「先端的研究を推進して実現して欲しいこと」の集計結果が出た
2700億円の巨費が投じられる「最先端研究開発支援プログラム」について、
このブログでは繰り返し取り上げてきた。
2700億円を新たにばらまくくらいなら
2700億円は総合科学技術会議に委ねられたように見える
2700億円のぶんどり合戦始まる(追伸有り)
22日にこの件のパブリックコメントである「先端研究を推進して実現して欲しいこと」に関するご意見募集の集計結果について発表になった。
そのことは、K_Tachibanaさんのブログで知った。
【話題】「『先端的研究を推進して実現してほしいこと』に関するご意見募集」の集計結果 内閣府@S&C
>ご参考まで.
この素っ気ないところが、S&Cの売りだからね。
集計結果のプレスリリース
>有効応募数:606人 有効意見数:911件 (一人当たり平均意見:1.5件)
思っていたよりも多くの意見があったように感じる。
どう解釈するかだけど、集計結果をまとめた記事がこちら。
【2009年7月24日 医療・健康・介護分野の研究に大きな期待 】@サイエンスポータルレビュー
>国民が求める先端的研究として期待が大きいのは「医療・健康・介護」分野であることが、内閣府の意見募集結果で明らかになった。
この記事、なかなか言いにくいところをずばっと言っている
>プログラムはまだ国民の多くに知られているとは言えず、意見を寄せたのは科学技術に関心が高い人々に限られるとみられることから、“科学リテラシー”が比較的高い層の科学技術に対する期待傾向をうかがうデータとして相応の意味はありそうだ。
データの読み方が難しいが、アンケート内容に基礎研究と実用研究の区別がない以上、
具体的に利益が出そうなものに意見が集まるのは当然かもしれない。
>「医療・健康・介護」に次いで期待を集めたのは「環境・エネルギー」(約29%)、「交通・通信」(約11%)、「食・食品」(約7%)、「安全・安心」(約6%)の順だった。「資源対策や地球温暖化対策のための太陽光やバイオ技術を利用した新エネルギー等への転換」が、「環境・エネルギー」の中の半数以上を占めているのは大方が納得する結果ではないか。一方、メディアによく取り上げられる「食品の安全性を高める技術の向上」は回答全体の2%以下。むしろ、食品の安全に関する技術ほど取り上げられることが少ないように見える「交通事故防止や交通事故死をゼロにするための自動車開発やインフラ整備」の方が3%近い回答を得ていることも注目される。
私は、これが一般的な科学への期待と見ていいと思う。
でも、それが「最先端研究開発支援プログラム」の選定に生かすべき内容かというと疑問だ。
>公表された一般からの意見募集結果は、申請された中から中心研究者と課題の選定作業を担う「最先端研究開発支援ワーキングチーム」に22日、参考資料として配布された。
参考資料として目を通していただくとして、それが参考になるかどうか。
なぜならば、「最先端」は現実からかけ離れているからだ。
今困っていることではなく、これから困るだろうこと、
さらに、これから解決しなければならないことを考えるのが「最先端」の役割だろう。
現実を追いかけたのでは遅いのが、研究だと思う。
もちろん、現実を改善するために多くの研究がなされていることを否定するものではない。
それは「最先端」ではないと言っているだけだ。
現実を改善するための研究は「現実的な価格」や「現実的な手段」が問われなければならない。
普及が必要だからだ。
2700億円は、その先にある「未来に役に立つかもしれないもの」に投じられるだろう。
そうでなければ「最先端」を目指しているとはいえないからだ。
でも、それに2700億円を投じる意味があるかどうか。
それはまた、別の議論である。
そこに、方向性が見えそうなのが、こちらのアンケートではないか。
【参考】意見募集:「よろしければこちらにもお答えください:科学者、研究者の方たちにどういうイメージをお持ちですか?」まとめ
回答308件 良いイメージ38% 悪いイメージ23% 良くも悪くも6%
研究者自身でも投稿した人もいたらしい。
研究内容をもっと国民に知らせるべきとの意見が4.2%あったことは傾聴すべきかも。
このブログでは繰り返し取り上げてきた。
2700億円を新たにばらまくくらいなら
2700億円は総合科学技術会議に委ねられたように見える
2700億円のぶんどり合戦始まる(追伸有り)
22日にこの件のパブリックコメントである「先端研究を推進して実現して欲しいこと」に関するご意見募集の集計結果について発表になった。
そのことは、K_Tachibanaさんのブログで知った。
【話題】「『先端的研究を推進して実現してほしいこと』に関するご意見募集」の集計結果 内閣府@S&C
>ご参考まで.
