薔薇の名前
THE NAME OF THE ROSE(1986)
How peaceful life would be without love, Adso, how safe, how tranquil, and how dull.
本編より
何度見ただろう。
やっぱりブルーレイでのあの独特な照明というか明かりの中世的表現や迷宮の底知れぬ闇の表現などが実によく見えた。
何度見ても分からないことだらけ。
少しずつ分かっているような、分からないような。
詩編にある「
薔薇の名前」の意味が愛を意味し、おそらくはあの少女のことであろうことはわかる。
沈黙が支配しと真実を知る者が殺される舞台。
人は笑わず、口に出さず、黙々と生きている中。
見た目は静寂そのものの教会の中に渦巻いている様々な欲望のなんとどす黒いことか。
どす黒くなんかない、それは正当な欲望だらけなんだけれども、清貧な中でこそそう見えるだけなのかもしれない。
舞台となる教会での7日間。
まるで黙示録のように次々に起こる事件。
世界から隔絶されたように閉ざされた舞台。閉ざされた7日間という時。そして事件。
そりゃあ魅力的に映るわけだ。
ミステリであり、冒険であり、あらゆる知識が試される映画。
ミステリとしての真実は明らかにされても、この映画が見ている者になにを示すかはまた別問題というような孤高さすら感じる。
8年前に見た時には「真実」、2年前に以前に見た時は「愛」の映画のように思えたけれども、今回は「探究心」の映画のように思えた。
まったく、面白い映画だ。
圧倒的な世界観を彩る美術と服飾と照明も見もの。
あとはなにげに当時はまだ若かりし頃だったジェームズ・ホーナーのスコアも挑戦的でいいものです。
監督:
ジャン=ジャック・アノー原作:
ウンベルト・エーコ出演:
ショーン・コネリーF・マーレイ・エイブラハムクリスチャン・スレイター