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ソニー、三菱重工業、NTT西日本、三菱電機、パナソニックなどへ派遣労働者らが直接雇用を求める労働運動

2009-02-28 03:43:35 | 国内労働
ソニーに直接雇用指導を
長崎 派遣21人、労働局に申告

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 ソニー長崎(ソニーセミコンダクタ九州)で一月末解雇された労働者が二十六日、長崎労働局に対し、労働者派遣法に基づく直接雇用の指導、勧告などを求める申告をおこないました。

 申告したのは、全労連・長崎県労連に加盟する県一般労組ソニー長崎ワールドインテック分会組合員の二十一人。働いた期間は最も長い組合員で九年六カ月、最短で七カ月です。

 申告の理由として▽ソニー長崎における業務請負は偽装請負であり、実質的には派遣労働で製造業における一年(二〇〇七年三月から三年)の派遣労働期間制限に違反している▽ソニーには直接雇用の義務があるにもかかわらず、派遣元であるワールドインテックを通じた直接雇用の申し入れを拒否した―ことなどを上げ、労働局がソニーに対し勧告するよう求めています。

 県労連によれば、組合員はソニー社員と混在して働き、業務指示も社員から受けていたとして偽装請負だと指摘。その期間も含め派遣期間とみなすべきだとしています。

 また、派遣期間は個々人ではなく、同一の製造ラインで判断されるものであり、雇用期間が制限期間未満であっても直接雇用の義務があるとしています。

 申告した組合員は、「半導体ラインは簡単に請け負えるような仕事ではない。ワールドインテックには、そのような知識はない。ソニーの偽装請負は明らか。労働局は法律にのっとってやってほしい」と話しました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月27日(金)「しんぶん赤旗」)

直接雇用の勧告ぜひ
三菱重は責任果たせ
滋賀

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 三菱重工業工作機械事業部(滋賀県栗東市)で働く派遣社員の二人は二十五日、期間制限の三年を超えて派遣されているとして、滋賀労働局が三菱重工に対し、直接雇用の勧告などを行うよう申告しました。

 二人はいずれもプレミアライン社(本社・東京都中央区)の派遣社員。一人(39)は二〇〇二年十一月から三菱重工で働き、三月までの雇い止めを通告されています。別の一人(51)は二〇〇五年二月から雇用され、今年一月末で解雇されました。二人とも偽装請負も含めて六年五カ月、四年それぞれ働いています。

 二人は、全日本造船機械労働組合三菱重工支部の組合員。

 三十九歳の男性は、三菱重工の職制から一年前に直接雇用すると言われ、返事を待っているところでした。「三菱は社内では法令順守をいつも口にしながら、自分たちが法律を守らないというのは恥ずかしい。社会的責任を果たしてほしい」と話します。五十一歳の男性は「三菱は、人を大事にしてほしい」と語っています。

兵庫でも労働局へ3氏
 兵庫労連傘下の西播地域ユニオン労働組合の三人の派遣労働者が二十四日、派遣の期間制限を超えて働かされているとして、派遣先企業が直接雇用するよう勧告などを求める申告書を兵庫労働局に出しました。

 三人はそれぞれの派遣先に直接雇用を申し入れましたが、拒否されたため申告したものです。労働局は調査を約束しました。

 姫菱テクニカ株式会社で派遣社員として働いていた男性(37)は、今年一月末で雇い止めになりました。偽装請負の期間を含めると派遣期間は、三年を超え、「いつかは正社員になれるとがんばってきました。裁判も含め最後までたたかいたい」と話します。

 雇用契約が残っているのに二月末で解雇通知をうけた男性(57)は、二十年前から派遣社員として株式会社ニチリンで働いてきました。日本化薬株式会社で働く男性(49)も偽装請負を含め派遣期間は三年七カ月です。

 同行した同労組の撰梅忠雄委員長は、「二十年間も派遣社員として働かせていたとは言葉が出ない」と話しています。

(出所:日本共産党HP 2009年2月26日(木)「しんぶん赤旗」)

直接雇用求め集団申告
労働局に

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3年未満の人も受理
愛知で3人
 名古屋北部青年ユニオンの四人の労働者が二十四日、愛知労働局を訪れ、そのうち三人が「派遣先企業が直接雇用を申し入れないまま解雇するのは違法」として、各派遣先企業に対して調査、是正、勧告するよう申告しました。

 四人は三菱重工など四社で派遣労働者として働いていましたが、今年解雇や契約解除を通告されました。

 三菱重工で十三年間派遣社員などとして働いた男性(52)は「三年以上働いたら正社員になれるという説明は受けたことがない。正社員になった同僚は誰もいない」と訴えました。

 NTT西日本で働いた男性(42)は二年間、三菱電機で働いた男性(33)は八カ月間、派遣社員として働きました。派遣法の期間制限は、労働者個人ではなく業務に適用され、いずれの企業も同一業務の職場に派遣社員を三年以上受け入れていることから申告しました。

 労働局側は申告を受理し、調査を約束しました。

 パナソニックエコシステムズで三カ月間働いた男性(33)も情報提供をして申告は後日行うことにしました。

 同ユニオンでは「派遣期間三年未満の労働者が申告を受理されたことは、多数の派遣労働者に直接雇用の道が開かれることになる」と話しています。

 申告には、日本共産党の八田ひろ子県副委員長(衆院東海比例予定候補)、木村えみ愛知1区予定候補、わしの恵子名古屋市議らが同行しました。

偽装請負期間も算入
京都で9人
 日産系自動車製造部品会社「ジャトコ」京都工場(京都市右京区)の製造ラインで働く派遣労働者九人が二十四日、三年を超えて働かされているのは労働者派遣法に違反しているとして、京都労働局にたいして直接雇用の指導、勧告を求めて申告しました。

 申告したのは、三年三カ月働いた「プレミアライン」の六人と四年二カ月、四年六カ月働いた「サーミット工業」の三人。いずれも、二十代、三十代の青年で、同工場で働く労働者でつくる全日本造船機械労働組合三菱重工支部の組合員です。

 派遣切りを伝えられた昨年十一月、十二月、これらの労働者は次々と組合に入り、今回の申告につながりました。プレミアラインの六人は偽装請負の期間を含めています。

 同組合の野村政勝書記次長(68)は「国会で共産党志位委員長の質問によって切り開かれた『偽装請負も派遣期間に通算する』ことをさっそく活用し、直接雇用の波を起こしていきたい」と話します。

 申告した京都市に住む労働者(31)は「出戻りなので前も含めたら六年になる。十年なんて人もいる。こんな申告制度があることすら知らず、びっくりした。前回は何も言えずにいたが、今回はこうしてたたかえる」と語っています。

(出所:日本共産党HP 2009年2月25日(水)「しんぶん赤旗」)

非正規切り阻止で連携
労組ネット栃木結成へ
全国初 所属の枠超え

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 非正規切りを許さず安定した雇用をめざして非正規雇用労働者の労働組合が連携して活動しようと「非正規雇用労組ネット栃木」が来月一日、栃木県内で結成されます。

 栃木県労連の呼びかけに、いすゞ自動車やホンダ、キヤノンなど同県内の七つの非正規労働者の組合がこたえたもので、二十三日、県庁で記者会見しました。労働組合の所属を超えたネットワークづくりは全国でも初めてです。

 参加労組は、キヤノン非正規労働者組合宇都宮支部、JMIUいすゞ自動車支部、同栃木地域支部(ホンダ)、とちぎコープ労組パート部会、自治労連栃木公務公共一般労組、JMIU東武スポーツ支部(オブザーバー参加)で、栃木県労連がサポート組織として加わっています。

 情報交流や裁判、団体交渉などで相互支援したり、派遣切りをやめさせ、セーフティーネット拡充などを求めて企業や自治体などに働きかけていきます。

 いすゞ支部の松本浩利委員長は「これまで横の連携が少なかったので多方面で協力していきたい。あきらめている人にもぜひ参加してほしい」と発言。キヤノン宇都宮支部の大野秀之支部長は「非正規労働者が会社の都合で切られるのは許されない。他団体と協力してやっていきたい」と語りました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月24日(火)「しんぶん赤旗」)

賃金支払いが優先
派遣会社倒産 佐々木議員に財務相
衆院財金委

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 日本共産党の佐々木憲昭議員は二十四日の衆院財務金融委員会で、倒産した派遣会社の売掛金を国税庁が差し押さえた問題を取り上げ、「労働者の命、生活を守る立場で是正せよ」と求めました。与謝野馨財務相は、労働者の賃金は税金の回収よりも優先するとの見解を示しました。

 佐々木氏は、経営不振で倒産した派遣会社にたいし、税務当局が滞納した税金を取り立てるために、同社の売掛金を差し押さえた事例を示しました。

 佐々木氏は、「派遣会社の売掛金には、同社が労働者に支払うべき賃金が含まれている」と指摘。「税金よりも賃金の支払いを優先すべきだ」と主張しました。

 与謝野財務相は「私が弁護士なら、労働債権をまとめて回収し、租税債権より先取特権があることを主張する」と答弁。税金の回収よりも、労働者の賃金支払いが優先するとの考えを示しました。その上で、法律の適用については「妥当性が必要だ」と指摘し、行政も柔軟に対応する必要があるとの見解を述べました。

 佐々木氏は、企業が倒産した際の「未払い賃金の立て替え払い制度」について、計算の基準が狭すぎることや支払いまでに時間がかかる問題について、「労働者の生活を守る立場で改善を」と求めました。

 これにたいし厚生労働省の渡延忠大臣官房審議官は、「対象賃金には、超過勤務手当も対象になる」と答弁。立て替え払いに要する時間についても「早期実施について強力に取り組む」と述べました。

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 未払い賃金の立て替え払い制度 企業が倒産したために、賃金が支払われないまま退職した労働者にたいし、その未払い賃金の一定割合を支払う制度。労働者健康福祉機構が企業に代わって支払います。

(出所:日本共産党HP 2009年2月26日(木)「しんぶん赤旗」)

下請け切り・いじめ是正を
検査官の体制強化など要求
笠井議員

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 日本共産党の笠井亮議員は二十六日の衆院予算委員会で、親企業からの一方的な受注減や単価切りが横行し、全国各地で深刻な「下請切り・いじめ」がまん延している実態を告発し、緊急に是正するよう政府に求めました。

 笠井氏は、東京大田区の中小企業からの「取引先からの値下げ要請が激しく、限界まで下げたが転注された」などの声を紹介し、「下請けいじめの横暴を許していいのか」と二階俊博経済産業相に迫りました。

 笠井氏は、「書面調査」や、中小企業庁長官が親事業者を調査し事実が認められる場合は、公正取引委員会に適切な措置をとるよう求める「措置請求」の実施状況、取り締まる専任の検査官の体制について取り上げました。

 中小企業庁や公取委による書面調査は「四年に一度」しかなく、検査官は双方あわせて百三十三人の体制でしかないことが判明。また、措置請求の実施は「過去二十年で年間二件を超えたのは本年度だけ」(中小企業庁)であることも明らかになりました。公取委の竹島委員長は、検査官の増員について「下請けいじめが多発することもあり、努力している」と答えました。

 笠井氏は、百三十三人で「どうやって六十万社もの下請事業者を守れるのか。体制を緊急に強化し、すべての親事業者への調査をおこない、検査官も抜本的に増やすべきだ。措置請求を含め行政の権限をフル活用すべきだ」と重ねて主張。二階氏は、「ご指摘は十分考慮する。下請けの皆さんを守る、中小企業庁の大きな役割であると認識して対処してまいりたい」と答えました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月27日(金)「しんぶん赤旗」)

最低賃金を引き上げれば、中小企業が困るのでは?

