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民主党政府の労働者派遣法改正にあたっての修正提案ー日本共産党・志位和夫委員長が発表ー

2010-06-02 16:19:37 | 国内労働
修正提案ポイント

○製造業派遣はきっぱり禁止する
○「専門26業務」を抜本的に見直す
○事前面接の解禁など改悪部分を撤回する
○名ばかり「常時雇用」でなく期限の定めのない雇用にする
○「みなし雇用」を実効ある規定にする
○「均等待遇」原則を明記
○3~5年先に先送りせず、速やかに施行

労働者派遣法改正にあたっての修正提案
派遣から正規雇用への道を開き、派遣労働者を守る改正に
2010年3月3日 日本共産党

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 日本共産党が3日、発表した「労働者派遣法改正にあたっての修正提案 派遣から正規雇用への道を開き、派遣労働者を守る改正に」は次の通りです。

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 労働者派遣法の「改正案」が、今国会に提出されようとしています。しかし、政府が発表した派遣法「改正案」は、「製造業派遣や登録型派遣の原則禁止」を言いながら、「例外」という形で「大穴」をあけ、実際には「原則容認」にするなど、重大かつ深刻な問題点があります。この「改正案」のままでは、派遣労働の現場は、これまでと同じような「使い捨て」がまかり通り、低賃金で劣悪な労働条件も改善されません。

 “非人道的な「派遣切り」を再び起こさない”“「派遣だから」と安い時給で働かせ、いらなくなったら「使い捨て」、こんな働かせ方はおかしい”“いつまでも派遣でなく正社員になりたい”……こんな思いが労働者派遣法の改正への大きな世論になり、政治を動かしてきました。これを裏切るようなことがあってはなりません。

 雇用は、期限の定めのない直接雇用――正社員が当たり前であり、労働者派遣は、臨時的・一時的な業務に限定し、本来、正社員として直接雇用すべき労働者を派遣に置き換える常用代替にしてはならないという原則にたった派遣法改正が求められています。

 日本共産党は、今国会での労働者派遣法改正を、派遣から正規雇用への道を開く、派遣労働者の雇用と権利、生活を守る保護法に変えていく、この二つの要の問題で、労働者の願いにそくしたものとする立場から、以下の修正を提案します。

1 「使い捨て」雇用が深刻な製造業派遣はきっぱり禁止にする――「常用型派遣」を「禁止の例外」とする規定の撤回を

 鳩山首相は、今国会の施政方針演説で「製造業への派遣を原則禁止する」としました。ところが「改正案」では、「常用型派遣」(派遣会社に「常時雇用されている労働者」を派遣する)を「禁止の例外」にしてしまいました。「雇用の安定性が比較的高い」からというのがその「理由」です。

 しかし、製造業における労働者派遣の実態は、「常用型」でも、「登録型」でも、派遣先企業が派遣契約を解除すれば解雇されるという不安定さは同じです。厚生労働省の調査でも、派遣先企業が派遣契約を中途解除した場合に、解雇された派遣労働者は、「常用型」で76・7%、「登録型」で75・8%と変わりません(調査対象の約9割が製造業派遣)。「常用型」にすれば「雇用が安定する」などという根拠はどこにもありません。

 大きな社会的批判をあびた「派遣切り」を全国各地で引き起こしたのも自動車や電機などの製造業です。この反省もなく、製造業の大企業は、生産が回復し始めた昨年秋ごろから、派遣を復活させています。低賃金で社会保険にもまともに加入できないという劣悪な労働条件も、そのままです。

 どんな形であっても製造業での派遣を存続させれば、生産の変動が、生身の人間の「首切り」に直結します。製造業では、派遣労働者を寮などに住まわせて働かせることが常態化していますから、“仕事を奪われただけでなく、住居からも追い出される”という非人道的な事態も繰り返されます。さらに、製造業派遣を容認・存続させれば、生産が回復しても、派遣労働が「復活」するだけで、非正規から正規雇用へという流れの障害にしかなりません。

 現在でも、製造業で働く56万人の派遣労働者のうち、63%は「常用型」派遣です。「製造業への派遣の原則禁止」をいいながら、「常用型」を禁止の例外とすれば、「原則容認」となってしまいます。「常用型」派遣を禁止の例外とする規定を撤回し、製造業への派遣は例外なしに禁止すべきです。

2 「専門26業務」を見直し、派遣のまま使い続けるだけでなく、正社員を派遣に置き換える「抜け道」にさせない

 政府は、「登録型派遣の禁止」と言いますが、ここでも「雇用の安定等の観点から問題が少ない」などとして、「専門26業務」を「禁止の例外」としています。

 「専門26業務」で働いている派遣労働者は100万人にのぼります。専門性が高い職種だから派遣であっても雇用は安定するし、給料も高く、派遣先企業との交渉力もあるなどという理由で、派遣の上限期間(原則1年、最長3年)も適用されず、何年働いても、派遣先企業の直接雇用になることもできません。

 しかし、「専門26業務」の中には、通訳など専門性が高い業務もありますが、建築物の清掃、ビルの受付なども含まれています。とくに、45万人の派遣労働者が対象となっている「事務用機器の操作業務」は、1985年に定められた「電子計算機、タイプライター、テレックスほか、これらに準じるワードプロセッサー、テレタイプ等の事務用機器についての操作の業務」という基準が一字一句変わっていません。そのためにパソコンを使う仕事ならなんでも「専門業務」として例外扱いにされてしまうのです。

 「専門業務」という看板があれば、いつまでも派遣で使い続けることが許されることが、直接雇用から派遣社員への置き換えをすすめる、大きな「抜け道」にもなっています。今年1月にNTTは、北海道で直接雇用の契約社員約700人を解雇して、子会社の派遣会社に転籍させ、派遣社員として同じ仕事をさせるという「派遣化」を強行しましたが、この「手口」となったのが「専門業務」です。

 厚生労働省は、2月8日にあわてて「専門業務適正化」の通達を出し、手直しをはかっていますが、根本にある法律や政省令が25年前のままでは、問題は解決しません。「専門26業務」は抜本的に見直し、専門性が高く、そのために派遣労働者に交渉力がある業務に限定すべきです。

3 事前面接の解禁など規制緩和をすすめる改悪部分を撤回する

 政府の「改正案」には、自公政権が、派遣先企業の要求を受けてつくった規制緩和案をそのまま踏襲した改悪が含まれています。

 その一つが、派遣先企業による事前面接を解禁することです。事前面接の解禁は、派遣先企業に労働者の採用権限を与えながら、雇用責任は免除することになります。これでは禁止されている労働者供給事業(いわゆる「口入れ稼業」)と変わりません。労働者派遣の根本原則をなし崩し的に変えてしまう重大問題です。現実には、事務系の派遣を中心に、「事前面接」という違法行為が当たり前のように行われていますが、「改正案」は違法行為をなくすのではなく、違法を合法化するものです。これは、「派遣は40歳になったら定年」「子どもがいると不採用」など年齢や容姿、家族構成などによる不当な差別をさらに助長することになります。

 また、現行法では、専門業務の派遣労働者を受け入れている企業が、同じ業務に正社員を採用する場合は、そこで働いている派遣労働者に優先的に直接雇用を申し込む義務があります。ところが「改正案」では、この派遣先企業の義務を削除し、正社員への道を閉ざしてしまいました。

 派遣法の「改正」を言いながら、いっそうの規制緩和をすすめる改悪を潜り込ませることは許されません。

4 派遣労働者の雇用と権利を守るうえで、実効ある改正案に

 名ばかり「常時雇用」でなく期限の定めのない雇用に……政府は、「派遣労働者の雇用の安定を図る」ために「登録型派遣を原則禁止」し、労働者派遣は、派遣会社に「常時雇用」されている労働者だけにするとしています。

 しかし、この「常時雇用」について厚労省は、「1年以上、雇用されているか、雇用される見通し」であれば、短期の雇用契約を反復していても「常時雇用」だとしています。これでは雇用契約は3カ月だけど、派遣会社が「1年以上働いてもらうつもり」といえば、派遣が可能になり、いつ「雇い止め」されるのかわからない、という不安定な派遣労働の実態は変わりません。

 名ばかり「常時雇用」で不安定な派遣労働を許容しつづけることは、許されません。労働者派遣は、期限の定めのない雇用の労働者だけにするべきです。

 実効ある「みなし雇用」規定に……偽装請負や期間制限違反などの違法派遣の場合は、派遣先企業が直接雇用をしていたものとする「みなし雇用」の規定が盛り込まれました。しかし、その労働条件は「派遣元と同一」とされているために、偽装請負を告発した労働者を、6カ月契約などという名ばかりの直接雇用にして、「契約満了」を理由に解雇できるようになっています。半年先に解雇されるのがわかっていて、誰が違法行為を告発できるでしょうか。「みなし雇用」は、期限の定めのない雇用にすべきです。また、派遣先企業が「違法だとは知らなかった」などとして適用を逃れる道を残さないことが必要です。

 派遣労働者への不当な差別や格差を是正するために均等待遇原則の明記を……「改正案」では、派遣元に「均衡を考慮した待遇」を「配慮」するよう求めているだけです。派遣労働者への差別が起きるのは派遣先企業の職場であり、賃金などの労働条件も派遣先企業が支払う派遣料金が基本にあります。派遣元に「均衡」の「配慮」にとどまる「改正案」では極めて不十分です。派遣先企業の責任を明確にした均等待遇原則を明記すべきです。

5 3年~5年先への「先送り」をしない

 製造業派遣と登録型派遣の規制に「大穴」をあけたうえに、その施行は、法律の公布後3年間も「先送り」されます。さらに、「登録型派遣の原則禁止」は、今後検討して「比較的問題が少ない」などとされた業務は、あと2年間、合計5年間も「先送り」するのです。

 政府が派遣法の改正、規制強化に、二重三重の「及び腰」になっている姿が、この「先送り」に示されています。公布後、すみやかに施行すべきです。

「使い捨て」労働をなくすため、国民的なたたかいを

 国民の大きな世論と運動が、派遣法の規制緩和から労働者保護の規制強化へと「潮目の変化」をつくり出しました。日本有数の大企業が、体力も財力も十分あるにもかかわらず、非道な「派遣切り」を大規模に行ったことへの社会的批判と、その中で、多くの派遣労働者がたたかいに立ち上がり、労働組合をはじめ社会的な連帯が広がったことが、政治を動かしてきたのです。

 このたたかいの中で、政治的な立場や労働組合のナショナルセンターの違いを乗りこえた共同が広がりました。その大きな一致点が、労働者派遣を原則自由化した“1999年の改悪前に戻せ”ということでした。しかし、政府の「改正案」が現状のまま成立すれば、製造業派遣も、登録型派遣も、「原則禁止」は言葉だけで、派遣労働の実態は、今と変わらないという事態になってしまいます。「使い捨て」できる派遣労働を手放したくない財界・大企業の「抵抗と圧力」に屈するなら、重大な汚点となるでしょう。

 この間の労働者と国民の運動の成果が結実するのかどうか、重要な局面を迎えています。「使い捨て」の働かせ方をやめさせ、派遣法を労働者保護法へと前進させるために、対話と共同を広げ、一致点での国民的なたたかいを広げようではありませんか。日本共産党は、その立場で奮闘するものです。

(出所:日本共産党HP 2010年3月4日(木)「しんぶん赤旗」)
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派遣切りとのたたかい-にいがた青年ユニオン/一人では門前払いでも、組合なら会社と話し合える-

2010-01-09 03:50:20 | 国内労働
派遣切りとのたたかい・生活まるごと相談
にいがた青年ユニオン
1年半で組合員10倍
一人では門前払いでも、組合なら会社と話し合える

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 「寒かったでしょう。さあ、温かい豚汁を食べてから、お話ししましょう」―。寒波で大雪に見舞われた新潟県。昨年末、仕事や住まいに困った人を支援しようと新発田市で開かれた「1日派遣村」で、あたたかく声をかける若者の姿がありました。にいがた青年ユニオンの若者たちです。(田代正則)

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 受付の隣で手伝っていた男性(27)は「派遣切り」で住居も失い車上生活をしていたのを日本共産党に助けられ、生活保護で命をつなぎました。

衝撃

 組合に入って立ち上がっている人を見て、衝撃を受けました。「派遣は切られて当然だとあきらめていました」。その場で加入を決め、「一人でも多くの若者に、声をあげようと呼びかけたい」と熱く語りました。

 受付に座り、相談者に炊き出しの豚汁をすすめる男性(46)は、「派遣切り」裁判をたたかっています。

 電子基盤用の精密工具加工に従事。偽装請負などで2002年から働かされ、08年末に突然、雇い止め。弁護士の法律相談で紹介されたのが、青年ユニオンでした。

 「個人で会社に申し入れても門前払いだったけど、組合のおかげで話し合いのテーブルにつかせ、偽装請負を認めさせた。たたかってよかった」

 ユニオンのメンバーは翌日、新発田市役所で相談者の生活保護申請にも同行。担当者と折衝し、「(保護を受けながら)求職のため、自家用車の使用はできる」と確認し、相談者も、「車がなければどこにも行けないので、助かりました」と安堵(あんど)の表情を浮かべました。

