかさ状の石を重ね、物質の構成要素の地、水、火、風、空を示し、輪は徳を具備するとされています。細木数子氏らも「墓相鑑定」で五輪塔を「吉相墓」として推奨してきました。

(出所:日本共産党HP  2008年8月11日(月)「しんぶん赤旗」)
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退学したら学費は戻らない?

2008-08-09 06:01:44 | 民事裁判
 退学したら学費は戻らない?

 Q 今年春、服飾デザインの専門学校に入学しました。入学金と1年分の授業料など初年度納付金を約100万円納めました。ところが、家庭の事情で通えなくなり、7月初めに退学を申し出たら、学校から「納付金はいっさい返せない」と言われました。(20歳、女性)

難しいが可能性も。ぜひ相談を
 A 大学や専門学校で入学を辞退しても、納付金を返還しないとする不返還特約をめぐる裁判で、2年前、最高裁(大学については最判平18・11・27、専門学校については最判平18・12・22)で判決が出されました。

 それによると、(1)入学金は学校に入学できる地位に対する対価であり、学生がその地位を取得した以上、入学を辞退しても、学校は返還義務を負わないとしました。

 一方、(2)授業料は学校で教育を受けたり施設を利用することの対価であり、年度開始の4月1日より前に在学契約を解除した場合には、学生は対価を受けていない以上、原則として授業料は返還すべきだとしています。

 しかし、(3)年度開始日以後に解除した場合は、学校は教育の提供を開始しているので返還する義務はないとしました。

 ですから、中途で退学したあなたの場合、納付金の返還を求めるのは難しいと考えられます。

 ただし、最高裁は不返還特約が有効となる根拠として、年度開始日以後に欠員を生じても学生の補充が難しいこと、学校が1年単位で教育給付を準備していることなど、解除で1年分の授業料相当分の損害が生じることを指摘しています。

 あなたの通っていた学校が年度途中でも随時学生を募集しているとか、授業内容が1年単位ではないなどの事情がある場合は結論が変わる場合もあり得ます。

 ぜひ、弁護士に相談してください。

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弁護士 岸 松江さん
 東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員。好きな言葉は「真実の力」。

(出所:日本共産党HP 2008年8月4日(月)「しんぶん赤旗」)
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離婚後300日規定:300日内に出生 前夫の子、半数以下--毎日新聞調査

2008-06-30 04:36:45 | 民事裁判
離婚後300日規定:300日内に出生 前夫の子、半数以下--毎日新聞調査

■ことば

 ◇離婚後300日規定
 「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」と推定する民法の規定。父親を早期に定めて子供の立場を守る狙いがある。前夫以外を親とするためには、前夫を巻き込んだ調停や裁判で確定する必要があり、前夫と連絡を取れない場合、出生届が受理されず子供が無戸籍となっている。法務省は07年5月、離婚後妊娠に限り、前夫以外を親とする出生届を認める通達を出した。

 ◇法、実態反映せず
 離婚後300日以内に生まれた子のうち、半数以上が「現夫の子」とみられることが、毎日新聞の自治体調査で分かった。実際は「現夫の子」が多いのに、離婚後300日規定が「前夫の子」を事実上強要していることを示す結果だ。実態を反映していない規定の存在意義が改めて問われそうだ。【まとめ・工藤哲】

 調査は、道府県庁所在市と政令市、東京23区の計219市区が対象。離婚後300日以内に生まれた子の出生届で、「現夫の子」と主張した件数と、「前夫の子」を納得して受け入れた件数を比べた(概数での回答を含む、調査方法は上欄参照)。東京都大田区では前夫の子に納得したケースは「ない」としたのに対し通達で現夫としたのは4件、現夫とするため裁判手続きなどを取らなければならないのは「5件以上で10件より少ない」と回答するなど多くの自治体で現夫の届けが上回った。

