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「対テロ戦争」6年-アフガンの今、これから-

2007-10-31 02:40:16 | 国内政治
「対テロ戦争」6年
アフガンの今、これから

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 二〇〇一年十月のアフガニスタンに対する「対テロ報復戦争」開始から六年―。日本では「新テロ特措法」をめぐる国会論戦が開始されました。戦争はテロ一掃につながったのか、どのように作戦は実行されているのか、模索される現状打開への道を考えてみました。

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テロと民間人死者激増


 六年間の報復戦争で、テロは根絶されるどころか頻発し、いっそうの悲劇を生み出しています。

 十五日、アフガン南部で自爆攻撃に出る青年を母親が引き止めようとして、爆弾が暴発し、家族五人が死亡―こんな悲劇を伴いながら、アフガンでテロは増え続けています。

 九月の潘基文国連事務総長の報告によれば、二〇〇一―〇四年末には五件にすぎなかった自爆攻撃が、〇五年中に十七件、〇六年には百二十三件に急増し、〇七年には八月末までにすでに百三件に達しています。反政府勢力とテロリストの暴力は少なくとも〇六年より20%増大し、〇七年には一カ月平均五百四十八件を記録しました。

無差別攻撃に
 さらに米軍と北大西洋条約機構(NATO)軍による国際テロ組織アルカイダと反政府武装勢力タリバンに対する掃討作戦が、ますます無差別攻撃の様相を帯び、民間人の犠牲をいっそう増幅しています。

 国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」によると、〇六年だけで、多国籍軍の作戦で少なくとも二百三十人の民間人が犠牲となりました。今年については、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は、八月末までに「千件以上の民間人の死亡事故を記録した」としつつ、「十分な情報を得るのは困難」と指摘します。

 他方で米軍や多国籍軍の死者数も〇五年から急増し、開戦以来、七百人を超えています。

 報復戦争は、自爆テロの急増による治安の全般的悪化をもたらしています。

 米政権が掃討対象としたアルカイダは、いまやネットワークを世界六十カ国に広げたと指摘されており、テロの温床は拡大。最高指導者ビンラディンは、依然として行方不明です。

 タリバンは復活しつつあり、地元の東部や南部で事実上の支配地域を広げています。

 タリバンや親タリバン派の反政府武装勢力は、首都カブールでも軍や警察を狙った自爆テロを繰り返しているといわれます。米軍やNATO軍への攻撃だけでなく、民間人を標的にした自爆テロや誘拐事件も引き起こしています。

暴力の悪循環
 潘国連事務総長の報告は、攻撃やテロの増大で、全県数の五分の一にあたる七十八県がきわめて危険だと指摘。国連機関の立ち入りが不可能で人道援助もままならない状況です。

 ロンドンに本部を置く国際政策のシンクタンクSENLIS評議会が〇六年九月に発表した現地報告は、報復戦争による民間人の被害拡大で「多国籍軍部隊は、安定化勢力ではなく侵略勢力と認識されている」と指摘。「米国の率いる国際社会は、暴力の悪循環を断ち切れていない」と批判しました。

 アフガン国内で活動する日本国際ボランティアセンター(JVC)は、タリバン復活の背景として「多国籍軍への反発」とともに、住民生活の悪化をあげています。潘国連事務総長報告も「民衆を疎外していることが反政府勢力再活性化の主要な要因となっている」と指摘します。

 隣国パキスタンからも、「(アフガンでの)反政府活動の拡大は深い敵意の表れであり、それは、基本的に占領から生まれている」「連合軍が駐留し続ける限り、抵抗は続くだろう」(〇六年十二月上院公聴会での同国駐アフガン大使の発言)との冷厳な指摘が出ています。

 ブッシュ大統領の「対テロ報復戦争」は軍事攻撃とテロの拡大という悪循環をつくりだしてきました。戦争でテロはなくせないというのが、この六年間の明白な決算です。

一体化する2つの作戦
 アフガニスタンでは二〇〇一年以降、(1)米国主導の「対テロ報復戦争」(米軍作戦名「不朽の自由作戦」=OEF)と、(2)北大西洋条約機構(NATO)が指揮するアフガン国際治安支援部隊(ISAF、アイザフまたはアイサフ)の、二つの多国籍軍の軍事作戦が並行して展開されています。

戦争での報復
 OEFは、〇一年九月の9・11対米同時テロを受けて、その容疑者とされる国際テロ組織アルカイダと、それをかくまうアフガンのタリバン政権を掃討する目的で、十月に始められました。それは、テロ攻撃に対する、戦争による報復でした。

 米国主導のOEFは東南アジアやアフリカでも展開されています。アフガン関連のOEFには二十一カ国が派兵しているというものの、公表できるのは約十カ国とされます(外務省資料による)。OEFの任務などを規定する国連安保理決議はなく、指揮権は米軍が握っています。

 一方、ISAFは、タリバン追放後、首都カブールでの暫定政権の治安確保を目的に、兵力四千人で結成されました。

 ISAFは当初、英国やトルコなど個々のNATO加盟国が交代に指揮していましたが、それではうまくいかないので、〇三年八月からNATOとして指揮権を握ることになりました。

 それ以後ISAFは、時計の逆回りの形で北部↓西部↓南部↓東部へと担当地域を拡大。〇六年十月にはアフガン全域を管轄することになりました。これに伴い、全土に展開していたOEFは、戦闘が激しい南部と東部に集約されました。

 このISAFの担当地域の拡大は、それまで各地域でOEFに派兵していた諸国部隊が、ISAFに看板を掛け替える形で実施されました。米軍部隊も、一万人がOEFにとどまり、一万五千―一万七千人がISAFに移行しました。

 米国は当初、外国や国連に自国の戦争を拘束されたくないため、NATOの協力も得ずにOEFを開始しました。ところが、その後、イラクに戦争を拡大するため、「タリバン問題は終わった」と主張。精鋭部隊はイラクに移動させ、NATOにアフガン戦争の後始末を押し付けました。

双方の指揮下
 OEFもISAFも、それぞれ独自の司令部をもっています。双方が派兵している南部や東部では、両者の連携のための独自の仕掛けが作られています。

 ISAF司令官のもとには三人の副官がおかれ、それぞれ安定化、航空、治安の各作戦を担当しています。このうちの第三の治安担当の副官が、ISAF司令官とOEF司令官の双方の指揮下におかれ、二つの作戦は、そこで一体化されているのです(七月十六日付の米議会調査局報告「アフガンでのNATO」による)。(図)

 現実には安定化や治安確保の作戦は同時並行で行われ、二つの作戦は、ますます一体化します。

 このほか、英国、オランダ、フランス(タジキスタン駐留のミラージュ戦闘機)など個々の派兵国の空軍部隊が、OEFとISAFの双方の指揮下で行動しています。

 しかもISAFの司令官はマクニール米軍大将(NATO司令官)です。さらにNATOの最高司令官はクラドック米軍大将であり、同大将は米欧州軍司令官でもあります。結局、ISAFやNATOと言っても、要所を押さえているのは米軍幹部です。外国軍の指揮下におかれることを忌み嫌う米軍が、安心して身を任せられる指揮系統になっているのです。

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NATO中心の派兵
 アフガニスタンで作戦を展開する米国主導の「不朽の自由作戦」(OEF)には実質的に約十カ国(兵力一万数千人)、NATOが指揮するISAFには三十七カ国(同四万一千人)が派兵しています(二十二日現在のNATO発表資料)。

 海上自衛隊が給油・給水支援をしてきたOEF―MIO(海上阻止活動)には五カ国が参加しています。三つの作戦には計四十カ国が派兵していますが、そのほとんどがNATO加盟国か、その関係国です。

 NATO加盟の二十六カ国のすべてがISAFに派兵していますが、米、英、カナダ、ドイツ、イタリアの五カ国だけで兵力総数の73%を占めています。

 政府は、アフガン戦争が「国際社会」全体の取り組みのように宣伝していますが、米軍主導、NATO中心の戦争というのが、その実態です。

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日本の給油は空爆支援
 アルカイダなどアフガニスタンを拠点とするテロ勢力の海上移動や活動の資金源となる麻薬・武器の取り締まり(海上阻止活動)を行う多国籍海軍への補給―。これがインド洋での海上自衛隊の給油活動の建前です。

 しかしアフガンの現実が証明しているように、この活動はテロ根絶に何ら役立っていません。米軍の「対テロ報復戦争」の一環として多国籍海軍の活動が始まった二〇〇一年以降、十四万回以上の無線照会と一万一千回以上の立ち入り検査が行われてきたものの、明確なアルカイダ関係者は一人も拘束されていません。

 外務省によると、多国籍海軍はアルカイダ容疑者を十人拘束しました。しかし、その身柄は「非公表」で、誤認の可能性もあります。

作戦区別なし
 日本列島が丸ごと入る広大な海域で、不審船を取り締まる戦闘艦は十隻前後。軍事ジャーナリストの前田哲男さんは「アフガンは内陸国だ。国境地帯に地上部隊を置いて監視活動をするのならまだしも、広大なインド洋にわずかな船を並べてテロリストの移動を阻止するというのは説得力を欠く」と指摘します。

 世論調査でも61%が「(自衛隊の給油活動は)テロ抑止に役立っているとは思わない」(「毎日」二十二日付)と答えています。

 海自の給油活動はテロ根絶に役立たないばかりでなく、イラクやアフガンで罪のない人々を殺傷して憎しみの連鎖を生む米軍の作戦への支援となっています。

 日本政府は、多国籍海軍の活動を「テロ対策海上阻止活動」と呼び、具体的な支援対象はOEF―MIO(「不朽の自由作戦」海上阻止活動)だとしています。ところが、実際の作戦を指揮する米第五艦隊司令部は、多国籍海軍の任務を「海上安全活動」(MSO)だとしています。

 第五艦隊はMSOについて、「海洋環境における安全と安定の条件をつくり、対テロ作戦や地域の国々の安定化の努力を補う」活動だと説明しています。つまりMSOはMIOよりもっと広い活動を含んでいます。

