2009.03.31 常識的な米金融安定化策は効果があるのか
早房長治 ((地球市民ジャーナリスト工房代表)

ガイトナー米財務長官は3月27日、金融危機の再発防止に向けた金融規制改革案を公表した。23日に発表した金融機関が保有する不良資産の買い取り策と合わせて、オバマ政権の当面の金融安定化策が出そろった。内容はいずれも常識的で、「危機の再発防止に、どれくらいの効果があるか」という疑問の声も出始めている。

金融規制改革案のポイントは①重要金融機関の資産と取引について、単独の規制機関が現状より厳しく監視する②一定規模のファンドに証券取引委員会(SEC)への登録を義務付ける③デリバテイブ(金融派生商品)取引を監視する枠組みを創設④保険・証券などノンバンクの破綻処理法制を創設、などである。

このメニューはいずれも重要であるが、これまでも各方面から提起されてきたもので、目新しさはない。問題は、オバマ政権が、金融機関や、金融取引、金融商品への規制をどれだけ厳格化するかである。しかし、財務長官の議会における発言では、その点が明白ではない。シテイ・グループのような大手商業銀行に対して、本来の業務以外への進出をどのくらい規制するのか。複雑な金融商品をどのようにチェックするのか。

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