結集

 にいがた青年ユニオンは、08年6月に14人で結成。「派遣切り」とのたたかいや生活をまるごと支える相談活動に取り組み、わずか1年半で140人へと10倍に増えました。組合員には、派遣労働者から酒造り職人までおり、地域の若者や労働者のよりどころとして発展しています。

 ユニオン結成は、新潟東芝家電製造(加茂市)の「派遣切り」とのたたかいが契機でした。偽装請負で働かされたあげく中途解約された男性(35)を支えようと、東京・明治公園の全国青年大集会に参加した若者たちが結集したのです。

 11月には直接雇用を求めて労働局へ申告。地元メディアで大きく報じられ、連日のように相談が寄せられるようになりました。

 「派遣切り」とのたたかいでは、団体交渉で、首切りを撤回させ、派遣会社が自ら運営している工場で直接雇用すると約束させる成果もあげました。

 正社員とは名ばかりの最低賃金ギリギリの収入で、有給休暇もまともに取れなかった印刷工場では、団体交渉のたびに組合加入が広がり、初回10人、2回目は30人へと増加。一時金5万円を支給させる成果もあげ、従業員のほとんどが組合員になりました。

約束

 長時間労働とサービス残業に苦しめられていた女性組合員(32)の団体交渉に同行しました。早朝、まだ薄暗い時刻に山崎武央書記長(33)たちは車で新潟市内の交渉先に向かいます。

 女性は、タウン情報誌にも紹介される若い女性に人気のレストランのアルバイト店員。フルタイムで働いているのは、店長、副店長とこの女性だけ。人手が足りず、ホールで客の注文から厨房(ちゅうぼう)の料理まで駆け回っています。残業は月120時間にものぼりました。

 店の前には、メールで団交があると知った組合員たちがすでに集まっていました。

 「私だけ労働時間を減らしても、店長たちにしわ寄せがいきます。人手を増やして、全体で負担を減らしてほしい」。女性がこう訴えると、社長は「改善していく」と約束しました。

 女性は胸をなでおろし「これまで誰も意見を言えなかったけど、話し合いができた。少しずつ前に進めていきたい」と話しました。

 「いま、中小企業は経営者も大変です。どうしたらうまくいくのか、私たちも一緒に考える姿勢が必要です」と山崎書記長。「新潟には、シャッター通りとなった商店街や米価暴落に苦しむ農村地域もあります。地域再生には、貧困をなくし、雇用を守らないといけません。若者が暮らし続けられる地域づくりに、まちの人と一緒に歩む労働組合にしていきたい」

(出所:日本共産党HP 2010年1月5日(火)「しんぶん赤旗」)
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雇用、労働運動の情勢ー現金給与、雇用・生活保障を労働者・国民の運動で、どう再建していくかー

2009-11-04 00:05:34 | 国内労働
給与、16カ月連続減
残業代は12・5%減

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 厚生労働省が2日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業所)によると、基本給と残業代、一時金などをあわせた現金給与総額は、前年同月比1・6%減の26万6364円です。16カ月連続のマイナスとなりました。

 とくに、残業代が前年同月比12・5%減と落ち込みが激しく、基本給も1・1%減となっています。

 大企業の業績は、「持ち直し」の動きがみられるものの、大企業が依然として人件費抑制に走っていることを反映しています。

 産業別では、現金給与総額で製造業が3・4%減と最も低下幅が大きく、飲食店・宿泊業の3・0%減が続きます。

 また、同日発表された6~8月に支払われた一時金の集計結果によると、夏季一時金は前の年に比べて調査産業の合計で9・7%減少し、平均で36万3104円。過去最大の減少幅です。製造業の一時金は16・4%もの減少となっています。

 夏季一時金が支給された事業所数の割合も、調査産業計で前年の70・2%から66・4%に低下しており、支給された事業所でも支給額は1・03カ月分から0・98カ月分に減少。製造業に限ると、一時金支給事業所数は69・2%から57・7%に低下、支給額は0・97カ月分から0・84カ月分に減少しています。

(出所:日本共産党HP 2009年11月3日(火)「しんぶん赤旗」)

組合員全員が直接雇用
光洋シーリングの請負労働者
告発5年、44人勝ち取る

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 請負労働者が偽装請負を告発し、正社員化を求めているトヨタ自動車系列の光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)で、JMIU(全日本金属情報機器労組)の組合員13人が来年1月から直接雇用されることになりました。これにより、組合員の44人全員が直接雇用されることになります。告発から5年。非正規労働者が労働組合に入ってたたかい、自らの手でつかんだ成果です。

 同社は10月27日の団体交渉で、来年1月1日付で直接雇用の契約社員にすると回答。組合は29日に妥結を確認しました。

 組合によると、今回直接雇用される組合員は勤続5年前後。2006年に続く07年10月の偽装請負の申告者で、徳島労働局も同年12月、是正指導していました。組合員以外にも、当時から働いている5人が直接雇用される見通しです。

 同社は昨年の春闘で「請負労働者の直接雇用」を約束。しかし、仕事がなくなり、派遣社員ら200人が雇い止めされ、解雇の恐れさえ浮上。月収は約14万円に落ち込み、組合員の2人が生活保護を受けるなか、「請負労働者を約束通り、直接雇用せよ」「首切りは絶対許さない」と訴え、約1年間、就労中も「団結」と書いたハチマキをしめてたたかい続けてきました。

 JMIU光洋シーリングテクノ関連支部は04年、約20人で結成。06年9月以降、請負労働者を直接雇用の契約社員にさせ、07年12月からはさらに正社員化を実現。現在、22人が正社員となっています。

 同支部の矢部浩史代表(44)は、「JMIUの運動と全国のみなさんの支援の結果です」と強調。「直接雇用の約束が果たされず、職場を去った組合員もいただけに、不退転の気持ちでたたかってきました。偽装請負を告発し、正社員化を求めてきたたたかいにとって大きな前進です。しかし、職場には正規と非正規の格差も残っているなど、たたかいはこれからです。均等待遇の実現と正社員化を求めてたたかい続けたい」と話します。

(出所:日本共産党HP  2009年11月1日(日)「しんぶん赤旗」)

雇用破壊 現場から
労働相談で一時の仕事得たが…
期限年末 焦る職探し
富士重の企業城下町
群馬 太田

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 自動車関連工場が立ち並ぶ富士重工の企業城下町、群馬県太田市。今年1月、契約期間を残して突然、解雇された1人の派遣労働者のその後を追いました。(菅野尚夫)

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 「ぶち切れそうです」。富士重工の自動車のマフラーを造る下請け会社で派遣労働者として働いていた坂東一彦さん(44)=仮名=は、突然解雇された悔しい思いをそう言い表しました。

 雇用契約は、昨年5月から1年間。「雇用保険があるからそれでしのいでほしい。寮は2月末まで居ていい」。雇用契約期間を3カ月残しての派遣切り通告です。

 2月末に寮を出た後は、友人や知人宅を転々としました。90日分の失業手当も4月で切れて、所持金も底を突きました。

 そんなときでした。ハローワークの窓口で6月28日開催の「おおた派遣村」(弁護士、医師、宗教者の呼びかけによる実行委員会主催)のビラを見つけました。

 「まさか自分がお世話になるとは思いもよらなかった」と、坂東さん。昨年12月の東京・日比谷公園の「年越し派遣村」のことを思い出して相談に訪れました。

 坂東さんの相談に対応したのが実行委員を務めた日本共産党の水野正己市議でした。同市議の支援を受けて坂東さんは、緊急雇用対策として行っている文化財倉庫の整理の仕事に就くことができました。しかし雇用期間は、12月25日までです。

 「交通費往復1880円かけて東京のハローワークまで出かけて仕事探しをしています。窓口では『おおむね35歳までならあるけど』と、暗に違法な年齢制限があることを告げられて面接に行くことさえ難しい雰囲気です。このままでは年末には路頭に迷います」と、危機感を募らせます。

派遣村に相談殺到 支援広がる

 「太田でも派遣村を開催しよう」という話が持ち上がったのは、群馬県内の失業者の半数が「ハローワーク太田」管内(太田市、大泉町)で占めていたことからでした。

 太田市にある富士重工群馬製作所は、昨年12月から今年3月にかけて千数百人の期間工や派遣労働者を「解雇」しました。

 雇用破壊にあった労働者の群れが街にあふれ、「派遣村」を開いた6月28日には、125人が相談に訪れました。その後も相談者は続き、10月27日現在で累計159人になりました。

 75人が生活保護について相談して、そのうち40人が生活保護を申請しました。

 「派遣村がなかったなら窓口で追い返されていたと思います。雇い止めや派遣切りにあった労働者が生活保護による救済を視野に入れて活動して40人の申請を認めさせたのは画期的です」と、水野市議はいいます。

 東京都足立区出身の坂東さんは、高校を卒業して10年間、町工場の正社員として働いてきました。金属加工の仕事でした。

 「違った仕事をしてみたい」。「大きな会社の職場」を探すために退職しました。その後、十数年間は、アルバイト、日雇い派遣、登録型派遣など非正規労働者として働いてきました。

 坂東さんは「正社員の仕事に就くことはかなわず、こんなはずじゃなかった」と、転職を悔やんでいます。「結婚して家族をもつことを夢見た女性との出会いもありました。派遣じゃ結婚を切り出すこともできませんでした」

 親身になって相談にのる水野市議に感謝する坂東さん。「遠い存在だった共産党でしたが、先の総選挙では比例で初めて共産党に入れました。アドバイスを受けてたち直らせてくれました。いろんな人と出会えたし、これを財産に雇用破壊に立ち向かいます」

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 年齢制限の禁止 雇用対策法により、事業主は、労働者の募集・採用にあたって年齢制限を設けることが原則として禁止されています。違反した場合、公共職業安定所から助言、指導、勧告などを受け、求人の受理を拒否される場合があります。

(出所:日本共産党HP 2009年11月2日(月)「しんぶん赤旗」)

生活保護法 派遣法
抜本改正へ日弁連が集会
“人間らしい生活に”

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 「貧困から抜け出せる制度を」「労働者派遣法を『労働者保護法』に」―。日本弁護士連合会(日弁連)は30日、「人間らしい生活と労働を 生活保護法と労働者派遣法の抜本改正へ」と題した院内集会を参院議員会館で開きました。

 生活保護受給者や偽装請負解雇で裁判をたたかう原告ら当事者が次々と発言しました。

 生存権裁判の原告の女性は光熱費を節約している日々の生活を告発しました。41歳の男性は生活保護申請後、2カ月半もたってからやっとアパート入居ができた経験を話し、「国会議員は現場の声をよく聞いて、現状を知ってほしい」と語りました。

 名古屋市中村区役所で働く男性は、ケースワーカー一人が139もの保護世帯を担当している現状を語り、職員の増員を訴えました。

 日産で5年以上、派遣社員として事務の仕事をおこない、直接雇用を希望していたにもかかわらず契約終了として退職に追い込まれた女性が発言。「労働者派遣法が、いかに労働者の権利を踏みにじり、企業に都合がよいものであるかを骨身にしみて感じている。仲間に支えられ、9月に裁判を起こした」と語ると、大きな拍手がわきました。

 日本共産党の小池晃、仁比聡平両参院議員が出席し、小池氏が「労働者派遣法の抜本改正をかちとるために全力を尽くす」とあいさつしました。

(出所:日本共産党HP 2009年10月31日(土)「しんぶん赤旗」)

正社員化求めたたかう
労働者が学習決起集会
兵庫

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 日本トムソンをはじめ、正社員化を求めてたたかう全国の労働者200人が31日、兵庫県姫路市で学習決起集会とデモ行進をおこないました。

 日本トムソン姫路工場(同姫路市)で働いていた元派遣労働者らは今年2月、契約途中で解雇を通告され、JMIU日本トムソン支部に加入。同労組は、派遣労働者の直接雇用を求め団体交渉や兵庫労働局へ申告をおこないました。労働局は3月23日に職安法44条と派遣法違反を認定し、「安定した雇用確保」を指導しました。

 4月には、同社の期限付き雇用(9月末)に組合員らは、異議を表明したうえで契約し、同28日、神戸地裁姫路支部に正社員化を求め提訴。8月、地位保全を求め仮処分を申し立てましたが、9月末で解雇され、裁判闘争中です。

 同組合員で原告の氏家正傳(まさつぐ)さん(31)が、1年で2度首切りにあった経過と怒りを語り、「必ず裁判闘争で勝って、勝利報告できるようがんばりたい」と決意表明しました。

 姫路総合法律事務所の吉田竜一弁護士が労働者派遣法の抜本改正について講演。JMIU徳島地本の森口英昭委員長が光洋シーリングテクノのたたかいを報告しました。

 日本化薬と裁判でたたかう西播ユニオンの岩誠司副委員長やバンドー化学一般労組、JMIUいすゞ自動車支部などのたたかいが紹介され決意表明しました。

(出所:日本共産党HP 2009年11月1日(日)「しんぶん赤旗」)

「ルールある雇用」の経済効果とは?