 一方、堺市南区は、前夫の子に納得したのが「5件以上で10件より少ない」、現夫とするための裁判手続きなどを取らなければならないのは「5件より少ない」、通達で現夫としたのは1件と回答。前夫の子に納得したとする方が多い自治体もあった。

 概数回答の「5件より少ない」は2件とし、「5件以上10件より少ない」は7件とするなど、中間の数字で計算すると、通達と裁判などの手続きで「現夫の子」としたのは329件、「前夫の子」に納得した届けは211件で、「前夫の子」は、「現夫の子」の3分の2程度にとどまった。

 また、「前夫の子」について概数回答の「5件より少ない」は4件、「5件以上10件より少ない」は9件と、最大の数字で計算すると337件となり、この場合でも「現夫の子」とほぼ同数となった。

 法務省は昨年、法務局や家庭裁判所を通じ実態調査をし、離婚後300日以内に生まれた子は全国で年間約3000人と推定。しかし、規定通り「前夫の子」として出生届を出した件数などは「把握できない」としている。

 法務省民事局は「調査結果のような実態があるとすれば、規定について法の精神に抵触しない範囲の改正が考えられるか検討が必要だ」と話している。

  ■  ■

 調査結果について、専門家からは規定の見直しを求める声が出ている。家族法に詳しい棚村政行・早稲田大教授は「前夫の子として届けた人は、本音は不承不承届け出たのに、窓口の担当者が事務的に受理した例も含まれるとみられる。前夫の子は実際はもっと少ないのでは」とみている。

 300日問題に詳しい榊原富士子弁護士は「一律に前夫の子と推定するのではなく、前夫が『現夫の子ではなく自分の子だ』と異議を申し立てた時に裁判手続きをする方が、当事者だけでなく、裁判所の負担軽減にもなる」と話している。

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 <調査方法>

(1)通達に基づき「現夫の子(前夫以外が親)」とした(2)離婚前妊娠のため、「現夫の子」とするため裁判などをしなければならない(3)「前夫の子」に納得した--の各件数を尋ねた。(2)と(3)について件数把握が困難な場合は▽5件より少ない▽5件以上10件より少ない--などの概数を選んで答えてもらった。「現夫の子」と主張したケースは(1)と(2)を足し合わせた件数。(2)や(3)が「不明」で概数回答がない場合は、その自治体を集計から除き、最終的に141自治体を比べた。

==============

 ■ことば

 ◇離婚後300日規定
 「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」と推定する民法の規定。父親を早期に定めて子供の立場を守る狙いがある。前夫以外を親とするためには、前夫を巻き込んだ調停や裁判で確定する必要があり、前夫と連絡を取れない場合、出生届が受理されず子供が無戸籍となっている。法務省は07年5月、離婚後妊娠に限り、前夫以外を親とする出生届を認める通達を出した。

(出所:毎日新聞 2008年6月29日 東京朝刊)
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山口組五菱会ヤミ金融事件:2審破棄、元本分も賠償命令--最高裁が初判断

2008-06-20 01:09:38 | 民事裁判
 山口組五菱会ヤミ金融事件:2審破棄、元本分も賠償命令--最高裁が初判断

 指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融事件を巡り、愛媛県の被害者11人が「ヤミ金の帝王」と呼ばれた梶山進受刑者(58)に約3500万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は10日、著しい高金利の取り立てを受けた被害者に対しては、利息分だけでなく元本分も返すべきだとの初判断を示した。その上で利息分のみの支払いを命じた2審・高松高裁判決(06年12月)を破棄し、賠償額を算定し直させるため審理を差し戻した。

 民法は、不法な行為で渡した(不法原因給付)財産は返還請求できないと定める。小法廷は「不法原因給付により被害者が得た利益を賠償額と相殺するのは、法の趣旨に反する」と指摘。出資法の上限金利の年29・2%を大幅に上回る年数百~数千%の暴利で貸し付けた今回のケースは不法原因給付に当たり、賠償額から元本分を控除するのは許されないと判断した。