 ここで言う「地域の国々」にイラクが含まれているのは明白です。米軍は狭い意味での「海上阻止活動」だけでなく、対イラク、対アフガン作戦を一体的に行っています。

 〇六年九月に海自補給艦「ましゅう」が給油した米強襲揚陸艦イオウジマの艦載機がアフガンを空爆したことは、十六日の参院予算委員会で石破茂防衛相が認めました(日本共産党の小池晃議員の質問)。イオウジマは同年十月にイラク攻撃も実施しています。

燃料追跡困難
 イラク戦争に参加する米艦船への「燃料転用」問題も絶えません。これについて米国防総省は十八日、海自の燃料の使途を追跡することは「複雑な作業となる」との声明を発表し、「艦船は複数の任務に就くこともある」と認めました。

 新テロ特措法案では、「テロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する諸外国の軍隊等の艦船」への支援を行うとしていますが、「目的外使用」を防ぐ担保は一切、盛り込まれていません。

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海自補給艦の給油活動
 海自は〇一年十二月以来、艦船用燃料とヘリ燃料、真水を米軍など十一カ国の艦船への洋上給油をインド洋上で行ってきました。(表)

 給油した艦船用燃料の総量は約四十八万四千キロリットル(今年八月末現在)で、約65%にあたる約三十一万キロリットルは、イラク戦争でフセイン政権打倒の戦闘が行われた〇三年五月までの時期に集中しています。

 同五月を前後して、米英だけだった給油対象国を大幅に拡大しましたが、給油量は激減しました。

 また、約八割にあたる三十八・五万キロリットルは米艦船向けのものです。〇六年以後、パキスタンへの給油回数が増えましたが、給油量は全体の4%程度です。  

回数 数量 金額
艦船用燃料 777 484000キロリットル 221億円
艦載ヘリ燃料 65 960キロリットル 5630万円
水 119 6530トン 696万円(8月末現在)
派兵費用(総額)  585億円(6月末現在)
          
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給油用の燃料はどこから?
 海自が給油しているのは艦船用燃料「軽油2号」で、給油総額は約221億円です。(8月末現在) 調達先はアラブ首長国連邦とバーレーンで、民間商社を通じて調達しています。防衛省は商社名について、「当該企業の正当な利益等を害するおそれがある」などの理由で公表していません。 インド洋で活動する各国艦船のうち、補給艦を派遣しているのは米英日の3カ国ですが、無償で燃料を提供しているのは日本だけです。

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政治解決への機運
 米軍主導の「対テロ報復戦争」でイスラム過激派のタリバンが追われた後、アフガニスタンでは復興過程が開始されました。

 その過程は、〇一年十二月のボン合意に基づく暫定統治機構の設置から始まり、〇四年一月の新憲法採択、同十月の大統領選挙、〇五年九月の総選挙と続きました。

 こうした経過のうえに、〇六年一―二月のロンドン国際会議では、アフガン政府と国際社会の“協約”となる「アフガニスタン・コンパクト」が合意されました。これが和平実現に向けた現在の行程表となっています。

話し合い模索
 ところが、これらの合意は当初から、(1)内戦の当事者であるタリバンが和平過程から排除されていること(2)治安対策が米軍主導の「不朽の自由作戦」やNATO中心のISAFに丸投げされ、和平過程と十分には結合されていないこと―という重大な問題を抱えていました。テロと報復攻撃の悪循環が拡大し、民間人がその巻き添えで犠牲となる事態が増大している大きな理由がここにあります。

 こうした中で、タリバンとも話し合って、和平を実現しようという動きが現れています。

 アフガン上院は五月八日、駐留外国軍に対して「掃討作戦」の中止を、カルザイ大統領にはタリバンとの直接和平交渉の開始を求める動議を採択しました。

 八月には、アフガニスタンと隣国パキスタンが、テロとのたたかいを進めるため、両国の政治家や部族長ら数百人を集めた会議(ピース・ジルガ)をカブールで開き、タリバンとの交渉を進めるべきだとの声明を出しました。

 カルザイ大統領も同時多発テロ六周年にあたる九月十一日、タリバンやその他の反政府勢力との「あらゆる話し合いに応じる用意がある」ことを表明しました。

 これに対しタリバン側は九月末、外国軍の撤退が前提条件だとして話し合いを拒否。しかし内外の報道によると、地方レベルではタリバンとの話し合いが進展し、行政機関に復権させて、和平を実現させている例も生まれています。

 戦争でテロはなくせないことが明確になった事態を受けて、タリバンとの和平交渉を促す声は、いまや派兵国の間にも広がりつつあります。

英の国防相も
 米国の最も忠実な同盟国とみなされてきた英国のブラウン国防相は九月、「アフガニスタンでは、ある時点で、和平過程にタリバンが関与する必要が出てくる」と明言。七百人の部隊を派遣しているデンマークのゲーデ国防相も最近、「すべての選択肢が試されるべきだ。もしもタリバンが武器を置き、民間人の殺害をやめ、連合軍攻撃を停止するのならば、タリバンを政治プロセスに組み込むことは試されるべきだ」とのべています。

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日本共産党はこう考えます
 日本共産党は9・11同時多発テロの直後に不破哲三議長(当時)と志位和夫委員長の連名書簡を各国首脳に送り、「テロ根絶のためには、軍事力による報復ではなく、法と理性にもとづいた解決」を呼びかけ、「対テロ戦争」は「さらにいっそうのテロ行為と武力報復の悪循環をもたらし、無数の新たな犠牲者を生み、事態を泥沼に導く危険があ(る)」と警告していました。

 アフガニスタンへの報復戦争が開始された直後には第二の書簡を送り、「いま必要なことは、テロ勢力との闘争を、一部の国による軍事攻撃と戦争の拡大という道から、国際社会の責任による制裁と“裁き”という道にきりかえることだ」と訴えました。

 いまアフガン国内で生じている政治解決への機運を踏まえ、志位委員長は十八日の記者会見で、「国際社会は、こういう動きをバックアップし、報復戦争から政治的プロセスによる解決を支援する方向に切り替える必要があります」と指摘し、日本政府は報復戦争支援の自衛隊を撤退させ、政治的解決のための外交的努力をすべきだと訴えました。

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 アフガニスタン 面積は日本のほぼ二倍で六十五万二千平方キロメートル。内陸国で、国土の四分の三は山岳地帯。人口は約三千万人で、パシュトゥン人が約四割を占める。99%がイスラム教徒。一九一九年に英国から独立。七三年に王制から共和制へ移行。七九年にソ連が侵攻し、アミン首相を殺害してソ連追随政権を樹立。八九年にソ連軍は撤退を完了したが、政情不安で九四年に内戦が全土に拡大。タリバンが台頭し、九八年にほぼ全土を支配した。二〇〇一年の「9・11同時多発テロ」を実行した国際テロ組織アルカイダをかくまっているとして、米国は同年十月に「対テロ報復戦争」を開始。タリバン政権は転覆され、十二月に暫定行政機構が発足。〇四年一月に新憲法が採択され、選挙をへて同年十二月にカルザイ氏が大統領に就任した。

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■アフガニスタン関連年表
1979年  
 12月   ソ連軍がアフガニスタンに侵攻し、カルマル政権樹立

1989年  
 2月   アフガンに駐留していたソ連軍が撤退完了

1998年  
 9月   タリバンがアフガンのほぼ全土を支配下におく

2001年  
 9月11日 対米同時テロ

   12日 安保理がテロを非難する決議1368を採択

   16日 米国が自衛隊の後方支援活動要請

   17日 日本共産党が各国政府首脳あてに書簡

 10月5日 テロ特措法案を提出

   7日 米軍がアフガン空爆開始。「不朽の自由作戦」(対テロ報復戦争)開始

   11日 日本共産党が各国政府首脳あてに第2の書簡

   29日 テロ特措法成立

 11月9日 海上自衛隊の艦船3隻がインド洋に向け出航

   27日 暫定政権協議のボン会議始まる

 12月5日 ボン合意成立

   7日 タリバンが最後の拠点カンダハルを撤退し、政権崩壊

   20日 安保理がアフガン国際治安支援部隊(ISAF)設立決議1386を採択

   22日 暫定行政機構が発足し、カルザイ議長が就任

2003年  
 3月20日 イラク戦争始まる

 8月9日 北大西洋条約機構(NATO)がISAFの指揮権を握る

     地方復興チーム(PRT)の活動が始まる

2004年  
 1月5日 新憲法採択

 10月9日 大統領選でカルザイ大統領選出

     ISAFが活動地域を北部に拡大(第1段階)

2005年  
 5月   ISAFが活動地域を西部に拡大(第2段階)

 9月18日 総選挙

2006年  
 1月31日 アフガン復興に関するロンドン会議開催

 5月   タリバンが攻勢に出始め、アフガン南部や東部で米軍などを攻撃

 7月31日 ISAFが活動地域を南部に拡大(第3段階)

 10月5日 ISAFが活動地域を東部に拡大(第4段階)し、全土を担当することに

 11月1日 テロ特措法が3度目の延長

2007年  
 8月9日 アフガンとパキスタンが「ピース・ジルガ」開幕

 9月19日 安保理が前文で海上阻止活動に謝意を示した決議1776を採択

 10月17日 新テロ特措法案を国会に提出

(出所:日本共産党HP 2007年10月28日(日)「しんぶん赤旗」)
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守屋前防衛事務次官 証人喚問

2007-10-31 01:19:47 | 国内政治
守屋前防衛事務次官 証人喚問

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 米艦船への給油量をめぐる情報隠ぺい問題や、軍需専門商社「山田洋行」の宮崎元伸元専務との癒着問題が焦点とされた守屋武昌前防衛事務次官への証人喚問。29日の衆院テロ特別委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員をはじめ各議員の追及で明らかになったことは…。


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給油量隠ぺい
米側と口裏合わせ
 防衛庁・自衛隊内で当時発表の給油量(二十万ガロン)が誤りだと気づきながら、今年九月に市民団体が指摘するまで隠ぺいしていた給油疑惑。赤嶺氏は、イラク戦争への転用に深くかかわる問題として、守屋前事務次官に、この事実関係を厳しく迫りました。