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 〈問い〉 「最低賃金を引き上げれば、中小企業が困る」という声がありますが、どう考えますか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は、最低賃金で働いても貧困にならない社会、人間らしい生活のできる最低賃金制の実現を求めています。貧困というのは、国際的には、国民の平均的所得の5割以下の所得しかないことですから、こうした社会を実現するには、最低賃金を平均的賃金の5割を目標に引き上げる必要があります。その水準は、時給にするとだいたい1000円です。ですから、労働団体がかかげる「時給1000円以上」の要求には合理的根拠があり、日本共産党は、これを支持しています。

 ご質問の件については、志位和夫委員長が国会で指摘したところです(衆院予算委員会、2月13日)。日本共産党の基本的考え方は、最低賃金の抜本的引き上げを、中小企業の経営をまもる対策と同時並行にすすめる必要がある、ということです。

 実は、最低賃金制と中小企業の関係は、最低賃金制の創設を審議した1958年の国会でも議論になりました(法制定は59年)。最低賃金制は中小企業の経営を圧迫するから、最低賃金制を施行する以前に、中小企業対策を先行させるべきだという問題が提起されたのに対して、岸信介首相は「むしろ並行してすすめるべきだ。この制度が施行されて、中小零細企業の劣悪な労働条件が改善され、能率もあがり、事業も安定し、過当の競争もなくなるということが、むしろ中小企業の対策としても効果があるし、それによって混乱を生じることはない」(参院本会議、58年2月21日)と答弁しています。安倍首相もこの立場に立つ必要があります。

 この点で、大企業による単価の買いたたきなど、下請けいじめを横行させている政治の責任が問われなければなりません。日本一の大もうけをあげているトヨタ自動車が、下請けに「韓国価格」「アジア価格」という超低単価をおしつけ、次々と倒産に追い込むような無法をやめさせる必要があります。

 中小企業を痛めつけている規制緩和万能論を抜本的に見直すことも必要です。規制緩和されたタクシー事業では、宮崎、大分、高知、島根の4県で、タクシー労働者の平均賃金が最低賃金を下回っています。明らかな違法状態が広がっています。

 不要不急の大型公共事業を見直し、地域密着型の公共事業に転換することによって、中小企業の仕事を増やし、営業をまもる政策に本腰を入れなければなりません。最低賃金を引き上げる中小企業への助成金や無利子の融資も必要でしょう。

 最低賃金を引き上げれば、労働者の収入が増えます。それが消費を増やし、地元企業の売り上げ増につながり、日本経済を草の根から温めていく力になっていくと考えます。

 なお、最低賃金を大幅に引き上げているEU諸国では、中小企業振興策が手厚く、中小企業の経営を圧迫するといった問題は、生じていません。(筒)

(出所:日本共産党HP 2007年3月7日(水)「しんぶん赤旗」)

最低賃金時給千円にしたら中小企業はつぶれる?

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 〈問い〉 日本共産党は「全国一律最低賃金制、時給千円以上」を主張していますが、今でもぎりぎりの経営である私たち零細企業はとてもやっていけません。この点をどう考えていますか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 いま日本では年収200万に満たない人が1000万人を超え、貧困が深刻な問題となっています。全国一律の最低賃金を定めることは「国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法25条)にてらし、国民生活の最低基準を示す重要な意義をもっています。

 全労連の試算では、首都圏で暮らす若年単身労働者(20代)の最低生計費は、月額23万3801円(税・社会保険料込み)、時給にすれば1554円、手取りは19万1406円です。ところが、08年の地域別最賃は最も高い東京でも766円です。最低賃金で暮らす「最賃体験」に挑戦した宮城県の労働者(最賃639円)は、「食事は2食で外食禁止、家賃1万円以下」などでなければ、とても暮らせないと報告しています。

 国民生活の最低基準を確保する立場から、日本共産党は、速やかに最低賃金の時給を千円以上に引き上げるべきだと考えています。全労連も連合も同様の要求をしています。

 では、中小企業が時給を実施する上での困難とその打開策をどう考えたらよいでしょうか。中小企業で働く労働者にも最低賃金を適用すべきです。ただ、おっしゃるとおり、中小企業では、時給千円の支払いを可能とする商品価格やサービス価格を設定しようとしてもできない場合も生まれます。その最大の原因は「大企業の圧迫で下請けや納入業者が適正な価格を設定できない」「大企業からの仕入れで中小企業が差別的価格を押し付けられる」などにあります。いま一つは、国民の所得が伸びず購買力が低迷、売り上げも伸びず、激しい競争にさらされているからです。

 しかし、社会的に最低賃金を定めることは大局的に、国民のふところを温め内需を拡大し、中小企業経営の改善にもつながります。また最賃は、下請け業者が親企業に単価の引き上げを求める基準ともなります。

 中小企業が時給千円を実施できるよう、日本共産党は、大企業による中小企業イジメや「規制緩和」の是正、金融や税制の改善(部分保証の撤回、消費税免税点の引き上げ、家族労働を認める所得税法の改正など)を行うとともに、中小企業への賃金助成などが必要と考えています。実施にあたっては、企業規模に応じ、経過措置も検討すべきでしょう。(吉)

(出所:日本共産党HP 2008年12月13日(土)「しんぶん赤旗」)

08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)
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衆院予算委で参考人質疑ー反貧困ネットワークの宇都宮健児弁護士/日本自動車工業会の川口均労務委員長-

2009-02-27 01:36:03 | 国内政治
“非正規切り”ただす
「労働者を調整弁にするな」
笠井議員質問 宇都宮弁護士も陳述
衆院予算委

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 衆院予算委員会は二十四日、日本自動車工業会労務委員長の川口均氏(日産自動車常務・執行役員)と「反貧困ネットワーク」代表の宇都宮健児弁護士を招致し、参考人質疑を行いました。大企業が昨年から「非正規切り」など大規模な雇用破壊を進める中、業界団体の代表を国会に招致しての質疑が初めて実現しました。経済団体・大企業代表の招致は日本共産党が強く求めていたものです。

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 「年越し派遣村」の名誉村長を務めた宇都宮氏は、大量の「非正規切り」を進めるトヨタ自動車やキヤノンなど大手製造業十六社の内部留保が、二〇〇二年の二倍の三十三兆六千億円にのぼっていることを指摘し、「企業に社会的責任を果たさせるべきだ」と発言。「(日本経団連会長の)御手洗(冨士夫)さんやトヨタの経営者などを呼んでもらいたい」「違法・不当な『派遣切り』を国は強く指導すべきだ」と述べました。

 川口氏は「非正規の従業員は、生産上の弾力性を保つという観点において、非常に有効な役割を果たした」などと、非正規労働者を「雇用の調整弁」にしていることをあからさまに示しました。

 日本共産党の笠井亮議員は、非正規労働者を「調整弁」扱いする企業の姿勢を厳しく批判。また、自動車業界内の「偽装請負」の実態を「把握していない」という川口氏に対し、「知らぬ存ぜぬではすまされない。法違反の実態を報告すべきだ」と求めました。川口氏は「自動車工業会に持ち帰り、参加各社と確認を進める」と答えました。

 笠井氏は、「偽装請負」の期間も派遣期間とみなされ、三年以上なら派遣先企業に直接雇用を申し込む義務が生じると指摘。大企業が内部留保など雇用維持の体力があることも示し、「景気回復のためにも、雇用を守る企業の社会的責任を果たしてもらいたい」と求めました。

“経営者の誇りはどこに”
御手洗氏ら国会に呼べ
宇都宮参考人 きっぱり
衆院予算委 笠井氏質問

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 国会ではじめて「非正規切り」に責任がある業界団体の代表が呼ばれて行われた二十四日の参考人質疑(衆院予算委員会)。「反貧困ネットワーク」代表の宇都宮健児弁護士と、日本自動車工業会の川口均労務委員長が出席しました。日本共産党の笠井亮議員が雇用を守る大企業の社会的責任をただしました。

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大企業は社会的責任果たせ
 笠井氏は「大量の『派遣切り』『非正規切り』をつくり出した、企業の『社会的責任』の核心点はどこにあるのか」と参考人の見解をただしました。

 宇都宮 大企業の大変な内部留保がどうして増えたのか。派遣労働者が残業を繰り返し、働いた結果ではないか。それなのに不況になると(非正規労働者の)首を切り、寮や社宅を追い出している。なかには生存の危機に陥り、自殺を試みる方も発生している。こういう人たちのおかげで企業は利益を上げているのに、「関係ない」ということでいられるのか。

 自動車工業会の川口氏の前で、宇都宮氏が鋭く告発しました。▽何年働いても賃金が上がらない▽都合が悪くなればいきなり首を切られる▽結婚もできないし、子どももできない―など、宇都宮氏は派遣労働者から聞いた実態を突きつけ、「怒りを通りこして悲しくなる。自分のところで働いている労働者が、人間らしい生活ができて、幸せな家庭を築けることを、誇りに思うべきだ。そういう誇りやプライドはどこへ行ったのか」と訴えました。

 宇都宮氏の発言は、財界総本山の日本経団連にまで及びました。

 宇都宮 派遣労働者が働いているのは、経団連の役員もかねているような名だたる一流企業だ。そういう会社で人間をモノのように使い捨てている。

 笠井 そうした大企業に社会的責任を果たさせるために、国会はどういう仕事をすべきか。

 宇都宮 国会に経団連の役員の方は来ているのか。経団連の御手洗冨士夫会長、トヨタの経営者など経営者自身を呼んでもらいたい。なかにはこういう経営者が、違法・不当な派遣切りを行っている。国は強く指導すべきだ。

自動車業界団体の代表は
人員削減計画 実態の把握もせず
 笠井氏は自工会の会員企業(十四社)の、グループ会社も含む人員削減計画を質問。川口氏は、昨秋から三月末に向けて、自工会参加各社で契約が非更新となる非正規労働者は三万人だと述べたものの、企業ごとの数字は答えません。それどころか、「三万人の数字も新聞報道等で報じられた内容の集計だ」と発言しました。笠井氏は「自工会として(実態を)つかんでもらいたい。いわないなら、個々の企業をよぶしかない」と厳しく指摘しました。

 さらに、法令順守(コンプライアンス)の問題では――。

 労働者派遣法には、「派遣期間」が三年を超える場合は、派遣先の企業が労働者に「直接雇用」を申し込む義務が定められています。ところが、この規制を逃れようと製造業大企業では「偽装請負」が横行してきました。

 この問題をめぐり、「各社ごとの状況は把握していない」などと人ごとのように答える川口氏に対して、笠井氏は「自工会としては知らぬ存ぜぬではすまされない」と追及。国の「労働者派遣事業適正運営協力員制度」に自工会役員がかかわっていることを指摘しました。

 協力員は、労働者派遣事業の運用の実態をめぐって、法違反の疑いがある事案を把握したとき、行政機関に連絡する役割を担っています。東京労働局ではこの協力員に、自工会から奥村政一参与・労務室長が入っているのです。

 笠井 自動車業界内の法違反の実態について法令順守の立場からも、当然つかんで、報告すべきではないか。

 川口 ご指摘の点については、自工会に持ち帰って各社と確認をすすめてまいりたい。

内部留保活用 担当者に認識なし
 笠井氏はさらに「偽装請負」で働いていた期間も「派遣期間」に通算され、合算して三年以上なら「直接雇用」の義務が生じることを指摘。「その場合、すでに『直接雇用』になっているべきだ」とのべ、自工会の認識を確認しました。

 川口 三年継続した後の(直接)雇用に関しては当然、コンプライアンス(法令順守)の観点で対応するべく準備をしていたが、昨今の経営環境の大幅な変化の中で、その状況が百八十度変わってしまった。

 笠井 「経営環境の悪化」ということにかかわらず、(これは)法令だ。すでに五年、六年と働いているのに「直接雇用」を申し入れていないという事態がもう起こっている。

 笠井氏はさらに、大量解雇は「万策尽きたものだとは納得できない」と強調。自動車関連を含む製造業大企業がためこんでいる百二十兆円の内部留保のわずか1%を活用すれば、四十万人を直接雇用できると主張しました。

 河村建夫官房長官や麻生太郎首相も内部留保の活用を経営者団体などに要請するとのべています。

 笠井 政府から内部留保の活用について働きかけがあったのか。

 川口 記憶にない。

 政府の「要請」については、「派遣切り」に一番の責任がある自動車業界の団体の労務担当者の認識になかったのです。

主張
予算委参考人質疑
財界のトップを呼ぶべきだ

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 三月の年度末を前に、無法な「派遣切り」などで雇用情勢がいっそう悪化することが懸念されています。多くの労働者が仕事も住まいも奪われ寒空のもとに放り出された、昨年末以上の事態を心配する声も強まっています。

 今こそ求められるのは、政治が国民の雇用と暮らしを守る責任を果たすことです。日本共産党が強く主張し続けたこともあって、国会では二十四日、日本自動車工業会の労務委員長を呼んで、衆院予算委での参考人質疑が行われました。日本経団連会長や主要業界、大企業の代表を国会に呼ぶことが、いよいよ重要になっています。

雇用守る政治の責任
 参考人質疑に出席した自動車工業会の代表は、「派遣切り」など雇用の大幅な削減については「苦渋の選択」などと弁解するのが精いっぱいでした。日本共産党の笠井亮議員が追及した、内部留保を活用して雇用を維持すべきだということには言葉をにごし、政府からそうした指導を受けたことはないのかという質問にも「記憶にない」などと答える無責任さです。