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 〈問い〉派遣労働者を正規労働者にしたり、サービス残業をなくしたりするだけで内需拡大になると聞きましたが、どういうことですか。その効果は微々たるものと思えるのですが、違いますか?(東京・一読者)

 〈答え〉「アメリカ発の金融危機」が“外需・輸出頼み”の日本経済を直撃し、景気が悪化しています。そのなかで、これまで、金融・住宅バブルにわくアメリカ市場に進出して大もうけをつづけてきたトヨタやキヤノンなどの大企業が、不況を口実にして「派遣切り」「非正規切り」をすすめています。

 大企業の横暴を放置していては、日本経済は、雇用悪化と景気悪化という際限のない悪循環におちいることになります。

 この状況を打開するためには、日本経済の体質を外需・輸出頼みから内需主導に抜本的に切りかえていくことが必要です。

 非正規雇用の正社員化、サービス残業根絶、年休完全取得など雇用の安定と働くルールの厳守、つまり「ルールある雇用」を実現することは、日本経済を内需主導の方向に転換させていくうえで大きな役割を果たし、経済効果も抜群です。

 そのことを具体的に明らかにしたのが昨年10月に発表された労働総研の試算です。この試算では、(1)ワーキングプアの解消のため非正規の正社員化363万人を実現する、(2)サービス残業を根絶すると118・8万人の雇用が生まれる、(3)完全週休2日制と年次有給休暇の完全取得を保障すると153・5万人の新たな雇用が必要になる――という三つのケースを明らかにし、それによってどのような経済効果が生まれるかを算出しています。

 その結論は、労働者の賃金は21・3兆円増え、国内生産は24・3兆円増えるということです。その結果、日本のGDPは2・52%押し上げられます。日本の経済成長率は、景気拡大局面の時期で、04年度2・0%、05年度2・4%、06年度2・5%でしたから、それに匹敵する経済効果があることが明らかになりました。しかも、04~06年度のGDPを押し上げたのは大企業の設備投資が中心でしたが、今回は労働者の懐を直接あたためることになるので、大企業だけでなく、中小企業にも経済効果が波及することになります。

 労働者の賃金支払いは21・3兆円増えることになりますが、大企業がため込んだ内部留保は、02年度の167兆円から07年度には228兆円に増えています。5年間で61兆円も積み増しているので、その3分の1をあてれば「ルールある雇用」を実現でき、経済効果も生まれます。(藤)

(出所:日本共産党HP 2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」)
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トヨタよ また使い捨てか-「長く働きたいのに…」/期間工募集再開/契約期間示さず 最長でも6カ月-

2009-10-24 08:27:52 | 国内労働
契約期間示さず 最長でも6カ月
期間工募集再開
トヨタよ また使い捨てか
「長く働きたいのに…」

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 トヨタ自動車が今月から再開した期間従業員の採用で、肝心の契約期間を示さないで募集し、長くても6カ月の雇用契約しか結んでいないことが分かりました。本紙の指摘に今後は契約期間を明示すると表明しましたが、労働者からは「昨年来の期間工切りに反省もなく、また使い捨てを繰り返すなんて許せない」との声が上がっています。

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 トヨタは1600人を採用する計画で、この1年間に雇い止めた期間工約6000人を対象に募集。応募者に雇用条件を示した文書を送るとともに「面接不要」だとして愛知県豊田市内にある社員寮に入り、研修を受けるよう指示しました。

 ところが、雇用条件を書いた文書には肝心の契約期間や更新の有無が記載されておらず、入寮し研修を受けて初めて契約期間が知らされる仕組みになっていました。

 しかも、示された雇用条件で働く誓約書と身元保証人の誓約書は、契約期間を空欄のままで署名なつ印して持参するよう指示していました。労働条件の明示などを義務付けた労働契約法などにも反するやり方です。

 「肝心の契約期間も示さず、『これで来い』なんてバカにしている」と憤るのは、応募した九州の20代男性。「4月末に雇い止めされ雇用保険も9月末で切れた。あれだけ多くの首を切りながら反省もない」

 各人に示された契約期間は4~6カ月。更新は「する場合あり」となっていますが、「通算して2年11カ月を超えて更新はしない」と明示された文書が配られました。

 6カ月契約を結んだ50代男性は、「半年後に更新されるかも分からない。地元に帰っても仕事はない。できるだけ長く働きたいのに」と顔を曇らせます。

 トヨタ広報部は、契約期間などを明示しないことについて「文書の送付が遅れた」と弁明し、今後は明示すると表明しました。しかし、すでに契約期間も分からず応募した人は600人。依然として契約期間が示されていない人もいます。

 トヨタ自動車は昨年、「最高2年11カ月働ける」といって募集しながら契約更新せずに次々と雇い止めし、社会的批判をあびました。08年1月に9000人もいた期間工は今年9月末には1200人に激減。ところがエコカーの生産増などを理由に1年もたたずに募集を再開し、今度は契約期間も示さずに募集を行っていたのです。

安定雇用へ正社員増やせ

 豊田市のトヨタ自動車堤工場では、7月から残業と休日出勤が再開されました。

 労働者は「残業は目いっぱいの45分。休日出勤は全体で月2回やっており、フル生産状態になっている」と話します。

 「期間工をあれだけ切っておいてわずか1600人では雇用をまもる社会的責任をはたしたことにはなりません」と語るのは、堤工場で働く正社員の大場博さん。

 「エコカー増産も、減税に押された需要の先食いといわれているように、いつまで続くか分からない。昨年、あれだけ批判されたのに、生産の調整弁としてまたぞろ使い捨てするなど許されません」と話します。

 期間工のなかには、採用するといって入寮したのに健康診断によって不採用にされ、追い返されるケースも出ています。

 東北から来た20代の男性もその一人。「尿酸値が高いといって不採用といわれた。体調は万全で絶対に大丈夫だと思っていたのに、ここまで来て落とされるのは納得いかない」と話します。

 トヨタ広報部は「診断基準を厳しくしていない」と説明しますが、「健康診断で落とされた人は研修途中で抜けていくので分かる。入寮した人のうち約50人~60人、応募者の1割が不採用にされた。“健康診断が厳しくなっている。採用者を計画より減らそうとしているのではないか”と話題になっている」と話す労働者もいます。

 日本共産党豊田市議団とトヨタ自動車党委員会は14日、工場門前で、「年末にかけて雇用情勢はますますひどくなる。その口火を切ったのはトヨタだった。そのことに反省もなく、再び路頭に迷わせるような状況をつくってはなりません。大企業に雇用をまもる社会的責任を果たさせるとともに、『雇用は正社員が当たり前』の社会にしましょう」と訴えました。

 前出の大場さんはいいます。

 「残業や休日出勤をさせるんだったら、もっと期間工を雇えるはずです。長すぎる労働時間を短縮するためにも、トヨタは正社員をもっと増やし、安定した雇用をつくる社会的責任を果たすべきです」

(出所:日本共産党HP 2009年10月23日(金)「しんぶん赤旗」)

志位委員長、トヨタと初会談
大量解雇を中止・撤回し雇用を守る責任果たせ

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 日本共産党の志位和夫委員長は二十四日、トヨタ自動車の古橋衛専務、宮直樹常務と党本部で会談し、トヨタ自動車とグループ企業がすすめている大量解雇の方針を中止・撤回し、大企業として雇用に対する責任を果たすよう求めました。これは志位委員長の申し入れにトヨタ側が党本部で会談したいと応じて実現したもの。大企業の幹部が党本部を訪れるのは初めてです。会談には党側から吉井英勝、佐々木憲昭の両衆院議員が同席しました。

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 志位委員長は、冒頭、「期間・派遣労働者の大量解雇が深刻な社会問題になっているが、トヨタという日本を代表するリーディング・カンパニー(主導的企業)が大量解雇の引き金を引いた、その社会的責任はきわめて重大だと考えている」「株主への巨額の配当、巨額の内部留保を考えても大量解雇が避けられないとする合理的理由は考えられない。大量解雇を中止・撤回し、雇用にたいする社会的責任を果たすよう求める」とのべました。

 そのうえで、四点にわたってトヨタ側の認識と見解をただしました。

「非正規切り」 人道に照らし許されない

 第一は、「非正規切り」が人道に照らして許されないという問題です。

 志位氏は、トヨタ自動車とその連結企業で九千八百五十人、トヨタ・グループ総計で一万千六十人の人員削減計画が進められていることを指摘。「雇い止め」された非正規社員が職を失うと同時に住居も失い、ホームレスに追い込まれている事態などを示し、「人道に照らして許されない。トヨタでは、期間従業員を景気の『調整弁』と位置づけているのか」とのべました。

 古橋専務は、人道問題との指摘には「ある側面そうだと思う」とのべつつ、期間従業員の位置づけについては「従業員の一つの形態と考えている」とのべるにとどまりました。

契約中途の解雇 法令に違反

 第二は、法令順守の問題です。志位氏は、期間・派遣労働者の契約中途での解雇は法令違反となり、たとえ契約満了の「雇い止め」であっても「雇用継続への合理的期待が認められる場合」などは、解雇と同じように扱われ、違法となると指摘。トヨタが「最長で二年十一カ月まで働ける」とうたう求人広告で期間従業員を募集・採用しながら、今回の人員削減でその多くが六カ月など短期で「雇い止め」としているのは「違法性がきわめて高い」と指摘しました。

 宮常務は「トヨタ本体では中途解約は行っていない。グループ企業、仕入れ先にも同じ姿勢でやってほしいといっている」と説明するとともに、契約満了の「雇い止め」については「やれることは可能なかぎりやっているつもり」とのべました。

大量解雇には合理的理由ない

 第三は、大量解雇が避けられない合理的理由がないことです。

 志位氏は、トヨタ自動車がこの八年間に、株主への中間配当を五倍に、内部留保を二倍近く増やしていることを指摘。「雇用維持のためには内部留保の0・2%、中間配当の八分の一を回すだけで足りる」とのべ、「この点でも大量解雇の合理的理由はない」と強調しました。

 古橋専務は「配当は三月期決算をみて決める」「内部留保については、内部留保を取り崩してまで(期間従業員の雇用を維持することはない)というのが、経営判断だ。そこは価値判断の違いだと思う」とのべました。

 志位氏が、「いま日本の経済界では、労働者の生活よりも、大株主への配当を優先させる傾向が顕著だと思う。こうした『株主至上主義』とでもいうべき風潮は、資本主義のあり方としても一つの堕落ではないか」とただしたのに対し、古橋専務は「アメリカ的株主優先は、あまりにもどうかなと思う」、「日本型経営とアメリカ型経営についていま議論されるべきだ」とのべました。

経済を悪循環に突き落とす

 第四は、競い合って大量解雇をすすめれば日本経済を雇用破壊と景気悪化の悪循環に突き落とすことになるという問題です。

 志位氏は、「日本経済を立て直すには外需依存から脱却し、内需に軸足を移すことが必要だ。大量解雇をすすめれば景気の底が抜けてしまう。それはトヨタにとっても自殺行為ではないか」とのべました。

 古橋専務は「そういう論理もあるかもしれない」としながらも、「国内での需要がないので外に出た。需要が先か雇用が先かという議論だと思う」と語りました。

 志位氏は、内需を低迷させたのは政治の責任とともに、大企業の企業行動に大きな問題があると指摘するとともに、豊田章一郎名誉会長が、終戦直後、経営危機のなかで雇用を維持するために事業を広げようとカマボコづくりの修業を行ったことにもふれて、「トヨタがその社会的責任を深く自覚して、大量解雇を中止・撤回するよう重ねて求める」とのべました。

(出所:日本共産党HP 2008年12月25日(木)「しんぶん赤旗」)

トヨタ内部留保13兆円
正社員化 財源は十分

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 金融バブル、住宅バブルによって演出されたアメリカの好景気のもとで、アメリカむけ輸出を急増させてきたトヨタや日産など日本の自動車メーカーが、輸出が不振になるといって、いっせいに非正社員の「首切り」計画を発表しています。

非正規8万人超

 これまでトヨタなど自動車メーカーは、非正社員を低賃金で酷使し、大もうけしてきました。たとえば、トヨタ本体の正社員の平均賃金は八百三十万円です。期間社員は、二百二十~二百五十万円です。期間社員は正社員と同じ生産ラインで働いています。

 トヨタが期間社員などを大々的に導入したのは二〇〇三年からです。〇八年までに、トヨタ本体で八千人から一万八千人へと二・二倍以上に増やし、トヨタグループ全体でも、四万人から八万七千人へと、二・一倍以上になっています。