 二〇〇三年五月、イラク戦争に参加した米空母キティホークの艦長は「海上自衛隊から八十万ガロンの給油を受けた」と発言しました。赤嶺氏は、この問題を国会で追及した当事者です。当時の福田康夫官房長官、石破茂防衛庁長官は、防衛庁が「米側に確認」した結果として、“イラク作戦には使用されなかった”“給油したのは二十万ガロンだった”とのべ、アフガンでの「対テロ報復戦争」(「不朽の自由作戦」)支援であったことを強調していました。

 当時、防衛局長として、この大臣答弁の要綱を作成し、米側への確認にあたったのが守屋氏です。

 赤嶺氏は、守屋氏が米側に具体的事実関係をどう確認したのかを追及しました。

 赤嶺 あなたはキティホークが、いつからいつまで「不朽の自由作戦」に従事していたかを確認したか。

 守屋 あのー、大変恐縮ですが、当時のことについては記憶が…。

 赤嶺 (一連の)キティホークの行動を確認しなかったのか。

 守屋 日程とか、そういうことについてですね。まったく、あの、覚えておりません。

 転用疑惑の核心となるキティホークの行動の確認については、しどろもどろになり「覚えていない」を連発し、事実関係を何一つ示せない守屋氏。一方、守屋氏が米側に「確認した」と認めた唯一の事柄は、「給油の目的外使用はないとはっきりさせてほしい」と要望したことだけでした。

 赤嶺 あなたはアメリカ側に事実関係を確認したのではなく、「テロ特措法の趣旨を外れていないとアメリカ側にいってほしい」、こうお願いしたということですね。

 守屋 テロ対策特措法は、テロの抑止活動に従事する艦船に給油をするというのが法律の目的ですから、給油されたアメリカが、その目的の中で油を使っているということをはっきりしてほしい、ということを申し上げました。

 守屋氏は、駐日米大使館の公使に「疑惑をまねくので、しっかりとしてほしい」と要請したことも証言。結局、米側と口裏合わせをしていただけだったことを認めました。守屋氏の証言からは、当時の福田官房長官、石破防衛庁長官の発言に何の裏付けもなかったという事実が明らかになりました。


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商社と癒着
宴席に複数政治家
 防衛庁長官経験者を含む複数の政治家が、軍需専門商社「山田洋行」の宮崎元専務と守屋前事務次官との宴席に同席していた―。守屋氏の証言は軍需企業との癒着が官僚だけでなく、政治家にも広がっていることを明らかにしました。

 政治家の同席を追及したのは、赤嶺氏でした。

 赤嶺 元専務と飲食した際、政治家が同席したというのは、一人ですか複数ですか。

 守屋 一人ではなく複数だったと思います。いろんな政治家のおられる席に元専務がいたというような会議の仕方もあるし、少数の席に一人の先生(政治家)がおられて私が入ったこともあります。

 守屋氏によると、政治家を交えた宮崎元専務との宴席は、事務次官在職中の「去年か、おととし」のことでした。その政治家とは―。

 赤嶺 大臣経験者はおられたわけですね。

 守屋 はい、おられました。

 赤嶺 大臣経験者か長官経験者ですか。

 守屋 防衛庁長官経験者もおられたと思います。

 赤嶺 「長官も」とおっしゃいましたが、防衛大臣(経験者)もおられたという理解でいいのですね。どなたですか。

 守屋 いつごろか記憶がはっきりしていないので、特定の名前をあげるというのはご迷惑をおかけするので控えさせていただきます。

 同席した政治家は誰か、元専務への便宜供与はなかったのか、癒着の全容解明が求められます。

 証人喚問では、元専務による守屋氏への接待攻勢の実態も明らかになりました。

 元専務とのゴルフについて、守屋氏は「明らかに自衛隊員倫理規程違反であり、接待だと認識していた」と語り、十一年ほど前からその回数は「二百回を超えている」と明らかにしました。また、「私と妻のゴルフセットをいただいた」と証言。提供は、ゴルフを始めたころと四、五年前の二度にわたっていたといいます。

 夏休み、冬休みを利用した元専務との家族ぐるみの旅行についても「資金は元専務がお払いになったと思う」と語り、妻への接待は「(元専務から)バッグをもらったということは聞いている」「赤坂のカラオケクラブに二、三度連れていっていただいた」などとしました。

 そのほか、お歳暮、お中元、海外旅行のおみやげもやりとりしていました。


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給油量隠ぺいの経過
2003年
2月25日 海自補給艦「ときわ」が米補給艦ペコスに約80万ガロンを給油、ペコスからイラク戦争に参加する米空母キティホークに約67.5万ガロンを給油。
2月26日頃 海幕防衛部運用課担当者が給油量を取り違えて入力(防衛省報告)
3月20日 イラク戦争開始
5月6日 空母キティホークの艦長が記者会見で「海上自衛隊から補給艦経由で約80万ガロンのディーゼル燃料を受け取った」と発言。
5月7日 日本共産党の小泉親司議員(当時)が参院決算委で艦長証言についてテロ特措法違反だと追及。石破茂防衛庁長官(当時)は米側に確認したとして流用を否定。
5月8日 石川亨統合幕僚会議議長(当時)が記者会見で、「海自から米補給艦(ペコス)に約20万ガロンの補給を実施」と発言。
5月9日 海幕装備部需品課担当者、防衛部防衛課長に誤りを指摘。防衛課長は「キティホークへの間接給油問題が鎮静化しつつあったことを考慮し」上司や内局への報告をせず。
同  日 福田康夫官房長官(当時)が記者会見で、海自補給艦「ときわ」から米補給艦ペコスへの給油量を「約20万ガロン」である旨説明。「キティホークの燃料消費量は1日20万ガロンで、(海自提供の燃料は)ほとんど瞬間的に消費してしまう」とイラク作戦への転用疑惑を否定。

5月15日 小泉親司議員、参院外交防衛委で再び給油問題を追及。石破長官は給油量について、米補給艦に「20万ガロン」と答弁。
5月16日 衆院安保委で日本共産党の赤嶺政賢議員が給油問題で質問。
2007年
9月20日 市民団体「ピースデポ」が給油量の誤りを指摘。
9月21日 防衛省、 03年2月のペコスへの給油量を80万ガロンに訂正
10月10日 日米両政府がイラク転用疑惑を否定
10月17日 新テロ特措法案を閣議決定
10月22日 防衛省が給油問題をめぐる報告書を提出

宴席に防衛長官経験者
守屋前次官が認める
衆院証人喚問 赤嶺議員が追及

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 守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問が二十九日、衆院テロ特別委員会で行われ、守屋氏は、軍需専門商社「山田洋行」による接待に、自身だけではなく、防衛庁長官経験者を含む複数の政治家も同席していたことを認めました。日本共産党の赤嶺政賢議員の追及で明らかになったものです。

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給油量 米に疑惑否定要請

 赤嶺氏が「山田洋行」の宮崎元伸元専務による接待に同席していた政治家をただしたのに対し、守屋氏は「(政治家は)複数だったと思う」と答弁。時期は「去年か一昨年ではなかったかと思う」と述べ、「いろんな政治家がいる席に宮崎さんも入っていた」場合と、「少数の席に一人の先生(政治家)がいた」場合が各一回あったことを明らかにしました。

 政治家の中には「防衛庁長官経験者もいた」と述べましたが、赤嶺氏が名前を明らかにするよう迫ったのに対し、「特定の名前を挙げるのは迷惑をかける」と証言を拒否しました。

 また守屋氏は、与党議員の質問に、宮崎氏からのゴルフ接待は十一年間におよび、総数では二百回以上にのぼることも明らかにしました。宮崎氏からは、ゴルフセットを二回にわたってもらったほか、ネクタイをもらう代わりに守屋氏もワインやたばこを贈るなどの密接な関係だったことも認めました。

 さらに海上自衛隊の補給艦がインド洋で米軍補給艦に給油した量を約二十万ガロンだと偽りの説明をし、「誤り」に気づきながら情報を隠ぺいしてきた問題で守屋氏は、発覚した二〇〇三年五月に、在日米大使館公使に「(法違反の)疑惑を及ぼす可能性があるので、そういうことはないと米政府としてきちっといってほしい」と求めたことを明らかにしました。

 これに応えて米側から、法の目的外使用はないとする回答が防衛省に届いており、日米両政府が口裏合わせをしていたことが浮き彫りになりました。

 しかし、赤嶺氏が実際の給油量が約八十万ガロンだったことを隠ぺいしていた問題を追及すると、「覚えていない」「承知していない」という答弁を何度も繰り返しました。赤嶺氏は「ここにきて、記憶にないというのは許されない」と批判しました。


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疑惑深まった 再喚問を
市田氏会見
 日本共産党の市田忠義書記局長は二十九日、国会内で記者会見し、同日、衆院テロ特別委員会で行われた守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問について「ますます疑惑が深まったというのが印象だ」と述べました。

 市田氏は「二つの大事な問題が明らかになった」と指摘しました。

 一つは、守屋氏が、接待を受けた軍需専門商社「山田洋行」の元専務との宴席に、旧防衛庁の長官経験者が同席していたことを認めたことです。

 市田氏は「守屋氏は、相手に迷惑がかかるからといって名前はいわなかったけれども、明らかになれば迷惑がかかるような話し合いがその宴席で行われていたということだ」と指摘。「官僚と軍需産業との癒着だけではなく、政界との癒着が明らかになった」と強調しました。

 第二には、“テロ特措法の目的以外には油は使われていない”ということをアメリカ大使館と口裏合わせしたことを喚問の中で自ら明らかにしたことです。イラク戦争に参加した米空母キティホークの艦長が、二〇〇三年五月の記者会見で“海上自衛隊から約八十万ガロンの給油を受けた”と述べ、海自の補給した油がイラク戦争に流用されている疑惑が大問題になった際、守屋氏はアメリカ大使館に、給油量が二十万ガロンか八十万ガロンだったかを確かめていませんでした。