 これに対し、昨年末の「年越し派遣村」で名誉村長も務めた宇都宮健児弁護士の答弁は明りょうです。大企業の内部留保が派遣労働者などを過酷に働かせた結果であることをずばり指摘し、まだ体力のある大企業の大量の「派遣切り」は社会的責任に反すると厳しく批判しました。同時に、同日の委員会には、御手洗冨士夫日本経団連会長など財界・大企業代表の姿がないことを指摘して、国会でそうした大企業の責任を追及し責任を果たさせることこそ、政治の仕事であると求めたのです。

 今こそ政治は、国会は、こうした求めにこたえるべきです。この日のやりとりでも、財界のトップや大企業の経営者自身を参考人として呼んで、徹底審議する重要性は明らかです。

 今日の深刻な雇用破壊は世界的な金融・経済危機によるだけでなく、トヨタやキヤノンなど世界に名だたる大企業による無法な「派遣切り」や「非正規切り」によって引き起こされているものです。大企業は内部留保をため込み、まだまだ体力は十分あるのに、もうけを確保し、株主への配当を続けるために、人間をモノ扱いする雇用の切り捨てを強行しているのです。財界トップや経営者自身への追及は、無法な雇用破壊をやめさせ、国民の雇用と暮らしを守る上で欠かせません。

 日本共産党は、志位和夫委員長の衆院予算委での質問(四日)などで繰り返し大企業の代表を国会に呼んで質疑するよう求め、各党にも働きかけてきました。二十四日の参考人招致で終わりとしないで、招致を財界・大企業代表に広げることが不可欠です。

国会の徹底審議で打開を
 国会はかつて「第一次石油ショック」の際の一九七四年にも、石油連盟や石油元売りの代表を呼び、不当な買い占め・売り惜しみや価格つり上げをやめさせる力を発揮しました。深刻な雇用破壊に対しても、国会がふさわしい役割を果たし、徹底審議で打開策を導きだすことが求められます。

 大量の雇用破壊は経済と暮らしの重大問題です。年度末に向けこれ以上の雇用破壊を許さないためにも、大企業を追及し無法な解雇をやめさせることが急務です。

(出所:日本共産党HP 2009年2月25日(水)「しんぶん赤旗」)

経団連前で抗議
「切るな、派遣」

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 「大企業は首切りをやめろ」。東京都千代田区の日本経団連前で二十五日、「派遣切り」された労働者ら約百五十人が抗議の声を上げました。「反貧困ネットワーク」が呼びかけた行動です。

 経団連前には、「年越し派遣村」で使われたのと同じテントも登場。首都圏青年ユニオンや派遣ユニオンなど労働組合に入って立ち上がった青年らが「内部留保をはき出し、雇用と生活を守れ」とリレートークし、「寮を出ていけと言うなら、経団連会館を貸してくれ」との発言も。「切るな」と書いた紙を全員が掲げ、アピールしました。

 「今、お金も仕事もない。寮は出られません」。派遣先の三菱ふそうから昨年末に中途解雇された男性(36)は、今月末の退寮を迫られていると訴え、正社員にするよう求めました。

 日産ディーゼルから昨年末で中途解雇された派遣の男性(24)は、「会社側は話し合いにも応じない」と批判。ホンダの下請けで正社員として八年働いてきた三十代男性は、三月末の解雇を通告されており、「景気が悪くなったとたん、『いらない』とは、あまりにも無責任だ」と訴えました。

 「都内で三千人いる野宿者のうち、八、九割は派遣切りや倒産で路上に追い出された仲間だ」との告発もありました。

 同ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は、「経団連は会員企業に対し、違法・不当な首切りをやめさせるべきだ」と強調。内部留保を雇用維持や生活支援のために活用し、企業の社会的責任を果たすよう求めました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月26日(木)「しんぶん赤旗」)
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ホンダが四千三百人の期間工を削減して四月末までにゼロへ-期間工切りの非情(1)(2)(3)(4)-

2009-02-26 16:56:53 | 国内労働
ホンダ期間工切りの非情(1)
2カ月刻み契約の果て

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 「まさかホンダが大量クビ切りをやるとは思わんかった」

 「みんなこれからどうするんやろか」

 ホンダ鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の寮内にある談話室。薄明かりのなか、三十代、四十代、五十代の期間工三人が語り合っていました。

4月末までに
 自動車、バイクメーカー大手のホンダ(本社・東京都港区)は四千三百人の期間工を削減して四月末までにゼロにします(表)。鈴鹿製作所でも一月十六日、期間工全員にクビを通告しました。

 「許したら、いつまでたっても使い捨ての労働はなくならんぞ」

 普段は物静かな四十代男性が声を荒らげました。この男性の契約期間はたった二カ月。契約更新を繰り返して約三年間働いてきました。「みんな正社員と同じ仕事を一生懸命やってきた。それを二カ月契約だからと使い捨てにしていいんか」と憤ります。

 ホンダ本社によると期間工はすべて一―二カ月という短期契約です。増産で人員が必要なときは契約更新で何年間も働かせる一方、減産になればすぐに契約期間満了を理由にクビ切りできる体制です。

 ホンダのような短期契約の反復更新について、舛添要一厚生労働相は労働契約法一七条二項(別項)に照らして「基本的には必要以上に短い期間にならないように配慮をすべき」(一月二十一日、参院予算委員会)と国会で答弁しています。

生活あるんや
 鈴鹿の寮内談話室で、三十代男性は「二カ月契約といっても、みんなそれぞれ生活があるんや」と語ります。実家に住む母親への月六万円の仕送りができなくなります。「かあちゃんがショックを受けるから」と打ち明けることができず、悩んでいます。

 五十代男性は「ずっと働けると思ってきたが、わしら二カ月の命だったということや」とつぶやきました。

 男性の妻と三人の娘が京都府内の自宅で暮らしています。クビになれば、高校二年の長女には進学をあきらめてもらうしかありません。月十五万円の住宅ローン返済、生活費、教育費―、焦りはつのります。

 「最近、新聞配達のかけもちを始めてな…。睡眠時間は四時間や。体にこたえるでぇ。そこまでせな、生きていけんのや」


 日本自動車工業会の会長企業であるホンダ。エコカー開発など地球環境を考えるクリーンイメージを宣伝する同社は、一方で違法な短期契約の反復更新を利用して「期間工切り」をすすめています。使い捨て雇用の実態を追いました。(本田祐典)(つづく)

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ホンダによる「期間工切り」の内訳

 鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)  1770人
 埼玉製作所(埼玉県狭山市)  1300人
 熊本製作所(熊本県大津町)  680人
 浜松製作所(静岡県浜松市)  380人
 栃木製作所(栃木県真岡市)  170人

労働契約法一七条二項

 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

(出所:日本共産党HP  2009年2月19日(木)「しんぶん赤旗」)

ホンダ期間工切りの非情(2)
「空白期間」で判例逃れ

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 「十一年間も正社員と同じ仕事をした。それなのに、この差は何なんですか」

 元期間工の桜井斉(ひとし)さん(40)=宇都宮市=は「HONDA」のロゴをかかげた工場を見つめ、ぶぜんとした表情で語ります。

 栃木県真岡(もおか)市のホンダ栃木製作所。シンボルカラーの真っ白な作業服を着た労働者が、二つに分かれた工場をつなぐ歩道橋を行き交います。一カ月半前まで、桜井さんもここで正社員と肩を並べ、エンジン部品をつくる機械を操作していました。

1カ月の契約
 桜井さんの契約期間は一カ月。更新、更新の連続で雇用をつないできました。一九九七年十二月の入社当初は三カ月間契約でしたが、数年前にホンダが一方的に短縮しました。昨年十一月、十二月末での雇い止めを突然言い渡されました。

 桜井さんのように更新を繰り返した有期雇用労働者の場合、期間の定めがない雇用と同様にみなして雇い止めを認めなかった判例(東芝柳町工場事件最高裁判決)があります。ところが、ホンダ本社に尋ねると「継続雇用ではないので雇い止めは認められる」(広報担当者)といいます。

 十一年間も働いたのに「継続ではない」とはどういうことか―。契約書で確認しようにも、すでに廃棄処分して何もありません。そこで社会保険事務所を訪ねて桜井さんの年金支払い記録からホンダに雇用された期間を確認しました。その結果、“継続でない”と見せかける手口が明らかになりました(図)。

 一カ月更新を続けて一年たつと、いったん契約を打ち切り、“空白期間”をおいて再契約したことにするのです。「一回、一回の契約は切れている」(本社広報担当者)といいます。

同部署へ戻る
 桜井さんは「間を空けたのは形式的で、仕事に戻れるのが前提だった」と語ります。実際、五日間、六日間の空白を置いて再入社したときも。いつも同じ部署に戻り、同じ作業に従事しました。

 この判例逃れの「空白期間」は、鈴鹿製作所で二年十一カ月ごと、埼玉製作所で二年半ごとなど、他の工場でも行われてきました。

 「派遣切り」「期間工切り」の問題に取り組む、鷲見賢一郎弁護士(自由法曹団幹事長)は「一カ月契約というのは前代未聞だ。ホンダの行為は、極端に短い契約を制限した厚労省の雇い止めに関する基準や、労働契約法一七条二項に明確に違反している。間隔をあけたのも許されない脱法行為で、大企業としてあるまじき非人間的な雇用形態だ」と指摘します。

 桜井さんはJMIU(全日本金属情報機器労働組合)栃木地域支部に入り、十八日、雇い止め撤回を求めホンダに団体交渉を申し入れました。(つづく)

(出所:日本共産党HP 2009年2月20日(金)「しんぶん赤旗」)

ホンダ期間工切りの非情(3)
どこいった「人間尊重」

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 「たった二カ月でクビか。だったら何でオレを雇ったんや」

 鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で働く男性(25)が怒りを抑えられない様子で語ります。昨年十二月に入社。二月二十二日で雇い止めになります。男性に与えられた仕事は工場内の掃除だけ。入社当初からクビが予定されていたような仕打ちです。

退職願の強要
 この男性は、ホンダに退職願の提出を迫られたと訴えます。

 期間工全員雇い止めの方針を示したホンダが期間工に配布しているのは「期間契約社員退職願」と題する文書。退職日の二週間前までに「本人自筆にて記入・押印の上、各所属へ提出」と求めています。

 「バカにすんな。退職を願ってるわけがないやろ」

 男性が提出せずにいると、職場の上司から「総務にそう報告していいんだな。慰労金(男性の場合五万円)がもらえなくなるけどいいんだな」と迫られました。大阪府内の住まいを引き払って寮に移り住んできた男性に帰る場所はなく、加入期間が短いため雇用保険(失業手当)も出ません。少しでも資金を確保したい男性は、渋々署名に応じました。

 ホンダは創業以来、「人間尊重」を基本理念にかかげています。福井威夫社長も毎年、新入社員への講話で「理念を尊重し、次の世代に引き継いでほしい」と語ってきました。

 しかし―。鈴鹿製作所で三年間働いた四十代男性は「最低限の法律すら守れない企業だ」といいます。

 ホンダは正社員には就業規則を冊子で配る一方、期間工には「期間契約社員就業規則」を見せてきませんでした。これは労働基準法一〇六条(法令等の周知義務)違反です。

労基署も指導
 三重県津労働基準監督署は一月十三日、鈴鹿製作所に検査に入り、是正を指導。一月二十八日から鈴鹿製作所は就業規則を閲覧可能にしました。検査を受けていない残りの四製作所では「以前から閲覧させている」(本社広報担当者)と、違反を認めていません。

 埼玉製作所(狭山市)で十年以上働く四十代男性は「就業規則なんてあったのか」と驚き、ホンダの説明はウソだと証言。栃木製作所で十一年働いた男性も「一度も見たことがない」といいます。

 埼玉、鈴鹿の期間工に聞くと、ほかにもさまざまな権利侵害があったといいます。

 ▽祖母の葬儀の日に「出てこい」と言われて働かされた。特別休暇もなく、欠勤の可否も上司の意向しだい(埼玉、二十代男性)

 ▽自分のチームは契約書を正社員に預けさせられた。日常的に契約内容を確認できなかった(埼玉、別の二十代男性)

 ▽二〇〇七年末まで「寮には住民票を置くな」と言われ、選挙に行けなかった(鈴鹿、三十代男性)(つづく)

