2008.07.31
それはないよ、新聞各紙
米原子力空母の配備に反対する集会の報道なし
「それはないよ、新聞各紙」。このところ、私はそんな思いを強めている。7月に神奈川県横須賀市で相次いで開かれた、米原子力空母の横須賀配備に反対する全国集会が新聞各紙で報道されなかったからである。マスメディアは、横須賀が米原子力空母の母港となる問題など、日本国民にとってたいした問題でないと考えているのだろうか。
米海軍横須賀基地には、これまで通常型空母キティーホークが配備されていた。それが退役となり、さる5月28日、横須賀を去った。これに先立ち、米海軍は昨年9月、その後継艦として原子力空母ジョージ・ワシントンを08年8月19日に米海軍横須賀基地に入港させると発表。日本政府も横須賀市もこれを容認。当初は予定通り来る8月19日に横須賀に姿を現すのではとみられていたが、同艦はこの5月、太平洋を航行中に火災を起こし、原因調査と修理のため米西海岸のサンディエゴ海軍基地に停泊中とされる。このため、横須賀配備は9月以降になるのではとみられている。
ジョージ・ワシントンは全長332・85メートル。排水量約97000トン。艦載機は80機以上。原子炉2基を搭載しており、通常型空母よりも能力が高く、少なくとも通常型空母よりも2倍の期間、危機対処・戦闘作戦にあたることかできるとされている。
原子力空母の横須賀配備には市民レベルでも賛否両論があるとされる。「否」の理由はほぼ二つに絞られるようだ。一つは、米国の世界戦略の一端を日本が担うことになりはしないか、という懸念だ。いまでも軍事面における日米同盟は極めて緊密だが、このうえさらに米国の世界戦略の根幹を支える原子力空母の母港となることで、日本が米国の世界戦略にいっそう加担することになりはしないか、というわけである。もう一つは、万が一原子力空母の原子炉で事故が起きたら、横須賀ばかりでなくかなり広範な地域で放射能被害を被ることになりはしないかとの不安だ。
地元紙神奈川新聞の2006年1月の世論調査では、市民の約6割が原子力空母母港化に反対している。日米両政府や市当局が「安全だ」と強調しても「不安」を感じている市民が多いということだろう。
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
「それはないよ、新聞各紙」。このところ、私はそんな思いを強めている。7月に神奈川県横須賀市で相次いで開かれた、米原子力空母の横須賀配備に反対する全国集会が新聞各紙で報道されなかったからである。マスメディアは、横須賀が米原子力空母の母港となる問題など、日本国民にとってたいした問題でないと考えているのだろうか。
米海軍横須賀基地には、これまで通常型空母キティーホークが配備されていた。それが退役となり、さる5月28日、横須賀を去った。これに先立ち、米海軍は昨年9月、その後継艦として原子力空母ジョージ・ワシントンを08年8月19日に米海軍横須賀基地に入港させると発表。日本政府も横須賀市もこれを容認。当初は予定通り来る8月19日に横須賀に姿を現すのではとみられていたが、同艦はこの5月、太平洋を航行中に火災を起こし、原因調査と修理のため米西海岸のサンディエゴ海軍基地に停泊中とされる。このため、横須賀配備は9月以降になるのではとみられている。
ジョージ・ワシントンは全長332・85メートル。排水量約97000トン。艦載機は80機以上。原子炉2基を搭載しており、通常型空母よりも能力が高く、少なくとも通常型空母よりも2倍の期間、危機対処・戦闘作戦にあたることかできるとされている。
原子力空母の横須賀配備には市民レベルでも賛否両論があるとされる。「否」の理由はほぼ二つに絞られるようだ。一つは、米国の世界戦略の一端を日本が担うことになりはしないか、という懸念だ。いまでも軍事面における日米同盟は極めて緊密だが、このうえさらに米国の世界戦略の根幹を支える原子力空母の母港となることで、日本が米国の世界戦略にいっそう加担することになりはしないか、というわけである。もう一つは、万が一原子力空母の原子炉で事故が起きたら、横須賀ばかりでなくかなり広範な地域で放射能被害を被ることになりはしないかとの不安だ。
地元紙神奈川新聞の2006年1月の世論調査では、市民の約6割が原子力空母母港化に反対している。日米両政府や市当局が「安全だ」と強調しても「不安」を感じている市民が多いということだろう。