 2審は元本分は被害者の利益になっているとして賠償額から控除し、計約1400万円の支払いを命じていた。【北村和巳】

==============

 ■解説

 ◇消費者保護重視、ヤミ金撲滅狙う
 元本分も含めた返済全額の賠償を認めた最高裁判決は、端的に言えば「暴利のヤミ金融から借りた金は返す必要がない」というものだ。多重債務者の増加を受け、最高裁は借り手側の救済範囲を広げてきたが、業者の手元に資金を残さない今回の判決は、ヤミ金融撲滅への強い意思を示し、消費者保護を重視する姿勢を一層明確にしたと言える。

 多重債務者を標的に超高金利で貸し付けて脅迫的に取り立てるヤミ金融を巡っては、借り手の自殺や心中などが社会問題化した。貸金業規制関連法が06年末に改正され、無登録営業や超高金利融資への罰則は引き上げられた。しかし、ヤミ金融業者の特定は難しく、責任追及もままならないケースがある。判決は、法外金利での貸し付けは保護の対象に値しないと断じ、業者に心理的圧迫を与えるとみられる。【北村和巳】

(出所:毎日新聞 2008年6月11日 東京朝刊)

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学校裏サイト管理人に賠償命令=「書き込み放置は違法」-大阪地裁

2008-05-24 00:00:12 | 民事裁判
学校裏サイト管理人に賠償命令=「書き込み放置は違法」-大阪地裁

 インターネット上の「学校裏サイト」の掲示板に実名で誹謗(ひぼう)中傷を書き込まれ精神的苦痛を受けたとして、大阪市内の少女がサイト管理人の男性に220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は23日、「書き込みを放置したのは違法」として、55万円の支払いを命じた。
 山下郁夫裁判長は「実名を公表された場合、現実の学校生活にも被害が及ぶことは容易に予想できた」と指摘。男性は書き込みを放置し、掲示板の管理義務に違反したと判断した。
 判決によると、少女が通っていた私立中学の裏サイト掲示板に2006年8月、少女の実名を挙げ「死ぬほどうざい」「ブス」などの悪口が書き込まれた。発見した学校側が9月に削除を要請したが、男性は応じなかった。 

(出所:5月23日21時1分配信 時事通信)
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沖縄戦「集団自決」をめぐる訴訟の判決-「沖縄戦 集団自決に軍関与」を認定ー

2008-03-31 07:07:42 | 民事裁判
集団自決「軍、深い関与」
沖縄戦訴訟大阪地裁 大江さん側勝訴
検定意見の根拠崩れる

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 沖縄戦の「集団自決」での旧日本軍の命令を否定する元日本軍の守備隊長らが、軍関与を指摘した大江健三郎さん(73)の著書『沖縄ノート』などで名誉を傷つけられたとし、同氏と岩波書店を相手に出版差し止めと慰謝料などを求めた訴訟の判決が二十八日、大阪地裁(深見敏正裁判長)でありました。判決は「集団自決」には「日本軍が深くかかわったものと認められる」とし、名誉棄損は成立しないとして請求を棄却しました。

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 文部科学省は、この裁判での原告の主張を理由の一つとして日本史教科書の「集団自決」についての記述から「軍の強制」の言葉を削除させる検定意見をつけました。判決によってその根拠が崩れたことになります。

 深見裁判長は元守備隊長の命令自体は「伝達経路が判然としないため認定することには躊躇(ちゅうちょ)を禁じざるを得ない」としました。しかし、多くの体験者が日本軍兵士から手りゅう弾を渡されていたと語っていることなどを挙げ、軍の「深い関与」があったと認定。元隊長らが関与したことは「十分に推認できる」とし、学説状況や文献、大江さんらの取材状況を踏まえると『沖縄ノート』などの記述は「真実と信じるに足りる相当の理由があった」とのべました。