(出所:日本共産党HP 2009年2月21日(土)「しんぶん赤旗」)

ホンダ期間工切りの非情(4)
正社員登用を期待させ…

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 「頑張ればむくわれるからと言って、さんざん働かせたくせに…。今さら二カ月契約だからやめろだなんて都合が良すぎる」

 鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の二十代男性は、正社員を目指していましたが今月二十二日に雇い止めになり、夢を断たれました。

 正社員を目指す期間工は多く、埼玉製作所(狭山市)の二十代前半の女性も「車が好きで、ホンダで働くのがあこがれだったのに」と肩を落とします。

 夢を抱いたのにはわけがあります。ホンダが期間工募集のホームページで「ヤル気を持って頑張る人には正規従業員への道も開ける制度」「年1~2回応募するチャンス」などと宣伝して人集めをしてきたからです。

サービス残業
 冒頭の男性は、ホンダが正社員登用をエサに、期間工を正社員以上に製造現場で働かせていたと訴えます。男性の場合、タイムカードを押してから毎日一、二時間、違法なサービス残業をさせられていました。

 鈴鹿製作所では正社員登用を目指す若手期間工のサービス残業が横行。ホンダ本社はその存在を否定していますが、正社員の五十代男性は「正規登用されたければサービス残業をやれと期間工に言ってきた」と証言。「いまとなっては申し訳なくて顔向けができない」とうつむきます。

 年齢制限で正規登用の声がかからない三十歳以上の期間工も長期雇用を信じて働いてきました。埼玉製作所の五十代男性は、春に中学校に入る子どもの教育費や住宅ローンの返済のためにほかの仕事をやめて入社。「できるだけ長く働こうと心に決め、特にきつい仕事を文句も言わずやってきた」といいます。

内部留保増大
 手取り月二十万円で、必死に働いてきた期間工たち。ホンダはもうけを生み出す道具としてその数を増やし続け、製造現場の三人に一人は期間工になりました。同時に内部留保(ためこみ)は六兆円超にまで増大しました(グラフ)。たった0・3%で、削減される四千三百人全員の雇用を一年延長できるほどの額です。

 「ホンダの期間工切りは極めてあくどい」。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)本部の三木陵一書記長は「本来なら期間の定めがない雇用とすべき労働者を、違法な短期契約で安く働かせてもうけをあげてきた。悩んでいる人はあきらめないで声をあげてほしい」と話しています。


 二十二日現在、鈴鹿製作所、栃木製作所の期間工がJMIUに入り、ホンダに雇い止めの撤回を求めて団体交渉を申し入れました。日本共産党は今月九日、赤嶺政賢、塩川てつやの両衆院議員がホンダ本社(東京都港区)を訪ね、雇い止めの撤回を求めました。(おわり)(この連載は本田祐典が担当しました)

(出所:日本共産党HP 2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」)
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毎日新聞・記者の目:社会不安や引きこもり問題と派遣切り社会は連関している

2009-02-25 03:34:30 | 国内労働
 銃刀法違反:「派遣切りで強盗しようと」包丁隠し持ち逮捕

 3日午前9時半ごろ、北九州市小倉南区の公衆電話から男の声で「派遣切りに遭い、強盗しようと思ったが怖くなって通報した。包丁を持っている」と110番があった。福岡県警小倉南署員が駆けつけ、着衣に包丁(刃渡り約16センチ)を隠し持っていた住所不定、無職の自称、白樫信之容疑者(35)を銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。

 逮捕容疑は同日午前9時45分ごろ、同区若園3の路上で正当な理由もないのに包丁を持っていたとしている。

 同署によると、白樫容疑者は昨年3月から三重県内の大手精密機械製造会社で派遣社員として勤務したと供述。派遣期間は昨年12月末までだったが、10月末に契約を解除されたという。福岡県内に実家があり、その後、フェリーで北九州市に渡った。JR小倉駅周辺で路上生活し、おにぎりやパン1個で一日の飢えをしのいだこともあったという。派遣切りされた際、所持金は7万円あったが、窃盗の被害に遭ったといい、逮捕時は10円玉と1円玉の計11円だった。

 調べに「包丁はJR門司駅近くのごみ集積所で拾った。警察に捕まれば食事や寝場所、入浴に困らないだろうと思った」と供述しているという。【太田誠一】

(出所:毎日新聞 2009年2月3日 22時48分)

放火容疑:「派遣切られむしゃくしゃ」26歳男逮捕 埼玉

 埼玉県警川越署は3日、住所不定、元派遣社員、鈴木定徳容疑者(26)を非現住建造物等放火容疑で逮捕した。同署によると、鈴木容疑者は「派遣切りされて住むところもなく、むしゃくしゃしていた」と供述しているという。

 容疑は、3日午前4時10分ごろ、同県川越市菅原町の菅原神社の拝殿にライターで火をつけ、拝殿約25平方メートルを全焼させ、隣接する本殿の柱や屋根を焦がしたとされる。

 同署によると、鈴木容疑者は午前6時20分ごろ、JR川越駅構内の公衆電話から川越署に「神社に火をつけた」と通報した。「昨年12月ごろ、働いていた川越市内の自動車工場から派遣切りされ、1月中旬に寮を追い出された。拝殿で寝ようとしたが、鍵がかかっていて入れず、腹が立って火をつけた」と供述しているという。

 市内のネットカフェで2日午後8時から3日午前3時まで過ごし、所持金が20円となった。放火後、10円玉で通報し、逮捕の際は5円硬貨2枚しか持っていなかった。「悪いことをしてしまったし、逃げられないと思った」と供述しているという。【飼手勇介】

(出所:毎日新聞 2009年2月3日 21時14分(最終更新 2月3日 21時57分) 

強盗:容疑で派遣社員の男逮捕「来月切られ、生活費ほしくて」--愛知・春日井の路上

 愛知県警春日井署は25日、同県春日井市鳥居松町1、派遣社員、比嘉信二容疑者(29)を強盗容疑で逮捕した。調べでは、比嘉容疑者は同日午後0時50分ごろ、自宅近くの路上で、歩いていた同市内の派遣社員の男性(51)に包丁を突きつけ「金を出せ」と脅し、現金約1万5000円を奪った疑い。

 近くに止めていた車で逃走したが、男性が車のナンバーを覚えていたため、県警パトカーが約1時間後、名古屋市内で運転中の比嘉容疑者を発見した。比嘉容疑者は同市内の電気製品製造会社で働いているが、「来月で派遣を切られるので生活費がほしかった」と話しているという。【花井武人】

(出所:毎日新聞 2008年12月26日 中部朝刊)

 記者の目:引きこもり問題と派遣切り社会は連関 市川明代

 「引きこもりがまた増えるんじゃないかな」。大みそかから連載した企画「孤独の岸辺」のため、引きこもりの若者たちを取材していた昨年末、何度もこの言葉を聞いた。ちょうど「派遣切り」のニュースが大きくなり始めたころだ。取材を通じ、人を物のように切り捨てるこの国の有りようと引きこもりの問題は、無関係ではないと感じた。

 引きこもりは民間推計で100万人規模。最近は長期化や高年齢化が問題になっている。神経症や精神疾患を伴うこともあり、将来を悲観した自殺や心中も後を絶たない。72年生まれの私は、引きこもりの長期化に苦しむ同世代が多いことにショックを受け、同世代に絞って取材を進めた。

 企画では、社会との接点を持とうと苦悩する男性や、引きこもりの長男を支える父親の思いを描いた。読者の反響は大きかった。ある母親は「33歳の長男は同じ屋根の下で全く会話がなく、夜半に食べるものがないと暴れています。夫も病気で、少しの蓄えがなくなれば……」と悲痛な声をファクスで寄せた。父の年金に生計を頼る東京都内の女性(35)は「父が死んだらどうすればよいのでしょう」とはがきに記した。

 原因はそれぞれだ。家庭内不和やコンプレックス、就職の失敗や職場での挫折がきっかけになった人もいた。小中学校でいじめに耐え、高校に進学したものの精根尽き果てて、または大学になじめず中退し、引きこもった人も多かった。東京都の昨年度の実態調査によれば、引きこもりの人々はそうでない人々と比べ▽自己愛が低い▽自己決定に不安がある▽対人スキル(コミュニケーション能力など)が苦手▽罪悪感がある--などの傾向が強い。

 いったん引きこもるとなかなか社会に戻れないという構図は共通している。大学を休学した後に中退し、一時家から出られなくなった千葉県の男性(36)は「レールを外れた時点で僕の人生は終わったと思った」と打ち明けた。埼玉県の男性(36)は「35歳を境に就職も結婚もあきらめた」と言った。あまりにも早い見切りに思えるが、この男性には社会の壁が、それほど高く見えるということだ。

 厚生労働省は新年度、全国にひきこもり地域支援センター(仮称)を設置する。本人が外に出られない場合、第三者が家へ出向いて状態を把握する必要があるが、民間の訪問カウンセリングは割高で、経済的余裕のない家庭には利用しにくかった。支援センターの新事業では家庭訪問なども検討されており、関係者の期待は高まっている。

 だが、難しいのは、一歩外に出られるようになってからだ。自由に過ごせる「フリースペース」なども各地に作られているが、やっとの思いで参加しても、居心地の悪さを感じたりして足が遠のく人もいる。ニート支援策として、3カ月の合宿で就労意欲を身につける厚労省の「若者自立塾」は全国に約30カ所あるが、利用者は定員の4割に満たず、徐々に規模を縮小。同じく就労支援施設の「若者サポートステーション」は就労・進学率が25%程度にとどまる。ある担当者は「成功率は、引きこもり期間が長く高年齢なほど低くなる」と打ち明ける。

 1月、京都に誕生したばかりの引きこもりの支援グループ「京都ARU」を訪ねた。引きこもり経験のある梅林秀行・代表理事(35)を中心に、地元企業と連携し、フリースペースに来られるようになった人々を短時間就労からフルタイム就労へとつなげている。

 事業所の一部をARUに間貸しする板金加工製品製造業「タナカテック」は、引きこもり経験がある20~30代の2人を正社員で、1人をアルバイトで雇っている。「忍耐強く長い目で見守っていれば、必ず能力を発揮してくれると分かってきた。国際競争力を付けようと躍起の大企業には、無理ですよ」と田中稔社長は言う。地元経営者らの温かいまなざしを見ていると、地域のつながりの大切さを感じる。同様の取り組みは各地にあり、さらに広がってほしいと思う。

 だが、釈然としない。数年前、千葉県内で精神・知的障害者の就労を取材し、障害者を数多く受け入れている地元中小企業がいくつも倒産している実態に直面した。大手企業が派遣労働者を増やし空前の利益を上げる間も、こうした企業は「人を育てよう」と頑張ってきた。それがこの不況下で、深刻な苦境に追い込まれている。善意に頼るだけでは限界がある。

 引きこもりは若者を鍛えるだけでは解決しない。雇用制度や企業のあり方を見つめ直し、若者へのセーフティーネットを充実させることが、結果的に「安心して出てこられる社会」を作ることにつながるはずだ。(東京社会部)

(出所:毎日新聞 2009年2月20日 0時33分)
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各社の世論調査で麻生・自公内閣支持率は10%台前半ーもうとっくに退陣ラインを突破しているー

2009-02-25 02:37:46 | 国内政治
内閣支持率、10%台前半
各社の世論調査 「退陣ライン突入」

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 「『総スカン』状態」「慰めは『一ケタ回避』」(「毎日」二十三日付)―報道各社の最新の世論調査で、麻生内閣の支持率が下がり続け、10%台前半に落ち込んでいることが明らかになりました。

 「毎日」の調査(二十一―二十二日実施)では11%、「朝日」の調査(十九―二十日実施)では13%、共同通信社(十七―十八日実施)でも13%となっています。「日経」・テレビ東京の共同調査(二十―二十二日実施)では15%ですが、不支持率は一番高い80%で「衝撃的だ」としています。

 内閣支持率は、「毎日」で一月の調査から8ポイント減となるなど、前回の調査から軒並み下落しているのが特徴。「89年3月の竹下登内閣、01年2月の森喜朗内閣の各9%に次ぐワースト3位」「退陣ライン突入」(「毎日」)、「歴史的な低水準となった」(「日経」二十三日付)などと指摘しました。

 首相に「早く辞めてほしい」という声は71%(「朝日」)。また、「(今春の)予算成立後までに衆院解散を求める声は七割に達した」(「日経」)と、国民の審判による局面打開を求める声が広がっていることが報じられています。