 そのなかでトヨタグループは、経常利益を大幅に伸ばしました。内部留保(隠し利益)は、〇三年度の九兆五千億円から〇七年度の十三兆九千億円へと、一・五倍近くも増やしています。非正社員の汗と涙で積み増しした内部留保です。

 こんなに内部留保を増やしながら、その最大の“源泉”となってきた期間社員を減益が見込まれるといって、放り出すようなやり方は許されるものではありません。

 派遣や期間社員などの非正社員を正社員化すれば、雇用が安定・拡大し、内需を拡大することにつながります。それは、「内需主導での経済成長」にとって不可欠の課題です。労働総研の試算では、正社員になりたいと考える派遣社員など三百六十三万人の非正社員を正社員化すれば、五兆円近くの消費需要を増やし、GDP(国内総生産)を0・8%押し上げます。選挙目当ての二兆円のばらまき「定額給付金」のGDP押し上げ効果は0・1%といわれていますから、その八倍もの効果があります。

 非正社員の正社員化は、経営者がやる気になればできることです。段ボールメーカーのレンゴーが千人の派遣労働者を正社員化する方針を打ち出しました。レンゴーの経営指標をみると、経常利益は、百億円、内部留保は千二百億円です。社員(一万人)一人当たり内部留保は千二百万円です。派遣社員(千人)を正社員化することによって、社員一人当たり内部留保は千百万円に減少します。

 レンゴーは、「安定生産継続に向け正社員にすることで要員を確保する」として、「人件費は年間数億円増える見通しだが、士気向上で生産効率向上につなげる」としています。

経営の危ぐなし

 トヨタの連結子会社レベルで非正社員の正社員化をしても、レンゴーと比較して、経営になんの問題もないことは、経営指標が示しています。トヨタグループ全体の内部留保は十三兆九千億円です。社員(三十一万六千人)一人当たり内部留保は四千四百万円です。レンゴーの四倍近くです。派遣・期間社員など非正社員(八万七千人)全員を正社員化しても、社員(四十万三千人)一人当たり内部留保は三千四百五十万円もあります。経営が危うくなる危ぐはまったくありません。

 非正社員の正社員化をはかる財源は、トヨタの例にも見られるように大企業には十分あります。

 労働総研の試算では、三百六十三万人の非正社員を正社員化するために必要な賃金増加額は、八兆円ですが、大企業の内部留保二百二十八兆円の3・5%をはき出せば可能です。日本の大企業は今こそ、雇用を守る社会的責任をはたすべきです。(日本共産党国民運動委員会労働チーム 藤田宏)

(出所:日本共産党HP 2008年11月20日(木)「しんぶん赤旗」)
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労働組合の力で会社と交渉-残業代70万支払わせた/派遣切り寸前が正社員にー

2009-10-03 18:23:13 | 国内労働
ゆうPRESS
労働組合の力で会社と交渉
残業代70万 支払わせた
パティシエだって労働者

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 「ケーキを作るパティシエ(菓子職人)だって労働者」―。千葉県内のケーキ店で働いていた野田みのりさん(21)=仮名=。個人で加入できる労働組合の仲間とともに団体交渉をして70万円の不払い残業代を勝ち取りました。「生きててよかった、とやっと思えた」と振り返ります。(染矢ゆう子)

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 3歳からの夢だったパティシエの仕事。兄の誕生日ケーキを作る母親の姿を見て、「誰かを幸せにするケーキをつくりたい」という夢がありました。

立ちっぱなし

 しかし、実際に働き始めたお店は―。午前5時ごろから午後8時30分まで毎日14時間労働。午後3時、ひどいときは5時まで休憩はなく、何も食べられません。

 1時間の休憩を除いて、ずっと立ちっぱなし。働きはじめてしばらくして右腕がしびれ始め、次第に両手がしびれるようになりました。

 週に1日の休みはひたすら寝て過ごし、友人と会うことを避けました。会ってグチを話したら、「職場に行けなくなってしまうのが怖かった」からです。

 一年で最も忙しいクリスマスを過ぎた昨年12月29日の朝、みのりさんに合わせて毎朝、午前4時30分に起きてくれていた母親が「休みな」と声をかけてくれました。母親の言葉に涙があふれました。

 結成時から加入していた労働組合、千葉青年ユニオンの神部紅委員長(日本民主青年同盟千葉県委員長)に「やめたいんだけど、どうしたらいい?」とメールを送りました。

 高校生のときから相談相手だった神部さんは、その日のうちに来てくれました。「彼女は『私がやめたらほかの人に迷惑がかかる』っていうんです。優しいですよね。どんな働き方をしてるのか聞くと有給休暇がないとか残業代不払いなど違法がたくさんある。『会社と交渉してみない』と相談したんです」(神部さん)

「大変だね」で終わらない。「ではどうするか」それが組合

9カ月で80万

 昨年4月から9カ月間の不払いの残業代を計算すると80万円を超えました。

 「これまでの手取りは残業代が1万円ついて月12万円。自分がどれだけ損していたか、知りました。団体交渉は組合員が1人であっても申し込めて、会社は拒否できないことも知らなかった」とみのりさん。

 初めての団交を会社に申し込みました。最初は「法律を守るとお店がつぶれてしまう」といっていた会社も、団交を重ねるなかで問題を認め、残業代を70万円払うことで合意しました。

 「団体交渉の中で、自分の働き方を法律にもとづいて見つめなおせた」とみのりさん。

 「働き始める前に、労働者は労働基準法などでこんなに守られています、と教えてほしい。友達との話だと『大変だね、おたがい』で終わる。ユニオン(労働組合)の仲間と話したら、『じゃあどうするか』となる。働き始めたらユニオンですね」

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美容師や調理師も
 パティシエだけでなく、美容師、調理師など、「修行」と称した師弟制度がつよい業界でも、労働組合の要求で残業代が次々支払われています。

 大手美容室チェーンの「Ash(アッシュ)」では、一人の勇気ある訴えで338人の全従業員に対して約4800万円の残業代が支払われました。ちゃんこ鍋店「Chanko Dining 若」の元社員が訴えていた裁判では、6人に約2600万円の支払いを命じる判決を京都地裁が出しました。

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労働者の酷使は業界にも会社にも損失ですよ
ある日の団交ダイジェスト

 社長 この業界って言うのは、修行を目的とした業界。本人にも採用の時に伝えて、同意納得のうえで就労してもらっている。残業代として出せる額は、月2万円程度。

 組合 労働基準監督署にいえば、すぐ労基署は踏み込んで、不払いの賃金支払い命令が下されるはず。労働者を1日8時間、1週間に40時間以上働かせてはいけないってのは、労働基準法で強制的なしばりがあるんです。

 社長 みたいですね。すごいですね。労働基準法って。ただこの業界も長い歴史があるんで、(労働基準法には)疑問です。

 組合 パティシエをめざし夢をもって入ってきた人たちが体を壊してやめていくのは、業界にとっても、企業にとっても損失。労働基準法はそういう社会をつくらないためにできた最低限のルールです。

 社長 この業界では技術をもった段階で給料が上がる。何もできない人に払えない。

 組合 会社は人を育てる義務があります。

 社長 ずっと勤めてくれるのかもわからない。ほとんどの人がドロップアウトする。

 組合 やっぱり過密労働、長時間労働だからじゃないですか? 長年そういう働き方を強いてきたら企業そのものが地域で成り立たなくなりますよ。

派遣切り寸前 正社員に
労組の支援受けた2人
KBS京都カメラマン

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 京都の地方放送局・KBS京都に派遣されていた報道カメラマン2人が、9月末で「派遣切り」される寸前に、KBSへの正社員化を勝ち取りました。

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 2人は、民放労連・京都放送労働組合(KBS労組)に加わる女性(31)と、男性(29)。それぞれ04年3月と08年5月から、派遣元のKBS関係会社からKBSに派遣されていました。

 KBS労組は今年3月から、3年以上派遣で働かせている問題などを指摘し直接雇用を求めてきましたが、KBSは拒否してきました。交渉のさなかの8月、派遣元のKBS関係会社が突然、事実上の倒産を発表し、9月末で2人は解雇されることになりました。

 KBS労組は直後に、ストライキ権を確立するためのスト権投票を行い約8割の組合員が支持。労組が支援の輪を広げるなか、KBSは24日の団体交渉で、10月1日付で正社員として直接雇用すると回答しました。

 正社員化が決まり、スーツ姿で面接に向かう2人に、すれ違う社員から「おめでとう」「がんばろな」と次つぎ祝福の声がかかっていました。

 2人は「とてもうれしい。いつ仕事がなくなるかと、つねに不安でした。組合の活動がなければ、ここで働き続けられなかった」「まだ信じられない気分です。組合でたたかってよかった」と喜びを語っています。

 KBS労組の古住公義副委員長は、「派遣切りから一気に正社員化されたのは全国でも異例だ。格差と貧困の解決をめざす社会的な運動が高まるなかで、勝ち取った成果だ」と話しています。

(出所:日本共産党HP 2009年9月28日(月)「しんぶん赤旗」)

労組入りたい67%
“権利守る”“助け合える”
大学生

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労働総研アンケート

 労働運動総合研究所と同若手研究者研究会は1日、大学生の労働組合観に関するアンケート調査の結果を発表しました。ことし2月時点で大学生の3分の2が「労組に加入したい」と答えるなど、学生のなかに労組への共感が高まっていることがわかりました。

 アンケートは、首都圏や静岡、群馬、新潟で、研究会メンバーが自らの講義中、1~2月に1~4年の大学生610人から集め、新年度の4月に新入生593人から回収しました。

 労働組合を「必要だ」とする項目に、「そう思う」「ややそう思う」と肯定したのは、大学生の57・2%、新入生の68・5%でした。

 一方、「ダサい」「怖い」「迷惑だ」というマイナスイメージに対し、7~8割の大学生・新入生が「そう思わない」「あまりそう思わない」と否定しました。

 「就職後に労働組合に加入したいと思いますか」と聞いたところ、「ぜひ加入したい」「必要に迫られたら」という大学生が67・3%。就職がまだ差し迫っていない新入生は44%でした。

 加入に前向きな学生は、「自分たちの権利を守りたい」「労働条件などの改善に向けて団結していけそう」「助け合える組織が必要だ」と労働者の権利や団結・連帯を理由に挙げました。

 記者会見で、全労連の伊藤圭一調査局長は、「一時期、若者の組合離れといわれたが、多くの学生が必要と認識していることが分かった。これから、どんどん若者に接近していきたい」と述べました。

(出所:日本共産党HP 2009年10月2日(金)「しんぶん赤旗」)
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入社したばかりの社員を退職に追い込む「新卒切り」-一人でも入れる労働組合に加入し、団体交渉-

2009-09-15 03:56:45 | 国内労働
ゆうPRESS
たった半年 退職強要
新入社員 立つ
1万人が働くコンピューター関連人材派遣グループ
4人で労組加入・団体交渉

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 4月に入社したばかりの社員を9月末で退職に追い込む「新卒切り」に対して、新入社員が立ち上がりました。約1万人が働くコンピューター関連の人材派遣グループ(本社・東京都千代田区)では、8月末に退職勧奨を受けた新入社員の男女4人が一人でも入れる労働組合に加入し、団体交渉を始めました。(染矢ゆう子)

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 労働組合によると、同グループは「うちは無借金経営」「文系でも体育学部でもちゃんと教育するから大丈夫」と学生を安心させて、4月に約1300人という大量採用を行いました。ところが、直後から9月末までに、社員数を1600人削減するため「退職勧奨」を始めました。

 グループ傘下のA社では、8月27、28の両日、27人の新入社員のうち、19人が会社に呼び出され、「退職願」を渡され、「拒否すればそれだけ倒産が早まる」からと書くよう強要されました。

 「あまりにも突然で頭が真っ白になった」というS郎さん(22)=茨城県龍ケ崎市=。人事担当者が笑いながら話すことに怒りがわき、その場での提出を断りました。

 前日にS郎さんから話を聞いていたT男さん(23)=東京都品川区=は社内に労働組合がないため、社外の一人でも入れる労働組合に相談。同期の社員に声をかけ、提出期限の31日、5人が「やめません」と伝えました。

 その後、「自分たちを物のように扱う姑息(こそく)なやり方は許せない。このまま辞めても何も残らない」と、4人が労働組合に加入し、9月2日に「要求書」を提出、3日から団体交渉を行っています。

 T男さんによると、退職勧奨の際、A社の人事担当は「3月に内定切りを上から指示されたが、法律上の問題から内定切りをやめた」と話したといいます。

 昨年から今年にかけて、新規学校卒業者に対する企業の一方的な内定取り消しが横行し、重大な社会問題になりました。厳しい批判に、国も一方的な内定取り消しに対して、企業名の公表など対策を強めました。

 T男さんは「内定取り消しをすると企業名が公表されるので、それを避けてこの時期の退職勧奨を計画していたのではないか」と指摘しています。

利益のため“使い捨て”