 同裁判は沖縄・座間味島の守備隊長だった梅澤裕氏(91)と渡嘉敷島守備隊長だった元大尉(故人)の弟、赤松秀一氏(75)が、『沖縄ノート』と歴史学者の故・家永三郎さんの著書『太平洋戦争』(いずれも岩波書店発行)で名誉を棄損されたとして起こしました。梅澤さんらは「隊長命令による『集団自決』説はねつ造されたもの」と主張していました。

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 沖縄戦「集団自決」 太平洋戦争末期の一九四五年三月下旬、米軍は沖縄県・慶良間諸島の座間味、渡嘉敷両島を攻撃。その後沖縄本島に上陸し、沖縄戦が始まりました。このなかで、旧日本軍守備隊から住民に渡された手りゅう弾を爆発させたり、肉親同士殺し合うなどして、多くの住民が集団的に死に追い込まれました。一九五〇年に地元新聞記者が執筆した『鉄の暴風』(沖縄タイムス社)で、渡嘉敷、座間味両島の「集団自決」は軍命令と記述されています。

主張
「集団自決」判決
軍強制否定のねらいは崩れた

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 大阪地裁(深見敏正裁判長)は二十八日、太平洋戦争末期の沖縄戦での「集団自決」に日本軍が「深く関与」したと認める判決を、言い渡しました。

 裁判は、旧日本軍が住民に「集団自決」を命じたとする岩波新書『沖縄ノート』などの記述で名誉が傷つけられたとして、当時の戦隊長らが著者の大江健三郎さんと出版元の岩波書店を訴えていたものです。

 判決によって、元戦隊長らの訴えを理由に、高校教科書から日本軍の「命令」「強制」を削除させた政府・文部科学省の教科書検定も、誤りがうきぼりにされたことになります。

軍が「深くかかわった」
 沖縄戦では、座間味島で百七十八人、渡嘉敷島で三百六十八人の住民が集団死しており、いわゆる「集団自決」(強制集団死)の数の多さではこれらの島々が突出しています。

 判決は座間味島、渡嘉敷島の元戦隊長が住民に「集団自決」を命令したかどうかについては、「伝達経路等が判然としない」ことを理由に「ただちに真実であると断定はできない」としましたが、「集団自決」そのものについては「日本軍が深くかかわったもの」と認め、元戦隊長が関与したことは「十分に推認できる」と認めました。

 判決がその理由として、両島守備隊にとって貴重な手榴弾(しゅりゅうだん)を住民に渡したこと、日本軍が駐屯したところでしか「集団自決」が発生していないことなどをあげているのは、当時の沖縄県民の証言などとも一致しています。

 沖縄戦末期、両島の守備隊は補給路を断たれ、短機関銃と拳銃、軍刀、手榴弾が最大の武器でした。手榴弾は守備隊にとって死活的に重要な武器であったはずです。にもかかわらず、判決も認めるように、住民は手榴弾を使って「集団自決」しています。手榴弾は、守備隊が渡さなければ絶対に住民が手に入れることのできないものです。

 軍隊は指揮官の命令で動きます。兵隊が勝手に渡したなどという言い訳は通用しません。これ一つをとってみても、「軍官民共生共死」の沖縄守備軍の方針にもとづいて、元戦隊長らが「集団自決」を強制したことはあきらかです。判決が逆に、住民が補償ほしさに軍命令を主張したなどという原告の主張を退けたのは、原告らの主張に道理がないことを証明したことになります。

 元戦隊長らがおこしたこの裁判のねらいは、原告がつけた「沖縄集団自決冤罪(えんざい)訴訟」というタイトルでわかるように、日本軍の命令・強制を否定することにあります。南京事件では「大虐殺はなかった」、「従軍慰安婦」問題では「日本軍が強制した証拠はない」などといった、侵略戦争と日本軍の蛮行を正当化する動きと軌を一にしています。

