「家庭教育」に自治体介入? 進む条例化、議員が旧統一教会と接点
家庭教育の重要性を定めた「家庭教育支援条例」が地方で広がっている。かつて自民党が「家庭教育支援法」の制定を国会で目指したが、公権力が家庭に介入することへの批判が強く、棚上げになった。条例はその自治体版といえる内容だ。背景を探ると、伝統的な家族観で一致する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と地方議員の接点が見えてきた。
準備スタッフは教団関係者
「家庭は全ての教育の出発点だ。今こそ、家庭教育を支援する取り組みが求められている」
2018年5月、東京・永田町の衆議院第2議員会館。「全国地方議員研修会」に登壇した熊本県議は全国に先駆けて13年に施行された「くまもと家庭教育支援条例」の意義を語った。
集まったのは地方議員数十人。会場準備や議員への連絡など、事務を手伝ったのは旧統一教会の関連団体の会員らだった。
主催は地方議員でつくる世話人会。代表世話人を務めた静岡県議によると、15年ごろから複数回開かれ、多い時には100人以上の地方議員が集まった。運営に関与したのは教団系政治団体「国際勝共連合」や関連団体「世界平和連合」のメンバーら。
県議は取材に「教団は家庭を重視しているので、考え方が同じ地方議員の勉強会をサポートしただけ。教団が組織として条例を広めようとしたのではなく、あくまで主体は地方議員だ」と釈明した。
「地元にも条例を」
参加した地方議員の中には研修会後、地元で条例作りに動く議員もいた。
「県民全てが家庭教育の重要性を再認識し、社会として支援する取り組みが重要だ」。19年11月、福井県議会の一室。自民党の元県議(当時は現職)は7人の同僚議員を前に力説した。
元県議は「研修会で感銘を受け、福井にも独自の条例が必要と思った」と話す。19年7月、自らを会長とする検討会を県議会で発足。条例は20年10月、賛成多数で成立した。
だが、この元県議も教団との接点が発覚した。元県議は同年2月、韓国で教団の関連団体が主催したイベントに出席。宿泊代などの経費を政務活動費として処理していた。国内でも教団関連の会合などに参加。指摘を受け、16~21年度の政務活動費のうち計18万7947円を自主返納した。
元県議は取材に「先輩議員から引き継いだ日韓交流の活動を通して教団関係者と知り合った。条例制定を働きかけられたことはなく、(教団と)条例を結び付けられるのは心外だ」と話す。
保護者に「責任」、祖父母も「協力」
そもそも、条例はどんな内容なのか。…
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