 市田氏は「その後、当時の福田康夫官房長官や石破茂防衛庁長官は、“米側に確認したら、二十万ガロンだった”といったが、実際には確認していなかったということが明らかになった。米側に問い合わせを行ったのも当時、防衛局長だった守屋氏だったし、米側からの返事を受けたのも守屋氏だった」と述べました。

 最後に市田氏は、「衆院での守屋氏の再喚問、参院での喚問がますます必要になってきている」と強調。当時の防衛事務次官や官房長など他の関係者七人も国会によぶべきだと主張しました。

(出所:日本共産党HP 2007年10月30日(火)「しんぶん赤旗」)
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NHK「日曜討論」-日本共産党・市田書記局長の発言ー

2007-10-30 07:50:54 | 国内政治
NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言

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 日本共産党の市田忠義書記局長は二十八日、NHK「日曜討論」に出席し、守屋武昌前防衛事務次官の軍需関連商社との接待・便宜供与疑惑、海上自衛隊補給艦の給油量隠ぺい問題、消費税増税問題について、自民党の伊吹文明、公明党の北側一雄、民主党の鳩山由紀夫、社民党の又市征治、国民新党の亀井久興の各党幹事長と討論しました。司会は、NHKの影山日出夫解説委員。

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守屋氏問題の背後に「政・軍・財」癒着の構造が
 二十九日に守屋氏の証人喚問が行われることについて、伊吹氏は「事実を解明して、(新テロ特措)法案を速く通すための一助にしたい」などと発言。これに対し市田氏は、防衛省と軍需関係商社との癒着という根本問題を指摘しました。

 市田 守屋さんは、軍需関係の商社とゴルフ、マージャン、飲食をともにした。航空自衛隊の次期輸送機CX(のエンジン調達=五十機配備予定)は、いろんな部品も含めると一千億円といわれている。それが山田洋行から分かれた日本ミライズに受注できるように口利きした疑いがもたれている。守屋さんというのは単なる一役人ではなくて、防衛局長もやり、事務次官を四年間以上やっています。これは異例の事態です。そういう意味では防衛行政がゆがめられた疑いが強い。

 私ども調べてみましたが、軍需産業の契約上位十五社に、防衛省から四百七十五人が天下りしているんです。自民党の政治資金団体である「国民政治協会」に十五社のうちの十一社から約一億九千万円の献金が行われています。そういう意味では「政・軍・財」の癒着がなかったのかどうか、その疑惑も含めてきちんと解明する。構造的な問題が背後にある疑いが大変強いと思っています。

給油量の隠ぺい工作の疑い――国会で明らかに
 議論は、海自補給艦による給油量の隠ぺい問題に及び、伊吹氏は「NHKだって誤報はある。人間には誤りがある。本当に誤りであれば謝罪しなければいけない」と述べました。これに対し、市田氏はこう述べました。

 市田 日本の防衛政策の基本にかかわる重要な事実の問題の隠ぺいの疑いが非常に濃い。事実は、キティホークの艦長と司令官が帰還したときに、「八十万ガロンを日本から間接的に給油を受けた。感謝する」ということを言った。これが二〇〇三年の五月六日です。その翌日に当時の福田康夫官房長官が“アメリカに問い合わせたけれどもイラク戦争には使われていなかった。念のためにもう一度確認する”と(述べた)。そしてその翌日には“二十万ガロンだった。二十万ガロンは瞬間的に使ってしまうのだからイラク戦争への転用はありえない。アメリカ側に確認した結果だ”と記者会見しました。五月十五日には、当時の日本共産党の参院議員の小泉親司氏が石破さん(防衛庁長官=当時)に質問したんです。そのときも、“アメリカ側に問い合わせしたら、日本は二十万ガロンしか給油していない”と答弁したんです。アメリカ側がうそをついていたのか、同じようにアメリカ側にも日本と同じように記録のミスがあったのか、確かめもしないで勝手にいったのか、確かめたけれども細かいことは確かめないでイラク戦争への転用はないという言質だけとったのか。防衛省の誰が、アメリカの誰に対して何を確認したのかをはっきりさせないといけない。単なる事務上のミスでは済まされない問題です。

 当時石破さんは防衛庁長官で、福田さんは官房長官。わざわざ答弁や記者会見の際に、「アメリカに確認した」といっているのだから、これはイラク戦争には使われていないという前提があって、つじつま合わせのために八十万ガロンでは困る、二十万ガロンでなければならないと言った疑いが極めて濃い。

 これに北側氏は「当時、福田官房長官や石破防衛庁長官が知っていて、故意に隠ぺいしたとは私は考えていない。トップに対して報告をしなかったところに大きな問題がある」と発言。市田氏は次のようにのべました。

 市田 福田官房長官や石破防衛庁長官が知っていたとは言っていない。彼らは“アメリカ側に確かめたらこうだった”といっている。これほど大事なことは、アメリカ側に確かめたのなら、当然事務方にも確かめますよ。しかも防衛政策課長が答弁の準備をした。官房長官の記者会見用のメモもつくったといわれている。その上にいる人が守屋防衛局長(当時)です。それを福田さんや石破さんが大事な国会答弁や記者会見のときに、わざわざ確かめたといっているのだから、八十万ガロンでは都合が悪いから二十万ガロンといった疑いが濃い。それを含めて国会で明らかにする必要がある。

戦争でテロはなくならない――貧困、干ばつ、医療支援を
 給油活動を継続する新テロ特措法について、北側氏は「わが国の国際社会における役割をどうするかという大きな議論だ」と発言。これに対し市田氏はこう発言しました。

 市田 世論はどうなったか。アメリカを中心にした報復戦争で、テロはなくなったかという問いに対して六割の人がそうではないと最近の世論調査でも答えている。この六年間、いったいアフガンの状態はどうなったかを見ると、国連のオフィシャルな報告でも、去年と比べてテロリストによる暴力は二割増えたと述べている。一年間で民間人が千人も殺されている。戦争や暴力ではテロはなくならない。

 日本は給油をしているが、給油した油が海上阻止活動だけに使われているのではなく、アフガンへの空爆にも使われている。国会でわが党が証拠を示したら、政府も認めざるを得なかったんです。油の入り口は一つでも出口は三つだ。アメリカの作戦というのは海上阻止活動だけではなくて、イラク戦争とアフガンへの空爆、この三つを一体としてやっています。区別のつけようがないんです。しかもいまカルザイ政権もタリバンと対話をしながら和平の方向へ行こうとしている。国連もそういう勧告をしている。戦争や戦争への協力ではなくて、そういう和平の方向に切り替えるべきです。そして貧困、干ばつ、医療などへの支援を行うことが大事です。

“財源といえば消費税”の考えを改めるべきだ
 基礎年金の国庫負担引き上げ、また基礎年金をすべて税金でまかなうために、消費税を増税するという経済財政諮問会議での民間議員の提案について議論になりました。伊吹氏は「いまは消費税を上げるという決断はしていない。(消費税増税は)今後の予測次第だ」と発言。市田氏は財源の根本問題をただしました。

 市田 基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるための財源をどうするか。政府・与党は定率減税の廃止と年金課税の強化ででてくる二・七兆円をあてるんだと、選挙の公約でもビラで書いているんです。ところが、借金返済にも回したから、まだ五千百億円しか投入されていない。借金返済というならなぜこの期間に大企業や大資産家への減税を四兆円もやったのか。財源というとすぐ消費税という考え方は改めるべきです。

 消費税は、負担能力に無関係に全部からとる。税金は家計部門、企業部門それぞれから支払い能力、負担能力に応じてとるものです。負担能力があるところは税金をまけて、支払い能力のない庶民には増税と負担増を強いる。こういうやり方ではなく、大企業、大資産家の優遇税制を改めることが必要です。それからどこの党も言わないが、軍事費の無駄遣いにメスを入れる。たとえば米軍再編経費の三兆円、グアムに基地を造るために七千億円。そんな税金は削るべきです。

(出所:日本共産党HP 2007年10月29日(月)「しんぶん赤旗」)
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少子高齢化社会を庶民負担増で乗り切ろうとする人物との税制、予算論議ーその2-

2007-10-29 23:54:46 | HN:wakuwaku_44=わくわく44
共産党やそれを支持する人たちは、よく「民主的○○」と呼びますが、『何をもって「民主的」というのか』がアバウトすぎます。要するに、「労働者や社会的弱者側に立っているぜ」というイメージを与えるために使っているだけなのだろうと推測されますが、自由主義経済推進者はおろか、共産党を除く福祉政策を推進している人からも相手にされていない論なので、こんなのは無視するのがベターです。


直接税と間接税のことをいろいろ述べた方がいますが、時代背景というか、社会背景を考えない税制度というのはありえません。

maiさんが反発するであろう、株譲渡益についてお話します。(笑)
株譲渡益に対する課税は20%から10%に引き下げられました。
これは、日経平均株価が7000円台にまで下がったことを背景に、株式市場活性化のために行われたというのが1つの背景としてあります。

しかし、もう1つの背景もあります。

バブル絶頂期の日本企業は、その資金調達を融資に依存していました。
家計に例えるならば、「住宅ローン・車のローン・冷蔵庫やエアコンもローン、ベッドや洋服もローンで買っていた。」ということです。ローンは金利をつけて返さなければなりません。しかも、収入が減っても免除されることはありません。そういう状態に日本企業はあった、ということです。

自己資本を増やそうというのは、「住宅や車みたいなのはローンで買うが、冷蔵庫やエアコン、洋服とか、できるだけ給料で買えるようにしよう。」というものです。もちろん、家計と違って、上場株は配当という株主への還元がありますから、まったく同じというわけではありませんが、基本的な考え方としては、こういうことです。

つまり、株譲渡益税の引き下げとは、「貯蓄から投資へ」ということで「企業が借金に頼らないで、安定的に経営ができるようにする」ことに誘導したということでもあるのです。