 テーマごとの調査では、「日経」で麻生内閣の仕事ぶりを「評価しない」が81%。中川氏の辞任問題でも首相の任命責任は「大きい」(54%)との回答が多数を占めました。

 定額給付金については「毎日」で「評価しない」が73%で、依然として国民の批判が強いことを示しています。

(出所:日本共産党HP 2009年2月24日(火)「しんぶん赤旗」)

クローズアップ2009:麻生内閣支持11% 退陣ライン突入 「総スカン」状態

 毎日新聞が21、22日実施した全国世論調査(電話)で、麻生内閣の支持率は歴代ワースト3位の11%にまで低下し「退陣ライン」とも言える水準に突入した。調査結果を分析すると、与党支持層の「麻生離れ」が顕著になったのに加え、全年代層で不支持率と支持率の差が拡大するなど「総スカン」状態に陥っていることがうかがえた。【中田卓二、古本陽荘】

 ◇自民支持層でも不支持逆転

 支持35%、不支持46%--。自民支持層の動向は深刻な数字を示した。

 内閣発足直後の昨年9月調査では、自民支持層は「支持81%、不支持2%」でスタート。全体の支持率が回を追うごとに低下する中、自民支持層に限っては1月の前回調査まで50%以上を維持。ところが、今回はついに支持、不支持の逆転を許し、首相にとって足元の「最後のとりで」も崩れることになった。

 公明支持層の支持も前回比6ポイント減の36%。不支持が10ポイント増の42%と逆転した。昨年12月調査も不支持が支持を1ポイント上回っていたが、逆転の状況はより厳しくなった。

 「支持政党はない」と答える無党派層は、支持率が全体より低い傾向にあった。それでも昨年9月には33%あった数字が今回は5%にまで落ち込み、不支持はほぼ3倍の78%に達した。

 年代別にみると、発足直後は全年代で支持が不支持を上回っていたが、昨年12月調査ではすべてで逆転。この傾向は今回も続いており、支持、不支持の差は全年代で拡大することになった。

 特に顕著なのが30~50代。50代は支持が前回比12ポイント減の6%、不支持が18ポイント増の86%で、差は80ポイントに開いた。40代は支持が7ポイント減の6%、不支持が5ポイント増の77%で、30代は支持が9ポイント減の9%、不支持は4ポイント増の68%だった。経済情勢が悪化する中、社会の担い手世代の不人気に拍車がかかっているようだ。

 内閣発足以来、支持率の底支えとなってきた20代と70代以上の支持は、それぞれ19%と23%。全体よりは高かったものの、発足直後と比べるとそれぞれ4割程度の数字にまで目減りした。不支持は20代が67%、70代以上が55%で、いずれも初めて5割を超えた。

 地域別では、「政令市・東京23区」は支持11%、不支持71%、「政令市以外の市部」は支持11%、不支持74%、「町村部」は支持11%と不支持76%。どの地域もほぼ全体と同じ数字となった。麻生内閣の不人気ぶりは、日本全国で同傾向にあることがうかがえた。

 ◇慰めは「1ケタ回避」…

 「いい要素がない割に1ケタにはならなかった」「ギリギリ首の皮一枚つながった」

 毎日新聞の調査結果を受け、首相周辺からは奇妙な安堵(あんど)の発言が相次いだ。ただ、歴代内閣の数字を見ると、支持率11%の厳しさが浮かび上がる。

 過去最低の支持率9%を01年2月に記録した森喜朗内閣。ハワイ沖で起きた漁業実習船「えひめ丸」と米原潜の衝突への対応の甘さが主要因だったが、翌3月に自民党総裁選の前倒しが決まり、4月に首相の座を明け渡すことになった。竹下登内閣も89年3月に支持率が9%に落ち込み、6月に退陣した。

 最近では、安倍晋三内閣が退陣する直前の07年8月は33%、福田康夫内閣も退陣直前の08年8月は25%で、それぞれ11%に比べかなり高水準。

 「『中川ショック』で、ある程度の低下は覚悟していた。とにかく麻生政権の政策を国民に知ってもらうことが大事だ」。河村建夫官房長官は中川昭一前財務・金融担当相の「もうろう会見」問題が支持率が好転しない要因との見方を示したうえで、反転攻勢を誓ったが、はっきりと勝算があるわけではない。

 当の首相は22日、自民党青森県連のセミナーで改めて反省の弁を口にした。「マスコミから相変わらず非難を受け心配をかけている。反省しなければいけないことが私自身にあると思うので、誠心誠意やっていく」

(出所:毎日新聞 2009年2月23日 東京朝刊)

“願い託せない”の表れ
内閣支持率 市田書記局長が指摘

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十三日の記者会見で、報道各社の世論調査で史上最低レベルに急落した麻生内閣の支持率について、「文字通り末期症状に陥っていることの表れ」だと述べました。

 市田氏は、史上最低クラスの支持率となった原因として、「国民の暮らしと景気がこれだけ大変なときに麻生内閣がまともな対策を何一つ打ち出していない」うえに、「麻生首相がなんでも思いつきでペラペラしゃべる。その時々の言い逃れに終始し、まともな哲学がない。首相自身の無定見がある」と指摘。中川昭一前財務・金融相をかばい続けたことも含め、国民は「この内閣に自分たちの願いを託すわけにいかないと思っている」と述べました。

 市田氏は、自民党内から「(支持率が)10%以下になるのではと思っていたのでホッとした」との声が出ていると報道されていることに触れ、「自分たちのやっていることに、いかに自信がないか、国民の思いから、いかに離反しているか、自ら告白しているに等しい」と指摘しました。

深刻な暮らし・経済、外交
国会で徹底審議必要
市田氏会見

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 日本共産党の市田忠義書記局長は二十三日、国会内で記者会見し、今後の国会対応として、「これだけの暮らしと経済が深刻なときだからこそ、国会での徹底審議でその打開策を導き出す必要がある」と述べ、雇用、景気、外交などの集中審議の実施を求めました。また、日本共産党の二〇〇九年度予算案の抜本的組み替え要求実現のために「全力を尽くす」と強調しました。

 国会対応をめぐっては、自民党の細田博之幹事長が〇九年度予算案と関連法案について、「何とか今週中に(衆院を)通さなければならない」(二十二日の講演)と明言。民主党の山岡賢次国対委員長も「(〇九年度予算案を)今週中にあげることになる」(二十二日の記者会見)、「(予算案通過の)次に(自民党内で)麻生降ろしがおきる」(同日のテレビ番組)と発言しています。

 こうした自民、民主両党の対応について市田氏は、「深刻な景気や雇用などについて国会で真正面から議論しようとしていない」と指摘。「民主党が解散のためだったら予算の出口まで公言し、予算案が早期に通過すれば自民党内の矛盾が激化するだろうというゆさぶりのために国会運営をもてあそぶというやり方は邪道だ」と批判しました。

 市田氏は、衆院予算委員会の理事会などで、引き続き徹底審議を与野党に呼びかけていくと述べました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月24日(火)「しんぶん赤旗」)
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三月末までに派遣業界団体の試算で四十万人になる「非正規切り」に対抗する労働運動の現状と展望

2009-02-24 02:46:51 | 国内労働
明日への視点
「非正規切り」と労組
全国的反撃へ広がる足場
昆 弘見

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 派遣や期間工として働く非正規雇用の労働者が、大企業の職場から大量に放り出されているいまの状況は、日本社会が経験したことがない憂えるべき事態です。厚生労働省の調べでは、三月末までに約十二万五千人、派遣業界団体の試算では四十万人になるとみられ、さらに悪化することが危惧(きぐ)されています。

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 注目されるのは、こうした事態に「人間を使い捨てにする大企業の身勝手は許せない」と、非正規雇用の労働者たちが全国各地で労働組合に加入し、解雇撤回、正社員化を要求してたたかいに立ち上がっていることです。全労連(全国労働組合総連合)の調べによると、昨年十一月以降わずか三カ月余の間に、労働組合を結成、あるいはローカルユニオンに加入して立ち上がった例が全国で五十六に達したといいます。

 非正規雇用の労働者の組織化が、ごく短期間にこれほどの広がりですすんでいるのは、日本の労働組合運動のなかでも初めてといえる画期的な出来事です。派遣社員や期間社員の多くは、正社員になることを夢見て、早出、残業、休日出勤を率先して引き受け、年休もとらずサービス残業もすすんでするなど、正社員以上に必死で働いてきました。その回答が解雇という仕打ちです。その怒りが、たたかいに立ち上がる原動力になっています。

 もちろん、だからといって簡単に労働組合ができるわけではありません。運動に精通している全労連の地方組織、JMIU(全日本金属情報機器労組)など産業別労組が、昼夜を分かたず本腰を入れた支援、援助に力を発揮しています。正社員を中心にした既存の労働組合と非正規雇用の労働者の強い結びつき、連帯のたたかいがいま新しい段階を迎えたと感じます。

 労働組合は、企業と対等に交渉する強い力をもっています。そのことを示す成果もあがっています。大企業が昨年秋から、競うように期間社員の中途解雇をうちだしたとき、いすゞ自動車の期間社員が労働組合を結成し、労働契約法違反だと企業を追い詰め、撤回させました。これが他の企業にも広がり、期間社員の中途解雇の動きはピタッと止まりました。派遣社員もマツダなどで労働組合を結成して派遣会社と交渉して解雇を撤回させたり未払い賃金を支払わせるなど、一人ではできなかった威力を発揮しています。

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 労働組合に結集して大企業と直接交渉することと並行して、発展しつつあるのが行政機関にたいする申告運動です。いすゞ自動車や日本トムソンの労働者が、「偽装請負」で違法に働かされてきた事実を、厚生労働省の労働局に申告しました。全労連は、この申告運動を全国的な大運動としてとりくむとし、諸団体に協力をよびかけました。

 これは現行法を活用して「派遣切り」を止める力にしていこうというものです。非正規雇用の大部分は、たとえ契約期間満了の「雇い止め」であっても、「偽装請負」など違法状態で働かされたあげくに解雇されている実態があります。派遣労働は、同一業務で最長三年を超えて働かせる場合は、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し出る義務があります。大企業は、さまざまな違法なやり方で、この義務を逃れてきました。いま解雇されている人たちは、企業が法律を守り、政府が厳正に監督・指導していれば、とっくに正社員になっていた人たちです。

 労働局への申告運動にとりくむ転機になったのが今月四日の日本共産党の志位和夫委員長の国会質問でした。「偽装請負」「違法クーリング」など違法状態で働かされている事例を具体的にとりあげた追及に、舛添要一厚生労働大臣は「偽装請負」を派遣期間として通算することなど重要な答弁をおこないました。

 違法状態で働かせていた事実を法にもとづいて厳正に是正するのは当然です。労働組合をつくり、申告もおこなって、大企業に「首切りやめよ」「雇用責任を果たせ」と迫っていくことは、日本をまともな社会にする意義あるたたかいとして前進が期待されます。(国民運動部長)

「雇用守れ」 各地で
知恵と力 集める時

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 年度末を一カ月後に控え、「非正規切り」が一段と深刻さを増すなか、各地で知恵と力を集め、“雇用を守れ”と集会や抗議行動が行われました。

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「解雇不当」 労組つくる
名古屋

 大企業などの派遣切り・雇い止めに抗議し、政府・行政の責任を追及する集会が二十二日、名古屋市で開かれました。愛知派遣切り抗議大集会実行委員会が主催し、四百九十人が参加しました。

 主催者あいさつした宇都宮健児実行委員長(反貧困ネットワーク代表)は、「労働者派遣制度は、企業が労働者をモノのように切り捨てることを浮き彫りにした」と指摘。(1)不当な派遣切りをやめさせる(2)派遣切り被害者の支援(3)労働者派遣法の抜本改正―の運動方向を提起しました。

 「解雇が不当とは考えもしなかった」という男性(37)=豊橋市=は、愛労連に助けを求めて労働組合をつくり会社と交渉した経験を発言し、「権利を知り、仲間と行動すれば前進も早い。つらい思いをする人をなくすためにがんばる」と述べました。

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員も発言。「現行法でも派遣切り阻止へ実行できる課題は多い。市民団体、労働組合と一緒にたたかいを前進させ、労働者派遣法を抜本改正させていきたい」と述べました。

 年越し派遣村の村長をつとめた湯浅誠さんが「年越し派遣村から見た日本社会」について講演。名古屋生活保障支援実行委員会の藤井克彦さん、弁護士や労働組合役員が取り組み報告をしました。