 かつての誤りを再来させないためにも、歴史的事実の改ざんを許すわけにはいきません。

政府は誤りを認めよ
 原告敗訴の判決によって、改めて問われるのは政府・文部科学省の教科書検定です。

 文部科学省は昨年、この裁判をおこした原告の主張を理由にして、高校教科書から、日本軍が「集団自決」を命令・強制したとの文言を削除しました。

 原告の一方的な主張で築いた教科書検定に道理がなく、誤りであったことは明白です。政府は、日本軍による命令・強制を削除した高校教科書検定の誤りを認め、検定意見を撤回し、是正措置をとるべきです。

「沖縄戦 集団自決に軍関与」判決
侵略美化勢力の狙い砕く

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 二十八日、大阪地裁であった沖縄戦「集団自決」をめぐる訴訟の判決は、被告の大江健三郎さんと岩波書店側の主張をほぼ全面的に認め、元日本軍の守備隊長らの請求を棄却しました。文科省の検定意見の根拠は大きく崩れたことになります。

 この訴訟はもともと日本の侵略戦争を美化する勢力に支えられたものでした。

 裁判で原告側を支援してきたのは「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝会長が主宰する「自由主義史観研究会」や靖国訴訟で被告とされた靖国神社を擁護するために結成された「靖国応援団」など、日本の侵略戦争を正当化する「靖国」派の人たちです。弁護団には自民党の稲田朋美衆院議員も名を連ねています。

 裁判の本人尋問では、元守備隊長が『沖縄ノート』を読んだのは提訴した後であることが明らかになりました。訴訟が個人的なものではなく、侵略戦争美化勢力の政治的な狙いによって起こされたことはあきらかです。

 文科省は昨年度の教科書検定で、元守備隊長の陳述書を根拠の一つに、「軍の命令はなかったという説が出ている」として日本史教科書から「軍による強制」との記述を削除させました。その意味で訴訟は真実を否定し、ゆがめる役割を果たしたといえます。

 しかし判決は、「集団自決」にかんする生存者の証言などをていねいにたどりながら、米軍に捕まりそうになった際の自決用として日本軍が手りゅう弾を配っていたと多くの体験者が語っていること、渡嘉敷島では身重の妻を気づかって部隊を離れた防衛隊員がスパイ扱いをされて処刑されたこと、投降を勧告にきた伊江島の住民六人が処刑されたことを事実として認定。さらに日本軍が駐屯しなかった渡嘉敷村の前島では「集団自決」が起こっていないことなどを挙げ、「集団自決には日本軍が深くかかわっていたものと認められる」と明確に述べました。

 さらに判決は、文科省が検定意見の根拠とした元守備隊長の陳述書について「信用性に問題がある」と判断。「集団自決」に二人の元隊長が関与したことは「十分に推認できる」としました。

 そもそも係争中の裁判の一方の主張を根拠に検定意見をつけること自体不当ですが、その根拠さえ司法から「信用できない」とされたのです。(高間史人)

沖縄戦訴訟
支援者ら報告集会

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 「当然の勝利です。真実を広めよう」―「大江・岩波裁判」判決報告集会が二十八日、大阪市内で開かれました。沖縄や東京からの支援者も含め二百五十人が参加、熱気に包まれました。

 主催は「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会」。

 沖縄戦研究者の安仁屋政昭・沖縄国際大学名誉教授が、沖縄戦は「国体護持」を第一義とし、「皇軍」の強制と誘導による親族殺し合いの事態が「集団自決」だったと指摘。「裁判所が明快に理解してくれた」とし、全国に取り組みを広げようと呼びかけました。

 岩波書店の岡本厚・『世界』編集長は原告側の意図について「『命どぅ宝』の沖縄の生死観、平和憲法の六十年間を否定しようというものではないか」と指摘。「『軍が深く関与している』との判決を受け、文部科学省はどう対処するのか。教科書の記述を変えてしまった責任は重い」と話しました。

 検定意見の撤回、教科書の記述回復を求め、運動をいっそう広げることが提起されました。

 名古屋市から友人と参加した大学生(20)は「歴史の事実が知りたいと思いました。命の大切さを訴え、人間の尊厳のためにこんなに多くの方がたたかっているのを知り、勇気をもらいました。これからもっと勉強したい」と話しました。

