---

巧い！
巧すぎる！
これは面白かった。

１０００のうち３つしか本当のことを言わないから「せんみつ」。
そんな嘘だらけのことしか言わない犯人はなぜ自ら捕まるような真似をして、素直に供述したのか。

ひとつひとつの嘘を暴いていくと現れてくる、相当に頭が切れる犯行計画と真実。
嘘しか言わないなら、すべてが嘘。
でも嘘の中から真実を取り出していく。
巧妙につかれた嘘は対極には真実があって、真実から遠ざけるためにこそ嘘をついている構成がまた見事なのだ。

論理ものと呼ばれるようなミステリにすることで、１対１の会話こそメインだけれども、その戦いには実にハラハラさせられた。

ラストの爽快さもまたいい。
彼の言ったことが嘘なら、最後に言った心にもないことにはしっかり嘘が含まれているわけで。
ほっこりした。