 集会後、トヨタ自動車のオフィスがある名古屋駅ミッドランドスクエアまでデモ行進しました。

「所持金200円」 すぐ相談
福島

 「ストップ派遣切り・許すなくらし破壊・上げるな消費税」2・22福島県民集会が二十二日、福島市の「街なか広場」で開かれました。通行人が足をとめ、話に聞き入るなど、会場いっぱいの七百八十人が集会に参加しました。

 会場に設けられた、労働、生活・税金、医療・介護、行政の各相談テントには二十三件の相談が寄せられました。「派遣で働いていたが、十二月末で解雇され、住むところもない。所持金は二百円だけだ」という夫婦に、斎藤朝興・福島市議が応対。当日からの宿泊場所を確保し、二十三日に生活保護申請をすることにしました。

 集会では、同実行委員会の小川英雄実行委員長(福島県労連議長)は、「雇用と暮らしをまもるたたかいを各労組や団体の知恵と力を合わせて広げよう」と呼びかけました。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が連帯のあいさつ。

大阪

 「ダイハツは派遣、期間工労働者の雇い止め・解雇を中止、撤回せよ」「くらし・営業守れ」―。大阪労連・豊能地区協議会や地域の民主団体などでつくる「豊能地域のくらし・雇用を守る実行委員会」は二十二日、大阪府池田市内で豊能地域決起集会を開き、約八十人が参加しました。

 アピールを採択し、阪急豊中駅までデモ行進しました。池田市に本社のあるダイハツが、三月から四月にかけて六百人の非正規社員の雇い止めを発表しています。

 実行委員会共同代表の斉藤須美雄豊能地区協議会議長があいさつ。大阪労連の川辺和宏議長が連帯のあいさつ、日本共産党の堀田文一府議が府議会報告を行いました。

九州沖縄青年キャラバン始まる
希望持てる社会を
佐賀-長崎

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 九州沖縄各県が心をひとつにして、衆院選ブロック比例二議席の獲得にむけ、綱領と日本改革を語り日本共産党の風を、青年らしいはつらつさで吹かせよう―。日本共産党の衆院比例予定候補を先頭にした「九州沖縄青年キャラバン」が二十一日から佐賀でスタートしました。二十二日には、長崎県佐世保市から諫早市を回りました。

 佐賀では、日本共産党の衆院九州・沖縄ブロックの比例予定候補の田村貴昭、せと雄也(佐賀3区重複)の両氏が「若者が希望を持って暮らせる社会を一緒につくろう」などと街頭から訴えました。

 小城市牛津町では、ベビーカーを押した若いお母さんが立ち止まって聞き入りました。演説後「乳幼児医療費の無料化の年齢を引き上げて」と語りました。武雄市では、大型店で聞いた青年男女が「仕事がなくて困っている。がんばって」と声援を寄せました。

 同宣伝行動のキャンペーンカーに乗務した女性(26)は、縫製工場で働き、会社の都合で首になった経験をもちます。マイクを手に、「安心して働く社会をめざす共産党を知り、好きになった。大企業ははたらくルールをまもってほしい」と訴えました。

 田村比例予定候補は、「莫大(ばくだい)な内部留保を蓄え、労働者をモノのように切り捨てる大企業に、社会的なルールを守れと言えるのは日本共産党だけ」と強調。せと予定候補は「若者や労働者を雇用の調整弁にする大企業は許せない。消費税増税に反対し、無駄遣いをただし、国民のくらしと生活を応援する新しい政治をつくるために頑張りたい」と力を込めました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」)
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妊娠や出産を伝えたら、「会社を辞めてくれ」と言われた-妊娠・出産を理由とした解雇や退職強要は違法ー

2009-02-24 02:43:18 | 国内労働
ゆうPRESS
妊娠解雇 ひどすぎる
法律違反なのに 依然として横行

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 妊娠や出産を伝えたら、「会社を辞めてくれ」と言われた―。妊娠・出産を理由とした法律違反の解雇や退職強要が、依然として横行しています。新しい命を宿した女性が大事にされない社会は間違っています。(染矢ゆう子、平井真帆)

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実態(1) 切迫流産で安静必要
夜10時まで残業つづく
 Bさん(35)は結婚して、それまで勤めていた東京都内の会社をやめ、名古屋市で就職活動をはじめました。

 結婚した女性を採用する会社は少なく、ようやく見つけた印刷会社。「妊娠したあとも自宅で仕事ができるようにコンピューター環境を整えていく」との約束を信じて就職しました。

 夜10時までの残業のある職場。裁量労働制で残業代はなく、手取りは17万円もありませんでした。

 数カ月後、妊娠2カ月だとわかりました。妊娠を告げると専務は「やめる方向で」と言いました。

 会社側にBさんの健康に配慮する姿勢は見られませんでした。

 Bさんは切迫流産と診断され、薬を飲んで安静にしていなければならない事態になりました。

 薬の副作用で気分の悪い日が続き、週に3日休むこともありました。

 もともと就職をよく思っていなかった社長は「気分が悪いような顔をするな」と嫌がらせ。夜10時までの残業も続きました。

 体調がすぐれなかったこともあり、妊娠がわかった翌月に退職することになりました。

 専務も「すぐ妊娠するような人をとったのが間違いだった」と追い打ちをかけました。

 「はじめの約束は何だったのかと思います」。Bさんは今でも納得していません。

実態(2) 保育士やめ「パートに」と…
園長の嫌味 耐えられず
 首都圏で保育士として働いていたAさん(26)が妊娠したのは、勤めて1年数カ月たったときでした。

 園長に告げると「あら、困ったわね」と迷惑顔。Aさんはつわりもひどく、おなかも張り気味でしたが、「病気じゃないんだから」と通常通りに勤務。園庭の飾り付けのために、屋根の上に登らされたこともありました。

 Aさんの園では、出産後も正社員として勤めている人は1人もいません。

 園長には、「1度退職して、パートになることも考えたら? ほかの人もみんなそうしてるのよ」と言われました。

 毎日顔をあわせるたびに嫌味を言われ「パートに」と迫る園長に耐えられず、Aさんは妊娠8カ月で退職することにしました。

「一人で悩まないで」
相談相次ぐ にいがた青年ユニオン
 新潟県のにいがた青年ユニオンには女性からの相談が相次いでいます。

 裁量労働制で働く正社員の女性は、昨年結婚。昨年11月に「子育て後、仕事を続けたい」と上司に伝えたところ、12月に「業務縮小で解雇する」と根拠のないことを理由に、1月半ばに退職を余儀なくされました。

 契約社員の複数の女性は、「3月に親会社にうつってほしい」と言われました。サインするように言われた契約書には「3年の契約で、更新はない」と書かれ、「妊娠したら解雇」と口頭で言われました。しかも男性は正社員になりますが、女性はなれません。現在ユニオンで相談中です。

 にいがた青年ユニオン書記長の山崎武央さんは「派遣切りの次は正社員切りです。若い男性や女性がターゲットにされています。妊娠・出産を理由にした解雇や不利益取り扱いは均等法違反です。一人で悩まないで組合に相談を」と話しています。

増える非正規雇用
育休ほとんど取れず
 法律上は禁止されているはずなのに、へらない妊娠等を理由とした解雇。「正社員にという話もあったが妊娠がわかり解雇された」「妊娠がわかり、派遣先に『責任を負えない』といわれ解雇された」「『うちの派遣会社は育児休暇を認めてないよ』といわれた」などの実態が横行しています。非正規雇用の増加がその一因だと考えられます。

 2005年から育児・介護休業法が改定され、非正規雇用の労働者でも、一定の要件を満たす人は育児休業が取れるようになりました。

 しかし、厚生労働省によると、08年に育児休業を取得した労働者は、正規雇用の労働者が15万6182人いるのに対し、非正規雇用の労働者は4966人。働く女性の2人に1人は非正規雇用ですが、育児休業を取れている人はごくわずかです。

 派遣会社に聞くと「今年100人が育児休暇を取得しました。法律で取得可能な方にはこちらから声をかけています」という会社もある一方、「出産前に契約を終了する方が多く、産休・育休をとる人はほとんどいません」という会社もありました。

 不安定な非正規雇用の現実が、妊娠等を理由とした解雇や退職強要を許している背景の一つといえそうです。

妊娠理由の解雇は禁止
 労働基準法19条1項は、会社(使用者)が、産前産後休業中とその後30日間は女性労働者を解雇してはならないと定めています。この期間内は、経営上の都合などを含めどんな理由があっても解雇できません。

 また、男女雇用機会均等法9条3項は、会社が婚姻、妊娠、出産したことや産前産後休業等の権利を行使したことを理由として、女性労働者に対し解雇やその他の不利益な取り扱いをしてはならないとしています。

 さらに、同法9条4項は、妊娠中及び産後1年以内の解雇は、会社が「妊娠・出産・産前産後休業等による解雇でないこと」を証明しない限り、無効と定めています。

解雇を通告されたら…
 本人の同意なしに辞めさせることを解雇といいます。解雇するには、合理的な理由が必要で、妊娠したことを理由とした解雇は許されません。

 女性労働者に無理やり「同意」させたとしても、女性労働者の真意に基づくものでないと認められるときは、「退職強要」に該当し、許されません。

 解雇を通告されたり、退職を強要されたりしたら、きっぱり同意しないと伝えましょう。

 理由を書面で説明させ、記録をとっておくことも大事です。

 できるだけ早く、職場や地域にある労働組合に相談しましょう。

(出所:日本共産党HP 2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」)
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名古屋北部青年ユニオンが派遣切り撤回迫るー1人では相手にもされなかったけど労働組合で交渉開始ー

2009-02-23 04:46:58 | 国内労働
派遣切り撤回迫る
1人では相手にもされなかったけど
会社と対等 「組合すごい」
名古屋北部青年ユニオン

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 「組合ってすごい」。派遣などで働く青年労働者で作った全労連・全国一般労働組合加盟の「名古屋北部青年ユニオン」(名古屋市)が元気です。昨年十二月、四人でスタートした組合は二十人に増えています。パナソニックや三菱電機など大企業の派遣切りとたたかっています。

 福岡県出身の勝山大樹さん(33)=仮名=は、生まれて初めてユニオンの仲間とともに行った団体交渉に感動しました。一人では相手にされなかった会社と対等に交渉できたのです。

 勝山さんが青年ユニオンに加入するきっかけは、日本共産党北西地区委員会が行っている「何でも相談」でした。

 派遣労働者の勝山さんは、愛知県春日井市のパナソニックエコシステムズで空気清浄機の製造に携わってきました。

一方的に通告

 二〇〇八年十月から今年三月三十一日までの契約期間で名古屋市内にある寮に住み、春日井市の工場までシャトルバスで送り迎えされる毎日でした。

 勝山さんが働くラインは昨年十一月ころから仕事量が減りだしました。十二月になって「来月でおわりになる」と一方的に解雇通告されました。

 「寮はどうなるのか」。勝山さんの一番の心配事でした。派遣会社と交渉し、一月いっぱいは寮にいてもいいことで話がつきましたが、次の仕事がない限りホームレスになることは確実でした。

敷居高かった

 寮はUR(都市再生機構)の団地の一室でした。同じ団地に住むタクシー運転手に言われました。「相談するなら共産党がいいぞ」。宗教団体に入っていた勝山さん。「共産党へ相談にいくのは敷居が高かった」といいます。

 生活保護を受けるために区役所を訪れた時にも別な人に聞いてみました。

 「共産党に相談して大丈夫でしょうかね」。「労働相談なら共産党でしょうね」という返事でした。それで「意を決して」日本共産党の事務所を訪ねました。

 日給八千円。寮費二万五千円、光熱水費約四千円、社会保険料などを差し引くと「お金はたまらなかった」という勝山さん。紹介された名古屋北部青年ユニオンに加入しました。

 ユニオンの仲間とともに、派遣会社に対しては契約途中の解雇の撤回を求めて団交しました。

 勝山さん一人で話し合っていた時は「寮は追い出すぞ」「失業手当が出なくなるぞ」などと脅かしをしていた派遣会社は、契約満期までの給料の支払いや有給休暇の取得に応じる姿勢をしめしています。

 派遣先のパナソニックエコシステムズには直接雇用をするように団交を申し入れています。二十四日には、パナソニック、三菱電機、三菱重工などの派遣労働者らが労働局に集団申告をします。

(出所:日本共産党HP 2009年2月22日(日)「しんぶん赤旗」)