株譲渡益についてお話しましたが、税というのは、経済や社会に多大な影響を与える要素ですから、単純に「直接税中心でやれ、累進課税を強化しろ」とはいえませんし、逆に「累進税率を引き下げろ、不足分は消費税で賄え。」ともいえません。
ゆえに、自民党や公明党の案のみならず、民主党、共産党、社民党の考えもまた、全面的に否定できないが肯定もできない。どこが最も最大公約数となるのか、という作業が必要となってくる、という話なんですね。
by wakuwaku_44 (2007-10-24 05:31)

maiさんへ

>国保料は本当に高いです。高い保険料を払った上にさらに、窓口で3割(高齢の方は所得によりますが、人によっては2割)負担。ためいきが出ます。

おそらく医療費の自己負担の話だと思いますが、国保も社保も、今は一律3割ですね。
社会保険組合は赤字が多くなってしまい、「組合の倒産」が懸念される状況にまで陥っています。そのため、診療報酬の改定や薬価差益問題等、どんどん切り込んでいっているわけですが、持続が難しいので負担も増やしている、というのが現状です。

ただ、maiさんに考えていただきたいのは、『そもそも、保険っていうのは、不幸になったときに使うものなんだ』ということを忘れちゃいけないということです。

『不幸が発生しても、できるだけその損害を防げる保険制度(=自己負担が1割とかに戻る)の整備』も大切です。そうじゃないと『安心して生活する』ことができません。
しかし、『不幸自体、できるだけ発生しない条件づくり(=予防)の整備』も大切です。そもそも病気なんて誰もしたくないですし、事件や事故もあって欲しくないわけですから。

国民レベルで「予防」に取り組むことを同時並行で行えば、「ひとり当たりの保険支給額が増額=自己負担の減少」と「保険支出の総額の減少」が実現できるかと思います。
この方向に向かうことが大切なんじゃないかなって思いますね。

(自己負担を軽減することについては、私はmaiさんに賛成です)

by wakuwaku_44 (2007-10-25 11:47)

maiさんへ 財政について

>私は財政について、「こうあるべきだ」というほど深く勉強しているわけではありません。

基本的に「こうあるべきだ」というのはないですよ。
目標、課題、社会情勢、必要性、実現性など、いろんな角度から検証し、最高のパフォーマンスを実現するための財政ですから。

例えば、お子さんが小学生のときと中学生のときでは、「使い方」は異なると思います。また、家の収入によっても「使い方」は異なってくる。
雨が降れば傘が必要ですし、寒いときはコートが必要、汗がたくさん出る季節にはシャツがたくさん必要になる。

だから、税や財政の問題というのは、私も「絶対にこうすべきだ」と断言できる自信がないほど難しいんです。

by wakuwaku_44 (2007-10-25 11:56)

 またもや、wakuwaku_44 は不労所得のギャンブル経済を煽る反民主主義的な発言を繰り返してますね。

 「株譲渡益税の引き下げとは、「貯蓄から投資へ」ということで「企業が借金に頼らないで、安定的に経営ができるようにする」ことに誘導したということでもあるのです。

株譲渡益についてお話しましたが、税というのは、経済や社会に多大な影響を与える要素ですから、単純に「直接税中心でやれ、累進課税を強化しろ」とはいえませんし」

 自己資本を増やすには、ギャンブルを煽り、「貯蓄から投資へ」政策誘導するという最悪の主張です。民主主義税制は上でも述べたように、「貯蓄から消費生活と労働条件向上へ」なのです。ゆえに、単純に「直接税中心で総合累進化全でやれ」ということなのであり、どのような時代であれこれが人間らしい民主主義税制の原則としての法です。

 wakuwaku_44は時代や状況によって、ギャンブル経済による不労所得を拡大し、大衆課税、庶民増税である消費税を引き上げる暴力を行使するということです。

by 東西南北 (2007-10-28 06:02)

 参考です。wakuwaku_44によれば、以下のようなものも時代背景や状況によっては認めるんです。彼は人間失格であり、反民主主義経済主義者です。

 自民党の「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」(会長・野田聖子衆議院議員)が昨年六月「ゲーミング(カジノ)法案基本構想」を打ちだし、超党派での議員立法提出をねらっています。

 これまで構造改革特区法にもとづいて、何件もの「カジノ特区」が提案されてきましたが、カジノは刑法第185条(賭博罪)、186条(常習賭博罪)で禁止されているとして政府も認めていません。

 そのため、大阪府知事など五都府県がカジノ実現のための特別法の検討を政府に要望、03年には東京、神奈川、静岡、大阪、和歌山、宮崎の6都府県の担当者で「地方自治体カジノ研究会」がつくられ、15道府県がオブザーバー参加しています。鉄鋼やゼネコンなど大企業でつくる日本プロジェクト産業会議(JAPIC・会長・千束晃新日本製鉄会長)も、世界各地のカジノを調査し、報告書を発表し、後押ししています。

 地方財源が大幅削減され財政がきびしくなるもとで、地方経済の活性化、観光産業の振興、雇用創出などの切り札としてカジノ合法化を求める動きがあります。しかし、カジノ解禁は暴力団の介入、青少年育成への悪影響、ギャンブル依存症の増加、治安悪化など社会的にも多くの問題があります。カジノが税収を増やし、雇用を創出するとしてバラ色に描くのはあまりにも空想的です。地方財政がいくら大変だからと言っても、カジノ=賭博を活用して地域経済を活性化しようなどということは本末転倒です。

 カジノが国内で1カ所でも認められるならばその利用者は国内外に広がり、その影響は国全体に広がることになります。

by 東西南北 (2007-10-28 06:07)

株式市場の存在意義は、企業が自己資金を調達することと、株価が高くなると、増資しやすくなりますし、融資枠も増えます。
あと、株主は企業への発言権を持つことになりますから、ガバナンス(統治)の上でも意味があります。

「投資家」というのは、その企業を成長させることに意義を感じます。
もちろん、責任も負うわけですから、ゼロ配当も覚悟です。もっとも、事業提携と責任の分担を目的に株を譲渡される企業は、配当も株譲渡益も考えていません。
上場までの「成長」を応援する投資家も、配当は問題にしておらず、キャピタルゲインに期待はしていても、当然「株が紙くずになる」という覚悟もしています。

ギャンブルとは「投機」を指しますが、一部の乱高下する「安く手に入る」銘柄の企業でもない限り、ギャンブルはそもそも「ありえません」。
なぜなら、個人でそこまでのカネがある人などほとんどいないからです。機関投資家も、投資する資金そのものを顧客から預っているわけですから、ギャンブルに使えるはずもない。企業単位だと、そもそも「会社のカネであって自分のカネではない」ので、これも投機に使うわけにはいかない。

こういう実態を知らずして、「最悪の主張」だの「反民主主義的発言」だのとほざく東西南北氏の考えというのは、おそらく「自分で会社つくるな。既存企業に勤務しなさい。」というものなんでしょう。
まぁ、「投資じゃなくて貯蓄で」ということで、東西南北氏は銀行を応援したいんでしょうね、おそらく。融資は企業業績に関係なく、融資に対する金利をもらえるんですから。

by wakuwaku_44 (2007-10-28 11:35)

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BSE全頭検査どう考える?ー自治体に対する3年間の補助金16億円は無駄か?-

2007-10-28 05:49:14 | 国内政治
記者の目:BSE全頭検査は税金の無駄=小島正美(生活報道センター)
 ◇ピッシング・扁桃こそ肝要--実態報告せぬ国、無責任

 BSE(牛海綿状脳症)問題で01年10月に牛の全頭検査が始まって6年がたった。国が来年7月末で生後20カ月以下の牛については検査を一斉にやめるよう求めているのに対し、自治体からは検査の継続を望む声が強い。なぜ、こんなねじれが生じているのか。

 世界中で日本だけがいまも「検査すれば安全」という神話に取りつかれている。私は5年前にも、この欄で「全頭検査の意味と限界が正しく国民に伝わっていない」と訴えたが、いまの状況は当時と変わっていない。

 なぜ、検査が安全性を確保する手段にならないかを説明したい。図を見てほしい。4頭とも、BSEの原因となる異常プリオンたんぱくを体内にもつ感染牛だ。異なるのは異常プリオンの存在する部位だ。

 現在、食肉処理場で行っている検査法は、牛の脳みその一部(延髄)を取って、そこに異常プリオンが見つかるかを調べている。この検査法では、異常プリオンが脊髄(せきずい)や腸、舌扁桃(ぜつへんとう)にあったり、脳内蓄積量が少ない場合には、感染は発見できない。このため、全頭を検査しても、4頭のうち3頭(B~D)は市場に出荷されている。

 特に若い牛だと発見できる可能性がゼロに近いため、厚生労働省は2年前「20カ月以下の牛は検査対象から外す」とした。しかし、自治体から全頭検査の継続要望が強く出され、結局、検査費用に補助金を出し、全頭検査が続いている。

 感染牛が計100万頭以上も発生した西欧諸国でさえ、全頭検査は実施していない。検査をしても感染牛の一部しか見つからないからだ。

 これに対し、日本では当時の農林水産相らが「全頭検査は世界一厳しい検査だ。これで安全」と説明したため、国民は「全頭検査で安全が確保される」と信じてしまった。

 では、何が安全性の対策かといえば、主に危険部位の除去と飼料規制だ。日本の食肉処理場でも危険部位を除去しているが、気がかりなのがピッシングと危険部位の舌扁桃だ。

 ピッシングは牛が暴れないよう頭部にワイヤ状の器具を差し込み、脳組織を破壊する作業だ。もし感染牛にワイヤを差し込むと異常プリオンが血液に流れ、肉を汚染する可能性があるため、欧米では絶対禁止となっているが、日本ではいまだに半分近い処理場が実施している。

 舌の奥にある扁桃は、欧米では切除法を決めて大幅に切除しているが、牛舌を食べる習慣のある日本では統一した切除法がなく、どこまできっちりと除去されているかは不明だ。危険部位の背骨とその神経組織も食肉処理場の外まで流通しているが、どこでどう廃棄されているかの実態報告はない。こういう肝心な点の議論がおろそかにされてきたのは、全頭検査への過信があったからだ。