(出所:日本共産党HP 2008年3月29日(土)「しんぶん赤旗」)
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日教組の会場使用を拒み、組合員の宿泊予約を解除したグランドプリンスホテル新高輪は「旅館業法違反」 

2008-03-26 02:05:04 | 民事裁判
プリンスホテルは「旅館業法違反」 港区が判断

 日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会をめぐり、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が会場使用を拒み、組合員の宿泊予約を解除した問題で、港区は25日までにホテル側の対応が旅館業法に違反すると判断した。今週中にホテル側を呼んで区の見解を伝え、再発防止策などについてホテル側の考えを確認する。4月上旬には営業停止の処分にするか、再発防止の徹底などを求める行政指導にとどめるか、結論を出すという。

 旅館業法は、宿泊者が伝染病にかかっている場合や、違法行為や風紀を乱す行為をするおそれがある場合などを除き、ホテルなどが宿泊を拒んではならないと定めている。区はホテル側がこの規定に反するとの判断を固めた。

(出所:朝日新聞HP 2008年03月25日16時44分)

日教組、プリンスHに3億円賠償訴え 教研集会拒否で

 日本教職員組合の教育研究全国集会をめぐり、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が会場使用を拒んだ問題で、日教組は14日、プリンスホテルと同社の役員12人を相手取り、約3億円の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求める訴えを東京地裁に起こした。仮処分の段階で東京地裁、高裁はホテル側の主張を退ける決定をしており、日教組は「争点は既に明確だ」として早期の判決を求める方針。

 日教組に加え、都道府県単位の組合、全体集会に参加予定だった1889人の組合員が原告となった。ホテル側が一方的に契約を解除し、組合員の宿泊も拒否したことや、裁判所の決定に従わず他の団体に会場を貸したこと、ホームページや記者会見で日教組に責任があるかのように説明してきたことが不法行為にあたると主張。結果的に無駄になった集会の準備費用や前日の宿泊代などの経済的損害のほか、慰謝料を求めている。

 〈プリンスホテルの話〉 契約を解除したのは当日近隣で行われた入試に臨む受験生に対する多大な迷惑を第一に考えた結果。教職員の皆様だからこそ、この点をご理解いただきたい

(出所:朝日新聞HP 2008年03月14日)

 日教組への謝罪なし プリンスホテル会見 使用拒否問題

 日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会をめぐり、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が、いったん予約を受けた会場の使用を拒んだ問題で、ホテル側が26日、初めて会見を開いた。宿泊客やホテル周辺への「安全」を重視したことを繰り返し、会場使用を認める司法判断に従わなかったことや日教組への謝罪はなかった。

 会見したのは、各地のプリンスホテルや西武鉄道を統括する西武ホールディングスの後藤高志社長や、プリンスホテルの渡辺幸弘社長ら。

 ホテル側には400通ほどの意見が届き、うち賛同は130通ほど。残りは「集会の自由をおかすのはおかしい」などの批判だったという。後藤社長は「憲法論議をするつもりはない。ホテル業としての安心安全を考えることも道義的責任と考える」と説明した。

 山田明文・顧問弁護士は、日教組側がどれほど混乱を招くか説明を事前に十分にしなかったという民法上の説明義務違反があると主張。他の客に迷惑をかける場合は利用規約上、解約できるとし、会場使用を認めた仮処分について「正しいとは思っていない。日教組が11月まで何の説明もしてこないのは異常。裁判所にもそこを分かってほしい」と述べた。

 日教組はこれに対し、「右翼の街宣車が例年来ていることや、警察に警備を依頼していることは、契約の段階からホテル側に説明している」(広報担当)と話す。

 一方、ホテルは組合員の宿泊も断っており、港区は旅館業法違反の疑いで調査中。渡辺社長は「宴会場と一体となった宿泊なのでお断りした」とこれまでの説明を繰り返した。

(出所:朝日新聞HP 2008年02月26日)
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