2012.03.28  彼岸の頃の甲斐路
八ヶ岳山麓の四季 72

小口隆三 

各地からは、厳しかった寒さの影響で花が咲くのが遅れている、との話が伝わってきます。例年ですと諏訪地方でも日当たりのよい所ではそろそろ白梅が咲き始めるのですが、今年はまだその気配はなくて、もうしばらくは辛抱しなければならないようです。
そこで思い切って諏訪よりも早く春が来る甲斐路(甲州・山梨県)へ出かけてみることにしました。春間近の3月の山々を眺め、春の訪れを告げる白梅に出会う、という期待がふくらんできます。
一般的に甲斐路といえば甲府、大月方面を含む山梨県の広い範囲を指します。しかしここでは八ヶ岳連峰の南麓に広がる北杜(ほくと)市とそれに隣接する韮崎(にらさき)市を甲斐路と呼ぶことにします。地図でみると山梨県の西北部にあたり、私が住む富士見町(信州・長野県諏訪郡)からは約30km以内ですから、遠路はるばる遠征というわけではありません。

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《写真(1)》富士見町とは地続きの北杜市小淵沢ではまだ春の気配は感じられませんが、甲斐駒ケ岳(2966m)が目前にどっしりと聳え立っていました。小淵沢から見上げる3月の甲斐駒ケ岳には凛とした気品がみなぎっています。甲斐駒ケ岳に敬意を表して1枚撮りました。

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《写真(2)》韮崎市にある新府城跡に登って八ヶ岳連峰を眺めました。山梨県側(東側)から見る八ヶ岳は、いつも諏訪側(西側)からの姿を見馴れている私には若干戸惑いもありますが、違った角度からだからこそ見えてくる新たな光景に新鮮な驚きを覚えます。
因みに新府城跡(国指定の史跡)について触れてみます。新府城は今から約430年前、武田勝頼が築いた城ですが完成直後に武田家は滅亡、廃城になったようです。城跡は小高い山の上にあり頂上には藤武神社と勝頼公霊社があります。頂上へは徒歩で登る道が通じていますが、その他に急峻な石段(段数250段)もあります。

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《写真(3)》山梨側からみる八ヶ岳連峰の中で特筆したいのは赤岳(2899m)です。八ヶ岳連峰の主峰としての威容を備えた赤岳の全体を見ることができて、私にとっては貴重な眺めです。諏訪側からは他の山にさえぎられて赤岳の一部しか見えず、いつも物足りない思いをしながら諦めています。やはり主峰には堂々とした全容を見せてもらいたいものです。主峰・赤岳の全体像を眺めていると何か得をしたような満足感を覚えます。

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《写真(4)》韮崎市に入るとどことなく暖かい感じがしてきます。白梅が咲いていました。富士見町、北杜市にくらべて春の訪れが早いことが分かります。麦の生き生きとした緑色が畑を明るくしています。遠景の山は鳳凰三山(左から薬師岳、観音岳、地蔵岳)です。

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《写真(5)》桃畑では農作業が始まっていました。今年の桃の花はやや遅れて、多分4月の中旬から下旬にかけて咲くのではないかと、農家のおばさんが話してくれました。遠景の山は鳳凰三山(左から薬師岳、観音岳、地蔵岳)です。
桃の花が満開の甲斐路には、「桃源郷」の名前がぴったりの風景が広がることでしょう。


撮影年月日と撮影場所
写真(1)(2)(3)(4)(5)
        2012年3月21日    山梨県北杜市及び韮崎市にて撮影
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