 4人が加入した労働組合の労働相談員の話 退職勧奨を行っているグループは、来年の決算で10%の利益を確保するために、1600人という削減目標を出してきたようです。

 解雇は、労働者とその家族の生活を根底からくつがえす死活の問題です。自らの利益確保のために若い労働者を使い捨てにするグループとA社に対して、人を一人解雇するとはどういうことなのか、厳しく問うていきたい。

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 労働組合に加入した新入社員に思いを聞きました。

たたかうためには労組しかない

 文学部出身のT男さん(23)=東京都品川区=は、もともとITに興味があり、「温かい会社」だと思い、入社を決めました。昨年10月から内定者勉強会が始まり、3月までに10日は会社で研修を受けました。

 しかし、入社後は、教育担当の先輩社員が次々と職場を去り、7、8月は月の半分から4分の3が休業。技術が身につかないまま時が過ぎる不安と焦りの毎日でした。

 「入社半年の退職で、再就職に不利が生じるんじゃないか、新しく仕事を探すにも、採用の枠が狭く不安です。個人では何もできない。会社とたたかうためには労働組合しかない」と話します。

私、黙ってるわけにいかない

 体育学部出身のH美さん(23)=千葉県船橋市=は、実家のある千葉県木更津市から通う予定でしたが、人事担当から「引っ越しをしてくれ」と言われて一人暮らしを始めました。一人暮らしにかかった費用は50万円近くになります。「引っ越ししたのに、退職勧奨なんて納得できない。これまでも多くの人が何も言えずにやめていった。私は黙っているわけにはいかないと思いました」

正社員化 連帯の力で
JMIUが青年交流集会
横浜

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 「連帯して明日を切り開こう」。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)が13日、横浜市で開いた全国青年交流集会で、「非正規切り」とたたかう青年らの声が響きました。

 交流集会では正社員化を求めて提訴した日産自動車関連支部(神奈川)の青年が、「派遣、請負、期間工と5~6年働かされ、雇い止めされた。最初は組合に相談するのも恐る恐るだったが、入ってよかったと思う」と発言。

 「トラック製造に誇りを持っていた。世論を味方に職場に戻りたい」(いすゞ自動車)、「直接雇用を勝ち取ったが、会社は9月末で雇い止めする気だ。正社員化を求めていく」(日本トムソン)、「派遣社員にもアンケートを取り賃上げを求めている」(日酸TANAKA支部)と発言が続きました。

 光洋シーリングテクノ関連支部(徳島)の青年は、「不況で200人が『非正規切り』され、雇用継続でも手取りが減り、生活保護申請した者もいる」と報告。「全員の直接雇用・正社員化を求めてたたかう」と力をこめました。

 JMIUの三木陵一書記長は「失業率と求人倍率が過去最悪。貧困と無縁な若者はいない」とのべ連帯して立ち上がろうと訴え。「派遣法を抜本改正し、大企業中心の政治や経済を転換させるために力を発揮してほしい」と呼びかけました。

妊娠理由の解雇撤回
全労連青年部が大会

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 全労連青年部は12~13日、東京都内で定期大会を開きました。

 吉田直弘部長は「昨年は全国青年大集会に4600人が集まり、今年は派遣村も取り組まれた。総選挙で自公政権を退場に追い込むなど、前進に確信を持とう」とあいさつしました。討論では、長崎一般の青年が「ソニー長崎の偽装請負を労働局に申告している。直接雇用を求めてたたかう」と語り、日産に正社員化を求めているJMIU(全日本金属情報機器労組)の若者が「多額の内部留保があるのに、許せない」と立ち上がった思いをのべました。

 「妊娠を理由にした非常勤職員の解雇を撤回させた」(国公労連)「パートや配達委託労働者が活動に参加している」(生協労連)と発言。「1270人の青年参加沖縄プロジェクトを成功させた」(自治労連)「青年集会を企画から運営まで青年部自身で行う」(全教)と報告されました。

 最賃引き上げでは、地元商店にポスターを張らせてもらった京都総評や、おそろいのTシャツで駅前宣伝を行った大阪労連、生活保護費と最賃を比較した立て看板で注目を集めた愛媛労連など創意ある取り組みが紹介されました。

 新役員に松山友幸部長(新任)、野村昌弘書記長(再任)らが選出されました。

働くルール確立 母性保護拡充へ
全労連女性部が大会

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 全国労働組合総連合(全労連)女性部は12、13の両日、東京都文京区内で第20回定期大会を開きました。

 柴田真佐子女性部長はあいさつで、民主党を中心とした連立政権に、労働者派遣法の抜本改正、憲法を守り働くルールを確立させる運動をすすめ、実現を求めることをよびかけました。

 雇用を守り、男女平等、人間らしく働くルールの確立、母性保護の権利拡充、憲法改悪反対、核兵器廃絶などの運動方針が決定されました。

 討論で生協労連の代議員は、配送や店舗の職場で派遣や委託など非正規労働者が急増している実態を発言。「いきいきと働き続けられる職場づくりを」と生理休暇や育児休業取得の権利や関連法律、組合要求を記した春闘リーフレット配布のとりくみを話しました。

 「現場を支えるのは労働者。処遇改善、現行保育制度を改悪する『新たな保育の仕組み』を許さない運動をすすめていく」(福祉保育労)、「『女性の権利ノート』を活用し、“おしゃべりの中から要求がうまれ実現する”を合言葉に活動」(日本医労連)と発言が続きました。JMIU東武スポーツ支部の臼井道子委員長が、7年にわたった争議が全面勝利解決したことを報告。「多くのみなさんと出会え、励ましを得ることができた人生をうれしく思います」とお礼をのべました。

 国連女性差別撤廃委員会日本審査(7月)の報告がされました。

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員が来賓あいさつしました。

 役員に、部長・柴田真佐子、事務局長・大西玲子(ともに再任)などの各氏を選出しました。

(出所:日本共産党HP  2009年9月14日(月)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の課題ー最低賃金と中小企業対策/不況だからこそ全国どこでも一律千円以上の大幅アップをー

2009-09-07 02:39:50 | 国内労働
主張
最低賃金
不況だからこそ大幅アップを

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 今年度の地域別最低賃金の改定答申は、新潟と岐阜を除く45の都道府県で時給1~25円の引き上げとなりました。

 中央最低賃金審議会が7月にまとめた答申では、景気悪化を理由に35県で「現行水準維持」、12都道府県に限って引き上げることとしました。これを受けた各地方最低賃金審議会は、「現行水準維持」とされた35県のうち33県で引き上げを答申しました。中央審議会が引き上げを答申した12都道府県でも、そのうち8道府県で引き上げ額を上積みしています。

健康維持も難しい

 この結果は、まともに生活できる賃金を求める職場や地域の運動と世論の広がりが、現実を前に動かしていることを示しています。

 しかし、最低賃金が地方審議会の答申通りに改定されたとしても時給の平均引き上げ額は10円で、わずか1・4%の増加にすぎません。最低賃金の水準は、最も高い東京で時給791円、低いところは629円にとどまります。これでは年間1800時間働いたとしても税込みで年収142万~113万円、手取り月収は最高でも10万円そこそこです。こんな収入ではまともな生活はできません。

 全国労働組合総連合(全労連)の「最低賃金生活体験」でも、徹底して切り詰めた生活で体調を崩すなど、最賃では健康維持も難しいことがはっきりしています。

 昨年施行された改正最低賃金法は、最賃を決める基準の一つの「生計費」にかかわって、「健康で文化的な最低限度の生活」という憲法25条の条文を書き込みました。今の最低賃金の水準が、この条文に違反していることは明らかです。最低賃金を大幅に引き上げることは憲法の要請であり、国民の命を守る切実な問題です。

 財界・大企業は不況を口実にして、最低賃金の大幅引き上げに反対しています。

 大企業が過去最高益を更新していたときにも、年収200万円以下の「ワーキングプア」と呼ばれる「働かせ方」が増え続け、いまや1千万人を超えています。貧困のまん延が国民の購買力を大きく低下させて内需を冷やし、経済危機をいっそう深刻にしていることは明らかです。不況を打開し、日本経済を立て直すためにも、最低賃金を大幅に引き上げて、貧困の拡大に歯止めをかけることが不可欠です。

 バブル崩壊に苦しむアメリカは7月、連邦最賃を11%引き上げて時給7・25ドル(購買力平価換算で972円)としました。ヒルダ・ソリス労働長官は「正しく重要な一歩であり、不況に苦しむ労働者の実生活を改善する」とのべています。米誌『ビジネス・ウィーク』は、最賃引き上げは中小企業にとってむしろプラスであり、政府は財政赤字を拡大せずに個人消費を増やせるという、アイリーン・アッペルバウム・ラトガース大学教授の発言を紹介しています。

少なくとも千円以上に

 働いても働いてもまともな暮らしができない「働かせ方」を、公然と認めるような社会であっていいはずがありません。

 労働者派遣法の抜本改正などで「正社員が当たり前」の社会へ転換するとともに、中小・零細企業への必要な支援も講じながら最低賃金を全国一律で、少なくとも時給千円以上に引き上げることは緊急の課題です。

(出所:日本共産党HP  2009年9月5日(土)「しんぶん赤旗」)

最低賃金時給千円にしたら中小企業はつぶれる?

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 〈問い〉 日本共産党は「全国一律最低賃金制、時給千円以上」を主張していますが、今でもぎりぎりの経営である私たち零細企業はとてもやっていけません。この点をどう考えていますか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 いま日本では年収200万に満たない人が1000万人を超え、貧困が深刻な問題となっています。全国一律の最低賃金を定めることは「国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法25条)にてらし、国民生活の最低基準を示す重要な意義をもっています。

 全労連の試算では、首都圏で暮らす若年単身労働者(20代)の最低生計費は、月額23万3801円(税・社会保険料込み)、時給にすれば1554円、手取りは19万1406円です。ところが、08年の地域別最賃は最も高い東京でも766円です。最低賃金で暮らす「最賃体験」に挑戦した宮城県の労働者(最賃639円)は、「食事は2食で外食禁止、家賃1万円以下」などでなければ、とても暮らせないと報告しています。

 国民生活の最低基準を確保する立場から、日本共産党は、速やかに最低賃金の時給を千円以上に引き上げるべきだと考えています。全労連も連合も同様の要求をしています。

 では、中小企業が時給を実施する上での困難とその打開策をどう考えたらよいでしょうか。中小企業で働く労働者にも最低賃金を適用すべきです。ただ、おっしゃるとおり、中小企業では、時給千円の支払いを可能とする商品価格やサービス価格を設定しようとしてもできない場合も生まれます。その最大の原因は「大企業の圧迫で下請けや納入業者が適正な価格を設定できない」「大企業からの仕入れで中小企業が差別的価格を押し付けられる」などにあります。いま一つは、国民の所得が伸びず購買力が低迷、売り上げも伸びず、激しい競争にさらされているからです。

 しかし、社会的に最低賃金を定めることは大局的に、国民のふところを温め内需を拡大し、中小企業経営の改善にもつながります。また最賃は、下請け業者が親企業に単価の引き上げを求める基準ともなります。

 中小企業が時給千円を実施できるよう、日本共産党は、大企業による中小企業イジメや「規制緩和」の是正、金融や税制の改善(部分保証の撤回、消費税免税点の引き上げ、家族労働を認める所得税法の改正など)を行うとともに、中小企業への賃金助成などが必要と考えています。実施にあたっては、企業規模に応じ、経過措置も検討すべきでしょう。(吉)

(出所:日本共産党HP 2008年12月13日(土)「しんぶん赤旗」)

賃上げといっても中小企業は大変では?

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 〈問い〉春闘で組合が「賃上げこそ景気回復の道」と訴えていますが、企業経営を圧迫しませんか。中小企業は大変では?(兵庫・一読者)

 〈答え〉労働組合が「雇用と賃上げ」が景気回復の道と要求しているのは、今日の貧困と雇用破壊、経済の落ち込みの元凶が、「構造改革」路線による賃金抑制と、増税や社会保障などの負担増で国民生活が圧迫されてきたからです。

 この10年間を見ても、製造大企業の経常利益は8・2兆円、株主配当は4兆円も増えているのに、労働者の賃金は2・3兆円減っています(財務省「法人企業統計」)。賃金を抑え、「非正規」労働者を増やして莫大(ばくだい)な利益をあげてきたのです。賃上げをしたからといって、経営を圧迫し、経済が立ち行かなくなるわけではありません。不況を打開し、経済を立て直すうえでも、いまこそ大企業が内部留保を活用して賃上げも雇用も確保することが不可欠です。

 体力のない中小企業は、大企業のようにいきませんが、賃上げで国民の懐を温め、雇用を安定させることが内需を拡大し、経営改善にもつながることは明らかです。むしろ大企業による単価の買いたたきなどの下請けいじめや大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、資金供給への責任を果たさせることが政治に求められています。

 日本共産党は、大企業による中小企業いじめや規制緩和の是正、金融や税制の改善、中小企業への賃金助成など緊急対策を政府に提案しています。全企業の99%を占める中小企業への支援を手厚くすることは、経済を活性化させる原動力にもなります。大不況のときこそ、国と地方の税金の使い方を、労働者の雇用やくらしを守る方向に改めることが求められています。

 全労連に参加する中小企業の労働組合も、こうした考えから「たたかう提案型運動」(全労連全国一般)、「合意協力型労働関係」(JMIU)、「トラック労働者の賃金・労働条件改善と一体で輸送の安全と業界秩序の確立、中小企業の経営環境改善追求」(建交労)などの方針でたたかっています。(加)

(出所:日本共産党HP 2009年3月25日(水)「しんぶん赤旗」)

08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)

最低賃金を引き上げれば、中小企業が困るのでは?