この素っ気ないところが、S&Cの売りだからね。
集計結果のプレスリリース
>有効応募数:606人 有効意見数:911件 (一人当たり平均意見:1.5件)
思っていたよりも多くの意見があったように感じる。
どう解釈するかだけど、集計結果をまとめた記事がこちら。
【2009年7月24日 医療・健康・介護分野の研究に大きな期待 】@サイエンスポータルレビュー
>国民が求める先端的研究として期待が大きいのは「医療・健康・介護」分野であることが、内閣府の意見募集結果で明らかになった。
この記事、なかなか言いにくいところをずばっと言っている
>プログラムはまだ国民の多くに知られているとは言えず、意見を寄せたのは科学技術に関心が高い人々に限られるとみられることから、“科学リテラシー”が比較的高い層の科学技術に対する期待傾向をうかがうデータとして相応の意味はありそうだ。
データの読み方が難しいが、アンケート内容に基礎研究と実用研究の区別がない以上、
具体的に利益が出そうなものに意見が集まるのは当然かもしれない。
>「医療・健康・介護」に次いで期待を集めたのは「環境・エネルギー」(約29%)、「交通・通信」(約11%)、「食・食品」(約7%)、「安全・安心」(約6%)の順だった。「資源対策や地球温暖化対策のための太陽光やバイオ技術を利用した新エネルギー等への転換」が、「環境・エネルギー」の中の半数以上を占めているのは大方が納得する結果ではないか。一方、メディアによく取り上げられる「食品の安全性を高める技術の向上」は回答全体の2%以下。むしろ、食品の安全に関する技術ほど取り上げられることが少ないように見える「交通事故防止や交通事故死をゼロにするための自動車開発やインフラ整備」の方が3%近い回答を得ていることも注目される。
私は、これが一般的な科学への期待と見ていいと思う。
でも、それが「最先端研究開発支援プログラム」の選定に生かすべき内容かというと疑問だ。
>公表された一般からの意見募集結果は、申請された中から中心研究者と課題の選定作業を担う「最先端研究開発支援ワーキングチーム」に22日、参考資料として配布された。
参考資料として目を通していただくとして、それが参考になるかどうか。
なぜならば、「最先端」は現実からかけ離れているからだ。
今困っていることではなく、これから困るだろうこと、
さらに、これから解決しなければならないことを考えるのが「最先端」の役割だろう。
現実を追いかけたのでは遅いのが、研究だと思う。
もちろん、現実を改善するために多くの研究がなされていることを否定するものではない。
それは「最先端」ではないと言っているだけだ。
現実を改善するための研究は「現実的な価格」や「現実的な手段」が問われなければならない。
普及が必要だからだ。
2700億円は、その先にある「未来に役に立つかもしれないもの」に投じられるだろう。
そうでなければ「最先端」を目指しているとはいえないからだ。
でも、それに2700億円を投じる意味があるかどうか。
それはまた、別の議論である。
そこに、方向性が見えそうなのが、こちらのアンケートではないか。
【参考】意見募集:「よろしければこちらにもお答えください:科学者、研究者の方たちにどういうイメージをお持ちですか?」まとめ
回答308件 良いイメージ38% 悪いイメージ23% 良くも悪くも6%
研究者自身でも投稿した人もいたらしい。
研究内容をもっと国民に知らせるべきとの意見が4.2%あったことは傾聴すべきかも。
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