全国いっせい労働相談
きょうまで全労連 違法な解雇訴えも

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 全労連は二十日、年度末の大規模な「派遣切り」をやめさせようと、全国いっせいの「派遣・非正規労働相談ホットライン」(電話0120―378―060)を実施しました。違法な中途解雇や偽装請負の実態が寄せられ、労働行政の活用や労働組合への加入を呼びかけました。二十一日まで。

 東京都内では午前から、全労連と東京地評の役員らが応対しました。

 外車の販売店に派遣された女性は、パワハラで不眠症にされた上、今月末での中途解雇への合意を迫られていると訴え。相談員は、「契約途中の解雇はできません。違法です」と指摘し、経過を簡単に文書にまとめて労働基準監督署に申告するよう助言しました。トヨタ自動車の販売店に派遣され、一月末で雇い止めにされたという女性には、地域の労働組合を紹介しました。

 各地の相談では、滋賀で、十年以上派遣されたブラジル人が解雇通告を受けたと訴え、即日、団体交渉を申し入れました。生活保護の申請へ同行する地方もありました。

 和歌山では、製造派遣の労働者から、約二十人が中途解雇されそうだとの訴えがありました。請負から派遣に変えられ、偽装請負から通算で六年以上になる違法な派遣。派遣先に直接雇用させようと、労働局への申告を呼びかけました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月21日(土)「しんぶん赤旗」)

“違法派遣” 実態次々
全労連の労働相談 2日間で530件

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 全労連が全国いっせいに実施した「派遣・非正規労働相談ホットライン」は二十一日、前日に続き、「派遣切り」の相談が相次ぎました。二日間で約五百三十件が寄せられました。(午後五時現在)

 徳島では、トヨタ自動車の一次下請けに派遣された息子が十九日に中途解雇された、と親からの相談。派遣先は最長三年の期間制限に違反するとみられ、本人から話を聞くことになりました。

 愛知でも、大手製造業に約七年も派遣されながら今月末で中途解雇との相談が寄せられました。期間制限を超えていることから、直接雇用させることなどを検討します。

 大阪では、大手製造業に派遣されている男性が、三月末の雇い止めを受け、「働き続けたい」と訴えてきました。半年契約の更新を重ねて四年。相談員は、「この雇い止めは違法です。正社員として雇用させよう」と答え、労働組合を紹介しました。

 札幌市では、愛知県内のソニーに派遣されていた男性(36)が、「一月末で中途解雇され、寮も今月中旬に退去させられました。所持金は一万九千円しかない」と相談してきました。市営住宅への入居を決め、生活保護を申請しました。

 岩手では、いすゞ自動車の下請け部品工場に派遣されている男性(28)から、「今月で雇い止めになり、寮も追い出される」と訴えがあり、住居の確保などを紹介しました。

多重債務や解雇まで
福岡市「ネット」 無料相談会に列

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 大量の「非正規切り」が行われるなか、福岡市の医療団体、弁護士事務所、労働組合など約四十団体でつくるいのちとくらしのネットワークは二十一日、「無料なんでも相談会」を行いました。会場の警固公園では炊き出しも行われ、ホームレスや解雇にあった人などが訪れました。

 相談には千鳥橋病院の医師や看護師、全労働省労働組合福岡支部の組合員、弁護士、日本共産党福岡市議団などが応対。ホームレスや生活保護、多重債務、就職などで悩みを抱える市民が相次いで訪れ、列をつくりました。

 無職の男性(30)=東区=は多重債務を抱え法律相談に足を止めました。昨年三月にトヨタ自動車の工場で期間工の契約期間が終了。その後、再度期間工の面接を受けましたが不採用となり、現在まで仕事が見つからないといいます。「仕事せんとダメになりそう。生活ができない。就職支援がまったくない」と語りました。

 同ネットワークは、二十二日から二十七日まで「なんでも相談ホットライン」を実施。住居、借金、生活保護などの相談を受け付けます。問い合わせは0120(123)890まで。

(出所:日本共産党HP 2009年2月22日(日)「しんぶん赤旗」)
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小泉・自公連立政権の「構造改革」は社会と国民に何もたらしたかを検証する。

2009-02-22 02:01:51 | 国内政治
破たんした小泉「構造改革」 社会と国民に何もたらした
貧困と格差 際限なし

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 「官から民へ」「改革なくして成長なし」―。ワンフレーズ政治で「構造改革」路線をひた走った小泉政治。その「本丸」とされた郵政民営化問題で、麻生太郎首相が迷走発言を続けるなか、小泉純一郎元首相や竹中平蔵元経済財政担当相らがマスメディアに盛んに登場し、「構造改革」路線の“復権”をはかる動きもみられます。「痛みに耐えれば、明日はよくなる」どころか、「生きていけない」と悲鳴があがるほどの貧困と格差の惨たんたる状況に国民を追い込んだのが「小泉改革」でした。歴史の審判はすでに下っています。

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雇用のルール破壊
「派遣切り」・ネットカフェ難民

 東京のど真ん中に、五百人もの人たちが衣食住を求めて集まった「年越し派遣村」。大企業の理不尽な「非正規切り」で「人間としての誇りを奪われた」「自殺も考えた」との声が渦巻きました。貧困を目に見える形でつきつけ、政治を動かしました。

 「派遣村」に象徴される「使い捨て」労働の深刻な広がりは「構造改革」の名によるリストラの促進や労働法制の規制緩和がもたらしたものです。

 この十年間で正規労働者が四百九万人も減り、その代わりに、非正規労働者が六百六万人も増えました。

 自民、公明、民主、社民などの各党が賛成した一九九九年の労働者派遣法改悪。派遣労働を原則自由化し、「派遣」という形での「使い捨て」労働の増加に拍車をかけました。

 二〇〇一年に発足した小泉内閣は、「構造改革」を加速。まず「不良債権処理」の名で中小企業つぶしをすすめ、〇三年には、企業がリストラをすればするほど減税をするという「産業再生」法を延長・改悪し、大企業のリストラを後押ししました。

 一方、派遣法を改悪し、〇四年三月からは製造業への派遣を解禁しました。この中で、もともと危ぐされていた派遣労働者の労働災害が増加。〇七年の死傷者数(五千八百八十五人)は、〇四年と比べると九倍という激増ぶりを示しました。

 ネットカフェで寝泊まりしながら「日雇い派遣」で働く若者の姿が、底なしに広がる「働く貧困層」の象徴となりました。

 ギリギリの生活を強いられている派遣労働の実態が大問題になり、日本共産党の論戦とあいまって政府でさえ派遣法の見直しを言い出さざるをえなくなりました。労働分野の規制緩和が破たんしたことは明確です。

 しかし、米国の金融危機に端を発した景気悪化を口実に、〇八年後半、大企業は製造業を中心に大量の「派遣切り」「期間工切り」を始めました。被害は日増しに広がり、今日の日本社会を覆う最大の社会問題になっています。

 景気のいいときには、正社員を派遣や期間工に置き換えて大もうけをし、景気が悪化したらモノのように使い捨てる―この大企業の横暴勝手を容易にする仕組みを作ったのが、労働の「構造改革」であり、今日の事態は、まさに政治災害そのものです。

社会保障の連続改悪
医療崩壊・国保証取り上げ

 「わずかな年金は減らされたうえ、保険料の天引きは容赦ない」「病気になってもお金がなければ病院にもいけない」―。「構造改革」による社会保障の連続改悪によって、こんな苦難が国民を襲いました。

 その大もとにあるのが、小泉内閣が決めた社会保障費の抑制方針です。二〇〇二年度から毎年、社会保障費の自然増分から二千二百億円(初年度は三千億円)削減されてきました。

 抑制の対象は医療、介護、年金、生活保護と社会保障のあらゆる分野に及び、庶民への痛みの押し付けの結果、「生きること」自体が脅かされる実態が広がっています。

 医療分野では、国民の負担増に加え、医療費削減を目的に医師数の抑制政策を続けたため、救急患者が救われない医師不足が社会問題化し、「医療崩壊」と呼ばれる事態が出現しました。

 高すぎる国民健康保険料が払えずに正規の国保証を取り上げられた世帯は約百五十八万世帯にまで広がっています。受診を控え、手遅れで死亡する例は後を絶ちません。

 そのうえ、国民生活の最後の命綱である生活保護さえ切り縮められました。老齢加算の廃止で、「朝はパン一枚、昼はうどん」「暖房費節約のため、ストーブをつけず布団に入る」「風呂の回数を減らす」など生活の根幹まで切り詰めざるをえない実態です。(〇八年一月、全日本民主医療機関連合会の調査報告)

 こうしたなか、昨年四月に導入された後期高齢者医療制度に、国民の怒りが爆発しました。同制度に対する不服審査請求は全国で一万件超。「『高齢者はいずれ死を迎える、お金も手間もかけなくてよい』という、人間性を喪失した制度だ」などの怒りの声があふれています。

 日本医師会など医療関係四十団体は〇八年七月、「社会保障費の年二千二百億円削減撤廃」を決議。国民の批判は、小泉内閣がしいた二千二百億円の削減路線そのものに向けられはじめました。

 自公政権は社会保障費の削減路線の転換は明言しないものの、〇九年度予算案で一時的な手当てを行い、社会保障費の実質の削減幅は二百三十億円に“圧縮”せざるをえなくなっています。第二次小泉改造内閣で厚労相だった自民党の尾辻秀久議員でさえ、一月三十日の参院本会議で「乾いたタオルを絞ってももう水はでない。潔く二千二百億円のシーリングはなしと言うべきだ」と述べるなど、社会保障費削減路線の破たんを認めざるをえなくなっているのです。

庶民負担増 大企業は減税
7年間で国民に50兆円近くも

 小泉政権以来の増税などで国民負担は、年間十三兆円も増えました。二〇〇二年度から〇八年度まで七年間の国民負担増を累計すれば、五十兆円近くになります。

 その一方で、大企業・大資産家への減税は、一九九八年以降の十年間に行われたものだけでも、大企業に年間五兆円、大資産家に年間二兆円、あわせて年間七兆円以上になっています。十年間の累計では、四十兆円もの税収が失われました。地方の切り捨て
激減する交付税・農業破壊

 「交付税が四割減って半分も補てんされない」「このままでは吉野は死んでしまう」

 昨年七月。奈良県吉野郡で開かれた日本共産党の演説会に先立ち、市田忠義書記局長と懇談した地元町村長らから、こんな嘆きの声が率直に寄せられました。

 「地方ができることは地方へ」をうたい文句に自民・公明政権が強力に推進した「三位一体改革」は、農山漁村の自治体を存亡の危機にまで追い詰めています。

 実際、「三位一体改革」が断行された二〇〇四年から三年間で、国庫補助負担金は四・七兆円、地方交付税は五・一兆円がそれぞれ削減されました。一方、国から地方への税源移譲はわずか三兆円しかありません。地方自治体にとっては差し引き六・八兆円のマイナスです。

 全国知事会は昨年七月の知事会議で、このままでは一一年度までに地方自治体の財政が破たんするという衝撃的な試算を発表しました。とりわけ地方交付税が財政に占める比重が高い町村の財政は深刻です。

 「地方交付税の削減など、国による兵糧攻めからの生き残り策」「周辺町村が財政破たん寸前だった」。全国町村会の「道州制と町村に関する研究会」が昨年十月にまとめた調査報告でも、市町村合併の理由の柱に「三位一体改革」による交付税削減を指摘する声が相次ぎました。

 国会でも、鳩山邦夫総務相が「急激にやりすぎた。失敗の部分がある」(十二日、衆院本会議)と答弁。「三位一体改革」の破たんを認めました。

 また、輸入自由化の促進による農業破壊、大型店の進出による商店街の「シャッター通り」化など、地方経済の冷え込みも深刻です。

 しかし、自民党は、こうした“地方切り捨て”を反省するどころか、一〇年三月末の合併特例新法の期限切れを前に「おおむね七百から千程度の基礎自治体に再編」すると、いっそう合併を推進することを主張。さらに、政府は「時代に適応した『新しい国のかたち』をつくる」として道州制の導入を掲げています。

 こうした動きには全国町村会が「強制合併につながる道州制には断固反対していく」と明記した特別決議を採択するなど、痛烈な反撃が巻き起こっています。

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経済ゆがみ、ぜい弱に

 「戦後最悪の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)―。内閣府が十六日発表した二〇〇八年十―十二月期の国内総生産(GDP)が実質で前期比3・3%減(年率換算12・7%減)となったニュースは、衝撃を与えました。金融危機の震源地である米国よりも急激な落ち込みだったからです。なぜこんなことになったのか。ここにも、背景に小泉内閣いらいの「構造改革」があります。