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 〈問い〉 「最低賃金を引き上げれば、中小企業が困る」という声がありますが、どう考えますか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は、最低賃金で働いても貧困にならない社会、人間らしい生活のできる最低賃金制の実現を求めています。貧困というのは、国際的には、国民の平均的所得の5割以下の所得しかないことですから、こうした社会を実現するには、最低賃金を平均的賃金の5割を目標に引き上げる必要があります。その水準は、時給にするとだいたい1000円です。ですから、労働団体がかかげる「時給1000円以上」の要求には合理的根拠があり、日本共産党は、これを支持しています。

 ご質問の件については、志位和夫委員長が国会で指摘したところです(衆院予算委員会、2月13日)。日本共産党の基本的考え方は、最低賃金の抜本的引き上げを、中小企業の経営をまもる対策と同時並行にすすめる必要がある、ということです。

 実は、最低賃金制と中小企業の関係は、最低賃金制の創設を審議した1958年の国会でも議論になりました(法制定は59年)。最低賃金制は中小企業の経営を圧迫するから、最低賃金制を施行する以前に、中小企業対策を先行させるべきだという問題が提起されたのに対して、岸信介首相は「むしろ並行してすすめるべきだ。この制度が施行されて、中小零細企業の劣悪な労働条件が改善され、能率もあがり、事業も安定し、過当の競争もなくなるということが、むしろ中小企業の対策としても効果があるし、それによって混乱を生じることはない」(参院本会議、58年2月21日)と答弁しています。安倍首相もこの立場に立つ必要があります。

 この点で、大企業による単価の買いたたきなど、下請けいじめを横行させている政治の責任が問われなければなりません。日本一の大もうけをあげているトヨタ自動車が、下請けに「韓国価格」「アジア価格」という超低単価をおしつけ、次々と倒産に追い込むような無法をやめさせる必要があります。

 中小企業を痛めつけている規制緩和万能論を抜本的に見直すことも必要です。規制緩和されたタクシー事業では、宮崎、大分、高知、島根の4県で、タクシー労働者の平均賃金が最低賃金を下回っています。明らかな違法状態が広がっています。

 不要不急の大型公共事業を見直し、地域密着型の公共事業に転換することによって、中小企業の仕事を増やし、営業をまもる政策に本腰を入れなければなりません。最低賃金を引き上げる中小企業への助成金や無利子の融資も必要でしょう。

 最低賃金を引き上げれば、労働者の収入が増えます。それが消費を増やし、地元企業の売り上げ増につながり、日本経済を草の根から温めていく力になっていくと考えます。

 なお、最低賃金を大幅に引き上げているEU諸国では、中小企業振興策が手厚く、中小企業の経営を圧迫するといった問題は、生じていません。(筒)

(出所:日本共産党HP 2007年3月7日(水)「しんぶん赤旗」)
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暮らせる最賃へ引き上げようー全国一律最賃1000円以上の保障が国民生活のセーフーティーネットになるー

2009-07-24 08:03:28 | 国内労働
働いても生活保護
暮らせる最賃へ引き上げこそ
大阪

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 中央最低賃金審議会で最低賃金改定が議論されています。引き上げゼロを経営側は叫んでいますが、最賃ギリギリで働き、生活保護を受けざるを得ない実態を大阪に見てみると―。(田代正則)

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 大阪市営地下鉄の駅清掃を委託された会社で働く男性(53)が6月、生活保護を申請し、賃金との差額分の支給が認められました。

 保護費が支給され「1年ぶりにお肉を食べた」と言います。家賃や税金などを引いた生活費は月に4、5万円程度でした。休日は、朝と昼をパン1枚という日もありました。同僚からは「よく、せき込んでいるけど、体は大丈夫?」と心配されていました。

 男性は昨年4月、時給800円で現在の仕事を始めました。ところが、落札価格の下落で、清掃会社が11月の入札に失敗し、別会社に替わりました。大阪府の最賃時給748円スレスレの760円になりました。

 男性は、週6日、1日7時間働いてきました。5月分は14万4880円です。社会保険料や税金の必要経費などを差し引いた生活保護の収入認定額は、9万1389円でした。この男性の場合の生活保護基準(住宅扶助含む)11万5610円より、2万4221円下回っています。

 生活保護申請に同行した建交労府本部建設一般合同支部の吉谷通書記長は、「大阪市の公的な仕事をする労働者に、市が生活保護費を支給するというのは、異常な事態です」と強調。「生活保護の収入認定では、賃金から税金などの控除があります。それを知らず、自分が生活保護以下だと気づいていない労働者も多い」と指摘します。

 大阪では、厚労省の調べでも、最賃が生活保護水準を下回る逆転現象が生まれています。最賃の引き上げは急務です。

 男性は「生活を考えた賃金にしてほしい。せめて時給1000円ないと、食べていけない」と訴えます。

 駅清掃の勤務を明けた労働者から話を聞くと、62歳の女性は、「私は府営住宅に息子と住んでいるから、なんとかなっているけど、時給は低すぎる」と話します。

 別の女性(62)は、「事務所に行っても備品がそろってないから、私たちは少ない収入のなかから、自分で洗剤やスポンジを買っているんです」と憤っていました。

 「入札のたびに労働条件が下がっていく。多忙になり、洗浄機械を使った清掃をする余裕もなくなり、駅は明らかに汚くなりました」と言うのは、駅清掃の仕事について8年になる男性(60)。「以前は一時金も出ていたが、いまはない」と語ります。

 男性は、民間のビル清掃とのダブルワークでギリギリの収入を得ていましたが、不況でビル清掃の仕事もなくなってしまいました。

 大阪労連と建交労府本部らによる実態調査では、2008年には、当時の府の最賃ぴったりの時給731円で働かせていた地下鉄の駅もありました。

 建交労大阪地下鉄清掃支部では、時給の引き上げを会社に求めていますが、会社は入札価格の低さを理由になかなか引き上げに応じません。事業委託している大阪市は、「最低賃金に違反していなければいい」という態度です。

 吉谷書記長は、「最低賃金を引き上げるのと同時に、生活できる賃金と労働条件を保障できる入札制度に改善させることが必要です」と語っています。

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全国で1000円以上時給を

 大阪労連は、生計費の実態調査に基づいて、全国一律最賃1000円以上、大阪府では1400円以上を大阪労働局に申し入れています。青年部は最賃生活体験や駅前宣伝などを多彩に取り組んでいます。

 また大阪労連や建交労、公契約法懇談会が、大阪市役所前で入札制度の改善を求め宣伝しています。

「働く貧困層なくせ」
全労連など 最賃審会場前で宣伝

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 今年度の最低賃金の目安を決める中央最低賃金審議会の小委員会が具体的協議に入った21日、全労連と国民春闘共闘は東京都港区の会場前で、「最賃を全国一律時給1000円以上へ引き上げ、貧困と格差を是正せよ」と訴える緊急行動をおこないました。雨の中、各単産、地域から45人が集まり、最賃引き上げを求める意見書を提出。会場前で職場や地域の実態をリレートークで訴えました。

 全労連の伊藤圭一調査局長は、「経営側は不況を理由に、生活保護水準を下回る逆転現象の解消を遅らせようとしているが許されない」と強調。地方であっても、自動車通勤が不可欠であるなど、生計費は都市部並みに必要だと指摘し、全国で時給1000円以上の実現を訴えました。

 全労連・全国一般の大木寿委員長は「いま1000万人以上が年収200万円以下で働いている。いまこそ人間らしく働ける最賃に、政府は決断すべきだ。審議委員も労働者の命がかかっていると、肝に銘じてほしい」と発言しました。

 国公労連の秋山正臣書記次長は、「私はハローワークの職場出身だが、求人票には、日給月給制が多く、非正規雇用は最賃スレスレで、生活が厳しい。働く人の収入を増やし、中小企業を助成することこそ必要です」と訴えました。

 参加者は「生活できる賃金を保障しろ」「格差の最賃は認めないぞ」「ワーキングプア(働く貧困層)をなくせ」とこぶしをあげました。

(出所:日本共産党HP 2009年7月22日(水)「しんぶん赤旗」)

貧困解消 国の目標に
テレ朝系番組 小池氏が主張

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 日本共産党の小池晃政策委員長は27日、テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」に出席し、貧困問題をテーマに識者や各党代表らと討論しました。

 「東京・日比谷公園での年越し派遣村から半年。その後、事態はよくなったのか」との司会者の問いかけに、NPO法人「もやい」事務局長の湯浅誠氏は「相談の電話は今も1日100件かかり、つながらない状況だ」と証言。作家の雨宮処凛氏も「若い野宿者が増え、自殺も多い。事態はむしろ悪くなっている」と発言しました。

 小池氏は、都内の公園での炊き出しに1000人以上が並ぶ写真を示し、「ボランティア団体も支援物資の確保が困難になってきている」と事態の深刻さを告発しました。

 自民党の出席者は「補正予算を組んで対策を打ってきた」とアピールしましたが、一方で生活保護の母子加算全廃など貧困促進策をとっていることに批判が集まりました。小池氏は「最低賃金、基礎年金、そして生活保護という、憲法25条がいう国民の最低限度の生活を支える仕組みがこわされていることが問題だ」と提起しました。

 このなかで、湯浅氏は「政府は国内の貧困率すら把握していない。調査して貧困率の削減目標を持つべきだ」と指摘。小池氏も、政府が以前は行っていた低消費水準世帯の推計を、1965年を最後に打ち切ったことを批判しました。自民党の大村秀章厚労副大臣も調査の必要性を認めざるを得ず、「総選挙マニフェストに盛り込みたい」と述べました。

 ほかの出席者から「貧困を解決するには強い経済が必要。日本の国際競争力を上げる方策を考えるべきだ」との意見が出ました。小池氏は「国際競争力の名で、アジアと貧困競争をするような国でいいのか。国際競争力の源泉は内需であり、国民の暮らしだ。貧困解消を、はっきりと国の目標に据えるべきだ」と反論しました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月28日(日)「しんぶん赤旗」)

最低賃金時給千円にしたら中小企業はつぶれる?

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 〈問い〉 日本共産党は「全国一律最低賃金制、時給千円以上」を主張していますが、今でもぎりぎりの経営である私たち零細企業はとてもやっていけません。この点をどう考えていますか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 いま日本では年収200万に満たない人が1000万人を超え、貧困が深刻な問題となっています。全国一律の最低賃金を定めることは「国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法25条)にてらし、国民生活の最低基準を示す重要な意義をもっています。

 全労連の試算では、首都圏で暮らす若年単身労働者(20代)の最低生計費は、月額23万3801円(税・社会保険料込み)、時給にすれば1554円、手取りは19万1406円です。ところが、08年の地域別最賃は最も高い東京でも766円です。最低賃金で暮らす「最賃体験」に挑戦した宮城県の労働者(最賃639円)は、「食事は2食で外食禁止、家賃1万円以下」などでなければ、とても暮らせないと報告しています。

 国民生活の最低基準を確保する立場から、日本共産党は、速やかに最低賃金の時給を千円以上に引き上げるべきだと考えています。全労連も連合も同様の要求をしています。

 では、中小企業が時給を実施する上での困難とその打開策をどう考えたらよいでしょうか。中小企業で働く労働者にも最低賃金を適用すべきです。ただ、おっしゃるとおり、中小企業では、時給千円の支払いを可能とする商品価格やサービス価格を設定しようとしてもできない場合も生まれます。その最大の原因は「大企業の圧迫で下請けや納入業者が適正な価格を設定できない」「大企業からの仕入れで中小企業が差別的価格を押し付けられる」などにあります。いま一つは、国民の所得が伸びず購買力が低迷、売り上げも伸びず、激しい競争にさらされているからです。

 しかし、社会的に最低賃金を定めることは大局的に、国民のふところを温め内需を拡大し、中小企業経営の改善にもつながります。また最賃は、下請け業者が親企業に単価の引き上げを求める基準ともなります。

 中小企業が時給千円を実施できるよう、日本共産党は、大企業による中小企業イジメや「規制緩和」の是正、金融や税制の改善(部分保証の撤回、消費税免税点の引き上げ、家族労働を認める所得税法の改正など)を行うとともに、中小企業への賃金助成などが必要と考えています。実施にあたっては、企業規模に応じ、経過措置も検討すべきでしょう。(吉)

(出所:日本共産党HP 2008年12月13日(土)「しんぶん赤旗」)

最低賃金を引き上げれば、中小企業が困るのでは?