 現在、国内では年間約125万頭の牛が検査され、うち20カ月以下の牛は約16万頭だ。検査費用の補助金として推定で年間約2億円を支出してきた厚労省もついに「もはや貴重な税金を効果のない対策に使うわけにはいかない」と補助打ち切りを決めた。

 ところが、自治体からは補助継続の大合唱だ。ある自治体が独自に全頭検査を続けた場合、検査済みと検査なしの牛肉が店に並び混乱が起きるといわれるが、検査で合格したからといって感染していないという証明にはならないわけだから、どちらを買っても同じだ。むしろ私にとっては、検査済みの肉は無駄な税金を使ったとの表示に映る。

 検査の有無よりもピッシングの有無、舌扁桃の切除法の表示こそが知りたいが、肝心なことは全く知らされない。

 ある自治体担当者は「全頭検査の無意味さは分かっているが、国民が全頭検査を信じ込んでいるのでどうしようもない。国がはっきりと全頭検査の限界を説明しないと事態は動かない」と話す。全く同感だ。

 01年の発生当初、私たち記者に厚労省の担当者は、「30カ月以上の検査で十分だ」と答えていたが、その後、政治的な論議の中で「国民の不安解消に全頭検査をする」という具合に変わった。当時はやむを得なかったにせよ、6年もたってまだ国民が信じているのは、政府の説明があいまいで不十分だからだ。

 国民が全頭検査を信じているなら、無駄な税金投入も安心料としてやむを得ないという見方もあるが、それではあまりにも悲しい。検査をすることでBSEの発生頻度を知りたいなら、西欧並みの30カ月以上で十分だ。

(出所:毎日新聞 2007年10月2日 東京朝刊)
 

 〈問い〉BSE(牛海綿状脳症)全頭検査について、税金のムダだという意見がありますが、どう考えますか?(茨城・一読者)

 〈答え〉厚生労働省は、来年の7月末まで実施されるBSE全頭検査のための補助金を来年8月以降打ち切ることを決めました。これに対して、全国の関係自治体や消費者団体、農業団体から全頭検査体制を維持するため、補助金の継続を求める声が広がっています。

 これまでの経過を見てみましょう。食品安全委員会は、2005年5月に、プリオン専門調査会の「中間取りまとめ」で「20カ月齢以下のBSE感染牛を確認することが出来なかったことは、今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である」としたことを受けて、検査対象牛を21カ月齢以上にしても問題ないとの答申を出しました。

 しかし、この答申は、米国産牛肉の輸入を進めるために、全頭検査を拒否している米国政府の要求を受け入れた結果ではないかと強い批判が出されました。

 答申を受けて、厚生労働省は、05年8月から検査対象牛を21カ月齢以上としましたが、全国の自治体は、自主的に全頭検査を維持したのです。そして、全頭検査体制の維持を求める国民の強い声を受けて、政治的に全頭検査を継続している自治体に対する3年間の補助制度が決まったのです。

 牛海綿状脳症(BSE)は、未解明な点が少なくない人類が初めて遭遇した新疾病です。それだけに、牛から人への感染を防止するためには、食用にする牛のBSEに感染しているかどうかの全頭検査が、有効であることは、プリオンを解明しノーベル賞を受賞したプルシナー教授だけでなく、国内の有力なプリオン研究者も主張しています。その有用性は、依然変わりません。

 もちろん、全頭検査だけではなく、完全な危険部位の除去や脳にワイヤを差し込むピッシングの中止も重要です。それらを完全におこなって、私たちの食の安全・安心が、確保されるのです。

 ピッシングについていえば、現在88%の牛肉がピッシング未実施の施設で生産されており、08年度末でピッシングを実施する施設はなくなる予定です。

 全頭検査を税金のムダと声高に主張する論者もいますが、補助額は、総額で16億円にすぎません。検査キットの値下がりで、さらに必要額は下がる可能性があります。

 全頭検査は、食の安全安心を支えるもので、国内の牛肉生産にとってもその振興となっています。全国の消費者の大多数が国産の牛肉の安全性を確信するまで継続すべきです。(小)

 〔出所:日本共産党HP 2007年10月27日(土)「しんぶん赤旗」〕
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浜岡原発訴訟静岡地裁判決-柏崎原発の教訓を無視し、無謀な立地を追認ー

2007-10-28 05:40:30 | 労働裁判
柏崎原発の教訓を無視
浜岡原発訴訟静岡地裁判決
M8級想定震源域の直上
無謀な立地を追認

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 マグニチュード(M)8級の巨大地震の震源域にある浜岡原発。世界の常識では考えられない原発の立地条件です。M6・8の新潟県中越沖地震は、柏崎刈羽原発に「想定外」の被害をもたらしました。中部電力の主張を全面的に受け入れた静岡地裁の判決は、柏崎刈羽原発の教訓を無視したもので、安全を求める国民の声にはこたえていません。(中村 秀生)

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 原発の耐震設計をめぐっては、柏崎刈羽原発が今年七月に新潟県中越沖地震の被害を受け、実際の地震の揺れが、設計で想定した揺れを大きく上回りました。現在の原発耐震設計の想定の甘さが露呈しました。

 原発構内のいたるところで地盤沈下や崩落、亀裂が発生。調査では、すでに約三千件もの事故や損傷が確認されています。変圧器火災で実証された消火体制の不備、放射性物質の漏えい事故のほか、原子炉の“ブレーキ”にあたる制御棒が取り出せなくなるなど、原発中枢部の変形を示唆する安全上重大な事故も発生しました。

 柏崎刈羽原発の揺れを全国の原発にあてはめた場合に、浜岡原発を含む全原発で、想定した耐震設計値が小さすぎることがわかりました。

 中越沖地震は全国どこででも起こりうる規模の地震であり、原発の耐震設計を根本的に改める必要性を示しています。想定される東海地震の規模ははるかに巨大なものです。

 耐震性にとって、原発の老朽化も問題です。浜岡原発1、2号機は、それぞれ一九七六、七八年に運転を開始し、もともと三十年程度といわれていた原発の寿命にきています。老朽化原発では、中性子を浴び続けることによって材料が劣化し、配管の亀裂や減肉が発生し、耐震強度が低下します。老朽化した原発の耐震性を確かめた実証データはありません。

 国民を重大な危険にさらす恐れのある浜岡原発は運転を停止して、予想される東海地震に備えることが必要です。

スタートから間違い
 茂木清夫・東京大学名誉教授(前地震予知連絡会会長)の話 東海地震という、マグニチュード8級の巨大地震の震源の真上に原発をつくるということ自体、スタートのところから間違っていました。マグニチュード8はおろか、マグニチュード7の地震でも、確実に起こることがわかっているところに原発をつくるなど、世界中どこにもありません。

 東海地震が起こる可能性があることは一九六九年に私が初めて指摘しました。1、2号機はその直後に申請が出され、数カ月で許可が出ています。そんなことで十分地下の様子がわかるはずがありません。

 なぜ、こういう原発の立地によいとはとても思われず、地震予知のために法律までつくったところへ、急いで、しかも5号機まで次々とつくったのか。裁判では、そういう基本的な議論をすべきでした。今回の判決で、こうしてつくられた原発の運転が今後も続けられることは納得できません。

 原発は、チェルノブイリ原発事故の例にみられるように、それ自身の危険性を注意すべきものとされています。このようにただでさえ危険なものを、基盤が不安定で大地震が起こることがほぼ確実とされているところにつくることの是非を考えてほしいと思います。

 しかも、地震を含む破壊の問題はまだまだ不明な点が多く、断定的にその安全性をいえる状況にはありません。

疑問なんら解消せず
 原発問題住民運動静岡県連絡センター事務局の岡村哲志氏の話 不当判決で残念。判決が原子炉施設の設置、設計及び運転は各種審査基準に適合し、中電の想定以上の地震はないと言い切っていることも不当だが、私たち住民運動側が問題にしている国の基準の不十分さや想定される地震動での耐震安全性について十分にこたえていない。また、中越沖地震における世界初の原発震災発生をうけ「浜岡は大丈夫?」と不安を感じる県民の疑問をなんら解消するものではない。

事実に目ふさぐ判決
 原発問題住民運動全国連絡センターの伊東達也・筆頭代表委員の話 一九九五年の兵庫県南部地震以来、日本では、国や電力会社がおよそ現実的には考えられないといってきた想定地震の揺れを上回る地震が六回も発生しています。その六回目となった七月の新潟県中越沖地震では東京電力の柏崎刈羽原発が大きな被害を受け、7号機では原発の安全に直結する制御棒の異常が見つかるなどしています。

 老朽化も深刻です。東京電力の福島第一原発6号機では二〇〇〇年七月に発生した茨城県沖の地震で震度4相当の揺れだったにもかかわらず配管が破断する事故が起こっています。東京電力は、老朽化が原因だったと認めています。老朽化した原発では、地震によって重大な事故が起こりうることを示しており、判決が老朽化は耐震安全性に影響がないとしていることは到底受け入れられるものではありません。

 今回の判決は、地震列島の日本で現実に発生しているさまざまな問題を無視したもので、事実に目をふさぎ国と電力会社の言い分だけをうのみにした不当判決です。

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判決骨子
 一、安全評価審査指針が定める評価方法に問題はない。

 一、浜岡原発の耐震安全性は確保されている。

 一、浜岡原発の地盤は堅固で、地震発生時に安全性に影響を及ぼす変化は考えられない。

 一、点検、検査で腐食によるひびの発生を捕捉できる体制が整っている。

 一、浜岡原発の運転で原告らの生命、身体が侵害される具体的危険はない。

(出所:日本共産党HP  2007年10月27日(土)「しんぶん赤旗」)