極端な輸出依存

 「衝撃 石油危機以上 輸出依存体質響き」(「毎日」十七日付)、「外需依存の成長 岐路」(「日経」同)、「外需頼み 転換カギ」(「読売」同)といった見出しが商業メディアに目立ちました。極端なまでに輸出に依存した「経済成長」の破たんです。

 「構造改革」を掲げた小泉内閣が発足(〇一年四月)して以来の変化をみてみましょう。内閣府のGDP統計によると、所得や個人消費は低迷しているのに、輸出が極端に伸び、〇八年に失速します。財務省の法人企業統計をもとに、製造業大企業(資本金十億円以上)の〇一年度と〇七年度を比較すると、経常利益は二・二五倍に増えています。ところが、従業員給与は〇・九八倍と減っています。大幅に増えたのは株主への配当と社内留保です。一方、民間信用調査会社の調査では、法的整理による企業倒産が増えています。ほとんどが中小企業です。

 自動車、電機など輸出大企業を中心に従業員や中小企業・業者にしわ寄せする形で、大もうけし、もっぱら株主に還元するという構図です。

財界全面後押し

 こうした企業体質をつくり出したのが、「構造改革」だったと、日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長が述べています。

 「これは、何といっても構造改革の進展がもたらしたもの」「多くの企業でも、筋肉質の企業体質が形成されている。過剰設備や過剰債務、過剰雇用という、いわゆる『三つの過剰』は完全に解消している」(〇八年六月十九日の講演)

 文字通り、財界の全面的な後押しで推進されたのが小泉流「構造改革」でした。

 財界が求める雇用など「三つの過剰」の解消を推進するテコと位置づけられたのが不良債権の強引な早期最終処理です。

 小泉内閣が最初につくった「骨太の方針」(〇一年六月)は、不良債権処理の加速を通じて「効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へとヒトと資本を移動することにより、経済成長を生み出す」とうたいました。小泉内閣は、リストラすればするほど減税する「産業再生」法を拡充、製造現場への労働者派遣を解禁しました。

懸念したことが

 この結果、「成長」したのは、「筋肉質」になった輸出大企業や大銀行だけでした。「不良債権」扱いされた中小企業は倒産に追い込まれ、大量の失業者が生まれ、正社員から賃金の安い非正規社員への置き換えが進みました。

 あまりにも、国内経済を脆弱(ぜいじゃく)にしてしまった「構造改革」。政府の「ミニ経済白書」(〇七年十二月)でさえ、輸出は増加しているが、家計部門が伸び悩むなか、米国経済など海外リスクが顕在化した場合、景気は「厳しい局面も予想される」と懸念していたことが現実のものとなりました。

痛み押しつけ 当初から批判/ルールある経済社会へ
日本共産党が主張

 日本共産党は小泉内閣の発足当初から、「『構造改革』の名で国民に痛みを強いる政治こそが、経済危機をいっそう深刻にし、明日の希望をも国民から奪う」(志位和夫委員長、二〇〇一年五月の衆院代表質問)と述べ、「構造改革」に対し一貫して反対してきました。民主党が当初、自民党と「改革のスピード」を競い合ったのとは、対照的でした。

 日本共産党は、今日の「派遣切り」の原因となった一九九九年の労働者派遣法の改悪にも、唯一反対したのをはじめ、相次ぐ労働法制の改悪を厳しく批判。小泉内閣が推し進めた「社会保障費抑制路線」に対しては、大企業・資産家へのゆきすぎた減税をただし、年間五兆円におよぶ軍事費にメスを入れることなど、「構造改革」路線からの転換のための財源も示し、正面から対決してきました。

 今、米国発の金融危機のなかで前例のない急激な景気悪化が日本経済を覆っています。これは、国民生活を徹底的に破壊し、その経済基盤を「外需頼み」にしてきた「構造改革」路線のゆがみの結果です。

 日本共産党は、「ルールなき資本主義」のうえに、大企業のもうけを野放図に追い求める、こうした路線の誤りを指摘し、「ルールある経済社会」へ進むことを呼びかけています。

推進者がいま「懺悔の書」

 小泉流「構造改革」をめぐり居直る竹中平蔵元経済財政・金融担当相と対象的に「懺悔(ざんげ)の書」を書いたのは、中谷巌氏。小渕内閣の経済戦略会議の議長代理として「構造改革」の提言をまとめた中心人物です。竹中氏も同会議のメンバーの一人でした。

 中谷氏は自著『資本主義はなぜ自壊したのか』のなかで、「一時、日本を風靡(ふうび)した『改革なくして成長なし』というスローガン」にふれ、「新自由主義の行き過ぎから来る日本社会の劣化をもたらしたように思われる」として、「『貧困率』の急激な上昇は日本社会にさまざまな歪(ゆが)みをもたらした」と指摘。「かつては筆者もその『改革』の一翼を担った経歴を持つ。その意味で本書は自戒の念を込めて書かれた『懺悔の書』でもある」と書いています。

郵政民営化矛盾が噴出

 小泉内閣が「構造改革」の本丸と位置付けた郵政民営化。その矛盾が噴出しています。

 「私は郵政民営化を担当した大臣」(二〇〇八年九月十二日、自民党総裁選の討論会)と自認する麻生太郎首相。その麻生首相が「(郵政事業の四分社化を)もう一回見直すべき時にきているのではないか。小泉首相のもとで(郵政民営化には)賛成ではなかった」(二月五日の衆院予算委員会)と言い出したのは、郵政民営化の破たんを象徴しています。

 当時の小泉首相が「郵政選挙」までやって強行した郵政民営化のかけ声は「官から民へ」「民間でできることは民間で」「貯蓄から投資へ」でした。

 「民間」といっても日米の大手金融機関のことです。もうけのじゃまになる郵便貯金、簡易保険などの郵政事業をバラバラにするのが四分社化でした。

 「貯蓄から投資へ」といっても、庶民の預貯金を呼び込もうとしている証券市場の売買の六割以上は外国人投資家。その大半はヘッジファンドとよばれる投機基金です。庶民の虎の子の財産が食い物にされかねません。

 安心、安全、便利を願う国民にとっては「百害あって一利なし」の郵政民営化。その矛盾のあらわれは小泉流「構造改革」路線そのものの破たんを物語っています。 

“改革が足りないから”と居直る竹中氏だが…
 小泉流「構造改革」がモデルにした本家の米国で、市場まかせの「新自由主義」路線が破たんしました。にもかかわらず、小泉流「改革」にしがみつこうとする勢力がいます。

 一月一日放送のNHK番組で、小泉「改革」を推進した元経済財政・金融担当相の竹中平蔵氏は、大企業の「非正規社員切り」横行が社会問題になり、小泉「改革」に批判が強まっていることに、こう居直りました。

 「大企業が非正規を増やすのは原因がある。正規雇用が日本では恵まれすぎている。正規雇用を抱えると企業が高いコストをもつ」

 「同一労働同一賃金」をやろうとしたが、反対されたとし、「(年越し派遣村などは)改革を中途半端に止めてしまっているから、こういう事態が起きている」。

 竹中氏が“止まっている”という「改革」の中身は、正社員の賃金水準を賃金が安い非正規社員の水準に引き下げるという意味での「同一労働同一賃金」です。大企業の総人件費を抑えるのが狙いです。これでは、働いても働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」を労働者全体に広げることにしかなりません。

 しかも、竹中氏は「問題は、いまの正規雇用に関して、経営側に厳しすぎる解雇制約があることだ」(「竹中平蔵のポリシー・スクール」二月一日付)として、企業業績が悪化したら従業員を抱え込まなくていいような「新たな法律を制定することが必要だ」と主張しています。正社員を含めた“解雇自由法”をつくれといっているようなものです。

 一方で、「日本を元気にしないといけない」として、最優先課題にあげたのが法人税率をもっと引き下げることでした(一月一日のNHK番組)。竹中氏がかかげる「改革」はあくまで、大企業のための「改革」を徹底しろということにすぎません。

(出所:日本共産党HP  2009年2月20日(金)「しんぶん赤旗」)
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国会は雇用と景気問題で集中審議をー日本共産党の志位和夫委員長が記者会見ー

2009-02-22 01:58:30 | 国内政治
雇用と景気 集中審議を
国会が国民生活守る責任果たすとき
志位委員長が提起

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 日本共産党の志位和夫委員長は十九日、国会内で記者会見し、当面の国会対応について次のように発言しました。

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 一、政府・与党は、来年度予算案の衆院通過を二十三日にも強行する動きをみせているが、私たちはこういうやり方に強く反対する。現状は予算案の審議が尽くされたとは到底いえない。現局面で、国会として国民の暮らしに対する責任をしっかりと果たすために、少なくともつぎの二つの問題での集中審議が必要だと提起したい。

 一、一つは、雇用問題での集中審議だ。「派遣切り」「期間工切り」が年度末に向けて、さらに激しさをますことが危ぐされ、雇用破壊の波が正社員にまで及ぶ状況が生まれ、それが景気悪化を加速する非常に重大な要因にもなってきている。私が二月四日の衆院予算委員会で提起した、大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせるための集中審議がどうしても必要だ。

 日本経団連会長、自動車産業、電機産業のそれぞれの業界代表、主要大企業の経営者などの国会への参考人招致と集中審議を実現させたい。

 この問題については、わが党の提起に、野党は賛意を示し、与党も「検討する」としている。衆院予算委員長も「雇用・景気国会といわれる中で前向きに受け止め検討する」と言明している。

 一、二つ目に、景気対策の集中審議がどうしても必要だ。先日発表された二〇〇八年十―十二月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、年率換算で12・7%のマイナスというたいへんな数字だった。アメリカがマイナス3%台、ヨーロッパがマイナス5%台だから、欧米と比べてもけた違いに景気の落ち込みが激しい。

 これは日本経済をあまりにも外需頼み、輸出頼みにする一方で、家計を冷え込ませ、内需をないがしろにしてきた政策の結果生み出された事態だ。いかにして内需を活発にしていくか具体的な内容がいま問われている。

 日本共産党は、政府予算案の抜本組み替え要求を発表(十六日)し、内需拡大のために雇用、社会保障、農業、税制などさまざまな分野での政策転換を求めている。

 政府予算案で内需の抜本的拡大に対応できるのかを徹底的に吟味し、それができないのであれば、予算案の組み替え、修正、見直しをはかる。そのための集中審議が必要だ。

 一、国民がたいへんな苦しみの中にあるいまこそ、国会が国民の暮らしを守る責任を果たすときだ。政府がだらしなかったら国会の出番だ。いまこそ国民の苦しみを軽減するための政治の責任を果たさなければならない。

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日本国民に負担と犠牲―批准させないたたかいを
米海兵隊グアム協定で志位氏

 日本共産党の志位和夫委員長は十九日の記者会見で、日米外相会談(十七日)で在沖縄米海兵隊のグアム「移転」に関する協定を結んだことについて、「日本国民に大変な重荷と苦痛を強いるものを、どさくさの中で結んだことに強く抗議する」と述べました。

 志位氏は、海兵隊グアム「移転」の条件に、普天間基地に代わる新基地建設があると指摘。「沖縄県内で基地をたらい回しして、名護市辺野古沖に新基地をつくる。基地機能を強化し、固定化・永久化していこうという、沖縄県民が『それだけはかんべんならん』ということを頭越しに決めた」と批判しました。

 また、もう一つのグアム「移転」の条件として、日本が六千億円の「移転」経費負担を約束したことについて、「外国につくる基地の負担を日本国民の税金で行う協定は前代未聞の暴挙だ」と批判しました。

 志位氏は「オバマ米政権には、日米軍事同盟を絶対化し、日本にさまざまな負担と犠牲を押し付けるという日米関係の基本線での『チェンジ』は見られない。日本政府が言われるままに、日本国民に負担と犠牲を押し付ける協定を結んだことは許しがたい。協定を国会で批准させないたたかいが重要だ」と強調しました。

日ロ首脳会談―無原則を重ねる対応は国益損なう

 志位氏は、日ロ首脳会談(十八日)で千島返還をめぐり、「新たなアプローチ」と称する動きが出ていることについて「内容は定かではないが、領土問題で、『足して二で割る』ような、無原則に無原則を重ねる対応をしたら国益を損なう重大な事態となる」と指摘。「領土問題は、歴史的事実と道理にもとづいて解決が図られるべきであり、またそうでなければ絶対に解決の道は開かれない」と述べました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月20日(金)「しんぶん赤旗」)
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