【試写】映画「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」試写会に行って来た
26日に行ったのだけど、fc2が使えなかったので、今日アップ。
妻が伊勢丹のアイカード会員で試写会を当てたという。
その試写会が「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物」と聞いて、私はぶっ飛んだ。
なぜ伊勢丹が試写会を!
そこまで驚く必要もなくて、よく考えれば以前、伊勢丹新宿店で「ハーブ&ドロシー」写真展も開催していた(偶然見た)
ということで不思議ではないのだけど、このドキュメンタリー映画と伊勢丹というのがあまりにミスマッチングな気がしたもので。
まず、この「ハーブ&ドロシー」が何者かの説明からしなくていけませんね。
この「ハーブ&ドロシー」は人の名前で、ハーバードさんとドロシーさんのヴォーゲル夫妻。
現代アートのコレクターとして有名だけど、お金持ちのコレクターというわけではなく、図書館司書のドロシーの給料で生活し、郵便局員のハーブの給料を当てて購入してきたコレクションが自宅の1DKにところ狭しと並んでいる、つましいふたりなのです。
そのふたりのコレクションがアメリカのナショナルミュージアムに2000点以上寄贈された。
その経緯を描いたのが、前作「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」だった。
監督は日本人の佐々木芽生さん。
郵便局員と図書館勤めの夫婦が、つつましい給料からアート作品を買い集め、やがて世界屈指の現代アートのコレクションに…そして最後は全てをアメリカの国立美術館に寄贈。この話を初めて聞いた時、私は心臓に衝撃を受ける程の感動を覚えました。数点売ればすぐに大富豪になれるのに、1点も売ることなく、いまも静かにNYの1LDKのアパートで年金暮らしの二人。この夫婦の話を広く伝えたいという思いだけに駆られ、4年かけて完成したドキュメンタリー映画が前作『ハーブ&ドロシー』です。
このドキュメンタリーはアメリカでもロング・ランされ、日本では配給会社に断られながらも上演をサポートするイベントなどが開催され(さとなおさんがプッシュしていた)、結局異例の大ヒットになった。
この作品は、その続編なのだけど、前作の編集中にとんでもない事件が起きたことに端を発している。
ナショナルミュージアムに寄贈されたコレクションのあとにもふたりのコレクションは増殖していたのだけど、今度は全米50州の美術館に50点づつ(計2500点!)を寄贈するという計画が発表されたのだ。
それが2008年。そしてふたりは、その寄贈の旅に出る。その顛末を描いているのが、続編にして完結編の本作。
そう完結編になってしまった。
何故ならば、2012年7月に本作の主人公の一人ハーブが亡くなった(さとなおさんのエントリ)から。
それもまた、本作で描かれている。
この映画が日本で世界最初に上映されるにいたったのは、佐々木監督自身が、クラウドファンディングという手法で寄付を集めたことにたんを発しています。
詳しくは、このサイトに書いてありますが、前作もクラウドファンディングで製作費を捻出し、今作は最初からクラウドファンディングや寄付を採用し、FacebookページやTwitterアカウントで宣伝するという方法をとっています。
そして3月1日に目標の1000万円に達し、いま見ると14,633,703円になっています。
映画製作のような大きなアートも個人が直接応援できる時代になったわけですね。
そして、伊勢丹は、その協力者になったというわけです。
こうしたクラウドファンディングで製作費を集めたために、エンディングロールには、実に多くの人や企業の名前が、そしてアートの寄贈先である、美術館、購入したアーティストの名前が出てきます。
エンディングロールを作った人偉い! あの校正はしたくない!(笑)
それはおいておいて、この費用が使われる目的に明記されていたように、ドロシーが来日することが出来、昨日の試写会には、ドロシー本人が監督とともに登場しました。
試写会は、新宿ピカデリーの1番という大きな部屋だったので、壇上に現れた小さなドロシーは余計に小さく見え、よく日本に来てくれたという思いで、泣きそうになりました。
そして、その後に登場した映画紹介のLiLiCo(リリコ)さんの大きいのにびっくりしました。
なんかゴツくて、北斗晶みたいでした(笑)
映画の内容は、二人からコレクションを贈られた美術館での展覧会の様子や、ふたりが購入したアートおよびアーティストへの取材によって、アメリカにおける美術館と現代美術の現状を描くものになっているし、二人から「贈られた」ことで起こる、美術館と、その街の「とまどい」や「再建」など、多用なものを描くことに成功しています。
詳しくは、あらすじを見てください。(「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」のあらすじ)
そして、二人の愛情と、ハーブの美術の目利きとしての確かさもまた、前作にもまして描かれています。
とくに、作品を展示する際に、ハーブが出す指示の明確さというか慧眼が素晴らしい。
あと、この映画で紹介される最後のアートは、見た途端、泣きますね。
3月30日公開だそうですから、ぜひ見ていただきたいです。
専用サイトはこちら。
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