浜岡原発停止認めず 『被ばく死』遺族無念

『運転止めたかった』 勤務の息子を白血病で失う
 原告の市民団体が全面敗訴した26日の浜岡原発運転差し止め訴訟。詰めかけた支援者の輪の中に、原告とは別の立場で肩を落とす人がいた。神奈川県横須賀市の嶋橋美智子さん(70)は、浜岡原発で働いていた長男を白血病で失った。「息子のような犠牲者をこれ以上出したくなかった。止めてほしかった」。曇り空の下で唇をかんだ。

 浜岡原発の炉心下で8年余、計器の保守を担当した長男伸之さん=当時(29)=は1991年、白血病で亡くなった。被ばく線量から放射線被ばくとの因果関係が認められ、94年7月に労基署から労災認定を受けた。

 浜岡では唯一、伸之さんが認定を受けた。原発労働者の問題を社会に問う先駆けとなったが、息子の死は美智子さんの人生を変えた。

 「会社は労災補償額にほぼ見合う3000万円の弔慰金を支払う。遺族は労災申請しない」。葬儀後に、中電の孫請けだった勤務先からこのような趣旨の覚書を手渡された。

 その後、伸之さんが持っていた「放射線管理手帳」に、死の翌日付で勤務先が被ばく線量の値など7カ所を訂正しているのを見つけた。いったんは覚書に署名したが「なぜ死んだのかはっきりさせたい」と労災申請を決意した。

 原発問題に詳しい藤田佑幸・元慶応大助教授は「大半は雇う側が金で解決する。労働者側も労災は認められないと受け入れてきた」と説明する。

 原発で年に一度、義務づけられた定期点検では、多数の労働者が炉心近くまで入って点検や洗浄作業を行う。浜岡原発の炉心付近で約20年働く男性(56)は「放射線を浴びざるを得ない仕事だから仕方ない。自分だってこの先、発病するかもしれない」と話した。

労災めぐり会社不信、今も
 放射線被ばくの可能性がある現場に従事している「被ばく労働者」の数は、伸之さんが亡くなった当時とほぼ横ばい(6万-7万人)だが、現在まで労災認定は9件にとどまる。被ばく線量と発病との因果関係の解明が難しいからという。

 美智子さんは息子を失うまで、原発で被ばくするとは思いもよらなかった。生前に気づいてやれなかった悔いと「被ばく死」を隠そうとした会社への不信感は今も消えない。

 静岡地裁前で「不当判決」の垂れ幕が掲げられると静かにうなだれた。「被ばく労働者がいて初めて稼働するのが原発。原発は夢のエネルギーともてはやす人もいるけれど、判決を機にこの現実だけでも知ってほしかった」と話した。

 元請けの中部電力は今も、伸之さんの死と被ばくとの因果関係を認めていない。(静岡総局・森本智之)

(出所:中日新聞 2007年10月28日)
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テロ根絶は法と道理で-「国連テロ対策委員会」-

2007-10-28 05:31:36 | 国内政治
テロ根絶は法と道理で
衆院委で笠井議員 外相「反対しない」

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 日本共産党の笠井亮議員は二十六日の衆院外務委員会で、テロを根絶するためには、どのような手段が有効で、法と道理にかなうのかという角度から、日本外交のあり方をただしました。

 笠井氏は、昨年九月の国連総会で国連として初めての包括的対テロ戦略決議である「地球規模の対テロリズム戦略」が採択されるなど、この間、テロを“法の裁き”によって根絶するための国際社会の一致した努力がすすめられていると指摘しました。

 外務省の梅本和義大臣官房審議官は、国連加盟各国のテロ対策能力を向上させるための「国連テロ対策委員会」には、百九十二の国・地域が報告書を提出しており、その報告総数は六百九十七件(日本は五件)に上ることを明らかにしました。

 笠井氏が「こうした活動は『国際的なテロリズムの防止及び根絶の活動』であり、日本の貢献の重要な内容だ」と述べて政府の認識をただしたのに対し、高村正彦外相も「全体的に(笠井)委員の考えに反対するものではない」と認めました。

 笠井氏は、アフガニスタンでは米軍の掃討作戦によって治安情勢が悪化していると指摘。一方で、同国のカルザイ大統領自身が紹介しているように、タリバンを含む反政府勢力と交渉を始める動きもあるとのべ、「この『平和と和解のプロセス』を促進するために、日本はどうしようとしているのか」とただしました。

 高村外相は「タリバンのすべてがビンラディンみたいな人ばかりではない。ある意味で将来的な国民的和解が必要なのは事実だ」とのべました。

 笠井氏は、米軍の報復戦争・タリバン掃討作戦と、それを支援し続けている日本政府の姿勢が「和解のプロセス」を阻んでいること指摘し、根本的転換を迫りました。

(出所:日本共産党HP 2007年10月27日(土)「しんぶん赤旗」)

 〈問い〉 テロや、凶悪犯罪がふえ、不安です。日本共産党はこれにどう対処すべきだと考えていますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 凶悪犯罪がふえ、身の回りでも空き巣やひったくりなどが起き、治安への不安がひろがっています。ところが、いまの日本の警察のなかでは、言論機関や市民運動などの監視、弾圧をおこなう警備・公安警察が、予算や体制などでいまだに幅をきかせています。しかも、組織ぐるみの裏金づくりが明るみに出ても、警察は自ら真相を明らかにしようとしません。

 警察官に週休2日制が導入された際、必要な人員増がされなかったため、空き交番が増えています。警察の一番の仕事は市民生活の安全を確保することです。日本共産党は、警察官を市民生活の安全の分野に適正に配置し、足りない場合は最小限必要な警察官を増員し空き交番を即時に解消するなど、警察の体質、体制を改革していきます。

 テロの根絶は、いま、人類生存の条件になったといえるほど、切実な問題です。罪のない人びとを恐怖に陥れるテロは、いかなる理由があっても、絶対に許されません。日本共産党は、この間、テロ対策に有益な条約、法律に賛成してきましたが、今後とも必要な対策の整備を求めていきます。

 国際的なひろがりをもつテロに対処するためには、国際的な協力によって、情報の収集を国の内外で徹底し、テロ集団の資金の流れを抑えていくことが決定的です。そのために、テロ資金供与防止条約、核物質防護条約をはじめ、テロ対策の基本を規定した12の条約、関連する国内法の厳格な実施を求めます。

 テロはどんなものであれ許されないのは当然ですが、テロに対するアメリカの報復戦争は逆にテロの土壌をひろげています。貧困や飢餓、大国による国際的無法行為が、テロの口実となっています。

 この口実をなくしテロリストを孤立させること、そのために、国連憲章の平和ルールの確立、人道支援分野での政府開発援助(ODA)の充実、異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の確立が大切です。(政)

 〔出所:日本共産党HP 2005年9月8日(木)「しんぶん赤旗」〕

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全国学力テスト結果-教育むしばむ危険直視を-

2007-10-27 02:01:55 | 国内教育
主張
全国学力テスト結果
教育むしばむ危険直視を

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 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が公表されました。

 基礎的な知識についてはおおむね理解はあるが、知識の活用には課題があるというのが主な内容です。朝食を家族と一緒にとる子どもの割合など、生活面のデータもあります。

全員受けさせる必要なし
 結果の多くはすでに知られていることです。どうみても抽出調査で十分でした。テストの結果自体が、七十七億円もの税金をつかい、子どもや家庭のプライバシー侵害の危険までおかして全員に受けさせる必要がないことを証明したといえます。文科省は全員参加の理由に「子どもに答案を返して指導する」を加えましたが、「四月のテストの結果を今ごろ返されてもしょうがない」という声があがっています。

 直視すべきは、国が全員参加型学力テストを計画・実施したことが、県や市独自の同様の学力テストの呼び水となり、全体として競争と序列化、授業の統制などの深刻な実態をうんでいることです。

 東京都足立区はホームページで区独自の学力テストの学校順位を公表し、平均点を各学校の予算に連動させました。学校はいっせいテストで何点取れるかの競争にさらされ、教員は「テスト当日点数が取れない子が休むとホッとするようになった自分が怖い」というほど追いつめられました。ついには校長等が点をあげるために不正工作をおこない、区民の厳しい批判で成績順の公表、予算連動ともに中止となりました。

 文科省は「序列化につながらない取り組みが必要」といいましたが、実際には都道府県ごとの平均点を公表して順位競争をあおっています。多くの自治体は学校順位の公表をしない意向ですが、公表の動きもあります。あらためて序列化に走らないように訴えたいと思います。

 学力テストの結果が金科玉条となり、そのことで毎日の授業がゆがむことはいっそう深刻です。

 独自の学力テストを小二から始めたある県でのことです。低学年の子どもは一生懸命、順番に問題を解きます。終了のベルがなり「先生待ってー」の悲鳴のなか答案を回収。採点、結果分析は業者です。教員は「あなたのクラスはここが弱い」とデータが示され、その改善策の提出を求められます。「漢字が弱い」と示された教員は「漢字の問題は後のほうなので無回答が多い。指導したいことはほかのところなのに」と憤ります。

 こんなやり方が横行すれば教員のやる気をそぎ、子どもの学習がやせ細るだけです。今回の結果も、ここが弱いから強めよ式の「改善のポイント」が多く示されています。文科省でさえ今回の結果は「学力の一部」とし、専門家からは設問自体への疑問も表明されています。「ポイント」はあくまで参考意見であり、教員に強制することは許されません。

競争ではなく条件整備を
 世界と日本の優れた教育実践の流れは、いま広がりつつある学力テスト体制の方向とは正反対です。「学力世界一」で注目をあつめるフィンランドは、いっせいテストなどの競争的なやり方をやめ、学びあい助けあいを大切にしています。教育内容について国のガイドラインはありますが、教員に大幅な自主性が認められています。二十人学級などの手厚い教育条件の整備にも熱心です。

 子どもの成長のため、全国学力テストの中止、教員増や少人数学級などの条件整備、教員の自由・自主性の保障を実現するために力を合わせることが重要です。

(出所:日本共産党HP 2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」)
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こんなのあり?! 財界の“試算”ー軍事費増・企業減税は手つけず消費税は増税ー