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 〈問い〉 「最低賃金を引き上げれば、中小企業が困る」という声がありますが、どう考えますか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は、最低賃金で働いても貧困にならない社会、人間らしい生活のできる最低賃金制の実現を求めています。貧困というのは、国際的には、国民の平均的所得の5割以下の所得しかないことですから、こうした社会を実現するには、最低賃金を平均的賃金の5割を目標に引き上げる必要があります。その水準は、時給にするとだいたい1000円です。ですから、労働団体がかかげる「時給1000円以上」の要求には合理的根拠があり、日本共産党は、これを支持しています。

 ご質問の件については、志位和夫委員長が国会で指摘したところです(衆院予算委員会、2月13日)。日本共産党の基本的考え方は、最低賃金の抜本的引き上げを、中小企業の経営をまもる対策と同時並行にすすめる必要がある、ということです。

 実は、最低賃金制と中小企業の関係は、最低賃金制の創設を審議した1958年の国会でも議論になりました(法制定は59年)。最低賃金制は中小企業の経営を圧迫するから、最低賃金制を施行する以前に、中小企業対策を先行させるべきだという問題が提起されたのに対して、岸信介首相は「むしろ並行してすすめるべきだ。この制度が施行されて、中小零細企業の劣悪な労働条件が改善され、能率もあがり、事業も安定し、過当の競争もなくなるということが、むしろ中小企業の対策としても効果があるし、それによって混乱を生じることはない」(参院本会議、58年2月21日)と答弁しています。安倍首相もこの立場に立つ必要があります。

 この点で、大企業による単価の買いたたきなど、下請けいじめを横行させている政治の責任が問われなければなりません。日本一の大もうけをあげているトヨタ自動車が、下請けに「韓国価格」「アジア価格」という超低単価をおしつけ、次々と倒産に追い込むような無法をやめさせる必要があります。

 中小企業を痛めつけている規制緩和万能論を抜本的に見直すことも必要です。規制緩和されたタクシー事業では、宮崎、大分、高知、島根の4県で、タクシー労働者の平均賃金が最低賃金を下回っています。明らかな違法状態が広がっています。

 不要不急の大型公共事業を見直し、地域密着型の公共事業に転換することによって、中小企業の仕事を増やし、営業をまもる政策に本腰を入れなければなりません。最低賃金を引き上げる中小企業への助成金や無利子の融資も必要でしょう。

 最低賃金を引き上げれば、労働者の収入が増えます。それが消費を増やし、地元企業の売り上げ増につながり、日本経済を草の根から温めていく力になっていくと考えます。

 なお、最低賃金を大幅に引き上げているEU諸国では、中小企業振興策が手厚く、中小企業の経営を圧迫するといった問題は、生じていません。(筒)

(出所:日本共産党HP 2007年3月7日(水)「しんぶん赤旗」)

08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)
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トヨタとパナソニック出資会社が派遣切りして期間工大募集ー政権交代で労働法制と所得再分配を強化しようー

2009-06-21 12:22:30 | 国内労働
トヨタとパナソニック出資会社
派遣切りして期間工大募集
「腹が立つわよ。私たちを中途解雇しておいて」

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 減産を口実に「派遣切り」をした製造企業で、増産が必要になったからとして労働者の募集を始めるところが出ています。人員削減から時間がたたないうちに人員増に転じるという身勝手さが浮かびあがっています。(酒井慎太郎)

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 パナソニックEVエナジー(静岡県湖西市、従業員2200人)は13日に「100名大募集」とした期間工の選考会を開き、採用枠を大きく上回る160人が参加しました。

 今春、専門学校を卒業した愛知県豊橋市の男性(21)は、ハローワークでは1社に1、2人の募集しかなく、「正社員になりたいが仕事を選んでいられない」と話しました。

 同社はトヨタ自動車とパナソニックが出資し、自動車用電池を製造。トヨタが燃料電気両用車を増産するため、増員に動きました。

最長2年11カ月

 期間工は時給1150円と、派遣会社の時給1300円より低く抑え、契約期間は最長2年11カ月しかありません。失業中の静岡県内の40代男性は、「この年齢になると働き口は限られる。雇用は安定しないが仕方がない」と言いました。

 しかし、同社は1月末に「派遣切り」を行ったばかりでした。

 「腹が立つわよ。辞めさせておいて、また募集するなんて」と憤るのは浜松市の女性(46)。減産を理由に4月半ばまで契約があったのに、中途解雇で人員削減されました。

 労働契約法で、中途解雇は原則禁止されています。しかも、派遣先指針で定められた中途解雇者への再雇用あっせんなども行わず、放り出したのです。

 「私のいたラインでは半数の9人が中途解雇されました。私は高校生と中学生の子ども2人を育てる母子家庭で、明日からどう生活するか途方にくれました」と語ります。

 昨年12月末、解雇を告げられてから、「辞めろと言う職場で働きたくない。有給休暇を消化したい」と言っても、「生産が回らなくなる。有休を使うなら自主退社になる」と脅されたと言います。

 ところが、同社は2月1日、派遣労働者を全員、期間工に採用する方針を発表しました。減産を口実に派遣切りをすすめる一方で、期間工に切り替えていく計画だったのです。その朝礼で製造課長は、「わが社は派遣切りなんてことはしない。期間工として雇うから、安心して働くように」とうそぶきました。

 この女性ら5人は1月、「声を上げてたたかいたい」とJMIU(全日本金属情報機器労組)静岡西部地域支部に加入。派遣会社に解決金を支払わせましたが、いまだに仕事が見つかっていません。

法令にも抵触か

 そんななかで持ち上がったのが、今回の100人採用でした。労働者派遣法では、派遣をやめて労働者を採用する場合、派遣労働者を優先して雇用しなければなりません。同社が派遣切りをやってすぐに期間工を採用したり、新たに期間工を増やすことは、こうした法令にも抵触しかねない問題です。

 同社は、「派遣切りなど一人もしていない」といって自らの責任は棚上げし、派遣会社の問題だと開き直っています。中途解雇した派遣労働者を優先して雇う考えはないとしています。

 解雇された労働者は再就職先のあっせんもないため、全員が今も仕事に就けず、今月で失業保険も切れます。

 JMIU静岡西部地域支部の青木克之書記長は、「中途解雇して放り出したまま、新たに期間工を雇い入れる身勝手さは許されません。大企業の社会的責任を果たすよう求めたい」と話しています。

(出所:日本共産党HP  2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」)

「ルールある雇用」の経済効果とは?

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 〈問い〉派遣労働者を正規労働者にしたり、サービス残業をなくしたりするだけで内需拡大になると聞きましたが、どういうことですか。その効果は微々たるものと思えるのですが、違いますか?(東京・一読者)

 〈答え〉「アメリカ発の金融危機」が“外需・輸出頼み”の日本経済を直撃し、景気が悪化しています。そのなかで、これまで、金融・住宅バブルにわくアメリカ市場に進出して大もうけをつづけてきたトヨタやキヤノンなどの大企業が、不況を口実にして「派遣切り」「非正規切り」をすすめています。

 大企業の横暴を放置していては、日本経済は、雇用悪化と景気悪化という際限のない悪循環におちいることになります。

 この状況を打開するためには、日本経済の体質を外需・輸出頼みから内需主導に抜本的に切りかえていくことが必要です。

 非正規雇用の正社員化、サービス残業根絶、年休完全取得など雇用の安定と働くルールの厳守、つまり「ルールある雇用」を実現することは、日本経済を内需主導の方向に転換させていくうえで大きな役割を果たし、経済効果も抜群です。

 そのことを具体的に明らかにしたのが昨年10月に発表された労働総研の試算です。この試算では、(1)ワーキングプアの解消のため非正規の正社員化363万人を実現する、(2)サービス残業を根絶すると118・8万人の雇用が生まれる、(3)完全週休2日制と年次有給休暇の完全取得を保障すると153・5万人の新たな雇用が必要になる――という三つのケースを明らかにし、それによってどのような経済効果が生まれるかを算出しています。

 その結論は、労働者の賃金は21・3兆円増え、国内生産は24・3兆円増えるということです。その結果、日本のGDPは2・52%押し上げられます。日本の経済成長率は、景気拡大局面の時期で、04年度2・0%、05年度2・4%、06年度2・5%でしたから、それに匹敵する経済効果があることが明らかになりました。しかも、04~06年度のGDPを押し上げたのは大企業の設備投資が中心でしたが、今回は労働者の懐を直接あたためることになるので、大企業だけでなく、中小企業にも経済効果が波及することになります。

 労働者の賃金支払いは21・3兆円増えることになりますが、大企業がため込んだ内部留保は、02年度の167兆円から07年度には228兆円に増えています。5年間で61兆円も積み増しているので、その3分の1をあてれば「ルールある雇用」を実現でき、経済効果も生まれます。(藤)

(出所:日本共産党HP 2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」)

社会保障関係費の「自然増」とは?

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 〈問い〉 社会保障関係費の「自然増」はなぜ発生するのですか。政府はこの「自然増」の推移をどう予測しているのですか? 日本共産党はどのように考えていますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 日本の社会保障の財源は、多くが国民や企業から集めた社会保険料でまかなわれ、一部を国と地方の税金で負担しています。

 このうちの国庫負担分が一般会計予算の「社会保障関係費」として計上されます。

 06年度予算ではそれが20・5兆円で、主な内訳は、年金の国庫負担金(6・7兆円)、医療保険・老人医療関係(6・3兆円)、介護保険関係(1・7兆円)、生活保護費(2兆円)などです。

 このうち、年金や医療、介護、は、いずれも国庫負担の割合が決まっていますから、高齢化によって年金受給者や介護サービスを受ける人が増えれば、国庫負担も当然増加します。(具体的にいうと、基礎年金の受給者は、毎年約100万人ずつ増え、受給額一人平均年60万円を掛けると6千億円、その3分の1が国庫負担なので毎年2千億円の国庫負担増となる。同様の計算で、介護保険関係で約1千200億円、医療関係で数千億円規模の「自然増」となる)

 厚生労働省が04年5月に発表した「社会保障の給付と負担の見通し」では、社会保障の「公費負担」は04年度の26兆円から、2025年度には64兆円に増えるとしています。この予測自体は、将来の経済成長率などをどう仮定するかによって違ってきますが、これまで政府が出してきた試算は、いずれも現実の推移よりも過大なものになっています。

 政府は、社会保障関係費の「自然増」が財政を圧迫する最大の要因であると描いて、「財政再建のためには社会保障を削らなくてはならない」とか「消費税を増税しなければならない」という方向に世論を誘導しようとしています。

 しかし、高齢化が進行すれば社会保障関係費が増えるのは、わかっていたことであり、それに見合った政策を進めてこなかった政府の方に問題があるのです。発達した資本主義国のほとんどが、「国の予算の中心は社会保障」です。アメリカの連邦予算の約6割、イギリスは約4割、ドイツは約5割が社会保障関係予算です。日本の06年度予算に占める社会保障関係費は26%です。もともときわめて貧しい日本の社会保障なのに、さらに高齢化を理由にその予算を削り、低所得者層に重い負担となる消費税率をアップするのでは格差社会が広がるばかりです。

 いまこそ予算の使い方にメスを入れ、大企業・大資産家優遇の税制を見直すことこそが求められています。(喜)

(出所:日本共産党HP 2006年5月13日(土)「しんぶん赤旗」)

7年間に13兆円もの負担増 年間なの? 累計なの?