2007-10-27 01:58:58 | 国内経済
こんなのあり?! 財界の“試算”
軍事費増・企業減税は手つけず
消費税は増税

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 「二〇二五年に消費税17%が必要」などの数字がひとり歩きしています。火元は、十七日の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)に、御手洗冨士夫キヤノン会長(日本経団連会長)ら民間議員四氏が提出した試算です。しかし、よくみると、おかしなことが次々と…。


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社会保障費だけ抑制
 この試算は御手洗経団連会長も「極端なモデルを置いて計算している」(二十二日の記者会見)と認めるものです。

 経済成長率などいろいろなパターンを想定していますが、結論は二〇一一年度で最大六・六兆円の増税が必要で、二〇二五年度には最大三十一兆円の増税が必要になるという試算です。

 増税分をすべて消費税で賄うとすれば、二五年度には消費税を12%引き上げて17%にする必要があることになります。

 増税の名目は「財政再建」と「社会保障」です。ところが、これだけの増税を想定して、社会保障が充実されるのかといえば、そうではありません。「高負担、低福祉」のシナリオです。

 社会保障については、年金、介護保険、医療の改悪がすすみ、舛添要一厚生労働相さえ「社会保障の歳出抑制に、ほぼ限界がきている」(十七日の経済財政諮問会議)と言わざるをえない現状です。ところが、今後も一一年度まで社会保障費を毎年二千二百億円ずつ抑制し続け五年間で一・一兆円(国と地方で一・六兆円)抑制する計画です。

 二五年度時点ではどうでしょう。厚生労働省の見通しでは、社会保障の給付費は国内総生産(GDP)比で19・0%です。〇三年度の18・6%と比べほとんど変わりません。制度改悪による給付削減効果を見込んでいるからです。日本のこの水準がいかに低いかは、スウェーデン31・9%、フランス29・1%、ドイツ28・4%(いずれも〇三年、厚生労働省資料)と比べればわかります。




「2つの聖域」そのまま
 社会保障の給付は低い水準に抑えこむ計画なのに、なぜ巨額の増税が必要だとの試算結果が出てくるのか。これには、カラクリがあります。

 「財政再建」や経済成長率の設定の是非をめぐる議論は自民党内でも盛んです。もっと大きな問題は「二つの聖域」にメスを入れる姿勢がまるでないことです。軍事費と大企業減税です。

 いまでも五兆円規模の軍事費は、一一年度までは「名目伸び率ゼロ以下」(政府の「骨太の方針2006」)が方針。要するに五兆円規模を維持するということです。米軍再編経費については「検討し、必要な措置を講じる」(同)と別枠扱いです。一二年度以降について試算は、軍事費や公共投資は「名目成長率で増加」することを前提にしています。

 これだと、たとえば軍事費は二五年度に八兆円規模に膨れ上がりかねません。公共投資も「削減」から「増加」への転換です。

法人税増税は対象外
 一方、歳入をみると、必要な増税は「消費税と所得税半々」とされています。庶民増税ですべて賄うという発想で、大企業などが納める法人税は、はじめから増税の対象外にされています。いかにも財界代表らが提出した身勝手な試算といえます。

 日本経団連は〇八年度税制「改正」提言でも、消費税については「当面2%程度、二〇一五年度までにはさらに3%程度の引き上げ」を主張。その一方で、地方税を含む法人実効税率は現行の約40%から30%をめどに引き下げることをはじめ、連結納税制度など企業減税の拡充を求めています。

 自民党財政改革研究会の与謝野馨会長(前官房長官)も「消費税の議論を正面からせざるを得ない」とし、「日本が経済で競争している国は法人税率を下げる傾向にある。その時、日本の法人税率を上げる議論はできないだろう」(「読売」二十日付)と、はじめから大企業に負担を求める考えがありません。

 資本金十億円以上の大企業はバブル期の二倍近いもうけ(経常利益)をあげているのに、税負担はわずかながら減っています。ゆきすぎた大企業減税のためです。日本共産党が提案するように、法人税率を十年前の水準(法人税37・5%=現行30%、法人事業税12%=現行7・2%)に戻すだけでも四兆円の財源が生まれます。

 財界主導の試算は、大企業減税と軍事費にメスを入れることなく、ひたすら消費税増税に導こうとするもの。国民にとっては、社会保障の給付費は削られ、大増税が襲いかかる最悪のシナリオです。

身勝手すぎるゾ 財界

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 消費税は最大17%に引き上げることが必要と庶民を脅し、大企業減税はもっとやれと政府に迫る―財界の身勝手な要求が目立っています。

 日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長ら民間四氏は、十七日の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)に、二〇一一年度に最大で六・六兆円の増税が必要になり、二五年度には最大三十一兆円の増税が必要になるとの試算を示しました。増税分をすべて消費税で賄うとすれば、それぞれ2・5%程度引き上げて7・5%、12%程度引き上げて17%にする必要があることになります。

 一方、日本経団連は〇八年度税制「改正」提言で、地方税を含めた法人実効税率を現行の約40%から30%に引き下げることを主張。また、10%に引き下げられている上場株式の譲渡益・配当の軽減税率(本則20%)をさらに延長するように求めています。一部高額所得者を優遇し、大企業の株価を押し上げようとする狙いです。

 御手洗会長は、法人税減税の財源を問われて「われわれのビジョン(『御手洗ビジョン』)に二〇一一年までに(消費税を)2%、一五年までに3%ぐらい上げると明確に書いてある」(二月二十六日の記者会見)と明言したことがあります。消費税率引き上げによる財源で、大企業などが納める法人税をさらに減税せよという主張です。

 トヨタ自動車、キヤノンなど前・現日本経団連会長の出身企業をはじめ、大企業がバブル期を超える空前の利益をあげるなか、大企業にこそ応分の負担を求めることが課題となっています。

(出所:日本共産党HP 2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」)
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自公政権・福田内閣1カ月ー政権交代するしかないー

2007-10-27 01:56:33 | 国内政治
福田内閣1カ月
「背水の陣」浮上せず

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 福田内閣は二十六日で発足から一カ月を迎えます。参院での与野党逆転を受け、みずから「背水の陣内閣」と銘打って政権立て直しに臨んだものの早くも支持率は下降気味です。

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支持率下降
官僚に八つ当たり
 「国会運営は自民党だけの力では及ばない。野党と話し合いをしていく新しい道筋をつくることが、わたしの大きな使命だ」。福田康夫首相は二十五日の自民党幹事長・政調会長会議で、改めて野党側との話し合いを強調しました。

 参院での与野党逆転の構図は福田内閣発足時からの大きな“呪縛(じゅばく)”です。

 海上自衛隊の給油活動の継続問題や政治資金規正法改定問題などで、しきりに与野党協議をうちだすものの奏功せず。支持率も「毎日」世論調査で前月比11ポイント減の46%、日本テレビの調査も6・1ポイント減の54・7%と下落しました。

 福田首相は「身内の一体感を重視する」(政府関係者)として、秘書官や閣僚との関係を重視。国会答弁も官僚の作文を棒読みするなど依存が目立ちます。ところが、「政治の信頼回復」と言っているそばから、海自の幕僚監部の給油量の隠ぺいや守屋武昌前防衛事務次官の接待疑惑が次々浮上。

 海自の隠ぺい問題では「とんでもないことをしてくれた。組織全体が疑われ、わたしまで疑われる」(二十二日)として、頼っていた官僚に八つ当たりするありさまです。

「構造改革」
消費税増税へ傾斜
 「改革路線は変わらない」。福田内閣は、参院選での惨敗をうけ、高齢者医療費負担増の一部「凍結」を打ち出すなど、一部の政策のとりつくろいはするものの、弱肉強食の「構造改革」の推進という基本路線は変わりません。

 日本共産党が、社会保障費の自然増を毎年二千二百億円も削る政策の転換を求めると、舛添厚労相は「二千二百億円のシーリングは限界にきている」と述べ、だから「消費税(増税)を選択肢に」と発言。政策の破たんを認めながら、“それなら消費税増税を”という立場です。

 福田内閣としても消費税増税の姿勢を一段と鮮明にしています。「安心できる社会保障・税制改革に関する政府・与党協議会」を立ち上げ、「閣僚と与党が一体となって、消費税を含む税制改革や医療・年金の水準維持などの財政再建について総合的に議論する」(首相官邸ホームページ)としています。

戦争支援
説明できず逆ギレ
 「いくら議論したって賛成とは言わないんでしょ」(十六日、参院予算委員会)。報復戦争ではテロが根絶できず、逆に事態を悪化させている事実を突き付けた日本共産党の小池晃政策委員長の追及に、福田首相は逆切れしました。海外派兵、アフガン報復戦争支援に固執し、まともに説明ができない状況に追い込まれているのです。

 政府は、新テロ特措法案での給油支援は、「海上阻止活動」を実施している米軍に限ると説明しますが、米軍はインド洋でアフガン作戦、イラク戦争、「海上阻止活動」を一体で行っているのが実態。米国防総省の声明も「(米軍)艦船は複数の任務につく」と認めましたが、政府は「アメリカを信頼している」(高村正彦外相)と答弁するだけです。

 一方、北朝鮮問題の対応で福田首相は「不幸な過去を清算し、核、拉致、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、日朝国交正常化を実現する」(四日の衆院本会議)と答弁。強硬姿勢を示した安倍前内閣とは異なる立場も示しています。

「政治とカネ」
疑惑解明はせず
 「何事も隠さず、説明する」。政治姿勢として福田首相はこう強調します。しかし、前内閣で大問題となった閣僚をはじめとする「事務所費」、領収書付け替えなどの疑惑はなにも明らかにされていません。

 福田首相自身に持ち上がった大量の領収書変造疑惑にも「汗顔(恥じて顔に汗をかく)の至り」というのみ。疑惑解明にのりだす姿勢はみられません。

 守屋前事務次官と軍需専門商社との癒着が発覚し、「入り」をめぐる癒着の構造解明も不可欠になっています。

(出所:日本共産党HP  2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」)
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