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 〈問い〉日本共産党の総選挙政策(「赤旗」9月26日付)で、「自公政権は、この7年間に13兆円もの負担増を押しつけました」とありますが、13兆円というのは1年間あたりの数字でしょうか? それとも7年間の負担の累計額ですか?負担の内訳も教えてください。(東京・一読者)

 〈答え〉小泉内閣の2002年以来、庶民への増税や社会保険料の引き上げなど直接の負担増に加えて、社会保障給付の切り下げなどの形で、国民に負担増が押しつけられてきました。増税や社会保障改悪が重なることによって、負担増の額は毎年増え、いまでは年間13兆円の規模に達しています。02年度から08年度までの7年間に国民に押しつけられた負担増を累計すれば、50兆円近くにもなります。

 金額が一番大きいのは増税です。06年・07年に実施された所得税・住民税の定率減税の廃止(約3・4兆円)、04年・05年に実施された配偶者特別控除の廃止(0・7兆円)、05~08年に実施された高齢者への増税(0・4兆円)、消費税の免税点の引き下げ(0・6兆円)など、増税額の合計は年間5兆円以上になります。

 この間、02年と06年の2回にわたって、医療制度の改悪法が強行され、保険料の引き上げにくわえて、サラリーマンの窓口負担が2割から3割に引き上げられ、高齢者の患者負担も増えました。さらに後期高齢者医療制度が実施されました。これらの医療改悪による負担増は、年間2兆円近い額になっています。

 04年に強行された年金法改悪によって、毎年、年金保険料が引き上げられています。一方、03・04・06年度には、「物価が下がった」という理由で年金の給付額が引き下げられました。これによる負担増は、08年度分までで年間4兆円近い額に達しています。保険料は今後も0・7兆円くらいずつ増え続けます。

 その他、介護保険料の引き上げとホテルコストの導入、障害者への自己負担押しつけ、生活保護の削減、失業手当の削減、国立大学授業料値上げなどを含め、負担増の全体では年間13兆円近い金額になっています。このほかに、国保料の引き上げなど地域ごとの負担増もありますが、集計が難しいため、この計算には入っていません。

 このように、7年間で累計50兆円近い負担を国民に押しつけたことが、家計を痛めつけ、内需を冷え込ませる原因の一つとなってきたのです。1回限り、数兆円の定額減税をばらまいたくらいでは、くらしの不安は解消しません。国民負担増を続けてきた政策の抜本的な転換が求められています。(垣)

(出所:日本共産党HP 2008年10月4日(土)「しんぶん赤旗」)

所得再分配って?

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 〈問い〉 貧富の差を広げる小泉「構造改革」を批判する中によく「所得再分配」という言葉がでてきますが、よくわかりません。どんな意味ですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 「所得再分配」とは、ごく簡単に言えば、大企業や高額所得者など所得の大きいところにはより多く税負担してもらい、それを社会保障給付などの形で渡すことで、所得の低い人も生活できるようにすることです。

 資本主義では、放っておけば貧富の格差が広がる一方ですから、これを是正しなければなりません。この仕組みは、長年の民衆のたたかいの結果、つくりあげられてきて、現代国家の財政政策では当たり前になっています。ところが、小泉内閣の新自由主義路線のもとでそれがこわされてきているのです。

 資本主義の市場経済では、働く者が働いてつくり出す価値(商品)が富の源泉となり、それが企業の利潤や賃金などのかたちで分配されています。その利潤や賃金にたいして、国家が税をとり、それを再分配する仕組みがあります。

 資本主義社会の初期には、利潤追求のための競争がなんの規制もなく「自由」におこなわれたため、労働者は非人間的な長時間労働と低賃金を強いられ、過酷に搾取されていました。それに加えて、徴収された税金の多くは軍事費や、国家権力を握る人たちに都合よく使われていました。その結果、不平等が広がり、一部の金持ちと多くの貧乏人ができるという対立が広がりました。

 しかし、20世紀前半にはこの矛盾が恐慌や社会革命となって爆発し、その修正を余儀なくされます。1929年の大恐慌後の米国のニューディール政策などがそれで、国家が市場経済に介入し、矛盾をやわらげる仕組みをとっていきます。(当時、アメリカの正統派の財政学者とされるマスグレイブは、市場機構を通じて実現される所得分配は社会的に最適なものではないとして、財政政策の目標として所得の適正な分配、経済の安定、資源の効率的配分の三つをあげている)

 こうして、かつては一部の金持ち階級のためにだけ使われていた税金が、いまでも軍事費や財界奉仕の予算部分は残していますが、しだいに、国民一般に、教育、保健、医療、保育、福祉、住宅、交通の便などのかたちで分配される部分が大きくなっていきます。

 戦後の日本国憲法が第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記したのもその流れです。

 小泉「改革」の結果、所得や雇用の不平等、地域間や産業構造のアンバランス化、「勝ち組」と「負け組」という極端な分解、亀裂が広がっています。憲法体制で守られてきた「所得再分配」構造を崩させない社会的反撃が求められています。(喜)

(出所:日本共産党HP 2006年4月6日(木)「しんぶん赤旗」)
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全労連非正規センターの主催で非正規労働者が交流集会ー京都市に派遣・パート・外国人勢ぞろいー

2009-05-25 03:15:44 | 国内労働
合言葉は「たたかって前進」
非正規労働者が交流集会
派遣・パート・外国人勢ぞろい

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 「パート・派遣など非正規ではたらくなかまの全国交流集会」が二十三日、二日間の日程で京都市で始まりました。全労連非正規センターの主催。「非正規切り」に対する反撃と連帯が広がるなか、十七回目の今集会は過去最多の約五百人が参加。パートや派遣、外国人などさまざまな非正規労働者が一堂に会し、たたかって前進しようと声を上げました。

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 全労連では昨秋以降、新たに百九十を超える労働組合が結成されています。

 初日の全体会では、いすゞやキヤノンなど大企業の「非正規切り」や奴隷労働とたたかう外国人研修実習生、「官製ワーキングプア」の自治体非常勤職員など、この間のたたかいの前進を反映して多彩な労働者・労働組合の代表がずらり勢ぞろいしました。

 参加者は、「人間として扱え」と使い捨て労働の実態を告発。「いい介護がしたい」「住民サービスを支えたい」と仕事に対する誇りを語りながら、「解雇無効の仮処分決定を勝ち取った」「泣き寝入りせず、勇気を出してたたかってよかった」「一人ではない。みんなの力で助け合おう」と発言するたびに、何度も拍手がわき起こりました。

 あいさつした全労連の大黒作治議長は、非正規労働者の反撃が太い流れになり、確実に成果を上げていると強調。「正規も非正規も、官も民も手を携えて人間らしく生き働ける社会をつくろう」と呼びかけました。

 神戸大学の二宮厚美教授が講演し、「雇用破壊と貧困の打開は、日本経済全体の再生に不可欠だ」とのべました。

 集会後、「貧困を生み出すな」などのプラカードを掲げて市内をパレード。「非正規切りは、あきまへん」と唱和しました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月24日(日)「しんぶん赤旗」)

全労連 雇用を守る運動前進
派遣法抜本改正へ
事務局長会見

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 全労連の小田川義和事務局長は二十一日、東京都内で記者会見し、非正規切りを許さないたたかいをすすめるとともに、労働者派遣法の早期抜本改正を求める運動をさらに広げていくとのべました。

 この間、非正規労働者が千二百六人加入し、新たに百九十一組合を結成、労働局申告は六十六件行われていると報告。各地の「派遣村・街頭相談」は、全国の約百六十カ所で四千三百五十六件の相談が寄せられ、生活保護申請は六百四十一件にのぼるとのべました。

 こうしたなかで、派遣労働者の中途解雇無効に続いて、いすゞ栃木工場での期間社員に対する解雇も休業も違法だとする仮処分決定などをあげ、「運動は前進してきている」と強調しました。

 失業者に対する救援活動や解雇撤回・正社員化を求めるたたかいをさらに広げるとともに、「雇用破壊の元凶である労働者派遣法の早期抜本改正を」との幹事会アピールを発表し、改正めざす運動を強めるとのべました。

 抜本改正には少なくとも、製造業派遣の禁止と登録型派遣の原則禁止、違法な派遣先への見なし雇用、均等待遇の四点を盛り込むよう指摘。労働組合はじめ国民的な共同をいっそう発展させること、全政党、国会議員が真しな協議で一致点を見いだし、早期に抜本改正するよう求めていくとのべました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月22日(金)「しんぶん赤旗」)

主張
景気の落ち込み
雇用守る対策がいよいよ急務

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 政府の経済統計で、国内総生産(GDP)が昨年十―十二月期に続いて今年の一―三月期も記録的な落ち込みとなる一方、大企業を中心にした鉱工業生産は下げ止まりの傾向が出てきたなどといわれています。そうしたなかで、いっこうに回復を見せないのが雇用の指標です。「完全失業者」数は三月まで五カ月連続の増加で、「完全失業率」は5%に迫り、求職者に対する求人数の割合を示す「有効求人倍率」も下がり続けています。

非正規も正規も削減
 雇用悪化の最大の原因は、大企業を中心に、非正規の労働者だけでなく正規の労働者に対しても、雇用破壊が続いていることです。

 厚生労働省は、非正規労働者の「雇い止め」等の状況を毎月調査していますが、昨年十月から今年六月までに解雇を実施または予定しているのは、三月の調査では十九万五千六十一人、四月調査では二十万七千三百八十一人と増え続けています。しかも離職者七万三千二百五十人の調査で、再就職できたのは一万五千六百十七人、21・3%という深刻さです。

 一方、同じ調査で正社員の離職状況を見ると、百人以上の離職を調査したというまったく不十分な中身でも、三月調査の一万二千五百二人が四月調査では一万八千三百十五人に増えています。文字通り「氷山の一角」ですが、雇用破壊が正社員に広がっていることはこれだけ見ても明らかです。

 これまでの不況期なら、雇用の悪化は景気の悪化より遅れることが多いといわれました。ところが今回の経済危機では、大企業が率先して「派遣」など非正規の労働者を切り捨てたため、雇用の悪化がこれまでより早く現れました。

 しかも今回の場合、大企業の生産などは下げ止まりが見られるといわれるようになっても、雇用の悪化にはいっこうに歯止めがかかりません。これまでの不況期でも、雇用の回復は景気の回復に遅れてあらわれるといわれました。今回の場合はそれに輪をかけて、落ち込みの始まりはこれまでより早く、下げ止まるのはさらに遅いといわれるほどです。

 大企業が景気のよいときには急速に拡大した非正規の労働者を、内部留保があり株主には配当を続けながら削減しているのは、文字通り労働者をもの扱いする不当なものです。正社員の解雇も、残りたければ遠隔地への配置転換を受け入れろと迫るなど、不当な退職強要が相次いでいます。

 日本共産党の仁比聡平議員が参院予算委員会で追及した、労働局の指導にも従わない東芝グループの違法な「派遣切り」や、パナソニックの関連企業が九州から関東や関西への転勤を計画し労働者をふるいわけして退職を迫っているなどはその際たるものです。さすがに舛添要一厚労相も、「企業は当然法律を守ってもらわねばならない」と答えざるを得ませんでした。

経済悪化との悪循環
 大企業の不当な雇用破壊を放置していては、労働者の暮らしが守れないだけでなく、日本経済を再生させることも不可能です。雇用破壊で国内消費が落ち込み、二期連続の大幅低下となった一―三月期のGDPはその証明です。

 国内需要を回復させ、日本経済を悪循環から立て直すためにも、大企業の雇用破壊をやめさせることが、いよいよ急務です。

(出所:日本共産党HP 2009年5月24日(日)「しんぶん赤旗」)

「ルールある雇用」の経済効果とは?

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 〈問い〉派遣労働者を正規労働者にしたり、サービス残業をなくしたりするだけで内需拡大になると聞きましたが、どういうことですか。その効果は微々たるものと思えるのですが、違いますか?(東京・一読者)

 〈答え〉「アメリカ発の金融危機」が“外需・輸出頼み”の日本経済を直撃し、景気が悪化しています。そのなかで、これまで、金融・住宅バブルにわくアメリカ市場に進出して大もうけをつづけてきたトヨタやキヤノンなどの大企業が、不況を口実にして「派遣切り」「非正規切り」をすすめています。

 大企業の横暴を放置していては、日本経済は、雇用悪化と景気悪化という際限のない悪循環におちいることになります。

 この状況を打開するためには、日本経済の体質を外需・輸出頼みから内需主導に抜本的に切りかえていくことが必要です。

 非正規雇用の正社員化、サービス残業根絶、年休完全取得など雇用の安定と働くルールの厳守、つまり「ルールある雇用」を実現することは、日本経済を内需主導の方向に転換させていくうえで大きな役割を果たし、経済効果も抜群です。

 そのことを具体的に明らかにしたのが昨年10月に発表された労働総研の試算です。この試算では、(1)ワーキングプアの解消のため非正規の正社員化363万人を実現する、(2)サービス残業を根絶すると118・8万人の雇用が生まれる、(3)完全週休2日制と年次有給休暇の完全取得を保障すると153・5万人の新たな雇用が必要になる――という三つのケースを明らかにし、それによってどのような経済効果が生まれるかを算出しています。

 その結論は、労働者の賃金は21・3兆円増え、国内生産は24・3兆円増えるということです。その結果、日本のGDPは2・52%押し上げられます。日本の経済成長率は、景気拡大局面の時期で、04年度2・0%、05年度2・4%、06年度2・5%でしたから、それに匹敵する経済効果があることが明らかになりました。しかも、04~06年度のGDPを押し上げたのは大企業の設備投資が中心でしたが、今回は労働者の懐を直接あたためることになるので、大企業だけでなく、中小企業にも経済効果が波及することになります。

 労働者の賃金支払いは21・3兆円増えることになりますが、大企業がため込んだ内部留保は、02年度の167兆円から07年度には228兆円に増えています。5年間で61兆円も積み増しているので、その3分の1をあてれば「ルールある雇用」を実現でき、経済効果も生まれます。(藤)

(出所:日本共産党HP 2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」)
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